2026年4月の新作アニメ感想(※タイトル五十音順)。
さしあたりクオリティ評価を点数としてつけてみる。
●『淡島百景』
淡島千景氏サイドに筋は通しているのだろうか……というのはともかく、映像はあまり面白くない。心象風景を多用したオムニバスになるようだが、シーンのつながりが悪くて散漫に見えるし、そのためイメージ映像も唐突感が強く、空転してしまっている。演出それ自体もけっして上手くないし、アニメーションとしての動かし方も、表現上の意味づけと結びつかないままフワフワ動くばかり。時折現れる、●●の黒目表現も(おそらく原作漫画由来だが)、アニメでやると非常に安っぽく見える。淡彩の絵柄それ自体は個性的で興味深いのだが……。声優陣は実力派の顔触れなのに、芝居もぼんやりしている。60点。一応、第2話までは視聴してみるつもりだが、ほとんど期待していない。
●『一畳間まんきつ』
第1話を視聴してみたが、予想どおりのnot for meだった。萌え四コマ原作らしく、小ネタがバラバラに並べられているだけでつながりが弱いし、四コマギャグのフォーマットに特化した突飛な性格のキャラたちが漫才トークをしているだけなので映像的な面白味も無い(※きらら系アニメ化作品の中でも、映像クオリティはかなり低い部類だろう)。キャストはわりと良いのだが、それだけではさすがに無理。
●『上伊那ぼたん』
第1話。百合作品にありがちな、妙に肉食気質な距離感の近さや、ストーリー展開の強引さが出ており、ちょっと苦手。ただ、アバンタイトルのオフショット的なレイアウトが続くならば、視聴してもよいかも。絵柄と着彩は、こちらも淡彩寄り。OP/EDはわりと好み。60点。第2話までは観てみる。
第2話。先に述べたとおり、唐突に挿入される押しつけがましい百合ネタが、個人的には非常に鬱陶しいが、ジャンルの性質上、仕方ないのだろうか。Aパートはかなり退屈だったのに対して、Bパートの戸外散策編は美しいカットが多いが、静止画寄りの美であってアニメーションとしての妙味は薄い。ただし、人体描写については、しなを作る動きに色気があるのは、さすが百合作品と言うべきか。遠景キャラのかんたん作画は、べつに構わないし(いかにも吉成氏デザインらしい)、クローズアップもかなり明確な(やや崩してでもニュアンスを強調するような)表情づけをしている。このあたりの割り切りは面白い。
今回の金髪ロングキャラ(北杜やえか)は、富田美憂っぽいと思ったら確かに富田氏だった。Aパートの店員役は茅野氏、後半の店長は花澤氏。10年代までの花澤氏は、何を表現したいのかが掴めずにかなり苦手だったが、近年の芝居はシンプルに心地良い手応え(聴き応え)を感じさせてくれる。
ED映像は、毎回変わるのかな。本編で描かれなかった内容をそっと補充するような趣向で、なかなか気が利いている。
今回のAパートは50点、Bパートは70点といった感じで、場面ごとの演出の得手不得手の落差が大きい。今後、視聴するかどうかは、うーん……。
●『カナン様はあくまでチョロい』
第1話。視聴予定していたタイトルがいずれも不満だったので、こちらも視聴してみた。タイトルどおり、主人公の空回りや慌てぶりを楽しむコメディで、わりと面白かった。ネタそのものはチープな下ネタなのだが、ひたすらショートコントだけを高速連打する風景がなかなかユニーク。主演がもうちょっと上手かったらと思うが、なんとか許容範囲内。60点。
それにしても、サブタイトル「カナチョロ」はずるい。タイトルだけで微笑ましく好感度が上がってしまう(※ニホンカナヘビの地域的呼称)。
第2話。イージーな作りで、不出来な点を挙げればきりが無いのだが、ヒロインは可愛らしいし、ノンストップなコメディ釣瓶打ちのスピード感も心地良いので、ぎりぎり60点。
褐色メイド役は河瀬茉希氏。朴訥なようでいて表情豊かな、存在感のある芝居をされている。
●『神の庭付き楠木邸』
第1話。他の新作アニメがいずれも期待外れだったので、こちらを観てみた。予想の範疇を超えない出来。無自覚最強キャラの日常といったコンセプトが俗っぽいし、陰陽師キャラのオーバーアクションがややくどいが、精霊キャラたちは可愛らしいし、悪霊バトルシーンの動きが非常に良い。ED(OP?)映像の風景描写も情趣がある。シチュエーションが好みに合うならば楽しめるのだろうけど……。60点。ただ、同じパターンのままだとすぐに飽きそう。
