2024年4月~の雑記。
05/01(Wed)
『神楽漫遊記~桂香と初花~』とは……企画には驚いたが、もちろん買って楽しむつもり(7月発売)。アダルトPCゲームのほぼ最初期(90年代)から活躍している大波こなみ氏の新たな芝居を、20年代でも聴くことができるとは、ありがたいかぎり。
というか、『初花の章』が2020年発売、つまり4年も前なのか……。パッケージゲーム全体として見ても、2021年の『天結いラビリンスマイスター』から3年ぶりということになる(※オンラインゲームなどで出演されているかもしれないが、そちら方面はまったく知らない)。
4月発売の『みくるの章』は、バトルマップのキャラが全て3Dモデル化している。従来のSDイラストキャラの可愛らしさが好みだったので、中途半端な3D化は馴染めない。特に人間タイプの敵キャラを撃破すると、ばったり倒れるアニメーションをしていくのも後味が悪い。敵キャラがマップに埋没する(判別しづらくなる)というのもデメリット。道中がずっとカエルばっかりと戦っていたような感じで単調だったのもよろしくない。
敵妖怪キャラについて、e.go!時代はリアル寄り→でぼ時代はイラスト→最新版では3Dキャラと変遷してきたが、それぞれ作風にも合っていたと思う。e.go!時代はストーリーもしっとりしていて、特に『鬼神楽』は暗めの物語で、バトルシーンの敵妖怪たちも不気味なデザインなのが雰囲気を盛り立てていた。でぼの巣時代になると、『道中記』のいぶき&なずなのコミカルコンビだったり、『花莚譚』の穏やかなコンビだったりしたので、デフォルメされたイラスト妖怪キャラでも作品のムードに合っていた。今回の3Dキャラ化は、個人的には面白味を感じないが……どうだろうなあ。
最近の『神楽』シリーズは、さすがにマンネリ化していていいかげん飽きてきて、新作購入も止めようかと思っていたところだったが、まだこのような新機軸を試してくれるのであれば、もうちょっと付き合っていってもいいかな。(ちょろい)
今回は、中ボスそれぞれにも敗北バッドエンドがあるという形。シリーズの価格が3000円(税抜)→3600円(紫3/ちはや3)→4000円(みくる)と上がっている中で、このくらいならばおそらく妥当と受け止められるだろう。
アダルトシーンに関しては、全脱ぎシーンが多いのが意外だった。数えてみると計5シーン。このシリーズは巫女キャラを売りにしている都合上、これまでは敗北時シーンでもほぼ必ず巫女衣装を描き込んでいて(※枕返しや経凜々のような、夢を見させる妖怪だけは別)、全裸CGはせいぜい1作品に1シーンくらいだったのだが、今回はやけに多い。これも試行錯誤のうちなのだろうか。
シリーズ内でざっとカウントしてみると、全脱ぎCGになっているのは:紫0、ちはや0、いぶき0、小春0、なずな0、莉音弐0、舞歌0、紫弐0、ちはや弐1(バッド)、弥生1(座敷童)、奏0、梓紗1(バッド)、舞歌弐1(バッド)、初花4(ぬりかべ*2/金槌坊/雪女)、ナツ1(バッド)、桂香1(バッド)、勇1(バッド)、護0、舞歌参0、ましろ3(油すまし/百々目鬼/牛頭馬頭)、涼香3(蝦蟇/鬼/バッド)、御琴0、紅葉3(ヒダル神*2/バッド)、ナツ弐1(バッド)、紫参2(悪鬼/ハンザキ)、ちはや参8(ぬりかべ/ヒダル神/火車*2/天邪鬼*2/牛頭馬頭*2)、久遠0、みくる5(河童/餓鬼/鬼/牛頭馬頭/バッド)、となっている(※いずれも夢シチュは除く。髪飾りやタイツの有無は考慮に入れない。牛頭馬頭はラスボス)。
妖怪の性質との兼ね合いもあるだろうから一概には言えないし、以前からバッドエンドでは全脱ぎになることがあったが、最近になって急増しているのは確かなようだ。時期区分としては、
1) 当初:全てのシーンで真面目に巫女服を描き込んでいる。
2) 『ちはや弐』(2019):バッドエンドで全脱ぎを導入。
3) 『初花の章』(2020):通常のシーンでも複数導入するようになった。
4) 『ちはや参』(2023):巫女服の描き込みは、もはや必須ではない。
という感じだろうか。このように見ると、アダルトシーン表現の様式変遷も面白い。
【 BANDAIガールプラモにおける「着せ替え」のコンセプト 】
BANDAIのガールプラモ(FRS)は、「プラ素材による着せ替え再現」を展開していくつもりなのかな。BANDAIキットは基本的に、原作のあるキャラクターばかりなので、そこからプラモデルとしてのプレイバリューを追求するとなると、「原作の様々なシチュエーション(衣服やポーズ)を再現すること」が第一義になってくる。そしてここから、BANDAIアプローチの難しさも表れている。
