2024/12/21

2024年12月の雑記

 2024年12月の雑記。

2024/12/20

アニメ『ネガポジアングラー』各話感想メモ

 オリジナルアニメ『ネガポジアングラー』(2024年10月~12月、全12話)の感想。
 雑記欄に書いていたものをまとめた。

2024/12/01

漫画雑話(2024年12月)

 2024年12月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

 カジュアル買い。
 唯島新『正式に魔女になった二度目の悪役皇女は、もう二度と大切な者を失わないと心に誓う』第1巻。長いタイトルどおりのシチュエーションだが、前世(?)を悔いる主人公の沈鬱で誠実な内省描写がなかなか読ませる出来。漫画としては動きが乏しく、ほとんどピクチャーノヴェル(イラスト付き小説)のような趣だが、主人公の表情に力があるので読み応えがある。検索してみたら、作者は京都芸術大学の在学生とのことで、作品も作者も今後が楽しみ。
 浜弓場 双『魔女の花屋さん』第2巻。ファンタジー世界の萌えキャラ日常ものだが、背景美術がやたら繊細に描き込まれているし、キャラクターについてもロングショットの俯瞰コマが多いので、作中世界の実在感と広がりがずっしりと伝わってくる。なんとも風変わりな作品。
 小牧まりあ『オオカミは月に恋をする』第1巻。別人のふりをして、家庭教師としてヒロインの私生活に入り込んでしまったという状況。カップルそれぞれの外面/内面のギャップ描写が鮮やかで、わりと面白い。ラブコメは基本的に苦手なのだが、本作は素直に楽しめた。

 年齢と言えば、『好都合セミフレンド』(既刊2巻)の千種みのり氏も、専門学校を出たばかりの非常に若いクリエイターさんとのこと(cf. [ https://www.pixivision.net/ja/a/6926 ])。人間関係の描き方などに感じていた特徴が、「ああ、そうだ、今の20代っぽいなあ」と腑に落ちた。


 戦争と漫画。
 鎌谷悠希『同志少女よ、敵を撃て』第1巻(原作あり)。この巻で進んだのは、主人公の少女が訓練をしているところまでだが、それでも「ナチスもソ連も、批判者を粛清する抑圧的体制なのは同じではないか」というシーンもすでに描かれており、今後の厳しい展開を予告している。原作小説(※同時発売の文庫化)では、583ページ中の102ページに相当するところまで進んだので、最後まで行けば漫画6巻ほどになると思われる。
 amase『蛍火艶夜』下巻は、2つの中編と、4編の新規描き下ろし。第二次大戦末期の特攻部隊の中での同性愛(憧れや執着、逃避、依存、後悔、等々)を濃密に描いており、演出面も抜群に優れている。なかでも第9話のクライマックスで、割れた風防ガラスが紙面全体に散乱しているのは見事。作者は「雨瀬シオリ」(本名義)とのことだが、『ここは今から倫理です。』は哲学-倫理学への言及が生硬でストーリーとあまり上手く噛み合っていないし、『松かげに憩う』の方は水に合わなかった。
 トマトスープ『奸臣スムバト』第1巻。戦争というよりは、モンゴル帝国に襲撃される戦乱の13世紀ジョージア(アルメニア)が舞台。キャラ立ては明快だが、服飾表現などの面白味は乏しいし、ファルハード君が中途半端に出入りするのも落ち着かない。


 続刊ものなどのショートコメント。
 十三野(とさや)こう『ごぜほたる』は第3巻で完結した。難しい題材を誠実に描ききった意欲作で、作者としてはもっと掘り下げたいところもあったと思われるが、瞽女の生き方を正面から描きつつ、ひとまず全体の枠組に決着を付けるところまで見せてくれたことに感謝したい。
 松井優征『逃げ上手』第18巻。相変わらず、コマ絵が図式的、説明的なのがあまり好みではないので、そろそろ買うのをやめるかも。主人公がショタでなかったら、とうに止めていただろう。
 遊維『大海に響くコール』第2巻。シャチに興味を持った高校生たちの物語。10年代以来の「女子高生たちが何かの趣味を楽しむ(男性キャラは徹底的に排除される)」というありがちなスタイルだが、あまり軽薄にはならず、真面目に人間ドラマを紡いでいる。 描線もくっきりと意志的に描ききっているし、コマ組みや台詞(ネーム)も余裕を取ってじっくり展開している。
 我妻幸『血を這う亡国の王女』も最新刊が出ていたが(※私は途中から買っていない)、この作品は「真面目な顔をしたギャグのつもり」なのか、それとも「真面目に描いているつもりがギャグに見えてしまう」のか、いったいどちらなのだろうか……。
 井山くらげ『後宮茶妃伝』第5巻は新章開始。主人公はスルスルと皇后になっていき、愛情の芽生えも匂わせつつ、その一方で新キャラも出てきた。まさしくお茶のような薄味の情緒が、たまに読むと心地良い。
 緒里たばさ『暗殺後宮』第7巻。第二皇子問題や離宮行きなど、周囲の政治状況に振り回されており、主人公を物語に嵌め込むのにちょっと苦労している様子。
 深海紺『恋より青く』第3巻。文化祭をフィーチャーしているが、周囲の人々と関わっていく中で、それぞれのキャラクターがゆっくりと掘り下げられていく。
 馬かのこ『ディディアディクション』第2巻。「からかいお姉さん」路線を極限まで徹底すると、「快楽的犯罪者のファムファタールお姉さんを褐色眼鏡生真面目ショタが頑張って阻止しようとするが巻き込まれてしまう」という形になるのか。しかも、本作はそれに留まらず、もっと本格的なクライムサスペンスにも接近しつつあるように見受けられる。こうやって作品の基軸そのものをどんどん変化させていくのは、近年の漫画では時折見かける。
 里好『かくして!マキナさん!!』第4巻。しよーもないお色気コメディだが、里好氏独特の尖りきったシャープな発想が時々出てくる。キャラクターの作画は、デジタル3Dモデリングで描いているように見える。個々のキャラ絵が、異様なほど斉一に整っていてブレないし、輪郭描線もまったくタッチの継ぎ目が無くてきれいな一本線で引かれている。こういうところも、里好氏らしい実験的アプローチと言えるだろう。
 古日向いろは『石神戦記』第4巻。乗っ取られた国を取り戻そうとする戦乱の物語。石を操れる半神的キャラクターが、いろいろ増えてきた。世間的にも一定の人気があるようなので、このまま上手く連載継続していきそう。絵柄には明るい清潔感があり、老若男女の描き分けもしっかりしている。ただし、この巻では、肝心のヒロインがずっと気絶状態のままなので、「強いけれど変人な女性キャラとのライトおねショタ」要素が味わえないのは残念。
 売野機子『ありす、宇宙(どこ)までも』第2巻。飛行士になるための競技的ワークショップを最後まで描いたところで、あくまで眼前のハードルだけに集中している。
 木々津克久『フランケン・ふらん Frantic』第10巻。過激化する美容など、ややマンネリ気味。
 はやしわか『銀のくに』第2巻。病中の叔父を訪問するという大きなイベントがあったが、全体としてはベタな進行で、台詞回しも今一つ。