2025/12/07

アニメ雑話(2025年12月)

 2025年12月の新作アニメ感想。

●『悪食令嬢と狂血公爵』



●『終末ツーリング』



●『野生のラスボスが現れた!』

 第10話は設定開示の回。前半は大迫力の空間戦闘をたっぷり描き、そして後半は一転して、画面そのものは止め絵で保たせつつ、明暗の濃いレイアウトと声優の芝居と真相への興味で引っ張りきった。何をどのように見せるべきかの取捨選択と、演出効果の最大化が巧みにコントロールされており、たいへん心地良い。コンテも小気味良く、激しいバトルシーンの中でも大胆な奥行きパースを設けたり、ユーモラスな瞬間を挟み込んだりしている(※今回の絵コンテは田中智也氏、演出は福元しんいち氏)。
 薄井氏(ディーナ役)も、丸々20分間を小清水氏と一対一で渡り合いつつ変幻自在の芝居を展開するという力演を披露している。
 それにしても、もう10話。残り2話でどのように締め括るのだろうか。配信視聴数などに鑑みて、続編(2期)もありそうだが……。

2025/12/05

2025年12月の雑記

 2025年12月の雑記。

 12/04(Thu)

 怖いもの見たさで、数年ぶりにtwitterの「おすすめ」欄を開いてみたら、数学、声優、ゲーム、音楽、SF、医療(※まともな意味での)、歴史学、コンピュータ、模型、ペンギンなどの投稿が並んでいて、ほっとするやら、モヤモヤするやら……。わりとアレな投稿もたくさん踏んできたと思うのだが、意外にkenzenだった。
 もちろん、あのSNSが致命的に問題を抱えていることを免責するつもりは無いが。今でも一応アカウントは残してあって、情報収集のためにたまに見に行くことはあるけれど、あそこで情報発信をするつもりは無い(=あそこにコンテンツを提供してやるつもりは無い)。
 あちらに常駐している方々も、余所に脱出していってほしい。受動的に様々な情報を摂取するのにあのSNSを閲覧したり検索したりするくらいは、現状では仕方ないだろう。しかし、能動的なアウトプットや、知人との交流や、ライフログ的投稿などは、余所のメディアに逃がしていく方が、健全だし安全だろう。もしもそれが面倒なら、例えば複数メディアへのクロスポスト(同一投稿)を、アプリ等で設定しておけば、オンライン生活の幅が広がると思うのだが……。
 私自身は、リアクションや注目を集めることはひたすら避けているので、そこまでする必要が無いのだけど。そうでなくて、多少なりとも他者からのリアクションの手応えや、より大きな宣伝効果をモチベーションにしたい人ならば、複数のメディアに露出する方が、端的に機会を増大させ、コミュニケーション量の期待値も当然ながらプラスになる。
 単一のSNSだけに強烈に依存するというのは、現代ではあまりにリスキーなのだが、日本のネットユーザーたちの行動形態は総じて保守的だよね。というか、新たなメディアを試していく積極性を喪失してしまったよね……。


 このプライズフィギュアは、ここ最近では出色のクオリティ。
 まず、ヘアスタイルはかなり凝った造形をきちんと作り上げているし、ピンク色のラインを奥まった(凹んだ)ところにも丁寧に入れて、カールの立体感を上手く強調している。間明田(まみょうだ)氏特有のやたら細かい両目も、繊細な多色塗装で細部まで再現している。顔の表情はやや個性的だが、どの角度から見ても破綻しない造形になっている(※プライズでは、角度次第でおかしな顔に見えてしまうものもあり、そういうフィギュアは俗に「角度固定」「角度限定」と呼ばれる。本作にそうした隙が無いのは、原型制作の時点で慎重に立体吟味したものと思われる)。
 着衣の造形も素晴らしい。ショールや袖口やスカートの皺/襞表現はプライズ級としては滅多に見ないレベルで、ふんわりした柔らかさを的確に作り出している(※ただし、色が阪急マルーンを連想させるのと、無塗装でスカートがテカっているのは残念だが、ツヤ消しコーティングを吹いて解決した)。スカートの中は、ロングのドロワーズという良い趣味。
 手持ちのスクエアバッグも、角を一つ一つ塗装しているし、胸部の宝石や靴のリボンやボタン部分なども、きれいに塗装されている。爪まで塗り分けられているのも、プライズフィギュアとしてはかなり稀。金色ラインも、凹凸の激しい襞に沿いつつ正確に塗装されている。
 要するに、衣服部分は造形サイドでクオリティを確保することによって無塗装のまま(=ローコストで)押し切り、その一方で塗装作業は細部を引き締める役割を担うという形にして、全体として完成度の高いフィギュアに仕上げている。プライズフィギュアは、法令上の都合からして予算(コスト)の制限が非常にきついのだが、その範囲内で見栄えの良い一品に結実させている。年末に良いフィギュアを入手できて嬉しい。


