2026年1月の新作アニメ感想(※タイトル五十音順)。
今回は、試しに総合評価の点数推移もメモしてみる。
●『アルネの事件簿』
第1話。古式ゆかしき子供向けダークファンタジーのテイストで、低予算作画ながら、やろうとしている演出の方向性は明確に見て取れる。初回からショタキャラが2人も登場する点でも貴重。
ただし、キャストは好みに合わない(※つぎはぎ人造人間キャラの日笠氏(と桑島氏)くらいしか聴きどころがない)。ショタの一人は成長してしまうし……。ルイス役の伊勢氏も、頑張ってはいるのだが、力みすぎのように感じる。
ちなみに、料理名などから察するに、舞台はハンガリー(またはそれをモデルにしたヨーロッパ風の架空世界)のようだ。劇伴でも、弦楽器の響きを活用して民族的な雰囲気を打ち出している。
評価はひとまず70点で、視聴継続してみるつもり。
第1話は顔見せの一発ネタエピソードで、本格的にメインキャラたちの物語が始まるのは第2話からのようだ。クラシカルな洋風吸血鬼ファンタジーというコンセプトが明確で、演出目標もはっきりしているので、視覚的表現が上手く構築されている。細かな効果音も付けていて場面ごとの情緒があるし、若きメインキャラが走り回ったり慌てたりする様々な所作もかわいらしくアニメーションされていて躍動感がある。台詞回しもユーモアがある。75点に評価上昇。
母親キャラが佐藤(聡)氏、そしてメイドのエリーゼが寺澤百花氏と、キャスティングもなかなか面白い。ともに数話限りのキャラクターと思われるが、それだけに贅沢。ただし、アルネの成人形態の芝居は、ちょっと苦手。
ところで、日本の学生ジャージやTV(映画)やバスがあるということは、作中の時代設定は現代なのか。だとしても、前世紀くらいかもしれないけど。しかしその割に、メイド付きの古びた家も出てくるという、微妙によく分からない世界設定だ。
リン役の貫井氏は、今期は『透明男』のヒロインも演じている。まだ勢い任せのきらいはあるものの、胆力のある踏み込みで声を出してきているのでライヴ感のある臨場感の手応えがある。鏡の中のモンスターを演じている榊原優希氏は、『シャンピニオン』にも出演しており、なにやらキャストの被りが多い。
第3話も、リンの屋敷でのファーストエピソードが続く。暗い室内での会話劇に、ところどころ外連味のあるレイアウト、そしてホラー寄りのグロテスク(流血)描写と、見ごたえがある。絵はあまり動かないが、コウモリ乱舞のような表現で補っているし、飛翔シーンなどの要所ではダイナミックに動かしている。80点に上昇。ただし、ミステリではなく、オカルトサスペンスとして受け止めるべきだろう。
●『違国日記』
第1話。劇伴を抑えた映像進行でじっくり見せていき、要所でシンボリックなカットを効果的に組み込んでくる。それらを視聴者に印象づけるためのリピート演出(フラッシュバック/フラッシュフォワード)も、作為を目立たせないように絶妙の味付けで挿入しているし、色彩設計も現代アニメとしてのオリジナリティと本作ならではのムード構築を両立させている。沢城氏の芝居もニュアンスと迫力に満ちているし、主演の森風子氏(※これが初レギュラーの新人)の演技についても、ひとまず不満は何も無かった。85点。
第2話は、サブキャラが増えてきた。Aパートの料理シーンは退屈だが、何気ない会話の時間を過ごした上でこそ「エポック」発言が効いてくるのだと考えれば、やはり必要なものだったのだろう。85点のまま最後まで行きそう。
●『カヤちゃんはコワくない』
第1話。主人公の少女は怪異が見え、そしてそれらを打ち倒せる力を持っているが、周囲からは理解されていないという状況。幼稚園が舞台で、キッズ向けとしてもぎりぎり成立するくらいだが、作中のトーンはシリアス。映像面では、ややゆっくりしたテンポで、クオリティもまずまず。70点。
主演の橘杏咲氏は、2022年デビューの若手。淡々としているが情緒のニュアンスをきちんと反映する芝居をされていると思う。クレジットによれば、ジト目の先生が井澤氏、わんぱく少年が田村(睦)氏、そして強気少女が久野氏とのこと。
