2026/09/01

アニメ雑記(2026年9月)

 2026年9月の新作アニメ感想(※だいたい第9話以降)。
 『キャラメリゼ』(現時点での評価は80点)、『クレバテスII』(65点)、『グロウアップショウ』(70点)、『さよならララ』(85点)、『ジャードゥーガル』(80点)、『透明な夜』(70点)、『ふつつかな悪女』(70点)、『BLACK TORCH』(70点)の8本を視聴中。『手札が多め』は9話で完結した。

●『乙女怪獣キャラメリゼ』
 第9話。終盤に向けて、周囲の状況が動き始めたが、ここに来て重要そうな新キャラを2人も追加とは……。目撃者の少年は「米山」。そして俳優の「桂木」は、良い声だと思ったら山村響氏が演じていた。主人公カップルもそれぞれに変化があって、ずいぶん忙しい。演出面でも、爆発する水面の作画から、妹怪獣の巨大感と迫力を存分に見せるレイアウトまで、アニメ&特撮史のノウハウの蓄積を的確に活用していて見応えがある。
 初々しい恋愛感情と、平成少女漫画風のデフォルメ絵、そして怪獣スペクタクルが混じり合っていて、たいへん面白いのだが、同時にその満載っぷりに疲労感もある。

2026/08/18

2026年8月の雑記

 2026年8月の雑記。

 08/26(Wed)

 アニメ版『カムイさん』第8話で、ドリアードを演じている「桔梗」氏って誰だろう? 芝居を聴くかぎりでは、さぞや名のある声優さんであろうと思われ、声色だけでいうと海原エレナ氏に近い感じだけど、うーん、よく分からない。
 後藤麻衣氏が演じているのは、緑色ロングでビジネススーツ姿の鬼キャラ。


 【 和風ファンタジーのメモ 】
 和風ファンタジーの話は、以前にも書いたけど、1)現代ファンタジー、2)過去(近代以前)の史実ベースの伝奇、3)架空の和風世界のファンタジー、どれも存在する。
 1) 現代日本+異能ものは、少年漫画のドル箱と言ってもよいくらい大量にある(『デビルマン』以来の現代異能バトルもの)。一々挙げるまでもない。
 2) 歴史上の過去+超自然的要素は、忍者ものと陰陽師ものを初めとして、これまた大量に存在する。漫画(漫画化)だと『火の鳥』『百億の昼と千億の夜』から、今世紀に入っては『バジリスク』『鬼人幻燈火抄』『太陽と月の鋼』など。近年でも、女性向けジャンルに多数存在する(特に明治大正時代の異種族ロマンスや耽美オカルト、例えば『花燭の花嫁』『岩元先輩ノ推薦』など)。例えば九尾狐キャラも、数え切れないほど存在する。
 3) 架空の和風世界ファンタジーも、いわゆる「東方」世界の典型として頻繁に描かれる。完全に和風世界だけのタイトルでも、近年の『石神戦記』『竜送りのイサギ』など、人気作もいろいろ出ている。『辺境の薬師』にも、長大な和風国家パートがあった。アニメ分野では『陰陽廻天 Re:バース』『神統記』は、序盤で視聴を止めてしまったので中身は知らないけど。

 ゲーム分野でも、『大神』『SEKIRO』など、近時の人気タイトルにもいろいろある。海外製の『Ghost of Tsushima』にも、呪術という超自然的要素があるようだ(※未プレイ)。遡っても、『天外魔境』や『サクラ大戦』のようにシリーズ化したタイトルもある。むしろ00年代の沈滞(?)から和風ジャンルが大いに復興していると言ってもよいかもしれない。
 美少女PCゲームでも、『恋姫』『アトラク=ナクア』『うたわれるもの』の頃から始まって、『顔のない月』『九十九の奏』や『美少女万華鏡』『Nightmare』『神楽』シリーズのような大量の伝奇系タイトルがあり、現代異能バトルものの本格派『斬死刃留』や、幕末ファンタジー『機関幕末異聞 ラストキャバリエ』、過去転移ものの『戦国天使ジブリール』、日露戦争っぽいファンタジー世界の『亡国の戦姫』まで存在する。

