2021/03/31

2021年3月の雑記

 2021年3月の雑記。(→-/2月

今月の写真は、たまには趣向を変えてみよう。Tiger & BunnyコンビとED-209くん。


 03/25(Thu)

 低価格タイトルだったら、原画家本人に着彩まで任せてしまう方がクオリティが上がると思うのだが、なかなか難しそうだ。
 原画家自身の塗りならば、1)線画から着彩までの、CGのトータルデザインに統一感が生まれる。2)線画の意味づけを、着彩が見逃したり誤解したりすることが無い。3)原画家のファンにとっても嬉しい。クオリティ面では、長所ばかりだ。低価格タイトルの20枚程度ならば、それほど時間も掛からないだろう。
 しかし、そういう制作方式が稀であることも理解できる。1)企画側(メーカー所属)のCGスタッフを有効利用できない。2)制作期間が延びる。3)通常シーンの背景画像など、どうしてもミスマッチが生じる。4)対応できるイラストレーターが少ない。
 そもそも、この要求を満たせるクリエイターは、1)キャラデザ+原画+塗りの全てが一定以上のクオリティであり、2)作業速度も十分に高く、しかも、3)十八禁OKであり、4)アドヴェンチャーゲーム特有の絵作りを理解しており、5)メーカー側の企画に従って制作してくれるくらい気前が良い、ということになる。さすがにそんなクリエイターは、そうそういない。
 
 裏を返せば、能力のあるイラストレーターは、アダルトゲームメーカーに企画を持ち込んだり、あるいはメーカーにそういう形態でゲーム制作を持ちかけたりすることができる。作品コンセプトについて合意できれば、イラストレーター側は、CG制作作業に専念するだけで良い。そうすれば、メーカー側が脚本を用意し、音声収録し、そして販売と精算までこなしてくれる。逆にメーカー側は、イラストレーターとのコラボ企画として売り出して普段とは異なったユーザー層を獲得できるし、CGに関しても統一感のある絵を利用できる。
 低価格系ブランドなどが、せっかく生きの良いイラストレーターさんを起用しているのに、CGは安っぽくてもったいないという事例をたまに見かける。なんとかうまくやれないものかねえ……。
 
 アダルトゲーム原画の仕事もしているのに、18禁タイトルの宣伝は全然しない(アニメや単発イラストの宣伝はSNSで活発にしている)イラストレーターさんもいる。それはそれで個人の価値観なのだけど、悲しくはある。

 その逆に、着彩をメーカー側が担当することによるメリットもある。1)とりわけ、キャラデザは良くても塗りが今一つなイラストレーターは、メーカー側が熟練のCGワークでクオリティを引き上げることができる。あるいは、2)全体のクオリティがばらつきやすい不安定なイラストレーターについて、CGサイドが適切に修正することによって品質や方向性を揃えることもできる。さらには、3)イラストレーターの普段の絵とは異なった着彩をぶつけることによって、新たな世界が開けることもある。これらは、00年代以来のアダルトゲーム分野がずっと行ってきたことだ。
 例えばEscu:deの外注原画作品には、そういう面白さがある。あっさりした絵柄のイラストレーターさんに対して色っぽい素肌着彩を施してみせて、新鮮な印象を与えたり。出来の不安定なイラストレーターを起用しても、細部まで引き締めて見応えのあるクオリティをしっかり確保したり。複数原画タイトルでも、塗りのレベルで統一感を与えることによって、作品全体の視覚的なまとまりを実現したり。そういった共同制作ならではの創造性を楽しめるのは、たしかにアダルトゲーム分野の美質の一つなのだ。


 青やm…村咲和香さん、なにやら懐かしいお声が……。


 astronautsは10年代を華やかに彩った野心的なブランドの一つだ。アトリエかぐやで十分な実績を積んだスタッフが独立したようで、ゲーム制作に関しては大きな信頼があったし、実際、どのタイトルもウェルメイドな秀作だった。しかも、SLGから学園ものからダーク系から低価格まで様々なジャンルを手掛けている。とりわけグラフィック面では、ビッグネームのM&M氏と新進気鋭のピロ水氏に、さらに新顔の丸新氏、国産もやし氏、Rozea氏も大当たりだった。2017年デビューのたいのね氏も、うまくいっていると思う。キャスティング面でも、確かな実力のある声優陣をきちんと起用してくれて、日常シーンでも充実した芝居を安心して聴くことができた。ここ数年はちょっとよく分からない感じだが、今後とも期待していけるブランドだ。


 今月は、心豊かに過ごせたと思う。ゲームに関しては、新機軸に挑戦できた。模型制作では、AFVや陸上兵器に取り組んでいろいろな技術的実験が出来た。音楽や映画は、再視聴の割合が高かったが、量質ともに非常に充実したメディア体験ができた。
 予定を果たせずに滞ったものもある。具体的には:旧サイトの記事移設。「プララジ」記事を最後まで完成。『のんびり農家』記事。いくつかの作りかけ模型。もう新年度が始まってしまうが、折を見てなんとか仕上げていきたい。


