2021/03/11

ガールプラモ年表の補足的メモ

  別ページ「ガールプラモ(美少女プラモデル)の年表的メモ」の補足情報など。年表それ自体は、左記リンク先ページにて。また、各キットの可動構造に関するメモは、 別ページ「ガールプラモの可動構造について」で、写真付きでいろいろ紹介している。

 【簡易目次】
1. 各キットのサイズとプロポーション
2. 主要なガールプラモシリーズの短評
3. メーカーの一覧
4. 各商品の価格帯


  【 1. 主要なガールプラモシリーズの短評 】

  実際にキットを組んだ手応えと感想。基本的特徴、ガールプラモとしての位置づけ、キャラの個性、長所と短所、作りやすさについて、筆者なりの評価をまとめておく。

シリーズ
(メーカー)
基本的特徴とキャラクター性、長所、短所(コンセプトとパーツ構造、ラインアップ、全体的な評価)
バーチャロイド (HASEGAWA)  【概要】:2007年から。原作はアクションゲーム。生体要素(素肌露出)の無いロボットシリーズで、女性型として「フェイ・イェン」と「ガラヤカ」がある。高品質なガールプラモの試みとして先駆的だし、メカ純度の高い女性型キットとしても貴重。ただし、通常のロボットプラモのような頑丈さは無く、スケールモデル的なデリケートさが要求される。

  【構造】:設定上は1/100スケールだが、「フェイ・イェン」は近年のガールプラモとおおむね同じサイズ(頭頂高14cm)。「ガラヤカ」は幼児的な小柄ボディが特徴的(※約11cm相当。帽子を含めても約14cm)。

  【注意点など】:元々のデザインがカラフルなこともあって、成形色でのカラーリング再現はきわめて乏しく、大量のデカールを貼る必要がある。可動部の強度確保もかなり弱い。プラモ制作技術の観点では、中級者以上のスキルが要求される。関節部はPOM製ポリキャップを使っている。
フレームアームズ・ガール (KOTOBUKITA)  【概要】:2015年から。「轟雷」「フレズヴェルク」など。サイズは約150~155mm。同社のオリジナルロボットシリーズを擬人化(女体化)したもの。ヴァリエーションキットも非常に多い。他社会ガールプラモよりもやや大きめのサイズになっており、そのため各部の構造強度も安定している。ただし、パーツ嵌め込みや関節部はかなりきつめ(※関節部の保持力が高いということでもあるが)。デカールはほとんど使っておらず、塗装済みパーツもあり、設定色は9割方再現されている。様々な武装パーツが同梱されており、接続穴も多いので、ポージングやミキシングを楽しむ芯として使い勝手が良い。

  【特徴】:製品ラインアップが豊富で、メカ要素の強いロボキャラもあるし、武装パーツの無いプレーンなガールプラモのキットもある。少女部分のキャラクター性は、元気系ショートカットから猫耳ツインテールまで様々。印刷済みの顔パーツは笑顔やすまし顔など、無難なものが多い。顔パーツは共通規格であり、シリーズ内で互換性がある。両目デカールは、美少女ものとしてクオリティの高いものが多い。素肌の成形色も、程良い透明感と血色感がある。

  【評価】:残念ながら、プロポーションが汚いものが多い(特に島田系)。ウナギのように細長い胴体。メリハリのない棒状の手足。太腿が不自然に長いのも不格好。掌パーツも表情に乏しく平板。総じて前髪が重たいのも、印象を暗くさせている。下着丸出しなどの卑猥感も突出している。ただし、「フレズヴェルク」や「白虎」のボディラインはなかなか魅力的だし、肌色パーツの成形色は肌ツヤ感が素晴らしい。
メガミデバイス (KOTOBUKIYA)  【概要】:2016年から。「朱羅(ASRA):忍者&弓兵」「ランチャー&ランサー」など。2体コンビでリリースされている、オリジナルSF設定の武装美少女メカプラモシリーズ。また、他社作品とのコラボにも取り組んでいる。サイズは他社キットよりもわずかに小さめ(14cm程度)。さらにコラボキット「一条綾香」などでは、約13cmの幼めのボディを表現している。肩回転や爪先可動に見られるように、全身の可動性を重視している。上記FAGシリーズと同じく、関節部や嵌め込みはかなり硬い。サイズの小ささ(=パーツの脆さ)もあって、制作難易度はやや高め。

  【特徴】:顔パーツは、驚き顔や泣き顔などの多彩な表情が含まれているのが特徴的。また、素体モードと武装モードの2種類に組み替えられるキットが多く、プレイバリューは抜群に高い。頭髪表現にも力を入れており、細かくパーツ分割をしているものが多い。こちらも素肌の成形色は高品質。

  【評価】:ただし、ボディは共通パーツが多く、しかもかなり華奢で魅力に欠ける。オムツ履きのような腰部もいささか興を削ぐ。掌パーツの造形もきわめて味気ない。本領は武装のヴァラエティと表情の豊かさにあると考えるべきだろう。デカールやシールが多めなので、カラーリング再現しようとすると難易度が高い。
その他 (KOTOBUKIYA)  「レイキャシール」(2011-)と「KOS-MOS」(2012-)は、サイズは14cm程度と、やや小さめ。しかも、近年のガールプラモと比べるとかなりの小顔。2010年代前半のキットなので、現在の目で見ると関節強度や隙間露出の点で見劣りする。ただし、「レイキャシール」シリーズはメカ純度の高いガールプラモとして貴重だし、「KOS-MOS」はかなり凝った力作キット。

  「ルーデンス」(2020)は、FAGシリーズと事実上同じ規格。顔パーツもFAGと互換性がある。各部のベルトやチューブなど、密度の高いリアリスティックな造形が独自の魅力を湛えている。ただし、各部のボルトや縁取りまで塗装再現しようとすると手間が掛かる。「ガオガイガー」(2019)も、FAGの規格に即している。

  「ジェネ」(2019-)は、ヒール込みで15cm弱。サイズはFAGよりもMDに近い。さらに、MD「朱羅」シリーズとの間で、顔パーツの互換性がある(※キャラクターデザイナーが同じため)。元デザインを再現するためには、塗装の必要な箇所が非常に多い。

  「創彩少女庭園」(小鳥遊暦ほか)は2021年から。1/10スケールと明言されている。サイズは、他のガールプラモよりもわずかに大きめ(15.5cm)だが、頭身の高いプロポーションなので事実上同等サイズ。関節屈曲などの可動は狭めだが、日常的な着衣姿がスリムに造形されているのが特長。髪型、着座、手先の差分も豊富に同梱されており、とりわけ頭部は一キットで3つ作れるので、汎用ボディなどに流用できる。フェイスパーツはシリーズ内で互換性がある。さらに小物セットや眼鏡も別売りされており、組み替えによる拡張性が意識されているようだ。難点としては、手首周りの造形に癖があること。また、衣服の細やかな模様を表現するために塗装済みパーツがいくつかあるので、ユーザーによる塗り変え制作はやりづらい。

