2017/12/31

KOTOBUKIYA「ウェアウルフ・スペクター」制作雑記

  KOTOBUKIYA「1/100 XFA ウェアウルフ・スペクター:RE」に関する雑記。


  【 カラーリングメモ 】
  インスト表紙に描かれている設定画(イラスト)と、塗装見本(プラモ完成状態)とでは多少齟齬があるが、設定画を優先しつつ完成見本も参考にして考えることにする。全塗装するつもりだが、部分塗装で済ませることもできるようにメモする。また、榴雷/轟雷の状態でどのようなカラーリングになるかは不明なので、web検索と推測を交えて構想する。

●濃いグレー(主に本体)。成形色のまま。成形色段階で再現されているので、無塗装or部分塗装の場合には、この色を塗装しなくてもいい。なお、轟雷と榴雷では、手の甲(V1×6)が、指先とは異なった色(本体装甲の色)になっているが、WWSでは、成形色どおり、手全体がフレーム部分と同じ色のままでよい。ノーマル榴雷のカラーリングを参考にすると、顔面パーツ(D2)もこの色にしておくのが良いか。

●ほぼブラックの濃いグレー(主に追加装甲)。成形色のまま。この色になる箇所も、プラ成形色ですべてカバーされているので、無塗装でも設定再現可能。成形色は濃いめのミッドナイトブルーのように見えるが、塗装指示はブラック70%+ホワイト15%+パープル15%とのこと。

●グレーその2(本体各部の差し色)、あるいはブラック(?)。両肩の追加装甲の垂れている部分(E3×2、E7×2。ただし完成見本では塗り分けされていない)。轟雷用の両肩(B1-14とB1-15、2組)も、同じように塗り分けた方がよいだろう。股間のライン部分(A2-17)。コクピットカバー(C9)。背面の突起物(C1+C2、C4+C5)。足先(C6+C7、2組)。轟雷の膝前面装甲のライン部分(C10×2)もこの色にした方が、デザインとして整合的だろう。ナイフの刃部分は、保持する際に激しくこすれるので、無塗装のままの方が良さそうだ。
  ただし、これらは設定画ではブルー寄りのブラックで塗られているが、キット完成見本ではブラックになっているようだ。設定画ではディテールを潰さないために真っ黒が避けられているという可能性も考えられるので、プラモとしてはブラックで塗り分けてみてもいいだろう。
  また、脛前面のアウトリガーパーツも、設定画では単色のようだが、キット完成見本は塗り分けされている。せっかくだから、塗り分けしておいた方が面白そうだ(4ヶ所ずつの緩衝パーツをマットブラックにしてゴムっぽくしてみよう)。
  顎の部分(D2)も、WWSの完成見本ではカラーリングが識別できないが、榴雷のデザインを考えると、顎下のラインはブラックに塗り分けしておく方が良いかもしれない。
  その他、各部のスミ入れブラック。

●薄いグレー(ジョイントなど)。脛前面の追加装甲のジョイント(F1-2、F1-5、F1-6。各2個)。膝の追加装甲中央の接続部分(F2-10×2)。脛裏面のアウトリガーのジョイント(F1-7×2)。足首接続パーツ(B2-20×2)。胸部のボルトのような部分(A2-21)。長距離砲のジョイント(G4×2)。砲身の一部(G1+G5、2組)は、布か何かのようだ。シールドの一部(E4×2。榴雷ならば塗り分け不要)。シールドから本体への接続パーツ(I3×2)。両肩の追加装甲の接続部(E3×2、E7×2。轟雷の同じ位置のパーツ[B1-14とB1-15、2組]は、塗り分けしなくてよいようだ)。轟雷の長距離砲接続部分(C14+C15)も、この色にした方が筋が通るだろう。

●暗いシルバー(フレーム)。成形色のまま。キット完成見本では、WWS用のシールド接続部(I1、I2×2、I4)もこのフレームの色で塗装されている。黒鉄色で代用可能と思われる。

●フィールドグレー。グレネードランチャー(I5+I6、2組)。

●レッドブラウン。ナイフの柄(C3)。

●やや薄いグレー。ミサイルハッチ(I10×3)。ミサイルランチャーの内部(I9)。

●黒鉄色。グレネードランチャーの弾倉部分(I5+I6、2組)。長距離砲の弾倉も、この色で塗装するのが妥当だろう(G1+G5、G3、各2個)。

●ブルーFS15044。ミサイルランチャーの基部(I9)。シールドの裏面に装着するユニットなので、上記ハッチ部分ともども追加装甲部分と同じ色に塗ってしまっても良いかもしれない。

