2016/06/29

ソフトハウスキャラ作品の共通世界設定

  ソフトハウスキャラ作品における、キャラクターや設定のつながりについてのメモ。


   ソフトハウスキャラの各作品には、登場人物などのつながりが見出される。それらを見ていくと、企画兼脚本の内藤騎之介氏の考えでは、ほぼすべての作品が同一世界の出来事としてイメージされているようだ。私たちプレイヤーも、そのようなイメージを持ってプレイすると、ソフトハウスキャラ作品をもっと楽しめるようになるだろう。

  第16作『BUNNYBLACK』までは、以前のサイトの記事作中世界の相互連関についてに書いてあるので、まずはそちらを参照されたい。そのうえで、このページでは、第17作『雪鬼屋温泉記』以降について、おおまかに書いていく。一つ一つの作品について過去の作品とのつながりを示唆する描写を指摘していき、そのうえでその作品が「ソフトハウスキャラ共通世界」(仮)の中でどのように位置づけられるかについて私なりの解釈を述べていく。一部は他のページに書いたことと重複するが、内容面から再編/集約したものとしてご海容いただきたい。



  『雪鬼屋温泉記』(2011年6月発売)

  2011年発売の第17作。『Dancing Crazies』(2005)以来、約6年ぶりの現代もの。

  舞台は、三方を山に囲まれ、南側は海に面した樫野扇村。月見山府、奈賀島府(『LJ』の舞台)、加来山府(『真昼』『DC』の舞台)の3自治体の境界に位置するとのこと。時代設定は現代。白野三日月のイベントで「数年前」の事件として、「あの時の加来山府は封印を解かれた鬼が暴れだそうとしてい」たという話をしているが、これは『真昼』本編中のイベントなので、そのまま『真昼』の数年後のことだと考えてよいだろう。

  温泉旅館経営SLGとして『葵屋』のリメイクのような雰囲気があり、また世界設定のうえでも『葵屋』とのつながりが強い。温泉旅館経営コンサルティング会社「あおい」から来たヒロイン猫ノ宮秋風は、『真昼』に登場した葵秋風の変名。彼女の姉の葵春炎も登場する。彼女等は、妖怪たちの間では、鎮守の一族として通っている(当代の鎮守は秋風の妹。おそらく宮子のことだろう)。台詞上で、宮子、小宮、霞(「霞母様」)、小姫(「小姫母様」)にも言及されている。いずれも『葵屋』関連のキャラクター(秋風の家族)である。料理長の「源十郎」は、『葵屋』の料理長「中村源三郎」の親類だろうか。新作メニュー「モチ煮込み」も『葵屋』に出て来たもの。山春日TVの大文字焼優子は、『葵屋』に登場したリポーター大文字君子の親類か、あるいはSHCのセルフパロディ。

  固有名詞のつながり。温泉宿ランキングには、「葵屋」と「逢坂屋」(『葵屋』に登場)のほか、「山春日旅館」「山春日TV」(『真昼』の山春日一族のコンツェルンか)、「魔窟園」(『BB』のダンジョン名)がある。旅館内に出店するレストラン「プリンセス・アイナ」「ラバーズ」「狂水」は『LJ』のマップ施設として登場していた名前。プロ野球チーム「ジャガーズ」も、『LJ』『DC』で言及されていた。メイド喫茶「コゼロット」は『BB』にかけたお遊びか。レストラン「海賊」も、『海賊王冠』を連想させる。サッカーチーム「加来山アロハ」も『南国』の主人公を連想させるが、おあそびのレベルだろう。「ゴードン」という名前のキャラクターは『うえはぁす』『グリンスヴァール』にも登場したが、おそらく偶然の一致だろう。

  なお、葵屋一族は「妖猫」であるが、白野三日月は公式サイト等で「獣人族」と紹介されている。耳を隠す(見えないようにする)能力があり、なんらかの魔力か妖力があるのではないかと思われるので、他作品における獣人族とはつながっていない(別種の種族である)可能性がある。

  おまけコーナーのクイズには、解答選択肢として「加来山府」や「コゼロット」も出てくる。



 『BUNNYBLACK2』(2012年1月発売)

