2018/01/21

「カスタムリリィ」(ピコニーモ素体)雑感

  「カスタムリリィ」(ピコニーモ素体)について。
  主に「フレームアームズガール」との比較において。


(2018年1月21日、自宅にて撮影)
(写真1:)左から「フレームアームズ・ガール」シリーズの「マテリア(ノーマル)」、「カスタムリリィ」シリーズのTYPE-D(ブルー)、TYPE-H(ライトブラウン)、そして「フレームアームズ・ガール」の「イノセンティア(ブルー)」。みんなかわいい。

  【 各々のコーディネート 】
  左端は、KOTOBUKIYAのFAG「マテリア(ノーマル)」に、Picco Neemo「リボンベルトセーラーワンピ(ネイビー)」を着せたもの。ブルー基調できれいにまとまったと思うが、手足が義体風ブラックのままなのが少々ミスマッチ。試しに銃を持たせてみたら、なにやら北国の殺し屋みたいになってしまった。服を着せるにはマテリアの首はやや短いので、下記「イノセンティア」の長首を流用した。ただし、「マテリア」と「イノセンティア」は、頭部に接続するボール部分の径が合わない(この組み合わせだとガバガバになる)ので、マスキングテープを使って内部で仮留めしている。ここはやはり、肌色手足を調達するために「イノセンティア(ノーマル)」をもう一つ買ってくるべきか……。ちなみに、この服は背面が開かないので、背中の穴にピン刺しで固定することは出来なくなる。右手に持っているのは「リトルアーモリー」のグロック17

  中央左側は、AZONE INTERNATIONALの「カスタムリリィ TYPE-D(ブルー)」セットがベース。スカートが腰巻きのようで落ち着かなかったので、別売りの「スリムパンツ」に替えてみた。素体の「ピコニーモ」シリーズは複数の種類があり、このTYPE-DはSサイズなので、このスリムパンツは少しダブついてしまう。左の「マテリア」や右のTYPE-Hとと比べても、身長差がかなり大きいのは見て取れるだろう。後ろ髪は、長いお下げやツインテールのパーツも同梱されているが、ショートのままで撮影した。小柄ボディに、ツリ目気味のジト目、下膨れな(幼げな)顔立ち、そして顔面差分は「通常(やや不機嫌)」&「睨み顔」&「悩み顔」と、キャラクターとしてもかなりのポテンシャルを感じるが、どういう方向性でファッションコーディネートしていけばよいか、なかなか迷う。

  中央右側は、同シリーズの「カスタムリリィ TYPE-H(ライトブラウン)」。こちらは、セット状態で最早いじりようが無いほど完成されている。ただし、セット状態ではストッキングの折り返し部分が左右で揃っておらず、いささか見栄えがよろしくなかったので、上記TYPE-Dのタイツをいただいてきた。ブラックが濃くなったおかげで絶対領域が強調されて、実に良い感じ。しかし、この顔の表情はずるい……。

  右端は、FAG「イノセンティア(ブルー)」。素肌の露出が大きいので、上腕や太腿のメカパーツが気になる。しかし、これを取り除くと腕が寸詰まりに見えてしまうので、どうしようもない。適当な肌色のリングパーツを作って代置すれば一応対処可能だが。同じくpicco neemoの「キャミソールワンピース」を着せてみた。しかし、上記写真を見ても分かるように、裾の広がったワンピースは、胴周りがぼてっと太く見えてしまうので、きれいに見せるのが難しい。なにしろスケールが1/12と小さいので、あまり融通が利かないのだ。また、構造上、肩紐をきれいに回して固定するのも難しい。picco neemoの「ピクニックサロペットset」を買ってハダカオーバーオールにしようと試みたが、服のサイズが小さかったため、うまく着せられなかった。胴体を仰け反らせることで、一応着せることは出来たが、胸元などにメカパーツが露出してしてまうので、なかなかきれいな形にならない。イノセンティア単体では、シンプルなメカ美少女キャラとして統一感のあるデザインになっていると思うが、ここに普通の服を着せるとなると、似合うものを選ぶのは少々難しそうだ。



