2022/06/10

2022年6月の雑記

  2022年6月の雑記。(→7月5月

ねんどろいど「各務原なでしこ」(ソロキャン ver. : DXエディション)。こういうネタっぽいフィギュアはつい手を出してしまう……。「ソロキャン(ノーマル版)」と比べると、このDX版はブランケットボディのほか、臙脂色のシャツボディ、ランタン、焚き火台、後ろ髪などが追加されている。汎用性で言うと、「ソロキャン」ではない無印版の方が良いと思う。フェイスの表情も無難だし、座りボディもあるし、食品パーツも同梱されているし、無帽ヘッドにも出来るので。それと比べると、この「ソロキャン」版はちょっと商品構成のバランスがよろしくないが、しかしこのブランケット形態のおバカな魅力には勝てなかった。




 06/30(Thu)

 若年女性(高校生など)が集まっていろいろな趣味活動をするというタイプの作品は、いつ頃から広まっていったのだろうか。
 もちろん前世紀から、女性向けの様々な領域でそうした創作は存在してきた(1970年代の『エースをねらえ!』『ガラスの仮面』のように)。しかし、「美少女キャラたちが趣味活動をする」という現代的なタイプは、少女漫画のそれとは文化的に切断されているように思われる。
 90年代半ば~後半に「萌え」の感性が前景化して以降で見ると、アダルトゲームでは00年代初頭から様々な形で部活ネタやサークルものが取り上げられていた。当然ながら(男性向け)アダルトゲームは、ヒロインキャラを多数登場させるのが基本であり、なおかつ、学園ものの中で一作ごとに個性(特徴)を打ち出していく必要があるから、女性中心の部活ものも様々なものが試みられた。とりわけ00年代半ば以降に部活ものが急増し、天文部(『六ツ星きらり』など多数)と軽音系(『ぶらばん!』など多数)を中心に、演劇部(例えば『彼女たちの流儀』)、園芸部(『ななついろ』)、美術部(『パンドラの夢』)、放送部(『ねがぽじ』)、文芸部(『Crescendo』)、新体操(『新体操 仮/真』)、チア部(『チアフル!』)、テニス部(『フォルト!!』)、モーターグライダー部(『水平線まで』)、カーリング(『こなゆき、ふるり』)、ウォータースポーツ(『せんすいぶ!』)、等々がリリースされた。ちなみに、『ハリー・ポッター』ブームの影響や魔法少女ネタの普及もあって、魔法学園もの(魔法系の部活もの)が大きく隆盛したのも、その一環だろう(ういんどみる、FAVORITE、Silver Bullet、Whirlpoolなど多数)。
 また、同時代の「萌え四コマ漫画」ブームとともに、漫画やアニメでも似たような趣向の作品が増えてきた。アニメ分野だと、2009年の『けいおん!』が大きなマイルストーンだと言ってよいだろうか(原作の四コマ漫画は2007年から)。それ以降、主要キャラクターが女子学生ばかりの「○○部」ものが急激に増えていったように思う。
 個人的には、このアプローチの漫画はハズレ率が高いこともあって、あまり好みではない。ネタの出し方が強引だったり、だらしない説明的シーンが続いたり、美少女頼みで作りがチープだったり……もっとも、見方を変えれば、「チープな作品でも作品を市場に出せるくらい、美少女キャラのパワーは強く、そして、萌え市場の体力があった」と言うこともできるが。吹奏だ麻雀だ自転車だサバゲだキャンプだプラモだダムだ写真部だ美術部だと……まあ、あらかたやり尽くしたよね。「男性主人公がヒロインから強引に趣味活動に勧誘される」という亜種も含めれば尚更。


 木村さんの新作出演があるのか……しかし、こういう形式のゲームに手を出すことは今後とも無いので、残念ながら聴く機会は作れない。
 「こういう形式」というのは、オンライン動作での、「エンディングが無い」+「金銭ギャンブルの要素を含む」ソシャゲ型のゲーム全般。個人的にギャンブルは大嫌いなので、近時オタクたちの間でリアル競馬トークが平然と交わされている風景に、ものすごーーーく引いている。ごめん、私にはそういうのは無理なの……。


