2022/08/20

2022年8月の雑記

 2022年8月の雑記。(→-/7月

Figure-rise LABO「式波・アスカ・ラングレー」。今月の一枚は、これにしておこう。




 08/26(Fri)

 JORI氏らの「チーム++」が戯画ブランドでSLG新作情報を発表したかと思えば、内藤氏の小説はアニメ化の情報が本格展開しはじめた。偶然にもこの一週間で、旧ソフトハウスキャラの方々の活動が大きく動き出した。アニメには友永氏が出演されたら嬉しいが、どうなることやら。
 ゲームの発売が12月下旬で、アニメの開始が来年1月か……上手く両立できるかな。

 『ガールズフランティッククラン』はキャスト情報公開されていた。歩サラ氏主演で、蒼乃氏と風花氏も出演。これなら、まあ、ぎりぎりOKかな……。

 青山氏は、今月発売の『アマナツ』でメインヒロインを演じておられる。他作品では、柊氏も出演作があるし、それから久しぶりの三咲氏出演作もある。この業界のキャスティングに関しては、この1-2年で水準がやや戻ってきた感じかな。


 漫画100冊(単行本100巻)は、実のところ、そんなに大した規模でもない。一冊10~15分程度で読めるし、特に少年漫画でバトルシーンが多かったりすると早いので、100冊でも17~25時間で読み切れる。つまり、土日に集中して取り組めば十分読破できる。
 費用に関しても、5万~7万程度。けっして小さい額ではないが、無理というほどでもない。電子書籍のセールや、(良いことではないが)古本セットで買ったりすれば、もっと安く揃えられるだろう。一冊100円だったら、100冊でもせいぜい1万円(税込11000円)に過ぎない。
 もっとも、私自身は長寿漫画の類を読む(通読する)ことはほとんど無いけれど。現在自宅にあるタイトルだと、一番長いのは『うる星やつら』だろうか(※持っているのはワイド版だが、当初の新書判では計34巻らしい)。


 『スカアレットの恋』のコンシューマ版が発売されたので、猫田さんはホニャララなことに。芯の詰まったしっかりした芝居をされる方なので、今後とも応援していきたい。アダルトゲーム分野では2020年のデビューだが、この時期の新規出演者としては突出したクオリティで聴かせてくれる。


 8月最後の買い出し。PCゲームと書籍とプラモデル(工具や塗料を含む)とフィギュアを大量に買い込んで、しばらくはゆっくり籠城できる。残念ながらCDショップまでは回れなかった。
 模型用の塗料は、瓶一本あたり160~300円と安価ではあるのだけど、20本も買えば4000~5000円になる。いや、まあ、漫画単行本をほんの6~7冊も買えば同じくらいの額になるけど。そして漫画を約10冊、塗料を約20本に、ゲーム数本、プラモデルやフィギュアを数個、その他諸々を両手で持ち運べるだけ買えば、結構な額になってしまう。



 08/23(Tue)