 2012年発売の第18作。『BB』の続編なので、基本設定はほぼそのまま。

  時代状況。フォーゼロッテの娘が育っているが、魔族の生育期間は分からない。また、前作に登場したシア(エレシア)は、トライリース王国の女王(アレシア)の姉という地位になっており、ダークスとの間に一児を儲けている。前作『BUNNYBLACK』から数年~十数年程度かと思われる。

 地理。人間界で天界軍が駐留しているとされる「ゴースティアル」は、現代ものの『うえはぁす』の舞台「ゴースティアル王国」と同じ名前。「バッカード」は、『ブラウン通り三番目』の舞台「カナードの街」の隣町。『ブラウン通り』のプロローグにほんの一度名前が出てきただけの地名だが、偶然ではあるまい。これらの点からも、同一世界設定と考えてよいだろう。「グリッジ」は不明。魔界の現大王アイシエス、先代のガイエス(故人)も旧作で何度か言及されていた名前。ガイエスがすでに(この『BB2』時点で)亡くなっているというのは新情報。アイシエスが天界との和解に尽力した――というか、そんな古い時代から生きていた――人物だったというのも。

 天界と魔界の反目状態、天界八部族、人間界に存在する魔力が天界と魔界に吸い取られているという状況なども、旧作群から引き継がれている世界設定。闇神族は一人しかいない、雷神族は男性がいなくなった、といった話も出てくる。天界と魔界の戦争の原因の一つとして、「人間の魔王が生まれた」事件があったらしい(パニバーナのイベントによる)が、詳細は不明。

  配下魔物たちも、旧作群(『巣作りドラゴン』『Wizard's Climber』『BB』)で登場していた面々。アイテムに「水玄衆の手裏剣」があるが、これは『BB』第一作にも登場していたアイテムなので、相変わらず『忍流』との関連ははっきりしない。アイテムといえば、『海賊王冠』に「天界の金貨」というアイテムがあったが、今作の「天界のコイン」と同じようなものなのだろうか。ギュンギュスカー商会も、前作『BB』だけでなく他の作品にも何度か出てきている。今作では「ハイルフ」という獣人族が新たに登場した(コナ)。ラキアの店の背景CGには、魔族の独自文字が見て取れる。ネタとしては、シアの「事情説明!」台詞も羽高キャラの恒例。



 『門を守るお仕事』(2012年9月発売)

 第19作。西洋中世ファンタジー寄りの世界で、舞台はライカナ王国国境の街「リルゾ」。隣国グラッフォード王国からの侵攻を受けているという状況。

  時代状況。技術的には、銃器がようやく発明された時代。その一方で、魔法はほぼ廃れつつある。真正の魔法使いはほとんどおらず、大半は「魔法の道具の使い手」でしかない。そしてそれとともに、魔法に対する対策も忘れられつつあるという(魔法隊のユニット説明)。ロウメイの説明によれば、「今から二百年ぐらい前。/世界から魔力が徐々に減っていったの。/それに伴って、資質に恵まれた人も産まれなくなってしまって……/魔法学園や魔法都市として有名だった所は、あっと言う間に衰退し、魔法は忘れ去られようとしているの」。飛竜や巨人、魔獣、不死兵などのモンスターは、少数ながら存在している。ただし竜(ドラゴン)については、ここ百年ほど、竜を見たという人がいないとされている。中世的ファンタジーの時代がほぼ終わりつつある時期のようだ。

  ロウメイが着ている服は、グリンスヴァール学園の制服そのものだが、彼女が学園出身者なのかどうかは明言されていない。また、「ライカナ王国」は『巣作り』の「ライトナ王国」を多少連想させるが、両者の関連は不明。今作の獣人族キャラは、発明家のツクリ(種族は不明)。

 今作では、宗教組織としての「教会」がクローズアップされた。これまでにも、『巣作り』の僧侶(マイム)や『BB』の神官ユニット、『グリンスヴァールの森の中』の「宗教家」卒業生など、個人としての宗教家/信仰者が登場したことはあったが、特定の信仰に基づいて結合した組織としての「教会」が作中の世俗世界で直接扱われたことは無かった筈。同じく近世的世界に属する『海賊王冠』にも教会があったので、もしかしたらこの時代になってようやく、(現実世界のキリスト教に相当するような)宗教組織が確立したということなのかもしれない。