●ホワイト。成形色が対応していない箇所が多い。腰裏の排気口部分(A1-12、A1-13)。膝外装の上端部分(F2×2)。足の甲(B1-5×2)。パーツHの成形色ホワイトと一致させるように注意。WWS専用の片肩アタッチメント(H2、H4)と頭部前面(H1)も、成形色がすでにホワイトだが、塗装してもよい。榴雷用の両肩上部アタッチメントパーツ(E6×2)も、WWSに合わせるならばホワイト塗装した方がよいか。
  なお、設定画にはエンブレム、機体番号(「201」とある)、コーションマークがホワイトで塗装されているが、デカールは同梱されていないので、再現は難しい。適当なデカールを流用するのが簡便だろう。ノーマル「轟雷」も、パッケージアートでは両肩等に様々なマーキングが施されているが、完成見本では再現されていない(「轟雷」キットでもデカール等は提供されていなかったようだ)。ただし、FAG版の「轟雷」にはマーキングデカールが付属しているようなので、そちらから持ってくるという対処も考えられる。

●オレンジ。太腿のセンサー部分(A1-4×2)。SSWの頭部センサー(H1)。榴雷の頭部センサー(D2、D3)。長距離砲のセンサー部(G1×2)。轟雷の頭部センサー(A2-16)。轟雷の左肩上部のセンサー(A1-6)。ただし、元々の轟雷の頭部および左肩のセンサー部分はライトブルー(?)なので、黒いWWSカラーでもライトブルー等でカメラっぽく塗るというのも一案だろう。

●レッド。ミサイル(I9)。ただし、基部まで一体成形なので、塗り分けはかなり難しい。どうせハッチで閉じてしまうので、横着するならば塗り分けせずにおいてもいい。

●轟雷用の脛裏面履帯状ユニット(B1-10、B1-11、B2-27、B2-28、B1-9、B2-18、以上2組)を、どのような色にすべきかは不明。轟雷ではここだけ独自の色(本体よりも明るいブラウン)であり、それに対して「榴雷・改」キットの見本(公式サイト)では追加装甲と同じ色(グレー)で塗装されている。WWSとしては、この履帯パーツの色彩設定はおそらく存在しないので、ユーザーが任意に塗装してよいだろう。追加装甲と同じく、ほぼブラックの色で塗装しておくと、轟雷状態にした時にちょっとしたアイキャッチとして機能してくれそうだ。あるいは、せっかく複雑な造形なのだから、複数の色で塗り分けてもいいかもしれない(たとえばジョイントはグレーで履帯はブラックとか)。


  【 工程プラン 】
  このキット一つを塗装するだけならば、調色塗料は、大量に作る必要は無いと思う。ただし、一部にマスキング塗り分けが必要になるパーツや、隠蔽力が低いため塗り重ねが必要になるパーツもある。マスキングが必要なのは、大きなところでは、
- シールド: 追加装甲グレー→本体グレー(細部)。
- 両肩の追加装甲: 追加装甲グレー→ジョイントグレー→ブラック(下側)。
- 股間前面: 本体グレー→ブラック(ライン)。
- 膝前面: 追加装甲グレー→ジョイントグレー(中央)→ホワイト(上端)。
- 脛裏側のアウトリガー:追加装甲グレー→ジョイントグレー。
- 脛前面の追加装甲:追加装甲グレー→ブラック(緩衝材)→ジョイントグレー(接続部)。
- 腰部背面:本体グレー→ホワイト(排気口周囲)。
- 顔面:追加装甲グレー→ブラック(顎下)。
- WWSバイザー:ホワイト→オレンジ(センサー)。筆塗りかエナメル塗料の方が良いか。
- 長距離砲:追加装甲グレー→黒鉄色?(弾倉)→グレー?(布。筆塗りでいいかも)。
- グレネードランチャー:フィールドグレー(砲身)→黒鉄色(弾倉)。
- ミサイルランチャー:ブルー(基部)→グレー(内部)→レッド(ミサイル)。