第2話。『のんびり農家』路線に近いコンセプトなのか。すなわち、主人公がたまたま獲得している特殊能力が、強力な超自然的存在たちにとってありがたいものであったため、かれらがどんどん身近に集まってきて箱庭コミュニティを作り、そしてかれらと助力(加護)を得て主人公の生活はスムーズに進んでいく、というご都合主義的な互恵状況のスローライフものという意味で。異世界にこそ行かないものの、同根のアプローチと言える。俗っぽさも同じ。55点。続きを観るかどうかは……。
この第2話は、作画や演出は平凡なものになっているが、可愛らしい貂のトリオのおかげでなんとか間を保たせている。バトルシーンもたいして動かない。ただし、霊的存在たちのキャストがやたら豪華なのに驚かされる。
●『こめかみっガールズ』
第1話……作りがイージーすぎる。コンテはちっとも美しくないし、脚本も安っぽくて暑苦しいコメディだし、口パクがずれまくっている(つまりリップシンクが出来ていない)のも気になる。開始10分で止めた。せっかくのオリジナルアニメなのに、もったいない。30点。
●『鑑定士(仮)』
第1話。クオリティは、ぎりぎり中の下くらいはある。珍しいことに、作画は完全国内制作のようだ(※アニメーション制作はスタジオフラッド)。金元氏演じる16歳ショタ主人公が可愛らしいし、ひとまず視聴継続してよさそう。ただし、バストのボタンが頻繁に弾け飛ぶのはさすがにどうかと思うが。60点。
第2話。妙なノリだが、キャスト陣が抜群に安定しているので聴きごたえがある。サポート音声役の田村ゆかり氏も精密な芝居。作画班に関しては、この回は海外スタッフも入っている。60点の低空飛行だが、声優陣のしっかりした芝居に救われている。60点の低空飛行。
●『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』
第1話。他のアニメが今一つだったので視聴してみた。意外性があってなかなか面白いし、トーンも一貫している。BGMにリードさせつつ、見せどころの転換も巧みに構成している。したたかなショタ王子主人公も可愛い。ただし、全体としては低予算クオリティだし、富田氏の芝居も、あと2段階は上の出来映えを作れる筈なのだが……。65点。
今後の時間経過、つまりかれらの年齢はどうなっていくのだろう。ショタのままだとありがたい。
第2話。動きのない着座会話シーンなどでかなり尺を稼いでいるが、そのおかげもあってか絵のクオリティは維持されており、スタティックな画面進行の中で物語に集中できるし、それと同時にヒロインの力強い存在感とのコントラストにもなっている。そしてヒロイン役の富田氏も、役がハマってきた。60点。
●『春夏秋冬代行者』
第1話は、まずまずの出来。劇伴は趣があるし、風景も良い。ただし、絵コンテのレイアウトは、大きすぎる顔アップの頻出と、単調な真横のロングショットの落差が極端だし、脚本も間断なく喋らせすぎの弊がある。また、今回のクライマックスの春の現出シーンも、風景が一変する面白味や春の雰囲気があまり表現できておらず、いささか肩透かし。
四季それぞれを司る巫女のような存在という設定は、かなりベタなアイデアだし、それでいてこの第1話では、「何をするためにいるのか」「この儀式は社会的にどのように位置づけられているのか」が見て取れないままになっている(※世間的にはよく知られているようだが、しかしまるで知らない人もいるし、儀式が公的な重要性を持っているのか、それともカジュアルに行なってよいものなのかもブレているように見える。それに、「春夏秋冬」という単語を知っているのに「春」を知らないというのも、作為的すぎて説得力に欠ける)。ただ、その背後に激しい苦闘や争いがあることが示唆されており、それらがどこまで掘り下げられるかによってストーリー評価も変わるだろう。全体として、悪くはないけれど、期待したほどでもない。65点。
キャストについては、ひとまず良い感じ。従者キャラの青山吉能氏は力の籠もった芝居だし、けなげに生きる少女キャラの東山氏も情動の表現が良い。
第2話。建築物の存在感やBGMの強烈な軋みなど、良いところもあった。しかし顔アップ連発の絵コンテは退屈だし、ギャグ顔もミスマッチ。さらにストーリーも、いきなりインスタントに悲劇設定の長広舌を振るわれてもシラけるだけで情趣が無く、ただ悲劇作りの作為性が目立つだけに終わっている。上手くない。物語世界もまだ確立されていない第2話で、ぽっと出のキャラクターたちがいきなり、「私たちはこんなことで苦しんでいるんだよ!」といった設定トークを八つ当たりめいて延々叫ばれても困る。結局のところ、こういうナルシストめいた作為的悲劇はとにかく致命的に私の性に合わない。じめ
それにしても、今期のEDムービーで、上下に黒帯(レターボックス)を入れるものがやたら多いのは何の偶然だろうか。
