2025年11月の雑記。
11/03(Mon)
近所の模型店のコンテストに作品を出してきた。
というわけで、離型剤落としのお湯洗いだけを済ませたキットが溜まっていく……。今週中に時間を取って一気に作り上げていく予定だけど、どこまで実行できるやら。
アーキテクト(グランデ)の単純拡大間延びデザインがあまりに耐えがたいので、大掛かりなディテールアップを検討中。
とはいえ、パネルラインを増やすのは下品だと思うので(※装甲の分割線=隙間が見えすぎるのは非-機能的で本末転倒)、スケールモデルAFVパーツを適当に投入して追加装甲、センサー類、フック、配線表現、そしてチッピングで金属感、ウェザリングで使用感あたりを軽めに施したら、多少はマシになるかなあ。あんまりゴテゴテにするのも好みではないので、見た目の密度感をちょっと引き上げるくらいにする予定。
ただし、基本の造形がシンプルすぎるので、ディテールアップの手掛かりも乏しいし、AFVには詳しくないので(※ジャンクパーツもろくに持っていない)、成算は低め。諦めて素組みだけで終わらせるかもしれない。
このサイズだったら、内部機構を仕込めるだけのスペースがあるので、メカ露出表現もどこかに入れたいが……そもそもアーキテクト君はアンドロイドなのか、それとも人間なのか? 腹部前面をハッチ開閉式にして、内部メカを見せられるようにするのが、ひとまず無難なアプローチだろう。胸部装甲(※真面目な意味)がワンパーツで加工しにくいのは残念。
ドールアイ化は、キャラに似合わないと思うが、一度試してみたくはある。
頭髪は、ホワイト+シルバーの毛筋表現にする予定。
そういえば、銀髪キャラが大流行したのは10年代末からの現象だったと思うけど、あれが終息したのはいつ頃になるだろうか。さしあたりの体感的印象では、2020年前後にはとにかく銀髪(白髪)イラストが大量に出ていたけど、2023年頃から減っていたかなあ……? もちろん現在でもかなりメジャーな部類だけど、最近だと単純な銀(グレー)ではなく紫寄りのライトグレーが好まれているようだし、それ以外でも、やや赤寄りのブラウンとか、穏やかなライトブラウンとか、そしてもちろんクラシカルな黒系と金髪も依然として人気……という感じだろうか。
新記事:「
メルティーナ」。特にひねりも無く、塗り替え(全塗装)だけで済ませた。
記事の中でも書いたけど、緑色の胴体にすると、ラミアよりもドラゴン(というか龍)っぽくなってしまった。昔からRPGなどでもラミアといったらピンクやパープルが主流だったと思うし、キャラクター差別化としてはピンク系の成形色になったのは仕方ないのかなあ。
私の塗装アプローチは、なんとなく、説明志向になりがち。つまり、パーツ構成やそれぞれの機能性を見て取りやすくするようにコントラストを付けて塗り分けたり、あるいは、共通部分を示唆するように同じ色で塗ったり、装飾部分を際立たせるようにメタルカラーで光らせたりする。元々はスケールモデル由来のスタンスだけど、今回もそういうスタイルが出ている。なので、作品として面白いかどうかは分からない。作っている分には楽しいのだけどね……。
例えば、上記メルティーナでは、布服要素=パープル、ウロコ要素=グリーン、アクセサリーや武器=ゴールド(とクリアパーツ)で、できるだけ統一している。キット成形色だと、グリーンが中途半端に混在しているので、そのあたりを整理するつもりで塗り替えた。……でも、そういう整合性配慮はあんまり要らないのかもしれないとも思う。
ネイルの赤色も、装飾の一種としてビビッドカラーでワンポイントの色を付けた。ここは個人的に、かなり気に入っている。ガールプラモのネイル塗装は、手先の表情をくっきり強調させられるし、キャラクター個性を表現するのにも大きく寄与するし、小サイズでも人体のリアリティイメージに接近させることができるので、便利で効果的なのだが、これをやっているモデラーさんはあまり見かけない。いや、いるにはいるけれど、かなりの少数派のように見受けられる。
塗装そのものは簡単だし、派手な色でなくても、ちょっと濃いめのベージュ色をちょんと乗せるだけで、手先の雰囲気が出てくるし、剥がれてもすぐに塗り直せば済む。グローブ系キャラだと指先が露出していないから使えないテクニックだし、どうしても似合わないキャラもいるが(※例えばドレスアップボディ使用時とか)、素手キャラの場合は有効だと思う。
「アーキテクト」用のディテールアップパーツを店頭で適当に買い集めていたら、キット本体の購入価格の2倍になった……。まあ、スケールモデルではよくあることだけど(※例えばキット3000円に対して、エッチングパーツやハイディテールパーツや3Dプリントパーツが1万超えとか)。プラモデルキットはあくまで「制作キット」、つまり「子供の工作キット」「工学系の実験キット」などと本質的には同じで、タネになる素材セットに過ぎないと考えているので、値段はなんら問題ではない。
今回は、表面の密度感を高めることを目指すつもり。フックなどを追加してシルエットに抑揚を作り、金属ナットなどでワンポイントの質感表現を与え、配線コードで変化と機能性を演出し、コーションマーク(デカール)で平面の間延びを解消する、といった感じ。あまりゴテゴテした武装にはしたくない。うーん、これで上手く行くかなあ。どこかにシリンダーを仕込みたかったが、キットの構成そのものがシンプルすぎるのでどうしようもない。