  マスキングしやすい順序を考えると、塗装工程は追加装甲グレー→ブラック→本体グレー→ジョイントグレー→ホワイトの順番に塗っていくのが効率的か。ホワイトは、塗り重ねするなりシルバーを混ぜるなりして、きちんと発色するようにしたい。各部のセンサー類は、HASEGAWAの「フィニッシュ」シリーズや適当な余り物のシールを使う方が楽だろう。

  グレー4色はどのようにアレンジしたらいいだろうか。最も濃いグレーは、パープルを混ぜつつ極力濃くしておこうか。本体部分のグレーは、ニュートラルグレーをやや濃いめに。各部の差し色のグレーは、ブルー寄りのグレーあたりにしておくと、前二者との違いが出るだろうか。ジョイントなどのグレーは、塗装指示ではニュートラルグレーそのままだが、多少明るめにしてもよいかと思う。あるいは、ツヤの有無で別パーツ感を表現してもよいかもしれない。


  備考:轟雷/榴雷/WWSの3形態の組み替えは、ほぼ問題なく行える。競合するパーツもほぼ皆無だし、差し替えする箇所も、外しやすいような形状に設計されている。これほど複雑なキットでありながら余剰パーツはほとんど無く、ほぼ全てのパーツがランナーから切り離されるのがたいへん気持ちよい。フレームの足首接続パーツはどの形態でも使用しないが、適当なジョイントパーツとして使えばいい。また、長距離砲接続用のI7パーツは、1個あれば足りるが、破損紛失を考慮して計3個用意されている。
  ただし、後頭部パーツ(A2-16)だけは、轟雷形態と榴雷/WWS形態とで取り合いになる。つまり、どちらも完全な嵌め込みの組み立てになるので、一部差し替えで使い回しするのが難しい。考えられる対処としては、1)轟雷版の頭部と榴雷/WWS版の頭部のいずれかに決めてしまうか、2)差し替えしやすいように処理するか(ピンを削るなり、磁石を組み込むなり)、3)パーツを自作または複製するか、4)パーツ注文するか(※Aランナーと送料で1000円になる)、といったあたり。

  いろいろ見比べてみると、キットとしては「榴雷・改」くらいが一番バランスが取れているかも。青みがかった単色の明るいカラーリングで、色分けもはっきりしていて識別しやすいし、スミ入れをすればディテールが際立つし、しかも武装はかなりボリュームがある。成形色のままでも設定色の再現度合いは十分なようだから、無塗装でいろいろ動かしたりパーツを組み替えたりして遊ぶのにも適しているだろう。


  【 完成 】
  というわけでWWS完成。組み立てはたしか5時間程度、全塗装は丸一日掛かった。

(2017年12月31日、自宅にて撮影)
「榴雷・改」形態。できるかぎり設定画に倣いつつWWS(下記)をベースにして榴雷形態にするとこのような配色になるだろう。色彩(明度)を調整したり光沢/ツヤ消しを使い分けたりして、全体の構造を捉えやすいように塗装した。写真にはまるで反映されていないが、自分では満足している。
「ウェアウルフ・スペクター」形態。頭部バイザーを交換し、武装の位置を入れ替えただけで、全体の印象が一変するのが面白い。いずれにせよ、ボリューム感と密度感があってたいへん見応えがある。さらに、パーツ交換によってノーマルな「轟雷」形態にすることもできる。
背面写真。各部の塗り分けは、これで良いだろうか。設定画ではおそらく濃いブラックで面を塗ることができなかったであろうから、メカデザイナーが本来想定していたのはこのような色彩ではないかと思う。
※なお、左記写真では砲身の一部などが未塗装、また脚部前面アウトリガー接続部を塗り分けしそびれている(上の写真では再塗装してある)。


  合わせ目やヒケの処理は行っていない。しかし、パーツの合わせ目部分が目立つのは砲身くらいだろう。プラのヒケはシールド表面と膝両脇のパーツにやや目立つが、そのままにした。

  制作前は、WWSは顔の表情が無いのであまり良い印象を持っていなかったが、完成させてみるとこの鋭角のシルエットがWWSの攻撃的な印象に寄与しているのが分かって、むしろ榴雷形態よりもこちらの方が好きになった。左右非対称のデザインといい、黒基調のカラーリングといい、明暗が逆転したような配色といい、轟雷/榴雷からのヴァリエーションとは思えないほど個性的な形姿になっている。シールド裏面に隠し武装を備えているいやらしさも、ドラマを感じさせる(※実際、インストのショートストーリーでも、この武装に焦点が当てられている)。