 今年の春(3-6月)はゲーム中心だったが、今月は「模型の夏」になっている。

Figure-rise LABO「式波・アスカ・ラングレー」。胴体部分は、「素肌」「ブラ(イエロー)」「スーツ(クリアオレンジ)」の多重成形になっている。通常のフィギュアでは再現困難な表現であり、プラモデルメーカーによるキャラクター立体物ならではの独自の意義があると言える。
造形それ自体については、フィギュアメーカーのALTERと協力しているとのこと。そのおかげで、どの角度から見ても隙のない、非常にクオリティの高い立体物になっている。
背面から。脚部のオレンジ色のラインなど、一部は塗装しているが、基本的にキットのまま。技術的には興味深いし、キャラクター立体物としての見応えもあるが……半透明に透けたスーツといい、ボディコンシャスな表現といい、非常に卑猥感の強いプラモデルでもある。
MODEROID「パワーローダー」のリプリーも塗装した。この靴は実際にリプリーモデルとして市販されていたようで、「Ripley+shoes」などでweb検索すれば、ディテールがはっきり分かる写真がたくさん見つかる。原作映画を見るに、ベルト部分はこのような色分けになっている。
Revell「1/144 Uボート VII-C(U-96)」も作った。先日言及した、映画『Uボート』版の特別パッケージ(※初心者向けなのか、塗料や筆も同梱されていた)。潜水艦キットはシンプルなので、丸2日間で簡単に制作した。
1/144スケールは、艦船模型としては異例の大縮尺だが、その分、ディテールが細やかに再現されていて面白い。塗装は、上部がバーリーグレー、下面はTAMIYA佐世保グレー。さらに、エナメル塗料でクリアオレンジ+バフ+ブラウンを適当に混ぜて錆っぽい色合いで、全体をザッと薄塗りした。
艦橋周り。上記のとおり『Das Boot』版なので、ノコギリザメのデカールが同梱されている。潜望鏡は上下に伸縮する。元は2006年(?)のキットのようで、バリがやや目立つが、十分対処できるレベル。
大スケールだけあって、ハッチの周囲も見応えがある。映画の中でもよく映されている場所。
1/144スケールということは、同スケールの車両やロボット、あるいは鉄道等の1/150スケールと並べることができる。……大きいのか小さいのか、分かるようで分からない。1/150スケールの人間(情景用)を配置するのも面白そうだ。
艦船模型で一般的な1/700スケールのキットもある(写真手前)。ほぼ5倍のスケール差になる。できるかぎり大きなスケールで作ること、ハイエンドを経験しておくことは、大きな意義があるし、そして満足感も大きい(※ハイエンドと言うほどのキットではないけれど)。
1/700の潜水艦を、同じく1/700の戦艦プラモデルと並べると、こんな風になる。このような潜水艦は、意外なほど小さいのだが、それだけに上記のような大スケールにもできるという面白さがある(※戦艦を1/144にしたら、2メートル近くの長さになってしまうからね)。


 『エイリアン2』は、無印版(劇場公開版)が一番好きかも。完全版では序盤のコロニー生活風景やエイリアン捕獲シーンが描かれるが、無印版では描かれない。つまり、惑星基地に到着したリプリー自身がエイリアン(幼生)を目にするのが初めての遭遇になり、そこに悲しみとカタルシスが感じられる。「ああ、やっぱりエイリアンがいたんだ」という感慨を、主人公と視聴者が共有できる。
 無印版だと、少女ニュートの家族が登場しないままなのも良い。娘を失った(写真でしか見られなかった)リプリーと、家族のいないニュートの、孤独な二人の関係が際立つ。完全版には、両親と兄が登場するが、両親はいささか浅薄なキャラクター造形で、家族としての重みに欠ける。兄については、探索中の部隊が発見する(まさに胸部を食い破られる)のだが、それはそれで嫌味が過ぎる。
 それから、完全版にはセントリーガンのシーンもあるが、弾数が減っていくのを見るだけで、とりたてて面白いわけではない。
 劇場公開版を見られるのは、現在だとおそらくBD版しかないと思う。DVD媒体のものは「完全版」のみのようだ。ただし、BD映像はあまり好きではない。コロニー構造物の映像が鮮明に見えても、かえってミニチュア感が出てしまう。DVDくらいの粗さの方が、施設の巨大感を味わうには良いかもしれない。
 音声に関しても、DVD版の方が良い。BD版(アルティメット版)の芝居はちょっと大人しすぎて、迫力や切迫感に欠ける憾みがある。
 「劇場公開版」+「BD媒体ではない」という条件だと、おそらくビデオ(VHS)版の一択になってしまうが、さすがにビデオ再生環境は持ち合わせていない。VHSをデジタル変換することは一応可能だが、そこまでするつもりは無いし……。


 Triangleの「魔法戦士」新作は、せっかくだから買おうかな。ただし、余計なプロテクトや認証が付いていなければ、という条件で。キャストの駄目っぷりについては、もう諦めている。


 『第七王子』は、ゴーレム編(つまり巨大ロボットが中心)と、魔物大暴走編(軍隊レベルの戦いが中心)になっていく。つまり、密度の高い個人戦が激減して、高い視点からの物語になってしまう。ここから漫画版は書きづらくなりそうだと懸念している。ロボット戦闘は、漫画表現としても小回りが利きにくいし、軍事作戦レベルの物語も、これまた個人の活躍を描きにくい。小説版(つまり文字媒体)としては十分面白いのだけど、漫画には不向きかなあと。 石沢氏のことだから、上手い具合にサブキャラの物語を織り込んだりされるのだろうけど、最近のキャラクターの描写はデフォルメ絵が標準化しつつあって、その点もいささか不安がある。



 08/15(Mon)