 オタクな買い物をしまくって、大きな袋を4つも5つも抱え込んで帰宅するのは楽しいよね。いや、コンテンツの楽しみの中心的部分ではないが、そういう部分「も」楽しいのは確かだ。まあ、袋一つにつきお札一枚分くらいの出費になるので、まあ、そういうことだが。

 PCゲームは、新品と中古品の両方を置いているショップも多いのだが、できるかぎり新品で買うようにしている。
 ただし、小売店としては、おそらく新品と中古のどちらで売れても大差ない。というか、新作の仕入れ値段よりも買取値の方が低いと思われるので、むしろ中古販売の方が利益が大きい可能性すらある。しかし、メーカーに対する最低限の誠実として新品で買うようにしている。
 そもそも新品が捌けなければ、不良在庫になってしまう。つまり、「売れなかったタイトル」になってしまう。そうなると、メーカーの次のタイトルに対する発注が少なくなり、結果として制作規模(予算規模)も縮小してしまう。その意味で、ちゃんと新作で買うことには大きな意義があるのだ。

 うーん……買ってきたフィギュアを開封するのと、本を読むのと、ゲームをやるのと、プラモデルを組むのと、さて、いったいどこから手を付けようか……。(年度末までこんな有様)


 『キルミーベイベー』12巻は、クリーチャー度合いが増した。

 メロブの奥の方のコーナー(婉曲)で、Vanillaさんという作家の新刊(商業単行本)が出ていたが、Lost scriptで原画家をされていたVanilla氏と同一人物なのかな? 絵柄がずいぶん違うので別人かもしれないが、『長靴をはいたデコ』(2007)から13年以上経っているのだから、画風が変化しているのかもしれないしなあ。たぶん同一人物だと思うけど、自信が持てない。
 せっかくだから単行本を買ってみようかな(※今日は買わなかった)。

 アダルトコミックは、ハズレ率が高いので、あまり食指が動かない。ハズレと言うのは失礼かもしれないが、買って読んでも楽しめなかった(満足できる読書体験ではなかった)ということ。そもそも、性描写を中心にした短編集というジャンルがあまり好きではないのかもしれない。
 しかし、なまめかしい曲線美や繊細な表情表現に満ちた美しい本もあるし、巧みな画面構成や卓抜な筋運びで読み手を唸らせる秀作もあり、迫力のある絵と大胆な性表現に溢れたスリリングな作品もある。漫画界の中に存在する大きく豊かな一ジャンルとして、敬意を持っているし、注目している作家さんの単行本を買ったりカジュアルな表紙買いをしたり、それなりに購入している。


 「キャストラブ」は、かなりのお気に入りになった。最初から全ての構造が見えているのに、解答に辿り着くのは案外難しいという正統派。しかも、同形の2ピースのみという、ぎりぎりシンプルな形態。ピースを動かしていくプロセスもたいへん美しい。
 「ここをうまく通さなければならない」というポイントがあらかじめ明確になっているが、それでいて「そこをどのように使うか」に一捻りも二捻りも入っている。「ちょっと行けそうだが間違い」というフェイクルートが設けられているのも気が利いている。

 以前にも書いたが、個人的に好きなのはキャストバロックキャストハーモニー。造形が美しかったり、ピースの動かし方に才気があるものが好き。うねうねのキャストラディックスも良いし、立方体のキャストマーブルもワンアイデアながら気が利いている。キャストドーナツは、ブラックボックスが苦手だが、リング二つがしっかり噛み合っている造形は抜群に面白い。最高難易度(Lv6)では、キャストエニグマが好み。
 逆に苦手なのは、パーツ数が多かったり、微妙なクリアランス勝負だったり、試行錯誤もの(迷路系)だったり、ブラックボックスネタだったりするもの。


 新しい本の、インクの香り、いい……。


 [ youtube: SaGMoWoqKxE ]
 「胃~之煮」(ヱ#20)の話題から。ああ、本当だ……「十割メモリー」にも聞こえる……。


 壱智村氏が引退とのこと(STP#753)。他にやり甲斐のある活動を見つけて、すでにそちらが充実しているということだから、ポジティヴな選択をなされたということでお祝いしたい。
 どうやら本業に専念するためのご判断なので、完全引退というわけではなさそう。つまり、声優としての積極的な営業活動などはしないが、オファーがあれば受けることもある(例えば、以前に演じたシリーズの継続出演など)、という感じだろうか。



 03/20(Sat)
 
 えっ……「星詠みの神託」って、『カリンちゃん』の拡張パックなのか。単体で動作する方が売りやすいと思うのだが。新規購入者がセット版を買おうとしても、22000円と高額になってしまうし。

