2018/01/07

模型雑話:2018年1~4月

  模型関連の雑多なメモ。2018年1~4月。(→同年5月~2017年9~12月


  04/23

  [ www.aoshima-bk.co.jp/product/4905083055403/ ]
  [ www.aoshima-bk.co.jp/special/acks/vfg31j/ ]
  バルキリーガールは今月の何日に発売になるのかなあ。
  キャラデザの藤沢孝氏は、HASEGAWA(「たまごひこーき」ほか)、VOLKS(プリムラ)、そして今回のAOSHIMAのVFGもおそらくこの方で(※後日追記:間違っていた。ジークフリードガールのパッケージイラストは新米氏とのこと)、各社でずいぶん人気なのだけど、キャラクターイラストとしてはなんとも垢抜けない感じで、あまり好みではない。機械部分の絵も、陰影(ライティング)の表現はきれいだし、総じて端正に描かれてはいるが、色彩感や質感の表現は物足りない。
  とはいえ、今回のキットの楽しげなガウォークごっこ:
  [ www.aoshima-bk.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/4905083055403_3.jpg ]
  [ www.aoshima-bk.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/4905083055403_7.jpg ]
  [ www.aoshima-bk.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/4905083055403_4.jpg ]
は、もうこれだけでも買う価値がある。定価6800円+税とのことだが、完全新規金型キットでメカ部分3000円+キャラ部分3800円だと考えれば、むしろ安い。飛行機部分は、どのくらいのスケールに相当するだろうか。ちなみに、コクピットの中の人はいないようだ。

  クオリティに関しては、アオシマが人間タイプのプラモキットをリリースするのは初めてのようだが、VOLKSのプリムラよりも出来が良いくらいであれば十分だろう。メカ少女プラモで重要になるポイントは多い。
  1)関節部の可動および強度に関しては、繊細な調整が必要と思われる。自然な屈伸に見えるような構造と、スムーズに曲げられる柔軟さ、ポーズ固定できる硬さ、破損しにくいバランスが求められるだろう。アオシマの既発売ラインアップを見るかぎりでは、可動プラモの経験が乏しいのは懸念材料だろう。スケールモデル系のプラモメーカーは同じような状況だが、FUJIMIは「ロビ」のような可動プラモにも挑戦しているし、HASEGAWAも「バーチャロイド」シリーズや「メカトロウィーゴ」でノウハウの蓄積を進めている。アオシマがどこまで出来ているかは、今回のキットを実際に組んで確かめるしかない。とりわけ胸部~腹部の可動メカニズムについては、他社キットにない新機軸を導入しているようなので、期待したい。
  2)設定色再現。これもスケモ系メーカーにはあまり親しくない側面だろう。配色再現のためのパーツ分割、成形色コントロール、そしてパーツ分割とプラモ強度の両立と、考慮要因は多そうだ。今回のバルキリー少女では、のっぺりした胴体部分を初めとして、無塗装状態ではかなり行き届かないところが露呈している。もっとも、これは設定画段階での配慮が足りないことに由来しているし、また、ネタ元になっているバルキリーそれ自体のカラーリングの複雑さのためでもある。今回のキットは、スケモの伝統的な手法であるデカール(またはシール)を多用しているものと予想される。KOTOBUKIYAは、あらかじめ(部分)塗装したパーツを提供しており、今回のバルキリー少女もアイプリントは提供しているとのことだ。アオシマは、カーモデルでプリペイントモデル(パーツ塗装済みのキット)をリリースしているので、ペイントのノウハウはある。
  3)顔立ちの魅力如何は、メカ少女プラモではきわめて重要だが、アオシマにも完成品フィギュアのラインアップがあるので、これに関しては分かってくれていると思う。ただし、今回のキットは今一つのようだけど、設定画に由来する個別的問題だろう。
  4)サイズとプロポーション。四肢の長さや、アタッチメント機構の有無、全体のサイズなど。当該キットが目指しているコンセプト次第であり、唯一絶対の正解があるわけではないが、それだけにどのような地点を目指すかの選択はメーカー自身の判断力が問われるだろう。web情報を見るかぎりでは、FAGよりもわずかに大きいくらい(?)のようだ。
  5)価格設定。クオリティとの兼ね合いの問題でもある。上述のように、航空機部分と人体部分を合わせて6000円台というのは、十分リーズナブルだと思う。特に航空機部分は、通常のスケモのような「造形再現」だけでなく、「複数の形態に変形させる構成」、「人体部分と組み合わせるための内部メカニズム」、「各形態で(人体部分とのフィッティングも含む)見栄えを良くするバランス調整」も要求されるのでかなり難しかったと想像されるが、そうした中で価格を抑えられているのはたいへんありがたい。

  航空機も、1/72と1/144くらいしか実績が無いようだが、数はこなしているし、最近でも新作を出してノウハウをアップデートしているから、おかしなことにはならないだろう。

  [ pbs.twimg.com/media/DZ2_EK4UMAAi5b4.jpg ]
  無塗装組み立てだと、おそらくこの写真の右の状態なので、パチ組みではつらい出来になりそうだが、塗装&デカールでうまく仕上げられればと思う。

  [ www.hasegawa-model.co.jp/product/sp370/ ]
  ピンク色のカール自走臼砲の砲身にまたがるという牧歌的なおバカ能天気っぷりなどを見ても、なんというか、けっして好みではないけれどあまり嫌いにもなれない。

  追記。キット実物を見ると、シールを大量に貼り付ける仕様になっていた。BANDAIのキットと似たような感じ。腹部のホワイトシールは色が透けるので全塗装したいところだが、「白地に青ライン」(脚部)と「青地に白ライン」(腹部)の両方があるので、塗装工程はちょっと面倒になりそう。
  そして、残念ながら、やっぱり顔はあんまり可愛くない。


  店頭で目にした1/72ラーテは、買うかどうか、かなり迷った。
  巨大な連装砲戦車をあえてRatte(=ラット、ネズミ)と呼ぶセンスは嫌いではない。実際的問題として、大型戦車であることがバレないようにするための欺瞞目的のネーミングでもあろうが。これに類するネーミングが同じく大型戦車の「マウス」。その逆が、小型の遠隔操作爆弾に「ゴリアテ」(=巨人)と命名したもの。「ゴリアテ」とおぼしき兵器は、『パンプキン・シザーズ』(93話)でも活用されていた。


  大スケールの艦船模型をキット+エッチングで揃えると、3万円かそこらは掛かる(ものによっては5万円台になることもある)けれど、フルプライスの新作アダルトゲームをほんの4本も買えば、値引き後でも3万円くらいになるわけで……正直言って、たいした金額ではないよなあと。
  スケールモデラーというと、1)自宅住まい(エアブラシ設備を含む制作環境と大きな展示スペースを持てる)、2)年季の入ったユーザー(比較的高齢で、つまり稼ぎも良い)が多いかと思うのだが、意外と金銭感覚がシビアな方が多いのは不思議だ。しかも、一つのキットに数ヶ月を掛けたりするわけだから、均して見れば支出はそれほど多くないわけだし。そのあたりの金銭感覚のバランスが、どうもよく分からない。「面倒だから社外ディテールアップパーツを奢りまくってやったぜウェヒヒヒヒ」とか「別のキットからパーツだけ奪ってきてやったぜヒャッハー」という方をなかなか見かけないのは、「手作業の労作によって得られたものこそが素晴らしい」といったようなクラシカルな価値観の方が多いのだろうか。
  もちろん、「金銭」と「時間」だけでなく、比較的高度な制作「技術」が要求されるわけだが、それとてもお金で解決できることも多い。出来合いの甲板マスキングシートを買って使ったり、エッチング付きの甲板シートを買って飛行甲板面の塗り分けを楽にしたり……。ただし、例えば1/350「摩耶」はかなりアフターパーツを投入したけれど、せいぜい2万円かそこらで収まったが。楽しめる時間と、得られるクオリティを考えれば、十分リーズナブルな趣味だと思う。
  所要時間の観点でも、例えば、「1/350戦艦のキット+純正エッチング」と「フルプライスのアダルトゲーム4本」は、どちらも二万数千円程度の出費で80時間以上楽しめる(※プラモの場合は、丁寧に作り込めばその数倍乃至十数倍の時間になることもあるが)。一時間あたり300円程度なので、ゲームセンターよりも割安なくらいだ。

