2026年10月の新作アニメ感想。
暫定評価は、『ダンデヴァイン』50点、『ゾンビ』75点、『Dark Machine』65点、『ひた隠す』70点、『剣でした』75点、『とある暗部』70点、『惚れ薬を依頼された』75点、『目覚めたら最強装備と宇宙船持ち』65点、『野生のラスボス』65点。予想以上に、上手くまとまった良作が多そうで何よりだが、ストーリー面ではマンネリ傾向も感じる。
あとは『dreamland』も観てみるかも。『ロメリア』は、うーん、どうしようかな。
●『獣王武神ダンデヴァイン』(※オリジナル作品)
第1話。ひどすぎるわけではないが、良いところも全然無い。うーん。怪獣たちの設定も不明なままだし、玩具メーカーのパートも浅薄なうえパワハラ満載だし、「普通」モティーフもまるで活用されてこないし、シーンのつながりも悪くて散漫。この第1話の範囲では、ただ全方位に薄くて、SFでもないしギャグやパロディでもなく、シリアスでもなく熱血でもなく、恋愛系でもないしバトル系とも言いがたい。ライデンフィルムはちょうど夏シーズンの『キャラメリゼ』でも巨大怪獣ものを扱っていて、そちらではスケール感や遠近法的演出が抜群に優れていたのだが、それと比べてこちらは……(※エンドロールを見るかぎりでは、制作の大半は曹監督と中国スタッフに任せっきりのようだ)。脚本面で見ても説明台詞だらけだし、音響面もまるで昔のゲームのような硬直的な付け方で、面白味が無い。
キャストだけは良くて、ヒロインが白石氏、三悪魔(?)のピンクが東山氏+イエローが久野氏、さらに黒幕(?)が井上喜久子氏、主人公の母親には中原氏。
せっかくのオリジナルSF(?)アニメなので、ひとまずは我慢して視聴継続するつもりだけど……。
第2話。砂を噛むような、このつまらなさはいったい……。キャラの目が死んでいて表情が無いし、カットつなぎもおかしいし、場面転換も滅茶苦茶だし、わざわざ訪問相手がトイレにいるときに話しかけるし、心理描写も全然つながっていないし、出撃バンクのあからさまな尺稼ぎは現代アニメではつら過ぎるし、ヒロインが戦闘に巻き込まれたことにも(少なくとも現時点では)何の示唆も無いし、挙げ句は声優までもが「職人気質(かたぎ)」を「気質(きしつ)」と発音しているし……。良いところが何も無くて、ただただ視聴時間が苦痛と退屈に浸されている。
●『ゾンビさがしてます』
第1話。シチュエーションとシナリオはあまりにも陳腐で退嬰的だし、声優陣の芝居も今一つだが、元気よくアニメーションさせている映像は楽しい。クラシカルな残像式中割によって、運動表現の勢いと感触を表現しつつ、ところどころに外連味のあるレイアウトを使って劇的なシーンを上手く作り出している。作画枚数もわりと多そうな感じ。今回の絵コンテ&演出は、宇根信也監督自身による。
小市氏のキャラもいずれ登場するようだし、ひとまず飽きるまでは視聴継続する予定。薄着主人公の頻繁なヘソ露出も、ちょっと物珍しい。
しかし、現代文明を知らなかったキャラクターたちが、たかが廃ホームセンターの品揃えに感動するのは、あまりにもみみっちくて少々悲しくなる。こういう描写はけっして好きではない。
第2話は、日笠ヴォイスのゲストキャラが登場。ゾンビに噛まれた者との切ない別離を正面から描くのは、なかなか意欲的。映像面では、BGMを極端に減らして、不気味な予感と非現実的な浮遊感を演出しつつ、クライマックスまでじっくり引っ張っていく。絵柄は一見シンプルなようでいて、情趣のある作品世界をきちんと作り出している(※ただし、ギャグ演出の見せ方だけは面白くない。たぶん機械的に漫画を模倣してしまっている)。絵コンテは、今回も宇根監督自身。
花火のくだりは、原作には存在しない、アニメ版独自のシーン。噛まれた人間はもう救えない=湿気った花火はもう輝かないという、悲哀感の暗示的演出も良いし、こうした描写をさらりと取り込んでいるところに、アニメ版スタッフの志操と意欲と努力が見て取れる。これなら今後の話数も、信頼して付いていって大丈夫だろう。
それにしても、ムチムチだなあ……。
●『Dark Machine』(※オリジナル作品)