 「アルカナディア」は2021年から(ルミティア、ヴェルルッタなど)。ノンスケールで、サイズはやや大きめ。ファンタジー系で、ボリュームのあるキットシリーズ。

  HEXAGEARには「ローズ」「ミラー」などがある。1/24縮尺(約7cm)と非常に小さいが、各部の関節は動かせる。色分けに関しても、両目部分などは塗装済みパーツが用意されているし、多色ランナーで可能なかぎりの設定色再現が追求されている。パーツ精度は、まずまずのクオリティ。FAGをダウンサイズした「ハンドスケール」も同水準と思われる。

  その他。比較的簡素なSD体型の「ホイホイさん」シリーズ(2009-)や「ワルキューレ」(2014)があり、15cm級では「フェイ・イェン」(2009)、「ヴァルシオーネ」(2012)、「シキ(朱鬼姫/藍鬼姫)」(2015)、「装甲娘」シリーズ(2020-)などがある。
HG Build Fighters /
HG Build Divers (BANDAI)
  【概要】:2015年から。「すーぱーふみな」「ミセス. ローエングリン子」など。アニメ『ガンダムビルド』シリーズに登場したキャラクターのプラモデル化。他社キットと比べて、サイズがかなり大きい(約17~18cm)。ただし「モビルドールサラ」は14cm級。実売2000円程度でリーズナブル。パーツ精度は高く、作りやすいし動かしやすい。関節の保持強度はほどほど。

  【構造】:ポリキャップをほとんど使わず、大半はPS素材で構成されている。ただし、スカートなどの一部パーツは軟質素材(ゴム)を使っている。また、色再現にシールを多用している。肘が二重関節構造になっているのも特徴的。武装パーツも多く、プレイバリューはそれなりにある。

  【評価】:ガールプラモとしては、いささか魅力に欠ける。顔の造形はかなりプリミティヴだし、肩関節の引き出し機構も作為的。足首などの関節強度も不安定。肌の成形色も、マネキンのような濁ったベージュ色で質感に欠ける。手首や足首の可動範囲はきわめて小さい。
Figure-Rise Standard (BANDAI)   【概要】:「人造人間18号」(2017)、「ダイバーナミ」(2018)などのアニメキャラ。女性キャラ以外も多数ラインアップされているシリーズで、比較的安価なのが特徴。パーツ数も少なく、非常に作りやすい。初心者向けとして最適。サイズは15cm程度だが、スケール感はキットごとにまちまち。

  【特徴】:基本的には、上記HGBF/HGBDと同水準。両目はプリントではなく、シールを貼り付ける仕様だったり(ダイバーナミ)、複合ランナーによる成形色表現だったりする(18号)。色分けにはシールを多用しており、安っぽくなりがち。ただし、素体のプロポーションは肉付きが良く、手の形状もなかなか良い。特に「18号」「レーナ」の指は、爪まではっきり造形されている。また、靴部分が大きく、支柱無しでも安定して自立させやすいのも特長(※他社ガールプラモはほとんどが自立困難)。顔の表情づけは、アニメキャラらしい愛嬌があるものの、クオリティはお粗末。近年の「ミオリネ」などでは、両目印刷も導入している。

  【評価】:頭髪の先端部が丸まっているなど、ダルなところもある。また、価格を抑えている分、武器類などのプレイバリューは控えめ。全身の可動範囲も、かなり狭い。ただし、「レーナ」の軍服や「スレッタ」の制服など、着衣キャラの立体化としては非常に稀少かつ優秀。
Figure-Rise LABO (BANDAI)   【概要】:2018年から。「ホシノ・フミナ」「南ことり」など、他社版権キャラの立体化。サイズは約24cm程度(1/6~1/7相当)とかなり大きい。ただし、「初音ミク」はやや小さいらしい。完全な固定ポーズモデルで、パーツ数は少なめ。素肌の血色表現や衣服の質感表現など、一作ごとに実験的な技術が投入されており、ユニークな個性と大きな魅力がある。

  【構造】:無塗装で組み立てるだけで、ほぼ見本どおりにキットが完成する。両目も、多重成形によって完全に色分けされている。プラモデルのアプローチで完成品フィギュア並の立体物を目指すという興味深い試みを楽しめる。特に「南ことり」「式波・アスカ・ラングレー」はALTER社の協力もあって、フィギュア並に洗練された造形になっている。

  【評価】:ただし、プラモデルならではの限界もある。大半のパーツはグラデーションの無い平板な色合いのままだし、無塗装で組み立てるとランナー切断部位の色が濁ったままになる。プライズフィギュアと比べると、彩りや価格の面で一歩譲る(※キットの価格は6000円前後)。素肌の成形色も、透明感のないベージュで面白味に欠ける。
30 MINUTES SISTERS (BANDAI)  【概要】:2021年から。近未来的バトルスーツ志向のオリジナルキャラクターシリーズ。ヘアスタイルキットなどの別売り換装パーツを含めて、大規模に商品展開している。ガールプラモとしてはかなり安価なのも特徴。

  【構造】:やや小さめ(頭頂高14~15cm)。フェイスパーツも含めて、キット間の互換性を維持している内部構造はシンプルに整理されており、非常に作りやすい。関節強度は柔らかめ。

  【評価】:安価なのは良いが、素肌成形色はマネキンのようで味気ないし、武装を盛り付けようと別売りパーツを買っていくと、結局は他社キットと大差ない金額になる。しかし間口が広いのは確かで、ガールプラモ入門としてカジュアルに手を出すライト層も、他社ガールプラモの合間に作るモデラー層も、大量に別売りパーツを購入して自分なりの組み替えを追求する30MSユーザーも、いずれも楽しめるだろう。
その他 (BANDAI)  「ノーベルガンダム」(2011)は、女性型のロボットプラモと言ってよいだろう。約11cmとかなり小さい(※同社の1/144ガンダムシリーズは、12~13cmが標準)。骨格は同社のロボット模型そのものであり、部品精度は高く、関節部の固さも絶妙に調整されており、たいへん作りやすい。

 2021年の「ガールガンレディ」(アリスなど)は、同名の特撮作品と企画連動したプラモデル。サイズは15cm弱。可動範囲は程々で、関節部も緩め。なかでも肘と上腕の接続はボールジョイントなので、可動は柔軟なものの、保持強度が致命的に低い。両目はシールで、カートゥーン的にデフォルメされている。スポーティーなコンバットスーツ風ファッションであり、別売りの巨大な銃にまたがることもできる。価格は低め(3000円台)なので、ボディ流用にも使えるだろう。ただし、くりかえすが、肘関節のだらしなさには注意。掌は3種類で、なかなか表情豊かな造形。