  【 基本的な仕様についてのtips 】
  「カスタムリリィ」シリーズは、1人分のフィギュアが一揃え入っている。開封してそのまま適当なところに飾ることができる。さらに、頭髪や顔面表情や手先などの差分パーツがいくつも同梱されている。衣服が布製である点以外は、figmaシリーズと似たような仕様になっていると考えてよいだろう。ただし、figmaなどのフィギュア分野が、基本的には特定の(固有名詞のある)キャラクターの存在を前提にしているのに対して、AZONEのアプローチは元々ドール制作の流儀であるようだ。つまり、あらかじめ所与としてのキャラクターが存在するわけではなく、ユーザー個々人が素体に対して好きなように別売りパーツを取り合わせて自分なりのドールを作り上げていくことが期待されているようだ。「リリィ」セットがベースになりはするが、そこからどのような外見を作り上げてどのような個性を見出していくかは、個々のユーザーの自由な創造性に開かれている。

  FAGの小さいプラモキャラに着せるのだから、ワンピース型の方が着せやすいかと考えて、そのタイプの商品を買ってきた。しかし実際には、picco neemoシリーズの衣服類は、背面や側面が開ける(マジックテープで留められる)形になっているので、どれでも着脱は容易なようだ。ただし、ものによっては、FAGの胴体をいったん分離して着せていく方がスムーズにいくだろう。PN素体は分解できないが、凹凸の少ないスリムボディなので、着せ替えさせやすい。

  「カスタムリリィ」セットでは、キャラクターはあらかじめ下着も履いているが、ものによってはボディラインをきれいに出すために、下着は取り去ってしまう方が良さそうだ。実際、上記TYPE-Dでは、下着の縫い合わせ部分が盛り上がってしまって、スカートのラインが凸凹になっていたので、下着は脱がせてある。ひどい話だ……まあ、ブラも着けていないけれど。

  また、上記のメモでも書いたとおり、素体のサイズは単一ではなく何種類かのタイプがあり、ものによってかなり違っているので、新規衣服購入の際には注意を要する。これはFAGとの互換性の問題だけでなく、「アサルトリリィ/カスタムリリィ」シリーズの中でも気をつける必要がある。

(写真2:)picco neemoの「ピクニックサロペットset」に含まれるオーバーオールを着せてみた。やんちゃボーイッシュな雰囲気を強調できるかと期待したが、あまりうまく行かなかった。色彩の問題でもあり、服が小さめなせいもあり、メカパーツが露出しているせいもあるだろう。
(写真3:)背中側から。服のサイズが小さいため、背中を反らさせて、かなり無理をして着せている。実際には、強いテンションが掛かっているわけではない(プラモへの負荷は小さい筈だ)が、いさか可哀相な姿になってしまっている。もっと良い服を買ってあげよう。
(写真4:)上記「マテリア」の頭部と手足を、「イノセンティア」(ノーマル)のものに差し替えてみた。ローファー靴は、TYPE-Dセットから拝借。素足感がなかなか刺激的だが、やはり靴下は履かせてあげたい。
(写真5:)TYPE-Dの頭髪を三つ編みに変更。お姉ちゃんのお下がりのちょっと大きいパンツを押しつけられて拗ねている中学一年生、といった趣になってしまった。このくらいであれば、ユーザーが手縫いで仕立て直すことも一応可能ではあるが……。
(写真6:)同じくTYPE-D。こんなポーズにしておけば、ドールスタンド無しでも、自由に机の上などに置いておくことができる。かわいい。
(写真7:)「カスタムリリィ TYPE-H」。顔面表情パーツはノーマル(微笑顔)、片目を閉じて痛がっている(!?)顔、薄く歯列を見せて上目遣いの顔(企み?)、そしてこの歓喜顔の4個が同梱されている。大きく見開いたエメラルドグリーンの瞳、見下ろし角度の眼差し、そしてわずかに覗く片八重歯……完璧すぎる。服装が収縮色のブラックであるおかげで、胴周りの太さも目立たない。
(写真8:)頭髪の造形もたいへん凝っている。波打ちつつ広がっている頭髪は、豊かな立体感と、品のある躍動感を感じさせる。カタログを見るかぎりでは、シリーズの中でも「楓・J・ヌーベル」のそれと並んで出色のクオリティではなかろうか。ただし、この頭髪のせいで、頭部はほとんど前後可動できない。