  【 色彩のコントロール 】
  「轟雷」本体部分のグレーは、やや明るめにすることで追加装甲部分との違いをはっきりさせ、また、シルバーを混ぜたマット調の塗装にして無機的な雰囲気と重々しい質感を表現しようと試みた。幸い、なかなか武骨な感じになってくれた。コンクリートっぽい感じになったのは予想外だが、まあこれはこれで面白い。

  その一方、「榴雷」以降の追加装甲部分は、セミグロス塗装にして、ミステリアスな雰囲気と深みのある色彩を追求した。本体グレーとのコントラストをはっきりさせつつ、全体の暗い色調はきちんと維持されるような色合いを目指した。ほぼ色指定どおりだが、「真っ黒のようでいて、よく見るとちゃんと色味(パープル)が感じられるような色」になってくれた。

  各部ジョイントのグレーはかなり明るめの色にして、全体のアクセントになるようにした。接続部分の構造を見て取りやすいようにとの意図もある。模型の塗装は、各部の構造の理解を反映し表現するようなものでありたい。

  ホワイトは、わずかにブルーを混ぜてクールな色合いに。下地ブラックの上に塗っているので、微妙に沈んだシックな色合いになってくれたと思う。弾倉部分は指定どおり黒鉄色にしたが、露骨な金属的光沢がいささかスケール感を損なうようにも見受けられる。今後の検討課題。

  各部のセンサーは、HASEGAWAの極薄シール「ミラーフィニッシュ」の上にクリアイエロー+クリアレッドで塗装した。フィニッシュシート+塗装は、好んで用いている手法。下地シルバー塗装よりも鮮やかな金属的光沢が得られる(下品なくらいギラつく)し、上にのせるクリア塗料の発色もきれいだし、塗装時に塗料が混じる心配も要らない。ただし、塗料の定着力は弱いので、上から擦ったりすることはできない。手順は、貼り付ける範囲が分かりやすい場合には「シールに吹きつけ塗装してから切り出して貼付」でもいいし、今回のような極小面積の場合は「シールを切り出して貼付して、その上に筆塗り」でもいい。バイザー下部のライン部分は、細心の注意を払って筆塗りした(毛細管現象を利用)が、ホワイトの上にクリアオレンジがうまく乗ってくれた。

  「フィニッシュ」シートは、とにかく便利。極薄なわりに頑丈だし、粘着力も高いので、適当な場所にどんどん貼り付けていける。一枚約1000円と高額だが、汎用性が高いし、通常の塗装では実現できない色彩や質感が得られるものが多いし、たった一枚でもかなり長く使えるので、むしろコストパフォーマンスは良いと感じる。ただし、上記ミラーフィニッシュなどでも、明度は高くなりにくいという点には注意が必要(ホワイトや蛍光塗料を使った方がきれいに目立つ場合もある)。
  もっと安価なメタリックテープでも代用できるかもしれないが、試したことは無いので使い勝手は分からない。市販テープセットにはメタリックレッドやメタリックブルーなどの色も提供されているので、場合によってはそちらの方が簡単かもしれない。

「ウェアウルフ・スペクター:RE」のキットに含まれるパーツをすべて並べると、これだけある。轟雷用のユニットも全て同梱されているので、轟雷/榴雷/WWSの3形態に組み替えることができる。
WWSの配色でプレーンな「轟雷」形態にすると、このような感じになるだろう。このカラーリングでの「轟雷」の設定はおそらく存在しないので、一部は推測で塗装している。本体グレーは、もう少し暗い色調にしてもよいかもしれない。あるいは、戦車っぽくジャーマングレーにしても面白そうだ。

WWS版「轟雷」の背面。ジョイント部分はライトグレーで塗装してみた。パーツ構造の特徴が識別しやすくなったのではないかと思う。
各部のセンサーを塗装し、スミ入れを施した(ガンダムマーカーで溝をなぞった)。センサー部分は、HASEGAWAの「ミラーフィニッシュ」を貼り付けた上にクリアオレンジを塗装した。角度によっては、WWSの白いバイザーの下から榴雷の顔面センサーがちらりと覗く。なお、背面の長距離砲を前面に回すと、ちょうど肩上ユニットに懸架固定されるようになっている。