 「30 Minutes Sisters(30MS)」は2021年から。ロボットプラモ「30 Minutes Missions」から派生した、原作の無いオリジナルシリーズ。基本的にはバトルスーツ路線のようだ。素体キットは小さめで、価格も税抜2300円とかなり安価だが、必要最低限の機構は備えている。ボディ、フェイス、頭髪、アーマーが何種類も別売りされており、自由なカスタマイズを促している。関節部は硬すぎず緩すぎずでほどよい粘りがあり、四肢の可動も柔軟で、自立も容易。しかし、上体はほぼ可動ゼロで、素肌パーツはベッタリしたプラスチック感があり、両目のプリントも平板。

  「ぷちりっつ」シリーズ(2019-)は、他社版権キャラのSDプラモ。高さ10cmは「ねんどろいど」とほぼ同じだが、頭身バランスは大きく異なる。まともに可動するのは首、肩、肘のみ。SDサイズなので、特に四肢は小さなパーツが多く、また、シールを多用する(※それでも色再現はかなり不足する:特に「宮本武蔵」)。一見すると初心者向けのようだが、実際にはデリケートな組み立てが要求される。少ないパーツ数で造形上の再現は頑張っているし、頭髪や紐のディテールは良く出来ているだけに、小サイズゆえの限界がもったいない。

  「AQUA SHOOTERS!」(2018-)は、500円ガチャポンだが店頭箱売りもされており、簡素ながら組み立てプラモデルと呼ぶことができる。高さ8cm弱、4頭身程度のSD体型。肩/肘/膝の関節は接続軸を差し込む形で、それぞれ90度ほど可動し、かなり柔軟にポーズを取れる。足首もボールジョイントで可動するので接地性が高い。股関節も柔軟に可動するが、スカートを履いているため可動範囲が制限される。フェイスパーツはシリーズ内で互換性があり、自由な組み替えを楽しめる。可愛い。
FIORE (VOLKS)   【概要】:2017年から。「プリムラ」「ローズ」「コスモス」など。15~16cmと、やや大きめのサイズ(FAGシリーズと同等程度)。「VLocker's」プロジェクトの一環で、十字接続穴を活用した自由なミキシングが想定されている。表情パーツや髪型パーツなど、別売りの純正オプションパーツがたいへん充実している。ただし、いずれもVOLKS専売なので入手難度が高め。

  【特徴】:設定や原作のないオリジナルキャラクター。「感情」表現を掲げているとおり、表情豊かなキットが多い。全身のプロポーションはすらりとしていて美しく、とりわけ脚部のシルエットは抜群に素晴らしい。肘の二重関節も、可動と見栄えを巧みに両立させている。掌パーツの造形も、他社キットと比べて桁違いに出来が良い。素肌パーツの成形色は、ほどよい血色感と透明感があり、国際最高級レベル。印刷済みの顔パーツはたいへん表情豊かだし、ツインテールなどの頭髪造形も優れている。特に「ローズ」「リリィ」は装飾的なデザインが魅力的だし、「ドラセナ」は悪役路線のデザインがガールプラモとして個性的。
  総じてフェミニンな個性が強く、「Fiore」(=花)の名前のとおり華やかで愛嬌のあるガールプラモシリーズである。各パーツがグロス(ツヤあり)仕上げだったりラメ入りだったりするのも、きらびやかな印象を後押ししている。ただし、「アイリス」は過度に肉感的な体つきになっており、いささか歪に見える。シール類は、塗装派向けの両目デカールのみ。
 初期は比較的プレーンなガールプラモだったが、「ローズ」「リリィ」には複雑に組み替えられる巨大な武器が付属するし、「コスモス」「ドラセナ」には五指可動のしっかりした同伴キャラが付属する。価格は高めだが、納得できるだけの十分なボリュームがある。コンセプトが明快で、素体と武装の一体感もある、洗練されたデザイン。

  【評価】:残念ながら、組み立てプラモデルとしての品質は低い。特に初期の「プリムラ」はひどくて、プラはカリカリに硬くて削りにくいし、嵌め込み精度も低くて緩すぎたりキツすぎたりする。嵌め込みピンの長さも調節必須で、ピンを一々切らなければ合わせ目が隙間だらけになる。関節部はポリキャップとABSパーツの選択式(両方同梱されている)だが、胴回りや股関節のグラつきは致命的。太腿ロールもポリキャップで受けているため、グラつきやすい。関節部以外もパーツの大半はABS製で、塗装しづらい。パーツの造形は、一部に細やかなものもあるが、全体としては大味。長所と短所が極端で、上級者向け。
  ただし、シリーズを重ねるごとに品質改善されており、「ヴィオラ」では関節のグラつきが解消されたし、「ローズ」「ドラセナ」はパーツ精度がいくぶん向上した。「ルピナス」の肩回転構造は、非常に洗練された見せ方を実現している。
その他 (VOLKS)  VOLKS版「フェイ・イェン」(2014)の評価は、上記FIOREとおおむね同じ。パーツ精度は低く、強度確保にも問題があるが、造形上の魅力は確かに感じ取れる。脚部のラインは美しいし、両手も細かくパーツ分割して表情豊かに造形されている。また、一部にアンダーゲート方式を採用しており、合わせ目が汚くならないように配慮されている。
Variable Fighter Girl (AOSHIMA)   【概要】:2018年から。「ジークフリード」「メサイア」など。アニメ『マクロス』シリーズを元ネタにしつつ、正統派のメカ少女プラモになっている。パーツ嵌め込みはスルリ、ピタリと嵌まり込む高精度で、作っていて気持ち良い(※ただし、「メサイア」は嵌め込みがキツめだった)。ロボット部分に騎乗させるために、ガール部分は上半身をきれいに反らすことができる構造になっている。少女部分は約15cm、機体部分は全長約20cm(※おそらく1/90程度の縮尺)。ガール+メカプラモをセットにしているため、大ボリュームのキットになりがちで、価格も1万円を超えるものがいくつもある。

  【特徴】:素体(女性部分)は、水着のようなボディスーツ型ファッション。片目隠れオッドアイ+猫耳尻尾だったり、金髪ぱっつん+赤ツリ目だったりと、なかなか濃いキャラづけをしている。プロポーションはかなり肉感的で、とりわけ騎乗時のヒップラインはたいへん美しい。また、ロボット部分と合わせて3形態に変形できるので、遊び甲斐もある。上記のとおり、パーツフィットは高精度で、メカ部分のスミ入れもきれいに入る。

  【評価】:元ネタのデザインからしてやむを得ないことだが、成形色段階での色再現は非常に弱く、ロボット部分は大量のシールを貼り付けることになる。しかし、きちんと完成させればカラフルで魅力的な立体物が出来上がる。肌色パーツの色合いがべったりしているのは残念。
その他 (AOSHIMA)   「合体アトランジャー」シリーズは2021年から。同社が昔販売していたオリジナルロボットをリデザインしたものに、ガールを追加したセット商品。webコミックも同時展開している。ガールはやや小さめのサイズ(14cm強)で、小顔なプロポーションが特徴的。ロボットは約17cm。