第1話。うーん……つまらない。いかにもI.G.っぽく格好を付けているのだが、キャラクターの心情が空虚だし、映像的な抑揚も乏しく、脚本も陳腐で茶番的な没入型対戦ゲームもの(eスポーツ風)。今回のバトルシーンでも、ロボットの巨大化が映像的に分かりづらい(サイズ感の視覚的表現が欠けている)し、巨大化の効果もまるで分からないままなのでドラマとしてのまったく機能していない。以前の『メビウスダスト』の二の舞になってしまいそうだ。
映像(絵コンテ)も駄目、脚本も駄目。作画も3D任せで、たいして動かない。うーん……ひどくはないが、あまりにも退屈な出来でガッカリした。要するに、見せ方が下手(演出が拙劣)という一番虚しいタイプ。キャストだけは良いのだが、沢城氏もこういうトリックスター的な役柄を任せるには真面目すぎるし、イサナ役の会沢氏も芝居が薄い。ブラン役の杉山里穂氏の出番が多ければいいのだが……。
スラム街で船を爆破するという暴力的な手段を取っているわりに、eスポーツ対戦で負けたらすごすご引き下がるというのも、作劇の説得力を致命的に喪失している。対戦中のインターバルで次の戦術を口頭説明しているのに、そのすぐ隣に相手チームが座っているままというのも、状況設定のコントロールが利いていない。これは明らかに脚本家(鈴木たち)が悪い。
第1話にして完全に失望したが、せっかくのオリジナルアニメなので、もうしばらくは視聴を続ける。
●『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』
第1話。設定はいささか強引で、この第1話では回想シーンで描写をすっ飛ばしてしまっているが、主人公キャラの意志は把握できるし、森の中の不吉な雰囲気など、要所でニュアンスに満ちた映像表現を展開している。作画コストはせいぜい下の上くらいだと思われるが、絵の見せ方は意外なほど充実している。このペースで維持していってくれたら十分な出来。絵コンテは牧野友映監督。演出は副監督の村田尚樹氏と、堀川和人氏の連名。
主演は若山氏。良いところもあるけど、薄いところも多く、あまり好みではない。基本的にノリで演じているようで、キャラの雰囲気にハマったときは魅力的なのだが、台詞の解釈が浅いのでこうした説明的な台詞の多いキャラでは言葉が上滑りして退屈になる。姉キャラは上坂氏。黒竜は、少年寄りの優しい声色なのがユニーク(※演じているのは徳留慎乃佑氏)。
回想シーンでは画面アスペクト比が変わる(左右に黒帯が入る。たぶん4:3レイアウト)というのはちょっと面白い。
第2話。映像面では、やけに良いカットがある。キャラの表情も個性的だし、レイアウトも上手いところがあり、剣戟シーンも折り目正しい2D作画でかなり迫力がある。今回の絵コンテは、超ベテランの辻初樹氏、演出は白石道太氏。
しかし、それだけに、主演の芝居が浮ついて空転しているのが辛い。大雑把な雰囲気だけで演じているのか、流れ任せの大味な演技で、台詞ごとの感情の機微が出てこない。若山氏は、良いときもあるのだが、ここではそのスタイルの悪いところがもろに前面に出てしまっている。つまり、トーンを決めてただ声を出しているだけで、一つ一つの言葉に対する意味づけがまるで欠けている。要するに、小回りが利かない。それに対して、明確で強い感情表現のある台詞であれば、そのムードを鮮やかに表出することもできるし、あるいは、幼児キャラのようにテクニカルな芝居が求められる場合には、「自然な」「生っぽい」スタイルを外さざるを得ないので言葉の細部を丁寧に構築することになるし、そういう技巧的な構築作業が出来る役者でもあるのだが……。
第3話。やはり、びっくりするくらい上手い。動画表現はきちんと神経の通った作りで、バトルシーンも迫力があるし、静かなシーンにも情緒があるし、キャラクターの表情にも明確な個性がある。脚本と台詞回しもユニークで魅力があるし、転生した聖女としての矜恃と責任感という精神性の描写も実に良い。今回はEDをカットした長尺ストーリーになっているが、息を詰めて24分間を視聴した。絵コンテは、これまた超ベテランの殿勝秀樹氏、演出は濱田翔氏。
(それだけに、主演の上滑りした芝居だけがもったいない……。コミカルなシーンは良いのだが、それ以外の場面では皮相的な演技しかしていない。)