  【 素体の特徴:FAGシリーズとの比較 】
  【脚部と腰部】:素体について見ると、FAGの手足はいかにもアニメっぽく(?)、非常にストレートなラインで出来ているが、それに対してピコニーモボディは、特にふくらはぎにかけて、意外なほど肉感的な、曲線美に満ちたシルエットで作られている。その一方で、PNの股間部分はかなり露骨に関節部を剥き出しにしている。これは、服装を着せることが前提なので、可動優先で設計したものだろう。臀部は、FAGがやけにふっくらと突き出しているのに対して、PNは小ぶりに引き締まっている。これも、上から服を着せた状態でほどよくきれいなラインを作れるようにと考えた設計だろう。腕部も、FAGは細い棒状のラインだが、ピコニーモの腕パーツは微妙に湾曲していて人間的な表情がある。

  【肩部と膝部】:肩部は、PNボディがかなり繊細に作られている。首筋から肩にかけてのラインがきれいになるように、胸部と肩関節の間にもう一つパーツを入れてある。上腕パーツも、胸側に向けてちょっとした張り出しがあって、肩の接続部の隙間が剥き出しになりにくいようになっている。それに対してFAGは徹底的に可動優先で、両肩の人工的な関節部が剥き出しになっている。FAGは、はなからメカ少女として作られているというコンセプトもあるだろう。膝関節も、PNは凸凹が極力露呈しないようになっているが、その分、90°強くらいしか曲がらない(cf. 写真10)。それに対してFAGは、膝裏を切り欠いてあることもあり、150°ほど曲げられる。

  【首筋】:PNでは首が固定されているというのも興味深い。要するに、胸部から首までが一パーツになっているのだ(cf. 写真9)。頭部の根元(首の上端)の、顎で隠れる部分にジョイントが仕込まれていて、そこで頭部を動かせる。首元をきれいにしておきたいという配慮だろう。ただし、可動に制約が生じるということでもあり、実際、上記「TYPE-H」のように後ろ髪が肩口に掛かっているキャラクターでは、顔を上に向けることができなくなっている。それに対してFAGは、多くのロボット模型と同様に、首の基部にもボール可動を仕込んでおり、それを首飾りで隠している。専用の首飾りパーツで可動部分を誤魔化すのは、ドールとして汎用素体を別売りするのではなく、その都度ワンオフの「キャラクタープラモキット」としてデザインしているからこそ実行できる対処だ。
  下の写真9を見てのとおり、ピコニーモ素体の首はかなり長いが、これは服を着せた時にきれいに見せるための設計だろう。1/12の小スケールだと、生地の厚みの影響が大きく、現実の人体のプロポーションをそのまま縮小しただけでは、首が襟元に埋まってしまう。それを避けるために、あらかじめ首を長めにしているのだと思われる。実際、FAG「イノセンティア」もこれを考慮して、通常時(裸体時)の首パーツとは別に、ドール服対応の長首パーツ(I12)を同梱提供している。

