2025/03/07

2025年3月の雑記

 2025年3月の雑記。

 03/30(Sun)

 この春は忙しくなりそうだが、春アニメは良さそうな作品が多く、いろいろと悩む。私は長らく、けっしてアニメオタクではなかったのだが、ここ数年は一クールに数本ずつオンライン視聴するようになっていて、まあ、こういうのも楽しいかなと思えるようになっている。とはいえ、産業構造の問題(低賃金による搾取性)、メディアミックス依存の中途半端さ(原作の摘まみ食い)、表現上の不出来(漫画のレイアウトをベタに再現しようとする大根演出)など、不満も多いのだが……。

 改めて視聴検討メモ(※PVも一通りチェックしている)。太字は、第1話チェック確定。それ以外はまだ検討中。
 オリジナル『プリンセッション・オーケストラ』は、少女アニメなので見なくていいかな。
 『ウィッチウォッチ』は、キャスト陣が豪華だし、原作も優れているので、堅実に秀作になりそうだが、PVを見るかぎりでは演出が騒々しすぎて苦手かも。登場人物が多すぎるタイトルは、芝居の掘り下げも浅くなりがちだし。漫画版からの引き写しコンテになりそうな懸念も見える。
 『勘違いの工房主』もキャストが素晴らしいが、映像面にも脚本面にもかなり不安が……。『通販』並を覚悟の上で、試しに見てみるか?
 オリジナル『LAZARUS』は、実写テイストの画風。興味はあるが、画作りに食傷しそう。こういうのは洋画でやれば良いのであって、アニメ分野で見る意味がどれだけあるのかという疑問がある。
 『ゴリラの神』は女性向け。主演がちょっときついが、上手いバランスで作ってくれれば……。
 『かくして! マキナさん!!』は、大地葉氏の力演に期待できるが、白光隠しだらけで興醒めしそう。やめておこうかな。
 『鬼人幻燈抄』は、和風歴史ファンタジー(バトル?)。早見氏の巫女キャラに期待。連続2クールとのこと。
 『ボールパーク』は、ファイルーズ氏目当てだけで視聴するにはきつい。
 『ある魔女』は、今一つかなあ……榊原氏の語り口は、ちょっと苦手になってきた。
 『GQ』は、黒沢氏主演に惹かれるが、「私が見なくてもいいだろう」という気分。
 オリジナル『アポカリプスホテル』は、美術設定も凝っていて、これなら期待できる。
 『鷹峰さん』……主演が下手だった。コンテも面白くないし、視聴はやめておこう。
 『ユア・フォルマ』は、医療技術SF。PVにやたら鮮やかな切れ味の芝居があって、誰かと調べたら斎藤千和氏だった。斎藤氏だったら、凄いのが当然なのが凄い。
 『鼻血を止めて』は中国のSFアニメからの吹き替え。PVのBGMが、何故かバッハ『平均律』だった。
 『未ル わたしのみらい』は、5つのスタジオによる5本の競作アニメのようだ。とりあえず観てみよう。
 『リコリス・リコイル』は、ショートムービー集とのことだし、キャストも良いのでとりあえず視聴。ただし、内容面ではあまり期待していない。
 『闇ヒーラー』は、ファンタジー世界の無免許医なのか。ハーレムものとしては楽しそう。
 『ムーンライズ』はNF配信なので、残念ながらご縁が無い。
 『ばいばい、アース』(2期)。キャストも作画も良さそうだが、まだ1期を視聴していなかった。
 『神統記』は、田村睦心氏主演の古代日本風異世界ファンタジー。とりあえず試しに視聴。
 『GUILTY GEAR STRIVE』は、サンジゲン制作なのでおそらくフル3Dモデリング。バトルものとの相性も良さそうに見える。
 『剣聖になる』、ここでも強キャラ役の斎藤氏が。映像はそこそこ良さそうだが、配信はAPV独占なのでバイバイ(※地上波放映もあるけど)。
 『GAMERA -Rebirth-』は、金元寿子氏の少年役主演。しかし3D感が強いし、配信はNF独占なので視聴除外(※NHKでも放送されるが)。
 『小市民シリーズ』2期。脚本に不安はあるが、神戸守監督頼みで今回も視聴予定。
 『俺は星間国家の悪徳領主!』。転生スペオペ。軽薄志向は好みではないし、主演はちょっと苦手だが、キャスト陣は高水準だし、たまにはベタなロボットSFというのも……。

