2025年12月の雑記。
12/04(Thu)
怖いもの見たさで、数年ぶりにtwitterの「おすすめ」欄を開いてみたら、数学、声優、ゲーム、音楽、SF、医療(※まともな意味での)、歴史学、コンピュータ、模型、ペンギンなどの投稿が並んでいて、ほっとするやら、モヤモヤするやら……。わりとアレな投稿もたくさん踏んできたと思うのだが、意外にkenzenだった。
もちろん、あのSNSが致命的に問題を抱えていることを免責するつもりは無いが。今でも一応アカウントは残してあって、情報収集のためにたまに見に行くことはあるけれど、あそこで情報発信をするつもりは無い(=あそこにコンテンツを提供してやるつもりは無い)。
あちらに常駐している方々も、余所に脱出していってほしい。受動的に様々な情報を摂取するのにあのSNSを閲覧したり検索したりするくらいは、現状では仕方ないだろう。しかし、能動的なアウトプットや、知人との交流や、ライフログ的投稿などは、余所のメディアに逃がしていく方が、健全だし安全だろう。もしもそれが面倒なら、例えば複数メディアへのクロスポスト(同一投稿)を、アプリ等で設定しておけば、オンライン生活の幅が広がると思うのだが……。
私自身は、リアクションや注目を集めることはひたすら避けているので、そこまでする必要が無いのだけど。そうでなくて、多少なりとも他者からのリアクションの手応えや、より大きな宣伝効果をモチベーションにしたい人ならば、複数のメディアに露出する方が、端的に機会を増大させ、コミュニケーション量の期待値も当然ながらプラスになる。
単一のSNSだけに強烈に依存するというのは、現代ではあまりにリスキーなのだが、日本のネットユーザーたちの行動形態は総じて保守的だよね。というか、新たなメディアを試していく積極性を喪失してしまったよね……。
このプライズフィギュアは、ここ最近では出色のクオリティ。
まず、ヘアスタイルはかなり凝った造形をきちんと作り上げているし、ピンク色のラインを奥まった(凹んだ)ところにも丁寧に入れて、カールの立体感を上手く強調している。間明田(まみょうだ)氏特有のやたら細かい両目も、繊細な多色塗装で細部まで再現している。顔の表情はやや個性的だが、どの角度から見ても破綻しない造形になっている(※プライズでは、角度次第でおかしな顔に見えてしまうものもあり、そういうフィギュアは俗に「角度固定」「角度限定」と呼ばれる。本作にそうした隙が無いのは、原型制作の時点で慎重に立体吟味したものと思われる)。
着衣の造形も素晴らしい。ショールや袖口やスカートの皺/襞表現はプライズ級としては滅多に見ないレベルで、ふんわりした柔らかさを的確に作り出している(※ただし、色が阪急マルーンを連想させるのと、無塗装でスカートがテカっているのは残念だが、ツヤ消しコーティングを吹いて解決した)。スカートの中は、ロングのドロワーズという良い趣味。
手持ちのスクエアバッグも、角を一つ一つ塗装しているし、胸部の宝石や靴のリボンやボタン部分なども、きれいに塗装されている。爪まで塗り分けられているのも、プライズフィギュアとしてはかなり稀。金色ラインも、凹凸の激しい襞に沿いつつ正確に塗装されている。
要するに、衣服部分は造形サイドでクオリティを確保することによって無塗装のまま(=ローコストで)押し切り、その一方で塗装作業は細部を引き締める役割を担うという形にして、全体として完成度の高いフィギュアに仕上げている。プライズフィギュアは、法令上の都合からして予算(コスト)の制限が非常にきついのだが、その範囲内で見栄えの良い一品に結実させている。年末に良いフィギュアを入手できて嬉しい。
【 年間回顧いろいろ 】
今年入手したプライズフィギュアは、現時点で30体。その中で、特に出来の良かったものや、ユニークな特徴のあるものは、
そして今回のTAITOレトロミク。
何度も書いているけど、やはりプライズフィギュアではTAITOが好み。素肌の質感(透明感)表現が良いし、丸顔寄りの愛嬌のあるフェイス造形が楽しく、それでいて全身のポージングやディテールはかなり大胆で、そしてエロ要素は薄めなのも良い。他社のプライズ品だと、どぎつい素肌露出でありながら、マネキンのような質感のままでガッカリすることも多い。もっとも、TAITOはTAITOで、表情のデフォルメがきつすぎる商品が稀にあったりする。
プラモデルも、制作したのは30個程度。今年はスケールモデルがほぼゼロだったのが心残り。キットのレベルで見ると、どれも完成度が高くて、「自然選択号」や「ライガーテイル」は細密ディテールが圧倒的だったし、FAG「出雲」、グランデ「アーキテクト」、MD「BusterDoll タンク」、annulus「ブリジット」あたりは楽しんで制作できた。海外キット「嶺王醒獅」もお気に入りで、今も机の上に立たせてある。
年間ベストキットを選ぶなら、やはり「星花・百合」かな……。突出した美意識も素晴らしいし、それを微調整のカラーリングで上手く塗り替えられたという手応えもあった。
海外キット「Galahad」も良かったけれど、自分には扱いきれなかった憾みがある。旧作「クラン・クラン」も、ベタな全塗装に終始しており、もうちょっと上手くやれたのでは……という思いがある。