FUJIMI「1/100 薬師寺東塔」を完成させた。メリハリのある6層の屋根の広がりが面白い。ただし、構造としては、実際には3重とのこと。

 本体は箱組みをしつつ、支え木を大量に取り付けていくだけなので、技術的にはけっして難しくないし、模型構造としての刺激もそれほど大きいわけではない。しかし、屋根まで高さ25cm超のボリュームと、堂々とした木造建築の美しさ、そして密度の高い屋根下構造はたいへん見応えがあるし、そして深い満足感がある。1/100という比較的大きいスケールでの建築物模型なので、ディテールもじっくり眺められる。
 モデラーに建築物模型を推めるなら、これをファーストチョイスにしてよいかもしれない。組み立ては簡単だし、パーツ精度もひとまずは合格レベルだし(※ちなみに1996年のキットとのこと)、せいぜい吹き付け塗装かトップコートが出来れば完成度をさらに高めることができる。実売価格も5000円台と、このボリュームにしては非常にリーズナブルだし。
 というわけで、せっかくなので新記事:「FUJIMI 薬師寺 東塔について」。

 数日経っても、何度見返しても楽しい。作って良かった! これほどのクオリティのものが実売5000円台と制作期間1-2日程度で出来上がるのだから、非常にお得だ。


 他にもいろいろ作っているが、あえてブログで記録に残すほどのものではない。ただ、web上に情報の乏しい新作キットについては、twで紹介的な投稿をしてきた(※このブログで書いても誰も見つけられないだろうから、旬の話題についてはtwに書く方がベターだろう)。


 外付けBD/DVDドライヴが壊れた(物理的に)ので、買い直してきた。しかし、完全に同じ型番のものを買ったのに、構成が変更されているようで(高速回転時のキュルキュル音が明らかに鋭く、きつくなった)、ちょっと不満がある。


 うーむ、模型趣味はちょっとマンネリになりかけているので、意識的に新分野を開拓していくべきかもしれない。今年は建築模型を広げたが、まだ足りない。個人的に、あんまりツールを増やしたくないという事情があって、新ジャンルや新技術にはずっと消極的だったが、もう少しアプローチを変えていっても良いかもしれない。

 趣味に対しては、様々な取り組み方がある。
 1) 一つのスタイルに沈潜して、それを深めていき、洗練させていくものもある。スポーツや美術には、そういう傾向があるかもしれない。
 2) 一つの分野の中で、ひたすら知識と経験を広げていく、知性優位の趣味もある。知識系の趣味は基本的にこの性格を持つ。漫画や映画鑑賞などの受動的な趣味も、往々にして量の問題になるだろう。
 3) 模型のような技術ベースの趣味では、みずから新たな技術を取り込んでいくことに面白味がある。だから、当該分野の中で新たな手法、新たなジャンルを積極的に試していく必要がある。ただし、経験の範囲を広げていくという意味では、2)と3)の境界は流動的だが。
 4) もちろん、純然たる娯楽として、同じような活動を繰り返すのもあり得る。それはそれで楽しいし、そこにも確かな人生の楽しみがある。

 模型以外でも、漫画はわりといろいろな作品、いろいろなジャンルを開拓するようにしている。その都度の新機軸や新流行にも、できるだけ目端を利かせるようにしている。PCゲームは、その分野に留まって沈潜していくことに意味がある分野だと思う。音楽(クラシック)は、時々新たな作曲家を集中的に聴き込むことがあるが、基本的には娯楽として既存のCDをリピートすることが多い。声優関係については、最近のことはよく分からない。だいたいこんな感じかな。趣味としての料理も、技術の問題だから、少しずつジャンル(レシピ)を広げていくものだろう。化粧については、「自分に最も合った定番を確立させる派」か、「多様な彩りを楽しむ派」かは、人によるだろう。ファッション(服飾)については、その性質上、後者になりがちだが。



 08/10(Wed)

 うーん……四コマ漫画は、できれば表紙でそれと分かるようにしておいてほしいな……四コマ漫画がものすごく苦手なので。今日買った単行本も、B6判なのに四コマという珍しいタイプの罠で、しかもペラッとめくってみた感じでは、四コマにありがちな暑苦しくて強引なツッコミを連発するスタイルだったので、すっかり読む気をなくして既読本の山に突っ込んだ。
 おっとりした雰囲気の萌え四コマもあるが、それはそれでキャラクターの性格造形がエキセントリックだったりして、やっぱり苦手なことが多い。そもそも、1ページに横割り4コマという平板なコマ割の段階で、退屈しやすいというのに……。継続的に読んでいる商業四コマは、現在では『キルミー』一つだけ。『GA 芸術科アートデザインクラス』とかは良かったし、昔流行った「○○四コマアンソロジーコミック」もそれなりに楽しんではいたけれど。


 採点がようやく終わりそう。おれたちのなつやすみは、これからだ!


