2016/01/03

「1/700 おおなみ」

  護衛艦「おおなみ」の1/700模型。
  PIT-ROAD版(全塗装、一部追加工作)と、AOSHIMA版(一部塗装のみ)の、並列写真集。


  2016/01/03
  PIT-ROAD版(PR)は全塗装+デカール。追加パーツとして、同社製エッチング、AOSHIMA用エッチング(アンテナ類、ライフネットなど)、汎用エッチング(梯子、窓枠など)、そしてAOSHIMA版キットから一部パーツ(マスト周りの各種パーツ、舷側NORQ-1パーツ、ボートダビットなど)を転用した。資料としてはイカロス出版のムック本などを参考にした。

  AOSHIMA版(Ao)は、参考のために買ったものだが、パーツ取りだけで捨ててしまうのも勿体ないし、せっかくなので簡単に組んでみた。つや消し白/黒の部分のみを筆塗りし、デカールを貼付した。一部はPR版パーツと交換した(濃いグレー部分がPR版からの交換部分)ので、本来のキットパーツを完全に使い切ったものではない。


(2016年1月3日、自宅にて撮影。
以下同様)

(1枚目:)正面から。撮影角度のせいで艦首が寸詰まりのように見えるが、実際はきれいに伸びている。マストの高さも、左(Ao版)の方がマストが高いように見えるが。実際にはどちらのキットも同じ高さ。
(2枚目:)艦首側の様子。PR版の戦闘通路の白線は筆塗りだが、あまりきれいに塗れなかった。通路のパターンはキットのまま(おそらく「むらさめ」用)で、「おおなみ」として修正していない。飛行甲板のデカールもそのまま。Ao版の通路デカールは正確。PR版の窓枠は汎用エッチングパーツに置き換えたが、実物とは枠の幅がかなり異なる。反省。
(3枚目:)艦橋は、Ao版の方が引き締まっているが、実艦写真を見るとPR版のようにどっしりしているようだ。艦橋前のVLSも、PR版の方が実艦に近い。なお、Ao版のマスト頂点やボートの色が違っているのは、PR版をいったん塗装した後で交換したため。PR艦の第二煙突側面と格納庫側面の白球形アンテナ(NORQ-1)はAo版から移植したものだが、新造時は装備されていなかったようだ。
(4枚目:)中央部の様子。PR版の方はマストをエッチングに置き換えたが、どちらもキットのプラパーツのままで十分精密。Ao版のルーバーは一体成形の繊細なモールド。PR版はルーバーがそれぞれ別パーツ化されているが、かなり厚みがある。削って薄くしておくべきだった。Ao版は上部構造物群の合わせ目処理などが面倒で、PR版の方が作りやすいと感じた。PR版も船体のヒケが大きかったが。
(5枚目:)二隻を並べた全体像。どちらも基本的には、キットパーツ(および説明書で指示された改修)のまま。低めに構えた艦橋と、堂々とした四角錐状マストとの対比。上部構造物の密度感のある連なり。左右に戦闘通路をきれいに通している側面の余裕。グレーの立方体、黒い四角形、白い球体、赤いアクセントの取り合わせ。そして見通しの良い飛行甲板。整理された視覚的な面白さがある。
(6枚目:)真上からの撮影。左右非対称に配置された2本の四角い煙突にも、幾何学的な心地良さがある。上部構造物の位置やサイズが微妙に異なるが、どちらの方が正確なのかは不明。PR版の方が、第一煙突の後ろのブロックと格納庫部分が、前後に長い。なお、後部甲板軌条エッチングはどちらも使用しなかった。



  02/05
  【 「おおなみ」追加工作:途中経過メモ 】
  丸9時間掛けて、手摺を2段パーツと3段パーツ合わせて8本(※横幅12cm弱)をせっせと組み込んでも、まだ終わらない……しかもまだ外周部分が丸々残っているし。手持ちの3段手摺エッチングは使い切ってしまったので、追加購入してこなければ。しかし、最後までやりきれば、少なくとも私の実力でできるかぎり最高の「おおなみ」になってくれると思うので、構想どおりにきちんと完成させたい。合わせ目処理が出来ていないとか、ルーバーが武骨なキットパーツのままとかいった不備はあるけれど。

  今回取り付けたエッチングは、現時点で54個。こんなに小さな模型に、こんなに大量に組み付けていたのかと、我ながらびっくり。全部で9時間掛かったから、1個あたりちょうど10分。幸いにも、作業ペースはそんなに遅くはなかったようだ。工程としては、「ムックやwebの写真と照らし合わせて、どのようなパーツをどの位置にどのように取り付けるかを確認」→「必要な形状(長さなど)を確認して、汎用エッチングを切り出す」→「できるだけ正確に位置合わせをする(直線でない箇所は、しかるべき形に折り曲げる)」→「慎重に接着固定」を行うわけだから、10分も掛かるのはおかしくない筈だ。もちろん、手慣れたモデラーはもっと手早くやれるのだろうけど。

  後は艦尾と外周部の手摺、それからマストの手摺が多少残っている。手先を引っかけてエッチングアンテナを一本飛ばしてしまったので、これもなんとかして修復したい。余り物のエッチングがあればよいが、無ければもう一度専用エッチングを買い直す必要がある。メッシュを使いたい箇所もある(第二煙突と格納庫の間)。以下の写真は途中経過。