  もちろん、趣味活動の価値は、掛かった費用の多寡で量れるものではないけれど。


  初音ミクプラモが6000円台になるのはちょっと驚いた。キットはミク本体に中サイズのスピーカーが数本付属する程度のコンパクトな構成で、差し替えパーツが多いわけでもなさそうだし、版権料が高額ということも無かろうし(そんなに高かったらプライズフィギュアは作れない)、販売数も見込めるだろうから、てっきり4000円台で収まるかと思っていた。ボディや四肢などの設計も、既存のFAGからかなり使い回しが利いただろうし……。
  ちょうど発売になるAOSHIMAのバルキリーガールだと、完全新規設計のキャラクター1体に、大きなバルキリー(航空機)部分を丸々同梱して、それでもミクと同価格帯(6000円台)に収まっているわけだから、やはりKOTOBUKIYAキットの割高感は気になる。



  04/06

  最近のあちらのゲームを呼び水にして、海外艦のキット化が進んでくれたら嬉しい。しかし、日本国内のメーカー(とユーザー)は伝統的にIJN偏重が続いているので、あまり期待できないかも。TAMIYAやAOSHIMAの海外艦はいくつか買って作ってきたけど。海外メーカーは海外メーカーで、1/350スケールでも主立った艦をそれなりにリリースしていることだし、あとは所属国毎の制作ノウハウが広まってきてくれたらありがたい。私自身は、海外艦に関する考証資料をろくに持っていないので。


  Ariiの古いキットを作ってみたら、デカールが駄目になっていて貼り付けられなかった。シートの上ではきれいな状態だったのだが、水に浸しても全然紙から浮かないし、ピンセットなどで引いてみようとしても端からバラバラに崩れるだけで、一枚のデカールとして取り出すことができなかった。昨年に量販店に入荷していた製品だから、中古品ではなく再生産したのかと期待したのだが……。メーカーが古い在庫を取り出してきたという可能性もある。米空母の甲板ラインなので、塗装で正確に表現するのは難しく、泣く泣く諦める羽目になった。


  「アサルトリリィ」シリーズの変形武器群はわりと好き。武器デザインは東海村原八氏とMがんぢー氏が手掛けておられるとのこと。


  FUJIMIの1/700艦船キットは、細かいけれど精密ではないなあ。ここにこのような物が存在するということは出来るだけ再現しようとしているけれど、小さすぎてディテールがほとんど潰れていたり。モールドに今ひとつシャープさが無くてリアリティが乏しかったり。立体的な再現のために極小のパーツ群に分割しているが労力のわりに見映えはあんまり良くなかったり。あるいは、パーツ分割を避けてモールドで一体表現しているが、加工しにくいところにモールドが入ってしまっていたり。ここまでやるなら、いっそ大スケールのキットにする方がよいと思う。
  とはいえ、細部をよく知らない艦について、キットをストレートに組み立てるだけでも「ああ、ここはこうなっていたのか」という情報をたくさん得られるし、アフターパーツを買い込まなくてもかなり細かい部分まで(まがりなりにも)表現できるというのは、もちろん非常にありがたいことだ。


  モールド部分を正確に筆塗りするのは大変だから、別途塗装したエッチングを貼り付けて対処する。「ディテールのためのエッチング」ではなく、「手間を省くためのエッチング」。こんな横着をしたっていいじゃないか。(もちろん、実際にディテール水準も上がるが。)


  制作率がかなり上がって70%を超え、制作中のものを含めればもうすぐ75%に届きそうなくらい。これはこれで良い傾向だが、しかし、言い換えれば「作りたいキットが手許に少なくなっている」ということでもあり、物足りなさはある。明日あたり、塗料や溶剤の補充を兼ねて、何か面白そうなキットをいくらか買ってこようかな……。


  よく行くお店に、青イノセンティアの箱がいくつも並んだままでいる。彼女に堕とされた身としては、もとい、このキットがきっかけでFAGシリーズにハマった身としては、感謝の気持ちも込めてもう一人買ってあげようかなという気分になりつつある。
  最初に制作したFAGキットはスティレットガールだったが、その時点(2015年11月)ではさほど面白いとは感じなかった。私にとっては、やはり着せ替えお人形的ポテンシャルの有無が重要だったようだ。


  現在、手持ちのプラモの40%以上は艦船キット。次いで、ロボットものが意外に多くて20%以上。さらに航空機(宇宙戦闘機なども含む)が10%強。残りはキャラクター、車両、AFVが少々。鉄道模型やモデルガン(プラモとは言いにくいが)は片手で数えられる程度。バイク模型は一つも持っていないし、今後とも手を出すことは無いだろう。建築物(城など)も、プラモは持っていない。フィギュアやドールは別計算で。


  というわけでミニクーパーを制作。習作レベルの簡単な工作だが。カーモデルは表面のツヤを出すためにたっぷりと厚吹きをするものらしい(特にクリアコーティング)。艦船模型のあっさりした基本塗装に慣れている身には、カーモデルジャンルの厚吹き文化は新鮮味がある。エアブラシをぎりぎりまで近づけて、塗料が垂れる寸前までじっくり吹き付けていくというのは、かなりドキドキする。なんだか病みつきになりそう。(それはシンナー中毒なのでは、とか言わない。)

FUJIMIの1/24ミニクーパー(RS-19)。「朱羅・弓兵」(写真左)で余った塗料を使い回ししたが、わりと良い感じの色調になってくれた。配合は「シャインレッド(50%)+ハーマンレッド(50%)」。


  最近のKOTOBUKIYAメカ少女は、濃いパープルだったり、きついコントラストの配色だったりして、色彩設計が好みに合わないものが多い。全身金ピカも、アニメに由来するものらしいけど、単体として見るとクドすぎる。マイルドな中間色を使って、各部の構造が見て取れるようなきれいな配色にしてくれるとありがたいのだけど。


  結局のところ、クオリティを上げるには「技術」か「費用」か「時間」が必要なのだ。または、それら複数の組み合わせや、それらの前提となる「知識」も含めて。自分自身の工作技術をもって、キットにさらなる加工を施していくか。あるいは、出来合いのディテールアップパーツを購入したり、工作を容易にする工具を購入するか。あるいは、上手ではなくても時間を掛けて試行錯誤し続けて、ちょっとずつでもマシなものにしていくか。