 もう一点、気がかりなのは、無印版からの変化。まさか無印版のフラグが改変されたりはしないでしょうね……。「無印版ルート/拡張パック版ルート」で、明確に分離しておいてほしい。ボリュームが大きいようだから、無印ルートに中途半端に組み込むなどということはしない(出来ない)だろう。「第2部」ルートとして別途選択させる感じだろうか。

 動画でははっきり示していないが、システム面では前作(無印版)を踏襲するだろう。まさかAVGパートだけで済ませるわけではあるまい。プログラムをきちんと改修できるスタッフ(つまりJORI氏たち)が参加されているのだろうか。

 登場キャラクターは、おおむね以前に予想したとおり。「リ…」は、「リン(郭嘉)」ではなく、「リリ(黄敍)」だったか。
 先月の台本写真を見るかぎり、モブキャラは「女性E」「男性E」まで分かれている。大波氏や青山氏が出演されるかどうかは、現時点では見当が付かない。

 原画陣はいつものNEXTON系。脚本の式乃氏は『恋姫†夢想:革命』シリーズに参加している方とのようだから、『恋姫†夢想』側のファンにとっては安心できるキャラ造形になるだろう。

 価格は6000円+T。発売は7月末。前期授業が終わる頃だから、時間は取れるだろう。


1/72スケールのプラモデル。左からボクサー装甲車(Revell社、全塗装)、自走砲PzH2000(Revell、一部塗装)、3号突撃砲(Dragon、ベタ塗装+ウォッシング)。装甲車の車輪が一円玉よりも小さいくらい。掌サイズのミニチュアで、なかなか可愛らしい。

 ボクサーは兵員輸送モジュール(GTFz: Gruppentransportfahrzeug)版。上記キットでも、後部モジュールは取り外せる。1/35スケールのキットも含め、後部モジュールを交換した指揮車(FüFz: Führungsfahrzeug)タイプや、重装甲救急車(SgSankfz: schweres geschütztes Sanitätskraftfahrzeug)タイプも発売されている。気に入ったので、1/35版も作るかも。
 自走砲PzH2000はカマボコ状の砲塔が個性的。迷彩塗装をするのが面倒だったので、一部のみ筆塗りで色を足した。あくまでシルエットの面白さが目当てだったので、このままでいいかな。
 突撃砲は、並べてみるといかにも小さく、そして武骨だ。車高もおそろしく低い。ランナー1枚+シャーシ+ラバー履帯のみで、組み立ては1時間も掛からなかった。しかしライトなどは別パーツ化されていて立体感がある。
 
 1/72スケールは、メジャーな1/35のほぼ半分以下の縮尺なので、塗装面積は1/4になり、とりわけ筆塗りは比較的短時間で済む。もっとも、2乗3乗法則のとおり、見た目のボリューム(体積)は1/8になってしまうが。価格は1/35キットの1/3~1/5程度。
 ちなみに、TOMICAは1/60~1/67程度の縮尺。スケールがそこそこ近いので、そのくらいにイメージしてもらえればよい。


 【 関西のダム(アクセスメモ) 】
 天ヶ瀬ダムってきれいだな……行ってみたい。
 
 関西圏で、「公共交通機関でのアクセスが良い(つまり、自家用車等は使わない)」+「それなりに大きなダム(つまり、ダムらしくて見栄えが良い)」という条件で探してみると、以下のような候補があるようだ。
 京都府下だと、公共交通機関でアクセスの良いダムは、天ヶ瀬ダム(宇治市。JR奈良線宇治駅から1km)と、日吉ダム(南丹市。山陰本線日吉駅から1km)がある。JR京都駅から日吉駅までは、乗り換えがうまく行けば46分。
 大阪と滋賀には、アクセスの良い大規模ダムは無いようだ。大抵のダムは山中に作られるものだから、市街地から行きづらいのは仕方ないのだけど。芹川ダムが、近江鉄道多賀大社前駅から約1kmにあるが、私のような素人が期待する大型ダムではないようだ。近江鉄道も一度は乗ってみたいが、いささか遠い。
 兵庫県はかなり多いが、丹波播磨の山間部ばかりなので自動車やバイクが無いと難しい。布引五本松ダムが新神戸駅から600mの近場にある。阪急御影駅から五助(ごすけ)堰堤まで3km歩くのはちょっとつらいか。JR福知山線沿いでは、青野ダム(三田市。広野駅から1.5km)と千苅(せんがり)ダム(神戸市北区。道場駅から1km)は、一日で両方回れそうだ。ただし、梅田から1時間以上掛かるので、三田市内に宿を取ってゆっくり行くのもありかも。有馬温泉から約1kmの丸山ダムは、要するに六甲山の裏側(奥地)なので、かなり時間が掛かる……と思ったが、梅田から神戸電鉄有馬温泉駅まで1時間少々で着けるのか。川西市の一庫(ひとくら)ダムは、近くまで交通機関が通じている(能勢電鉄山下駅から1km)。梅田から約40分だから、まあまあアクセシブル。多々良木ダム(朝来[あさご]市)は、播但線新井駅まで行くだけでも大変だし(梅田から姫路経由で約3時間、運賃は片道2500円程度[プラス特急料金])、そこから2km以上歩くことになる。播但線は本数も少ないので時間のロスも大きくなる可能性がある。
 奈良県も、大半は紀伊山地にある。室生ダム(宇陀市)が近鉄大阪線の室生口大野駅から1kmで、アクセスが良い。京都駅~室生口大野駅は、乗換1回で1時間半(1160円)なのでまずまず。また、津風呂ダム(吉野郡)は、近鉄吉野線の大和上市(やまとかみいち)駅から2km程度。ただしこちらはかなり遠く、京都駅~大和上市駅は2時間半で1250円。特急を使っても2時間弱で2400円程度。
 和歌山は……ごめん、さすがに無理。遠すぎる。

