2018/06/09

KOTOBUKIYA「グライフェン」制作雑記

  「フレームアームズ」シリーズのキット「グライフェン」の制作雑記。
  主として設定上の塗装を再現するためのメモ。


  【 設定準拠の塗装メモ 】

  FA版グライフェンの塗装メモ。設定画および塗装見本のようなカラーリングにするには、以下の箇所を塗装する必要があると思われる。
- 側頭部と、顎のパイプ:A1-8, A1-12:グレー(※グリーンとの塗り分けが必要)
- 胸部ユニット(窪んだところなど):A2-31, A2-32:グレー
- 背面ユニットの側面:A1-7, A1-11:グレー?(※設定画のみ。塗装見本はグリーンのまま)
- 肩パイプ:E2, E3:グリーンとグレーの2色に(※設定画のみ。塗装見本はグレー1色)
- 左肩のライン:B2-23, B2-24, B1-4:ホワイト(※完成見本のみ。設定画は無地)
- ジェットのフィン:A1-2(おそらくA1-3, A1-5も):グレー
- 前腕の手首寄りの丸部分:B1-2, B1-3:グレー
- 手の甲:V1, V11, V13:グリーン
- 背面ジェットユニットのパイプ:B2-18, B2-22:グレー
- 背面ジェットユニットのライン:B2-18, B2-22:ホワイト(※完成見本のみ。設定画は無地)
- 股間正面のライト?:A2-21:ホワイト
- 股間の側面(窪んだところ):A2-26, A2-29:グレー
- 太腿上端のベルト(?)部分:A2-24, A2-27, A2-30, A2-33:グレー
- 膝の関節部分:フレーム膝関節、C6, C7:グリーン
- 脚部と腕部のサブアーム爪:B1-12:グレー
- 爪先:B2-21:グレー
- ランチャー先端部:G10:グレー(※設定画のみ。塗装見本は全体が同じ色)
- 各部スミ入れ

  設定画と塗装見本は多少異なっている。また、設定画では、とりわけグレーの部分が複数の色に塗り分けられている。ただし、これは造形や構造を誤解なく伝えるための便宜的なものである可能性があるので、単色で塗装してもよいかと思われる。もちろん、複数のグレーを使って忠実に塗り分ければ、それはそれで細やかで彩りのあるものになるだろう。

  塗装が難しいのは、側頭部の塗り分けだろう。マスキングしづらいのでグリーン塗装→マスキングしてグレー塗装→マスキングしてグリーン塗装という手順が必要になる。その下(顎部)のパイプも、ちょっと難しい。せめてここは別パーツ化しておいてくれれば……。
  塗装を簡略化する場合でも、手の甲と、サブアームの爪、顎のパイプ、ジェットユニットのパイプくらいは塗り分けておくと、見映えが良くなるかと思う。股間のライト(?)も、適当なクリアカラーのパーツを貼り付けておくとリアリティが増すだろう。頭部のライトは、あらかじめ塗装済みになっているし、バイザーの奥にあってあまり目立たないので、そのままでも良いだろう。
  いずれにしても、ウェルドラインの靄が多少目立つので、少なくともグリーンの外装部分は全塗装した方がよいと思う。成形素材はほとんどがPS製で、DランナーのみABS製(サブアーム展開用の伸縮部分)。

  グリーンは、インストの指示ではホワイト、ルマングリーン、オリーブドラブなどを混ぜるとしているが、市販ラッカー塗料では「ガンダムカラー:MSグリーン」がかなり近い。プラ成形色よりも微妙に色が濃いが、このくらいの方が重々しさがあって良いかと思う。あるいは、彩度を低めにしたいならば、「Mr.Color:灰緑色」を使ってもよいかもしれない。あるいは、入手機会がやや限定されるが、「Mr.Color特色セット:日本海軍・日本船舶迷彩色:外舷22号色」も、おおむね成形色に近い色合いになりそうだ。

  グレーの部分は、インストではホワイトとマホガニーなどを混ぜた色が指定されている。ABS製のDランナーを塗装しないならば、それの成形色と色を合わせるようにする方がよい。グレーにマホガニーを少量混ぜると、かなり成形色に近い感じになる。
  若葉のようなライトグリーンに、シックなマホガニーとは、なんだか樹木のようなカラーリングで面白い。ちなみに、ガール版では、マホガニーの代わりに、明るいローシェンナを多用している(革ベルトや各部のスミ入れ)。