  小ネタの連関。パン屋のウィットニーの話も出てくる。「“アオイヤ”なる一族が管理していた」という温泉を発見するイベントがある。「クレス家の野望」は、「最新の二十三巻」が出ているらしい。



 『BUNNYBLACK3』(2013年6月発売)

 記念的な第20作にして、『BB』シリーズの第3作。

  時代と場所。舞台はフォーゼロッテ宮から離れて、その近隣に開かれた魔族の村。エカテーの子供たちが思春期(あるいはそれ以上)に成長していることに鑑みても、『BB2』からそれなりの時間が経過していると思われる。『BB』『BB2』の人間キャラたちは登場していない。

  天界と魔界の歴史についてのエピソードが多い。「天界は元々は魔界の一部なんです。/魔界の大地を割り、別の世界へと異動した事で生まれたのが天界になります」。これは何万年も昔のことだったとされる。そして、天界-魔界間で戦争状態に入ったが、その最中に竜族が介入してきたため両者は休戦して竜族を撃退。竜族は十五頭の雄竜を残して全滅させられた。なお、当時竜族が住んでいた世界(人間界)は、「竜族界」と呼ばれていた。続いて、リュミス関連の逸話がいくつか語られている。リュミスが天界に立ち入った際にキュリハたちが遭遇していたこと。また、この事件をきっかけにして天界と魔界の往来を制限する魔力結界が張られた。なお、キュリハたちは、前作『BB』のパニバーナたちの「先輩」(年上)であるらしい。魔界のアイシエス王と天界の命神王のことも、話題に出てくる。ダンジョン「堕天牢獄」の最下層で、ドラゴンに会うことができる。

 その他、ギュンギュスカー商会と天界のアンゼルム商会がイベントの中心に立っている。スイセンのイベントでパンチ技「タイムブロー」(『Wizard's Climber』の技)が出てくる。獣人族は、今回はティーグレ族(タマガ)が新登場した。

  小ネタの連関。パン屋のウィットニーの話題あり。アスパラガスの変わった食べ方も、幕間イベントに二度ほど出てくる。温泉イベントもあるが、温泉のオーナーが誰であるかなどは一切言及されていない。



 『アウトベジタブルズ』(2014年6月発売)

 第21作は、2011年の『雪鬼屋』以来、久しぶりの現代もの。後述するように、『雪鬼屋』本編以後の状況かと思われる。

  地理。「加来山銀行」「加来山府バス」などがあるので、本作の舞台はどうやら加来山府。ということは『真昼に踊る犯罪者』『Dancing Crazies』と同じ。「何でも屋」の存在にも、プロローグで言及されている。アイテムにも「山春日大金庫の秘密」がある。また、山日野家は、『真昼』の山春日家の分家であるとのこと。分身の術を使う山春日の忍者とは、おそらく奥平鈴かその関係者だろう。あるいは氷野麻紀だろうか。「林海屋」も、実は『真昼』の何でも屋につながる企業。

 『LEVEL JUSTICE』関連のネタが多い。「聖ロータス学園」は、まさに唐紅葉月が通っていた学園。『LJ』では「セント・ロータス学園」だった(SLGパートのマップ施設としても登場する)が、同じ学園だろう。ただし、制服は『LJ』のものとは変わっているが、モデルチェンジしたのだろうか。『LJ』の舞台は奈賀島府だったので、加来山-奈賀島は隣接している(葉月は遠距離通学)のか、あるいは同名の学園が複数存在、あるいは同一学園の複数のキャンパスが存在するのだろうか。背景画像の「一石三鳥社」や建物「一石三鳥ビル」は、『LJ』で主人公が所属していた組織「ヴァルキル」の表の顔。ヴァルキルは、アイテム「ヴァルキル暗号」としても出てくる。彼等はこの『OV』の時点でも活躍しているようだ。イベントCGで出てくる黒づくめの怪人たちは、『LJ』のコゾーンを多少連想させるが、彼等自身だと考えるには状況が不自然なので、別ものだろう。神歌巴は、『LJ』で言及されていた巫女一族。『LJ』の神代美香の話によれば、神代(美香の家)、神歌(巴)、神園(美加子、『アルフレッド学園魔物大隊』に登場)、神時(未登場)の4つの家がある。