  【関節機構】:その他、可動範囲や関節の保持力はFAGの方が優れている。これは、「組み立てたり組み合わせたりして遊ぶためのプラモ」か、「着飾らせてディスプレイするためのドール」かという、コンセプトの違いにも由来しているだろう。FAGでは、腕や膝の関節は左右嵌め込み式で関節部をしっかり固定しているが、きちんと合わせ目処理をしなければ接合面が見えてしまう。それに対してPN素体は、上腕は1パーツ、下腕も1パーツで構成されており、そのままでも非常にきれいな素肌パーツになっている。そしてジョイントパーツは、その端の穴に嵌め込んである。内部にストッパー(スナップ機構)が組み込まれているのか、手で引っ張ってもジョイントパーツが抜けることは無い。ただし、要するに腕や膝は単一のジョイントで折れ曲がるだけということだ。可動性の観点では、FAGの二重関節に軍配が上がる。

  【プロポーション】:双方を見比べてみると、FAGの四肢が長すぎる(特に太腿がやけに長い)のが気になる。ただし、これは武装追加のためでもあろうから、一概にFAGのバランスが悪いと断じるのは公平ではないだろう。また、FAGの胴周りは洋梨型の奇妙なラインをしている。現実の人体を標準として考えると、腰の上までボッテリとした膨らみが続いており、胴体が引き締まる部分もウエストよりも上寄りで、忌憚なく言えばけっしてきれいなプロポーションではない。ただし、コルセット着用時のボディラインをモデルにしていると考えれば、理解できなくはない。また、胴周がかなり細いので、衣服を着せた時のラインがきれいになるという効果もある。ピコニーモボディも太腿がやや長いが、スカート等を着せるとちょうど良くなるようだ。

(写真9:)ピコニーモボディ(Sサイズ)の首から肩に掛けての構造。首は完全固定で、上端にのみジョイント可動が設けられている。上腕の根元部分が、胸の前の方に向けて少しパーツが伸びている。これによって、腕から脇に掛けてのラインがきれいにつながるようになっている。肘関節は、内側に曲げた時にきれいに見えるようにデザインされているようだ。
(写真10:)同じく、下半身部分の構造。太腿から鼠径部にかけて大きく抉れているのは、着衣を妨げないための配慮だろうか。膝関節は、伸ばした状態では目立たないようになっている。脚部は、90度以上曲がる(左記写真の左足が、限界まで曲げた状態)。



  プロダクトの性質、適性、方向性等に関して、おおまかに私見を述べると:

  アサルトリリィ/ピコニーモシリーズは、どちらとかいえば女性向けのドール分野のカスタマイズ文化と商品展開ノウハウを、どちらかといえば男性向けな射出成形分野に応用している。
  ユーザー各自が自分なりに、自分の手許にあるフィギュア(素体)を着飾らせていくのは、ドール文化のアイデアだが、3D美少女ゲームにもそれに通じる文化があり、それが下地として作用したのかもしれない。
  ドール分野は、数万円単位の比較的高額なドールを少数保有しつつ、コーディネートしたりインテリアを整備したりする(ドールハウス制作)ものであろうが、それに対して近年の(メカ)美少女系フィギュア/プラモ分野は、素体を比較的小型のサイズで制作することにより販売価格と展示スペースを抑制し、それによってユーザーは複数のキットを購入してさまざまにアレンジして並べていくことができるようになった。これは明らかに、プラモ・フィギュア文化の販売形態であり享受形態だ。
  素材面、造形面では、小サイズ化したことにより、頭髪や衣服をドールのように精緻に(リアルに)表現することが難しくなった。しかしそれは、1)射出成形に適したサイズになった、2)小スケールのため髪型等をデフォルメしても説得力がある(フィギュア相当の受け取り方が期待できる)、3)複数の頭髪パーツを差し替えで提供できるほど製造コストが下がった、といったメリットももたらしているだろう。リアルに縫製&植毛されたドールではなく、オタク的なデフォルメで造形されて、萌えフィギュアと同じ地平に立って鑑賞される、そういう存在になった。
  また、このことは、ドールのような完全なオーダーメイドではなく、髪型や表情パーツに関して、多くのユーザーが同一のパーツを共有していることを意味する。「私一人のワンオフドール」ではなく、同一のキットを前提にしつつユーザー間で比較や模倣やアレンジをしたり、技術や情報を交換しあったりする気風をもらたしているだろう。そしてこのことはさらに、複数購入と試行錯誤を後押ししていく。
  しかも、ドール的カスタマイズ文化を継受しているため、固定ポーズのフィギュアではなく関節可動のある素体をベースにしている。それによってユーザーにおけるプレイアビリティが増しているし、それは、SNSにおける気軽な写真投稿に適している。

