2022/08/15

FUJIMI 薬師寺 東塔について

 FUJIMI「1/100 薬師寺 東塔」について。

高さ25cm超の存在感と、1/100スケールの密度感、木造建築特有の質感、そして多階層の構築感を堪能できる。適切に準備すれば半日で一気に完成させられるキットだが、ストレートに組むだけでも出来映えは素晴らしい。




上層(第三層)。このくらいのスケールだと、手摺(欄干)もしっかり再現されている。1/400スケール前後の城郭模型だと、手摺も省略されたり、あるいは簡素すぎる造形だったりするが、このくらいの大スケールキットだとリアリスティックに作られている。
仰角で撮りまくると楽しい。木の部分は、ラッカー「マホガニー」の上に、エナメル「バフ」をウォッシングの要領で撫でただけ。遠目には十分それっぽくなる。
白壁部分は別パーツなので、塗り分けも容易。多少細工すれば後ハメも可能なので、木目部分を組み立てて塗装してから最後に白壁を嵌め込むこともできる。つまり、制作それ自体は非常にやりやすい。頂点の突起物(相輪)はメタルグリーンで塗装済み。
地盤の裏側に楔を打ち込む仕組みが面白い。現実の木造建築の雰囲気を味わわせるための演出かと思われる。スケールモデルが、ただプラモデルであるのみならず、このように現実の(モデル元の)構造を意識させるような作りになっているのは刺激的だ。
屋根下に大量の支え木(肘木)を取り付けていくキットだが、それに見合うだけの手応えが得られる。先述のように、一気に組み立ててからエアブラシ塗装することができるので、作業全体としてはわりと楽。ただし、1996年のキットとのことで、パーツ精度は程々。
俯瞰での佇まいも美しい。わずかに湾曲した屋根の曲線が、優美な印象を与える。ただし、瓦屋根パーツをその下のパーツとしっかり貼り合わせるのはちょっと大変。屋根が浮いてしまいやすい。屋根の上の突起(「相輪」)は、渋めのメタルグリーンで塗装済み。なので、無塗装でもほぼ完全に色彩再現されている。
1/100スケールということは、一部のロボットプラモと同一縮尺になる。東塔は25m以上だから、20m前後のガンダムよりも大きい。
MODEROID「パワーローダー」に勝るとも劣らない、充実したキット。建築物模型でこれ以上のハイエンドとなると、熊本城とか木製模型くらいしかないのではないか。これほどのキットが実売5000円台で買えるのは、たいへんリーズナブル。
プライズフィギュアと並べると、なんだか観光ポスターっぽい雰囲気になる。まあ、これはこれで。