 立入制限されているところもあるだろうし、時期によって風景の見栄えも変わる。もう少し細かく計画を立てて、適当なタイミングでどこかのダムを訪れてみたい。とはいえ、感染症の問題があるので、当分先になるだろうけど。公共交通機関よりもレンタカーなどで一人行動をする方が安全なのだが、大学時代以来の完全なペーパードライバーなので運転は不可能。

 ダムらしいダムを実際に見たことは、これまで一度も無いかも。愛知出身で、犬山ライン大橋(大きな堰)には馴染みがあったという程度。


 Escu:de新作のプレ告知。原画の人選は良い感じ。方向性は、軽めのピンク系AVGだろうか。


 オタク界隈でもアニメーションイラストが全然普及していないのは不思議だ。人体を動かすのでなくても、例えば特殊効果の類を動かす(アニメ化する)だけでも、絵としてまったく質の異なる表現が出来るのだが。
 ……いやむしろ、オタク界隈だからこそ消極的なのかもしれない。つまり、キャラが最も優位であり、キャラクターへの注目を過度に阻害するようなアニメーションエフェクトは避けられているのかもしれない。あるいは、「動画化するとファイルサイズが大きくなりすぎる」「pxvなどのイラスト投稿サーヴィスが動画を受け付けていない」といったような外的制約が影響しているのかもしれない。作画ツールそれ自体の性能としては、動画演出は十分可能だと思われるのだが。
 いずれにせよ、アニメーションイラストの可能性はまだまだ未開拓であり、何かのきっかけで動画演出イラストが爆発的に広まっていくことは十分考えられる。古典的な目パチGIFからでいいから、試してみたら面白いんじゃないかなあ。


 【 魔法少女もの:00年代から10年代へ 】
 「魔法少女の悲劇(魔法少女がひどい目に遭う)」というのは他分野にもあった(例えばアニメ『セーラームーン』)が、00年代初頭以来のアダルトゲームがずっと描き続けていた主題でもあり、もちろん私もそれに慣れていた。そのため、10年代のアニメやLNで初めてシリアス魔法少女ものの流儀に接してショックを受けた人々との間で、かなりの温度差を感じていた。アダルトゲーム文化を経由していたかどうかによって、10年代前半の魔法少女もの文化に対する向き合い方に、大きな違いがあったと思う。魔法少女の……というか変身ヒロインになってしまった悲哀も、変身ヒロインのアイデンティティクライシスも、変身ヒロインどうしの争いも、変身ヒロインの堕落(闇堕ち)も、そして堕落した変身ヒロインを罰する上位存在に至るまで、大抵のことはアダルトゲームが扱っていたのだ。
 ただし、実のところ、そうした受け止め方の落差を、当時の私ははっきり意識していたわけではない。当時のSNSでも、アダルトゲーマーがまだたくさんいた筈なのだが、そういう分野間比較の視座で言及するものは、不思議なことにほとんど見られなかった。
 