 【 年間回顧いろいろ 】

 今年入手したプライズフィギュアは、現時点で30体。その中で、特に出来の良かったものや、ユニークな特徴のあるものは、
 TAITO : Coreful「断頭台のアウラ」(難しそうな造形を見事に立体化している)
 TAITO : Desktop Cute「桜ミク、さくらんぼクッションver.」(気持ち良くまとまっている)
 フリュー : BiCute Bunnies Figure「洛天依」(布地メッシュなど、質感表現が良い)
 そして今回のTAITOレトロミク。
 旧作入手だと、SEGA「土岐綾乃 Desktop×Decorate Collections」(2024)は、両目を閉じて猫を抱えたセーター姿(編み目ディテール)が印象深いし、エルココ:でふぉるむぷらす「軽井沢恵」は、SD体型で各部可動という珍しいアプローチ。

 何度も書いているけど、やはりプライズフィギュアではTAITOが好み。素肌の質感(透明感)表現が良いし、丸顔寄りの愛嬌のあるフェイス造形が楽しく、それでいて全身のポージングやディテールはかなり大胆で、そしてエロ要素は薄めなのも良い。他社のプライズ品だと、どぎつい素肌露出でありながら、マネキンのような質感のままでガッカリすることも多い。もっとも、TAITOはTAITOで、表情のデフォルメがきつすぎる商品が稀にあったりする。

 プラモデルも、制作したのは30個程度。今年はスケールモデルがほぼゼロだったのが心残り。キットのレベルで見ると、どれも完成度が高くて、「自然選択号」や「ライガーテイル」は細密ディテールが圧倒的だったし、FAG「出雲」、グランデ「アーキテクト」、MD「BusterDoll タンク」、annulus「ブリジット」あたりは楽しんで制作できた。海外キット「嶺王醒獅」もお気に入りで、今も机の上に立たせてある。
 年間ベストキットを選ぶなら、やはり「星花・百合」かな……。突出した美意識も素晴らしいし、それを微調整のカラーリングで上手く塗り替えられたという手応えもあった。
 海外キット「Galahad」も良かったけれど、自分には扱いきれなかった憾みがある。旧作「クラン・クラン」も、ベタな全塗装に終始しており、もうちょっと上手くやれたのでは……という思いがある。

 今年のアニメについて。今年のオリジナルアニメでは、評価できるものが『全修。』(80点)の1本のみ。『アポカリプスホテル』(75)も良かったが、内輪SFネタに走りすぎたのは個人的に減点要素。『LAZARUS』(60)と『未ル』(全5話)は、センスと認識の古さにがっかり。
 夏クールの『ある魔女』『九龍』『市民(2期)』『鬼人』は、それぞれに美意識の個性を表出しつつ、充実した作品になっていた(75~80点)。視聴覚演出に関しては、とりわけ『クレバテス』(80)がたいへん見応えがある。その一方で、低予算俗悪作品でありながら監督が最大限に面白さを味付けしようと奮闘した『異世界通販』(70)も好印象。現在の冬クールでは、『ラスボス』(75~80?)にはスペクタクルバトルと外連味のあるシチュエーションに魅力があるし、『悪食令嬢』(70?)も、おっとりした恋愛ものにうっすら影が射す雰囲気が好み。
 声優に関しては、『魔女』の青山氏、『九龍』『クレバテス』の白石氏、『ホテル』の白砂氏、『第七』の小市氏、『クレバテス』の田村(睦)氏、そしてなにより『市民』『魔女』で羊宮氏の濃密な芝居を堪能できたのが嬉しい。
 サブキャラでも、『通販』の小林ゆう氏と本渡氏と久野氏、『全修。』の釘宮氏(ユニコーン役)、『九龍』の置鮎氏、『クレバテス』の悠木氏(舌足らずキャラの演技)と黒沢氏、『鬼人』の茅野氏(おっとりした蕎麦屋娘)、『ソロ討伐』の長縄氏、『通販』『鬼人』で穏やかな店主役を務めた上田氏、『市民』『LAZARUS』で硬骨漢キャラを見事に表現した古川氏、そして『ホテル』の三木氏(環境チェックロボさん)など、存在感と説得力のある芝居をじっくり聴き込むことができた。台詞のない喃語芝居だけで突き通した『クレバテス』の会沢紗弥氏も凄味があった(ただし『鬼人』の方では今一つ)。『九龍』『悪食』の坂氏も良かった。鈴代氏にもポテンシャルを感じるが、まだよく分からない。富田氏についても、まだその本領を聴けていないのではないかというもどかしさと期待がある。ファイルーズ氏(『第七王子』)と早見氏(『未ル』)を聴く機会が乏しかったのは残念。