 というわけで、SNSの垂れ流しで雑語りする前に、まずは事実(実例)をちゃんと渉猟してから展望に向かうべきなのだが……。モンスターはいなくてもいいけど、出そうと思えば妖怪(monster)はいくらでも出せるし。
 SNSの人たちは、本当にただ「点」(=ほんの少数の実例)を挙げるばかりの刹那的な話題乗りに浸かってしまっているのがなあ……。実例をつなげていくつかの分類をして、それらの特質の解釈を深めて、全体的な歴史展望と方法論的な枠組を結びつけるところまで行くのが本来は望ましい。つまり、点を繋げていくつもの線を作り、それらに厚みを与えて層を作り、さらに分野横断的な把握と経時的推移の視野を組み合わせた面を作り、そこから改めて個別作品を照射するための道具立ても作る(※私の上記の短い文章も、実例を挙げつつカテゴリー分類をして、それらに歴史的な広がりを与えるところまではなんとか述べている。ここからグループごとの系統立った分析に取り組もうとすると、書くべきことが十倍に膨れ上がってしまうので、手を出せていないけど)。


 そういえば、新井里美氏は『キルミーベイベー』のモブキャラなどを一手に引き受けていた方でもあるのか。近年では『nine』や『透明男』でも怪演を披露されていたが、『キルミー』の「あっさー」とか「ぬぷん……たぷん……」とかアイキャッチコールとかも、確かにこの声優さんならではのものだ……。何度も視聴していたのに、私の中で同一人物としてイコールで繋がっていなかった。


 例えば、「私がやるんだ」という台詞でも、「これはいずれ私がやることになるんだなあ」という場合と、「私こそがこれをやってやるぞ」という状況では、声優の芝居はまったく別ものになる。それぞれに強調すべきポイントが違っていなければいけない。とりわけ後者では、「私が」の部分に力を入れる(言葉を「立てる」)必要がある。
 しかし、後者の文脈の台詞なのに前者のようにぼんやりと発声するのは、まるで台本が理解できていない失敗演技だ。そういう拙劣な芝居しかできていない声優を、私は「大根」と呼んでいる。出演歴の華やかな人気声優の中にすら、残念ながらそういう手合いが何人もいるし、そういうのはしばしば声優雑誌の常連「アイドル」声優だったりするので、うんざりしている。
 これは声優個々人の問題だけではなくて、音響監督によるディレクション(修正)が利いていないということでもあるし、さらに遡って声優養成所のカリキュラムが有効に機能していないのではないかという疑念もあるし、ダンス練習などで声優たちに多大な時間を消費させるメディアミックス環境の負荷も悪影響を及ぼしている可能性がある。


 秋アニメのメモ。現時点で、85タイトルが掲載されている(※特撮や再放送は除く)。
 「2期」タイトルは17本、さらに3期以上や外伝ものが18本もあり、続編率41.1%は非常に高い。タイトル数は増えているのに……。これは、「当たったタイトルへの依存度が高まっている」とネガティヴに見るべきか、それとも「1期だけのやりっ放しではなく、長期的-計画的なコンテンツ展開が出来るようになってきた」とポジティヴに見るべきか……。
 それに対してオリジナル作品は、今期は『朱色の仮面』『Dark Machine』『バーテックスフォース』『楽楽飯店』の3本かな。

 女性主人公のタイトルは21作(全体の24.7%)。近年としてはおおむね平均的な水準。ただし、狭義の女性向けという観点では、かなり減っている。

 洋風ファンタジー作品14本+異世界転生系11本と、微増。まだまだ多いなあ。
 それに対して前近代中国スタイルのファンタジーは3本、現代日本のファンタジーは4本(プラス、オカルト/ホラー/妖怪ものが3本)。
 SFは11本もある。ただし、近未来ものやライトSFも含むが。歴史ものは2本、魔法少女ものも2本。さらに恋愛(学園ラブコメ)路線は6本、お色気4本、スポーツが5本などもある。まあ、これらはシーズンごとに多少の波があるのは自然なことで、上がった下がったで何かを論じられるほどのものではない。