 今世紀に入ってからの文庫本は、活字が太め+大きめなのが苦手。行間も狭めなので、紙面がべったり重たくて、ものすごく見栄えがみっともないし、読みづらい。いや、いったん読み始めたらスルスル読むけど。「たぶん高齢読者配慮の活字サイズであって、そういう趨勢になるのもやむを得ないんだろうなあ」と諦めながら付き合っている。むしろライトノヴェルの方が、ほっそり引き締まったフォントで、行間もきれいに空いているので、気持ち良く高速に読める。


 ここ数年は5月末には冷房をつけ始めていたところ、今年は6月末まで使わずにきたので、「今年は涼しいのかな」と思っていたが……一気に暑くなったね。自宅にいても、冷房の無い部屋に入るとほんの数秒で熱気がずっしりと身体の芯まで浸透してくる感じがきつい。大学に行っても、学生たちも辛そうだ。こちらにもどうしようもないが、講義中のドリンクは許可しているので、少なくとも熱中症の虞は無いだろう。
 基本的には、暑気には強い体質で、就寝時も扇風機だけでしのいでいるが、さすがに37度を超えるのは辛い。ちなみに、身体が大丈夫でも、PCのために「室温30度を超えたら(PC動作中は)躊躇なく冷房を動かす」ようにしているので、結果的に休日の日中はエアコンをつけっぱなしになっている。


 6月の家計簿誤差は4000円台。メモしていない細かな支出(自販機とか)もあるので、この程度は許容範囲内。たまに1万円以上もズレる時があり、そういう月はよっぽどいい加減に無駄遣いをしていたのだろうと反省する。今年は漫画の支出が多めなくらいで、基本的には例年どおり。ただし、演奏会や映画館は、この数年は(感染症懸念のため)ほぼゼロ。そういえば、最近はクラシックCDをあんまり買っていなかった。せっかく近隣に大きなCDショップがあるのに、出不精でご無沙汰したままだった。夏休みに入る前に、いろいろ買い込んでこよう。


 上で書いた部活ものについて、発売されたタイトルをあらためて浚ってみたが……実際には00年代半ば以降に多く(※00年代前半まではかなり少ない)、しかも、特定の(単一の)部活をフィーチャーしたものはそれほど多いわけではないと言えそうだ。というわけで、いろいろ加筆改稿した。



 06/20(Mon)

 メロブの奥地を探索しに行ったら、本格的なプラモデル(ZVEZDAのロシアAFVキット)を片手に提げたオタク様が、アダルトコミックを10冊ほどどっさり抱えつつ棚をじっくりと見繕っておられた。恰幅の良い体格で、カジュアルな帽子を被りつつ、ボトムスは緩みきったジーンズという、古式ゆかしきオタク様らしい正装姿ともども、本物のオタク様オーラに圧倒された。正統派のスケールモデルを深く嗜みつつ、ディープな漫画も大量に買い込むという趣味の良さに、「おともだちになっていろいろおはなししたい……」という気持ちが芽生えたが、さすがに声を掛けることは差し控えた。いや、もちろん、見知らぬ他人にいきなり話しかけるような不躾な真似はしないし、ましてやアダルトコミックコーナーで他人から声を掛けられるのは、年齢性別を問わず恐怖体験そのものだろう。私自身、もしもオタクショップで他の客からプライヴェートな雰囲気で話しかけて来られたら、「あ、ごめんなさい」と断って全力で逃げ出すと思う。たにん、こわい、ひとり、すき。こどくが、いちばん、いい。
 模型店では、マニアなお客とマニアな店員さんがマニアックな清談に花を咲かせているのを見かけることがたまにあって、それはそれで麗しい光景だと思う。模型は――とりわけスケールモデル分野は――客観的な技術の世界でもあり、また考証を伴う客観的な知識の世界でもあるから、他人とフェアに話し合うことをしやすい領域だと思う。それに対して萌え系の諸分野だと、キャラの好き嫌いなどは非常に主観的かつ個人的な事柄なので、他人と話し合うのはいろいろと難しいかもしれない。もっとも、それでもイベントの話とか、シリーズの話とか、いろいろと語り合える方法はたくさんあるけれど(※同人誌即売会などでは、オタクどうしのそういう高尚な語らいの風景はおなじみのものだろう)。

