2026/01/07

2026年1月の雑記

 2026年1月の雑記。

 01/26(Mon)

 土曜日のイベントに参加してから、まだ太ももに筋肉痛がある。要するに、低いテーブルのプラモデル作品のために頻繁にしゃがんで撮影していたのは、要するに数時間断続的にスクワット運動をしていたようなものだから、筋肉に負担が掛かるのも当然か……。

2026/01/06

漫画雑話(2026年1月)

 2026年1月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

●新規作品。
 pome村『裏庭のドア、異世界に繋がる』第1巻(一二三LAVARE、原作あり、1-6話)。タイトルどおりの状況だが、穏やかで善良な女性主人公が自宅=異世界カフェから出ることはなく、気さくで優しい男性キャラたちにサポートされつつ、喫茶店をオープンする。ただし、今後のストーリーがどのような方向性になるかは、まだ分からない。作者はこれが商業初連載とのことだが、輪郭の柔らかい作画が本作の雰囲気に良く合っている。
 藤田トモヒサ『真の実力を隠していると思われている精霊師、実はいつもめっちゃ本気で戦ってます』第1巻(OVERLAP、原作あり、1-5話)。召喚師育成学園で、実は精霊契約が出来ていないが、本人の身体能力と魔力だけで戦っているという主人公の物語。キャラクターたちの生きの良い表情表現に、洒落っ気のある演出が気持ちよく、コミカライズとしては成功の部類だろう。藤田氏は2023年商業デビューで、これが初連載とのこと……えっ? こんなに練達の演出が出来ているのに? すごい。


●カジュアル買いなど。
 唯鬼『リップサービス』第2巻(白泉社、4-8話)。男性探偵の部下になった2人の女性の物語のようだ。基本的に一話完結のビターコメディ路線だが、『楽園』誌連載らしく外連味のある絵作りが面白い。第1巻は、どうしようかな。
 絹田みや『友達だった人』(光文社、単巻)。昨年11月刊行のものが増刷されたようで、新刊コーナーで購入。日常ベースの4本を収録した短編集。ちょっとした人間関係の中から、日常のぬるま湯をどこかで脱したいという気持ちを、デリケートに暗示する手つきが面白い。コミティア系の漫画家さんで、これが商業初単行本のようだが、一ページあたりのコマ数を少なめに刈り込んだ明晰なコマ組み進行のおかげでスムーズに読める。

 アニメ版『透明男と人間女』が面白かったので、岩飛猫氏の原作漫画もまとめ買いして(双葉社、既刊8巻、第75話まで収録)、さらに『片白の医端者』(第1巻のみ。第2巻は買えず)と『狐面夫婦』(1-2巻を購入、第3巻は店頭に無かった)も買ってきた。とにかく多層的なクリエイターさんで、基本的には異種族ものを得意としておられるが、キャラクターのアイデンティティからドラマを引き出したり、具体的なエピソードと絡めて掘り下げたり、生態的個性をリアルに解釈&描写しつつその魅力を表現したり、組み合わせによってさらなる面白味を生み出したりといった作劇のアイデアがやたら豊富で、たいへん密度が濃い。
 その上で、例えば『医端者』では、怪異存在たちのオリジナリティある幻想的状況を強烈なイマジネーションで展開したり、有名キャラクターの造形や体質を切れ味鋭いアイデアで活用したりする(※たしかに月のかぐや姫と、満月で変身する人狼男が出会ったら大変ややこしいことになるよね!)。
 それに対して『狐面』では、狐の妖怪と逃亡中の犯罪者の同居物語を、テクニカルな駆け引きという理知的な作劇で展開しつつ、全体としてはユーモラスでしたたかな化かし合いのドラマとして絶妙にエンタメに着地させている。
 『透明男』にも、同じ性質のアプローチが見て取れる。透明人間一族の体質がもたらす社会的困難を丁寧に精緻化しつつ、それをキャラクター個人の内面/外面双方のドラマの動因として具体化していく。全盲女性の方も、おそらくこれまでの漫画史上でちょっと類を見ないほどに、視覚障害者の生活のディテールをリアルに反映させつつ、しかし、単なる設定説明や感動ポルノに走らせることなく、まさに「この」キャラクターが持つ個性として扱い、そのうえでそれを「見えない男性と見えない女性のロマンス」という特異な状況において彼らが惹かれ合い、尊重し合っていくプロセスとして説得力ある形で展開している。サブキャラについても、例えば「」。
 要するに、「異種族を初めとした様々な個性へのフェティシズム」と、「キャラクター個性をリアリスティックに突き詰めていく徹底性」が見事に結びつきつつ、しかも最終的には居心地の良いエンタメの枠内にきれいに収めている。異才と言うべきだろう。