 『アルフレッド学園』関連。アイテム「妖怪大辞典」は、「アルフレッドの書」とも言われているとのこと(※同人誌によれば、夏野雪継の魔界での名前がアルフレッドなのだとか。本人だろう)。聖ロータス学園の姉妹校「アルフレッド学園」も、テキスト上で言及されている。イベントCG のミライのマグカップの猫デザインも、『アルフレッド学園』あたりにあったような……。

 『葵屋まっしぐら』『雪鬼屋温泉記』関連。アイテム「葵屋温泉チケット」を入手すると葵屋イベント。最高級の旅館であるらしい。葵屋イベントでは、葵屋の提携先として「雪鬼屋」があるという話も出てくるので、時間軸上では『雪鬼屋』EDよりも後だと考えるのが自然だろう。同様に「逢坂屋創業録」も、『葵屋』に登場した店。アイテム「汚れた着ぐるみ」は、『雪鬼屋』のクマンの着ぐるみ。イベントCGあり。建物「四季扇邸」は、『雪鬼屋』の扇一族の縁者だろうか?

 『うえはぁす』関連。アイテム「ゴースティアル王冠」は、『うえはぁす』の舞台となったゴースティアル王国。EDで「“緑の方(みどりのかた)”」と言われているのは、メインヒロインのクリス(プリンセス・オブ・クリス・クラリティーズ・グリーン)のことだろうか。

 『忍流』関連。山日野家は――ということはおそらく本家の山春日家も――久留滝家の血を引いているとのこと。また、箱折(葉凍)家は水玄衆の分家だとアスカが述べている。その割に、奥平鈴のことは知らないようなので、かなり昔に分かれた遠い類縁なのかもしれない。

 『海賊王冠』関連。EDでわずかに言及される。アイスが財宝を残していたとは……。

 中世ファンタジー世界関連。アイテム(「魔界軍団」シリーズ)に「ウルフ」「ダークマン」「ダレット」「ハラミボディ」「モエルモン」「レボリューション」「ロキン」「ベト」(の像)。敵ユニットとしても、「近未来研究所」にベトらしきユニットが出現したりする。ジャッジマンは、『Wizard's Climber』ネタ。同じ名前、同じ役どころのキャラクターが登場していた。声優も同じ一条光氏。ただし、実質的な関連というよりは、おあそびとしてのセルフパロディの範疇だろう。同様に、ライバル怪盗の「ゴランゴラン」は、『BB』シリーズのゴランを連想させるが、真面目に捉える必要は無いだろう。

  小ネタの連関。ライバル怪盗の中に「怪盗アスパラガス」がいる。アイテムにもアスパラガスシリーズがある。おまけシナリオ「殺人事件」にもアスパラガスネタ。



  『悪魔娘の看板料理』(2015年2月発売)

  第22作。中世的世界の「カステの街」が舞台。主人公ギンは、他国(テルミナ王国)の出身だが、そこからはかなり遠い土地のようだ。街の北方にはルブライ王国(アサンド領)があり、また南には『BB』のトライリース王国(のヒューディアス領)があるが、どちらの国にも属していないという特殊な位置づけの街である。

  『BB』シリーズとの関わりが深い。アルテはダークスとフォーゼロッテの間に生まれた三女。一枚絵にもあるとおり、姉妹がたくさんいるようだ。トライリース王国の名前も出てくるが、「魔王の森」の主が代替わりしてコゼロットになっているので、『BB3』よりも後の時代ということになる。ただし、どれだけ時間が経っているかは分からない。メリル(の息子と娘)やトージョなども、名前の言及のみながら出てくる。

  ゴールドアイ商会は、『ブラウン通り三番目』のジャックの実家。ソニックブローは、『Wizard's Climber』にも登場した技名。魔法使い協会、教会、商会ギルド、芸能ギルドも存在する。ギルド制度は『ブラウン通り』にもあった。宮廷魔法使いの制度も存在しているようだ。冒険者チームに「竜狩隊」がある。『巣作り』以来の懐かしい名前。一連の中世ファンタジー的舞台の作品群とつながっている。ミフリーの台詞に「ここ二十年ほどで魔物が減ったとの報告が各地で上がっている」とあるので、中世系列の中でも、やや後の時代のことのようだ。中世風世界最盛期から陰りが見えてきたくらいの時期だろうか。マウのような精霊もいるし、魔法使いはかなり珍しい存在になりつつあるが、依然として傷病の治療は魔法ベースであり、(科学的な)医療はまだ未発達という状況。今回の獣人族は、クウガー族の料理人クム。獣人族は「人間との混血が進ん」でおり、「今時、純血種なんてどの種族でも居ないと思う」と述べられている。