  [ www.kotobukiya.co.jp/product/product-0000002567/]
  この「赤ずきん」がたいへん可愛らしいので購入したいのだが、店頭でなかなか見かけないので手を拱いている。布製の服は品質のばらつきが出やすいので、できれば店頭で実物を見てから買いたいのだが、サンプルのこのクオリティなら通販でも大丈夫かな。
  表情も可愛いし、赤ずきんにケモ耳を生やすというアイデアも秀逸。公式動画でも、「これ以上は詮索するのはもう野暮っすよ。だって、可愛いじゃないですか。見て下さい。可愛い女の子が、ケモノ耳が付いている。これでいいじゃないですか」と仰っているが、うむ、確かに、ケモ耳の可愛らしさはもはやそれ以上の説明を要しない、apodicticな原理なのだ。



  03/20

  IJNなどの艦船模型をモノクロ撮影したら、実艦写真っぽく見えたりはしないだろうか。現存の実物写真と同じ白黒写真という意味でも、モノクロによる質感の変化という意味でも。……というわけで、試してみた。

FUJIMI金剛(1/350)。デジカメの「モノクロ撮影」機能をそのまま使うだけでは、巨大感も質感もフィルム感も表現できなかった。そこで、オールドポスター風撮影にしてコントラストを強調したうえでグレースケール化したら、多少それらしくなった(左記写真)。画像も適度に荒れたし。

  うーむ、グレースケールだと、瞬着の跡がはっきり目につくし、表面の埃も目立つし、鎖の乱れも目立ってしまう。


  ホビーランドにも一度行ってみたい。本町付近にあるので、それ単体としてのアクセスは良いのだけど、他府県から来て日本橋とハシゴする場合には、ちょっと行きづらい。
  梅田を起点に置いて考えると、「御堂筋線の本町駅で降りてHLに立ち寄ってから、ふたたび御堂筋線に乗って日本橋/恵美須町/動物園前に行く」ルートか、あるいは、「日本橋界隈を歩いた後に、なんば駅から四つ橋線or御堂筋線で本町駅へ行ってHLを見てくる」行程か、どちらかが効率的だろう。その他にも、ルートとしては、「日本橋駅(堺筋線)~中央線~本町駅」もつながっているが、これだと日本橋付近での徒歩移動に無駄が出る。
  旅の楽しみを無視するならば、タクシーを使ってもいい。要するに、荷物運びの体力と移動時間と迷うリスクを金銭で購うことになる。なんば駅付近からHLまでは、直線距離で1km以上あるので、交通状況によって費用はかなり変動しそうだ。


  ブレードワンニッパーは切断時に力が「あまり」要らないが、アルティメットだと力が「ほとんど」要らない、という程度には切れ味が違う。ブレードワンは、十分出来が良いし費用面でも割に合うが、この製品でなければというほどのものではない。この切れ味ならば、他の高級ニッパーを選んでもかまわないだろう。その点、アルティメットは別格の切れ味だが、耐久性に難がある(よく切れる=刃が鋭利=刃が薄い=刃こぼれしやすい)し、刃先の短さもあって使い勝手にも癖がある。どちらも万能というわけではない。工具は、性能を見極めてしかるべき用途に使う必要がある。
  アルティメットニッパーは、切れ味そのものの良さもあるが、指や手首に切断時の衝撃が来ないのがありがたい。ゲートカットを何百回、何千回と繰り返していると、切断時の手の負担もけっして無視できないほど大きいのだが、このニッパーだと刃がスッと入っていってプツプツと切れるので、手先に力を掛けずに済むし、切断の瞬間の衝撃もほとんど無い。もちろん、切断面もきれいだし、ゲート付近が抉れてしまうことも皆無だし、パーツが撥ね飛んでしまうことも無い。刃先の短さ、片刃型であること、耐久性の低さといった短所はあるものの、たいへんありがたい高性能ツールだ。

  というわけで、暖かくなってきたので久しぶりに模型工作を再開したが、指の筋肉が衰えていたせいか、指先が痛い。
  さらに、塗装時は普段とは違う姿勢を長時間取っているせいで、翌日は股関節が痛い。


  「朱羅」2体完成。これでKOTOBUKIYAキットの制作率は100%に。所持キット全体の完成率は70%を超えており、FUJIMIとBANDAIも、買ったものはだいたい完成させている。その一方、TAMIYAは外国艦キットに国毎、艦毎の個別知識が必要なので未着手のものがいくつもある。HASEGAWAも、制作率がやや低め。
  「朱羅 忍者/弓兵」の制作記事完成写真は、それぞれ別ページにて。


  「Mr. COLOR GX」シリーズは、たいへん使い勝手が良い。発色がきれいなので、作品が鮮やかに映えるし、混色用に使っても引き締まる。また、隠蔽力が高いので、効率的に塗装できるし、塗膜も薄くて済む。塗膜も頑丈とのことだが、違いを実感するような場面は今のところ無い。通常のMr. Colorシリーズよりも価格は高めだが、以上のメリットを考えれば、むしろ割安なくらいだ。適した色があれば、できるだけ積極的に使っている。今回の「朱羅」も、ハーマンレッドを使ったおかげで、かなり満足のいく出来映えになった。



  02/17

  AZONEのエッチング眼鏡がたいそう気に入ったので、これがよく似合うフィギュアをたくさん買い込んでいきたい。……本末転倒?


  ゴスロリはそれほど好みというわけでもないが、(オタク系)フィギュアやドールのフィクショナルな服飾としては――つまり現実に着用することを考慮せずに見栄えのみで考えた場合には――、高い魅力を発揮しやすいと思う。趣味嗜好の方向性が明確であり、様々な装飾を盛り込みやすいし、デザインの間口も広いし、それなりに高級感もあり、色彩面でも統一感を与えやすい。ファンタジー系世界像(魔術や武器など)との親和性も高い。
  例えば巫女服だと、デザインの幅は狭いし、オプショナルな装飾を付与するのも比較的難しいだろう。また、学生服となると、00年代のアダルトゲームが様々な挑戦のおかげでデザインの振れ幅は広くなったが、そのぶん共通了解的イメージが持ちにくくなっている。


  うぐっ……ドールは、ドールにだけは手を出さない……ほんの倍額出せば1/6スケールで(つまり25cm前後の、かなりしっかりしたサイズで)そこそこのものを買えるとは知っているけれど、そしてそちらの方が衣装アイテムなども充実しているのだけど、そして豊かで楽しい魅惑の世界がもっと広がっていることは分かっているのだけど、ドール店に足を踏み入れてみると本当にきれいな子ばかりで、自分にはこの分野への心理的適性があることも重々理解しているのだけど……さすがにそこまで手を広げると本当にまずいので、買わない、買えない、作らない……うっ、くっ、鎮まれ、俺のおにんぎょうさんあそび衝動……!

