2018/07/07

「V.F.G. ジークフリード」制作メモと完成写真

  AOSHIMAの「ヴァリアブルファイターガールズ(V.F.G.) ジークフリード」について。
  他社アイデカール使用実例として。また、他社キャラクターキットを乗せてみる実験。
  さらに同シリーズ「カイロス」についても追記した。


  【 塗装 】
  キットには大量のシールが同梱されており、設定どおりの色を再現できるようになっている。ユーザーが自前で塗装して設定画や完成見本のようなカラーリングにしたいという場合は、シールを見比べればどこを塗装すればよいかが見つけやすいだろう。一般的な航空機模型と比べると、塗り分けはそれほど難しくない。シールを使わず自力塗装する場合でも、シールをマスキングテープ代わりにすると労力を省ける場所がある(例えば足首)。

  カラーレシピは、以下のとおりにした。インストの塗装指示とは異なる。
- ホワイト:クールホワイト+シルバー少量(隠蔽力を高めるため)。
- ブルー:コバルトブルー+フタロシアニンブルー+シルバー。くっきりした色合いと透明感のあるツヤが出せたと思う。
- ライトブルー:少女素体のブルーは成形色のままにした。
- ライトグレー:グレーFS36270をベースに、ブラック、クリアレッド、クリアブルーを少量。航空機らしい色合いだが、赤みを差しつつ、はっきりした色を出すようにした。
- グレー:フィールドグレー。ヘッドギアなど。ちょっと濃すぎたかも。
- ブラック:黒鉄色。足先、インテークなど。コクピット周囲はツヤ消しブラック。
- レッド:HASEGAWAの「ミラーフィニッシュ」シートにクリアレッドを塗装したもの。吹きつけ塗装をするとツヤはやや鈍るが、曲面の光の反射がきれいになる。
- 手先:ガイアノーツのFG-02ベースフレッシュ。筆塗り。指先を塗り分けておくと表情感とリアリティが増すので効果的。
- スミ入れ:ダークグリーン(エナメル塗料)。

  ラッカー系塗料(Mr. Colorシリーズなど)を使用したが、ABS製パーツが多いので、力の掛かる場所に染み込まないように注意した。


  【制作方針】
  多少色調を変えるが、基本的には完成見本に合わせた塗り分けをする。ほぼ全塗装。

  フェイスパーツが一つ余っているので、「イノセンティア Blue」の両目デカールを貼った。表情が柔らかい感じに落ち着いた。フェイスパーツは、前髪や横髪を嵌め込むための凹凸があり、完全にこのキットのためのワンオフ造形になっている。それゆえ、KOTOBUKIYAやVOLKSなどのメカ少女プラモのフェイスパーツとは、基本的に互換性が無い。サイズはおおむね近いのだが、頭部への嵌め込みの仕方も異なるし、顎のラインも一致しないし、頭髪に干渉して嵌まらない場合もある。思い切って頭部全体を取り替えるのも一案だろう。

  顔(両目)を変えてしまうことは、キャラクターのアイデンティティを――そしてキットの個性を――変えてしまうことを意味するのではないかという論点もあるだろう。しかしこれは完成品フィギュアではなく、ユーザーが組み立てるプラモデルであり、それゆえキット購入者個々人による自由なアレンジが許されている分野なのだと考えてよいだろう。戦闘機部分を任意のカラーリングで塗装してよいのと同様に、また、任意の武装を持たせてもよいのと同様に、少女部分に関してもユーザー個々人が自分のセンスと趣味で自由な変更を加えてもよい筈だ。パッケージアートはこのキットの正しい姿(真理)ではなく、あくまでイメージイラストであり、完成見本もユーザーが目指すべき理想ではなく、あくまで見本であると言うべきだ。ましてや、この製品の少女部分は、インストなどで一貫して「少女」と匿名的に呼称されているのみであり、キャラクターとしてのなにかしら特定の個性を担うように作られてはいない。こうした一連の考慮から、この記事が行っているようなアレンジ――他社製品とのミキシングを含む――は、モデラーとして正当な行為だと言ってよいだろう。