 というわけで、ひとまず8本(事実上7本弱)にまで絞り込んだ。ここから多少増減があると思うけれど、毎日1本(24分)ならば漫画1~2冊分の時間だし、なんとか継続できそう。

 私なりの選別ポリシー。
 1) 最初の足切り。キャストで、「苦手な声優が多い」「期待できる役者がいない」ものはどんどん落としていく。12話で約5時間を付き合うことになるわけだから、芝居が合わないものは本当に苦痛になるので。逆に、キャストの座組に大きな魅力がある場合は、他の要素が駄目でも候補としてキープしておく。
 2) そのうえで、ジャンル&ストーリーを見る。SFやオリジナルアニメは重視するが、スポーツ/恋愛/グルメ/動物/アイドルものは避けがち。ミステリ/エロコメ/洋風ファンタジーあたりは、箸休めのようにたまに視聴すると楽しい。ただし、この要素はさほど決定的なものではなく、重み付けを与える程度。
 3) 制作スタッフについては、特に重要なクリエイターが関わっているものは最優先にする。ここで拾い上げるタイトルもある。その一方で、個人的なNGクリエイターもいくらか存在する。
 4) さらに、PVなどで視聴覚演出を見ておく。間延びしていたり、色彩設計が好みでなかったりするものは避ける。主題歌が騒々しいものも敬遠傾向。逆に、背景美術などがきちんとしているものは期待を掛けておく。
 5) 最終的には、第1話を視聴してみて、合うものと合わないもので選別する。最初の1話が駄目だったら、すぐに離れる。
 とにかく数が多すぎるので、こうして消極的な基準で漉し取っていくだけでも大変だし、それでも残るタイトルは本当に良い作品だし、そして実際にいくつもの良作をじっくり視聴できる。もっとも、『通販』のように、キャスト一点突破で抜けてくる怪作もあるけど。

 サブタイトルをマイナス符号「-」で括るのは、いい加減にやめてくれないかな……。範囲選択からのweb検索で、サブタイトルがマイナス検索されてしまい、一手間増えて面倒なので。


 家計簿を見ると、今月も50冊以上の単行本を買っている。漫画雑記ページではちょうどその半分、25冊ほどに触れている。言及していない残りの半分は、ハズレだったり、特にコメントするところの無い作品だったり、逆に非常に難しい内容だったり、既刊の買い揃えだったり、アダルトコミック(※月平均1~2冊ほどカジュアルに買っている)だったりする。
 多い月は80冊、少ない月は20冊ほどと、かなりバラつきがある。2018年までは、現在の半分くらいしか買っていなかったが、2019年から激増している。PC美少女ゲームが減ってきたニッチに、漫画が入ってきた感じかな。アダルトゲームの購入数は、今では月に数本くらいになっている。

 模型趣味は、艦船が2015年から。ガール系は2017年から(最初はFigure-rise Bustで、さらにFA→FAGの流れが合流してきた)。航空機やAFVも、2017年頃からちょっとずつ実験的に手を出していった(※制作履歴をリスト化しているおかげでライフログ的に辿れる)。フィギュア(特にプライズ系)は、具体的な履歴を記録しておらず所持品一覧のみだが、たしか2015年からだったと思う。
 コロナ以降、即売会や美術展やコンサートにはまったく行かなくなってしまった。クラシックCDも、主立った作品はだいたい持っているので、新しい録音は買わなくなった。

