2015/10/24

アイキャッチ雑感

  様々なアイキャッチについて。ごく簡単な分類整理を試みつつ。


  ●アイキャッチの種類。
  1)場面転換のアイキャッチ挿入について。採用しているタイトルは、たぶん一昔前よりはかなり増えている。増えてきたのは、個人的な体感でいえば00年代後半からだろうか。さしあたり思い出せるのは、『ひめしょ!』(2005)、『カルタグラ』(2005)、『Chu×Chuアイドる』(2007)、『桜吹雪』(2009)、『Signal Heart』(2009)、『フリフレ』(2009)など。ぱれっとも、『えむぴぃ』(2007)の頃から導入していたような曖昧な記憶があるが、確証が無い。
  個人的な話をすると、私が初めてアイキャッチを――アイキャッチの演出効果を――意識したのは、『LEVEL JUSTICE』(2003)。主人公以外の視点表現も多いタイトルで、視点切り替えの際にアイキャッチが入るのだが、その板金風のアイキャッチ画像が「ガキン」という金属音SEとともに降りてくる……のだった筈。その一見素っ気ない見せ方といかにも硬質なSEは、この特撮パロディとしての性格を持つタイトルとして相応しいものだった。また、アイキャッチに続くシーンがどういう状況であるかを報せるために、自軍勢力(「ヴァルキル」)または敵対勢力(「SAFE」)のアイコンがその都度のアイキャッチに反映されていたという点では、機能的な役割をも果たしていた。

  2)他方、日付表示アイキャッチの実例は、90年代からずっと、そして無数にある。昔のゲームは、画面上に日付表示や所持金表示を常時出していることも多かったが、90年代末以降に全画面背景AVGスタイルが普及してからは、常時日付表示は行われなくなっていった……という変化があったと思われる。そして、それを代置するように、日付アイキャッチが挿入されるようになったのだと思う。実際、全画面背景の最初期のタイトル『To Heart』(1997)でも、日めくりカレンダーをめくる日付アイキャッチがあったと記憶する。ただし、最近のタイトルでも常時日付表示はたまにあるが。

  3)サブタイトルを表示させるアイキャッチもある。例:『R.U.R.U.R』(2007)。ただし、その区切りが十分に大きくなっていくと、章構成スタイルやTVアニメ風の話数制進行スタイル(これはこれで実例はかなり多い)と識別できなくなるが。

  いずれにせよ、批判されるアイキャッチの多くは、「挿入される頻度が高すぎる」というのもあるだろうけど、「面白味に欠ける」(芸が無い、ひねりが無い)というのも問題だと思うし、時として「長すぎる(ことによってゲーム進行のテンポを阻害する)」ことにも気をつけてほしい。


  ●アイキャッチの機能。
  1)上記のとおり、日付表示機能はアイキャッチの一つの役割だろう。しかしそれだけではない。

  2)時間経過や場所移動など、物語の節目の表現として。アニメなどでは、同一の場面の途中省略のために使用される(つまり複数のシーンをつなげさせる作用を持つ)こともあるが、AVGではもっぱら区分のためにのみ用いられるようである。

  3)視点人物の切り替えのサインとして。上記『LEVEL JUSTICE』がこれに該当する。幅広い状況を扱うSLGでは発生しやすいが、純AVG作品でも時折使用される(一例として『アマカノ』。ヒロイン視点のシーン「ANOTHER VIEW」が頻繁に挿入される)。

  4)進行状況のサインとして。特定のヒロインとのエンディングが確定している(つまり「ルートに入った」)状況では、アイキャッチにはそのヒロインのみが表示されるようになる。上記『Chu×Chuアイドる』が該当する。

  5)その他、特有の演出のためのアイキャッチ。『カルタグラ』や『フリフレ』では、次に来るシーンがどのようなものであるかを予示する機能を持っている(cf. 演出技術論Ⅳ-4-5-γ)。