 アダルトゲームが開拓し深化させ蓄積してきた魔法少女文化が、一般に普及しきらなかったことにも、理由はあるだろう。一つには、18禁ゲームという制約がある。00年代末以降のオタク界隈ではメディアミックス戦略が急激かつ大規模に展開されるようになったが、18禁ゲーム分野はそこに乗り損ねた。例えばアニメ化されたタイトルも、2009年(『11eyes』『タユタマ』など7本)から2011年(『星架か』『ましろ色』など4本)にかけて激減した(※2017年12月9日雑記を参照)。
 第二に、00年代半ば以降、白箱系/黒箱系の間で分化と先鋭化が進み、黒箱系は変身ヒロインたちを性的に蹂躙する描写ばかりを生真面目に描き続けるようになった。アダルトコンテンツとしての期待に正面から応える、お行儀の良い作品ばかりになった。変身ヒロインの意味を掘り下げようとする試みや、変身ヒロインものの外延を広げようとする実験は、乏しくなった。
 00年代前半のアダルトゲーム分野では、未整備な混沌の中に様々な実験作、意欲作、秀作、傑作が生まれていた。例えば、バカゲーを装いつつも、ヒロインの友人たちが次々に怪人になっていくという悲惨な状況の『松島枇杷子は改造人間である。』(Rateblack、2005)。陰惨なシナリオが展開される『魔法天使ミサキ』シリーズ(RaSeN、2003/2006)。政府組織として設立されたチープなお飾りヒロインたちが敵に回る『LEVEL JUSTICE』(ソフトハウスキャラ、2003)。そして『エスカレイヤー』(2002)は変身ヒロインの身体を完全に道具化した。つまり、ヒロインの本体は別に存在し、コピーされた生体が戦っているにすぎない。あるいは、『魔法戦士』シリーズに代表されるTriangleも、ツインヒロイン制の下で、ヒロイン間の情愛や裏切りを度々描いていた。そして、魔法少女もののシナリオとしておそらく一番の大作であり、なおかつ、傑出した名作である『プリンセスうぃっちぃず』(2005)。……そういった挑戦的なシチュエーションが、00年代後半以降は減少した。
 00年代後半の魔法少女ものは、『ウィズ アニバーサリィー』(2006)、『プリミティブ リンク』(2006)、『Magus Tale』(2007)、『月と魔法と太陽と』(2008)のように、ライトな学園恋愛系にも接続した。そこでは「魔法少女」という属性は、吸血鬼ヒロインや神格ヒロインと同じような、ヒロインのキャラクター特徴のワンオブゼムになっていた。もはや単なる記号、擦り切れたモティーフ、ただの形骸になっていた。パロディ的、戯画的なイメージが深く染みついてしまい、あらためて真面目に向き合うのが難しい素材になっていた。また、黒箱系の変身ヒロインものも、昔ながらのファッショナブルな魔法少女ルックのままではなく、メカニカルなバトルスーツ姿や(『神骸魂装姫ヤクモ』[2014])、グロテスクな卑猥感のある衣装(『触装天使セリカ』[2008])になっていく。
 アニメやLN分野で魔法少女ものに注目が集まったのは、その後のことだった。
 
 アニメ界隈でも、10年代前半の魔法少女ものの意義はきちんと総括されないままに、廃れていったようだ。地上波放映では2018年春を最後に、完全に終息して現在に至っている。

 余談ながら。アダルトゲーム分野では、「魔法少女」という文字列がストレートに使われることは少ない。むしろ「天使」という2文字で言い換えられることが多い。曰く「流聖天使」、曰く「超昂天使」、曰く「魔法天使」、曰く「魔界天使」、曰く「突撃天使」、曰く「光臨天使」、曰く「特捜天使」、曰く「夢幻天使」、曰く「聖炎天使」、曰く「触装天使」、曰く「崩壊天使」、等々。
 (さあ、ネタが全部分かるかな? ヒント:発売年順)


 Triangleの4月新作はどうしようかな……。キャラクターは、コロンとした丸っこい顔立ちが可愛らしいし、着彩も落ち着いている。キャストも(サンプルヴォイスを聴いたかぎりでは)ひとまずOK。しかし、「playDRM 要インターネット認証」は嫌だなあ。



 03/15(Mon)

Alphamax / Skytube「Dark Advent: ラーニア」。DX版を購入したのだが、例のモノをどんな色で塗ったらよいか、ずっと悩み続けている。アメジストパープルのパール塗装はうまくいったが、残念ながら写真ではろくに見えない。


 エナメル塗料でスミ入れをすると、拭き取るときに周囲にわずかに色が残ってしまう。フィルタリング目的ならば良いが、ホワイトなどのきれいな部分に影色が残ると、どうしても汚く見える。というわけで、「ラッカー塗装をしたところに、水性塗料でスミ入れをして、エナメル溶剤で拭き取る」という、いささか強引なアプローチを試してみた。きれいに拭き取れて、なかなか良い感じ。水性塗料はラインアップも多いので、スミ入れに使える色の幅が増えるというメリットもある。
 問題は:エナメル塗料と比べて、水性塗料だと流れがあまり良くない(毛細管現象が作用しにくい)。解決法としては、毛細管現象に頼らず、筆塗りでラインをなぞっていく。これならば、作業効率は変わらない。ただし、繊細なラインモールドにきれいに色を乗せるには、やはり毛細管現象に頼った方が良い場合がある。
 水性塗料でも、いったんトップコートを掛ければウォッシング等が可能になるので大丈夫。


