『DEMONION II』に寄せて、わりと雑多な話。
『DEMONION II』では、どうやら久々に乃嶋氏のお声をできそうだ(――ここ数年でも何本か出演作はあったのだが、残念ながら個人的に食指の動くものが無かったので)。キャラデザはずいぶんキャッチーな要素を詰め込んでいるが、キャラもキャストも、なにやら前作『DEMONION』よりもむしろ『DUNGEON CRUSADERZ 2』を強く意識させる。ぐーりんっぽいキャラ(エリート魔法使いの「グリエッタ」といって『DC2』のグリシーヌを思い出さないastronautsユーザーは少ないだろう)といい、レジーナっぽいキャラ(髪型のシルエットも、服装の配色も、弓装備なところも)といい、春日ヴォイスの皇族キャラ(これまたカバネと同じく赤基調で、)といい……。
解像度は1024*768、つまり4:3比。画面全体にマップを展開するようなSLG作品の場合、画面は正方形に近い方がなにかと便利なので、この仕様には合理性がある。
以前にもどこかで書いた憶えがあるが、整理のために。
アダルトゲーム原画家の中で、M&M氏(とその協働CGスタッフ)の仕事は、たとえば1)サーヴィス精神を感じさせるウインク差分(の多用)や、2)ストレートな楽しさを露わにするアダルトシーンの表情表現が特徴的だったが、『DEMONION』(2012)の頃から、3)感極まった歓喜の表情を強烈に印象づける落涙差分や、4)熱い吐息の描き込み、といった新機軸も導入されている。特に落涙表現――目の端に浮かぶものから、両頬を伝うものまで――は、舌出し差分とともに、『DEMONION』の大半のシーンではっきりと描き込まれていた。わりと効果的な見せ方だと思うので、新作でもひきつづき実行していただきたい。
もしかしたら、私が知らないだけで、落涙表現などももっと以前から行われていたかもしれない。しかし少なくとも『MWA』(2005)や『DC』(2006)や『DC2』(2008)の一枚絵では、落涙差分はほとんど存在しなかった(――ただし、白い体液を頬に伝わらせる表現は、以前から多用されている。記憶が正しければ『瀬里奈』の頃から存在した)。他方でベッドシーン一枚絵でのウインク表現は、『MWA』の頃からわりと頻繁に使われていた――ただし近年の作品ほど徹底的ではなかったが。アダルトシーンでのウインク差分は、他の原画家の作品では目にした憶えがほとんど無く、おそらくM&M氏の個性と呼んでよい。白い吐息の描き込みは、ここ数年(2010年代以降?)での新機軸と思われるが、こちらは他のブランドでもたまに見かけるようになっており、今後とも普及していく可能性は高そうだ。
どうやら倫理機構の基準改定によって後ろの穴は直接描写してもよくなったらしいが、所詮は排泄孔なのだし、べつに見て面白いものでもないし、妙な塗りをされていると気になってしまうし、個人的にはモザイクで適当にボカしていてくれた方が良かったかなあ。もっとも、忌憚なくいえば、前側だって同じようなものだけど。
カラフルな頭髪のキャラクターが下の方もカラフルになっているのは、理屈のうえでは整合的なのだが、やはり鮮やかな緑色だったり真っ青だったりするのはかなり強い違和感がある。さすがに下までピンク色で塗られている絵は記憶に無いが、もしかしたらそういう一枚絵もすでにあるのかもしれない。