 ここ十年の趣味生活の大きな変動は、このあたりかな。そろそろまた、何か新しい趣味を開拓してみたいが、コンテンツ志向のインドア趣味は一通り経験してきたので、フロンティアはあまり残っていない。いや、古典芸能とか、書籍のジャンル分類なども含めれば、まだ無数にあるけれど。ペット飼育(※環境的に無理)、編み物やハンドメイド(※模型制作でほぼ満たされている)、ボードゲーム(※囲碁将棋は学生時代にちょっとだけやった)、料理(※最低限の自炊はしているが、趣味としては興味を持てない)、書道(※昔やっていた)、小説や詩歌の創作(※気質的に苦手)、ファッション(ネイルなど)……うーん。イラストレーション、プログラミング、視覚取得なども現代では趣味活動として取り組んでいる人がいるが、個人的には気が進まない。
 そういえば、昨年の一時期は、数独(ナンプレ)などの紙上パズルをやりまくっていたが、すぐに飽きた。そんなに深みのある趣味ではなく、時間潰しにしかならないので、続かないのは当然だが。


 というわけで、休日は丸一日、「自然選択号」のスミ入れと部分塗装(※ランナー吹き付け済み、切り出し前)を延々作業していた。このパーツ数とディテール精度では、このくらい時間が掛かるのも仕方ない。明日一日で組み上げられるかな。

橘猫工業「自然選択号」完成。おおまかなランナー塗装+部分筆塗り+スミ入れのみ。サイズは約24cm。リング状ユニットのミサイルハッチを開閉したり、後部ユニットにレーザー(?)を大量追加したり(※装甲パーツ差し替え)できる。
ユニット構成はこんな感じ。最前面ユニットと最後端ユニットだけは角度固定だが、それ以外は回転可能(※こういうモジュールごとの回転要素が原作設定に由来するものかどうかは不明。空間戦闘の効率化や、回転で擬似重力を発生させるなどの趣旨で、SFメカではありがちな性能だが)。

 後部スラスターを発光させるように基盤を組み込んだ電飾版で組むこともできるし、基盤抜きの純粋なプラだけの形態で組むこともできる。基本的に無加工で制作したが、前部ユニットの隙間が気になったのでクリアグリーンパーツで埋めている(※H5とE2の間)。見栄え優先で、ここの展開可動はしないように接着した。後部ユニットのディテールもいろいろ塗り分けたが(D2パーツ)、。組んでみたら全然目立たなかった。それと、H1/H3パーツは方向をきちんと合わせるべきだったが、適当に組んでしまった(※見栄えの点でほとんど問題にならないが)。
 見てのとおり周囲4面が同じなので、同じモジュールユニットを4回組んだり6回組んだりするが、完成時はなかなかの重量感と存在感がある。パーツの貼り合わせ箇所が多いが、合わせ目処理をするのは一部だけで済む(※今回は細かい処理をせず、無頓着に組んだだけ)。
 写真ではスミ入れがクドく見えるが、プラモ実物では気にならない。ディテール密度の高さを存分に堪能できるように、スミ入れは濃いめにする派。とはいえ、さすがにディテールがうるさ過ぎるので、トップコートで薄めにグレーを吹くかも。ちなみにデカールは未貼付。


 朝食しか食べていなかった+長時間作業で疲労+最近の気温上昇への適応不足(たぶん)+睡眠やや短め+20分以上入浴(お風呂読書)=のぼせ。吐き気と大量発汗でちょっときつかったが、10分ほどで復調した。水分はたっぷり摂取していたし、普段はできるだけ気をつけているのだが、たまにやらかす(※年に1回か、せいぜい2回だけど)。
 最大の原因は長時間入浴(お風呂読書)なのだが、時間の使い方として効率的だし、入湯時の退屈を紛らわせることにもなるし、否応なしに読書に集中できる時間になるし、そして楽しいしで、やめられない。ちなみに、本をお湯で濡らさないように、「片手で本を開いて、その手でページめくりもする」というスキルをすでに習得している。もちろん、バスタブの縁に寄り掛かって両手で読むのでもいいのだけど、それだと前傾姿勢があまり気持ち良くない。

2025/03/05

漫画雑話(2025年3月)

 2025年3月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 今月は何故か、(お色気)恋愛ものに秀作が多い。