  とはいえ、実のところ、ドール遊びの類にはまったく興味が無い。ドールやフィギュアやメカ少女プラモは、ただ普通に立たせて可愛いなと感じられればそれで十分満足だし、服装やポージングもなんとなく良い感じの格好が作れればそれで満足して、ずっとそのままにしてしまう。どんどんポーズを変えてたくさん写真を撮るというのも億劫だし、そもそもしなを作る(作らせる)仕方もよく分からないし、外連味のあるポーズを取らせるのも気恥ずかしくて苦手だ。服装も、ほどほどに良い感じのコーディネートが成立してしまえば(あるいは製品デフォルトの服装が気に入れば)、着替えさせようという意欲は湧かない。特定のシチュエーションを空想して「ごっこ」遊びをさせるわけでもない(ストップモーションでオペラを映像化したら、と考えはしたが)。なので、今の机の上にある10体近い可動フィギュアたちは、最低限の振り付けだけでほとんど棒立ちのままになっており、そして私はそれらをただ眺めているだけで十分楽しく嬉しい。こんなふうに放置するのは少々可哀相なので、ドールハウスに入れてあげたらと思いはするが、さすがにそこまではコストを掛けられない、というか、室内にドールハウスを展開するスペースがもはや無い。


  グライフェンガール、とても可愛い。にっこりな表情と、帽子キャラ(水兵服)なところ、そして若草色も素晴らしい。ちゃんとしたメカパーツのあるFAGとしては、これまでで一番好み。
  メカ部分の重機感は、イエローに塗装したらパワーローダーっぽくなりそう。メカ少女は、古典的なMS少女のように人体部分とメカ部分が完全に分離していて人間が武装を着込んでいるタイプが好みなので、このデザインはたいへん嬉しい。融合タイプならば、いっそ内部機関まで想像できるようなアンドロイド風だと良い。
  「グライフェン」はドイツ語のgreifen(≒英語のgrip)だろうか。いわば「掴み屋」。各部のサブアームからネーミングされたものと思われる。

  FAGは、カラバリがたくさんリリースされている。おおまかに言えば、実際には「轟雷(&迅雷)」「スティレット」「バーゼ」「フレズ」の4系統しかない。素体オンリーの「マテリア」「アーキテクト」「イノセンティア」もあるが、ボディなどは他のキットからの派生パーツが多い。まだまだ展開途中のシリーズなのだろう。
  それにしても、カラバリ展開が多い。限定販売などの特殊なものを除いて、通常販路の市販製品に限っても、製品アイテム数÷タイプ数が200%を超えている。


  メカ少女プラモへの新規参入ユーザーは、どのくらい増えているのだろうか。私の場合は、
- 以前から一応その存在を知ってはいた(※2015年にはスティレットガールを制作)、
- 数年前から模型熱が高まっており(当初はスケモ)、制作環境とノウハウも整備されていた、
- 昨年頃から部屋がいよいよ手狭になり、大型艦船模型を作りにくくなってきた、
- その一方でキャラクターフィギュアを買うようになっており、下地が出来ていた、
という経緯があり、そうした中でメカ少女プラモは、
- プラモデル制作の楽しみがある(組み立てや塗装)、
- 可愛らしいキャラクター立体物である、
- 比較的小さいし頑丈なので、完成させても置き場を確保しやすい、
- ちょうど製品ラインアップも充実してきて、ユーザーサイドも盛り上がっていた、
といったように好都合な点が多かったので、昨年末から一気にのめり込むようになった。
  ただし、このようにいくつもの個人的な事情とタイミングが噛み合ったからこそ、新たな趣味の一つとして受け入れることが出来たのだと思う。しかし、もしも室内にまだ余裕があれば依然として艦船模型がメインであり続けただろうし、フィギュアを買っていなければ、キャラクター立体物に意識が向くことは無かったかもしれないし、店頭での製品ラインアップが乏しい時期だったら興味がすぐに立ち消えていっただろう(実際、2015年当時はそうだった)し、模型制作スキルが備わっていなければ気後れして買えなかった可能性がある。
  そしてこれらの事情は、私以外の趣味人たちにも当てはまりうる。つまり、模型分野に親しんでいない人はそもそもメカ少女プラモのことを知らないままである可能性が高く、製品のクオリティも判断できないだろう。また、模型制作は敷居が高いと感じる可能性が高い(実際、精密ニッパーとデザインナイフくらいは最低限必要になる)。下着剥き出しの美少女プラモを買うことに抵抗感を覚える人も多いだろう(私もそうだった)。うまく完成させられるかどうかも分からないし、どのキットがどのようなクオリティであるか、制作にはどのくらいの時間が掛かるか、そうしたことが分からないまま、5000円の半裸少女パッケージを購入するのは、2018年現在のオタク界隈でもわりと大変なことではないかと思う。
  そうしたハードルを乗り越えさせるのは、一つには製品のクオリティそのもの(≒購入前でも伝わってくるほどの魅力)であり、また、もう一つの重要な要素は、先行するユーザーたちが楽しんでいる様子を見せることだろう。

  私自身は、この3ヶ月で7個(総計8個)を作ってきた程度のライト~ミドルレベルのユーザーだが、そろそろひとまず落ち着きそうな感じ。来月中に「朱羅」2人を完成させて、4月のAOSHIMAのジークフリードガールを制作できたら、新商品情報の中には、さしあたりすぐに欲しいものは無いので。グライフェンガールも、すぐには発売されそうにない。むしろドール分野に行ってしまうのではないかという恐怖がある。

  艦船模型プロパーのテクニックは、メカ少女プラモに応用が利くものはあまり無い。たとえば塗料の扱い、制作ツール(ニッパーやエアブラシ)、合わせ目処理などの汎用的な基礎技術はそのまま役立ってくれるが、それ以外はほとんど共通性が無い。せいぜい、マスキングのノウハウとか、エッチングパーツの扱いくらいだろうか。あるいは、デリケートな極小パーツの扱いに慣れているというのはアドヴァンテージになるだろうか。いずれにせよ、1/700なり1/350なりのスケールとは世界が違いすぎる。
  ロボット模型のプロポーション調整スキル、AFV等における小物スクラッチ技術やウェザリング技術、航空機やカーモデルの質感表現(金属表現など)は、メカ少女プラモにも応用しやすそうで羨ましい。スティレットガールは航空機そのもの、轟雷ガールも戦車そのものだし、新作の白虎はウェザリングやチッピングを施したら素晴らしいものになりそうだし、スケール感も合わせやすいだろう。カーモデルのきれいな表面処理も、フレズヴェルクガールなどに使ったら面白そうだ。モデルガン(銃器)の知識は、小物ディスプレイにも役立つだろう。鉄道模型はちょっと難しいかもしれないが、1/12スケールの電車内装模型なんてものもあったりする。

  [ www.tomytec.co.jp/1inch/nm_04.html ]
  [ www.tomytec.co.jp/1inch/images/lineup/nm/NM04_17_big.jpg ]
  あっ、ここにも美少女模型の魔の手が……。
  それにしても、塗装済み完成品であり、LED照明も組み込まれており、サイズも大きい商品だとはいえ、3万円もする商品が成立しているのは凄い。鉄道模型分野が一番怖いのは、経済観念だよね……。もちろん特有の技術や資料的蓄積も多々あるが、経済的裏付けがあの内容的豊かさを下支えしているのは間違いない。趣味の価値は金では測れないとはいえ、「金があれば実現できること」や、「金があればもっと良く出来ること」は確かにあるのだ。