 ライトなAFVモデラーとしては、戦車以外のAFVや小スケールキットも楽しい。1/72や1/48のような小スケールキットでも、ディテールはひとまず十分な精度が確保されているし、それでいて「ヴァリエーションはそこそこ豊富(マイナーなものもたまにキット化されている)」、「価格が低いので気軽に作れる」というメリットがある。履帯も一体化されていたりラバーベルトだったりするので制作の手間が省けるし、戦車以外のモデル(例えば装甲車)ではそもそも非装軌の車両も多い。造形や工作をあまり追求しないライト層モデラーとしては、これはこれで付き合いやすい。
 ただし、デメリットもある。戦車以外のモデルでは、制作記事や制作例が比較的少ない。また、小スケールキットでは、一部のパーツが非常に小さく、ある程度の制作スキルが要求される。マスキングや迷彩塗装なども難しくなる。
 ともあれ、10cm程度の小さな車両がいろいろ並んでいる風景は楽しい。掌サイズなので、おもちゃのような可愛らしさがある。


 手許の塗料瓶はすでに200本以上ある。おおまかに色分けしているのだが、きちんと管理しているわけではない。そのため、「使いたい色が手許にあるかどうかをすぐに確認できない」「すでに持っている色を、誤って二重買いしてしまうことがある」という問題がある。解決法は:
- データ管理する。→面倒すぎ。
- 各色のナンバリング順に並べ替える。→似た色の比較がしづらい。
うーん、良い管理法は無いものか……。


 先月書いた薄手バッグの件。ほぼ理想的と思われるものを見つけた。Michael Linnellのバッグ。一般にパッカブルバッグと呼ばれるカテゴリーで、トートバッグコーナーよりも旅行グッズコーナーに置いてある部類。
- コンパクトに畳んで、鞄に入れておける。超軽量を謳っている。
- ジッパー付きで、口を閉じることができる(転んでも大丈夫だし、防犯にもなる)。
- サイズは十分大きく、しかも大きすぎはしない。ちょうど良い(※20L入り)。
- デザインは無地(※小さなロゴが入っているが、目立たないのでOK)。
- 素材はナイロン。丈夫だし、撥水性もある。ほぼ透けない(=中身は見えない)。
- 持ち手は、短いものと、肩掛け用の長いものの両方が付いている。
- ポケットなどの余計なものは一切無い。きわめてシンプルな形状。

 これなら、例えばフルプライスのゲームパッケージも8本ほど収納できるし、大きめのプラモデル箱も2個入るだろう。プライズフィギュアの箱も4つはいけそうだ。耐荷重は3~5kgとのことなので、例えば漫画単行本を20冊ほど詰め込んでもひとまず耐えられる筈。よし、これで毎日カジュアルに大量購入しても大丈夫だな!
 バッグの内側に小袋が取り付けられている。バッグを折り畳んだら内外反転させて、その小袋の中に詰め込むという形。折り畳んだ状態のサイズは、文庫本と同程度(厚みは400ページ分くらい)。鞄の中に入れておいても邪魔にならない。
 手が空くように、基本的に肩掛けで使うつもりなので、短いほうの持ち手はカットするかも。

 不満点を挙げるなら、ナイロン生地なので、多少シャカシャカするし、素材感も安っぽい。また色調があまりきれいではない(※退屈なブラック、濁ったオリーブ、派手すぎるオレンジの3色)。まあ、このくらいは十分我慢できるので問題無いが。ただし、蛍光イエローのタグは悪目立ちしていたので、即日カットした。
 個人的には布製のが良いと思っていたが、布だと汚れや厚みの問題があるので、まあ、ナイロンで良いかなと納得している。

 実は、購入初日にいきなりお惣菜の汁を内部に漏らしてしまったのだが、撥水加工のおかげで、ティッシュできれいに拭き取れた。

 撥水性が高いということは、不意の降雨があっても鞄をバッグの中に入れて守れるということだ。もっと言えば、頭から被れば……いや、それはさすがに無理か。


Azone International「カスタムリリィ:TYPE-B」の3人。オーソドックスに可愛らしい。中央の衣装は「ホーリーナイト デート服set(スノーブルー)」。店頭で一目惚れして買った。清らかなフロスティブルーが、シックな黒髪に映える。
かわいい! かわいい!! 帽子を目深に被せておくと、ふかふか感が増す(※軽く乗せるだけだと、外れてしまいやすいという事情もある)。

 上記「ホーリーナイト デート服set」はワンピース型なので、たいへん着せやすい。つまり、ワンパーツなので着せるのも楽だし、着衣が上下にズレにくい。しかも膝丈スカートなので、脚部がほどよく隠れる。
 口元(首元)を隠すと愛嬌が増す。「マフラー姿が可愛い」というのも同じ。ただし、それとは逆にスラリとした首元を見せるのも魅力を発揮しうるが、上手く見せるのは難しい。
 ちなみに、はいてない。下着を買ってやれなくてごめんよ……。