 ちなみに、今回のメロブ探検の成果として、幾花にいろ氏の既刊単行本をコンプリートできた。一般と18禁の両方で仕事をされている漫画家さんだが、『イマジナリー』(第1巻~、全年齢)を読んでかなり気に入ったので、一気に買い揃えた。気に入ったクリエイターさんについては、初期作品から全てを読み切りたい(――そしてその上できちんと評価を定めたい)。
 読む順番については、私自身は、刊行された順には拘らない。ただし、「最初期の作品から、刊行or執筆された時系列どおりに読んでいきたい」というスタンスの人もいる。

 ……って、読んでみたら、なんだかえろ表現がきちゃないぞ! うーん、こういうおげひん路線はあんまり好みじゃない。全年齢漫画の方は、ちょっと箍を外しつつも程々の節制が利いていて良い感じなのだが。……まあ、眼鏡キャラが多いから良しとしよう、そうしよう。


 大学1回生の時からずーーっと使ってきた自宅の椅子が、そろそろ座布の一部がほつれかけてきた。さすがにそろそろ買い換えるかなあ。肘掛けは不要で、リクライニングも不要。座面はできればフラットな方が好み。あんまりフカフカしすぎないのが良い。座面のサイズも、そんなに大きくなくてもいい。どうせ部屋は手狭なので、コンパクトで取り回しが楽だとありがたい。……こう考えると、わりと選択肢は多そうで、しかも安価で済みそう。むしろ椅子をゴミ出しするのが面倒なくらいかも。
 一日6時間座っているとして、年間2190時間。10年で2万時間以上。それだけ保っているのも大したものだ。今のところ腰などにダメージは現れていないから、私の身体と相性の良い椅子なのだろう。私の人生にこれだけ付き合ってくれていることに感謝している。あ、でも、『モノごころ、モノむすめ。』みたいに美少女に化けて来る必要は無いからね!
 ちなみに机の方も、大学入学以来のもの。実は年上の従姉から譲り受けたもので、従姉が大学~大学院時代に使っていた年数分も加算されるから、なかなかの年代もの。さらに言うと、レンジや電気スタンドや扇風機も大学入学時からずっと……よく保っているなあ。
 眼鏡は、大学1回生の頃から、何本買ってきたかなあ。常用してきたのは累計で5本くらいだろうか。視力はここ十数年来まったく変わっていないので、同じものをずっと使い続けている。
 PCは、メインで使ってきたのはWin98(ノート)、Win98SE(デスクトップ自作)、XP(ノート)、Win7(デスクトップ)、Win10(デスクトップ)。Win98ノートとXPノートも一応ストックしてあって、昔のPCゲームをプレイする時には引っ張り出してくることがある。バッテリーは完全に切れているが、HDDは途中で交換してあるから、まだしばらくは保つ筈。


 今月は、大型プラモデルやフルプライスゲームまとめ買いのような大物の出費はしていないのだが、外出する度に数千円規模の買い物を繰り返しているので、結果的に趣味の支出が結構な金額になっている。例えば「漫画10冊(7000円)」が10日間あれば、それだけで7万円だからね……。さすがに「20日間の外出で累計14万円」にはならないと思う……けど……たぶん……。

 今月の「月末金曜」は、24日になる。白箱系フルプラはLump of Sugar、あざらし、そして新興のBarista Labがあり、黒箱系はGuiltyの新作がリリースされるという、わりと堅実に充実した顔触れ。当日店頭購入のつもりだけど、どのあたりを買おうかな……。
 声優に関しては、10年代後半の桃組だらけのような悲惨な状況は脱したが、その代わりに同人声優っぽい正体不明のキャストが増えてきた。うーん。