  02/08

  【 1/700 キエフ 】

(2018年2月8日撮影)
寒くてまともな塗装作業が出来ないので、気まぐれにAOSHIMAの1/700キエフをざっくりと組んでみた。甲板面のみエアブラシ(ラッカーのリノリウム色/グリーン)とデカール、小物は筆塗り(ブラック、ホワイト、シルバー)の部分塗装。グレーは成形色のまま。
1980年発売(?)の古参キットで、手許の資料もweb上の情報もなかなか無いので、ほぼキットのままイージーに制作した。甲板パーツの嵌め合わせなど、隙間が出来てしまう箇所がいくつもあるし、バリも多いが、大昔のキットにしては意外なほどまともな作りだった。甲板面の右舷後部はグリーンではなくグレーにした方が良かったかも。
やたら巨大で重厚感のある艦橋、レトロフューチャーなレーダー類、カラフルな甲板面、アングルドデッキと、眺めているだけでたいへん面白い。ライン部分のデカールは大きく4枚に分かれており、端を一部重ね合わせつつ貼付していくかたちになるので、きれいに貼るのは難しい。
艦載機はKa-25(×4機)とYak-36(×12機)が同梱されている。キットパーツはわりと良い感じだと思うが、あっさり単色塗装+デカールで済ませた。


  プラモデルの価格は、中サイズのランナー1枚あたり600円くらいだと考えれば、どのキットもわりと常識的な範囲に収まっていると言えるかもしれない。例えば、小型のAFVキットはランナー2枚で1200円程度、1/700艦船模型は5~6枚分で3000~3600円程度といった感じで。ただし、昔のキットは安いままだったり外国製品は相場が分かりにくかったりするし、また、設計費用からパッケージングまでさまざまなコストが掛かっているのでランナー数量(≒金型およびプラ材料)だけでは一概には言えないが、近年のキットに関してはだいたいこのくらいの相関関係にあるかと思われる。



  01/20

  【 「ガンダムMk-II」各種キットの雑感 】
  ガンダムMk-IIは、今でもMG版(Ver.1.0)が好き。全体のプロポーションも、面の柔らかさも、好みに合っている。特に膝前部の装甲が、横幅が引き締まっていて面白い多角形になっているのが、気に入っている。腰前面の装甲も、他のヴァージョンと比べて小ぶりになっている。全体に、色気のある微妙な曲面が入っているのが好き。ただし、上腕部の黒パーツと白パーツがボールジョイント形式になっていてポーズ固定がしづらいのと、シールドの伸縮が外れやすいのは、設計上の難点だろう。
  PG版は、内部構造等の出来は良いのだけど、パーツ構成もあまり気の利かない感じで、費用と労力に見合うかというと……。膝前部の装甲は、かなり横広で、がっしりした頑丈な印象はあるが、やや面が間延びして見える。腹部下部も、このスケールだとのっぺりして見える。足先は、上面の黒いパーツがかなり足先まで膨らんでおり、安定感があってよろしい。
  MG Ver.2.0は、各面が味気ないほど直線的だし、各部の彫り込みも説得力に欠ける。膝前部装甲も、直角に折れ曲がっていて、面白みに欠ける。足先は薄く伸びている感じで、どうも落ち着きが無い。腹部が浮いてしまいやすいのも気になる。しかし、成形色による色再現は改良されているし、関節を曲げるのに合わせて外装が動くのは面白い。
  RGは、細部のデザインをかなり変えてきている。1/144の小スケールだが、これはこれでメリハリが利いていて面白い。ただし、外装ホワイトの成形色を二色に分けているのは、やりすぎではないかと思う。
  他のヴァージョン(HGUCなど)は未作成。

  というわけで新記事:「『ガンダムMk-II』プラモデル4種の比較」。

  近日中にHGUC版も制作して写真を追加したい……と思ったが、サンプルを見てみるとあまり見るべきところは無かったので、買うのはやめた。


  【 メカ少女プラモ出現の社会的動因 】
  メカ少女プラモの隆盛は、どのような経緯で生じたのだろうか。

  作り手側の技術的要因として、前世紀末からのCAD/CAM技術が普及発展して、既存の売れ筋のロボット模型だけでなく、キャラクター模型の分野でも使えるようになってきた。ロボットであれば、基本的には実在しないもののモデルだから、ディテールが甘くても受け入れられる余地が広かったが、人間(人間型)のキャラクターは、ユーザーの実生活で日々本物を見ているわけだから、下手なクオリティのものでは受け入れられなかっただろう。また、パチ組みでも十分な色再現のできるプラモ製品に対して業界全体が積極的になってきたのも、近年のことだろう。レジンキットでも成形色を変えたり、スケールモデルでも無塗装で色再現できる製品が現れたり。そうした傾向が、「パチ組みして適当に組み替えながら遊ぶ、それで良いのだ」という空気を作り出し、そしてそれはまさにメカ少女プラモにとっても好適な風土だった。
  また、作り手側の人的要因としては、メカ+萌えキャラをデザインできるクリエイターが増えてきたという下地もあっただろう。同人誌やイラストSNSの存在も、それを後押ししただろう。
  受け手側としては、まず文化的要因として、近年の萌えミリの流行と無関係ではないだろう。前世紀以来の「想像力に満ちたロボットものではなく、リアリティのある兵器描写」、「劇的なストーリーよりも可愛らしいキャラクター」というオタク界隈の傾向が、80年代のMS少女とはまた違った文脈で、メカ少女への注目を高めているのではなかろうか。特定の「原作」や「本編(ストーリー)」が存在しないままキャラクターの断片的な現れを楽しめるという現代オタクの受容姿勢も、ソーシャルゲームや「ゆるキャラ」の普及の上に形成されている。
  受け手側の経済的要因としては、高額な完成品フィギュア市場の成立と成熟が、先行分野としてメカ少女プラモの出現を準備しただろう。ハイクオリティなキャラクター立体物に対して数千円、あるいは1万円以上を支出することが、ごく普通のことになりつつある。エアブラシを初めとする便利な制作工具が普及したことも、プラモ制作の敷居を下げているだろう。

  だいたいこのような事情と情勢が絡み合って、メカ少女プラモ(およびその関連諸分野)市場の成立に寄与したのではないか。00年代のうちには、ストーリーの裏付けのないキャラクターを愛でるというアプローチはまだほとんど芽吹いていなかっただろうし、そのような時代にハイクオリティな美少女プラモが発売されても大きなブームに発達することは無かっただろう。また、同人界の拡大やSNSの普及によって、優秀なフリーランスクリエイターが多数出現するようになった(あるいは、そうしたインフラの整備によって、ようやく、そうした才能が発見できるようになった)し、プラモ分野全体の気風としても、気難しい玄人工作ばかりでなく、パチ組みプラモの楽しさが積極的にアピールされるようになってきた。さらに、観念的なキャラ萌え文化だけではなく、オプション武装パーツを絡めて楽しめているのは、単なる「男の子メンタリティ」だけではなく、近年のミリタリー趣味によっても媒介されているだろう。
  もしかしたらそれは、00年代末の『武装神姫』の頃にも実現できていたものだったかもしれない。その当時にメカ少女立体物のブームが起きることも、もしかしたらあり得ただろう。しかし、歴史的現実の数奇は、どうやらそれをあまり発展させずにやり過ごしてしまった。それを残念がっても仕方ないが。