  私自身、こうした状況全体をうまく整理して述べることができずにいるが、ドールとフィギュアとプラモの中間に立ってそれぞれの長所をうまく取り込んでいると言うことができるだろう。ドールほどのサイズが無いから個々の立体物の迫力はそれに及ばないが、小サイズ=低価格である分、ユーザーが手を出しやすいし、追加アイテムも買いやすいし、個々の製品にあらかじめキャラクター個性を付与していくことも出来る。また、既存キャラクターを立体化した完成品フィギュアに比べれば、細部の練り込みは及ばないが、自由なカスタマイズの余地が大きく開かれているし、共通素体をベースにしたシリーズ展開にも適している(それはユーザー側のメリットでもある)。キャラクタープラモ(FAGやFIORE)と比べれば、割高な価格設定であるが、組み立てや塗装の手間を要求しないし、デコレーションアイテムとしてはプラ製の「武装」に代えて布製の「衣服」を提供できる(そういう製造技術、美的デザイン能力、販売ノウハウ、文化的下地を持っている)。



  実店舗は、関西だと日本橋に2店ある。2018年1月現在、KOTOBUKIYAの4F(直販店)と、GEE STORE(店内一部)が取扱いしているのを確認している。前者の方が品揃えが充実しているが、後者の方が割引が良いようだ。その他、ドールショップで置いてあるところがあるかもしれない。



  02/16

  【 AZONE:エッチング眼鏡ほかの雑感 】

ククク……これでうちのフィギュアたちを全員メガネっ娘キャラにしちゃるけんね。艦船系モデラーとしての経験があるので、エッチングパーツの扱いはお手のものなのだ。塗装して赤眼鏡にするのも黒眼鏡にするのも自由自在。
眼鏡っ娘コンビ成立。ひとまずエッチング1セット(2個分)はそのまま切り出して銀縁眼鏡にした。青イノセンティア(左)は、この表情+眼鏡だと、撮影時にはちょっと角度に気をつけてあげる必要がありそう。ノーマル(右)のおすまし表情は、文句なしに似合っている。ギターはf-toysの「バンドMONO」。

  店頭でいろいろ見てきて、やはり「リボンベルトセーラーワンピ」が一番良いと思う。上の写真の中央下の服のタイプで、今回はホワイト基調のヴァージョンを買ってみたが、先月購入したネービーブルー版も良い。
  理由は: ワンピース型(一体型)なので、着付けも簡単だし、これ一着だけでひとまず上下全体が揃うし、コーディネートで悩まなくて済む。胴周りをきちんと留めるので着ぶくれを避けられるし、さらにネービーブルー基調だと収縮色なので腹部が引き締まって見える。スカート型なのでさまざまなサイズの素体に柔軟にフィットするし、色調もシックなのでいろいろなキャラにマッチする。布地の質感も良いし、フリルのようなデリケートな部分も無いし、ほつれる可能性も低そうだ。私のような初心者が、まず一着AZONE服を買うならば、これが一番無難だろう。値段も、定価2000円(+税)と、この手の服としてはけっして高くはない(まずまずリーズナブルな価格だと思う)。
  カラーは「ネービーブルー」「ホワイト」「グレー」「スカイブルー」の4種があったが、小サイズのフィギュアには「ネービーブルー」か「ホワイト」が適していると思う。色彩感がはっきりしているし、リボン部分のコントラストも引き立つ。これよりも大きいサイズのドールだと、もっとディテールが凝っている服とか、あまり二次元っぽくないデザインの服の方が、説得力のあるものになると思われるが、ひとまずこの1/12サイズでは、このくらいのデザインがちょうど良い。小サイズのフィギュア(ドール)だと、着付けにも手先の器用さが求められるので、その意味でもパーツが細かすぎないワンピースは好都合だ。

