2022/12/10

2022年12月の雑記

 2022年12月の雑記。(→-/11月




 12/20(Tue)

 『擬態人A』は、当初は『寄生獣』路線(異星人と地球の異文化体験ものと、異星人あぶり出しのサスペンスもの)かと思いきや、『どろろ』『ケルベロス』『月輪に切り咲く』のような「人の世に隠れるn人の強敵を撃破する」バトル路線の気配も見せつつ、第3巻では『第9地区』のような「地球への大量移住の政治とトラブル」に焦点が当てられていきそうで、なかなか掴みどころが無い。それら全てがきちんと連動しているので、全体としてはブレていないのだけど、物語が何を目指していくのかがよく分からない。


 『ガルフラ』をプレイ中。実行エンジンはNeXAS(著作権表示はENTERGRAM)。何故かマルウェア扱いされるので、ちょっと対処が面倒。

 攻略記事を出すかどうかは、かなり微妙なところ。進行イベントは可視化されているし、アイテム購入や素材調達もゲーム内で全て把握できる。各バトルの経験値や獲得資金を抽出しておけば、効率的なプレイをしやすくなるが、あえて作成するほどのものでもないし……。

 育成効率のために、バトル経験値&獲得資金をリスト化した。役に立つような、立たないような、随分微妙な攻略データだが、まあ無いよりはあった方がよいだろう。
 素材の逆引き(つまり、特定の素材を欲しいときにどのイベントに行けばよいか)もリスト化しておいたら便利かもしれないが、「ゲーム内で探す時間 < リストのページを開く時間」になりそうだから、ゲームデザインを理解するための資料と割り切っておく方が良さそう。



 12/15(The)

 漫画版『俺の死亡フラグが留まるところを知らない』第5巻発売。なんとなく気に入って、ずっと買い続けている。ゲームの中ボス級悪役キャラ(の幼い時代)の中に入り込んでしまった主人公が、数年後に(ゲーム本編の時間で)死ぬ運命を回避すべく躍起になるという話だが、長期的な死亡回避の計画を地道に描いていて、好感が持てる。主人公は口が悪いが(※キャラ設定のせいで、どうしても口が悪くなってしまう)、内面的には芯の通った責任感があり、他人の不幸をなんとかしてやろうという善良さも十分に持ち合わせていて、なかなか可愛げがある。絵柄はクリアですっきりしている。10歳からローティーンのショタ年齢と、力強くアグレッシヴなツリ目のバランスも、ちょうど良い塩梅。


 プラモデルは、秋頃の「シタラ」と「セル」以来、ほとんど買っていない。毎週ホビーショップに足を運んでいるし、フィギュアはそこそこ買っているのだけど……。艦船模型のめぼしいものはだいたい入手済みだし、ロボットプラモは店頭在庫が減っているし、AFVや建築物模型もすでに一通り手を出して満足している。特にガールプラモは、「パワーローダー」「マリア」「シタラ」の強烈な3連発が余韻を残していて、次に行こうという気分にならない。ということで、是非欲しいというキットが、当面あんまり存在しない。良いことなのか悪いことなのか……。

 PC(アダルト)ゲームは、だいたい毎月、何かしら買っている。世間的な動向もいろいろ心配があるので、欲しいものは今のうちにしっかり買い揃えておくべきかもしれない(※中古市場も含めて)。最近だと、特に戯画の過去タイトルは、ディスク現物を押さえておきたいところ。
 ゲームショップのおにいさん(仮)から、レジで「戯画がああなっちゃいましたねー」と話を振られたけど、そういうのは、申し訳ないけど、ちょっと怖い……。そういうカジュアルな会話をにこやかに交わすのは苦手なので……。いや、同好の士として認めていただけているのは光栄だけど。