  ガールの各部構造は、VFGシリーズを引き継いでいるところが多い。例えば両肩の造形は、上腕パーツが大きく盛り上がって肩部分まで形成しており、また、胴体部分もVFGに倣って、胸部と腹部の間に筒状パーツを入れて隙間をなくす3段構造になっている。腰部はメガミデバイスのようなオムツ構造。パーツ精度は十分だが、ごく一部にアンダーゲートを採用しているので、制作時は注意が必要。素肌の色合いは明るめで、血色の良い感じ。関節部はやや柔らかいが、保持力には問題無い。デカール/シールは、無印「アトランジャー」では少ないが、「アトランジャーΩ」は各部の模様を再現するデカールを多数使用する。また、「アトランジャーΩ」の前腕や脛はスライド金型でワンパーツ構造にしてあり、合わせ目が生じないように配慮されている。

 合体ロボットを適宜分解して、ガールの装備として様々に組み合わせることができ、プレイバリューは高い。ただし、ガールとロボットの組み合わせには有機的なつながりは無く、適当に背負ったり武器として持ったりするという程度。基本的にはロボット部分が商品のメインと見るのが妥当だろう。
Good Smile Company  MODEROID「エリアル(ARIEL)」(2019-)は、16cm強とやや大きめ。原作のある巨大ロボットキャラクターであり、他社の15cm級キットとは構造がかなり異なる。可動範囲は小さいが、メカニカルな関節露出表現などに際立った個性がある。腕や太腿はスライド金型による一体成形で、合わせ目回避が配慮されている。実用主義的な堅牢性に専心したキットのようだ。
   MODEROIDシリーズから、映画原作の「パワーローダー&リプリー」も発売された(2022年)。SF重機と女性搭乗者が同梱されているキットだが、女性部分はグレー単色で、可動範囲も狭い。ただし、実在人物をモデルにしたリアリスティックな女性プラモデルとして、特異な位置にある。なお、縮尺は1/11相当のため、パワーローダーに他のガールプラモ等を乗せることもできる。

  「chitocerium」(platinum、carboniaなど)は2019年から。オリジナルのキャラクターシリーズ。ボディの構造はメガミデバイスに準じ、可動範囲はかなり大きい。ハイディテールな掌パーツや、全身を折り畳んで箱詰めできるギミック、上腕の1パーツ化(両面スライド金型)など、技術面での見どころもある。ただし、パーツ精度はやや甘く、左右貼り合わせは隙間が出ないかどうかきちんと仮組みした方がよいし、関節部やピンの長さも調節する必要がある。
  デザイン面では、切り絵のような装甲や、ドール風の球体関節趣味など、ファンシーでフェミニンな耽美路線を採っているのが大きな特徴。パッケージアートも花々をあしらったロマンティックな趣向。ボディそれ自体は15cm級だが、「platinum」は約2cmの超ハイヒールで、すらりとしたシルエットになっている。「albere / efer」と「urania」は、約11cmの幼児的なボディが特徴的。
  パーツ表面のツヤ有り/ツヤ無しが細やかにコントロールされている。また、各部がアンダーゲート化されている。塗装済みパーツもいくつかあり、基本的には無塗装素組みを想定しているようだ(※大半がABS製パーツであり、インストの塗装指示も無い)。関節部などの一部パーツは、柔らかいABS製と頑丈なPOM製の両方が同梱されている。技術面でも美意識の点でも、創意に溢れた意欲的なシリーズ。

 Max Factory(+GSC)の「Guilty Princess」(2021-)は、原作の無いオリジナルシリーズ。猫耳メイドや「不思議の国のアリス」といったファンタジー寄りの穏当なキャラクターデザイン。
 「ミャオ」を組んでみたが、高さは約16cmと大きめで、頭身も高めなプロポーション。パーツ精度はひとまず合格水準で、パーツ構成も素直で組みやすい。関節部もほどよく固い。質感表現にも配慮されており、衣服パーツはツヤ消し化処理が施されている。肌の成形色はごく普通。手先の造形はそこそこ。素材はPSとABS混用だが、下着パーツがPVC製で一体成形なのが興味深い。デカールは、カードマークや両目プリントなどごく一部のみ。基本的に無塗装組み立てを想定したキット構成と思われる。
 その後は、ヴァリエーションキットを連発したり、シンプルな下着キットだったりと、デザイン意欲とラインアップ展開は非常に後ろ向きに見える。
その他のメーカー  WAVEの「未夢」は、比較的早い時期の製品(2013年発売)。細やかに髪筋がモールドされていたり、ほぼ全面的にアンダーゲート化していたりと、技術的にも見るべきところがある。フェイスパーツ3種も塗装済みで、掌パーツは爪まで細かく塗り分けられている。ただし、関節部はポリキャップ頼みで、可動範囲もきわめて小さい。実在ロボットの模型化としてはたいへん興味深いが、動かして遊ぶには不向き。高さは約13cmで、モデル元(158cm)に対する厳密な1/12縮尺と思われる。

  Alphamax/Skytubeの 「Dark Advent」シリーズ(2019-)は、原作の無い独自シリーズ。メガミデバイス等と同じ設計者が参加しており、可動構造も類似する。サイズは15cm級で、プロポーションはかなり肉感的。「ラーニア」を作ったが、パーツ精度は低め。ダボや関節部の嵌合が非常にきつく、棒ヤスリ等での調整が必須。ガール部分はほぼABS製(※武装の一部はPS素材)。
 シリーズ名「Dark Advent(闇の降臨)」からも窺われるとおり、ドラゴンやクラーケンといったファンタジー寄りのデザインを取り込んでいる。成形色による色再現はほぼ完璧で、キット全体のボリュームもある。また、男性局部を模したパーツや乳首塗装済みのバストパーツを含む18禁版(DX版)も販売されている。

 エムアイモルデは、「機動動姫 MoMo」を発売した(2022年)。原作の無い(設定のみ存在する)オリジナルキャラクター。女性的なデザインだが、設定上は1/144スケールのロボットプラモで、頭部もメカ顔。上半身は15cm級ガールプラモに近いサイズだが、脚部のボリュームが大きく、全高は約18cmになる。金型精度は高く、パーツ分割による色分けも丁寧に構成されている。関節部はポリエチレン(PE)素材を多用しているが、グラつきは無く、しっかり安定している。
 同社は、小型プラモ「smart daughter : eos 月白/漆黒」(2021)も発売している。