  魔界との関わりでは、ギュンギュスカー商会が出てきた。「ベトの煮こごり」という料理も。

  小ネタいろいろ。料理「アスパラ皿」を開発すると、恒例の「アスパラガスの変わった食べ方」イベントが発生。 冒険者にも、「チームアスパラ」というパーティーが登場する。マゥイベントの幽霊デザインは、『Wizard's Climber』の頃からあるもの。「トロット商会」は、旧作で言及されていた「ジェス・トロットロード」と関係があるのだろうか? 神父の妻帯は許されているようだ。



  『その古城に勇者砲あり!』(2015年12月発売)

  第23作。西洋中世風ファンタジー世界の、サーラント大陸のランスベリー王国内の物語である。ブランド名義が「ソフトハウスキャラ チーム++(チームぷらぷら)」となっており、脚本もすべて外注スタッフが担当している。そのためか、設定面では、先行する他作品とのつながりが一切存在しない。まったく設定の異なる独自世界なのだろうか。

  ただし、皇征介が原画を務めている魔物娘のうち、「蛇姫様」と「フォーン」は、同氏が過去にSHC作品で描いた「白ヘビ様」と「ホーンちゃん」に酷似している。旧作プレイヤー向けのファンサービスを行いつつ、作中世界それ自体は別世界であるということを示唆しているように思われる。
  また、スキル「切り裂く風」は、『Wizard's Climber』に同名のスキルがあったが、こちらはありがちな言葉であり、しかもこの1つしか一致していないので、単なる偶然と見てよいだろう。



  『プラネットドラゴン』(2016年6月発売)

  第24作。現代から約300年後、つまり24世紀頃の宇宙が舞台になっている。本編開始時点の日付は、(西暦)2316年4月1日。『DAISOUNAN』は「西暦212X年」だったから、それよりも200年ほど後の時代になる。新発見の「惑星ファーザー」の先住民たちは、『DAISOUNAN』のキリカブ族に酷似している。同一の種族(そして同一の惑星)なのか、それともたまたま似ているだけなのかは、作中では明言されていない。

  『DAISOUNAN』では、全宇宙の一定の知的生命体群を「リーファ種」と総称していた。今作では「ルーディニアリーファ種」という特定の種族が登場しているが、「リーファ種」という言葉は出てきていない。

  主要キャラクターに、過去作品の縁者が何人かいる。とりわけ『真昼』との関係が強い。主人公の山県義経は、『真昼』の山県一義と奥平鈴の間に出来た息子。また、ヒロインの村川島・シャーリーは、山春日霧姫の曾孫(山県一義との間に出来た子の、さらに孫にあたる)のようだ。したがって、義経から見たシャーリーは、「異母きょうだいの孫」ということになる。また、シャーリーは葵宮子との間にも面識があり、実際に一義と宮子の会話イベントまで存在する。猫又の宮子はともかく、人間のはずの山県一義がどうして300年後も存命なのかは不明だが。

  また、山県義経は、冷凍睡眠状態にされる前は、一石三鳥社(=ヴァルキル)で働いていた。一石三鳥社は、本編時点では「レベルダークネス」と改名しているとのこと。『LJ』のヴァルキルは300年後も健在のようだ。蠍座の「開拓惑星キリッサ」も、『LJ』の魔将キリッサから命名されたとのこと。「ヘルナイト様がなぜかルーディニアリーファ種とコネがあって」というのは、もしかしたらルトやんのことなのかもしれない。ヘルナイトがルーディニアリーファ種だとすると、彼の超発明スキルも納得がいく……かもしれない。