●新規作品。
 furu『ひなたとお兄ちゃん』第1巻。異界の怪物たちに破壊されたポストアポカリプス状況で、空は黒い霧に覆われた常闇世界になっている。主人公男性(兄)は実はモンスターであるにもかかわらず、視覚障害の妹(人間)を保護しつつサバイバルしているという屈折した関係。おそらくホラーでもあり、サバイバルものでもあり、主人公の行動原理を巡るミステリーでもあり、そしてさらに、一年後には兄が絶命することも予告されているというカウントダウンドラマでもある。読み続けるかどうかは、うーん、ひとまず次も買ってみよう。
 雁木真理『妹は知っている』第1巻。兄は抜群の切れ味を持つラジオ投稿職人だが、職場では寡黙で不器用。そして妹(アイドル)は、兄の本当の面白さを確信している……というシチュエーション。かなり強引な設定ですぐにネタ切れしそうだが、今のところは上手く行っているし、周囲の登場人物もキャラが立っているし、決めゴマの表情も良い。ちなみに、バスト露出描写やベッドの事後シーンなどもあるが、エロコメではない(※作者の過去作にはエロコメ寄りの作品もあるようだ)。
 りんりん『アオハルハラスメント』第1巻。孤独な高校生男子と孤立した女子が、緩い連帯関係を結ぶが、それぞれにトラブルが起きていくという話。シチュエーションはかなりベタな「歪な青春」もので、作画も不安定だが、読ませる力はある。お色気要素は、多少含まれている。
 まめ猫『純情エッチング』第1巻。アダルトコミックを描いている美大学生(女性)と、それを知った男子学生の物語。エロコメ路線ではあるのだが、説得力のある絵作りを真剣に追求しており、読みごたえがある。同じ作者の前作『ももいろモンタージュ』(全4巻)も同じような「エロい絵を追求するキャラクター」の物語で(※主人公は油彩学生)、そちらの方がモティーフの掘り下げや分析の具体性において優れている。『モンタージュ』の方は、「太腿フェティシズムのための立体的な造形把握」から「官能的な水着デザインの追求」に至るまで、技術的な具体性と美術的な説得力が物凄いたいへんな傑作だったのだが、今回の『エッチング』はちょっとパワーダウンした感じ。ちなみに、両作とも「日の出芸術大学」を舞台にしている(※愛知県立芸術大学の有名な高床講義棟がしばしば描かれている。作者の出身校なのだろうか)。
 ふぉっくスー『バクアクギ』第1巻。国の負担になっている人々を、様々な駆け引きゲーム間引きしていくという架空日本でサバイバルしていく話。眉を顰めたくなるシチュエーションだが、『国民クイズ』も発表当時は似たような感じだったのかなあとも思う。現在の目で見ると、『国民クイズ』は苛烈な諷刺的描写と切迫感のある空気が、いかにもポスト・バブルの熱気と不安と意志を感じさせて面白いのだが、あれも当時は顰蹙を買うような作品だったのかもしれないし、そしてこの『バクアクギ』(や、同じく皮肉で差別的な含意をたっぷり含んでいるように見える『ドラマクxxx』)についても、後世から見れば説得力を持つようになるのかもしれない。内容について見ると、ゲームとその解決法はなかなか上手いアイデアをいくつも出していて飽きさせないし、絵の迫力も抜群に良い。
 文ノ梛(ふみのなぎ)『灰と銀の羽根』第1巻。フィンランドっぽい架空世界でのおねショタスローライフ(※バックグラウンドには陰惨なミリタリー要素もあり、わずかに人死にのグロ描写もあり)。ベタであざとくてキャッチーだが、こういう正統派路線できちんとした成果を出してくれるのはありがたい……フィンランドものも正統派だし、おねショタも王道でしょ?
 J・ターナー『黄雷のガクトゥーン』(原作ゲームあり)第1巻……どうして今どき、しかもよりにもよってLiar-softの中でそのタイトルをコミカライズしたのかという疑問が湧く。とりあえず買ったけど。この漫画版の作者は、過去に『世界樹の下から始める半竜少女と僕の無双ライフ』などを手掛けている。漫画としての出来は『半竜少女』の方が良かったかな。Liar-soft作品としては、『SEVEN BRIDGE』あたりが漫画化されたら面白かったかも。
 イツカぬくもり『最凶の悪女になってお兄様を独占』(原作あり)第1巻。キャラの表情描写も、紙面レイアウトの演出も、力強い表現意欲に満ちており、なかなか良い感じ。ストーリーはありがちだが、見せ方の上手さが好ましい。私にとって大事なのは、ストーリーよりも、演出の手触りや、画風(文体)による独自性、そして漫画としての演出の面白味にあるので。
 カミムラ晋作『トー牌少女』第1巻。刹那的に路上賭博麻雀をしている少女の物語。基本的には麻雀バトル漫画だが、強気で破滅的で切れ者な眼鏡キャラ目当てでも読めるが、このキャラの作画は山崎かのり氏によるとのこと。山崎氏自身もファンタジー『アルマギア』で良い漫画を描いておられたし、メインのカミムラ氏も害虫漫画『ベクター・ケースファイル』が面白かった。
 aoki『王宮には「アレ」が居る』(原作あり)第1巻。女性向けの復讐もの。第1巻の時点では「アレ」が何を指しているのかも分からないが、宮廷内の策略を弁舌で解決していく形で一段落ついている。キャラ絵は魅力的だし、陰湿な陰謀についても後味を良くするようにフォローを利かせている。原作のネット小説は完結しているようだし(※ざっと読んで大筋は把握した)、とりあえず買い続けていこう。