  18cm級のGFP「マリー」「フィーナ」(2018)は、買いそびれた。
海外のメーカー  中国の橘猫工業(おそらく上海のメーカー)は、2020年に「C.A.T.-00 (Felis)」を発売した。日本以外の現代的ガールプラモとしては、初めてだろうか。可動構造はメガミデバイスに近い。メリハリの利いたプロポーションで、腰周りや脚部のラインが美しい。ただし、両肩は可動確保のためにシルエットが犠牲にされている。接続穴は背中の1個だけで、拡張性は乏しいが、シンプルな素体キットとしてリーズナブルに買える(※日本では、WAVEが国内販売しており、税抜定価2980円)。
  パーツ精度は非常に高い。素肌成形色は各社ガールプラモの中で最も赤味が強いが、組み立ててみると血色の良い健康的な肌に見える。ハイヒール込みで頭頂高16cmと、すらりとしたプロポーション。
 橘猫工業は、2022年に「新重研物所」ブランドでガールプラモ「フェーディ」をリリースした。パーツ精度は高く、アンダーゲートは少ない。設定上、小柄なキャラクターのため、高さ11cmと小さめで、関節構造もシンプルだが、精緻な色分けで密度感のある個性的なガールプラモになっている。セットの蜘蛛型メカも、非常に精密でメカニカルな構成。

  MOMOLING「豊臣秀羽」(2020)は、中国メーカーだが国内の模型店でも販売されている(※筆者は税抜3980円で購入した)。金色ランナーと銀色ランナーは塗装済みで、後ろ髪はゴム製パーツ、さらに金属パーツも入っており、構成はかなり凝っている。プラはBANDAIキットのようにソフトに切れる。
  青と白の衣装もパーツ分割できれいに色彩再現されている。パーツ精度は非常に高く、関節強度はちょうど良い。ただし、拡張性は乏しく、元デザインからして可動範囲は狭い。胸部(肩)は真横に多少引き出せる。膝丈のロングスカートは、15cm級ガールプラモとしては珍しい。メカ要素は無く、武装(甲冑)キャラのカテゴリーと思われる。

 EASTERN MODEL(御模道)も中国のメーカー(広東省深圳市)。2020年頃から、原作の無いオリジナルの重武装ガールプラモを多数発売している。日本では童友社が販売代行しているようで、国内の模型店でも購入できる。
 パーツはほとんどがABS製。ただし、「青龍」の頭髪は軟質PVCだった。パーツ精度はやや低めで、しかも過剰にアンダーゲート化しているので合わせ目処理に気を遣う。関節部の固さも、渋すぎたり緩すぎたりで安定しない。ボディ構造は日本の標準的なガールプラモとおおむね同等だが、一作ごとに構造はまちまち。全体的に、可動確保よりも造形美を優先しているようだ。
 公称1/12スケールで、ガール素体は約15cm級。「錦衣衛」や「フランケンシュタイン(エリザベス)」はハイヒール込みで16cmになる。四聖獣などをモティーフにした独自デザインのガールで、武装パーツはかなりのボリュームがあり、しかもガール+武装がきちんと合わさった統一感のあるデザインになっている。パーツ分割による設定色再現はほぼ完璧で、同梱デカールは基本的に両目のみ。フェイスパーツは、「青龍」「錦衣衛」「フランケンシュタイン」では互換性あり(※「アラクネ」のフェイスは規格が合わない)。いずれも武装デザインに明確な個性と独創性があり、ボリュームのある武装ガールプラモとして貴重だろう。なお、大半のキットは素体状態と武装形態で丸々2体分のガールを作れるというお得な仕様。

 NUKE MATRIX(核能矩阵)も、中国のメーカー(広東省汕頭市)。2020年(?)から、ガールプラモをいくつかリリースしている。これも童友社が販売代行している。縮尺は明示されていないが、ヒール込みで15cmと、メガミデバイスやBANDAIキットに近いサイズ。プラは柔らかめで組みやすいが、パーツ精度は程々で、すり合わせに気を遣う必要がある。素材はほぼ全てABSで、アンダーゲートは多め。関節部は、固すぎず柔らかすぎずで程良い感じ。
 構造とデザイン。肩甲骨回転+オムツ腰部のメガミデバイス流だが、設計それ自体は完全に独自のもの。「F.O.X.」と「Lirly Bell」は腹部の内部メカが剥き出しになるという本格派のメカガール路線で、脛のシリンダー可動まで表現している。ただし、素肌の成形色は月並。コーションマークなどのデカールが入っている。
 第一作「雛蜂」は原作付きキャラクターのようだが、「F.O.X.」と「Lirly Bell」はオリジナルで、デザインの完成度も高い。四肢を差し替えて武装状態にすることができ、さらに大型の武器やロボットも同梱されている。

 Mecha Pigは中国広東省東莞市のメーカー。2021年(?)から、「将魂姫(MS General)」シリーズを精力的にリリースしている。日本での販売元はゴモラキック社。以下、第1作「趙雲×乗黄」を組んでみた所見。スケールは公称1/10で、素体サイズは約16cm。オリジナルデザインで、ガール素体と大型のメカパーツを組み合わせることができる。パーツ精度は高く、カチリ、ピタリと嵌まる。関節は固すぎずちょうど良いが、一部の接続は非常に硬かった。中国メーカーとしては珍しく、アンダーゲートはごく一部のみ。素肌パーツの成形色は明るめで、血色感と透明感がある。素材はほぼPS製で、関節部には頑丈なPOM素材を使っている。
 ボディ構造は無難。肩関節は一軸のみだが、カバーパーツを挟むことでシルエットをきれいに保っている(※AOSHIMAの腹部3重構造と同じような発想)。胸部と腹部には可動部が設けられているが、パーツ干渉が厳しく、ほとんど動かない。腰部は非-オムツ型だが、ハイレグ式に切れ上がっているため、可動範囲は大きい。
 デザイン面。歴史ネタ(三国志)+架空生物デザイン(竜など)+メカニカルな装備のキャッチーな路線。無塗装でもほぼ設定画を再現できるが、ごく一部にカラーシールを使用する。キャラクターの顔立ちは、かなり古さを感じる。頭髪造形も程々。武装パーツは非常にボリュームがあり、プレイバリューは高い。
 2022年に発売された「极次元(極次元)」シリーズの「清源真君 楊戩 & 哮天犬」でも、メーカーの特徴はおおむね同一。すなわち、「素材はPS製」、「アンダーゲートはごく一部のみ」、「パーツ精度は高い」、「可動構造はシンプル」、「関節はかなり硬い(一部にPOM使用)」、「素体は大きめ(約16cm)」、「中国史モティーフのキャラクター」、「サポートメカと同梱」。ただし、両目のプリントは非常に細やかになって魅力が増しているし、チャイナドレス風のデザインも洗練されている。スライド金型を多用して、腕や脚を徹底的に一パーツ化しているのも特徴的。ゴールドパーツはランナー塗装済みで、頭髪は軟質PVC製の一体パーツ。