  【 完成写真1: ガウォークモード 】

VF-31Jのガウォーク形態に、後ろから立ち乗りで掴まっているような感じ。戦闘機部分の造形は、かなり忠実に作られている。ただし、変形プロセスはパーツ差し替えや組み直しによって行われる。
少女部分は高さ約15cmであり、近年のメカ少女プラモデルの一般的なサイズにほぼ等しい。また、戦闘機部分は1/80から1/90程度の縮尺である。少女部分とメカ部分のどちらを基準にしてキットのサイズを決めたのかは分からない。
斜め前から。戦闘機部分の上面に、二輪車のハンドルのようなものを取り付ける。少女部分は、戦闘機擬人化やメカ一体化(義体化)の要素は乏しい。少女とガウォークとがはっきり分離しているので、少女が可変戦闘機を乗り回す身体性が強調されている。
顔面パーツは、両目プリント済みの2個と無地1個の、計3個が入っている。キット同梱の顔プリントは睫毛がクドかったので、「イノセンティア Blue Ver.」のデカールにしてみたら、べっかんこうキャラのような雰囲気になった。腹部は複雑なうねりが造形されている。 
側面から。反らした上半身から背中、そして腰へのつらなりの美しさは、このキットの大きな見どころの一つだろう。横顔の表情も、アイプリントによって大きく印象が変化する。
航空機部分には、やや太めの筋彫りがくっきりとモールドされているので、簡単にスミ入れが施せる。カナードのパーツを紛失してしまったので、この一連の写真では完全な形にはなっていない。
上の写真のように、斜め上向きに撮影してもフライトの雰囲気が出るが、左記写真のように前傾姿勢で眺めても、勢いよく乗りこなしている感じになる。どの角度から見ても楽しめるだろう。両腕をまっすぐ伸ばして上体を反らせるのが、最もきれいなポーズになると思う。
全体。ガウォークモードの脚部は、左右に多少振れる程度で、基本的に非可動。腕部は、一般的なロボット模型と同じように可動する(※前後には振れない)。キットに含まれる武装は、腕に装着する機銃のみ。
真横から。腰から股関節を引き出せば、約90度曲げることができる。上半身も90度ほど反らせることができるので、騎乗ポーズがきれいに表現できる。
他社の15cm級のアクションフィギュアやプラモデルも、ガウォークに乗せられる余地がある。KOTOBUKIYAのFAG フレズヴェルクは、バルキリーガールと完全に同じポーズを取れる(※ただし、フレズヴェルクガールの方がわずかに胴長)。
フレズヴェルクガールは身長約15cmで、事実上同一サイズ。胸部と胴体の接続部に、大掛かりな2軸可動が組み込まれているので、上体を大きく反らせることができ、戦闘機部分にもフィットする。
同じくFAGシリーズのFAG バーゼラルド。胴体の可動範囲がやや狭いが、似たような姿勢でガウォークに跨がらせることは一応可能。上半身を反らせるか、あるいは首を反らして上向きに出来れば、ましな見栄えになるだろう。
「バーゼラルド」を別アングルから。身長15cm程度のサイズで、股関節の開きに余裕があり、太腿が太すぎない可動フィギュア、プラモ、ドール等であれば、バルキリーに乗せられる見込みがある。ただし、両足の接地に難がある(固定できない)。


  【 完成写真2: バトロイドモード 】

バトロイドモードを正面から撮影。少女とメカが一体化するのではなく、少女がジークフリードをコスプレ的に着込むようなスタイルになっている。その意味では、古典的な「MS少女」の流儀に近い。
バトロイドモードの上半身。背中側に巨大な主翼ユニットを背負うかたちになる。
側面写真だと、かなり重々しい武装少女の趣がある。
バトロイドモードの背面。背中側は、太腿以外はほぼ隠れる。
全身写真。脚部は、少女部分の膝関節のみで支えており、しかも関節はあまり固くないので、主翼ユニットの重さに負けて後ろに仰け反ってしまいやすい。バトロイドモードで展示する際は、市販の適当な台座を使うことになるだろう。
主翼ユニットを外して、脚部兵装のみの軽装にしてみると、このような感じになる。ストライカーユニットとか言わない。
新米氏のパッケージアート「ピカッとルンピカ!」ポーズを再現。顔の向き、左腕のパース、膝の角度などを写真に反映するのは難しい。キットには握りこぶしのパーツしか入っていないので、市販の汎用パーツ(MSG「ワイルドハンド」)に差し替えた。接続部を多少削る必要があるが、サイズは合っている。
主翼ユニットは、背中の2箇所の穴に差し込んで固定するので、少女部分の上半身は動かせなくなる(※水色丸印、丸穴と角穴)。色替えの次作では可動が改善されるとのこと。接続穴の対応していない他社のフィギュアやプラモは、主翼を背負って固定することができない。
脚部。ジークフリードの脚部ユニットを前後から挟み込み、接続穴で固定する。そのため、他社製品は原則としてこの脚部ユニットを装着することができない(※少女部分の脚部ごと付け替えるならば、武装脚部を流用できる可能性はある)。