 『ファミコンウォーズ』くらいの軽めのSLGは好きなのだけど、アダルトゲームにはなかなか無いよね……。ステージ制だったり、小規模のパズル的なものだったりして、一プレイがせいぜい数時間で完結するようなタイトルは、各種インディーズの方で展開されている。SRPGはあるけど、個人的に苦手(※進行がダルいし、イベントが挟まってくるのがややこしい)。
 アダルトゲームだと、『神楽黎明記』などのロープライスSLGや、『極煌戦姫ミストルティア』のようなACT、あるいは『とびでばいん』『ぶるにゃんマン』のようなSTGもあるが、これらは再プレイしても楽しい。本格的なSLGだと、ソフトハウスキャラの『ブラウン通り三番目』『領地貴族』『悪魔娘』はいずれも総ターンが短めで、ノーセーブでさらりと一周プレイするのが楽しい。


久しぶりの新記事:「『転生したら第七王子だったので気ままに魔術を極めます』小説版と漫画版の比較」。半日も掛からずに出来た。漫画バカ石沢氏による、魔術バカ主人公の漫画。本当に素晴らしい。
 しかし、 この記事それ自体は、ものすごく冷めた資料集にすぎない。漫画版/小説版の読者がこれを見て面白味を見出してくれるかどうかは……。どうやらこのタイトルの読者は、かなりの若年層のようだし。
 キャラクターリストと魔術リストは、別ページにしようかな。


 優秀な人との会話(対面や電話)は、非常に高速、効率的に物事を進められる。つまり、「問題Aはこうですね、となると問題Bはこうしましょうか、そうしたらCはこう決まる筈で、それを受けるとDはこうなりますね、そう言えばEの件もこれでいいですかね」といった具合に、複数の絡み合った問題が一気に解決できる。

 しかし、そうでない相手との会話は、メール以下の非効率に陥る場合がある。つまり、
- そもそも問題を共有するのに時間が掛かる(遅刻者がいると二度手間、三度手間にも)。
- その場での口頭説明だと、内容が整理されていなかったり、不明瞭なものだったり。
- 手許ですぐにデータを参照できない人は、会話の場で、相手にそのまま待ち時間を強いる。
- 話が脱線し、本題が進まない。あるいは、本題(議題)を見失う人が出る。
- その場できちんと結論(意見)を出すという姿勢にならず、「また後で」に流れやすい。
- 議題の漏れが、見落とされやすい。
- 複数人の会話の場合は、人数分だけこれらの障害が発生する可能性がある。
等々。そんなわけで、最初の問題Aすら決定に至らないということもある。これがメール(文面上)であれば、
- 問題の提示がゆっくり読み返せる。また、文面も推敲して丁寧に書ける(書かれている)。
- 手許でいろいろ確認してから返事を出せる。相手はもちろん、その間は自由に出来る。
- 話の脱線が生じない。議題の漏れも、発生しにくい。
- それぞれ自分の意見(判断)を書いてメールを送り合う。

 そんなわけで、
- 言語能力も情報処理能力も高い人どうしであれば、会話(会議や電話)は有効。
- 言語能力や情報処理能力が程々の人は、メールで丁寧にやりとりする方が安全。
- 言語能力や情報処理能力がかなり低い相手には、面談で聞き出してやるしかない。
といった感じになる。

 まあ、つまり、最近そういうもどかしい経験をしたわけだが。大学の専任教員ですら、打ち合わせで20分も脱線しまくって本題がまったく進まないという話し下手がいるからね……。それに、むやみに電話で話したがる人は、「相手の時間を拘束することをなんとも思わない」という一点だけで、危険な徴候を示しているとも言える。ただ、非常にデリケートな問題は、文章では書きづらかったりメールに残したくなかったりする場合があるし、上記のようにとにかく高速に一連の問題を一気に解決したい時は電話や打ち合わせ(面談)が有効な場合もあるけれど。
 優秀な方との電話は、本当にスパスパ話が決まるのでたいへん気持ち良い。「この件は分かりました(=即座に理解してくれる)、それではXの場合はこう対処し、Yの場合はこうなりますね(=様々な可能性を広く見据えつつ、対応案もセットで出す)、ですから現段階ではここまでしておけば大丈夫でしょう(=当面の行動を正確に把握する)」という感じで。もちろん、自分の側もそうありたい。