 上川きち『飼育員お姉さんに恋したペンギン』第3巻(芳文社、16-23話、完結)。タイトルどおりの動物園日常もので、ペンギン同士も台詞で会話している。雰囲気は悪くない。作者はBL系メインで活動しておられるようだ。


●続刊等。

1) 現代ものやシリアス系。
 川田大智『半人前の恋人』第7巻(51-58話、完結)。二人がそれぞれに、自身の将来や家族の重病など、人生の大きな問題に直面しつつ、誠実な決断を選び取っていく。そうした姿勢こそが、お互いを尊敬できる存在にしてきた。漫画表現それ自体としては、顔アップが多くなってきたが、キャラクターの心情にフォーカスを当てるストーリー運びの中では妥当な演出だと言うべきだろう。なお、巻末のコメントによれば、作者自身が和太鼓製造の現場におられたとのこと。
 藤丸『レジスタ!』第2巻(8-14話)。ほぼ丸ごと、京都編≒千代編になっている。テキスト面では、高校生の将来や人間関係をめぐる悩みのデリケートな掘り下げ。視覚的には、シンプルに整った顔立ちに、肉感的な体躯描写、そして時折現れる柔らかなデフォルメコマ。若者の輝かしさに向けたノスタルジー交じりの視線は、ありがちではあるが、漫画としてはなかなかユニーク。第1巻の時点では、ストーリーのレベルでのヒロインの高潔な凛々しさの描写と、視覚表現のレベル(コマ絵やレイアウト)の下品な性的クローズアップの同居がたいへん不気味だったが、この巻ではずいぶん落ち着いてきた。
 塩井こぬ『犬窪ノアとなかよしするまで』第3巻(8-11話)。魔術による操作と、ひとの恋愛感情の真率さを巡って展開される、コメディ寄りの物語。次巻で完結とのこと。「好き」の感情がスティグマ化してしまう描写がなかなか上手い。
 焼肉定食『アンドロイドは経験人数に入りますか?』第7巻(31-35話、完結)。百合エロコメ路線だが、キャラクター同士の気持ちをきちんと繋げて物語をきれいに締め括った。
 こにとがめ『ヒト科のゆいか』第3巻(9-13話)。多種族が共存する学校の話。今巻は鬼面をつけたミステリアスな同級生をフィーチャーしつつ、様々な亜人たちのアイデンティティ問題を掘り下げる。アナログ感の強い作画と、情趣ある背景カット、そして開放的な力強さのある紙面演出が魅力的。
 三都慎司『ミナミザスーパーエボリューション』第2巻(5-8話)。この作者は、これまでの作品ではビル街崩壊などのスペクタクルでその精緻な描き込みの効果を表現してきたが、今回はロマンティックな浮遊水滴という形でその資質を存分に発揮している。思春期の輝かしさへのわずかなノスタルジーも漂わせつつ、内面の感情と外面の社会関係のドラマが絡まり合っていく有様が美しい。しかし今後の展開については、超能力に関する組織的策謀の気配も示唆されている。
 しなぎれ『女装男子はスカートを脱ぎたい!』第4巻(22-27話)。今巻ではオープンな女装キャラが新登場。手書きトーンによる質感表現は迫力があるし、主人公の決意を描くクライマックスも素晴らしく、さらに女装男子の半脱ぎカットのフェティッシュな色気もすさまじい。