  【 完成写真3: 少女部分、ファイターモードなど 】

VFGの少女部分。腰から肩まで、ほぼ90度曲げられる。上体をきれいに反らすことが出来るように、胴体部分は三分割構造になっている。胸部と腹部の間に筒状パーツを挟んでいるので、上半身を反らしても隙間が出ない。
VFGの少女部分は、高さ約15cm。1/12スケールのドールや、近年のメカ少女プラモ群とほぼ等しい大きさなので、小物類などを融通し合うことも出来るだろう。ただし、プロポーションはそれぞれ多少異なるし、接続部分の仕様もそれぞれ異なる。
VFGのフェイスパーツ(右上)は、頭髪を嵌め込む凹凸が多数設けられている。他社同種製品と比べると、サイズは近いものの、相互流用は基本的に不可能。ちなみに左上はFIORE「プリムラ ビクトリア」、中央はFAG「スティレット」、左下はMD「朱羅 弓兵」、右下はMD「ロードランナー」のもの。
ファイターモードでは、ほぼ完全なVF-31Jになる。ただし、コクピット内にパイロットはいないし、着陸脚も付属していないし、単体でのバトロイド形態は再現できない。全長20cm程度、全幅約18cmなので、1/80から1/90程度の縮尺に相当するようだ。
ガウォークモードの戦闘機部分。このままでも本来のVF-31Jのガウォークそのものとしてほぼ通用するだろう。変形可能なジークフリード1機分+少女1人がセットになって税抜6800円だと考えれば、十分リーズナブルな価格だと思われる。
ランナー。タッチゲートというほどではないものの、ゲートの先端部はかなり細く絞られている。ゲート切断しやすいし、ゲート跡の処理もかなり楽だった。



  【 ※制作中の雑感 】

  あらためてバルキリーガール(ジークフリード)に着手。ピンの嵌め込みが滑らかで、いや、滑らかすぎて、仮組みのつもりがぴったり嵌まり込んでしまって慌てたくらい。ゲート部分もやけに細いし、プラ表面のツヤのコントロールも巧みに出来ているし、AOSHIMAのキットってこんなに良かったっけと驚いた。プラモデルメーカーとしてノウハウの蓄積と技術のアップデートをきちんとやっていることが窺い知れて、ユーザーとしてはありがたいやら嬉しいやら。
  スナップフィット(※厳密な表現ではないが、慣例的な呼称として)の感触は、模型メーカー各社でかなり異なっている。例えばBANDAIのキットは、パツリときれいに嵌まってしっかり固定する感じ。上記AOSHIMAは、ツルリと嵌まり込んでぴったり合わさる。FUJIMI(例:艦NEXT)は、やや力を入れてパチンと嵌め込む感じ。KOTOBUKIYA(例:FAG)だと、力を込めてギチリと押し込む感じ。VOLKSのは、そもそもきちんと嵌まらない。嵌め込みの感触は、ピンの径の大きさ、穴のきつさ、プラの材質など、様々な要因に影響されて決まっているが、各社それぞれの技術力や流儀の違いは、こんなところにも現れてくる。
  先に作ったKOTOBUKIYAの白虎ガールも良い出来だと思ったけど、やはりフィギュア製作を軸にしているメーカーであって、プラモデル本職で長年やっているAOSHIMAと比べると、やはりまだまだなのだなあ。

  しかし塗り分けはかなり難しい。いや、私はスケールモデラー、これよりも大変な迷彩塗装や複雑な多重マスキングもやってきたからきっとだいじょu…いやいや、それでも相当大変だぞ……。というのは:
- カラーリングが明るくくっきりした色ばかりなので、誤魔化しが利きにくい。
- 美少女とセットになったきれいなモデルなので、ウォッシングにも制約がある。
- ボディラインに沿った細い塗り分けがある(特に背中がきつい)。
- 先尾翼パーツなどで、最大4色の塗り分けがある。
- ABSパーツが多いので、ラッカー塗装には気を遣う。
- 初めて取り組む構造なので、形状把握や工程把握が難しい。
ざっとこのくらいの注意点(難所)がある。

  塗装色は、インストの指定のままでもいいけど、できればもう一捻り入れたい。
  素体部分のラインは、モールドになっているが、一度削り落としてフラットにしてもよいかも。
  キャノピーはスモークグレーにしようか、それともクリアのままにするか。