  ユーザーサイドとして言えば、「パチ組みできる」のが大きいかも。もちろんBANDAIのロボット模型でもほぼ当てはまることだけど。「パチ組みでも高品質に完成させられる」ということは、制作時のストレスが無いし、どんどん次を作っていけるということだし、塗装剥がれを心配せずにいじり回せるし、完成させてキャラクターのポーズをつけているうちに愛着が増すし、ポージングの楽しみはロボットよりも人間型の方が大きいし(表情の迫真性が桁違い)、動かしているうちに次のアイデアも浮かんでくるし、そのうちオプションパーツも使えるようになってくるし……と、好循環が成立しているのが強みだろう。
  スケールモデルだと、一個完成させるのにも極小パーツを丹念に取り付けていって複雑な塗装を施して数十時間を投入しなければなかなか見栄えのある完成品にならないし、完成させたらさせたで、あまりにデリケートなのでケースの中に仕舞い込んでおくくらいしかできない。
  ロボット模型(ガンプラ)もパチ組みできるが、原作(主にアニメ)に縛られるせいで、完成させた後のユーザーサイドの自由度が低い。また、人間型であれば各部の構造もシンプルなのだが、ロボット模型だと四肢も胴体も複雑な形状なので、手軽に改修するということが難しい。
  完成済みのメカ美少女フィギュア製品の場合は、塗装済み&樹脂製になるが、プラスチックのようなエッジの精度は出しにくいし、切削工作もやりにくい。また、すでに塗装されてしまっていると、ユーザーによる上塗りがしづらいし、そもそも塗装済み完成品だとキャラクターイメージが固定されてしまいやすい。
  メカ少女プラモのアドヴァンテージを考えると、だいたいこのあたりだろうか。


  くっ、模型店どもも学習したか、今回のイノセンティア再販では、どこの店も強気の定価販売ばかりになっている……。買ったけど。


  FIOREシリーズは、最初の「プリムラ」(ベーシック)版が、無表情な基本フェイスで露出したのがもったいなかった。泣き顔やおバカ顔とのギャップも良い方向には作用しなかったと思われるし、ホワイト基調の装甲も、白背景のポスターではシルエットやディテールが分かりづらく、PRとしては不利に働いただろう。
  次の「シネンシス」版は、ジト目気味のツリ目八重歯でアピールしたものの、白髪+褐色肌という、それ自体としては魅力的だがいささか応用の利きにくいカラーリングにしてしまった。活発さを存分に表現したポージングのポスターや、妖気のあるブルーアイも、たいへん良いものではあったのだけれど。
  新作の「ビクトリア」版に来てようやく、手に取りやすいキャッチーさが実現されたのではなかろうか。金髪ツインテール、エメラルドグリーンの瞳、クリアグリーンパーツと、虚仮ティッシュ(誤)な可愛らしさを備えている。
  もっとも、元が藤沢デザインなので、垢抜けないことに変わりは無いのだけど……。しかし、表情こそキャッチーに作られているが、全体のデザイン(ファッション)はFAGシリーズほど卑猥ではないので、実物を作ってみればむしろ普通の(通念的で癖のない)メカ少女造形として受け止められるかもしれない。
  この手のキットの常で、外装のごく一部を除いて大部分がABSパーツなのもちょっとつらい。パチ組みでいろいろな追加武装と組み合わせて遊ぶか、もしくはファレホを買ってそれで塗装してね、という趣旨なのだろう。


  FAシリーズが3000円台からあるのに(WWSやバーゼラルドですら3000円台)、FAGシリーズがたいてい4000円以上(8000円台、9000円台まである)、MDも5000円台が標準になりつつあるというのは、どうにも割高感はある。轟雷ガールからして4800円+税だし。プリムラも、あれだけカラバリの使い回しを連発しておいてこの価格(しかもV社専売だから定価で、税込5000円以上)というのは、いささかモヤモヤする。価格設定は自由ではあるのだけど。完成時のサイズや重量ではプラモの金銭的価値は測れないのではあるけれど。そして、それでも買っているのだけど。
  裏を返せば、どこにどんなコストが掛かっているのか、素人目にはまるで分からないということなのだが。パーツ精度確保のため? 原型&金型の設計コスト? 販売数が見込めないから?

  特にFA版とFAG版を比べると、
- 轟雷:3000円/4800円
- スティレット:3500円/4800円
- バーゼラルド:3800円/6300円
- フレズヴェルク系列:4200円/6400円(無印)、4400円/6800円(アーテル)
単純な比較は出来ないとはいえ、うーん、1800円なり1500円なり2400円なりといった差額だけの価値があるかというと……手足のオプションパーツが大量についてきても、ユーザー側としては同時にはいずれか1つしか使えないわけで、そうした選択の余地を「無駄」と呼ぶのは言いすぎだとは思うけれど……。



  01/17
  手持ちのフィギュアをリスト化したら、まだほんの二十数体しか持っていなかった(※プラモや食玩は除く)。わりと定期的に買っていた気分だったが、実際には今年の春頃から始めたばかりの趣味なので、まだそんなに蓄積が無いのは当然か。

  プラモは98個目。100個目に作るのは何にしようかな。


  【 「ゴッドハンド」ニッパー雑感 】
  高級片刃ニッパーのメリットは、
1) 良く切れるので、安心してサクサク切っていける=工作速度が上がる。
2) きれいに切れるので、ゲート跡処理の手間が減る(デザインナイフの消耗も減らせる)。
3) 力を掛けずに軽く切れるので、指や腕に衝撃が掛からない(身体的負担が減る)。
4) ツプリと切れるので、切断の衝撃でパーツを飛ばして紛失する危険がかなり小さくなる。
5) 片刃できれいに切断するので、深くカットした場合でも切断面が抉れることが皆無。

  ざっと考えてもこれだけのメリットがある。ロボット模型をパチ組みで大量に作っていくユーザーには、指先の負担減や切断面の平滑性はありがたいだろうし、超繊細な極小パーツを扱う艦船モデラーにとっても、ランナーに力を掛けずに静かにゲートを切れる鋭利さはたいへんなアドヴァンテージになる。刃先でゲートを「押し潰す」とか力を入れて「割る」といった感覚がまったく無くて、本当の意味で「切断している」という感じ。

  それに対して、デメリットは、
1) かなり高額(※とはいえ、総合的には十分割に合うと思うけど)。
2) 耐久度が低い(刃が薄くて繊細なので、太いゲートを切ったりすると刃が欠ける)。
3) 扱いに気を遣う(耐久度の低さとも関わる。クリアパーツなどのカットは推奨されない)。
4) 形状が特殊(特に切断の向きに問題が生じる可能性がある)。

  工具一つが4000円または5000円の価格で、けっして使い捨てにできる額ではないから、子供向けではない。また、万能(汎用)ニッパーではなく、ランナーの分解などには使えないから、どうしても他のニッパーと併用する(適宜使い分けをする)必要が出てくる。

  いずれにせよ、大事なパーツを飛ばして紛失してしまったら出費&調達時間のマイナスは1000円では利かないし、1万円以上の高額キットを制作する場合には尚更、切断時の破損紛失は防ぎたい。キット一つあたり数百個のパーツを一つ一つ切り出していくことを考えると、速くきれいに切断できることによる「作業速度が上がる」「指先の負担が減る」「神経を使わない」といった効用は莫大なものになる。TAMIYAあたりの標準的な模型用ニッパーでも2000円台(2300~2500円)であることを考えると、そこから千数百円または二千数百円プラスするだけで、質そのものが決定的に異なるニッパーを手にすることができるわけだから、これはもう使わない理由が無い。
  ただし、繊細なニッパーなので、クリアパーツ切断用やおおまかなランナー切断用には、頑丈なニッパーを別途使うことになるが、それはそれで適当なものを使えば済む。