 眼鏡度入りを描くクリエイターさんは、この8ヵ月で20人以上発見した。平均すると12日に1人くらい。なかなかのペースだと思う。


 漫画版『魔法使い黎明期』(既刊6巻)はなかなか面白い。キャラクターたちの真剣な対話が、現代的な言語感覚や問題意識に支えられつつ、誠実に展開されていくところが楽しい――もっとも、これは基本的に、原作小説に帰せられる面白さだろうけど。合理的に考え抜かれた正論をぶつけ合いつつ、相手の立場も十分に考慮して、熟慮ある落としどころを模索する会話劇は、なかなか珍しい。例えば、自分たちを殺そうとした暗殺者をどのように処遇するかといった場面で、そういった誠実な言葉の衝突が描かれる。
 漫画表現としては、ひとまず読むに耐えるクオリティ。真面目なドラマと、たまにグロめのシーン、そしてコミカルな描写の取り合わせがちょっと不思議な雰囲気を放っている。横顔大写しのツッコミ表現が印象的。
 鼻の上に影を乗せているのが、ずいぶんレトロな感じ。90年代あたりのスタイルで、00年代以降はめったに使われない描き方だと思うのだけど、これはこれで可愛らしい。

 『あそこではたらくムスブさん』(既刊5巻)も良い。分類としては職場恋愛ものだが、余計なキャラを入れずにひたすら二人の関係に集中して、相互の距離感と相手への配慮をゆっくり慎重に描いているところが好感を持てる。長めボブカットの黒髪で、無口不器用っぽくて、内面では慎重に誠実に相手のことを考えていく、知的+天然キャラというのは、クラシカルな萌えキャラの一つの典型だが、そういった古風なキャラクター造形に正面から取り組みつつ物語を丁寧に進めていくのは、これはこれで新鮮味がある。
 ちなみに、新刊の5巻を表紙買いして、近所の書店で4巻を見つけ、それから出先で3巻を見つけて読んだところ。逆順は気にしないが(気に入った作品は、どうせまとめて再読するのだし)、1-2巻はどうしようかな。

 個人的に、ラブコメはかなり苦手(になった)。主役2人の恋愛関係が絶対的なうえ、周囲の賑やかし(揺さぶり)によって強引なストーリー展開になりがちなのが、好きになれない。それに対して、上記のような落ち着きのある進行ならば楽しんで読める。
 アダルトゲームも、「ラブ」と「コメディ」はあるけれど、「ラブコメ」にはなりにくい。フルプライスでは複数のヒロインが中盤まで併存する――それぞれにチャンスや見せ場を保持する――という形にならざるを得ず、主人公と特定のヒロインの関係を所与としたコメディにはならないからだ。「前半のサロン的/コミュニティ的なストーリー展開から、後半の特定のヒロインとの間のシリアスなストーリー」という区分は、これはこれで私の性分に合っているのかもしれない。
 とはいえ、近年の低価格ワンヒロインものの恋愛タイトルや、一人一人のヒロインをフィーチャーしていく連作シリーズものでは、特定のヒロインを絶対的に優位に置く傾向もずいぶん強まっているし、そうした中で古典的なラブコメ図式が現れることもある。

 『ジーンブライド』(既刊2巻)は、眼鏡の度入り表現があった。複数のコマで明確な段差が見られるので、間違いないだろう。女性向けで、段差を描き込むのはきわめて珍しい。
 作品全体としては、SF的な謎めいた設定と、女性の社会的尊厳に関する描写の2つの側面が扱われているが、両者がどのように連動してくるのかがまだ掴めない(※さらに言うと、第3の側面として男性キャラが関わってくるのだが、このキャラが物語全体の中でどのような役割を果たしていくかも、まだよく分からない)。前者のSF(?)めいた要素の方はまだ中身がはっきりしないし、後者のフェミニズム的側面もベタで散漫に見える。ポテンシャルはありそうだし、良いところもあるのだが、よく分からない。