●『シャンピニオンの魔女』
第1話。主人公自身はほとんど喋らず、ナレーションと相方(牛くん)がシチュエーションをリードしていく。作画は、名作劇場風の古風な味わいを志向しているようで、劇伴も民族音楽(ケルト?)風だし、背景美術もにじみのある絵を使って、クラシカルな幻想性を作り出している。
状況設定は、「瘴気をキノコに変える体質だが、そのことが理解されず、人々から避けられている魔女」というもの。周囲の人々から恐怖や警戒の目を向けられる過酷な孤立と、その背景にうっすら広がる悲劇の予感、しかしその中でわずかに抱くいくつかの憧れ(※繰り返すが、主人公の寡黙さがかえってその内心の情動へと視聴者の意識を引きつける)、そしてその憧れが実現されないであろう厳しい困難。少女漫画ベースの柔らかなタッチと穏やかな進行の中に、じんわりと不穏な気配も覗かせている。現代の深夜系アニメとして、かなり特異なアプローチであるように見受けられる。85点。
第2話も、基本的な方向性は同じ。どうやらロマンス基軸の展開になっていくようだ。しかし広場の噴水を真上から撮ったカットが、思わせぶりに頻出するのが、今後の展開を不気味に予感させる。それにしても、エンドクレジットの「ペンギンキャノン」はかなり気になる……(※おそらく中国のアニメ制作会社)。
それにしても、この魔女の力は、わりと笑えないきつさがある。曰く、「生身の人間が魔女に触れると肌が爛れる」、「魔女の足下から生えてくるキノコは有毒」、「魔女帽子の中に隠れて消えることができる」、「絵を描くとその相手の魂を奪える(遠隔地でも)」、「人の記憶を丸ごと吸い取る(特定の記憶を消せる)」、等々……。確かにこれは、未熟な魔女が迂闊に使ったら危ない。
第3話は、先輩魔女たちが勢揃いしての詰問会議。ゲストキャラたちのキャストが物凄い(大川氏の大キノコに、魔女たちは鳥海氏、日野氏、川澄氏、坂口氏、柚木氏、花江氏)。
ストーリーに沿って言うと、Aパートは静かに硬直したような緊張感に満ちており、正統派の幻想物語の風格がある。それに対して後半は、先述の会議シーンで、主人公たちの設定を一気に開示していく。動きは乏しいもののカメラを水平から斜めに傾けたカットが頻出して不安定な動揺を表現しているし、モノローグ過剰の進行もキャストの迫力によって説得力を確保している。映像作りとしては、見るべきところは少ないのだが、ストーリー牽引型の魅力があり、「呪いの子」どうしの関わりと、それを救おうとする深刻なジレンマ状況の厳しさに引き込まれる。85点。
ヒーロー役が、15歳から6歳のショタに縮んだのは、予想外のラッキー。『アルネ』ではショタがたまに成長形態になってしまうが、こちらで元を取れた(?)。
●『人外教室の人間嫌い教師』
第1話。低予算企画のようだが、わりと良い雰囲気なのに驚いた。アニメーションはそれほどダイナミックに動くわけではないが、キャラクターたちの生命感を十分に伝えているし、静止画として見てもなかなかエッジが立っていて魅力的。ただし、劇伴がやけに少なかったりして、不足を感じないわけではない。
ストーリー面では、亜人学生たちに人間社会の知識を教えることになったシャイな教師の物語で、ヒロインは4人とまるで美少女ゲームのようなハーレム状況。エンディング映像も、ちょっとAC Promenadeを連想させるような作りで、なんとなく懐かしい。
キャスト面では、兎ガールの長縄氏は毒舌キャラで、雪女(?)教師は茅野愛衣氏、百舌鳥ガールの田辺留依氏もなかなか良さそう。福圓氏は、鼠ガールとして出演されるようだ。
期待していなかったが、これなら70点はつけてよい。ただし、視聴継続するかどうかは微妙。ストーリーを広げていくための手がかりがまだ乏しいので、どのようなエピソードが出てくるかが予想できない。
●『デッドアカウント』
デジタルデビル除霊バトルもののようだ。OPのヴィジュアルイメージはわりと面白いし、本編映像にも目を引く演出があるし、ところどころ太い輪郭線を使っているのも大胆なのだが、90年代くらい(?)の少年漫画のようなノリはちょっときつい。また、バトルものにしては、絵があまり動かない(※エフェクトや振動などで誤魔化している)。