 SUYATAは香港のメーカー。2021年(?)に1/24スケールの「戦国の三四郎」シリーズに忍者少女のキットを発売したが、小スケールのせいもあってか、出来はかなり緩い。1/9スケールの「ツィ=ドール」も同年にリリースしているが未購入。
 標準的な15cmガールプラモ規格の「Arya」は、2022年3月に日本国内の模型店でも見られるようになった。オリジナルデザインのガールプラモで、関節構造や外装の付け方に独自性がある(※上腕に回転軸があったり、肘が二重関節だったりする)。素材は明記されていないが、通販サイト等の記載によればABS製のようだ。中国メーカーの例に漏れず、無塗装での色分けはほぼ完璧で、しかも多重スライド金型を多用して細やかに造形している。アンダーゲート多数。2022年(?)発売の「Artemis」は、たいへんなボリュームの力作で、これも完成度は高い。
 構造。素体のジョイント部分にはポリキャップを適宜使用している。関節部の固さ/緩さは安定しない。また、嵌め込みがうまく合わないところがあるため、制作に際しては、ピンと穴の径を調整する必要がある(※嵌め込みがきつすぎることが非常に多い)。
 特徴。素体四肢と武装四肢の2種類を組み替えることができる。また、一部は色違いの同一ランナーが2枚同梱されており、随意に選んで組み立てることができる(コンパチ)。「Arya」には近未来的なバイクとメカ犬が含まれ、「Artemis」にも大規模な背負い武装があるため、全体としては相当なボリュームになる。ただし、パーツ構成が整理されて、パーツ数は少ないので、制作は容易。

 dodowoも汕頭市のメーカーのようだ。2022年末(?)に、中国アニメ原作のキャラクター「灯塔上民:荷光者・梵蒂(Fandi)」を発売した。サイズは約17cmと、かなり大きめ。ガールプラモとしての設計は、他の中国メーカーに類似する。すなわち、「ABS素材」、「アンダーゲート多用」、「関節構造はシンプル」、「塗装済みパーツが多く、無塗装でも再現度が高い」、「異素材を多用(上着と頭髪は軟質PVC、スカートは布素材)」、「頭身が高く、すらりとしたプロポーション」、「同じランナーの色違いが複数同梱されている」。パーツ精度は平均的。アンダーゲートの件も含め、合わせ目の隙間に気をつける必要がある。
 ガールプラモとしての特徴は、「大きめのサイズ」、「原作のあるキャラクター」、「塗装済みパーツが非常に多い」、「パーツ精度はやや低い」、「プラによる布服表現が良く出来ている」といったところ。スライド金型もたくさん使用しており、メーカーの頑張りが窺われる。特徴的なギミックとして、頭部にLEDを仕込んで発光させることができる(※figma「ボンドルド」と同じ手法)。


  おおまかに言えば、中国メーカーのガールプラモには、以下のような傾向があるようだ。
  1) 素材:プラ素材はほとんどがABS製で、PSパーツは非常に少ない。塗装時は注意。その一方で、異素材の使用に積極的。頭髪のPVC、関節部のPOM、武器類の金属パーツ、布製小物、塗装済みの金色ランナーなど。
  2) ランナー:アンダーゲートが非常に多い。ほぼデフォルトというほど徹底されている。アンダーゲートは、表面の細かなモールドを避ける際には効果的だが、太腿などの合わせ目にアンダーゲートが来ると、隙間が出ないようにすり合わせをする必要がある。一長一短。
  3) デザイン:原作無しで、四聖獣などのファンタジーモンスターに基づいた独自のキャラデザが大半。ボリュームのあるキットが多い。価格も高めだが、内容に照らして見ればリーズナブルと言える。デカールやシールはほとんど使わず、できるかぎりパーツ分割によって色再現している。クリアパーツを好んで使用し、カラフルなキットが多い。ちなみに、キャラクターデザイナーはクレジットされていないものが大半(※日本のメーカーはほとんどがキャラデザをクレジットしている)。
  4) 構造:腹部や四肢関節など、各部の構造は、複雑に凝ったものもあればシンプルなものもあり、メーカーごとに様々。メガミデバイスやDark Adventのような肩回転構造を仕込んでいるものもある。また、シリンダー可動のような本格的な機械的構造をガールプラモにも積極的に取り込んでいる。3mm接続穴のような外部拡張機構はほとんど設けておらず、キット単体での完成度を追求しているようだ。サイズはほとんどが15cm級(6インチ級)だが、16cm程度の大きめのキットが多い。また、1/10や1/12のようにスケールを明示しているものが多い。プロポーションは、脚部がスラリと長い、スレンダー志向が非常に強い。
  5) 品質:パーツ精度はどれもひとまず水準に達している。たいへんな高精度のメーカーもあるが、嵌め込みのきついものもある。私見では、「橘猫工業>MS GENERAL=コトブキヤ>SUYATA>NUKE MATRIX>グッスマ>EASTERN MODEL」くらい。フェイスパーツの造形は、あまり洗練されないものもあるが、2022年に入って急激にクオリティ向上してきたように見受けられる。日本キットのような愛嬌ある笑顔よりも、凜々しく大人びた小顔スレンダー路線が好まれているようだ。


  おおまかにまとめると:
  プラモとしての品質(精度等)は、FRS=VFG>FAG=MD>>>FIORE。
  制作(無塗装)の容易さは、FRS>VFG>FAG>MD>>FIORE。
  素体の肉付きは、VFG=フレズヴェルク(FAG)≧FRS>FAG=FIORE>MD。
  単体でのプレイバリューは、MD=FAG(大物)=VFG>>FRS=FIORE>FAG(素体)。
  デカールやシールの量は、VFG>>MD=FRS>>FAG>FIORE。

  しかしVOLKSのキットも、素体の造形(プロポーション)は抜群に美しい。全体のプロポーションや各部のディテールは優れているので、工作技術のあるモデラーがきちんと組み立てれば、他社製品に勝るとも劣らない魅力的なガールプラモになる。


【 2. 各キットのサイズとプロポーション 】

左から「FAG:フレズヴェルク」、「創彩少女庭園:小鳥遊暦」、「Figure-Rise Standard:ダイバーアヤメ」。おおむね15cm級のサイズだが、キットごとにプロポーションは大きく異なる。
「小鳥遊暦」の頭部を、「ガールガンレディ:アリス」(左)や「FRS:レーナ」(右)のボディに乗せた。頭身はそれぞれ多少異なるが、おおむね見られるレベルに収まっている。
各社の15cm級ガールプラモや1/12級ドールを並べて。おおまかに言えば、主流派の15cm級と、それよりわずかに小さめの14cm級(主にBandaiキット、メガミデバイス、1/12ドール)に分けられるだろう。figmaはさらに小さい。