 右の茶髪キャラにも、すぐに眼鏡を掛けてあげるつもり。知的で清潔感のある銀縁眼鏡が良いだろうか。それとも、輪郭のくっきりした黒眼鏡でシックに締めるか。ポップな赤眼鏡にすると、袖やスカートと統一感のある差し色になる。あるいは、一人くらいは裸眼仕様でもいいかもしれない。
 右のキャラの衣服は、デフォルト(製品のまま)。うちにいるもう一人のドールも同じ制服を着せてあるので、「同じ学校に通っている」というシチュエーションになっている。

 左の銀髪キャラの衣服は、2年前に購入した「ギムナジウムセーラーワンピset(ネイビー&オフホワイト)」。ドール服では、こういう深みのある寒色系の服をついつい選んでしまう。

 ……あっ、ドールはまだ10人とちょっとしか買ってないからね、このくらいなら、まだ深みにハマってないよ。まだ大丈夫だよ。まだだよ。まだまだだよ。


 BANDAIの30MSは、食指が動かない。近未来風バトルスーツというひねりの無い路線で、デザインもありきたり、顔も可愛くない。低価格化(=コストカット)したせいで、魅力の乏しいボヤけたキャラになってしまっている。KOTOBUKIYAのWISMのように最初は無難にしておいて、順次ラインアップを拡大していくのだろうけど……。
 オプションパーツを多数提供するのは30MMを踏襲するものだが、ガールプラモの中ではすでにVOLKSのFIOREに先行例があり、目新しさは無い。ただし、大規模に商品展開してくれるなら、例えば3Dゲームのような「キャラメイキングの楽しさ」という新路線を作ってくれるかもしれない。
 ガールプラモ(あるいは人間型プラモデル)市場を拡大してくれればありがたいし、製品が潤沢に供給されるならば試しに一つくらいは買ってみるつもりだが、それ以上の手応えは感じない。やはり、両目印刷を初めとしたクオリティの半端さが、キャラクターとしての魅力を大きく損なっているのが大きな問題だ。
 気になるのはサイズ。現時点では情報公開されていないが、30MMに合わせて12cmくらいになるのだろうか、それとも一般的なガールプラモ並の15cm級(6インチ級)だろうか。

 ひとまずの評価は、「ライト層向けで、間口を広げてくれそうなのはありがたい」。既存各社のシリーズとは明確に棲み分けできそうだから、市場の食い合いにはなりにくいだろう。

シリーズ価格帯モティーフ特色
FAG高価格高品質ロボットワンオフデザインの武装。2021年現在では「バランス良くオーソドックス」と言ってよい。
MD高価格高品質バトルワンオフデザインの武装。単体での組み替え余地。他社コラボも多数。ボディはやや小さい。
FIORE高価格高品質(自由)ミキシング(公式オプションパーツ多数)。表情豊か。
AOSHIMA(VFG)高価格高品質航空機(アニメ作品)メカ部分の変形ギミック。一点突破型だが、出来は良い。
chitocelium高価格高品質幻想的ワンオフデザイン。審美的雰囲気は強烈な個性。
Dark Advent高価格高品質モンスターワンオフデザイン。明示的なアダルト要素。
HASEGAWA中価格ロボット格闘ゲーム生物的要素の無い、純然たるメカキャラ。
創彩中価格日常別売の小物パーツあり。柔軟な組み替えも視野に。
BANDAI(etc)低価格アニメ作品明確なキャラクターアイデンティティがある。ワンオフデザイン。
30MS低価格自由?ミキシング。サイズは小さめ?

 高価格キットは、「高品質なデザイン(精密なディテールや明確なキャラクター性)」、「そのキット特有のメカニズム(変形機構など)」、「キット単体でも自由な組み替えの余地がある」、「コラボネタ(前記キャラクター性とも関わる)」などの武器がある。
 それに対して中価格~低価格キット(具体的には創彩と30MS)は、1)価格面のアドヴァンテージを前面に出しつつ、オプションパーツなどと併せて販売することにより、2)自由な拡張性(遊び方)を提供し、そしてそれにより、3)複数買わせて元を取る、という戦略になる。

 スケールモデルでも、大型キットと小スケールキットが併存している。それと似たような状況になるのかもしれない。つまり、艦船模型で言えば、ハイエンドキット(1/350)は値段も高いがクオリティも桁違いに高く、値段相応の大きな満足が得られる。それに対して小スケールキット(1/700)は比較的安価に入手でき、販売数も多い。コレクションしやすいし、アフターパーツも潤沢に提供されているし、様々な技術の実験場としても賑わっている。
 ただし、AFVジャンルの場合は、1/35の大型キット(8000~10000円)が主流になっている。これは、ユーザー数が非常に多く、また、作り込みのノウハウやツールも普及しているからだろう。
 