 現時点での検討対象は、以下のとおり。
 『彼方から』(期待度60%)。少女漫画由来で、黒沢ともよ氏主演だが、映像が『天は赤い河』並の出来具合だったらつらいかも。原作もそこそこ長いので、最後までは行けないだろうし。ちなみに監督はかなりのベテラン。
 『凶乱令嬢』(55%):漫画版は途中まで読んでいたけど、ちっとも暴れなくて、むしろアイドル活動が主軸になってダレたんだよね……。
 『幻想水滸伝』(60%):上手くいったらいいけど……大丈夫なのか?
 『佐々木とピーちゃん2』(60%):第1期も原作も知らないけど、黒セーラー服少女には惹かれる。福島監督は『ティアムーン』も担当していた。
 『俺にだけ甘い』(60%):キャストは良いけど、たぶん趣味に合わない。
 『紫禁・御猫房』(70%):中国アニメからの吹き替え。
 『ダンデヴァイン』(65%):ヒーローロボット+経営もののようだ。キャストも良い。
 『信者ゼロの女神サマ』(60%):ちょっと変わった設定だが、物語展開はどうなるのかなあ。小野監督は『中堅冒険者の日常』などもディレクションしている。
 『世界最強の魔女』(60%):ファイルーズ氏がレギュラー出演のようだから、ひとまずチェック。
 『Dark Machine』(65%):バーチャロンのようなゲームもの。設定はガバっぽいが、沢城氏や杉山里穂氏が出演。
 『聖女であることをひた隠す』(55%):女性向けから。ただし、クオリティにはあまり期待していない。漫画版の作者は、『サン王子』の漫画家さんか。
 『転生したら剣でしたII』(70%):第1期も楽しかったし、三木眞一郎氏が主演だし、井澤氏や速水氏も出演されるようだ。ただし、ここからはストーリーがちょっとダレるんだよなあ……(※漫画版は一級品のクオリティなのだが)。いっそ死霊編は飛ばしてもいいから、海洋国家クーデター編を丁寧に描いてくれたら嬉しいのだが。
 『とある暗部』(60%):キャストがすごいな! しかしそれだけで視聴するかというと……。このシリーズはほぼ未読/未見だし。
 『惚れ薬を依頼された魔女』(65%):こちらも女性向けの微温的な恋愛もの。小松氏主演。草川監督は、『なのは』シリーズや『幻影太陽』などを手がけている。
 『バーテックスフォース』(70%):同監督の『ストライクウィッチーズ』並の映像になってくれるならば嬉しいが。キャストが素晴らしい。
 『未亡人の雪女さん』(--):エロ系なので手は出さないが、北見六花主演だったりする。
 『百妖譜 京師篇』(--):配信が限定されるだろうから、たぶん視聴機会は持てない。
 『ホテル・インヒューマンズ』(50%):羊宮氏がレギュラーだが、あの第1期の出来では……。
 『マロニエ王国の七人の騎士』(65%):これも少女漫画系。楽しそうではある。佐山監督はベテラン。
 『最強装備と宇宙船持ち』(50%):ジャンクフード枠でチェックしているだけだが、キャストは良いんだよなあ……。ながはま監督はベテランの演出家。
 『野生のラスボス』(70%):第1期は充実した出来だった。小清水氏がひきつづき主演の筈。
 『弱気MAX令嬢』(60%):ストーリーが面白くなりそうならば、視聴してみるかも。
 『楽楽飯店』(65%):オリジナルアニメ。中華料理店の裏でマフィア活動をするようだ。
 『ロメリア戦記』(70%):漫画版が抜群の出来映えなのだが、アニメ版はどうなるかなあ。素人(歌手)をキャストに入れているのにかなり不安が……。白井監督は、3DCGディレクターとして経験豊富なようだが、序盤進行は映像化しても面白味が増すわけではないし。主演の根本優奈氏次第かな。

 うーん、無難な続編が多くて、全体的に小粒な感じ。もっと挑戦的な意欲作や闇鍋的なタイトルが出てきてくれると嬉しいのだが……(この夏で言うと『キャラメリゼ』『ジャードゥーガル』『ララ』のような感じで)。

 素晴らしい技量を備えた敬服すべき声優さんたちが、もしも差別的でゲスい作品に出演してしまったらどうするかという無残な踏み絵が、いくつか出てきそうだなあ……。この秋期についても、倫理的にいささか危うく見えるタイトルがあるし……。


 春先から漫画の積みが微妙に溜まっていたのをようやくほぼ解消できt……ん? 部屋の一隅にあるあの土嚢のような単行本の山はいったい何ぞ?(おばか)

漫画雑話(2026年8月)

 2026年8月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

●続刊等。
 mmk『となりの席のヤツがそういう目で見てくる』第6巻(86-102話)。花火祭からビーチ遊びへ。おおまかに言えば、「からかい」系の眼鏡女子と犬系な美形男子の恋愛未満なライトフェティッシュシチュエーションコメディなのだが、頭身高めのキャラクター造形なので色っぽいムードがあるし、二人それぞれの視点を使い分ける(対比させる)ことでトリッキーなドラマを作り出しているのも良い。
 