  手摺で四方を囲繞したために、どこから出入りすればいいのか分からない形になってしまった箇所もある。実際には、取り外し可能なチェーン手摺部分があったりするのだが、模型のサイズではそれが表現できずに、完全な閉塞エリアにしか見えなくなっていることも間々ある。例えば、下の図3では、格納庫の上の射撃指揮装置の囲いを一部切断して梯子につながるようにしているが、見てのとおり、きれいに形に作れなかった。無理をしてでも(良い見栄えにできなくても)一応開いておくか、あるいは縮尺模型なりの省略表現としてきれいな形を維持できる範囲に留めておくかは、各人の技量や目標、模型観に応じて変わるだろう。雑誌作例などでも、梯子の先が手摺などで塞がれていて一見トマソン化しているものがあったりするが、仕方ないことだと思う(――実艦では、その部分がチェーンなどで外せるようになっている)。


(2016年2月5日、自宅にて撮影。
以下同様)

(1枚目:)PIT-ROAD版の「1/700 おおなみ」。外周の4段手摺は未装着(最後に付ける予定)。マストのOPS-20Bレーダーの周囲は、手摺の取り付けがうまくいかなかったので省略。造形上は、艦首の見張り台と艦尾のデコイランチャーくらいは追加工作するつもり。
(2枚目:)拡大写真だと、どうしようもなく粗が目立つね……。汎用エッチングを現物合わせで曲げて取り付けているので、合いの悪さはひとえに自分自身の技量の問題だ。手摺の端も処理が甘い。艦橋側面の梯子は、実物どおりにもっと急傾斜で取り付けるべきだった。ボートダビットのパーティングラインも、目視では気にならなかったが、接写ではかなり目につく。
(3枚目:)合わせ目処理の不出来も、目を瞑っていただきたい。瞬着の汚れも、後でなんとか補修したい。手摺は、場所によって4段(外周)、3段(大部分)、そして2段(マストなど)や1段(ごく一部)だったりするので、実艦写真を参考に、できるだけ正確な再現を試みる。チェーンとパイプの違いも一応チェックしているが、1/700サイズでは作り分けはしない。



   02/17
  【 「おおなみ」追加工作:とりあえず完成 】 

  実艦写真などを見たかぎりでは、手摺は3段の金属直線手摺のものが多いが、一部にはチェーン手摺やロープ手摺もある。外周部分は基本的に4段チェーン。一部には2段手摺の箇所もあるようだ。今回の制作では、第二煙突右舷側面の張り出し部分と、マストのOPS-28Eの周囲、OPS-24Bの周囲を、2段直線手摺にした。OPS-24Bの周囲は1段手摺になっているようだが、取り付けが困難だったので、今回の制作では省略した。雑誌作例レベルでも、手摺段数の違いにはわりと無頓着だったりするので、要らぬこだわりなのかもしれない(機能上の大きな違いなどではないのだし)が、とりあえず実験としてやってみた次第。

  結局、制作時間は全体として、おそらく30時間近く掛かったと思う。
 
  後日追記:1/700のたかなみ型には、海外製の本格的なエッチングセットがある(Big Blue Boy, #70087)。価格は6000円程度で、マスト/手摺/窓枠/ルーバー/ヘリ甲板などが一揃え入っているようなので、汎用エッチングよりもそちらを使う方がおそらく確実&リーズナブル&制作容易だろう。ただし、AOSHIMA版用とのことで、PIT-ROAD版にどれだけ適合するかは分からないし、ディテールの忠実性も私には判断できない。


(2016年2月10日、自宅にて撮影。
以下同様)
(1枚目:)Gold Medal Models社の「商船用」エッチング(PE-02)は、本来タイタニック及びルシタニアを想定したアイテムだが、2段~4段の直線手摺を大量に調達できるので、流用した。とはいえ、1枚だけでは3段手摺が足りず、2枚購入することになったが。細かな相違を気にしないなら、「ちきゅう」などにも使えそうだ。
(2枚目:)艦首付近の様子。先端の見張り台とフェアリーダーは、キットでは再現されていないので、プラパーツや金属板を適当に組み合わせてそれらしく作ってみた。旗竿はAOSHIMAの専用エッチング。目立つ場所なので、頑張って組み込んだ甲斐はあったと思う。左記写真では手摺が途中で切れているが、実艦では艦首見張り台まで全部つながっている。
(3枚目:)艦橋とマスト。空中線は張っていないが、後で追加するかも。チャフ甲板の手摺部分は、実艦の最新状態では大部分が防弾板になっている。第一煙突の背後のボート(RHIB)も、本来はツヤ消し黒。後で塗り直すかも。艦橋上正面のアンテナも、位置が違うようだ。全般に、資料群を適当に参照して付けられそうなディテールを追加しているだけなので、特定年次の厳密な再現になっているわけではない。
(4枚目:)中央付近の様子。側面にいくつも貼られているルーバーパーツが、いかにもディテールが鈍くて浮いている。汎用のメタルパーツを取り込むなり、あるいはAOSHIMA版から流用するなり、何かしらの対処をすべきだったと思う。内火艇の内側も、ホワイト(とブラウンの縁取り)で塗装すべきだったようだ。
(5枚目:)第二煙突~格納庫~艦尾の様子。現在は、格納庫上の手摺も一部が装甲板に置き換えられているようだ。格納庫上面の傾斜部分は、手摺を切り貼りして対応したが、よく見ると明らかに失敗している。艦尾のアンテナ付近も、手摺が凸凹しているのでちょっと大変。プラパーツを削ってデコイランチャーも付けたが、ラッパ型の造形をうまく再現できなかった(ここでは写していない)。