 「欲望に負けた」などという言い方は、すべきではない。欲望とは、私自身の欲望であり、すなわち、私自身とイコールなのだから。だから、心の欲望を満たすことは、私らしさを解放し、自己実現を果たしていると言うべきなのだ。そして、0時を過ぎてスイートポテトを食べるという営みも、自己を肯定して自己のアイデンティティを健やかに花開かせる、誰恥じることのない欲望の行為なのだ(?)。


 購入漫画が年内600冊に到達してしまうかどうかは、ぎりぎりのところ。いずれにしても、私の人生での最多更新は間違いない(※ちなみに2021年は約450冊、2020年は410冊、2019年は420冊)。まあ、この10倍買っている人もいるだろうから、けっしてたいしたものではないけれど。



 12/10(Sat)

 四コマ漫画はずっと苦手だったが、昨日読んだ『となりのフィギュア原型師(4)』(丸井まお、芳文社)は、気持ち良くきれいに読めた。狭義の四コマ(一ページ8コマ)ではなく、一ページを縦4段(4コマ)に分割する形だが。コマ組みそのものは四角四面ながら、各コマの絵作り(レイアウト)、4コマ単位での流れ、そして様々な演出がとても上手い。この作品のおかげで、四コマアレルギーがかなり緩和されたかも。とりあえず、この漫画家さんは既刊も買い揃えたい。

 四コマ漫画の、どこが苦手かというと、「コマ割が固定的(硬直的)で、紙面がつまらない」、「4コマにせよ8コマにせよ、描写の必要性を無視した固定コマなので、ぎこちなくなりがち(融通が利かない)」、「強引なオチで笑いを取りにくる(※いわゆる日常系でも、その傾向は強い)」、「そのためにキャラ造形や言動がかなり無茶苦茶」、「硬直的コマ組み+極端なキャラ造形から、演出面もベタで、繊細さに欠ける」、「総じて背景作画が貧弱(白背景が多めで紙面全体が退屈)」といったあたり。もちろん、デリケートな情緒を描いている作品もあるし、背景作画の充実した作品もあるし、切れ味の良い笑いや刺激的なストーリー運びの作品もあるが、個人的には上記のような「ハズレ」の率が高いので敬遠している。
 とはいえ、ずっと読み続けている『キルミーベイベー』も、「背景が弱い」「キャラが極端」といった欠点と無縁ではないが。『キルミー』の場合は、思いきってコミカル(SD)に振り切ったスタイルで、キャラクターの全身をフレームインさせてダイナミックなアクションを描いているので爽快感がある。また、SDキャラなので、コマ割が固定的でも様々な状況を柔軟に表現できる演出上の余裕がある。さらに、時としてグロいほどのスラップスティックギャグは、他ではめったに味わえない路線だというのもある(※コミカルな四コマスタイルが、その過激さを受け入れやすくしてくれている)。


 自分で撮った写真を見ていると、ちょっと風変わりなスタイルだなあと感じる。一方では、まるで証明写真のように味気なく説明的な撮影になることがあるし、その一方で、キャラや作品を見せるというのを超えて演出効果一点突破のような写真になっている場合もある。
 前者は、鉄道写真とも相通じるような清潔感志向、客観性志向かもしれない。後者は、自分の作品を見せるというのではなく、例えば「ロボットプラモのゴチャメカ密度感をひたすら強調する」とか、「フィギュアの衣装の広がりと布地表現だけを徹底的に強調する」といったようなアプローチ。クリエイティヴな写真は、そういうものであってよいと思う。「どのような対象を撮影したか」が判別できなくてもよくて、「写真として切り取られ生成された画像そのものが、それ自体自立的な存在として、どのようなインパクトを持ちうるか」に意義があればそれでよいと思う。


 このブログの記事数が500になった。昨年から新記事が激減しているので、けっして誇れる状況ではないのだが、まあ、節目の到達をちょっと嬉しがるくらいは良かろう。
 
 
 年末年始の予定は、もちろんゲーム。『GFF』は戦闘パートがあまりに古典的なシステムで、多少不安はあるが、全体としては何かしら面白味のある遊びを提供してくれる筈だと信じている。