●『転生したら剣でした』(第2期)
第1話は、やたらスムーズに話を進めて、さっそく浮遊島へ突入した。バトルシーンは躍動感があり、見えるか見えないかの瞬間的なコマに凄い表情のカットを入れていたりする。ただし、会話シーンは妙に説明的で凡庸なレイアウトもあるが、まあ仕方ない。第1期では石平監督自身が過半数の話数で絵コンテを担当しており、今回の第1話も石平氏のコンテ(※演出は副監督の清水一伸氏)。OPのクレジットでは、「アクションディレクター」として4人ものスタッフが挙げられているので、バトルシーンの動きはかなり期待できそう(砂金梨乃氏、西野武士氏、酒井智史氏、新田駿也氏)。
OPの絵を見るに、その次の海洋国家編まで描いてくれそう。あの劇的なドラマを映像化してくれるのは嬉しいが、あまり話を急がず、ちゃんと情趣のある描き方をしてほしい。
冒頭に登場する無名の少年は、井澤氏が演じている。三木氏の切れ味のよい芝居ぶりも相変わらず。しかし、黒猫少女役の加隈氏は、うーん、小柄キャラを演じているから声量が出ないというのは分かるけど、そうだとしても存在感が薄すぎる。
第2話。飛ばすところは搔い摘まんでスキップしつつ、バトルシーンは駆け回るスピード感と複合攻撃の立体感を巧みに演出している。漫画版でリファインされた構成を、さらに映像的に再整理しているのが見て取れる。そして井澤氏の怪演も健在で、アンデッドショタという尖ったキャラをも魅力的に見せている。ケルト風+ロックのバトルBGMも良い。
●『とある暗部の少女共棲』
第1話。シリーズものの一部だが、きちんと読む(視聴する)のはほぼ初めて。高度研究学園都市という設定がいかにも「00年代の考える華やかな未来世界」で、懐かしくも微笑ましい。ドラマ部分は、謎の上司に指示されて活動する闇の粛清組織(?)という、これまた00年代風の設定。チンピラ悪役を殺戮してハッピーエンドにするあっけらかんとしたところも同じく。もちろんアクションシーンやキャラ芝居は20年代テイストにしっかりチューニングしている(※動画クオリティそれ自体はミドルレベルで、それほど動いているわけではない)。新人キャラの絹旗は菱川氏……かと思いきや、赤﨑氏だった。意外と似て…る?
第2話。やはり00年代異能バトルものの軽薄で傲慢で残虐な雰囲気と、「結局~なわけよ」をひたすら連呼する口癖キャラのしつこさが、早くもつらい(内田氏の芝居も、悪くはないが、深みも無い)。絵作りそのものは良く出来ているのだが……。
●『好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です』
第1話。びっくりするくらい出来が良かった。魔女の邸内の暗がりと、小物類いの充実したディテール、そして質感のある塗り、さらに扉前を初めとする印象的なレイアウト、そして台詞回しもレトリカルに気が利いている。静かな湖畔の風景と、そのニュアンスに満ちた着彩も良い。絵コンテ&演出は、監督の草川啓造氏自身による。
内省的な少女の生活を描く短編として、この第1話だけで完結してしまっているのは、良いのか悪いのか……。ストーリーそれ自体は発展性が無さそうなので、どうなるかは分からない。「魔女は嘘をつけない」というのがギミックとして利いてきそうではあるが……。
第2話。今回も草川監督自身が絵コンテ&演出を手がけており、美術的スタイルはきれいに一貫している。登場人物が3人しかいない、ひたすらミニマルな湖畔の物語だが、小さくて不器用な内省と、それを取り巻く世界の静かな美しさが素晴らしい。印象に残る映像を、嫌味にならないように端正に展開している。
小松氏は、いまだによく分からない。訥々としたこのキャラクターの音声では、台詞の細部の掘り下げは控えめなのだが(そして彼女自身、典型的な声優養成での訓練は受けていないようなのだが)、キャラクターの中にナチュラルに生きた魂が宿っていくような不思議な感触がある。役者には、理知的に台本を掘り下げる「解釈」タイプと、役にのめり込んで没入する「憑依」タイプと、そして、何故か役の方から降りてくる「自然」タイプ(※プロ声優の中でもレア。もちろん役者本人が努力もしている)がいるというが、もしかしてこの3番目のタイプなのでは……。キャリア初期の『モーレツ』などでは、あまり褒められた演技ではなかったのだが、芯のある良い芝居をされるようになっている。