  「ニット&ストラップスカートset」は、イノセンティア(ノーマル版)に着せるつもり。試してみたら見た目がかなり幼くなったが、まあ良しとする。「矢絣袴set」は、タイプDに着せてみたら面白い感じになりそうだが、二尺袖の方はマジックテープが付いておらず、袴で締めて固定するしかないので、着付けが難しい。マテリアは、洋装でなければ似合わないだろう。バーゼラルドガールやスティレットガールは、各部の突起物が多すぎるので、着せ替えは難しい(――イノセンティアから黒腕をもらってくればなんとかなるかもしれない)。

実際にTYPE-Dに「矢絣袴」セットを着せてみた。TYPE-Dは素体が小柄なので、袴を上げても足先が完全に隠れてしまうし、袖先もかなり余る。しかしこれはこれで可愛いので、大きいサイズの素体に差し替えて問題解決してもよいだろう。

  エッチング製の眼鏡は、顔面パーツと前髪パーツの間に挟み込むかたちにすればうまく固定してくれるので、接着の必要は無い(つまり着脱自由)。眼鏡のツルの部分は長めに作られているので、着用させる素体に応じて適宜切り詰めてもよい。
  さすがにレンズは入っていないが、適当な薄手の透明プラ(きれいな包装材など)を貼り付ければ、容易にレンズ表現が出来るだろう。レンズを入れた方がよいか無しのままが良いかは、「眼鏡とはなんたるかに関する価値観や美意識」の問題のほかにも、「反射具合(撮影環境や写真の見栄え)」、「嵌め込みが難しくなる点」などを考慮する必要があるだろう。さしあたり上の状態で見てみたかぎりでは、レンズを入れなくても十分可愛いと思う。しかし、このエッチング眼鏡はわりと丈夫そうだし、残りのいくつかはレンズ再現を試してみたい。

  青イノセンティアは、眼鏡をちょっと下にずらすと、剽軽さが出てなかなか良い感じ。島田デザインの通弊で前髪が重すぎる(額がほとんど出ない)ので、正面+眼鏡+黒髪だとかなり息苦しい雰囲気になってしまいやすい。だから、眼鏡を掛けさせるならば、髪の毛を明るい色にするか、あるいは角度を変えてスペースを空けるといった、なんらかの対処が必要になる。

何気なく机の上に置いてみたら、やたら野性味のある表情になっていて驚いた。ケモ耳キャラなだけに?




  【 「真島百由」雑感 】

「アサルト リリィ」の「真島百由」。設定上の正式な眼鏡っ娘であるらしく、このセットにも眼鏡エッチングが同梱されている。
なお、実物はこの写真よりももっともっと可愛い。

  「真島百由」は、カタログを見て気になっていたのだが買うかどうかは迷っていて、店頭でもいったんは購入断念していた。しかし、思い直して買ってきてみたら、たいへん素晴らしい出来だった。買って良かった!

  後ろ髪は二つに分かれており、それぞれジョイントを挟んで動かせる。そのおかげで、首の可動もそれなりの自由度が確保されている。両目の描き方も、びっくりするくらい八重樫氏の元デザインの雰囲気を再現していて、なかなか可愛らしい。パッケージ状態で目にした時点では、顔が面長すぎるように感じたが、実際に頭部に嵌め込んで眼鏡を掛けさせてみると、バランス良く整った面立ちになった。というか、このシリーズの中でもトップクラスの美人顔ではなかろうか(――ただし、表情パーツは、ジト目の企み顔やニヤけ紅潮顔など、かなり癖が強いものがある)。