  各部のパイプは、黒鉄色にした。光の反射が無ければ、グレーに近い色合いに見える。

  こうして見比べてみると、FAグライフェンとグライフェンガールは、全体のおおまかな印象はたしかに共通しているものの、ディテールはまるで別物のように変わっている。



  【 ちょっとした感想 】

  軽く全塗装で完成させたけど、キットの出来は今一つかなあ。脚部の関節構造が特殊なせいもあって自立が難しいし、胸部や背面に大きなユニットを付けているので可動範囲も極端に狭いし、合わせ目の処理もやりにくいものが多い。共通フレームの肩が緩くてポージングが決まらない。特に両腕は、サブアームのせいでまっすぐ伸ばせないし、背面ジェットユニットに干渉するので真下に延ばすこともできない。
  ただし、サブアームの構造はきちんしていて、それなりのプレイバリューがある。例えば、ガンプラのGP-03S(MG版)のフォールディングアームよりも出来は良いと思う。また、全体の造形が意欲的であることは評価すべきだろう。嵌め合わせキットなので、接着剤無しで完成させられる。
  グライフェンガールの予習のつもりで手掛けてみたが、いささか不満の残るキットだった。


  いろいろな角度から見たり動かしたりしているうちに、なんだか好きになってきた。サブアームをたくさん持っているわりに脚部は危なっかしいという、器用なんだか不器用なんだか分からないところも。生真面目な作業機械らしさと、とぼけた雰囲気の取り合わせも。野暮ったいようでいて、優れた機能性を感じさせる造形も。グリーン基調の穏やかなカラーリングも。そして、戦闘メカっぽくないところも(――人間が乗り込んで操縦するロボットというよりも、自律動作するAIロボットのようだ)。他のロボットではなかなか味わえない個性だ。


  【 完成写真 】

  とりあえず、あっさりと半日で全塗装完成させたので、各部写真をば。ただし、スミ入れなどやウェザリングはまだ掛けていないし、それどころか合わせ目処理すらしていない。

左はキットのランナー。右のパーツは、「ガンダムカラー:MSグリーン」で塗装したもの。見てのとおり、「MSグリーン」の方が彩度が高く、完成見本と比べてわずかに沈んだ印象になる。
側頭部は、キットのままだとグリーン単色なので、塗り分けの手間が掛かる。また、胸部正面のタンク(?)ユニットも、グレーで塗装する必要のある部分が何箇所かある。手首付近の大きな丸モールドは、塗装しておくと良いアクセントになるだろう。股関節のあたりにも塗り分けが。
股間部分のライトは造形が単純だったので、BANDAIの「Builders parts HD:ノンスケール MSサイトレンズ01(イエロー)」を取り付けてみた。このままだと出っ張りがやや目立つが、適当に削って薄くすることもできる。
背面。顎下のパイプは、後頭部まで回り込んでいる。両肩の上を走るパイプは、設定画では途中にグリーンのラインが入っている。背面タンクの側面は、設定画ではグレーに塗り分けている。サブアームの爪も、グレーに塗っておくと良いアイキャッチになる。
太腿の裏側に装着されるジェットユニットも、フィン部分は別色に塗り分けておくのが自然だろう。ただし、マスキングが少々面倒だが。股関節付近の蛇腹状モールドも、グレーに塗っておく方が、造形上の説得力が高まる。膝関節もグリーンの筈だが、塗り忘れた。
ジェットユニットと太腿部分を逆側から。ジェットユニットのパイプ部分は、正面から見た時にチラリと見えるので、別色に塗っておくのが良いと思う。また、インストの完成見本のように白いラインを入れておくのも面白いだろう。なお、膝は90度ほどしか曲がらない。
爪先(写真上側)やサブアーム(写真下側)は、グレーで別色にしておく。サブアームは両腕にもあるので、全体で4本ある。爪先の上側(B2-15)を、試しにピンバイスで開口してみたが、これならいっそ上の円柱部分までグレーに塗っても良かったかも。

  【 スミ入れ後の状態 】

エナメル塗料のダークグリーンで簡単にスミ入れ&ウェザリングもどきをして、ひとまず完成とした。
全身写真。頭部を覆うバイザー、両肩のジェットユニット、腕のサブアーム、折れ曲がった脚部と、見どころは多い。
前腕と向こう脛のサブアームを展開した状態。普段は折り畳まれて、腕と脚に一体化している。サブアームのグレー部分はABS製なので、保持力はそれなりに確保されている。ただし、肝心のアーキテクト部分(共通骨格)部分が致命的に緩いのだが。
腕のサブアームは、肩と腰のジェットユニットに激しく干渉する。そのため、サブアームを折り畳んだ状態では、腕全体をまっすぐ伸ばしたり真下に伸ばしたりすることができない。
正面から。特に足首関節の弱さは補強しづらいが、脚部を内股気味にして立たせると、自立時に安定しやすい。もちろん、ディスプレイベース等を使うならば、関節部の負荷を気にせず、自由なポージングに出来る。
以前制作した「ウェアウルフ・スペクター」と並べて。共通フレームを使っているためもあり、頭頂高や腰の高さはほぼ同じだが、全体のバランスは大きく異なる。