岩飛猫氏による原作は、背景をターコイズブルーに塗ったユニークな二色漫画で、欄外の作者コメントなども含めて読み応えがあるが、瀬田光穂監督(シリーズ構成と全話脚本も担当)によるアニメ版は、そこからさらに様々なディテールを追加し、また、原作のエピソードを巧みに組み替えることによってクール制のアニメ媒体としてのクオリティを高めている。
本稿では、アニメ版の各話について、原作の対応箇所とアニメ版の追加要素などを、筆者の気づいた範囲で書き留めておく。もちろん、視聴覚演出や画面レイアウト、色彩設定、音響表現、そして台詞の細部については、違ってくるのが当然なので基本的に省略し、大きな変更点について言及するにとどめる。
【 第1話 】
事務所での会話からレストランデートは、原作単行本1巻p. 007-032。事務所の外観は、アニメでの新設定だろうか。透乃眼と話し始めるとき、夜香はイヤフォンの片方を外す。夜香が考える透乃眼の姿(黒字に白いスケッチ風)も追加。
夕方の路上やレストラン店内は、獣人系も含めたモブキャラが充実している(※ウサギ系やシカ系など個性的。基本的に単色)。夕暮れの色合いが美しい。なお、原作によればレストランはベトナム料理店。
夜香の帰宅時、白杖を置いたり、照明を点けないままだったりする描写が追加。ベッドで一日を振り返る夜香が、ぐるぐる回転している(※第3話冒頭も同様に回転表現が加えられている)。
翌日の透乃眼は、原作では上着を着ているが、アニメ版では上着を脱いで仕事をしている。ネクタイも、初日はレッド、2日目はグリーンと色彩が明確に設定されている。
アイキャッチ後の事務所シーンは、第1巻p. 033-036。当然ながらアイキャッチ画像はアニメ版独自(※以下同様)。このシーンの透乃眼は、原作ではチェック柄のスーツに小さな水玉のネクタイだが、アニメ版では無地ダークブルーのスーツにダークシアンのネクタイ(※以降、服装の細かな変更点は省略)。写螺子の胸元や顎下の体毛が、原作よりも強調されている。獣人ハンドも、大きく明確に描写される。二人の様子を見て、写螺子が「もしかして、あんたの恋愛相談って……!」と反応し、夜香が慌てているのはアニメ版のアレンジ(※原作では、写螺子たちは脇から会話を見守っているだけ)。
依頼人対応は、原作p. 48f.から。一部はアニメ版の追加。タヌキキャラの身辺調査は、次のエピソードと絡めており、サイクロプスの浮気調査は、原作の別エピソードに登場するキャラクターを、前後を変えて先に登場させている。犬キャラのカエル調査依頼は新規。
さらにアイキャッチで、透乃眼の仕事シーンはp. 044-046。アイスクリームが付着したのは、原作ではズボンだが、アニメ版ではコートに付いた。
夜香がオーディオブックを高速で聴いているシーンは、アニメ版独自。写螺子の感覚能力についてはp. 047をアレンジしてつなげている。レシート読み取りもアニメ版独自だが、お徳用ミールのくだりはp. 055f.に準拠。バイブレーション腕時計による時刻表現は、アニメ版の追加で視覚障害社の生活ディテールを掘り下げている。怪我をした透乃眼のシーンは、p. 037-042。治療後のシーンは、p. 057-062のエピソードに繋げている。
ちなみに、EDは話数によって多少変化する。今回の末尾では、当初は二人が掌どうしを合わせているだけで、最後のカットも、この回は紅茶だけ。
【 第2話 】
紅茶専門店「Elf Garden」でのエピソードは、原作第1巻p. 065-072。建物の外観はアニメ版での新設定か。つづいて、デート準備(服飾店など)はp. 073-081。
ライト&カルマからの依頼は、p. 083-096。二人の名前を、この時点で(原作よりも早めに)名乗らせている。暗闇レストラン(p. 099-119)は、原作漫画では真っ黒の背景だが、アニメ版では食器などが描写されている。レストランの外観もアニメ版の追加設定。
EDでは、ライト&カルマの一枚絵が入る。
原作によれば、パパエルフは364歳とのこと(p. 090)。また、原作漫画では、暗闇レストランでモワワ星人の失踪者(毛玉のような種族)を発見している(p. 105)。
【 第3話 】
アバンタイトルのシーンは、第2巻p. 007-010。夜香を送るシーン(p. 011-019)については、エレベーターで旅館「賀仁屋」女将の宣伝が流れているのは、アニメ版での追加。駅構内のモブたちも、例によって追加(※ヒツジ系学生キャラやヒョウ系女性など、ヴァリエーションも豊富)。この話数は、回想やイメージシーンを多数追加しているのが特徴的で、夜香の母親も回想の形で早めに登場している。ハート型の車内吊り革という個性的な演出も、アニメ版独自。夜香自宅のシーンでは、今回は訪問者がいるので、夜香が自室の照明を点けている。
さらに、原作から組み替えて、お菓子を食べるシーン(p. 035-038)に繋げている。原作では、事務所であんまんを食べていたのが、アニメ版では夜香宅での焼き菓子になっている。隕石演出はアニメ版独自。そして再び透乃眼が帰宅する際のシーン(p. 020-021)に戻る。
透乃眼のスーツトークは、p. 025-028。メイン二人の会話の背後で、写螺子と鬼木羅が話し込んでいる様子も追加されて、その場の雰囲気を賑やかにしている(音声は無いが)。透明化の話は、p. 046-047から。
Elf Gardenのシーンは原作p. 029-032。ライトたちが事務所を訪れた短い回想はアニメ版独自。呼び方のエピソードから斑糸訪問は、原作p. 049-058による。写螺子の尻尾が揺れているのはアニメ版の長所の一つ。斑糸たちの自宅食事シーンは、真上からの見下ろしというユニークかつ挑戦的な構図。
看病訪問はp. 059-067。白猫もアニメ版独自の可愛らしい登場。料理中のカットは、短いながらリズミカルで良い動画表現。
看病訪問はp. 059-067。白猫もアニメ版独自の可愛らしい登場。料理中のカットは、短いながらリズミカルで良い動画表現。
EDには、夜香母と斑糸の二人の一枚絵がある。
【 第4話 】
透明人間会社員からの依頼は、第2巻p. 069-081。透明人間女性は、アニメ版で「透綾(すきや?すきあや?)アヤ」という名前が設定された。社長代理「蒲池」も同様。今回の事件があった会社は、原作ではDOKKAコーポレーション、アニメ版ではD.K.L.コーポレーション。社員たちのモブも、アニメ版の追加要素。
キャンプイベント(p. 085-120)も、おおむね原作どおりの順番で進行する。斑糸の回想では、ヴァリエーション豊かなモブ学生たちが追加。標高1553mの山は、新潟県の未丈ヶ岳と東谷山、そして山梨県の水ヶ森があるようだが、山頂の様子などはいずれも違っているので、おそらく架空の山。バスの中のシーンは、アニメ版では手をしっかり握り直している。帰りの運転中にエナジードリンクの絵が追加されているのは、鬼木羅が疲労を圧して皆のためにドライバーを買って出ていることを示唆している。
EDは、透明人間女性の一枚絵。
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