2026年7月の新作アニメ感想。
さしあたり『キャラメリゼ』『クレバテスII』『グロウアップショウ』『さよならララ』『捨てられ聖女』『対あり』『ジャードゥーガル』『透明な夜』『ブチ切れ令嬢』『BLACK TORCH』『メビウス・ダスト』『ダンシング』あたりを視聴してみる予定。とりあえずおおまかに点数も付けてみる。
『岩元先輩』『手札が多め』は、クオリティが期待に届かなかったので、残念ながら退却。
●『岩元先輩ノ推薦』
第1話。原作の耽美的オカルトの雰囲気は、あまり再現できていない。低予算ゆえか、アニメーションとしての表現がまるで不足している。つまり、作画枚数も少ないし、演出も全然出来ておらず、美形男性たちの静止画と声優の力演で、ぎりぎり繋いでいる。とはいえ、この幻想的なオカルト路線の作品はきわめて貴重だし、この路線が好きならば楽しめると思う(※原作の方が桁違いに出来が良いのだが……)。60点。もう一話くらいは付き合ってみるが、たぶんすぐに止めることになる。
主演の坂泰斗氏はとても良い芝居をされているし、教師役には、なんと、石田彰氏がいる。青沼老人を演じている鈴木琢磨氏も、ものすごく丁寧に造形された、精密な芝居をされている。しかし、青沼青年役の永塚氏は、ちょっとミスマッチかも。
●『乙女怪獣キャラメリゼ』
第1話。恋愛感情で怪獣になってしまうシャイな少女の物語。特に後半のドラマティックな状況変転の演出は、ダッチアングル(水平から傾けたカメラ角度)を多用しつつ、スピード感と迫力があってなかなか良い。作画もまずまずで、枚数もかなり多い。ただし、前半のコメディ演出の見せ方はいささか陳腐。70点。ここから、出オチで終わらずにどこまで行けるかな。
主演の千賀氏については、第1話の忙しいコメディでは芝居の掘り下げのポテンシャルはまだ分からないが、声色はツヤがあって耳に残る。昨年デビューしたばかりの方のようだが、この演技ならばひとまず安心してついて行けそう。
●『グロウアップショウ』
第1話は、コミカルで躍動感に満ちた出会いの物語。ロングショットも効果的に使われているし、木造建築を初めとした昭和中期のレトロ感とのコントラストも良い。キャラの赤い睫毛が特徴的だが、暖色ベースの賑やかな色彩が作品のムードに似合っている。もしかしたら、「サーカス団を舞台にした美少女キャラもの(+スポ根?)」だけで終わるかもしれないが、映像作りは気持ちよいし、堅実に楽しめそう。ただし、キャストはよく分からない(新人~若手が中心のようだ)。75点。
昭和30年代で、主要キャラたち(ローティーン?)が孤児というのは、明らかに第二次大戦の影響だが、シリアスな物語になるかどうかは分からない。監督のキャリアからしても、明るい萌えコメディのまま行きそうだが……。制作にはGood Smile Companyが入っていたが、もしかしてボンネットバスのプラモデルキットを発売するのだろうか。(そっちじゃないだろ)
エンタメだと想定するなら、コンセプト作りは上手いと思える。つまり、「30年代=レトロな人懐っこさ、賑やかさ、美術的個性、大人のいない孤児たちの世界」、「サーカス=運動表現の魅力、ロードムービー(?)、多人数がいつも同居している場、演目に応じたキャラ個性」、「大会(?)=目標設定、ドラマ、集団の中での主人公の役割」と、各要素がポジティヴな機能を持ちつつ全体がまとまっている。換言すれば、美少女スポーツものの流れに位置づけられそうだということでもある。
●『さよならララ』
第1話は名作劇場テイストを入れた童話仕立てで、幻想的な美術と劇的な展開、そして動画表現もダイナミックに動かしている。ただ、第2話以降で雰囲気を変えてくる(コメディ要素を入れてきそう)ので、どうなるかはまだ分からない。話を引っ張っていく魔女キャラの言動がご都合主義的万能なのは気になるが、おそらくこの1話だけだろうから許容範囲内。流れてきた魚をモグモグ食べてしまうあたりなどの、のんびりしたユーモアはわりと好み。ただ、声優の芝居はまだよく分からない。実況モノローグのしつこさもマイナス。オリジナル作品としての期待も込めて80点。
人魚主人公として、ここから『むろみさん』路線に行くのか、それとも『人でなし』か、あるいは『邪神ちゃん』か、はたまた『ごめんねごはん』か……。
第1話で提示された範囲から考えると、「人魚族と人間族の違いや優劣如何」、「主人公の目標設定(愛の獲得と、人魚族の復活)」、「ボクサー少女との関わり」、そして「滋賀県という舞台設定の意味」といった要素が見て取れるが、それらがうまく噛み合っていくかどうかはまだ分からない。ボクサー少女との百合関係になって琵琶湖に入水というのがシンプルな解決になりそうだが、さすがにそうは行かないだろう。人魚の設定についても、アンデルセン風の泡少女のまま行くのか、和風の八百比丘尼ネタ(不死化)を取り入れるかどうかは不明。
最後で出てきたキャラクター「大津茉里」を演じているのは、新人声優の川石氏。所属事務所のプロフィールによれば、まさに滋賀県のしゅっしんのようだ。もっとも、今の20代だと、地元方言がどのくらい身についているかは分からないが。同様に、大津家の他のキャラクターたちも、関西圏(大阪や兵庫)の出身のようだ。これもおそらく意図的にネイティヴのキャストで揃えたのだろう。滋賀と兵庫ではいろいろ異なるが、イントネーションなど、共通しているところも多い。滋賀県出身というと小林眞紀氏もいらっしゃるのだが、残念ながらここでは起用されなかったようだ。