キャストは、白砂氏(ヤチヨさん)の妹キャラはおそらく今回だけでおしまい。これぞファイルーズあい、と言わんばかりのキャラも登場するが、それだけのために視聴するのも……。評価は65点(事前)→70点に引き上げたけど、2~3話くらいで切り上げることになりそう。
設定面も、いささか不安がある。例えば、「幽霊は、生前に強い思い入れを残した場所に現れる」という説明の中で……トイレ? トイレにどんな未練が……。「お手洗は学校のオカルト噂話の定番」というところから安易にスライドしてしまったのだろうけど、もう少し考えようよ……。主人公が唐突に覚悟を決めるくだりも説得力に欠けるし、そもそも暴力系YTerという設定も無茶苦茶すぎる。うーん。
●『転生したらドラゴンの卵だった』
第1話。激安ストーリーで、絵コンテも退屈だが、キャストと絵だけは良い。主演土岐氏の少年芝居もほのぼのするし、小清水氏の「神の声」(システムメッセージ)がたいへん笑える。穏やかで、端正で、そしてわずかな優しみのフレーバーを滲ませつつ、どことなくユーモアも感じさせるのは、小清水氏が自身の長所を巧みに引き出しているおかげだろう。そして個々の絵も、ほのかな曲線美になまめかしい魅力がある(※ここは作画監督の功績だろう)。こうしたパーツ評価を入れれば、45+10=55点くらいには楽しめた。
●『透明男と人間女』
第1話。異種族共生社会で、獣人キャラやサイクロプス夫婦などが多数登場する。透明人間の男性探偵と、視覚障害の女性事務員を中心とする、ほのぼの日常のユーモラスな小話集。キャラ絵が簡素にデフォルメされているおかげで、作画コストは低めながらも隙のない絵作りがキープされている。視覚障害をめぐる描写もきわめてデリケート(※クレジットによれば、盲特別支援学校からも取材協力を受けている)。キャストは、目立ったところは無いものの、堅実な芝居を聴かせてくれる。「僕を見つけられるのは、夜香(やこう)さんだけかもしれませんね」は、作品の方向性を一台詞できれいに言い表しているのだろう。ちょっと面白いところでは、男性の方が背が高いのだが、頭部が透明なおかげで、男女がちょうど同じ背丈のようになっている(つまり肩口までの男性と、全身の女性が同じくらいの高さ)。二人のあいだの対等性、公平性を視覚的にも表現している。
予想外に繊細で充実した内容で、美術的な統一感もある秀作。80点。
第2話。素直で善良な全盲女性と、紳士的でデリカシーのある透明人間男性が、互いの個性や内心を認め合いつつ相手の存在を大切に感じていく様子が、繊細に描かれている。美術的にも、柔らかで落ち着きのある背景塗りがフィットしているし、周囲のキャラクターたちも人格的な複雑さや心身の特徴を押さえつつ、物語を豊かに機能させている。マイナー作品だとは思うが、よくぞここまでやってくれると感心する。85点。難点と言えば、短いエピソードがどんどん切り替わっていくのが、一般的なアニメの感覚からするとやや忙しいのと、ED曲がちょっと好みから外れるくらい。脚本と絵コンテは、今回も瀬田監督自身による。
●『29歳独身中堅冒険者の日常』
第1話。作画や演出はチープきわまりない。主演の古川氏も、サブキャラ硬骨漢では存在感を発揮するが、今回のような軽薄寄りの若者キャラではやや空転気味。29歳という日和った年齢設定ではなく、例えば35歳くらいにしておけば、この役者さんの本領を引き出せたと思うのだが、まあ仕方ない。
その一方で、ヒロイン役の鈴代氏が抜群の輝きを見せている。この方は、あまりピンとこない芝居もあるのだが、幼くて元気なキャラは十八番のようだ(※『九龍ジェネリックロマンス』の小黒も、同じ路線で見事にキャラを立たせていた)。
というわけで、50点+ヒロイン(15点)=65点という、不思議な評価になった。しかし、このヒロインキャラの魅力の一点突破で、はたして最後まで突き通せるだろうか?