 『十角館の殺人』や『虚構推理』でも、小説版と漫画版の比較をしたら面白いと思うのだが、前者は単行本が書庫に埋もれて取り出せないし、後者はそもそも一部分しか読んでいない。「この描写は漫画版オリジナルか!」とか「漫画版ではこのように設定アレンジしているのか」といったことを細かく跡付けていくのは、作劇や演出の特徴を考えるうえでも大いに役立つ。もちろん、双方のテクストを繰り返し読み返す楽しみもあるし、(慣れていない人には)精読の練習にもなるだろう。
 ただし、そうしたメディアミックスの読み合わせが、常に面白いとは限らない。特にアニメ版は、恣意的な省略が多くてあまり参考にならないし、原作の途中でも12話で切られてしまうので、構成が歪になる。また、『のんびり農家』などは、漫画版がかなり忠実なコミカライズをしており、原作からのアレンジや組み替えはほとんど見られない。ゲーム作品のコミカライズも、往々にして短命に終わりがちだったり、詰め込みすぎて面白くなかったりで、見どころは少ない。それに対して、「複数巻にわたる長めのエンタメ小説を、漫画系出版社がサポートしつつ、表現力のある実力派の漫画家にコミカライズしてもらう」というのは、上手く行きやすいようだ。

 『十角館』漫画版は、非常に巧みなアレンジだったと思う。中村千織の死因(シチュエーション変更)も説得力を増しているし、江南君を男性から女性にアレンジしたのも終盤の演出で効いてくる。終盤のクライマックスでも、探偵役を愚かなままにせず、犯人を突き止めるようにしている(※原作小説版は、最後の地下室の死体に対する解釈に無理があった)。エピローグも、しっかりした心理的な決着がつく形になった。一人二役は小説(文字媒体)ならではのトリックで、映画やアニメではどうしても(人物や声で)バレてしまうが、漫画版は絶妙の人物描写でその点も見事にクリアしている。ちなみに、眼鏡の度入りもしっかり描かれている。


 『第七王子』は、ひとまず原作のデータを全て整理できた。
 これをベースにして、漫画版を読み返しつつ情報追記していく。
 ……そして数時間掛けて、漫画版もチェック完了。



 08/01(Mon)

童友社「1/460 鶴ヶ城」。古いキットのようで、パーツが歪んでいたりバリが多かったりして大変だった。箱組みは強力な接着剤(Mr. セメントSP)でガッチリ固めてなんとかした。ランナー塗装中心の簡素な制作。芝(パウダー)くらいは施してもよいかも。
苦労や至らなさはともかく、出来上がってみるとなかなか興味深い。縦横に互い違いの張り出しがある天守閣は幾何学的な面白味があるし、突き出た走長屋から大ぶりな鉄門に連なる構造物も風変わりな趣がある。
続いて童友社「1/550 和歌山城」も。ランナー塗装に加えて、地面などの塗り分けを施した。こちらはパーツ精度も多少ましで、わりと作りやすかった。天守曲輪をぐるりと取り囲む回廊と櫓群が面白い。
真上から見ると、一部が傾いた四角形になっている。手許で様々な角度から眺めることができるのは、模型ならではの楽しみであり、そして模型(立体物)を手に取れることの知的刺激でもある。
正面(南側)の楠門の付近。屋根はラッカー「濃緑色」(ランナー塗装のみ)、石垣は「軍艦色(呉)」にエナメル塗料でスミ入れ、砂地はアクリル「木甲板色」の筆塗り、白壁は「インシグニアホワイト」(ランナー塗装)。いずれもTAMIYA塗料。
逆側、つまり北側から見た角度だとこのように見える。和歌山にこんな大規模な城郭があるのに驚くかもしれないが、紀州徳川の城だと考えれば妥当か。
1/200「金閣寺」。これも童友社。金箔本来の黄みがかったきれいなゴールドは、塗装で再現するのが難しい。メッキシルバーの上にクリアイエローを重ねるなどの手法があるが、今回は普通のゴールド塗料を吹き付けしただけで済ませた。