従者役の青山吉能氏は、切羽詰まった心情をたっぷり込めた力強い芝居。ただし、ところどころ台詞が急ぎ気味だったが、これは台本構成サイドの問題だろう。夏の代行者は上坂氏。なるほど、こういう芝居をされる方なのか。ただし、今回は苛立ち台詞を延々連呼するばかりの脚本なのがもったいない。
洋館の雰囲気を初めとして、作画パートは頑張っている。ただただ、脚本と絵コンテと演出が悪い。視聴継続するかどうかはギリギリ。60点。
●『スノウボールアース』
第1話は、プロローグ的位置づけで、かなり無理のある展開が続き、コメディ表情もくどいが、映像全体としてはわりと楽しめた。3D作画もうまく馴染んでいる。無重力空間で頭髪が柔らかく浮いているあたりも面白い。70点。第2話以降の本編ストーリーはまともになってくれればよいが……。
しかし不満点も非常に多い。SFとしては恣意的な展開ばかりだし、ドラマとしては心情や人間関係の掘り下げが浅すぎるし、展開もどこかで見たようなもののパロディ(未満)ばかりだし、視覚表現としても空転している箇所が散見されるし(例えば、主人公たちの会話中は宇宙怪獣たちが攻撃せずに浮いているだけで全然攻撃してこない)……まるで再視聴したいと思えない出来だが、今後の展開はどうなるのだろうか。ひとまず小清水氏のキャラが出てくるまでは視聴するつもり。
第2話は見逃してしまったので第3話を視聴。……見せ方が下手。モンスターが目に前で暴れている筈なのに棒立ちで延々思考する(その間、周囲のモブたちも棒立ちで固まっていて逃げもしない)といったような、時間芸術としてのコントロールが破綻した素人じみた映像になっている。これが漫画であれば、コマ組みによって瞬間的な出来事として流せるように作ることもできたのだろうけど、アニメとしてただベッタリ再現するだけでは、スピード感も緊張感もすべて死んで、もっさりした駄目映像になってしまう。スローモーション演出も、使いどころを間違っている。さらに、劇的な瞬間から唐突に「数分前」の説明的回想を挿入して、また直前のシーンに戻ってやり直すという見せ方も拙劣極まりないし、3Dベースの作画も迫力に欠ける(※例えば、回り込みカメラも、ただ回せるから回しているだけで、そのヌメッとした動きに演出的な意味を作り出せていない)。変顔多用も下品。モンスターの巨大感だけはよく伝わってくるし、小清水氏のキャラも良さそうだし、寒冷化地球の風景も面白くはあるが、それだけでは……。というわけでさよなら。60点。
作画そのものは悪くない。ストーリーも、きちんと整理すればスリリングなものになっただろうし、声優陣も力演を披露してくれている。変顔を通した作監と、冗長な絵コンテと、それらをリファインできなかった演出が悪すぎたと言うしかない(※上記『春夏秋冬』と同じタイプの失敗を犯している)。
●『姫騎士は蛮族の嫁』
第1話。つまらない……。シチュエーション設定から映像や台詞回しの面白味は、いくらでも引き出せた筈なのに、見せ方が退屈すぎ、陳腐すぎた。3Dパーツが浮いているのもあるし、剣戟シーンも迫力に欠ける。輪郭線の太い画風は、アニメとしてはなかなか特徴的なのだが、それも垢抜けない鈍重さに映る(※荒々しい力強さを表現するなら、もっとペンタッチに反映させるべきだ)。第1話の時点で、シリアスなのかギャグなのかすらはっきりしないのは(後者寄りだとは思うが)拙劣と言わざるを得ない。声優陣の芝居も、まるで何かに急かされているかのように落ち着きが無い。50点。
第2話。作品のコンセプトは理解できる。「くっ殺」路線の空転ヒロインを、異文化接触シチュエーションとして扱い、さらに田園風景の魅力で味付けするというのは、上手い組み合わせだと思う(※今期だと『カナン様』も同じく空転キャラだし、『クレバテス』なども同じ趣向だ。山間部の豊かさのイメージは、今期では『楠木邸』にも相通じる)。言い換えれば、キャラの面白さ+状況の面白さ+視覚的な面白さがすべて保証されている。その意味で、原作のアプローチはとても上手いところを突いている。
とはいえ、今のところは人間関係が狭すぎるし、(エロ)コメディのネタもかなり陳腐だ。主演の鈴代氏はこの作品でも良い芝居をされているが、作品全体がマンネリに陥らずにいられるかどうかは分からない。映像面では、ややダルいところもあるが、森山の深さと川の瑞々しい雰囲気は十分に表現されている。評価は好転して60点。とりあえず、飽きるまでは視聴していく。
某ダンチものも開いてみたら、5分アニメなのか。尺をコンパクトに切り詰めている分、映像としては意外にまともで、怪しいパープル基調の色彩設計もちょっと面白かった。