今年のアニメについて。今年のオリジナルアニメでは、評価できるものが『全修。』(80点)の1本のみ。『アポカリプスホテル』(75)も良かったが、内輪SFネタに走りすぎたのは個人的に減点要素。『LAZARUS』(60)と『未ル』(全5話)は、センスと認識の古さにがっかり。
夏クールの『ある魔女』『九龍』『市民(2期)』『鬼人』は、それぞれに美意識の個性を表出しつつ、充実した作品になっていた(75~80点)。視聴覚演出に関しては、とりわけ『クレバテス』(80)がたいへん見応えがある。その一方で、低予算俗悪作品でありながら監督が最大限に面白さを味付けしようと奮闘した『異世界通販』(70)も好印象。現在の冬クールでは、『ラスボス』(75~80?)にはスペクタクルバトルと外連味のあるシチュエーションに魅力があるし、『悪食令嬢』(70?)も、おっとりした恋愛ものにうっすら影が射す雰囲気が好み。
声優に関しては、『魔女』の青山氏、『九龍』『クレバテス』の白石氏、『ホテル』の白砂氏、『第七』の小市氏、『クレバテス』の田村(睦)氏、そしてなにより『市民』『魔女』で羊宮氏の濃密な芝居を堪能できたのが嬉しい。
サブキャラでも、『通販』の小林ゆう氏と本渡氏と久野氏、『全修。』の釘宮氏(ユニコーン役)、『九龍』の置鮎氏、『クレバテス』の悠木氏(舌足らずキャラの演技)と黒沢氏、『鬼人』の茅野氏(おっとりした蕎麦屋娘)、『ソロ討伐』の長縄氏、『通販』『鬼人』で穏やかな店主役を務めた上田氏、『市民』『LAZARUS』で硬骨漢キャラを見事に表現した古川氏、そして『ホテル』の三木氏(環境チェックロボさん)など、存在感と説得力のある芝居をじっくり聴き込むことができた。台詞のない喃語芝居だけで突き通した『クレバテス』の会沢紗弥氏も凄味があった(ただし『鬼人』の方では今一つ)。『九龍』『悪食』の坂氏も良かった。鈴代氏にもポテンシャルを感じるが、まだよく分からない。富田氏についても、まだその本領を聴けていないのではないかというもどかしさと期待がある。ファイルーズ氏(『第七王子』)と早見氏(『未ル』)を聴く機会が乏しかったのは残念。
声優に関しては、70年代生までの世代は、今の耳で聞くとスタイルの古さが否めない。そこから80年代生まれの世代は、クラシカルな台本咀嚼とモダンなナチュラルさを両立させて絶妙にバランスを取りつつ、多様極まりない個性と生命感に満ちた芝居でアニメシーンを飛躍的に彩り豊かなものにしてくれた。
しかし90年代以降の世代(特に女性声優)は、ダンスや外見などの外的要素に制限されて、悪い意味でのアイドル化が急速に進行し、芝居そのものは退屈で掘り下げの浅いものばかりになっていた。もちろん例外もいるが、全体のクオリティは明らかに急落した(要するに、堅実に55~60点までは取っているが、それ以上の伸びがまるで見えてこない)。そして2000年生まれの世代は、現時点で25歳以下で、まだあまり台頭してきていない。上に挙げたように、際立った個性と入念な台本解釈をしている実力派声優も現れてきてはいるが、全体としては芝居の未熟すぎる大根若手声優たちの多さに辟易している。
具体的に言ってしまうと、上田高橋MAOあたりの芝居が、とにかく苦手なのよ……。
そもそも90年代以降の声優界の問題は、業界構造や産業システムの問題でもあって、養成所における教育システムから、アイドル化への依存、芝居以外の要求、経済基盤の脆弱さ、供給過剰、コロナ当初の断絶、そして数年での使い捨てに至るまで、複雑な要因があってこうなってしまっているという事情も理解はできるのだが、それでもやはり、芝居それ自体のクオリティが低いものには耐えられない。
漫画については、まだ一ヶ月あるので、年の瀬に回顧したい。
海外ガールプラモの情報については、常々感謝しつつ、
こちらのリストに反映させています。一応、公式サイトや通販サイトなどのソースに当たって再確認して、できるかぎり正確を期していますが、そもそもどんなキットが出ているかはなかなか把握できないので、そういった情報はたいへんありがたいです。海外系の通販サイトを定期チェックすれば情報収集できそうですが、発売タイミングなどはなかなか追い切れないし、クオリティなども実物を触った人にしか分からないことが多いので……。
海外キットは基本的に「店頭に出ているものを買う」スタンスですが、白ラミアとボンデージ兎は買い逃し、ゾイド火蛍は迷ってスルー、海賊頭領は先日VOLKSで見かけたところ、嶺王醒獅(タイガー)は満足、異世界手帳の戦士は値段相応で今一つ、そしてキョンシーは見かけたことが無く、サイ&熊のゾイド同梱の怠惰はスルー、EasternカーミラとNukeマリアの吸血鬼コンビも迷ってスルー……といった一年でした。キョンシー(Juilian)かウサギ(Vio the Rabbit)のどちらかは通販で取り寄せようかと検討中です。
藝大(声楽科)出身の声優さんがいるのか……そうか、そうだよな……というか、そういうキャリアの方がいてもおかしくないし、こういった高等教育レベルの声楽訓練の成果を声優(役者)業に導入することで、声の芝居の世界はもっと豊かになるだろう。
声楽科出身者は、一般的にオペラやミュージカルに進出することが多いと思うが、要するに物語の「役」を演じる舞台芸術家なわけで、そのノウハウはもちろんゲームやアニメのキャラクターヴォイスの仕事にも適用できる(※分野的な違いもいろいろあるけど)。天音氏以前にも、同様のキャリアの方は何人かいらっしゃるようだ。