2) ファンタジー世界やエンタメ寄り。
 カヅホ『キルミーベイベー』第16巻(2024年10月号~2025年12月号分を収録)。グロ(クリーチャー)、オカルト、ナンセンス、スラップスティック、バイオレンスと、とにかくネタの密度が高くて何度も笑える。200回到達したとのこと(※その号は雑誌版も買った)。卵に耳を当てたら呪詛の声が聞こえるというのは、並大抵の発想では出てこない(59頁)。
 ヨシアキ『雷雷雷』第6巻(35-41話)。空間戦闘の派手な広がりや、奥行きの勢いを強調した超人バトル描写が、なんだか『ドラゴンボール』みたいになってきた。美術的スタイルそれ自体としては、アメコミ風の雰囲気もわずかに交えつつ、日本漫画/アニメの演出手法を活用して、とてもユニークな手触りがある。
 元三大介『魔法医レクスの変態カルテ』第4巻(18-21話)。今巻は、難題「ドラゴンと自動車」に対して作者なりの解決を提示するところから始まり、魔石をめぐるテクニカルな議論に、丸呑み(ボア)のディープな趣向、そして最後にキノコの視覚的淫猥感に彩られつつ植物モンスターとのダイナミックなバトルと、盛りだくさん。
 井山くらげ『後宮茶妃伝』第8巻(42-46話)。ストーリー面では強引なところも多々あるのだが、温和な雰囲気と安定した物語進行テンポ、そして黒ベタを堂々と投入したクラシカルな絵柄が、気持ちよく読ませてくれる。今巻では四人の妃が揃ったが、ここからどのように展開するのかは不明。原作小説の目次を見たかぎりでは、現時点で物語の7割ほどを消化しているようで、このまま順調に行けば10巻くらいできれいに完結できそう。
 里好『かくして! マキナさん』第6巻(30-37話、完結)。3Dモデルを用いた作画は、結局のところキャラクターの身体の動きを狭めつつ、表情のあくの強さをしつこくするばかりで、技術的な実験としては興味深いが問題も多かった。ストーリー面でも、浅い下ネタに終始していたのは残念極まりない。『踏切時間』では抜群の切れ味を見せていただけに、この優れたクリエイターが本作で時間を蕩尽したのが惜しまれる。次はもっとシャープな切り口の連載で、高い創造性を発揮してもらえることを期待したい。
 furu『ひなたとお兄ちゃん』第2巻(6-11話)。今巻では、宗教団体施設での長大なエピソードを扱ったが、「常闇世界の怪物徘徊」というユニークな状況設定から目を反らしてしまい、やや通俗的な人間ドラマになった。次巻を待ちたい。
 天原『33歳独身女騎士隊長』第4巻(181-240話)。したたかな策謀の描写と、トリッキーなアイデアの創意、そしてそれらを2ページコメディの枠内で処理しきる手腕は健在。
 木々津克久『フランケン・ふらん Frantic』第12巻(74-80話)。きつめの風刺とグロテスクな想像力を超医療の俎上で処理しつつ、キャッチーな時事ネタやパロディをちょっと振りかけたスタイルは健在。今巻は、直接的な性的シーンが妙に増えていたのが意外。擬似赤子ペット施設(79話)の多腕クリーチャー赤ちゃんは、まさに木々津氏の本領発揮と言うべき奇抜な造形。
 乙須ミツヤ『俺の死亡フラグが留まることを知らない』第8巻(50-56話)。仲間たちを失いそうになる土壇場で、強敵との戦いの中で自らの内にいる本来のキャラクターの存在を感じとり、戦後はヒロインとの印象的なシーンを挟みつつ、処罰の憂き目に遭い、そして5年が経過するという劇的な展開だらけの巻。緊張感に満ちたレイアウト演出に、躍動感のある全身運動の表現、魔法エフェクトの精緻な描き込み、そして強烈な感情を放射する主人公の両目の表現と、充実した読み応えがある。心情のドラマとしても、真に迫った想いがストレートに(それでいてレトリカルに)描かれているので、物語としても面白い。オンライン連載は現時点で86話まで進んでいるので、単行本も追いついていってほしい(※何故か紙媒体での発売が長期間止まっていて、やきもきしていた)。

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2026/01/05

アニメ雑話(2026年1月)

 2026年1月の新作アニメ感想(※タイトル五十音順)。
 今回は、試しに総合評価の点数推移もメモしてみる。それぞれ第3話までで『透明男』85点、『違国』85点、『シャンピニオン』80点、『アルネ』80点、『29歳』70点、『ヘルモード』70点、『魔王の娘』65点。



●『アルネの事件簿』
 第1話。古式ゆかしき子供向けダークファンタジーのテイストで、低予算作画ながら、やろうとしている演出の方向性は明確に見て取れる。初回からショタキャラが2人も登場する点でも貴重。
 ただし、キャストは好みに合わない(※つぎはぎ人造人間キャラの日笠氏(と桑島氏)くらいしか聴きどころがない)。ショタの一人は成長してしまうし……。ルイス役の伊勢氏も、頑張ってはいるのだが、力みすぎのように感じる。
 ちなみに、料理名などから察するに、舞台はハンガリー(またはそれをモデルにしたヨーロッパ風の架空世界)のようだ。劇伴でも、弦楽器の響きを活用して民族的な雰囲気を打ち出している。
 評価はひとまず70点で、視聴継続してみるつもり。