 あ……あれ……サルミアッキがもう最後の一箱に……まさかそんな馬鹿な、来月までか、あるいは少なくとも月末までは保つ筈だったのに……まだまだもっと食べたいのに……くっ、サルミアッキだ、サルミアッキを寄越せ、代わりに王国をやるぞ!(いつものリチャード3世ネタ)


 AFVはちっとも詳しくないのに、プラモデルではわざわざ車体の内部まで再現しているインテリアキットばかり買っている。作るのは通常以上に大変だが、組立説明書とランナーをじっくり見比べているだけでも楽しい。いや、作るけど。作りますけど。作るつもりですけど。

 スケール系モデラーの間でのインテリアキットの評価(受け止め方)は、「内部再現という面白味はあるが、特にすごいというわけではなく、手間の掛かる変わり種キット」といったあたりかと思われる。AFVは「全体を手早く組んでから、塗装で質感表現するのに凝る」というのが主流だが、インテリアモデルの場合は:
- 細かなパーツを塗装してはその都度組み込んでいくという面倒な手順が要求される
- 内部パーツも作るので、一つ制作するのにも時間が掛かり、気軽に量産できない
- 内部パーツもあるため、ただでさえ高額化しているキットがさらに高くなる
- 車体内部にもパーツが詰め込まれるので、パーツの合いが悪くなる危険性がある
- 基本的には完成後は見えなくなるため、労力に比して満足感に欠ける
- 現用戦車などでは、内部構造の考証正確性が疑わしい場合がある
といったデメリットがある。また、インテリアモデルは非常に少ないので、「インテリアキット一本槍」というスタンスも成立しにくく、内部空洞のオーソドックスなAFVキットがどうしても標準になってしまう(※艦船模型ならば、例えばフルハルオンリーでもラインアップは十分充実しているのだが)。
 とはいえ、近年ではインテリアキットも明らかに増えつつある(Mini Art、Meng Model、Rye Fieldなど)。コロコロ球体の珍兵器クーゲルパンツァーにすらインテリアキットが登場しているほどだ。そもそもスケールモデルは実物の再現であり、それを徹底した場合、内部構造の再現も含むことになる。また、知識面でも、内部再現はたいへん教育的だと言える。実際、新たな知的刺激が得られる。私自身は、作業量の多い模型制作については艦船模型で慣れているし、水性筆塗りもそろそろ使えるようになってきたので、AFVインテリアキットにもなんとか対応できる。



 06/16(Thu)

 世間的な情勢がいろいろあってガールプラモはかなり値上がりしていきそうなので、そろそろ退き気味の付き合いになるかも。新メーカーや新シリーズがあれば、新たな知見のために購入することもあるだろうけど、それ以外のもの、とりわけ既存キットのヴァリエーション製品などは、あまり手を出さずにいきそうだ(※特に最近のFAG/MDは、カラバリや追加装備キットばかりで食傷しそう)。
 年内の購入見込みは、7月のパワーローダー、8月のメトロポリスとchotoceriumくらいかな。7月のDAアイシスと合体ムサシ、11月のヴェルルッタも、「店頭で見かけたら買うかも」というくらいのスタンスで。
 海外(中国)のガールプラモも、ひととおりのメーカーを買ってみてだいたいの展望が得られたので、ひとまず落ち着いた。よっぽど好みに合ったキャラクターが出てくれば買うだろうけど、さしあたっては大きな技術革新やパラダイム転換は起きないだろうから、しばらくは新作キャッチアップに汲々としなくても大丈夫だろう。