 まめ猫『純情エッチング』第4巻(18-23話、完結)。美大を舞台にしたクリエイターものだが、絵そのものの美術的なインパクトや演出技法の追求を全面に押し出しているアプローチが、従来の一般的な漫画家漫画とは異なる個性になっているし、実際たしかにそれらは説得力のある絵作り、漫画作りとして成功している。上手い。

 松井優征『逃げ上手』第26巻(224-232話)。本質的に「終わり」のない史実ものなのに、意外にも、ここに来て物語の締め括りがドラマティックに盛り上がってきた(※途中はかなりダルい巻もあった)。次巻で完結とのこと。結局、最後まで付き合ってきたなあ。
 大関詠詞『~スローライフの夢を見るか?』第5巻(29-35話)。異世界冒険者ものだが、躍動感のある情熱的な筆致が面白い。ただ、ページ単位でレイアウトが決まりすぎていて、ページをまたいだつながりが弱い(あまり意識されていない)ように感じる。例えば左右のページでまったく雰囲気が違っているのは、少々ぎこちなく見えてしまう。。この作品はまだましなのだけど、気の利かない作品だと、どのページも「1コマ目が大きな決めゴマで、その下にストーリーコマが続く」形が延々連なっている場合がある。あるいは、左右のページでコマの密度が大きく異なっている場合も、かなり異様に映る。オンラインの縦読みならまだしも、見開きで読むとそうしたぎこちなさはかなり目立つ。
 鴻巣覚『うさぎはかく語りき』第3巻(14-20話)。架空の東京地下街を占拠したウサギ型エイリアンたちとのバトルもの。kawaiiウサ耳美少女キャラたち+意外性のある心理描写の掘り下げ+殺伐とした異能バトルという取り合わせの感触が面白い。
 石沢庸介『第七王子』第24巻(196-201話)。スタンピード編の最終盤で、いつも以上に凄まじい。超魔法バトルものとして、魔術ギミックのアイデアの豊富さ、ネーミングセンスの卓抜さ、そしてそれらを組み合わせるテクニカルな作劇、各キャラクターの特徴づけの明晰さとそれら全員をストーリーの中でそれぞれ機能させる手腕、しかもかれらの心情的なデリカシーもきちんと掘り下げる誠実さ、さらにゴージャスな魔術バトルの視覚表現の鮮烈さ(しかもオンライン連載ではフルカラーだ)、等々。現代エンタメ系漫画家の最高峰の一人だろう。
 ヨシアキ『雷雷雷』第7巻(42-49話)。特撮めいたキャッチーなコメディの側面と、切羽詰まった深刻な災厄状況+企業間の暗い謀略合戦の取り合わせがユニーク。今巻も後半にバトルシーンがあり、非常にシビアな状況を描いている。

アニメ雑記(2026年8月)

 2026年8月の新作アニメ感想(※だいたい第5~8話あたり)。
 『キャラメリゼ』(現時点での評価は80点)、『クレバテスII』(70点)、『グロウアップショウ』(70点)、『さよならララ』(85点)、『ジャードゥーガル』(80点)、『透明な夜』(75点)、『BLACK TORCH』(70点)の7本を視聴継続している。『手札が多め』(70点)は第9話できれいに完結した。『ふつつかな悪女』(70点)は後追いで視聴開始。『ダンシング』は、演出(構成)が下手すぎるのでおしまい。『対あり』も、耐えがたい問題発言があるため、視聴を止めた。

2026/08/17

『天幕のジャードゥーガル』原作漫画とアニメ版の比較対照:第10話

 第10話「知恵」

 前話の続き(原作第19話の末尾)から、20-21話の全体と、第22話(4巻9頁まで)の最初までを描いている。時代はひきつづき1232年の秋。
 サブタイトルは、モンゴルの活動が軍事(武力)から統治(知恵)へと移行しつつあることを示唆し、また同時に、幼き主人公がムハンマドから受け取った「知識の価値」を思い出したことにも掛けている。
 脚本は佐藤寿昭(第3、6、8話も担当)。今回の絵コンテ&演出&レイアウトは、前場健次(本作では初参加。他作品では作画監督レベルの仕事も多数引き受けている)。そして「絵コンテ協力」として藤倉拓也もクレジットされている(第1-2話を担当)。大筋は原作漫画とほぼ同一だが、この回では台詞レベルでの状況説明の補充や、画面レイアウトの刷新による印象的な絵作りなど、アニメ翻案版ならではの創意が良く発揮されている。