 声優に関しては、70年代生までの世代は、今の耳で聞くとスタイルの古さが否めない。そこから80年代生まれの世代は、クラシカルな台本咀嚼とモダンなナチュラルさを両立させて絶妙にバランスを取りつつ、多様極まりない個性と生命感に満ちた芝居でアニメシーンを飛躍的に彩り豊かなものにしてくれた。
 しかし90年代以降の世代(特に女性声優)は、ダンスや外見などの外的要素に制限されて、悪い意味でのアイドル化が急速に進行し、芝居そのものは退屈で掘り下げの浅いものばかりになっていた。もちろん例外もいるが、全体のクオリティは明らかに急落した(要するに、堅実に55~60点までは取っているが、それ以上の伸びがまるで見えてこない)。そして2000年生まれの世代は、現時点で25歳以下で、まだあまり台頭してきていない。上に挙げたように、際立った個性と入念な台本解釈をしている実力派声優も現れてきてはいるが、全体としては芝居の未熟すぎる大根若手声優たちの多さに辟易している。
 具体的に言ってしまうと、上田高橋MAOあたりの芝居が、とにかく苦手なのよ……。

 そもそも90年代以降の声優界の問題は、業界構造や産業システムの問題でもあって、養成所における教育システムから、アイドル化への依存、芝居以外の要求、経済基盤の脆弱さ、供給過剰、コロナ当初の断絶、そして数年での使い捨てに至るまで、複雑な要因があってこうなってしまっているという事情も理解はできるのだが、それでもやはり、芝居それ自体のクオリティが低いものには耐えられない。

 漫画については、まだ一ヶ月あるので、年の瀬に回顧したい。


 海外ガールプラモの情報については、常々感謝しつつ、こちらのリストに反映させています。一応、公式サイトや通販サイトなどのソースに当たって再確認して、できるかぎり正確を期していますが、そもそもどんなキットが出ているかはなかなか把握できないので、そういった情報はたいへんありがたいです。海外系の通販サイトを定期チェックすれば情報収集できそうですが、発売タイミングなどはなかなか追い切れないし、クオリティなども実物を触った人にしか分からないことが多いので……。
 海外キットは基本的に「店頭に出ているものを買う」スタンスですが、白ラミアとボンデージ兎は買い逃し、ゾイド火蛍は迷ってスルー、海賊頭領は先日VOLKSで見かけたところ、嶺王醒獅(タイガー)は満足、異世界手帳の戦士は値段相応で今一つ、そしてキョンシーは見かけたことが無く、サイ&熊のゾイド同梱の怠惰はスルー、EasternカーミラとNukeマリアの吸血鬼コンビも迷ってスルー……といった一年でした。キョンシー(Juilian)かウサギ(Vio the Rabbit)のどちらかは通販で取り寄せようかと検討中です。


 藝大(声楽科)出身の声優さんがいるのか……そうか、そうだよな……というか、そういうキャリアの方がいてもおかしくないし、こういった高等教育レベルの声楽訓練の成果を声優(役者)業に導入することで、声の芝居の世界はもっと豊かになるだろう。
 声楽科出身者は、一般的にオペラやミュージカルに進出することが多いと思うが、要するに物語の「役」を演じる舞台芸術家なわけで、そのノウハウはもちろんゲームやアニメのキャラクターヴォイスの仕事にも適用できる(※分野的な違いもいろいろあるけど)。天音氏以前にも、同様のキャリアの方は何人かいらっしゃるようだ。

2025/12/03

漫画雑話(2025年12月)

 2025年12月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

●新規作品。

●カジュアル買いなど。

●続刊等。

1) 現代ものやシリアス系。
 雁木万里『妹は知っている』第5巻(37-45話)。ミニマルなエピソードを各話完結で緩く繋げているのだが、日常的なシチュエーションから出発しつつ、読者に実感の手応えを持たせるような展開にしていくのは、まさに作中のラジオネタと同種の巧さだし、キャラクターたちもそれぞれに社会的な距離感をデリケートに(時には不器用に)意識しつつ、全体としては融和的な雰囲気を維持しているところも上手い。
 江戸屋ぽち『紙山さんの紙袋の中には』第4巻(20-26話、完結)。飛び道具的なキャラクターばかりで物語のコントロールが難しかったのか、これまでの展開は捉えどころが無かったが、江戸屋氏らしく優しい雰囲気と内面造形を感じさせる描写に、斜めゴマと陰影を多用した演出のおかげで、きれいな形で完結してくれた。『メルセデス』の方は、ひきつづき情趣豊かな連載を展開していただきたい。