 第1話は顔見せの一発ネタエピソードで、本格的にメインキャラたちの物語が始まるのは第2話からのようだ。クラシカルな洋風吸血鬼ファンタジーというコンセプトが明確で、演出目標もはっきりしているので、視覚的表現が上手く構築されている。細かな効果音も付けていて場面ごとの情緒があるし、若きメインキャラが走り回ったり慌てたりする様々な所作もかわいらしくアニメーションされていて躍動感がある。台詞回しもユーモアがある。75点に評価上昇。
 母親キャラが佐藤(聡)氏、そしてメイドのエリーゼが寺澤百花氏と、キャスティングもなかなか面白い。ともに数話限りのキャラクターと思われるが、それだけに贅沢。ただし、アルネの成人形態の芝居は、ちょっと苦手。
 ところで、日本の学生ジャージやTV(映画)やバスがあるということは、作中の時代設定は現代なのか。だとしても、前世紀くらいかもしれないけど。しかしその割に、メイド付きの古びた家も出てくるという、微妙によく分からない世界設定だ。
 リン役の貫井氏は、今期は『透明男』のヒロインも演じている。まだ勢い任せのきらいはあるものの、胆力のある踏み込みで声を出してきているのでライヴ感のある臨場感の手応えがある。鏡の中のモンスターを演じている榊原優希氏は、『シャンピニオン』にも出演しており、なにやらキャストの被りが多い。

 第3話も、リンの屋敷でのファーストエピソードが続く。暗い室内での会話劇に、ところどころ外連味のあるレイアウト、そしてホラー寄りのグロテスク(流血)描写と、見ごたえがある。絵はあまり動かないが、コウモリ乱舞のような表現で補っているし、飛翔シーンなどの要所ではダイナミックに動かしている。80点に上昇。ただし、ミステリではなく、オカルトサスペンスとして受け止めるべきだろう。



●『違国日記』
 第1話。劇伴を抑えた映像進行でじっくり見せていき、要所でシンボリックなカットを効果的に組み込んでくる。それらを視聴者に印象づけるためのリピート演出(フラッシュバック/フラッシュフォワード)も、作為を目立たせないように絶妙の味付けで挿入しているし、色彩設計も現代アニメとしてのオリジナリティと本作ならではのムード構築を両立させている。沢城氏の芝居もニュアンスと迫力に満ちているし、主演の森風子氏(※これが初レギュラーの新人)の演技についても、ひとまず不満は何も無かった。85点

 第2話は、サブキャラが増えてきた。Aパートの料理シーンは退屈だが、何気ない会話の時間を過ごした上でこそ「エポック」発言が効いてくるのだと考えれば、やはり必要なものだったのだろう。85点のまま最後まで行きそう。

 第3話。前半は旧宅の整理を描いて、故人の過去のイメージとのギャップや、形見を残すことについて婉曲的に語る。後半は中学校の卒業式で、サブの無神経キャラの描写がやや図式的なものの、思春期の人間関係の貴重さを巡って厳しくも柔らかさのある語りが展開される。劇伴もしばしば軋みのある音響で、場面ごとの緊張感あるニュアンスを下支えしている。
 主演少女役の森風子氏は、「えっ、これで新人?」と驚くくらい真に迫った芝居をされている。
 この回は、内容がつらすぎるので、点数もつけられない。「めんどくさい(が責任感を持つ)」や、「てる/執着する」といったモティーフが複雑に織り込まれていて濃密なエピソードなのだが、しかし、「素晴らしいが、素晴らしいが故にこそ、一回性の体験だけにとどめておく」という場合もある。デリケートなまま逃避的な浮遊感にとどまっていた少女の心が、偶発的な惨事によって思いもよらぬ形で傷つけられてしまうのは、実に悲しい。



●『カヤちゃんはコワくない』
 第1話。主人公の少女は怪異が見え、そしてそれらを打ち倒せる力を持っているが、周囲からは理解されていないという状況。幼稚園が舞台で、キッズ向けとしてもぎりぎり成立するくらいだが、作中のトーンはシリアス。映像面では、ややゆっくりしたテンポで、クオリティもまずまず。70点
 主演の橘杏咲氏は、2022年デビューの若手。淡々としているが情緒のニュアンスをきちんと反映する芝居をされていると思う。クレジットによれば、ジト目の先生が井澤氏、わんぱく少年が田村(睦)氏、そして強気少女が久野氏とのこと。

 第2話。オカルトオムニバスで進んでいくのかな。主人公が何かを求めて道を切り開いていくという形ではなさそう。映像それ自体は、オーソドックスなホラー演出を適切に使っているが、総じて動きが乏しく、面白みに欠ける。もうスクショは撮らず、流し見だけでよいかもしれない。65点