 AQUA SHOOTERSも、今のところは通常シリーズを全部買っているけど、そろそろ飽きてきたかも。というか、(個人的に興味のない)メイド服が連続したのが、購入のモティヴェーションを下げている。単体で見る分には可愛らしいのだけど、メイドキャラばかりが何人もいてもあんまり嬉しくないし、今回はメイド服のデザイン(アクセサリー)がちょっと好みから外れている。

 オタクシーンの最前線もちゃんとフォローしているつもりだけど、それと同時に、旧世紀ふうの「マイナー志向」のオタク気質もいまだに備えているようだ。だから、あまりにメジャーになったものに対しては、「ひとまずは内容を押さえておくけれど、ちょっと距離を取り気味になる」という姿勢になる。というか、「人気が出てみんなが買っているなら、私は手を(お金を)出さなくてもいいだろう、それよりもマイナーな分野で頑張っている人たちにお金が回るようにしたい」という行動を取りがちになる。
 その見地では、ガールプラモはすでに「十分メジャーになった(少なくとも模型界では、たいへんな人気ジャンルの一つとして確立された)」と言える。2017年12月のMD朱羅の頃は、まだまだ先の予測できない状況で、もしかしたら短期的局所的なブームで終わるかもしれなかった。それが5年後の現在では、模型雑誌でもくりかえし特集が組まれるほどにメジャーな存在になった。それはそれで嬉しいし、裾野が広がるということはマニアックなものも出てくる可能性が高まる(つまりジャンル全体が豊かで多様なものになっていく)わけだから、本当に素晴らしいことなのだが……そろそろ「メジャーなものに反発する」という天邪鬼気質が刺激されつつある。


 サルミアッキを買う度に、ここにメモしておこう。検索すると、前回は2020年10月、つまり1年8ヵ月ぶりになる(※サルミによく似たものは2021年10月に食べていたが)。懐かしのサルミアッキ、憧れのサルミアッキ、麗しのサルミアッキ、誉むべきかなサルミアッキ(もぐもぐ)。
 久しぶりに食べたからか、舌先に刺さるような辛み(苦み)の刺激が新鮮だ。それでいて、甘みと言えなくもないような微妙な熟成感もある。アンモニアっぽい香りも、以前に増してツンと鼻筋に上ってくる。うーん、やっぱり珍味は珍味なのだけど、しかしそれが面白い。
 数箱セットで買い込んだから、来月上旬くらいまでは保つ筈。


 今月の趣味生活は漫画と音楽がメインになっている。ゲームもほぼ毎日プレイしている。
 模型制作はなんとなく休眠中。作ったのは3月のARYAと5月の姫路城くらい。ただし、模型店には毎週足を運んでおり、毎月数万円は買っている……つまり、積んでいるということだが。制作率は8割を切ってしまったが、仕方ない。

 夏休みは、旧攻略サイトの記事やtwitterに書いた文章をこちらに移設していきたい。以前からずっと考えていて、ずるずる引き伸ばしていた懸案だが、きちんと着手しておかねば……。
 新記事のアイデアとしては、『第七王子』の小説版と漫画版の比較をしてみたい。そんなに手間は掛からない筈だし、かなり大掛かりなアレンジがあるので、手掛ける意義はあるだろう。

 SHCが解散して以来、本格的なゲーム攻略に取り組むことが少なくなっている。ゲーム内の情報を整理する、つまりゲームの構造を深く把握しようとする営みは、ゲーマーとしてのモティヴェーションを強力に後押ししてくれていたのだと、あらためて気づかされる。『カリンちゃん:星詠み』が2021年7月だったから、そろそろ丸一年になる計算だが、長いような短いような不思議な気分だ。Escu:de作品は、体系立った攻略がしづらい(複雑すぎて私の手に余る)し、でぼの巣の『黎明記』はゲームシステムを食べ尽くしたし。ninetail系列やastronautsもSLG作品をリリースしていて、ちゃんと購入してはいるが、攻略記事まで作るかというとちょっと微妙だし……。



 06/10(Fri)
 
 ここ数ヶ月は、とにかく漫画(単行本)を買いまくっている。と言っても、せいぜい月に数万円程度だからそれほど大した額ではないし、非常に優れた作品にたくさん出会えているから実に楽しい。