長所と短所。まずは長所について言うと、「布服ドールよりも簡単に着せ替えができる」、「原作のイメージに近づけられる」、「場合によっては関節部などのぎこちなさを隠せる」、「半脱ぎでバストを強調するなどして、お色気要素を取り込むこともできる」といった側面がある。いずれも、萌えキャラコンテンツとしては有効なアピールができる。
FRSシリーズでは、「ホシノ・フミナ(BFT版)」(2020)が着せ替えを初めて導入した。ジャケットを着脱でき、ほとんど水着のようなスポーツウェア姿にすることができる。続いて、「ラクス」(2021)はロングスカートを着脱式にして、脚部可動および脚部素肌露出を可能にした。「ノワール」(2023)は、事実上3段階に着衣を脱がせることができるし、最新作「エリー」もジャケット着脱やエプロン装着ができるというサーヴィスぶりだ(※このように見てくると、2021年の「紫々部シオン」が白衣着脱できなかったのは不可解に思える。過渡期的な製品だったのか、それともコストなどの問題があったのか、あるいは二軍スタッフによる練習だったのか……)。発売予定の「ルナマリア」も、パイロットスーツを半脱ぎにして胸部を強調できるようだ。また、「チュアチュリー」(2024)も、着衣ではないものの、下半身のしゃがみポーズ差分を入れている。
パーツ差し替えによる着衣変化は、可動確保や造形維持の観点でも、一定のアドヴァンテージがある。KOTOBUKIYAにように力業で関節構造を仕込む必要がなくなり、キャラクターの美観を保持しやすい。とりわけ布服路線の着衣キャラをプラモデル化する場合は、これが最も妥当な解決法になるというのは理解できる(※それに対して、装飾の少ないスリムな近未来バトルスーツであれば、差し替えの必要は小さく、差し込み穴を空けておけば済むのだが、ジャケットなどの上着を着込んだり、ジッパーを開いて胸を露出させたりする場合はそうはいかない)。
ただし、短所もある。ロボットプラモであれば「様々な武装を換装できる」というのに相当するが、ガールプラモの場合は大掛かりなパーツ差し替えにならざるを得ない。もちろんそれは、コスト増(価格上昇)にもつながるし、モデラー側としても、使わない差分パーツは「無駄」と感じてしまいやすい。
また、これはあくまでBANDAIにしかできないアプローチだということでもある。すなわち、1) BANDAIキットは内部構造をシンプルにしているおかげで、差し替えの余裕が確保できる。2) 差し替えを前提としたパーツ構成を設計できるだけの高い技術がある(※KOTOBUKIYAだと大雑把な下半身差し替えくらいしかできないが、普通はそのくらいが限界であって、あれほど見事な着脱換装を作れるのはBANDAIだけだろう)。3) 大量生産できるので、差分パーツを入れても価格が程々で収まる。とりわけ今回のFRS「エリー」のように、「フィットネスウェア(?)/エプロン/ジャケット」の三形態を両立させつつリーズナブルにキット化するのは、設計技術の面でもコスト管理の面でも、さぞや大変だっただろう。その意味では、たしかに凄い(※武装ゼロで4400円+税という価格は、昔の「イノセンティア」やVOLKS初期キットと同水準ではあるが)。
他社キットを概観すると、例えばAoshimaのガールプラモは、ガールに盛り付けるパーツの方も、単体で自立した価値を持つようにしている(※それ自体で航空機になるVFGや、ロボットそのもののアトランジャー)。ガール同梱パーツに意味を見出せるようにするアプローチとして、オーソドックスな対処だろう。しかし、GSC(初音ミク)は着せ替えなしで単体完結するデザインを採用しているし、Guilty Princessはプレーンな下着素体シリーズに逃げた。KOTOBUKIYA(創彩)も、今のところは一つのキットの中での着せ替えは導入していない(※ただし、脚部などのポーズ差分パーツはある)。そうした中で、annulus「宝多六花」が冬服/夏服差分を入れているのは、ずいぶん頑張っていると思う。海外キットの場合は、着せ替えどころか「武装モード/素体モード」の丸々2人分を作れる形にしている。
2010年代の模型界は、ロボットプラモが依然として充実しており、艦船模型も再興して(海外メーカーキットの急増)、AFV分野も新規メーカーが参入したし、さらにガールプラモも飛躍的に拡大して、たいへん豊かな時代を過ごすことができた。