●『シャンピニオンの魔女』
 第1話。主人公自身はほとんど喋らず、ナレーションと相方(牛くん)がシチュエーションをリードしていく。作画は、名作劇場風の古風な味わいを志向しているようで、劇伴も民族音楽(ケルト?)風だし、背景美術もにじみのある絵を使って、クラシカルな幻想性を作り出している。
 状況設定は、「瘴気をキノコに変える体質だが、そのことが理解されず、人々から避けられている魔女」というもの。周囲の人々から恐怖や警戒の目を向けられる過酷な孤立と、その背景にうっすら広がる悲劇の予感、しかしその中でわずかに抱くいくつかの憧れ(※繰り返すが、主人公の寡黙さがかえってその内心の情動へと視聴者の意識を引きつける)、そしてその憧れが実現されないであろう厳しい困難。少女漫画ベースの柔らかなタッチと穏やかな進行の中に、じんわりと不穏な気配も覗かせている。現代の深夜系アニメとして、かなり特異なアプローチであるように見受けられる。85点

 第2話も、基本的な方向性は同じ。どうやらロマンス基軸の展開になっていくようだ。しかし広場の噴水を真上から撮ったカットが、思わせぶりに頻出するのが、今後の展開を不気味に予感させる。それにしても、エンドクレジットの「ペンギンキャノン」はかなり気になる……(※おそらく中国のアニメ制作会社)。
 それにしても、この魔女の力は、わりと笑えないきつさがある。曰く、「生身の人間が魔女に触れると肌が爛れる」、「魔女の足下から生えてくるキノコは有毒」、「魔女帽子の中に隠れて消えることができる」、「絵を描くとその相手の魂を奪える(遠隔地でも)」、「人の記憶を丸ごと吸い取る(特定の記憶を消せる)」、等々……。確かにこれは、未熟な魔女が迂闊に使ったら危ない。

 第3話は、先輩魔女たちが勢揃いしての詰問会議。ゲストキャラたちのキャストが物凄い(大川氏の大キノコに、魔女たちは鳥海氏、日野氏、川澄氏、坂口氏、柚木氏、花江氏)。
 ストーリーに沿って言うと、Aパートは静かに硬直したような緊張感に満ちており、正統派の幻想物語の風格がある。それに対して後半は、先述の会議シーンで、主人公たちの設定を一気に開示していく。台詞だらけで動きは乏しいもののカメラを水平から斜めに傾けたカットが頻出して不安定な動揺を表現しているし、モノローグ過剰の進行もキャストの迫力によって説得力を確保している。映像作りとしては、見るべきところは少ないのだが、ストーリー牽引型の魅力があり、「呪いの子」どうしの関わりと、それを救おうとする深刻なジレンマ状況の厳しさに引き込まれる。80点
 ヒーロー役が、15歳から6歳のショタに縮んだのは、予想外のラッキー。『アルネ』ではショタがたまに成長形態になってしまうが、こちらで元を取れた(?)。



●『人外教室の人間嫌い教師』
 第1話。低予算企画のようだが、わりと良い雰囲気なのに驚いた。アニメーションはそれほどダイナミックに動くわけではないが、キャラクターたちの生命感を十分に伝えているし、静止画として見てもなかなかエッジが立っていて魅力的。ただし、劇伴がやけに少なかったりして、不足を感じないわけではない。
 ストーリー面では、亜人学生たちに人間社会の知識を教えることになったシャイな教師の物語で、ヒロインは4人とまるで美少女ゲームのようなハーレム状況。エンディング映像も、ちょっとAC Promenadeを連想させるような作りで、なんとなく懐かしい。
 キャスト面では、兎ガールの長縄氏は毒舌キャラで、雪女(?)教師は茅野愛衣氏、百舌鳥ガールの田辺留依氏もなかなか良さそう。福圓氏は、鼠ガールとして出演されるようだ。
 期待していなかったが、これなら70点はつけてよい。ただし、視聴継続するかどうかは微妙。ストーリーを広げていくための手がかりがまだ乏しいので、どのようなエピソードが出てくるかが予想できない。

 第2話。キャラの絵がちょっと動いて、台詞に声が付いている映像というだけであって、映像としては退屈。しよーもないカットのまま長時間止まるし、モノローグもしつこくて会話の流れが出来ていない。しかキャラはわりと可愛らしいし、種族特有のバックグラウンドもいくつか提示しつつ、キャラクターのアイデンティティはしっかり確立されている。全体としては、60点に下がった。
 ちなみに今回登場の体育教師は、斎藤千和氏だった。なんと贅沢な……。



