2026/10/13

2026年10月の雑記

 2026年10月の雑記。

 10/13(Tue)
 最近買った漫画単行本からいくつかメモ(※月別漫画雑記ページは夏から縮小中)。

 イズタニC『件(くだん)の件について』第1巻(芳文社、原作あり)。身長2メートルの長身妖怪ヒロインと、彼女の小説を出版しようとする男性編集者の物語。仲邑エンジツなどに近い、ちょっと不思議な異種族との日常もの。最近の芳文社は、四コマよりもむしろストーリー漫画でやたら尖った個性的なタイトルを連発しているように思う。
 幌田『俺のカスみたいな人生は全部タヌキのせい』第3巻(完結)。これも芳文社のストーリー漫画。異種族共存漫画は大量に存在するが、本作は人間に化けたタヌキ族という、「特定の種族のみに限定し」+「かれら独自の社会性と価値観をクローズアップする」というアプローチに大きな個性がある。その上でさらに、一種の民族学フィールドワークめいた手触りと、化けタヌキ種族の社会的決断、そして怪異生物との交流を「寓話」に準えるメタフォリックな視点と、ユニークな切り口から見事に構成している。
 鎌谷悠希『同志少女よ、敵を撃て』第4巻。スターリングラード防衛戦が一段落つくまで。主人公たちが射撃手としての境地を極めつつあるとともに、漫画表現もすさまじく深化していく。例えば、しゃがみ込んで待機する姿の異様なまでに洗練された格好良さ、緊張感に満ちて強張った表情の迫真性、そして殺意を向け合った瞬間の劇的な演出、等々。
 蘇募ロウ『じゅーくぼっくす』第3巻(完結)。シェアハウスを舞台にして、3組(3家族)のお色気人間模様を回り持ちで描いていくオムニバスという構成がユニークだったが、最後はやや無難に終わった。
 藤丸『レジスタ』第3巻。スーパーのレジで働いている少女の立派な精神性と、それに惹かれる客の30代男性を軸とする物語。お互いの立場が決定的に異なる他者に対してどのように接していけばよいかという躊躇逡巡と、それを超えようとする意志のミニマルなドラマが面白いが、しかし同時に時々エロ視点が入ってくるのがどうにも引っかかる。
 メグリ『昏き宮殿の死者の王』第1巻(ガンガン)。吸血鬼になってしまった青年と、彼を助けてともに逃避行をする退魔騎士女性の物語。二人のいびつな関係や、追跡してくる吸血鬼ハンターとの戦い、そして異能発現のドラマと、少年漫画的な外連味がたっぷり注ぎ込まれていて、近年ではむしろ新鮮に感じた。
 増田英二『今日も揺られてます』第5巻。……あっ、しまった、第4巻を買いそびれていたようだ。

2026/10/08

アニメ雑記(2026年10月)

 2026年10月の新作アニメ感想。
 暫定評価は、『ダンデヴァイン』50点、『ゾンビ』70点、『ひた隠す』70点、『剣でした』75点、『とある暗部』70点、『惚れ薬を依頼された』75点、『目覚めたら最強装備と宇宙船持ち』60点、『野生のラスボス』65点。予想以上に、上手くまとまった良作が多そうで何よりだが、ストーリー面ではマンネリ傾向も感じる。
 あとは『Dark Machine』、『dreamland』あたりを観てみるかも。『世界最強の魔女』と『ロメリア』は、うーん、どうしようかな。