 ファンタジー系で出色なのは、石沢庸介(こくざわ・ようすけ)氏の『転生したら第七王子だったので気ままに魔術を極めます』(既刊7巻)。魔法の視覚的表現も素晴らしいし、剣戟シーンもダイナミックに描かれているし、ショタは可愛いしで、何度も読み返しては漫画表現の密度と掘り下げに感嘆している。原作小説と読み比べてみると、かなり大胆なアレンジを施していて(例えば中ボス級の強敵を追加したり、脇役キャラをしっかり掘り下げたり)、漫画ならではの強みを活かしているのも良い。ちなみに、ファンタジーLNのコミカライズでは、『望まぬ不死の冒険者』(既刊9巻)の中曽根ハイジ氏も抜群に上手い。
 松浦だるま『太陽と月の鋼』(既刊4巻)は、近世日本の和風ファンタジーで、これも漫画表現がメチャクチャ上手い。絵+テキスト+コマ組みによって構築される芸術表現として、たいへん充実した旨味がある。ちなみに、ゴウタ『天女の嫁入り』もちょっと似たような趣向で、なかなか面白かったが3巻で完結してしまった。和風ファンタジーでは、大正オカルトバトルものの椎橋寛『岩本先輩ノ推薦』(既刊3巻)も、刺激的なコマ組みと表現力に満ちた作画で、おそらく現代日本の漫画作品としてトップクラスの一つ。
 洋風ファンタジーものでは、藤澤紀幸『呪剣の姫のオーバーキル』(既刊2巻)をまとめて読んだところ。冒険者に同行して現場で武器に魔力付与をする鍛冶師主人公というトリッキーな設定だが、粗めのトーンを用いたざらつきのある雰囲気と、ちょいグロの禍々しい絵作りが強く心に残る。現代舞台のファンタジーバトルロイヤルもの『シノアリス』(漫画版既刊4巻。作画:ヒミコ)も、手の込んだ精妙な漫画作りで、たいへん見応えがある。DCBO(作画)『悪女が恋に落ちた時』(第1巻が出たばかり)は、韓国の作家さんのようだ。フルカラー漫画で、凜々しい孤高のヒロインの絵が素晴らしい。村山なちよ(作画)『傭兵と小説家』(既刊1巻)も面白くなりそう。
 SF寄りだと、スチームパンク路線の田島生野『ヴィクトリアの電気棺』(既刊2巻)がまずまず。ロボット主人公の『異星界転星』(大山散歩、既刊2巻)も、ひとまず期待。変身ヒーローものの『オットマン』(金沢慎之介、既刊3巻)は、最初は一発ネタかと思ったが、きちんと考えられた展開を丁寧に描いているので、買い続けても大丈夫そうだ。そういえば、『月とライカと吸血姫』漫画版が1巻で止まってしまっているのは残念だ。
 吟鳥子『架カル空ノ音』(新装版、全3巻)も、まとめ読みした。20世紀前半相当の世界で、滅びゆく鳥人類と人間との接触を描いた作品だが、開放的でクールな情趣と、しめやかで悲壮な哀感と、登場人物たちの意志的な行動と、そして時に詩的な台詞表現が面白い。
 
 歴史ものも。実在のビザンツ帝国皇女を主人公にしたフルカラーの歴史もの『アンナ・コムネナ』(佐藤二葉)は、第2巻が発売された。意志的なヒロインの生き方が美しいし、史実を踏まえつつのコメディ表現も気持ち良い。絶品。歴史ものでは、殿ヶ谷美由記『だんだらごはん』(新撰組もの)も読んでいるが、そういえば新刊はまだ出ていないようだ(※同じ作者の『氷属性男子~』も買っている。ちなみにそちらは妖怪のいる現代オフィスコメディ)。
 そういえば、近世日本の遊郭を舞台にした作品が最近いくつも現れているが、何かしらインパクトを与える出来事でもあったのだろうか。『大奥』(2004-2021)が注目された頃から、髷姿のキャラクターが漫画読者にごく普通に受け入れられるようになったおかげかもしれない。