●『デッドアカウント』
 デジタルデビル除霊バトルもののようだ。OPのヴィジュアルイメージはわりと面白いし、本編映像にも目を引く演出があるし、ところどころ太い輪郭線を使っているのも大胆なのだが、90年代くらい(?)の少年漫画のようなノリはちょっときつい。また、バトルものにしては、絵があまり動かない(※エフェクトや振動などで誤魔化している)。
 キャストは、白砂氏(ヤチヨさん)の妹キャラはおそらく今回だけでおしまい。これぞファイルーズあい、と言わんばかりのキャラも登場するが、それだけのために視聴するのも……。評価は65点(事前)→70点に引き上げたけど、2~3話くらいで切り上げることになりそう。
 設定面も、いささか不安がある。例えば、「幽霊は、生前に強い思い入れを残した場所に現れる」という説明の中で……トイレ? トイレにどんな未練が……。「お手洗は学校のオカルト噂話の定番」というところから安易にスライドしてしまったのだろうけど、もう少し考えようよ……。主人公が唐突に覚悟を決めるくだりも説得力に欠けるし、そもそも暴力系YTerという設定も無茶苦茶すぎる。うーん。



●『転生したらドラゴンの卵だった』
 第1話。激安ストーリーで、絵コンテも退屈だが、キャストと絵だけは良い。主演土岐氏の少年芝居もほのぼのするし、小清水氏の「神の声」(システムメッセージ)がたいへん笑える。穏やかで、端正で、そしてわずかな優しみのフレーバーを滲ませつつ、どことなくユーモアも感じさせるのは、小清水氏が自身の長所を巧みに引き出しているおかげだろう。そして個々の絵も、ほのかな曲線美になまめかしい魅力がある(※ここは作画監督の功績だろう)。こうしたパーツ評価を入れれば、45+10=55点くらいには楽しめた。

 第2話。絵はわりとよく動いていて、主人公キャラ(ドラゴン幼体)のプルプルした弾力感も上手いし、背景美術もまっとうなクオリティ。モンスターの巨大感演出なども、良いコンテになっている。ただし、あまりにも手が足りておらず、止め絵も長いし、回想での尺稼ぎも露骨に行われている。モノローグ過多で設定をダラダラ語って話が進まないのも、あまりにもダルい。原作が不足しているわけではあるまいし、遅滞戦術はやめて脚本をきれいに刈り込んでほしいのだが……。作画評価込みでも、やはり60点は付けられない。55点。良くなっていく見込みも薄いし、第3話はもう無いかな……。
 今回出てきた新規キャストも今ひとつ。年長の魔女キャラが、エンドロールを見たら釘宮氏だったのにびっくり。いや、もっと上手い芝居が出来る声優さんの筈では……?



●『透明男と人間女』
 第1話。異種族共生社会で、獣人キャラやサイクロプス夫婦などが多数登場する。透明人間の男性探偵と、視覚障害の女性事務員を中心とする、ほのぼの日常のユーモラスな小話集。キャラ絵が簡素にデフォルメされているおかげで、作画コストは低めながらも隙のない絵作りがキープされている。視覚障害をめぐる描写もきわめてデリケート(※クレジットによれば、盲特別支援学校からも取材協力を受けている)。キャストは、目立ったところは無いものの、堅実な芝居を聴かせてくれる。「僕を見つけられるのは、夜香(やこう)さんだけかもしれませんね」は、作品の方向性を一台詞できれいに言い表しているのだろう。ちょっと面白いところでは、男性の方が背が高いのだが、頭部が透明なおかげで、男女がちょうど同じ背丈のようになっている(つまり肩口までの男性と、全身の女性が同じくらいの高さ)。二人のあいだの対等性、公平性を視覚的にも表現している。
 予想外に繊細で充実した内容で、美術的な統一感もある秀作。80点

 第2話。素直で善良な全盲女性と、紳士的でデリカシーのある透明人間男性が、互いの個性や内心を認め合いつつ相手の存在を大切に感じていく様子が、繊細に描かれている。美術的にも、柔らかで落ち着きのある背景塗りがフィットしているし、周囲のキャラクターたちも人格的な複雑さや心身の特徴を押さえつつ、物語を豊かに機能させている。マイナー作品だとは思うが、よくぞここまでやってくれると感心する。難点と言えば、短いエピソードがどんどん切り替わっていくのが、一般的なアニメの感覚からするとやや忙しいのと、ED曲がちょっと好みから外れるくらい。脚本と絵コンテは、今回も瀬田監督自身による。85点