●『獣王武神ダンデヴァイン』(※オリジナル作品)
 第1話。ひどすぎるわけではないが、良いところも全然無い。うーん。怪獣たちの設定も不明なままだし、玩具メーカーのパートも浅薄なうえパワハラ満載だし、「普通」モティーフもまるで活用されてこないし、シーンのつながりも悪くて散漫。この第1話の範囲では、ただ全方位に薄くて、SFでもないしギャグやパロディでもなく、シリアスでもなく熱血でもなく、恋愛系でもないしバトル系とも言いがたい。ライデンフィルムはちょうど夏シーズンの『キャラメリゼ』でも巨大怪獣ものを扱っていて、そちらではスケール感や遠近法的演出が抜群に優れていたのだが、それと比べてこちらは……(※エンドロールを見るかぎりでは、制作の大半は曹監督と中国スタッフに任せっきりのようだ)。脚本面で見ても説明台詞だらけだし、音響面もまるで昔のゲームのような硬直的な付け方で、面白味が無い。
 キャストだけは良くて、ヒロインが白石氏、三悪魔(?)のピンクが東山氏+イエローが久野氏、さらに黒幕(?)が井上喜久子氏、主人公の母親には中原氏。
 せっかくのオリジナルSF(?)アニメなので、ひとまずは我慢して視聴継続するつもりだけど……。


●『ゾンビさがしてます』
 第1話。シチュエーションとシナリオはあまりにも陳腐で退嬰的だし、声優陣の芝居も今一つだが、元気よくアニメーションさせている映像は楽しい。クラシカルな残像式中割によって、運動表現の勢いと感触を表現しつつ、ところどころに外連味のあるレイアウトを使って劇的なシーンを上手く作り出している。作画枚数もわりと多そうな感じ。今回の絵コンテ&演出は、宇根信也監督自身による。
 小市氏のキャラもいずれ登場するようだし、ひとまず飽きるまでは視聴継続する予定。薄着主人公の頻繁なヘソ露出も、ちょっと物珍しい。
 しかし、現代文明を知らなかったキャラクターたちが、たかが廃ホームセンターの品揃えに感動するのは、あまりにもみみっちくて少々悲しくなる。こういう描写はけっして好きではない。


●『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』
 第1話。設定はいささか強引で、この第1話では回想シーンで描写をすっ飛ばしてしまっているが、主人公キャラの意志は把握できるし、森の中の不吉な雰囲気など、要所でニュアンスに満ちた映像表現を展開している。作画コストはせいぜい下の上くらいだと思われるが、絵の見せ方は意外なほど充実している。このペースで維持していってくれたら十分な出来。絵コンテは牧野友映監督。演出は副監督の村田尚樹氏と、堀川和人氏の連名。
 主演は若山氏。良いところもあるけど、薄いところも多く、あまり好みではない。基本的にノリで演じているようで、キャラの雰囲気にハマったときは魅力的なのだが、台詞の解釈が浅いのでこうした説明的な台詞の多いキャラでは言葉が上滑りして退屈になる。姉キャラは上坂氏。黒竜は、少年寄りの優しい声色なのがユニーク(※演じているのは徳留慎乃佑氏)。
 回想シーンでは画面アスペクト比が変わる(左右に黒帯が入る。たぶん4:3レイアウト)というのはちょっと面白い。

 第2話。映像面では、やけに良いカットがある。キャラの表情も個性的だし、レイアウトも上手いところがあり、剣戟シーンも折り目正しい2D作画でかなり迫力がある。今回の絵コンテは、超ベテランの辻初樹氏、演出は白石道太氏。
 しかし、それだけに、主演の芝居が浮ついて空転しているのが辛い。大雑把な雰囲気だけで演じているのか、流れ任せの大味な演技で、台詞ごとの感情の機微が出てこない。若山氏は、良いときもあるのだが、ここではそのスタイルの悪いところがもろに前面に出てしまっている。つまり、トーンを決めてただ声を出しているだけで、一つ一つの言葉に対する意味づけがまるで欠けている。要するに、小回りが利かない。それに対して、明確で強い感情表現のある台詞であれば、そのムードを鮮やかに表出することもできるし、あるいは、幼児キャラのようにテクニカルな芝居が求められる場合には、「自然な」「生っぽい」スタイルを外さざるを得ないので言葉の細部を丁寧に構築することになるし、そういう技巧的な構築作業が出来る役者でもあるのだが……。