2) ファンタジー世界やエンタメ寄り。
 高山しのぶ『花燭の白』第10巻(61-67話)。過去の真相から、現在の決意へ。レイアウトに関しては、上下に狭く横一面に広がる水平コマが多用されているのが興味深い。時には畳み掛けるようなコミカルなコマ組みとして、また時には顔の表情を隠す緊張感のあるレイアウトとして、時にはワンクッションの余韻コマとして、また時には枠線からキャラクターが飛び出しつつ情景を示すコマとして、様々な活用されている。
 フカヤマますく『エクソシストを堕とせない』第13巻(94-101話)。忌憚なく言えば、ユニークな掘り下げと挑戦的な姿勢が見られたのは5-6巻くらいで、それ以降は面白くないのだが、最後まで付き合うつもりではいる。
 鴻巣覚『うさぎはかく語りき』第2巻(7-13話)。邪悪で挑発的な描写と、シニックなユーモア、そして露骨なお色気の暗示、さらにはSFだかオカルトだか分からない都市の暗部の不気味さとといった諸要素を、芳文社らしいkawaii美少女オンリーでコーティングしている怪作。ただし、登場人物があらかじめ限定されていることもあり、次巻あたりであっさり完結しかねない気配もする。
 からあげたろう『聖なる加護持ち令嬢~』第2巻(5-8話)。他者を力づける率直な情愛と、他者を救うための覚悟を決める倫理、そしてkawaiiものを慈しみあう朗らかなコミュニティ。このまま連載を続けていってほしい。

2025/11/28

2025年11月の雑記

 2025年11月の雑記。

 11/22(Sat)

 「星花・百合」について。青で塗るか緑にするかで迷うなら、青緑にすればいいじゃない。ということでエメラルドグリーン(ターコイズグリーン)を使ってみることにした。青っぽいクールな透明感がありつつも、緑色の瑞々しさも兼ね備えるので、これはこれでありだと思う。ただし、色調やコーディネート次第では安っぽくなりやすい色でもある。上手くいくかなあ。

 というわけで、ざっくりエアブラシ塗装。
 ライトグレー:クールホワイトできれいに。後でブルーのグラデーションを入れるかも。
 ブラック:メタルブルーブラック(混色)が余っていたので使ってみた。良い感じ。
 ダークブラウン:リノリウム色(またかよ!)。しかしこのチョイスは失敗かも。うーん。
 ライトブラウン:ターコイズグリーンでビビッドに。隠蔽力が高くて助かった。
 頭髪(イエロー):パールコートのみ。後で影色を入れたりするかも。

 ジョイント周りにディテールが多いので、筆塗りしてやるとさらに引き締まるだろう。
 スミ入れも、一応入れておく。 
 デカールも省略。ゴチャゴチャさせず、シルエットと色合いを見せることを最優先にしたい。

 というわけで完成(※リンク先はSNS投稿)。わりと上手く行ったと思う。
 ライトブラウンは、キットのままだと色が埋没してしまうので、ヴィヴィッドな緑色で塗り替えたのは正解だった。
 また、アドリブでホワイト面にブルーのグラデーションを掛けてみたが、これもキットの雰囲気を盛り立てることに成功したと思う。つまり、「色彩感の追加」、「青色のクールさを強調」、「花弁の柔らかさや軽やかさを表現」、「パーツの立体感を強調」、等々の効果を出せた。グラデ塗装は、これまでほとんど使ってこなかったが、便利なのは確かだ。


 買って読んで読んで買ってを繰り返しつつ、未読漫画はちょっとずつ減ってきた。
 カジュアル買いをしたがあまり読む気のないまま数ヶ月間ずっと枕頭に置かれている単行本も、そろそろ諦めて仕舞い込んでしまってよいかも。そうすれば未読(積み)は一桁になる。


 『斑鳩』の「銀鶏」(※リンク先はメーカー公式ページ)も、パーツ切り出し。
 複雑な境界線が多いので、細部は筆塗りした方が、速いし確実だろう。また、各部のカラーリングがよく分からないので、ディテールから推測しつつ適当に色を付けていくことになりそう。

2025/11/27

ガールプラモ「星花・百合(Starflower Lily)」について

 ガールプラモ「星花・百合(Starflower Lily)」について。

細身のメカガールプラモ。