 原作漫画も数冊買って読んでみたが、そちらはそちらで面白い。そしてアニメ版も、漫画版に追随するだけでなく、細部の描写をデリケートに拡充していることが分かる。例えば、帰宅しても暗いままだとか、腕時計では振動で時刻を把握するとか……つまり、アニメ版のスタッフがきちんと調べたうえで、視聴覚的にシチュエーション表現を豊かにするように作り込んでいる(例えば、部屋が暗いままなのは視覚表現だし、腕時計のバイブレーションは音響表現だ)。

 第3話。原作漫画とほぼ同じ台詞を使っているが、エピソードを組み替えたり多少アレンジしたりして、アニメ版ならではの構成を丁寧に作り出している。映像面では、前景のキャラクター会話の背後でも、脇筋トークの雰囲気や作業の様子などを動かしているという立体的な表現が多々見られるのもユニーク。さらに、キャラクターに対して細やかな所作のアニメーションを付与することで、作中描写の意味づけを豊かなものにしている。繰り返しになるが、アニメ版のスタッフは実に良い仕事をしている。85点
 ヒロインの母親(ゆかり)役は桑島氏。獣人「写螺子(じゃらし)」役の杉山里穂氏も良い。とりわけ台詞を突っ込んでくるタイミングが、妙に大胆というか、勢いがあるというか、「パワフルなキャラクターが、きちんとそれをコントロールしつつ、それでも滲み出てくる力感」のような手応えがある。

 それにしても、おそろしい作品だ。というのは、メインキャラの片方が透明人間なので、表情演出のほぼ全てが封じられている。だから、全身の所作でその都度の表情を表さなければいけない(※汗や赤面などの漫符演出も禁欲されている)。台詞のニュアンスを伝えるのも、ほぼ声優の技量のみに支えられている。さらに会話シーンでも、キャラクターたちの配置と画面レイアウトに、相当な配慮をこらさなければいけない。何その高難度モード。
 それと対になる全盲キャラクターについても、一定の難しさがある。こちらも常時両目を閉じた糸目状態なので、目の演出がほぼ全て使えない。ただしこちらは、コミカルな漫符演出を使っているし、口元の表情や身振りを強調しているので、透明人間の演出に比べればまだしも採りうる手段が多い。もちろん顔だけの問題ではなく、手先でのスキンシップや、カメラワークによる意味づけなど、できることはいろいろあるが、それでも一般的な演出が通用しない場面が多々ある。漫画版でも事情は同じで、台詞回しの妙味やコマ組み演出など、あらゆる手立てを総動員して……穏やかなイチャイチャをひたすら描いている。すごい……。



●『29歳独身中堅冒険者の日常』
 第1話。作画や演出はチープきわまりない。主演の古川氏も、サブキャラ硬骨漢では存在感を発揮するが、今回のような軽薄寄りの若者キャラではやや空転気味。29歳という日和った年齢設定ではなく、例えば35歳くらいにしておけば、この役者さんの本領を引き出せたと思うのだが、まあ仕方ない。
 その一方で、ヒロイン役の鈴代氏が抜群の輝きを見せている。この方は、あまりピンとこない芝居もあるのだが、幼くて元気なキャラは十八番のようだ(※『九龍ジェネリックロマンス』の小黒も、同じ路線で見事にキャラを立たせていた)。
 というわけで、50点+ヒロイン(15点)=65点という、不思議な評価になった。しかし、このヒロインキャラの魅力の一点突破で、はたして最後まで突き通せるだろうか?
 第1話からいきなりおもらしシーンという飛び道具については、あえて掘り下げまい。

 第2話は、むしろ作画レベルがかなり上がっている。第1話がやたらチープだったのが嘘のように、誠実な絵コンテになっている。キャラの所作も生き生きしているし、走って角を曲がるという難しいアニメーションも敢行している。70点に上昇。
 ストーリー面では、村内にとどまってハートウォーミングな話を続ける感じなのかな。OPムービーを見るかぎりでは、メインヒロインの他にも低年齢キャラが複数登場してくるようだ。

 第3話は、ヒロインの友人も出来て、人間関係が豊かになっていく。台本(台詞)もマイルドなユーモアを交えつつ、スムーズにイベント進行していく。このまま、ほのぼのして健康的な成長物語になっていきそう。絵コンテも、ところどころ美しいレイアウトがあるし、幼いヒロインが元気に駆け回るところや、主人公の頭にまとわりつくところなども、かなり動画表現を頑張っている(※第1話だけがひどすぎたと言いたい)。70点、あるいは75点をつけてもいいくらい。