コンセプトとしては、「人間サイズのラボ実験用アンドロイド」のような感じにまとめる予定。言い換えれば、大型ロボットではないし、実戦的な使用感も付けないようにシンプルにする。まあ、現場志向でウェザリングやミサイルやOVM(ジェリ缶とかロープとかの車両装備資材)を盛り付けまくるのもありだと思うけど、今回はそういう路線にはしない。可動などのギミックを仕込む余地も乏しいので、そのあたりは割り切る。ドールアイも、今回はやりにくそうなので断念。
スケールモデル系デコレーションは、8月の模型展で見たことがあり(※
AFVキットを盛り付けた「轟雷」)、どうしてもその後追いになってしまうのだが、まあ仕方ない。「フィギュア由来の官能的表現」+「ロボット模型風のヒロイックな見せ方」+「スケールモデル基盤のリアリスティックな塗装およびディテール」を全て投入できるのがメカガール分野の魅力だと言うこともできるし、言い換えれば、それら全ての技術に通暁している必要があるとも言える、複雑な性質を持ったジャンルだ。
アーキテクトの装甲塗装は、TAMIYA「横須賀グレー」の、明るめでクールな色合いにする予定。ブラック部分はごく普通のツヤ消しブラックでよいだろう。
水性ゴールド塗料はいろいろ試したけど、やっぱりCITADEL「Retributer Armour」がありがたい。濃いめの色がしっかり発色するし、粒子が十分に細かく、隠蔽力も高い。他の一般的な水性塗料だと、隠蔽力が低くて透けてしまったり、粘度/濃度が低くて扱いづらかったり、発色が弱かったりする。CITADEL塗料は、値段は高めなのだけど、価格相応のクオリティがあるので十分に元は取れるし、それどころか、一瓶でもなかなか使い切れないくらい長く使える(そして、使い切れないうちに塗料が固まってしまう)。
TAMIYAゴールドも、もちろんクオリティは高くて堅実に使えるのだけど、微妙に色が薄いと感じることがあり、そういうときはやはりCITADELに戻ってしまう。
もちろんラッカー系のゴールドも使っているが、換気をしつつ吹き付けで一気に塗ってしまう。ラッカー系は、塗料筆があっという間に死んでしまうのが悲しい。
漫画やイラストの「絵柄が古い」という話は、内容面でも様々な要素が関わっているし、メリット/デメリットも多岐に亘るので、一概には言えない。「悪い」にせよ「悪くない」にせよ、それだけで結論を決め打ちをしてしまうこと自体が間違いだ。
内容面では、例えば、「これまでに開発され獲得されてきた新たな技法、発展的な表現、高度な繊細さが欠如したままで、原始的なままだ」という場合には、古さは内容の浅さ、未熟さを意味する。例えばフィギュアや模型塗装でも、昔のままの技法で、現代の表現水準にキャッチアップできていないものはやはり「出来が悪い」と言わざるを得ないだろう。
しかしその一方で、創作表現の個性や魅力や価値は、技術だけでは決まらないというのも確かだ。つまり、「特定の技術を使っているから自動的に優秀とはならない」、「新しい流行技法の方が価値が高いとは限らない」。だから、例えば90年代風の鼻の描き方だったり、80年代風のコマ組みセンスだったりしても、それはそれで一つの様式だというだけのことだし、そのスタイルを武器にしていても構わない。
実利的には、さらに複雑な要因が絡んでくる。例えば、読書歴の長い者の目には、「この画風はもう見飽きたよ、古い画風から抜け出せないのは退嬰的だ、もっと新しい感性を追求してほしい」と感じられるかもしれないし、逆に、「現代の流行スタイルの方こそが、むしろありふれていて個性が埋没する、むしろ時代を離れた絵柄の方が独自性を出せる」という見方もできるかもしれない。さらには、ジャンルごとに流行の盛衰はあって、「新しい/古びている」という一元的な評価そのものが不可能であることも多い。
個人的には、例えば00年代前半風の「エアインテーク髪」については、その新鮮味が擦り切れてほとんど無意味になっているし、現代の繊細な頭髪表現にはミスマッチで非常に使いづらいと思う。先日のプラモ「メルティーナ」にもインテークヘアが造形されているが、周囲のキットと並べてものすごーく浮いてしまう。つまり、作為性が悪目立ちするようになっている。個々の表現要素は、創作物を受け止めるコミュニティがおおまかに共有している価値や意味認識にちゃんと命中することができるかによって、その効果が大きく左右される。意味が伝わらないようでは、それこそ、意味が無い。もちろん、そうした不自然さを手掛かりとしてアピールすることも可能だし、それによって新たな表現の意味づけをもたらすことも重要なのだけど、昔ながらの手癖表現では、そうした新たな意味創出は難しいだろう。
00年代風と言えば、「両肩の大ぶりなパフスリーブ」も同様だ。滅んだものには、滅んだなりの理由があるという場合もある(※もちろん、明確な理由無しに、ただの流行の気まぐれで衰退したものも多いだろうけど)。例えば、動かしにくい、プロポーションが把握しづらい、画面が間延びするなど。静止画の美少女ゲームであれば有効だったガジェットも、環境の変化や美意識の変遷とともに、有効ではなくなっていくことはある。
クリエイター側からは、「古くて何が悪い」という意見が出されることが多いようだけど、古さに開き直ってマンネリに閉じこもられるのは悲しいし、しかしだからといって、個々のクリエイターに挑戦のリスクを冒せと無邪気に要求することもできない。私なりの、最もゆるい結論としては、「より優れた洗練を、もっと新たな美意識を、そして、新鮮な美術的衝撃を、見せてほしいなあ」というくらいに留めざるを得ない。