2025/11/15

フレームアームズ・ガール(グランデ)「アーキテクト」について

 フレームアームズ・ガール(グランデ)「アーキテクト」の制作メモなど。

27cm級のガールプラモ。細部のディテールを追加して制作した。


 【 今回のコンセプト 】
 元のFAGキット(約15cm)に対して、グランデキットは約27cmと、ほぼ2倍のサイズになっているが、ディテールはほとんど元のままなので、拡大された分だけ間延びしてしまっている。なので、面のディテールを細かく追加して、空疎感を解消するように制作した。
 方向性としては、スケールモデルのパーツを投入して、陸戦ミリタリー調のリアル感に近づけるようにした。具体的には、ZVEZDA社の戦車「T-90」(1/72スケール)から装甲パーツやアクセサリーパーツを使い、また、Finemoldsの航空機用「フォーメーションライトセット(F-15用、1/72)」で各部のフタやディテールを設けた。さらに、Kotobukiyaのフックセットや、汎用LEDケーブルなども適宜使用した。
 その一方で、実戦寄りの汚しを入れるのは差し控えた。「ラボで実験中のアンドロイド(1/6スケール)」くらいのリアリティを念頭に置いてディテールを調整したつもり。
 理想としては、「ほとんど手を加えていない、ただのアーキテクトのままのように見えるが、全体に自然な密度感とリアリティがあって、見応えが感じられるようにする」という形を目指した。つまり、元のキットの方向性に忠実で、追加工作部分を悪目立ちさせず、説得力を持たせられたらというスタンス。まあ、さすがに赤黒のケーブルは目立ちすぎたかもしれないけど。

 【 塗装 】:基本的にラッカー吹き付け塗装。
 ブラック(布地?):Tamiyaブラック(ツヤ消しにした)。
 グレー(装甲):Tamiya横須賀グレー。やや青めでクールな色合いにした。
 シルバー(頭髪):Vallejo「Silver」(新版)を筆塗り。リベットなどもシルバーで。
 レッド(フック):キャラクターレッド(+グレー少量)。
 ブルー(センサー等):Tamiya水性「青竹色」を筆塗り。
 足元や鎖:ツヤ消しブラック+クロムシルバー少量。
 襟元(フリル):Creos「クールホワイト」。
 塗装後に、ごく薄く希釈したエナメル塗料(ブラック)で全体を撫でて、陰影を強調した。また、頭髪はツヤ消しコーティングで、キラキラの輝きを抑えめにした。

 デカールは、MYK(アシタ)の「グッドマークデカール:コーションデカールNo. 02:アヴィエーションテイスト・英語表記#2(レッド&ネオンレッド)」を使った。サイズがちょうど良く、グレーの上でも発色の良いビビッドレッドで、同じマークが大量にプリントされているので、たいへん使い勝手が良かった。


全身像。ブラック/グレーだけでは物足りないので、各部に赤色パーツを入れて彩りを増すようにした(フック、ケーブル、コーションマーク)。アンテナも、メカキャラとして是非とも使いたかったポイント。靴部分が別パーツになっていたので、メタルカラー(ブラック+クロムシルバー)で、重量感と異素材感をちょっとだけ味付けした。しかし基本的なシルエットは、ほぼキットそのまま。
斜め前と、背面からの撮影。前面は丸モールド(ボルト表現)を徹底的に隠してディテールアップしたが、背面はほぼそのままにしてある。「◎」モールドの大味っぷりはやはりきつい。3mm穴も5mm穴へ拡大されているが、3mm穴へのコネクタパーツがある。
ノーマルFAG版「アーキテクト(Off White Ver.)」と並べて。約2倍のサイズになる。パーツ構成は多少違っているが、基本的な造形はほぼそのままで変わり映えしなかったので、なんとか違いを出すように制作した。
設定画再現に必要な塗り分けはこのあたり。スカートのラインなどは、水性塗料「青竹色」を筆塗り。太腿のベルトは、設定画ではブラック単色だが、せっかくなのでグレーとシルバーで塗り分けた。特に脇の下の黒ラインは、塗り分けておくと引き締まると思う。
上半身のアップ。フックは非常に便利で、「緻密感」「立体感」「ミリタリー感(現場感)」「色彩感」などを手軽に表現できるのがありがたい。もちろん、様々な装備品を取り付けるアタッチメントそのものとしても使える。頭頂部ユニットは戦車パーツで適当にディテールアップした。
頭部を後ろ側から。合わせ目処理などはしていない。頭髪はファレホ(新版)シルバーで毛筋塗装を試みたが、メタルカラーは濃度変化で半透明にすることができないので、頭髪の柔らかさを表現するには不向き。ツヤ消しコーティングで誤魔化したが、ここは失敗だったかも。
頭部を右側から。何故か戦車のハッチを取り付けている珍造形だが、「なんとなく緻密さを感じさせる」ことを第一目的にしたので、大目に見ていただきたい。グリーンのセンサーはBANDAIの汎用パーツ。胸部や上腕の「田」の字ディテールは、航空機用のフレア/チャフディスペンサーを流用。
視線を合わせてみると……。机の上に立たせておくと、椅子や机の高さ次第では、頻繁に目が合うことになる。
やはり無表情キャラは、一人でぼんやりとアンテナ交信しているのがよく似合う。たぶん『雫』の月島瑠璃子さんや『ストライクウィッチーズ』のサーニャで広まったイメージ。
上半身全体をおおまかに撮影。各部のフックやコーションマーク(デカール)で、なんとか間延びを抑制したつもり。デカールは、塗装しなくても(?)様々な色を足せるのが助かる。汎用デカールは数量が多いので、多少失敗しても構わないし。
胴体のクローズアップ。追加装甲のリベットは、凸部分に筆塗りでシルバーを乗せている。ほとんど気づかないほどの違いだが、無意識にでもリベット造形の密度感や質感を感じ取ってもらえれば、という感じ。多重装甲による陰影作りもそこそこ上手く行ったかな。
脚部は、今回の作品の最大の見せどころにするつもりで手を掛けた。制作中は、まるでロボットプラモを作っているような気分になった……いや、それで正しいのか? ここも基本的には、戦車パーツとフックを適当にあしらってデコレートした。
アンダーウェアは、グレーからブラックに塗り替えて目立たないようにした。配線ケーブルはやや作為的だが、実験機らしい強引さということにしておく。チェーンも、機能的には意味不明だが、メカっぽさの記号として取り付けた。足首は、無印FAG版と同じく、足の甲が引っかかって可動を大きく阻害している。
ここも、背面はほとんど触っていない。四角形のハッチ状パーツは、Kotobukiyaの汎用パーツから。今度は関節部の丸一モールドが悪目立ちしているが、誤魔化しにくい位置にあるし、色変えでもどうにも出来ないので、そのままにしてある。
ノーマルFAGとグランデ版を同じサイズにして並べてみる。全体のプロポーションもパーツ間バランスも、ほぼまったく同じだったというのが見て取れるだろう。