●『ヘルモード』
 第1話。タイトルに反して、状況はそれほどハードではなく、むしろ異世界転生した赤子主人公を温かく育んでくれる両親との交流が描かれている。絵柄はキッズ向けのようにシンプルで、絵の描き込みはやや浅いが、アニメーションとしてはわりと動いているし、彩度控えめな中間色の彩色設計がなかなか意欲的。第1話段階での評価としては、70点を付けられる出来。
 キャストは、主演の田村(睦)氏に、母親キャラが大原さやか氏と、なかなか贅沢。弟キャラは、小市氏とのこと。ただし、音響バランスに問題があり、BGMの音が大きすぎて声優の芝居が妨げられるのが残念。

 第2話。予想外に面白い。スピード感のある剣戟シーンなど、動画表現も低予算ながらこなれているし、美しいカットもよく出てくる。洒落っ気のある演出も敢行されている。そして全体の雰囲気も温かい。絵コンテは、今回も玉川監督自身による。ただし問題点として、BGMの音量が大きすぎて、台詞が潰れてがちなのはつらい。75点
 主人公の母親キャラ(といってもおそらく二十歳くらい)が、今期一番チャーミングかも。これも意外。

 第3話。今回はストーリーを追うばかりで、あまり面白くない。絵はそこそこ動いているが低調だし、ひたすら主人公のモノローグを続けるのも洗練されない(※田村睦心氏が良い芝居をされているので救われる)。しかし、原作を咀嚼したうえで映像にしているのは見て取れるし、大原さやか氏の母親役も要所を引き締めてくれている。虫の音のSEが「ジーイ」と鳴っているのも、開けた農村生活らしさを演出していて微笑ましい。70点



●『魔王の娘は優しすぎる!!』
 第1話。おそらくは低予算企画なのだが、意外に絵が動いている。とりわけ3頭身の娘キャラの可愛らしさが、ぽてぽてした全身の動きを通じて効果的に表現されている(※エンドクレジットを見るに、Production I.Gのモーションキャプチャを活用しているようだが、キャラ絵がかなりデフォルメ寄りなので、キャプチャーデータをそのまま下敷きにすることはできないだろうし、所作の魅力を作るのはアニメーターの創造性に因るので、最終的には現場の作画スキルで動画クオリティを維持していると見るべきだろう)。
 それ以外も、洒落っ気のあるアニメーション演出が随所に見られ、安っぽさを上手く免れている。露骨なコピペカットや背景作画の省力もあるのだが、一見キッズアニメのような雰囲気の中では、牧歌的なとっつきやすさとして機能している。
 そしてもちろん、久野美咲氏の芝居も凄味がある。低年齢キャラが得意なのは知っていたが、今作は4-5歳くらい(?)のキャラクターの訥々とした喋りを見事に披露されている。読み上げシーンの「にんげんどもよぅ、く?…くもつをさしださねば、そのにくえぐり、はらわたにひをつけておどりくるわせてやるぅぇ」のあたりの崩し方など、堂に入った出来栄え。
 ストーリー面は、予想されるとおり、娘キャラの純真さに従者キャラが振り回されるパターンのありがちなコメディだが、娘キャラの善良さのおかげで、ミニマルなほのぼの美談としてまとまっている。しかし、あの長尺の「かくれんぼの歌」シーンはいったい……?
 ヒロインの魅力込みで=80点と、予想外の高評価になった。ただし、根本的にはチープな作品なので、毎週観るほどのものかどうかは……。

 第2話にして早くも、絵が動かなくなってきた。ストーリー面では、可愛い娘キャラが周囲を幸せにしていく路線を続けるようだが、その前提として、かなりの不幸イベントもストレートに描かれている(※今回だと妻子の死亡や、魔族との殺し合い、管理魔族からの殴打暴行など、わりと残虐な描写がある)。このギャップをどこまで許容できるか(視聴者に受け入れさせることが出来るか)のバランスは、ちよっと難しいかも。
 そして、もしかして毎回、ヒロインによる歌が挿入されるのだろうか? 各回に付加価値を設けるという意味では成功なのかもしれない(※ちょうど前シーズンの『ツーリング』でも、こうした唱歌シーンが繰り返された。さらに言うと、ED映像がその回の内容を回顧するようにちょっとずつ変化するのも、『ツーリング』と同じ)。絵の面白みが減ったぶん、評価は75点に引き下げる。
 これを視聴し続けていたら、たぶん私は千葉氏の芝居が大嫌いになる(※これまでもなんとなく苦手意識を持っていたが、アレルギー並に受け付けなくなりそう)。

 第3話。今回はデュエットで〆。小児キャラがよたよた走り回るアニメーションはわりと頑張っているが、それ以上のものは無い。65点

2025/12/08

2025年12月の雑記

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2025/12/07

漫画雑話(2025年12月)

 2025年12月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。