●『転生したら剣でした』(第2期)
 第1話は、やたらスムーズに話を進めて、さっそく浮遊島へ突入した。バトルシーンは躍動感があり、見えるか見えないかの瞬間的なコマに凄い表情のカットを入れていたりする。ただし、会話シーンは妙に説明的で凡庸なレイアウトもあるが、まあ仕方ない。第1期では石平監督自身が過半数の話数で絵コンテを担当しており、今回の第1話も石平氏のコンテ(※演出は副監督の清水一伸氏)。OPのクレジットでは、「アクションディレクター」として4人ものスタッフが挙げられているので、バトルシーンの動きはかなり期待できそう(砂金梨乃氏、西野武士氏、酒井智史氏、新田駿也氏)。
 OPの絵を見るに、その次の海洋国家編まで描いてくれそう。あの劇的なドラマを映像化してくれるのは嬉しいが、あまり話を急がず、ちゃんと情趣のある描き方をしてほしい。
 冒頭に登場する無名の少年は、井澤氏が演じている。三木氏の切れ味のよい芝居ぶりも相変わらず。しかし、黒猫少女役の加隈氏は、うーん、小柄キャラを演じているから声量が出ないというのは分かるけど、そうだとしても存在感が薄すぎる。


●『とある暗部の少女共棲』
 第1話。シリーズものの一部だが、きちんと読む(視聴する)のはほぼ初めて。高度研究学園都市という設定がいかにも「00年代の考える華やかな未来世界」で、懐かしくも微笑ましい。ドラマ部分は、謎の上司に指示されて活動する闇の粛清組織(?)という、これまた00年代風の設定。チンピラ悪役を殺戮してハッピーエンドにするあっけらかんとしたところも同じく。もちろんアクションシーンやキャラ芝居は20年代テイストにしっかりチューニングしている(※動画クオリティそれ自体はミドルレベルで、それほど動いているわけではない)。新人キャラの絹旗は菱川氏……かと思いきや、赤﨑氏だった。意外と似て…る?


●『好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です』
 第1話。びっくりするくらい出来が良かった。魔女の邸内の暗がりと、小物類いの充実したディテール、そして質感のある塗り、さらに扉前を初めとする印象的なレイアウト、そして台詞回しもレトリカルに気が利いている。静かな湖畔の風景と、そのニュアンスに満ちた着彩も良い。絵コンテ&演出は、監督の草川啓造氏自身による。
 内省的な少女の生活を描く短編として、この第1話だけで完結してしまっているのは、良いのか悪いのか……。ストーリーそれ自体は発展性が無さそうなので、どうなるかは分からない。「魔女は嘘をつけない」というのがギミックとして利いてきそうではあるが……。


●『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので~』
 第1話。プロローグは、スペオペものとして派手な動きを楽しく展開している。筋書きそれ自体は、宇宙版の異世界ファンタジーのようなもので、たいした面白味があるわけではないし、ネットスラング的な台詞も多いが、スナック感覚のアニメとしては悪くない出来。主演の古川氏を初めとして、キャスト陣も良い顔触れ。
 「宇宙エルフ」というフレーズはなかなかのインパクト。今後も、このくらい面白 く捻ったネタを出してくれたら嬉しい。


●『野生のラスボスが現れた!』(2期)
 通算第13話。砂漠を走る超巨大陸上戦艦に、味方メカキャラを模倣した量産型シリーズと、無節操なまでにロマンを追求しているのが楽しい。しかし、ストーリーは今のところ平板で、ネタに走りすぎており、作画も止め絵に頼って迫力に欠ける。キャラを増やしすぎる弊害も出てきそうで、先の展望はあまり芳しくない。今回登場のスコルピウス(たかはし氏)も、うーん、芝居は今一つ。