キット(シリーズ)身長とバストサイズ備考
アーキテクト (FAG)155mm / 51mm
身長はヒール(メカ足)込み。「マテリア」「イノセンティア」も基本的に同一構造だが、そちらは素足のぶん、頭頂高は下がっている。
フェイ・イェン (VOLK版)145mm / 52mm
靴はやや大きめ。純然たるロボットキャラクターであり、胸部の膨らみはほぼ無し。HASEGAWAも「バーチャロン」シリーズをキット化している。
ローレル・フォリア (VOLK)150mm / 52mm
踵はヒール表現がある。素のボディはすっきりしたプロポーションだが、各部に接続機構が設けられており、拡張性がある。
ランチャー (MD)150mm / 57mm
約1cmのハイヒール込みなので、ボディ本体はもっと小柄。胸部に関しては、同シリーズの「ウィッチ」「ラプター」はもっと小さいだろう。逆に、同シリーズで最も豊満な「弓兵」でも66mm。胸部骨格の小ささが影響していると思われる。
小鳥遊暦 (創彩)155mm / 59mm
公称1/10スケール。足元は普通の靴。シルエットを美しく見せるためか、脇の下の背中側がやや出っ張っている。冬服の着衣デザインながら、非常にスリムなプロポーション。
carbonia adamas (chitocerium)150mm / 61mm
足元は高めのヒールあり。同シリーズでは、幼児的体型のキットも発売される。
カイロス (FVG)150mm / 63mm
靴は5mmほどのヒールがある。バストサイズは大きそうに見えるが、実寸は穏健な数字。アンダー(肋骨の小ささ)とのコントラストで大きく見えるのと、バストが前方にまとまっているためだろう(※下記「アヤメ」は、バストが左右に広がっている分、ボリューム以上に胸部外周の数値が大きくなっている)。
ダイバーアヤメ (FRS)150mm / 69mm
足元は足袋なので、身長の嵩上げはほぼゼロ。同社の「モビルドール サラ」は145mm / 61mm。
グライフェン (FAG)150mm / 71mm
足元は、やや厚みのある靴。胸部はハーネスベルトで盛り上げているデザインだが、FAGシリーズでは最大サイズと思われる(※「フレズヴェルク」は158mm / 68mm、「白虎」はアーマー込みで160mm / 70mm)。
ラーニア (DA)150mm / 72mm
素足デザイン。胸部は前垂れのみで、ほぼ素肌。一般販売されている15cm級ガールプラモとしてはおそらく最大サイズ(※AOSHIMAの「クラン・クラン」も大きいようだが、未購入なので分からない)。
ミセス. ローエングリン子 (BANDAI)180mm / 90mm
ヒール込みで18cmと、他のシリーズよりも一回り大きい(設定上は1/144スケールとのこと)。
※水着女性ボディTYPE2 (figma)130mm / 57mm
ポピュラーな可動完成品フィギュアの例として。スケールは、やや小さめの1/12と想定するとしっくり来る。

 基本的には、どのシリーズも15cm級のサイズ。ただし、FAGシリーズはわずかに大きめで、逆にMDシリーズは小さめ。スケールとしては1/10~1/11に相当し、市販の1/12級ドールのフィギュアよりも大きい。ただし、1/12スケールの小物類はおおむね流用できる。
 各数値を10倍~11倍すれば、おおむね現実の人間(平均的な成人女性)に相当する。しかし、いずれも胸郭がかなりスリムにデフォルメされているので、バストサイズについては単純な比較ができない。胸部骨格の分は、それぞれ+20mmくらいが妥当だろうか。バストサイズは、市販のドール用布服を着せる際に大きく影響する。バストやヒップが大きすぎると着られないので、ボディラインがスリムな方が布服着用に向いている。ただし、ヒップサイズは装甲パーツや衣服造形などのせいで測定困難なものが多かったため、ここでは計測を割愛した。
 「ミセス. ローエングリン子」のような大スケールのキットには、大サイズならではの迫力があるし、また、内部構造を組み込む余裕も大きく、ディテール(モールド)造形の可能性もある。こうした大サイズの路線も、今後増えていってくれたらと思う。


 サイズに関しておおまかに分類すると:
 - 6インチ(15cm)よりも大きいもの:初期のHG Build Fighters(18cm級。規格もやや古い)。「マリー」「フィーナ」も18cm。FR-Laboはさらに大きい(※固定ポーズで23cm前後)。アルカナディアも、公称170mmとやや大きめになるようだ。
 - 6インチ級(15~16cm程度):FAG (Kotobukiya)、創彩 (Kotobukiya)、VFG (Aoshima)、バーチャロン (Hasegawa)、FIORE (Volks)、Dark Advent(GSC)。ギルティプリンセス。現代のガールプラモの主流派サイズと言えるだろう。1/12ドール用の布服は、ゆったりしたものであれば6インチ級にも着せられる。
 - 6インチよりも小さめ(14~15cm弱):メガミデバイス、chitocerium (GSC)、FRS (Bandai)、HG Build Divers (Bandai)、ガールガンレディ (Bandai)。初期のKotobukiya(レイキャシール、KOS-MOS)も14cm程度で、しかもかなりの小顔。「素材ちゃん」やムーバブルボディ、1/12ドールもこれらと同じくらいのサイズ。アトランジャー(Aoshioma)はさらに小さく、13cm弱。30MSでもティアーシャ (Bandai)は約13cmと小さく、figmaに近い。ただし、上記6インチ級とミキシングしてもそれほど違和感は無い(例えば頭部のつけ替え)。


  【 メーカーの一覧 】

  別ページの「年表」リストに掲載されているメーカーの一覧。系列企業を含めておおまかにまとめてある(特にBANDAI)。また、提携関係があったり共同開発していたりする場合もあるので、以下のリストはあまり厳密なものではない。