  「アルティメットニッパー」が、先端が欠けたりバネを失くしたりとヒドいことになってしまったので、試しに「ブレードワンニッパー」も買ってみた。3800円のBONでも、指先やゲートに衝撃が掛からないレベルの高品質な切れ味だった。つまり、指の負担が生じず、パーツ飛ばしの危険もほぼ無いくらいの鋭利さがある。2000円台のニッパーから乗り換える場合には、クオリティの違いを十分感得できるだろう。ただし、切れ味そのものはやはり4800円のUNの方が上回るように感じた。UNだと、ほとんど指に力を掛けずに、音もなくヌルリと刃が入って切れる感じだが、BONではわずかながら押し込む力が要るし、切断時にはプツンという音がする。

  総合的に考えて、UNとBONはそれぞれ、どのような場合に適しているだろうか。経済的にあまり余裕が無いユーザーや、高級片刃ニッパーを試してみたいというユーザーは、耐久性に配慮した「ブレードワン」を1本購入して、十分な切れ味を享受しつつ、できるだけ長く使い続けるというのが合っていると思われる。それに対して、とにかく最高の切れ味を維持したいという熟練ユーザーや、大量にプラモ制作しているモデラーは、「アルティメット」を使って最高級の切れ味を活用し、そして不幸にして刃が欠けてしまったら2本目、3本目をどんどん買っていけばいい。2本目、3本目を買っていくだけの価値は確かにあるのだから。

  それにしても、刃先側から覗き込んでみると、「アルティメット」の刃は本当に尋常ならざる薄さで、あらためて驚かされる。ああ、これは確かに良く切れるわ……。「ブレードワン」だと「プツンと切る感覚がわずかに指先に感じられることがあるのだが、「アルティメット」だとそれすら無くて、刃がただ静かに入っていく感じ。

   手許のUNは、昨年の初夏に買ったものだが、開きストッパーが破損し、刃の先端が欠け、そして落下の際にバネを紛失してしまった。ただし、刃の中央部分の切れ味はちゃんとしているので、サイズの合ったバネを調達すれば、一応実用できる。その間に制作したプラモキットの数から概算して、1万回以上のゲートカットをしていることになるが、このくらいならばまだ切れ味は落ちないようだ。つまり、落下事故などを避けて慎重に使えば相当長く保つわけだ。クオリティと費用と耐久性を考えると、やはり非常にリーズナブルだと思う。



  01/10
  プラモは、個々の製品の発売年が分からないことが間々ある。書籍であれば、奥付に明記してあるのだが、プラモはパッケージでも分からないし、インスト等にも書いていない。だから、買ってみたらずいぶん古そうなキットだった(ただしいつ頃のものかは分からない)ということがある。web上にも、正確な情報が出ていないことが多い。
  もっとも、金型を共有したヴァリエーションキットが何年、十何年もかけて何種類もリリースされていくことが多いので、個々のキットの発売年だけが判明しても、実質的な金型製造時期は分からないだろう。
  キットの発売年や金型製造年は、とりわけスケモ分野で大きな問題になる。ただ単に「そのキットの金型がどのくらい古びているか」や、「どのくらいの技術水準で作られているか」の指標になるだけではなく、「(とりわけ実物が現存せず、考証が必要になる対象に関して:)そのキットが実物に対するいつ頃までの情報を踏まえて作られているか」、「(とりわけ現用兵器等に関して:)実物のいつ頃の状態を想定したキットであるか」にも関わってくるからだ。
  まあ、初出情報等が明記されている(図書館によるオンラインでのデータベースも整備されている)書籍分野の方が例外的に恵まれていると言うべきなのだろうけど。


  特にAFVプラモで感じることだが。大縮尺のスケモでは、箱絵にせよ、プラモの人形パーツにせよ、個人の姿が見えてしまうのが心苦しく感じることがある。もちろん箱絵そのままではないとしても、その当時、確かにこのタイプの車両に乗って、このように振る舞っていた人々が実際に存在していたのだということが意識される。そのリアリティの香りが、無性に苛立たせる。実在の人々がこんなふうに銃器を手にして、こんな車両同士が戦場で酷薄きわまりない戦闘行為を行っていたのだという認識が、ゾッとさせる。小スケールのプラモであっても、そうした血の匂いが、死の香りが、生の空気が、ミリタリーモデルには不可避的にまとわりついてくる。
  極端な小スケールの艦船模型では、そうした実在個人の体温がほぼ捨象されているというのが、安心して眺めていられるが、にもかかわらずそれとてもやはりその背後に実際に存在していた大量の死を見なかったことにしている欺瞞的な鑑賞にすぎない。
  それに対して、「フィクション」という防護壁の中で楽しむことのできるアニメロボット模型や、理想化された架空性のフィルター越しに眺めることのできる美少女キャラクターたちは、私の心をかき乱さず、安心して取り組めるジャンルなのだ。


  ひどい、ひどいよ……設定画ではちゃんと可愛らしいおへそが見えているのに、立体化したら外装パーツで覆い隠されて見えなくなっているだなんて……ひどい、ひどすぎるよ。せっかくのあざとおバカ可愛いキャラに、なんと気の利かないことをしてくれるんだ……おのれVOLKS。
  ※追記: 実際には、「プリムラ」の臍はぎりぎり見える。本当にぎりぎりで、ポーズによっては裾に隠れて見えなくなるくらいだが、下腹部パーツには臍のへこみがきちんと造形されている。


(2018年1月13日、自宅にて撮影)
お、おまえさん、メルカバのくせにエンジンが車体前部じゃなくて後ろ寄りに置かれてるじゃないか!
  ネタはともかく、Ariiの安価なモータライズキットがあったので、物珍しさもあって買ってみた。プラモとしては素朴な作りだが、有線リモコン戦車という仕様にノスタルジックな楽しさがある。
(同10日撮影)
珍しい円形ランナー(ポリキャップ)。キット本体は仮組み中。

  リモコンとはいえ、電池とモーターを有線でつないでいるだけのプリミティヴな作り。
  [ www.kotobukiya.co.jp/wp-content/uploads/2017/03/1826f6619aba841eaffd5c88cf9fa570554c8ea3-534x800.jpg ]
  気分はこんな感じ。メルカバは、上記の内部構造上の事情もあってシルエットが個性的で、わりと好きな戦車の一つ。


  アンダーゲート方式の最大のメリットは「ゲートカット跡が裏側に回り、完成時に目立たない(それゆえ切断面の整形処理にあまり気を遣わなくてよいし、失敗しても誤魔化せる)」という点だが、もう一つのメリットとして、「ランナー状態で塗装してから切り出すこともできる」というのがある。この形態だと、「大きなランナーのまま、まとめて塗装できるので取り回しが楽」、「外周ランナーがパーツを保護してくれるので、破損や汚れの危険が減る」、「組み立て直前までランナー状態にしておけるので、管理が楽」、「番号タグがついたままなので、パーツ間違いの危険がほぼ皆無になる」、「小さなパーツも紛失しにくい」といった長所がある。
  デメリットは、「切断時に多少手間が増える」、「ゲートの強度が下がる(たぶん)ため、輸送時等のキット破損リスクが上がる」くらいだろうか。また、金型設計時にも、多少手間が増えているかもしれない。いずれにせよ、短所はほとんど無いと言ってよいと思われる。