第1話からいきなりおもらしシーンという飛び道具については、あえて掘り下げまい。
第2話は、むしろ作画レベルがかなり上がっている。第1話がやたらチープだったのが嘘のように、誠実な絵コンテになっている。キャラの所作も生き生きしているし、走って角を曲がるという難しいアニメーションも敢行している。70点に上昇。
ストーリー面では、村内にとどまってハートウォーミングな話を続ける感じなのかな。OPムービーを見るかぎりでは、メインヒロインの他にも低年齢キャラが複数登場してくるようだ。
●『ヘルモード』
第1話。タイトルに反して、状況はそれほどハードではなく、むしろ異世界転生した赤子主人公を温かく育んでくれる両親との交流が描かれている。絵柄はキッズ向けのようにシンプルで、絵の描き込みはやや浅いが、アニメーションとしてはわりと動いているし、彩度控えめな中間色の彩色設計がなかなか意欲的。第1話段階での評価としては、70点を付けられる出来。
キャストは、主演の田村(睦)氏に、母親キャラが大原さやか氏と、なかなか贅沢。弟キャラは、小市氏とのこと。ただし、音響バランスに問題があり、BGMの音が大きすぎて声優の芝居が妨げられるのが残念。
第2話。予想外に面白い。スピード感のある剣戟シーンなど、動画表現も低予算ながらこなれているし、美しいカットもよく出てくる。洒落っ気のある演出も敢行されている。そして全体の雰囲気も温かい。絵コンテは、今回も玉川監督自身による。ただし問題点として、BGMの音量が大きすぎて、台詞が潰れてがちなのはつらい。75点。
主人公の母親キャラ(といってもおそらく二十歳くらい)が、今期一番チャーミングかも。これも意外。
●『魔王の娘は優しすぎる!!』
第1話。おそらくは低予算企画なのだが、意外に絵が動いている。とりわけ3頭身の娘キャラの可愛らしさが、ぽてぽてした全身の動きを通じて効果的に表現されている(※エンドクレジットを見るに、Production I.Gのモーションキャプチャを活用しているようだが、キャラ絵がかなりデフォルメ寄りなので、キャプチャーデータをそのまま下敷きにすることはできないだろうし、所作の魅力を作るのはアニメーターの創造性に因るので、最終的には現場の作画スキルで動画クオリティを維持していると見るべきだろう)。
それ以外も、洒落っ気のあるアニメーション演出が随所に見られ、安っぽさを上手く免れている。露骨なコピペカットや背景作画の省力もあるのだが、一見キッズアニメのような雰囲気の中では、牧歌的なとっつきやすさとして機能している。
そしてもちろん、久野美咲氏の芝居も凄味がある。低年齢キャラが得意なのは知っていたが、今作は4-5歳くらい(?)のキャラクターの訥々とした喋りを見事に披露されている。読み上げシーンの「にんげんどもよぅ、く?…くもつをさしださねば、そのにくえぐり、はらわたにひをつけておどりくるわせてやるぅぇ」のあたりの崩し方など、堂に入った出来栄え。
ストーリー面は、予想されるとおり、娘キャラの純真さに従者キャラが振り回されるパターンのありがちなコメディだが、娘キャラの善良さのおかげで、ミニマルなほのぼの美談としてまとまっている。しかし、あの長尺の「かくれんぼの歌」シーンはいったい……?
ヒロインの魅力込みで=80点と、予想外の高評価になった。ただし、根本的にはチープな作品なので、毎週観るほどのものかどうかは……。
第2話にして早くも、絵が動かなくなってきた。ストーリー面では、可愛い娘キャラが周囲を幸せにしていく路線を続けるようだが、その前提として、かなりの不幸イベントもストレートに描かれている(※今回だと妻子の死亡や、魔族との殺し合い、管理魔族からの殴打暴行など、わりと残虐な描写がある)。このギャップをどこまで許容できるか(視聴者に受け入れさせることが出来るか)のバランスは、ちよっと難しいかも。
そして、もしかして毎回、ヒロインによる歌が挿入されるのだろうか? 各回に付加価値を設けるという意味では成功なのかもしれない(※ちょうど前シーズンの『ツーリング』でも、こうした唱歌シーンが繰り返された。さらに言うと、ED映像がその回の内容を回顧するようにちょっとずつ変化するのも、『ツーリング』と同じ)。絵の面白みが減ったぶん、評価は75点に引き下げる。
これを視聴し続けていたら、たぶん私は千葉氏の芝居が大嫌いになる(※これまでもなんとなく苦手意識を持っていたが、アレルギー並に受け付けなくなりそう)。