  構造上の出来は良い。つまり、組み立てプラモとしては非常に明快に作られている。工程上も、よく配慮が行き届いている。(塗装を無視して制作する場合は)インストの組み立て指示に沿って作っていけばどんどんランナーを捨てていけるのが、とても気持ち良い。
  それに対して、キャラクター部分の全体造形とディテールの作り込みは今一つに感じる。表情が中途半端だし、顔パーツも鼻筋から頬に掛けての曲面があまりに出来ていない。各部のモールドも、総じてあっさりしていて面白味に欠けるし、ボルトや外板継ぎ目のような具体的な機能性が見出しにくい。かといって、純粋に美的な次元だけで鑑賞に堪えるほどのデザインというわけでもなく、カラーリングはかなり単調だ。当然ながら、拡張性にも乏しい(※完全にワンオフキットとして設計されているようだ)。
  要するに、作りやすく扱いやすいキットだが、そこから先へ進む道が見出しにくい。

  メカ部分のハンドパーツは、一体成形でいささか簡素な出来(掌と手の甲の2パーツ構成)。できればハイディテールなパーツに取り替えたい。KOTOBUKIYAのM.S.G.ハンドユニットシリーズは、ほぼこれに相当するサイズなのでちょうど良い。上の写真では、指先の尖った「ワイルドハンド」を使用しているが、パッケージアートに合わせるならば、角張った「ノーマルハンド」が良いと思う。HOBBY BASEの「関節技 極め手(100)」も、ほぼ同じサイズ(わずかに大きい)で、五指全関節が可動する優れものなので、指先まで細かくポーズを付けたいならばこちらを使ってもよい。BANDAIの「ビルダーズパーツ」は、1/144用では小さすぎ、1/100用は大きすぎる。ただし、あえて大きめのハンドパーツを装着して、ユーモラスな感じにデフォルメを利かせても良いかもしれない。いずれにしても、手首の接続部の仕様がそれぞれ異なるので、手作業での微調整が必要になる。



  【 VF-31A カイロス 】

  ヴァリエーションキットとして「VF-31A カイロス」も発売された。パーツは8割方共通だが、素体頭部、素体胸部(大きい)、尻尾(2種)、主翼先端部、デカール&シールなどが異なる。素体ヒップの接続などは、ジークフリードVer. 1.3と同じく改善されている。


バトロイドモードの全身写真。カラーリングもさりながら、主翼先端部の形状が異なるので、上記ジークフリードとは印象が大きく異なる。腰の接続部分は、ジークフリード(初版)から改善されており、多少動かせる。
バトロイド状態の上半身。重心が偏っているのでスタンドを使用したいが、ヒップ装甲裏側にある接続パーツは強度が足りない。猫尻尾を外せば、そこにスタンドを接続できるのだが。
少女素体の全身写真。ほぼ設定どおりに塗り分けた。靴の部分も塗り分けてみたが、少々クドかったか。頭髪塗装は、バーリーグレー(Mr. Color #334)とツヤ消しホワイトを半々程度に混ぜた。
市販の1/12ドール用エッチング眼鏡が、ちょうどサイズが合う。このシリーズのキットは目元の立体感が乏しく、顔の造形が平板に感じられがちだが、眼鏡を掛けさせれば、ちょうど良いアクセントになるし、立体感も誤魔化せる。
「カイロス」には、片目隠れヴァージョンの前髪パーツも同梱されている。前髪だけを取り外して交換できる。片目隠れでも、眼鏡着用は問題無い。
ガウォーク騎乗モード。ABSランナーが非常に多いが、ほぼ全塗装した(※ただし、関節部のブラック、素体着衣のホワイト、素体の素肌は無塗装)。関節部に気をつければ、ラッカー塗装でも問題無いと思う。
ガウォークモードを逆向きに。片目隠れキャラクターなので、左右で雰囲気が異なる。長い尻尾も、ロボット部分に対する生物的な要素として、良いアクセントになる。
航空機単体で。すらりとしたデルタ翼のシルエットが美しい。ミディアムブルーとホワイトを混ぜたシックな色合いが指定されている。アニメ風のイメージで、スミ入れはブラックで入れてくっきり見えるようにした。
航空機形態の裏側。ユーザー塗装する場合は、膝の曲線的な塗り分けがやや難しいという程度で、全体としてはかなり楽。
VF-25Sでの比較。写真右側はAoshimaのVFG「メサイア」。写真左側はBANDAIの1/72スケール「VF-25S メサイア」(2007年発売、3形態の完全変形)。Aoshimaの方がやや小さめだが、最新キットであり、変形を簡略化しているぶん、構造がきちんと固まっている。