●カジュアル買いなど。
 色白好(しきしろ・このみ)『ガイシューイッショク!』第6巻。押しかけ同居エロコメなのだが、アグレッシヴなヒロインの情念の描き方に凄まじいインパクトがあるので、思いきって既刊も買い揃えた。全年齢ながら執拗な愛撫描写を展開し、しかもその見せ方にもオリジナリティと迫力がある。
 mmk『隣の席のヤツがそういう目で見てくる』第2巻。眼鏡ヒロインと男性主人公のお色気コメディだが、女性の側が積極的で、男性キャラの身体に関するフェティッシュな描写が多く、しかも色気はあるがあまり下品にならないというバランスが面白い。ネタの切れ味も良い(※この巻は、ヒロインが熊の着ぐるみをずっと被ったまま学園祭シーンを続けているという大胆な進行)。学生服やスカートの布地表現も、細やかに(おそらく手書きの網目で)描かれており、たいへん質感豊かな紙面になっている。作者はこれまでお色気ラブコメタイトルを複数手掛けてきたようだ。
 しばの番茶『隻眼・隻腕・隻脚の魔術師@COMIC』第4巻。表紙買いをしてみたら、本編の漫画もやたら上手かった。画風そのものは筆触感が強く、ちょっと道満晴明氏を連想させるような自由な崩し方がたいへん気持ち良い。コマ組みも巧みで、とりわけページを捲った際の切り替えの効果が存分に活用されているし、奥行きのある空間的なバトル描写も良い。ただし、「構成」としてもう一人の漫画家(矢上裕氏:『エルフを狩るモノたち』以来のベテラン漫画家)もクレジットされており、そちらの方がコンテ(ネーム)を作っているとのことだが、どのくらい具体的なレイアウトを提供されているのかは不明。既刊も買い揃えて読んだが、シリアスとコミカルを往復するのはちょっと微妙かも。
 既刊だが、水瀬まゆ『むすんでひらいて』(新装版、全4巻)をまとめ読み。恋愛オムニバスで、周囲の人間関係がつながっていて、それぞれをメインキャラとして順次焦点を当てていくスタイルが面白い。絵もきれいで、特に新装版の裏表紙の絵がとても上手い。

 山本崇一朗氏の作品は、今まで単行本を全て買って楽しんできたけれど、今回の新作はもう無しかな。今どき「男子野球部の女子マネージャーたち」というシチュエーションは(それを無頓着なまま出してくるとしたら)、さすがにそろそろ無理なレベルできつい。