 現代ものでは、椙下聖海『マグメル深海水族館』(既刊8巻)が気に入っている。これも漫画特有のコマ組み構成が意欲的だし、物語部分も人の心のデリカシーに触れる繊細な作りになっている。深海生物のディテールと人々の心理描写を巧みに結びつける作劇も、説得力がある。同じ作者の奈良県ものの漫画(『馬姫様と鹿王子』)は、序盤はいささかもたついたが、2巻に入って調子が上がってきた感じ。
 法医学もののNICOMICHIHIRO『そのモガリは熱を知らない』は、検死による真相探しという一種のサスペンス/ミステリだが、なかなか良い(※既刊3巻。ちなみに全5巻で完結する予定のようだ)。ミステリでは、漫画版『十角館の殺人』が完結した(清原紘、全5巻)。視覚化困難と思われた大ネタを見事にやり遂げているし、原作小説終盤のわずかな隙(もう一つの身代わり死体の不自然さ)も改良しているし、江南君を女性にして演出的にうまく効かせたシーンもあるし、水死への巧みなアレンジで犯人解明に説得力のある結末を与えている。了子『ウソツキ皐月は死が視える』(既刊4巻)も、人の死を予見できる主人公が死を回避させようと奮闘するサスペンスで、少年漫画寄りながらわりと楽しんで読み続けている。第1巻が出たばかりの『つれないほど青くて~』(tomomi)は、オカルトホラーのようだが、これもひとまず続刊をフォローしてみよう。
 『花は咲く、修羅の如く』(作画:むっしゅ。既刊2巻)は、学園部活もの(放送部、朗読)。キャラクターの造形と配置は陳腐ながら、ここぞというところでの卓抜な劇的演出が素晴らしい。ひとまず続刊もついていくつもり。学園(青春)ものでは、オジロマコト『君は放課後インソムニア』(第9巻が出たばかり)を一冊買ってみたところ、背景作画の情趣を含めてなかなか良い感じだった。気が向いた時に、まとめ買いして通読するかも。背景と言えば、ippatu『虎鶫』も廃墟作画を存分に堪能できそうだが、筋書きのイージーさに抵抗感があるので、たぶん続刊は買わない。
 飛び道具サイドでは、屈折した恋愛(片思い)ものの米代恭『往生際の意味を知れ!』の第5巻が出た。前作『あげくの果てのカノン』(全5巻)から読んでいるが、強引な展開を含みつつも、全体としてはしっかり読ませる魅力がある。
 比較的お気楽なコメディとしては、紙魚丸『惰性67パーセント』(既刊8巻)。大学生たちのグータラ日常もので、多少のお色気要素もあるが、描画も達者で見応えがあるし話芸も面白い。コメディ寄りでは、昨年完結した里好『踏切時間』(全8巻)はたいへん楽しかった。日常ものでは、二階堂幸『雨と君と』も、カジュアルに買い続けている(既刊3巻。同じ作者の短編集も買ったくらいには気に入っている)。博『明日ちゃんのセーラー服』は、たいへん良い作品だと思うが、単行本4巻まで買ったところで止まっていた。あらためて5巻以降もまとめて買おうかな。
 新作『あかね噺』(作画:馬上鷹将、第1巻が出たばかり)は、いかにも少年ジャンプらしいベタな作劇だが、期待して読んでいけそう。ちなみに『片翼のミケランジェロ』も、ジャンプ式の天才主人公だが、それだけに安定感はある。そろそろ第2巻が出るだろうか。落語ネタでいうと、『うちの師匠はしっぽがない』は5巻あたりで飽きて買うのを止めてしまったが、つい先頃第8巻が発売された。
 アダルトコミックだと、紅村かる氏の新刊が出たほか、珍しい複数巻のストーリーものの椋蔵『ラレフレ』(全4巻)が楽しかった。単刊ものだと、だにまる『この恋に気づいて』が印象に残っている。全年齢のお色気ものでは、BANCO『渇望する果実』(既刊2巻)は長命なサキュバス主人公のオムニバスで、江戸時代から大正時代、そして現代まで様々な時代を行き来しつつ陰影のある人間ドラマを描いている。柚木N'『カレシがいるのに』(既刊5巻)も、オムニバスものでヒロインたちがたいへん可愛らしい。