 次はいよいよ大物のFUJIMI東塔(1/100)を制作する予定。ここまでやれば、建築物模型はひととおり履修したことになるだろうか。ここまでのプランは以下の通り:
1: 姫路城:城郭模型の1個目。石垣塗り分けも含めて、ひとまずやれることをいろいろ試す。
2: 鶴ヶ城:速度重視の実験。簡素な制作で、どのくらいの出来映えになるかを確かめる。
3: 和歌山城:適度に省力しつつ完成度を確保するのが目標。
4: 金閣寺:ひとまず寺社模型を簡単に試してみる。城郭模型との違いを確認。
5: 東塔:ディテール(パーツ分け)が非常に細かい。本格的な大縮尺キットへの挑戦。

 これで建築物模型は切り上げる予定。あえて言えば、大きめの城郭模型を一つくらい作ってもいいが、サイズが大きすぎて自宅に保管できないので差し控えている。まあ、気が向いたら1/350広島城あたりを作るかもしれない。さすがに木製模型までは手が出せないが。

 建築物模型は、色数が少なくて済むのがありがたい。その対極にあるのが車両模型(自動車)で、細かなパーツをいろいろと塗り分けしていく必要があって、かなり大変。使う色数もかなり多いし、組み立て工程の中にこまごまと塗装箇所が出てくるので「塗装/組み立て」がきれいに分割できないのも非常にややこしい。内部再現がかなり施されていて、事実上のインテリアキットのようなものだし、色数が増えるのも仕方ない。
 艦船模型だと、色数は少ないが、甲板の塗り分けや艦載機の塗装が大変。AFVは、塗り分けというよりは、泥や錆汚れの演出に力を入れる。

 童友社の城郭模型は、とにかく古いキットが多い。ディテールの甘さは極端な小縮尺で誤魔化せるとしても、パーツ精度が低くてズレが出やすいし、それどころかパーツが歪んで(反って)いたりするし、作りやすさへの配慮も無い。素人が迂闊に手に取ると、模型嫌いになりかねないくらい。
 艦船模型や航空機模型も、そしてガンプラも、1970年代や1980年代のオールドキットが平然と並んでいたりする。その意味では、模型趣味は素人にとっては危険だらけの領域とも言える。
 ゲームであれば、大量のユーザー感想を集約しておおまかな評価が共有されているが、模型分野ではなかなかそうした文化が育たない。大昔から「キットはあくまでキット(材料)であり、それを良いものにしていくのがモデラーの腕だ」という風土だし、とりわけスケールモデルでは「考証の正しさ」の方が注目されやすく、「プラモデルキットとしての出来」はあまり議論されない。ロボット模型では、キットレヴューが定着しており、「造形(ディテール)」だけでなく「可動範囲」「関節保持力」「接地安定性」などがしっかり言及されるのだが……スケールモデルでも、そういうアプローチが広まってもよいと思う。例えば城郭模型でも、「童友社のキットを全部作ったうえで、キットの発売年や出来を総合評価して、誰でも全体を概観できるようにする」といった酔狂なサイトがあったら嬉しいのだが。艦船模型では、艦種ごとに紹介的なムックがあり、それで大きな見通しを掴むことができるが、これは模型ジャンルの中では珍しい部類だろう。

 建築物模型のハイエンドは、WoodyJoeの木製模型か、あるいは1/144 熊本城(内部再現しているインテリアキット)だろう。さすがにそこまでは手を出さないが、しかし、取り組んでみれば案外やれそうではある。
 技術的にも、建築物模型には独自のノウハウや掘り下げがある。ベーシックな石垣塗装や植生表現から、ディテールの修正および追加、瓦表現(塗り分け)、そして木の質感表現など、やれることは沢山ある。大スケールキットでは尚更。


 久しぶりにエアブラシ塗装をしたが、ずっとトリガーを引いたままでいたので指先が痛い。しかし、トリガータイプなのに、人差指ではなく親指の方が痛むのは何故だろうか……。
 暑さのせいか、吹き付けた先からどんどん乾燥していくのが面白い。ほんの数度くらいの気温差なのに、結構違ってくるものだ。おかげで気兼ねなくたっぷり吹き付けて、きれいに均一な塗装面を作ることができた。暑かったけど。


 (→-/7月