●続刊等。
 ヨシカゲ『神にホムラを』第3巻。1950年代の数学漫画。数学者漫画は、近年でも『天球のハルモニア』などがあったが、いずれも短命に終わっていた。本作は順調そうで何より。作者のヨシカゲ氏は、これまで芸術家漫画とお色気バトル漫画を連載してきた多才なクリエイターで、今作でも、本来は紙の上だけで展開される数学的思考を、迫力ある形でヴィジュアライズしている。
 瀬尾知汐『罪と罰のスピカ』第2巻。主人公は他人の意識を読めるエスパーで、隠れた悪人たちを殺して回っているが、彼女自身にも倫理観は無い(一種の快楽殺人者である)というサスペンスドラマ。この第2巻も、悪くはないが、ややパワーダウン気味。
 阿賀沢紅茶『正反対な君と僕』第8巻(完結)は、物語冒頭の状況を最後にもう一度振り返るという演出とともに、美しく締め括られた。『正反対』がお互いに配慮し合う「ケアとしての恋愛」ジャンルを打ち出したのに対して、川田大智『半人前の恋人』第5巻は、相互の敬意ベースの恋愛というアプローチを代表している。こちらでは、和太鼓職人の女性と美大学生の男性の間のデリケートで誠実な関係が描かれていく(※いや、まあ、職能がなくても敬意は成立しうるけれど、作劇としては相手のスキルや目的意識に対するリスペクトという形をとる方が説得的だろう)。
 熊谷雄太『チェルノブイリの祈り』第3巻(原作あり、大きめのA5判)。重苦しいオムニバス。この巻では、立入禁止区域に戻った「サマショール」たちの素描と、原発作業員を志願した者の誇りとその結末、そして情報隠蔽を巡る官僚サイドの語りと、直接的な被災当事者以外の視点も広がってきた。
 窓口基(まどぐち・もと)『冒険には、武器が必要だ!』第2巻。相変わらず絶好調の切れ味。JRPG的ファンタジー世界の解釈としても、ダンジョンの道路整備をする職業に目を向けるというリアリズムにまで意識が及んでいるのは凄いし、台詞回しもユニークで面白味があるし(例えば「百発一中」の下り)、コマ組みのレイアウトや視覚的演出も鮮やか(※とりわけ第8話で、鼠キャラが狼キャラの肩に飛び乗っていくところは、異様なまでに上手い)。キャラクターたちも、主人公には大きな赤リボンという大胆な意匠を堂々と与えているし、本格派の獣人キャラも多数描かれる(※四肢も動物的だったりするし、体格も3メートルの馬キャラや50センチの鼠キャラがいる)。
 橋本花鳥『ルキオラと魔境の商館員』第4巻(完結)。やや迷いのある形で終わったが、全体の出来は良いし、切り口もユニークなので、早期完結は惜しまれる。
 阿久井真『青のオーケストラ』第12巻。相変わらず、漫画演出の切れ味が物凄い。今回は、審査演奏から、恋話エピソード、3年生の卒業、そして国際的コンクール(ドイツ組が来日)と、かなり物語が進んだ。
 丸山朝ヲ『転生したら剣でした』第17巻。演出の出来映えが相変わらず素晴らしい。ただし、攻撃魔法の表現が、ただ横にビームっぽいものを出すだけという悪癖も相変わらずなのが惜しい。剣を振るのであれば全身運動的な迫真性が生まれるのに対して、魔法的エネルギーを打ち出すのは、「手先から何かを出しているだけ」なので、力感や速度感が見えづらく、どうしても迫力に欠ける。一見似たような動きなのだが、もうちょっと上手く捻ってくれるとありがたい(※メインキャラは剣士であって、魔法攻撃はあくまで補助だという事情があるにせよ……)。
 アベツカサ『葬送のフリーレン』第14巻。内容を忘れた、というか、13巻を買っていなかったような……。今回大量に登場したキャラたちのドイツ語ネームは、ちょっと雑かも。
 うの花みゆき『雪と墨』第7巻。ヒロインの実家(大店の商家)を巡る揉め事の続き。そちらの問題は、本作のコンセプトからして脇筋だと思うのだが、いったんその話に手を付けたら止まらなくなってしまっている。もちろん、トラブル無しに物語を続けるのは難しいから仕方ないし、ヒロインの新たな側面も描かれているし、カップルの出会いを回顧する重要なシーンもあるのだが……。

2025/02/12

2025年2月の雑記

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2025/02/11

漫画雑話(2025年2月)

 2025年2月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 何故か、今月の新刊はえろぐろ作品に秀作が多い。

2025/01/05

2025年1月の雑記

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