●『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので~』
第1話。プロローグは、スペオペものとして派手な動きを楽しく展開している。筋書きそれ自体は、宇宙版の異世界ファンタジーのようなもので、たいした面白味があるわけではないし、ネットスラング的な台詞も多いが、スナック感覚のアニメとしては悪くない出来。主演の古川氏を初めとして、キャスト陣も良い顔触れ。
「宇宙エルフ」というフレーズはなかなかのインパクト。今後も、このくらい面白く捻ったネタを出してくれたら嬉しい。
第2話。転生+チート+ハーレムの3つめの要素まで投入してきて、ある意味、正統派路線を快適に進んでいる。スペオペ風戦闘シーンも雰囲気が出ているし、洒落っ気もある。ストーリー進行は、ミニマルにおっとりしているようでいて、どんどん快速に進めているような雰囲気もある。
ミミ役の稲垣好氏は、『終末ツーリング』の主演だった方なのか。元気でツヤのある良い声だったが、今作のシャイなキャラ芝居では、まだピンと来ない。
●『野生のラスボスが現れた!』(2期)
通算第13話。砂漠を走る超巨大陸上戦艦に、味方メカキャラを模倣した量産型シリーズと、無節操なまでにロマンを追求しているのが楽しい。しかし、ストーリーは今のところ平板で、ネタに走りすぎており、作画も止め絵に頼って迫力に欠ける。キャラを増やしすぎる弊害も出てきそうで、先の展望はあまり芳しくない。今回登場のスコルピウス(たかはし氏)も、うーん、芝居は今一つ。
第14話。設定説明シーンが延々続く。バトルシーンの超高速台詞も、感情が籠もっていない(籠められる余地が無い)ので、つまらないだけ。
※以下は、試し視聴のみ、または、途中で視聴を止めた。
●『幻想水滸伝』
視聴を続けるつもりは無いが、第1話だけ再生してみた(2話分セットの50分)。映像面では、空間表現や小道具のディテールなど、きちんと作っているのが見て取れる。ただし、冒頭ゆえか型通りに説明的なシーンが続くし、視聴覚的なテンポも平板で、抑揚やリズム感が無い。
●『紫禁・御猫房』
第1話だけ、試しに視聴。キャラは3Dだが、2D背景と併用しつつダイナミックなカメラワークを上手く処理しているし、3Dならではの立体的な表現も効果的に使っている(とりわけ冒頭で、二人が切り結ぶカットなど)。
●『バーテックスフォース』(※オリジナル作品)
3Dキャラがきもい。骨格から動いていなくて、重量感や力感や慣性もなくて、ぐねぐね動いているだけ。しかも、2D背景で制約されるせいでカメラワーク演出も使えずにいる(あるいは安易な青空背景で動かすばかり。3Dモデリングの自由度を活用できていない)。表情も生硬に固まったまま動くのがマネキン的できつい。3Dキャラ作画の悪いところばかりが露呈していて、とても視聴に堪えない。回想シーンだけは2D作画のように見えるが、それがさらに落差を強調している。キャラデザそれ自体は良いのだが、モデリングされた最初の絵の繰り返しばかりになるので、「これ以上魅力的なものはもう出てこない」ということでもあり、その観点でも視聴を続ける意味が無い。作り置きで使い回しの3Dスパッツなど、何回見せられてもちっとも嬉しくならないだろう。後ろ髪がふわふわ浮いている(動いている)のも不気味。要するに、2020年代の3D作画の中でも質の低い部類で、どうして今時こんな代物を出してきたのかとガッカリするし、ましてやキャラの魅力を売りにする筈のコンテンツがその最重要の要素を自らスポイルしてしまっているのが悲しい。
個別の演出面では、メカのエンジン音(バイクのような音)が非常にしつこくてうるさい。
●『チート』
試しに視聴してみたが、演出がダサくて10分も保たずに切った。漫画版は最初の数冊まで読んでいて、コマ組みによるリズムやキャラ表情の濃さに面白味があったのだが、その絵だけをアニメ媒体でべったり再現されてもクドみが浮いてくるばかりで非常につまらない。ストーリー面では面白くなっていく筈だが、この映像演出のセンスは受け入れがたい。