 第14話。設定説明シーンが延々続く。バトルシーンの超高速台詞も、感情が籠もっていない(籠められる余地が無い)ので、つまらないだけ。



※以下は、試し視聴のみ、または、途中で視聴を止めた。

●『幻想水滸伝』
 視聴を続けるつもりは無いが、第1話だけ再生してみた(2話分セットの50分)。映像面では、空間表現や小道具のディテールなど、きちんと作っているのが見て取れる。ただし、冒頭ゆえか型通りに説明的なシーンが続くし、視聴覚的なテンポも平板で、抑揚やリズム感が無い。

●『紫禁・御猫房』
 第1話だけ、試しに視聴。キャラは3Dだが、2D背景と併用しつつダイナミックなカメラワークを上手く処理しているし、3Dならではの立体的な表現も効果的に使っている(とりわけ冒頭で、二人が切り結ぶカットなど)。

●『バーテックスフォース』(※オリジナル作品)
 3Dキャラがきもい。骨格から動いていなくて、重量感や力感や慣性もなくて、ぐねぐね動いているだけ。しかも、2D背景で制約されるせいでカメラワーク演出も使えずにいる(あるいは安易な青空背景で動かすばかり。3Dモデリングの自由度を活用できていない)。表情も生硬に固まったまま動くのがマネキン的できつい。3Dキャラ作画の悪いところばかりが露呈していて、とても視聴に堪えない。回想シーンだけは2D作画のように見えるが、それがさらに落差を強調している。キャラデザそれ自体は良いのだが、モデリングされた最初の絵の繰り返しばかりになるので、「これ以上魅力的なものはもう出てこない」ということでもあり、その観点でも視聴を続ける意味が無い。作り置きで使い回しの3Dスパッツなど、何回見せられてもちっとも嬉しくならないだろう。後ろ髪がふわふわ浮いている(動いている)のも不気味。要するに、2020年代の3D作画の中でも質の低い部類で、どうして今時こんな代物を出してきたのかとガッカリするし、ましてやキャラの魅力を売りにする筈のコンテンツがその最重要の要素を自らスポイルしてしまっているのが悲しい。
 個別の演出面では、メカのエンジン音(バイクのような音)が非常にしつこくてうるさい。

●『チート』
 試しに視聴してみたが、演出がダサくて10分も保たずに切った。漫画版は最初の数冊まで読んでいて、コマ組みによるリズムやキャラ表情の濃さに面白味があったのだが、その絵だけをアニメ媒体でべったり再現されてもクドみが浮いてくるばかりで非常につまらない。ストーリー面では面白くなっていく筈だが、この映像演出のセンスは受け入れがたい。

2026/09/17

2026年9月の雑記

 2026年9月の雑記。

2026/09/16

アニメ雑記(2026年9月)

 2026年9月の新作アニメ感想(※だいたい第9話以降)。
 『キャラメリゼ』(最終的な評価は80点)、『クレバテスII』(65点)、『グロウアップショウ』(80点)、『さよならララ』(85点)、『手札が多め』(70点、全9話で完結)、『ジャードゥーガル』(85点)、『透明な夜』(65点)、『ふつつかな悪女』(75点)、『BLACK TORCH』(70点)の9本を最後まで視聴した。

2026/09/15

『天幕のジャードゥーガル』原作漫画とアニメ版の比較対照:第12話

 第12話「いつもと変わらない草原」

 原作第24-25幕(単行本第4巻所収)の全体。さらにエピローグ部分では、第26幕の内容にも触れている。時代はひきつづき1232年の秋。
 サブタイトル「いつもと変わらない草原」は、作中の「以前と何も変わらない いつもの草原」から取っている。
 脚本は、シリーズ構成も務めている加藤還一(第1、5、11、12話を担当)。絵コンテの「ちな」は、本作には初参加。演出は中村亮介とちなの連名(中村もこの最終話が初参加)。
 今回もストーリーの大筋は原作に即しているが、シーン構成のアレンジ、映像的な独自演出、台詞周りの整理、そして印象的な独自シーンの追加など、最終話に相応しく手の込んだ調整が施されている。