  ブラック基調の服装なので、小スケールフィギュア特有のプロポーションの捉えにくさを気にすることなく、全体の雰囲気を素直に楽しむことができる。ブラックの面積が大きいが、襟やリボンにホワイトの差し色が入っているし、「服」「スカートフリル」「腰のリボン」「タイツ」「編み上げロングブーツ」でそれぞれ色味が違っているのでけっして単調にならない。袖先のブルーも、異能バトルものらしく外連味のあるワンポイントとして、気が利いていると思う。また、上衣とスカートがツーピースに分かれているため、上着の着脱で雰囲気を一変させられるというのも面白い。

  武器類は4種類(+腰部武装+強化腕たくさん)も同梱されており、この「アサルト リリィ」シリーズの中でもかなり贅沢な部類のようだ。武器類の出来は、ABS/PVCの塗装済み既製品としては十分なクオリティ。しかも、可動ギミックや分離合体ギミックも組み込まれているし、掌の把持機構も提供されている。

  全体として、「比較的高価(9800円+税)」という点以外は文句のつけようのない素晴らしい出来。ほんとうに買って良かった。ただし、既製品フィギュアにありがちな問題として、塗装等の個体差がある。私も店頭で実物を見て、前髪が崩れておらず服の縫製も大丈夫なものを選んでレジに持っていった。

  そういえば、手首のジョイントパーツはかなり嵌め込みが硬くて、手先パーツ交換時の破損が心配だった。もっとも、破損したらしたで、別売りの適当なジョイントパーツで代置すれば済むと思うので、致命的な問題ではないが。

  設定画では赤眼鏡になっている。エッチング(おそらくステンレス)のシルバーのままでもクールで知的な印象になるが、レッドにすると上品で繊細な感じになりそう。是非とも塗装して、赤眼鏡も作ってやりたい。

  もしかして、この真島さんの出来の良さに満足してしまって、この「(私にとって)最高のアサルトリリィ」が、「(私が買う)最初で最後のアサルトリリィ」になってしまわないかが心配。六角さん、楓さん、勝谷さん、天野さん、白井さん(v2)あたりを実際に見てみたいが、品切れになっている製品も多いようだ。


  カスタム TYPE-Hは、髪型良し、表情良し、服装良しで本当に素晴らしい。
  頭髪表現は、縦ロールから後ろ髪の複雑なうねりまで、シリーズ内でもトップクラスに凝っていて、品の良い華やかさと程々のゴージャスさがある。
  表情差分は「微笑」「歓喜」「睨み」「苦痛」の4種が同梱されているが、ハズレが一つも無くて、どれもキャラクター個性を際立たせている。顔の輪郭も、癖がなくきれいに整っている。もっとも、TYPE-Hに限らず、「カスタムリリィ」シリーズはどのキャラの表情もハイレベルに出来ていると思う。
  ファッション面もうまくまとまっている。胴周りはベスト型で引き締めているし、収縮色のブラックであるおかげもあって着膨れ感を免れている。その一方で袖はホワイトなので、風通しのよい軽みがある。さらに、いわゆる絶対領域までデフォルトで備えている。
  あえて言えば、ニーハイの折り返しの縫製処理がうまく行っていないので、別売りの厚手のものに交換した方がきれいになると思う。また、髪型のせいで頭部の可動範囲が極端に制限されている(=ポージングに制約がある)が、これは仕方ない。


  KOTOBUKIYA(FAGシリーズなどのプラキットとプラ武装)+AZONE(布製ドール服や素体など)+ゴッドハンド(工具&ニパ子)+MAX FACTORY(figma稼動フィギュア)+TOMYTEC(リトルアーモリーの銃器)の組み合わせがなんだか巨大な軍産複合体もといコングロマリットのように見えてきた。コラボ企画もいくつかあるし、製品インストでもお互いの製品を組み込んだサンプル画像を出している。仲が良いのは良いことだが……われわれ(の財布)は、ねらわれている!