●『手札が多めのビクトリア』
第1話がこれでは、ちょっとつらいかな……。映像は、静止画としては整っているが動きが乏しく、演出的な面白味も無い。台本も、説明台詞が多すぎるし、台詞回しにもセンスが無いし、事態の推移もかなり強引。
映像に関しては、画面分割を多用するのは作為的に見えるし、カットが飛びすぎる(人物の動きにつながりが無い)のも問題。脚本に関しても、彼女の元工作員としての活動やスキルがまるで見えてこない(※作中の描写は、身分証(?)を偽造したり、馬車の客を酒で酔わせたり、ひったくりに足を引っかけて転倒させたり、外出中の侵入者を警戒して髪の毛を挟んでいたりするだけで、やたら安っぽいし、「手札が多」いようにはとても見えない)。安済氏の主演は、倍音が乗ったような深みのある声色と安定感のある芝居だが、台本そのものが退屈なせいで、台詞のディテールの面白味が全然味わえない。原作小説も未読だが、ここまでつまらないとは予想していなかった。上手い下手以前の問題として、「味気ない」としか言いようが無い。50点。
冒頭で、暗く陰鬱な曇天を「良い天気」だと語られていた点は気になる。凝った背景設定がありそうにも見えないが、何かしらの仕掛けがあるかもしれない。
ちなみに、美術監督を初めとして、制作スタッフに中国系(?)とおぼしき方々が多数参加しているようで、国際的なアニメ制作の観点で興味深い。作画の枚数それ自体はそこそこあるのだけど、やはりコンテと原作(テキスト)が悪い。「謎を秘めた女性が、故郷を離れて独力で生き抜きながら、虐待されていた可哀想な少女を助け出して保護し、同時に見栄えの良い男性から好意を持たれている」というのは、とてもワクワクする魅力的なシチュエーションになり得るはずなのに、それをダルダルな筆でただなぞっただけの代物が出てくるとはさすがに予想できなかった。うーん。
第2話も念のため視聴してみるけど、冒頭で駄目そうだったら、諦めてさっさと退却するつもり。
●『天幕のジャードゥーガル』
第1-2話。原作のタッチをリスペクトして、デフォルメ体格に、輪郭線の無い衣装表現、記号化された背景、そしてそれらをカラフルに彩っている。建物迷路を駆ける動画や、遠景と近景をダイナミックに行き来するコンテなど、映像としても魅力がある。作画枚数もかなりのものだし、滲むようなグラデーション塗りは、通常のアニメ塗りよりも手間が掛かっているだろう。キャストについては、少々もっさりした芝居もあるが、桑島氏の短調の声色が引き締めているし、そして主演の関根氏がかなり良い(※これまでは浅い芝居の役者だと思っていたが、今回で見直した)。80点……だが、原作もすでに読んでいるし、軽く流すくらいの付き合いにするつもり。
モンゴル人兵士の会話は、この時点の主人公にとっては理解できない言語なので、モンゴル語音声+日本語字幕という形になっている。クレジット等を見るに、どうやら実際にモンゴル出身のモデルさんや力士に演じてもらっているようだ。もちろんプロの声優ではないが、さすがにこの場合は文句を言う気になれない。ネイティヴに発音してもらうことの重要性でもあるし、モンゴル文化を尊重することをも意味するからだ。同様に、ペルシア人の役は、イラン出身のニケライ・ファラナーゼ氏が演じている。さすがに全キャラクターを、日本語で者部蹴れるイラン系の声優で揃えることは不可能だろうけれど、実際にイランルーツの声優さんがいるならば、その方にペルシャ人キャラクターを演じてもらうのは、まあ、ひとまずはありだと思う。同様に、「関西弁キャラは、関西ネイティヴの声優でないとなかなかきれいな発音にならない」という限界もあるし。
ムハンマド君の芝居が、言葉に全然意味が乗っていなくて、滑舌もモッサリでひどいので何事かと思ったら、声優ではなく若手俳優とのこと。どうしてこんな……。オーラがあるわけでもないし、耳障りにすぎる。上記の力士声優の方が、声がちゃんと出ているだけはるかにマシなくらい。
●『ワールド イズ ダンシング』
第1話。けっして悪くはない。終盤の小屋の中での激しい踊りは、墨と筆で描いたかのようなタッチで、中割のない静止画の乱舞として表現されているが、それでいて明確なつながりとスピード感があって、現代アニメとして非常に優れた表現だと思う。また、時代設定を感じさせる衣装や背景のディテールも良い。ただ、それ以外の映像の流れ全体は、あまり良くない。例によって漫画のコマを貼り付けたかのように、映像的な自然さが無いし、顔アップでの会話が多いし、コミカルなデフォルメ表情も面白くない。荷車を運ぶ場面など、状況説明も拙劣。
主演はかなり良いし(花守ゆみり氏)、ショタBLになりそうな気配もあるので、もうしばらく視聴を続けるつもり。シチュエーション設定の意欲込みで75点。
原作(漫画)も読んでみたが、そちらの方がはるかに良い。このアニメ版は、余計なシーンや不必要なアニメーションばかり増やしていて(※動かさなくてよい部分を無駄に動かしていて気が散る)、その一方で村人たちの祭の熱狂は描かずにスルーしてしまうというズレっぷり。「金はあってもセンスが無い」というのは困るなあ……。
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