しかし20年代に入ると、これらが反転してしまった。BANDAIは予想外のガンプラ払底を起こしたし、スケールモデルも急激に退潮してしまった。国内メーカーでは、FUJIMIが急墜し、HASEGAWAも旧キットの出し直しばかりで、きちんとした新作キットを出すのはTAMIYA(航空機やAFV)とPIT-ROAD(護衛艦キット)ばかりになってしまった(※ただし、グローバルに見れば、AFVインテリアモデルや、海外製のハイエンド艦船模型、3D造形アフターパーツといったフロンティアが開拓されて、新たな魅力を生み出しつつある)。ガールプラモ市場もそろそろ頭打ちになり、新機軸も現れにくくなった。
フィギュア分野でも、似たようなことが起きていたと言えるかもしれない。10年代は品質と多様性とセールスがなんとか両立していたように思うが、20年代の現在はいよいよ価格高騰しつつ(3万円台も普通になってしまった)、新作製品の数と広がりが乏しくなってきたように見受けられる。プライズフィギュアの棚も、数年前まではぎっしりと賑わっていたのが、ずいぶん寂しくなってしまった。長く続く不況がオタク層の財布にいよいよ深刻なダメージを与えているという事情もあるだろう。海外製品がまだ元気なのは、せめてもの救いか(※とりわけ15cm級の可動フィギュアは、新たな一分野として確立されつつある)。
プラモデルの箱を店頭で開封チェックする(チェックしたくなる)のは、まあ、分かる。しかし、分野外の人が聞いたら「購入前の商品を開封する非常識行為」だと判断するだろうというのも、理解できる。これは、模型界の歴史的経緯に関わる特殊な文化であって、
・欠品があり得る(※現代でもわりと生じる)、
・そのキットに使用する塗料などを、事前確認する必要がある、
・成形色やキット構成を事前確認したい場合がある(※履帯がゴム製だったり……)、
・制作難度がまちまちなので、自分のスキルで作れるかどうかを見極める必要がある、
・オールドキットや、バリだらけのキット、正体不明の海外キットなども普通に出回っている、
・箱はあくまで保護材にすぎないという建前である、
こういった事情から、店頭開封を許容する文化が歴史的に存在したようだし、メーカー側もそれを想定してきたように見える(※明らかにゆるゆるの箱形状とか)。実際、店側でビニール紐を掛けている場合でも、店員さんに言えば開封チェックはさせてくれる筈(※ただし、出荷状態でシュリンクが掛けられていたりして、元に戻せない場合は不可)。内容確認という意味では、例えば本の店頭立ち読みや衣類の試着ができるのと同じようなものだ。
とはいえ、現代では、
・塗料などは箱に記載されるようになっていて、開封する必要が無いようになっている、
・オンラインでの確認手段も充実してきた、
・パーツ数増大により欠品確認はほぼ不可能だし、パーツ請求サポートも充実している、
・箱から抜き取る窃盗が警戒される(※そういうのはほぼ皆無だと思うけど)、
・とりわけ家電量販店などは、モデラー文化に対して無頓着なことがある、
・オンライン通販のように、そもそも中身を確認できない購入形態が普及している、
・世間的にも、箱開封を否定的に見る風潮は強まっているだろう、
こうした変化が生じており、店頭開封はおそらく激減している(開封チェックがほぼ不要になっている)。それでも、海外キットなどで内容チェックをしたい場合があるのは分かるし、模型特有の文化的事情を無視して外部から模型文化がバカにされるのは、一モデラーとして心外に思う。模型というのは、店頭商品の状態で完成しているものではなく、モデラーが組み立ててようやく完成するものであって、店頭にあるのはあくまでキット(制作素材集)にすぎないという意識が私にはある。そういった商品形態の特殊性も、分野外ではなかなか理解されない(気づかれない)ところだと思う。
欠品は、これまで数回遭遇している。欠品というか、いずれもランナーの入れ間違いだが。現代では、おそらく重量検品などをしているので、単純な欠品はかなり稀だと思う。遭遇頻度は、割合にすると1%弱だが、パーツ欠品は基本的に替えの利かない致命的なトラブルなので、非常につらい。まあ、昔と比べてパーツ数が激増しているし、箱の中でもランナー束がクリアラッピングされていて(破損防止、誤封入防止、盗難防止等)、店頭で箱を開けて見たくらいでは欠品確認はほぼ不可能なので、覚悟して買うしかないのだが。