  01/06
  丸2時間も塗装作業を続けて、体の節々が痛い。
  特に人差指。扱いやすいトリガー式でなかったら、私の指はどうなっていたことか。


  【 高額キットの話:PG 】
  少量生産のレジンキットはしばしば数万円の高額商品になるが、市販プラモデルの範疇だと、1/350赤城(税抜24800円)や、1/350大和(23000円)、ZOIDS「ゴジュラス」シリーズ(23000円、29800円)あたりがトップクラスだろうか。いずれもパーツ数は優に1000個を超える。鉄道模型はよく知らないし、どこまでを一単位の商品としたらよいのかも分からない。
  ガンダムのPGシリーズだと、「ユニコーンガンダム3号機 フェネクス」が40000円(ただしプレミアムバンダイ限定?)や「ガンダム エクシア (LIGHTING MODEL)」の32000円を初めとして、2万円オーバーの製品がいくつもある。ハリボテ感のあるHGUC「デンドロビウム」「ネオ・ジオング」でも定価27000円もしていたくらいだから、MG「ディープストライカー」が税抜20000円というのは、むしろかなり安いのではなかろうか。MG「Ex-Sガンダム」(8000円、パーツ数は約600個)と比べても、その2.5倍というのはけっしておかしな数字ではない。ただ、私自身はすでにGFF版のDSを持っているので、残念ながらあえてMGで買うつもりは無いのだけど……。ただし、あの朱色っぽいレッドはかなり気に入っている。ジム色って言うな。
  とはいえ、趣味活動でほんの数万円というのは、べつに驚くほどの額ではない。これよりも一桁、二桁上の費用の掛かる趣味は、他にいくらでも存在する。オタク諸分野の中で見ても、せいぜいアニメBDボックス一つ分だと考えればたいしたことは無い。やはり模型制作はリーズナブルな趣味なのだと思う。

  PG(ガンダムMk-II)は、フレーム部分の作り込みがかなり手の込んだものになっていたが、基本的にはMGの素直なグレードアップの範囲内にとどまっていた。関節部をビス留めで補強していたり、シリンダー部分をメッキパーツで用意していたり、外装のプラもかなり厚くなっていたり、LED発光ガジェットも同梱提供されていたりしたが、MGの1.67倍のサイズになっただけの質的な違いは、うーむ、あっただろうか……たしかにフレーム可動メカニズムの精緻な表現は他では見られないものだし、それでいてユーザーに対する技術的要求のハードルは高くなっていない(MGを作れるスキルがあればPGも問題なく完成させられるだろう)のは、むしろ凄いと言うべきかもしれないが。定価は税別15000円、パーツ数は約800個。

  PGがMGの拡大版のようにしか見えなかった理由の一つは、縮尺を上げてもディテールが劇的に変化したわけではないことだ。例えば各部の筋彫りも、1/100をそのまま拡大したかのように幅広な筋彫りのままで、リアリティも感じられないし精密感も無かった。サイズが大きくなったわりにディテールの密度は大差ないので、大きな面が間延びしがちになる。
  ただし、それはアニメロボットならではの事情に起因しているかもしれない。つまり、あくまで架空兵器であるため、ディテールの作り込みには限界があるし、また、元デザインの時点でアニメやプラモとして表現できる程度にとどめられているので、プラモの縮尺を上げていった場合に、それに応じた造形的密度を作り出すのはかなり難しいのかもしれない。
  艦船模型はそれとは対蹠的な存在だ。模型の元になった実物(実艦)は、1)実際に作られた構造物であり、2)しかも航空機や戦車と比べてもその外見ははるかに複雑であり、3)しかも数百メートル規模の巨大な物体である。それゆえ、それらを模型として表現しようとした場合、1)ディテールの再現はいくらでも追求できるし、2)実物自体がきわめて複雑な造形であるし、3)模型化に際しては極端な小スケールにせざるを得ず、ディテール再現が極端に制約される。だから、模型の縮尺を上げることによって、再現できることが劇的に増加し、そしてそれは模型としてのクオリティに直結することになる。つまり、艦船模型の場合は、縮尺を上げれば上げるほど、単なるサイズ(ボリューム感)以上のクオリティの実質的上昇が得られる。それに対して架空ロボット模型の場合は、ハイスケールによって得られる恩恵はそれほど大きくない、あるいは、「大スケールでなければ出来ないこと」があまり多くはないのだろう。

  鉄道模型やレジンキットはともかくとして「市販-組み立て-プラモ」の範囲で大雑把に分類すると、高額商品が多いのは艦船系とロボット系だと思う。艦船のエントリーモデル(1/700)は2000~2500円だが、対するにAFVの1/48キットだと1000円以下の製品も多く、とっつきやすさに大きな落差がある。とはいえ、1/35のAFV(特にDRAGON)や大型航空機ジャンルも、近年では6000円台や8000円台の大スケールキットがごく普通に流通している。
  また、メカ美少女ものも、4000円台から8000円台あたりまで、かなりの高価格ジャンルになっている。FAG「轟雷」が定価4800円で、FIORE「プリムラ」が4300円だから、1/12(または1/10)組み立てメカ少女プラモは4000円が事実上の――価格面、品質面双方の――ベースラインになっている。ちなみに、minimum factoryは3000円前後だがサイズが半分以下だし、FrSの『DRAGON BALL』シリーズは2000円台だが、BANDAIの価格設定は参考にならないし……。「流行に乗っているから高額でも売れた」とか、「新たな市場を開拓する際にクオリティ(=完成状態の魅力)でアピールする戦略だ」とか、「フィギュア分野が土壌整備してくれた」といった事情もあるにせよ、費用面でも嗜好面でも敷居の高い新ジャンルがこれほど盛り上がって一気に市場に浸透定着したというのは驚くべきことだ。

  メカ少女プラモについて。制作に時間を掛けなくてもよいという好条件も、売れ行きを後押ししているのかもしれない。1)無塗装でもカラフルな設定色を再現して十分可愛らしい立体物キャラクターが出来上がるし、2)組み立てだけならばほんの数時間ですぐに完成させられるし、3)作ってからいろいろポージングを取らせたり着飾ったり撮影したりして愛でることこそが本番だという認識が浸透しているようだし(MSG等もそれを支援している)、4)そのためには無塗装制作の方が適している(塗装しても剥げる可能性が高い)。もちろんHGUCクラスのロボット模型でも同じことが当てはまるが、メカ少女ものの場合はなによりも「人型である」ことが大きい。愛着を持ちやすいからだ。だから、多少高額な商品でも、ユーザーたちは買ってはすぐに完成させ、そしてポージングや武装追加を楽しみながら、さらに次のアイデアを芽吹かせていき、それを実現するために次なるキットを購入する。完成キットをユーザー各自が自由にいじり回してよいのだということが、メーカー側からも推奨されており、そうした楽しみのための環境、文化、商品が揃っている。FAGシリーズにしてもFIOREにしても、派生キットやパーツ使い回しが非常に多く、外形的に見ると内容上のヴァリエーションは非常に乏しいにもかかわらず、どれも良く売れているというのは、そうしたポテンシャルが最大限引き出されているからだろう。


  模型店でありがちな誤読。
  「すずつき」が、値札シールで頭の「す」が隠されていて「ずつき」に見える。衝角戦術かよ。
  ダブルオー・クアンタを、「ダブル・オーク・アンタ」と読んでしまう。最早そうとしか読めない。
  「第一水雷戦隊セット」のパッケージが、アダルトゲームのパッケージに見える……かも。


  (→2018年5月~2017年9~12月