メーカー
(五十音順)
製品またはシリーズ(おおむね発売順。括弧付きは個別キット、括弧無しはシリーズ名)
AOSHIMAヴァリアブルファイターガールズ(VFG)、「ごきチャ!!」、mobip、ちびっこドール
Azone Internationalアサルトリリィ
アトリエ彩「舞-乙HiME」シリーズ、デュエルメイド
ALPHAMAX
 (Skytube)
Love Toys、Dark Advent(DA)
池上金型工業KADENN+NA
エクスプラスマリア(メトロポリス)、1/8ヴァンピレラ
エムアイシープリプラ「妖精ピコ」
WAVETFC BEACH QUEENS、「HRP-4C未夢」、Movable Body、「C.A.T.-00」、まめしき、メモリアルゲームコレクション(筐体)、Armed World、タチコマ
VOLKSバーチャロン、VLOCKer's:FIORE、塗るプラ、カスタマイズフィギュア
APEXARCTECH
EVOLUTION・TOYふるプニっ!
AFV Club「高校シングルシート 机&椅子」
エクスプラス「メトロポリス:マリア (Machinenmensch)」
エポック社素ボディ
エムアイモルデ(cavico)チョイプラ(smart daughter: eos月白/漆黒)、「機動動姫MoMo オルカ」
EMONTOYSふぁいどる
ガイアノーツ塗料「フレームアームズ・ガール カラー」
海洋堂AETPLA、リボルテック、アッセンブルボーグ
Good Smile Company(+Max factory)ギルティプリンセス、ねんどろいど、figma、minimum factory(PLAMAX)、MODEROID、ACT MODE、chitocerium、ゴッズオーダー、Hello!GoodSmile、合金シリーズ
グリフォンエンタープライズ「フィぎゅっと!」
幻影GFP(Genei Full action Plastic model)
KOTOBUKIYAホイホイさん、PSO/PSO2(レイキャシールなど)、Xenosaga(KOS-MOS)、キューポッシュ、スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONSシリーズ(SRGS)、フレームアームズ(FA)、フレームアームズ・ガール(FAG)、ZOE(ドロレス)、世界樹の迷宮、メガミデバイス(MD)、アルカナディア、ワルキューレ、イカ娘、装甲娘、創彩少女庭園、メダロット、HEXAGEAR、ハンドスケール(HS)、Qpmini、ワンコイングランデフィギュアコレクション
KONAMI武装神姫、デスクトップアーケードコレクション
シーエムズコーポレーショングッとくるフィギュアコレクション
SQUARE-ENIXHo229&2B、Structure Arts、BRING ARTS、PLAY ARTS(改)
Studio YU-WAチョトプラモ(※販売代理はアスカモデル)
Storm Collectibles
「春麗」
SUYATA「ツィ=ドール」、戦国の三四郎、「ARYA」
千値練4インチネル
2nd axeHENTAI ACTION
SO-TA「ヤマトマネキン 1/12サイズ nude」
ダイキ工業「ポプ子」「ピピ美」
daibadi productionポリニアン
橘猫工業「C.A.T.-00」、Armed World
タカラトミーブラックシリーズ6インチフィギュア、ダイアクロン、MP-46ブラックウィドー、ミクロマンアーツ
東京フィギュアアッセンブル・ヒロインズ、MINICRAFT
童友社「トランフォーマー:アーシー」
TOMYTEC鉄道小物、リトルアーモリー
Dragon HorsePICCODO BODY9、1/12キャンプ装備セット、ジオラマテントセット
ハイキューパーツ「カスタムアイデカール」など
HASEGAWAバーチャロン、1:24 フィギュア コレクション、1:12フィギュア用アクセサリー、「ケイ & ユリ」、JKメイト
BANDAIS.H.Figuarts、Figuarts mini、HGFC(High Grade Future Century)、HGBF(HG Build Fighters)、HGPG(HG Petit'Gguy)、LBX、聖闘士聖衣神話、AGP(Armor Girls Project)、D-Arts、Figure-rise Bust(FRB)、Figure-rise Standard(FRS)、Figure-rise Mechanics(FRM)、Figure-rise LABO(FRL)、ぷちゅあらいず、ぷちりっつ、ガールガンレディ、30 MINUTE MISSIONS、30 MINUTE SISTERS、BB戦士三国伝、SD三国創傑伝、ポケモンプラモコレクション、学炎合体モエバイン忍術部、Q-JOY、Gasha Portraits、換装少女&換装重機、AQUA SHOOTERS!、想造ガレリア、勇動、SHODO(掌動)、COMPOSITE Ver.Ka、スーパーミニプラ、アニマギア、カプセロイド
Finemoldsワールドファイターコレクション
Phat!パルフォム
PITROAD「護衛艦しらぬい+女性自衛官」
52TOYSFANTASYBOX
FUJIMIPtimo
PLUMプラフィア、ウインビー
ブリックワークス「ミラクルガール12!」
プルクラ(PULCHRA)「時崎狂三」ほか
ベルファイン「邪神ちゃん」
ヘルメッツ 「1/12 テーブル筐体」
HOT TOYSハリウッド映画のキャラクターなど。
HOBBY BASE素材ちゃん
メガハウスデスクトップ・アーミー、ヴァリアブルアクション、ガンダムミリタリージェネレーションズ、「上級騎士&混沌の魔女クラーグ」
MEDICOS entertainment超像可動
メディコム・トイマフェックス(MAFEX)
MODELKASTEN「1/12 女性兵士 サラ」
MOMOLING神道物語
やまとフィアナ
ユニオンクリエイティブ「1/12 合成人間♀」
xx


  【 各製品の価格帯 】

※いずれも税抜定価。
※カラバリ、セット商品、限定販売品は除外。
※バリエーションキットは、最初の発売、または最もシンプルな構成のもののみを挙げた。
※SD体型は原則除外(ただし判断が難しい)。
※2020年3月時点での既発売商品。この価格情報リストは今後更新しないつもり。

価格帯BANDAIKOTOBUKIYAその他
8000~xガオガイガー、兼志谷シタラx
7500~xゼルフィカールメサイア (VFG)
7000~x吾妻楓カイロス (VFG)
6500~xドロレス、アキレス、エーデルワイス、ルーデンスジークフリード (VFG)、マリー (GFP)、フィーナ (GFP)
6000~南ことりバーゼラルド、フレズヴェルク、グライフェン、ランチャー、ランサー、ジェネアイリス (FIORE)
5500~初音ミク朱鬼姫シキ、白虎、初音ミク、忍者、弓兵、マジカルガール、ウィッチ、ラプターplatinum (チトセリウム)、ソフィア(DA)
5000~ホシノ・フミナ (FRL)xx
4500~xインペリアルの女の子、ワルキューレ、KOS-MOS (Ver.4)、ヴァルシオーネ、轟雷、スティレット、シルフィー、イノセンティア、レティシア、アサルト/スカウト、スナイプ/グラップル、ホーネット、ロードランナーヴィオラ (FIORE)、ローレル (FIORE)、ストレリチア (MODEROID)、エリアル (MODEROID)
4000~xスナイパーの女の子、迅雷フェイ・イェン(VOLKS)
3500~xレイキャシール、イカ娘、マテリア、アーキテクトプリムラ (VOLKS)、クー (PLUM)、エリカ (PLUM)、向坂環(PLUM)
3000~xホイホイさん、ぺストXさん、セイバーさん、小岩井よつば、ロール、ラピエールフェイ・イェン (HASEGAWA)、ガラヤカ (HASEGAWA)
2500~ミセス.ローエングリン子、アラレちゃん、ドラミ、人造人間18号、アスナxごきチャ (AOSHIMA)、未夢 (WAVE)、C.A.T.-00 (WAVE)
2000~はいぱーギャン子、チナッガイ、ダイバーナミ、ダイバーアヤメ、モビルドールサラ、モビルドールメイxx
1500~ノーベルガンダム、すーぱーふみな、ぷちりっつxx