 ちなみにKADOKAWAは不買中。もちろん良い作品もたくさんあると思うが、あの夏野がいるかぎり、買う気になれない。Hobby Japanも、今年じゅうは一切買わないつもり。

 ここ数ヶ月で初めて読んだ漫画家さんや、既刊2巻以下の若い(?)作品、あるいはごく最近に新刊を出した作家さんだと、印象が強いのはこのあたりかな(※十分に有名な作品は割愛している。あれとかそれとか)。とにかく漫画分野はジャンルも広いし、新刊の点数も多く、そうした裾野の広がりのうえに頂点もどんどん高くなっているし、新しい才能もどんどん現れている。凄い世界だ。


 模型制作はしばらく休んでいたが、本格的に模型欲が高まりつつある。
 城郭模型だけでは昇華しきれなかったか……。
 水性塗料の使い方もそろそろ慣れてきたし、出来ることがまた増えている筈。


 うーん、今月は早々に、趣味用の資金が尽きかけている。漫画を買いまくっている以外は、比較的慎ましい購買行動に留めているのだが、先月に濫費しすぎていた分のダメージが財布にまだ残っているようだ。

 ここ数ヶ月は、プライズ級フィギュアをほとんど買っていない。これは私自身の事情というよりは、プライズ系がちょっと沈滞しかけているように見える。これまで精力的に新作をリリースしていたシリーズが止まったりしているし……。
 『五等分』関係のプライズフィギュアはたくさん出ているが、どれもまったく食指が動かない。おそらくどこかが絶望的にnot for meなのだろう。顔立ちの好みか、ファッションセンスの問題か、何が原因なのかは分からないが、不思議なほどにまるっきり魅力を感じない。これはこれでもったいなくはあるが、まあ仕方ない。


 転生もの(転生ネタ)それ自体には、あまり興味が無い。しかし、「転生する」という状況からして、「出生からやり直す」というパターンもあり、それゆえ、ショタ主人公になる場合が比較的多いということに気づいてからは、転生ネタに敬意を払うようになった。ありがてぇありがてぇ。
 上で言及した『第七王子』は、外見10歳のショタ(※意識は前世の成人のまま)だし、『八歳から始まる神々の使徒の転生生活』は文字通り8歳のショタ主人公(※こちらも精神は大人。ただし、漫画版の作画ではあんまり色気を感じない。もったいない……)。『俺の死亡フラグが留まるところを知らない』も、漫画版第3巻の時点で10歳くらいだった筈。『愛され王子の異世界ほのぼの生活』に至っては5歳児。もちろん女性キャラの場合は路理主人公になり得る。有名どころだと『本好きの~』など。

 「異世界」ものも、流行がずいぶん長く続いているなあ。魔法少女ものは、10年代前半までで明らかにブームが退潮したものだが、「異世界」シチュエーションは00年代末頃(?)から2022年になっても、LN~漫画~アニメの様々な媒体で、まだまだ元気なようだ。中には不出来な作品もあるが、そんな作品にも商業化企画のチャンスが回ってくるということであり、ジャンルの人気(エネルギー)が窺える。私自身としては、通俗的なJRPG風世界像はとりたてて好きなわけではないが、それは世界像レベルの共通了解にすぎず、その上にどのような物語を構築していくかについては幅広い自由(多様性)があるのだし、「安定した世界像をベースにしつつ思考実験的な展開を探っていくことに知的な面白味がある」というのもひとまず理解できる。


 (→7月5月