 いずれにせよ、新規参入の間口になるシリーズが、ガールプラモでもようやく出現したと言ってよいだろう。実際にユーザー層をうまく拡大していってくれれば良いのだが。BANDAIはすでに以前から『DRAGON BALL』や『仮面ライダー』のような男性キャラクターのプラモデルも多数リリースしている。そこから製造ノウハウと市場的手応えを得たうえで、ガールプラモに本格進出したのだろう。そう考えると、ガールプラモの市場拡大に関して、BANDAIには成算があると考えて良さそうだ。



 3/7(Sun)

 ようやく完成した。新記事「ED-209 modeling」。
 海外のモデラーが訪問する可能性も考慮して英日併記の記事にしてみたが、あまり上手くいかなかった。理由は:
- 模型界隈では、どのくらいの語彙で書いたらいいか判断が難しい。
- 模型関連の英語は馴染みが無いので、正しく表現できているか分からない。
- キャプション形式なので、英日両方を書くとスペースが足りない(少ししか書けない)。
- 日本のアフターパーツは、海外ユーザーには使いにくい(情報が参考にならない)。
- 英文執筆は、日本語よりも時間が掛かる。普段の記事の3倍以上掛かった。

 というわけで、かなり幼い文章になってしまったが、やむを得ない。それにしても、画像を使った記事なのは幸いだった。文章が拙くても、写真を見ればだいたい理解してもらえるだろうという期待が持てるので。

 とりあえず今回は英文記事作成の実験のつもりで試してみた。記事単体としてはけっして良い出来ではないが、実験としては収穫が多かった。しかし、これではゲーム関連の記事を英文化するのは大変だなあ……。


 参加したくはあるが、現在の状況下では躊躇せざるを得ない。関東まで行くのもリスキーだし、ましてや多人数での会食となると……。お気持ちは分かるが、ご自身の安全を重視していただきたい。あるいは、関西での開催ならば、うーん。

 ソフトハウスキャラの公式サイトもそろそろ消滅してしまうのか……。

 「プララジ」概要記事を最後まで完成させなければ、コンテンツがいつまでも終わらずにいてくれるように思えて、ずっと未完成のままにしていた。そろそろ一年になるし、最後までやり遂げておかねばならない。


 性表現を扱う分野はいくつも存在するが、各分野でかなり大きく方向性が異なるのは興味深い。男性向けでは、だいたい以下のような感じだろうか。ユーザー層が大きく異なるわけではないと思われるが、分野によって非常にはっきりした違いが現れるのは何故だろうか。

分野ヒロイン関係ヴァージニティ
ゲーム(白箱)オリジナル非常に重視
ゲーム(黒箱)オリジナル重視
ゲーム(ピンク系)オリジナル軽視
商業漫画オリジナル和が大半?ほぼ無視
同人漫画二次創作が多い和/強半々?軽視

 和/強の比率は、時代や社会情勢によってかなり変わるかも。
 高額なフルプライスゲームのみがヴァージニティを重視しているのが面白い。 ストーリー要素が大きく、ヒロイン一人一人の造形を大事にするからだろうか。それに対して、単発の短編漫画では、紙幅の余裕が無かったり、あるいは迅速に快楽描写に進まなければならないことが影響しているのかもしれない。ゲームでも、低価格ピンク系ではヴァージニティはあまり重視されていない。


 ※画像リンク:はじめてのきゃすとおふ。TAITO「レム:Tシャツ水着 ver. (Renewal)」(写真右)が店頭に出ていたので、買ってみた。水色半透明のTシャツは好みではなかったので、パーツ切断して剥がしてみた。なお、無印版(写真左)は肌色がちょっと濃い。日焼け表現をしていたのか。
 こういった非公式の脱衣化加工のことを、昔は「魔改造」と呼ぶことがあったが、近年ではこの呼称はあまり使われていないようだ。

 明確なキャストオフ仕様のフィギュアも、いくつか持っている(※それと気づかずに購入したものも多いが)。パキラのフィギュアはたいへん可愛らしく、今でも机上の特等席に置いているが、これも着衣を外して下着状態にすることができる。


 CDの収納に関しては、いまだに良い解決法が見つからない。
 1) CDラックをいくつか使っているが、強度が足りなかったり重たかったりして取り回しが難しい。ガラス扉はきれいだが、重いし破損が怖い。
 2) かといって一般的な棚だと、収納効率が非常に悪い。横積みだと上側のスペースが空いてしまうし、縦積みにすると下側のケースが取り出しにくい。
 3) ここに引越してきた時に、木製棚を丸々一つCD収納に充てた。しかし前後2重にしたせいで、奥側のケースが非常に見づらい。


 (→-/2月