  『DC』株取引モードに、「英雄」コンツェルンが出てくる(「英雄商事」「英雄鉄鋼」「英雄食品」「英雄たこ焼き」等々)。その中にはまさに「英雄運送」も存在するが、シャーリーの会社と同一のものなのかは不明。かなり特殊な名前なので、『DC』の時代の英雄運送を村川島家がうまく経営権取得して300年後に至ると想像するのも一興だろう。『アウトベジタブルズ』にも「大英雄博物館」があるが、関連性を想像するにはいかにも弱い。『DC』の株モードには「村川合遊園地」という企業も出ているが、シャーリーの「村川島」との関係は不明。これは単なる偶然の類似だろう。

  葵屋温泉イベントあり。ライバルの逢坂屋も、「休暇」イベントで言及されている。

  天秤座恒星系の王女(のちに女王)のララ・エントラ・クエントは、『Wizard's Climber』のヴィオラ・エントラとの関係を窺わせるが、明言されてはいない。

  今回登場する獣人族は、惑星ビビドの発明家イディ。種族名は特に無いようだ。

  その他、雑多な小ネタレベルの話。
  BSQは、「ブラウン通り"四"番目」。実質的な関係は無く、単なるお遊びと思われる。
  BSQのハンドルネームには「ファットデビル」「ダークマン」「アスパラガス」が。
  『小僧』シリーズが登場。300年後の未来では超長編になっていた。
  「パン屋のウィットニー」ネタも復活。依頼品にも、それとおぼしき言及がある。
  依頼品に「クマンの毛皮」(双子座ニイ→エル3)。

  依頼品テキストに、アスパラガスの「少し変わった食べ方」がある(採掘コロニー群→イオ4)。このほか、依頼品「調味料」(ロウド→ビビド)にもアスパラガスへの言及がある。

  依頼品「奇妙な水着」(ジン→グラーク)は、「水に入ると溶け、水から出ると元に戻る」のだとか。『LJ』のDr. ヘルナイトが同じような水着をキリッサに着せていたが、発想それ自体はありがちなので、偶然と見ていいだろう。

  終盤の蟹座に、ネームド海賊として「宇宙海賊サイ」が出てきた。『海賊王冠』の強敵海賊「サイザー」を連想させるが、単なる偶然か、それとも意図的かは分からない。



  『呪いの魔剣に闇憑き乙女』(2017年3月発売)

  第25作。『勇者砲』につづく「チーム++」制作。作品の主要舞台は「ガラージュの街」。森と山に囲まれ、近くには川が流れている。世界像は典型的な中世西洋風ファンタジーもの。マナの力が存在する世界であり、魔物や魔族もいる。魔族には魔王がおり、基本的には人間領とは相互不干渉を守っているが、魔族内部にも様々な意見の対立があるとのこと。人間領には獣人族もおり、文化慣習の違いはあるものの、人間族と分け隔てなく共に生活している。人間社会には役所、労働組合、刑務所なども成立している。

  『勇者砲』と同じモブモンスターが登場しており、通貨単位もともに「シルバー」である。武器「グーガホーン」「ポッグバスター」なども共通。ただし、実質的な同一世界なのか、それとも単なる便宜的な再利用なのか、それとも同じチームによる作品であることを示す記号にとどまるのか、事情は判然としない。固有名詞レベルでの明示的なつながりは皆無なので、同一世界であると断言することはできない。

  小ネタとしては、温泉地に行くシーンがある(一枚絵あり)。ただし、葵屋などの固有名詞は出てこず、ごく普通の温泉お色気イベントとして切り上げられている。



  『領地貴族』(2017年8月発売)

  第26作。作品の舞台はブラウベル王国。北東と南西は海に面しており、北西にはイアド王国とララーサ王国、西にはマネ商業都市連合、東はネスト王国、南東にはガラート王国がある。

  他作品との実質的なつながりは、ほとんど描写されていない。
- 「魔物討伐」でベトらしき魔物が登場する。
- おまけシナリオで、通貨単位が「B(ブレッド)」になっている。この点に鑑みて、一応は共通世界に含まれると解してよいと思う。
- 温泉イベントあり。登場人物(発見した子供)の名前に因んで「アオイ温泉」と名付けられる。
私が気付いたのはこの三点のみ。それ以外は、一般的な西洋中世ファンタジー風世界をおおむね踏襲している。したがって、本作がそもそもソフトハウスキャラ共通世界に含まれるかどうかすら、判断できない。
- 主人公の息子の名前が「アルフレッド=マイレッド」。『アルフレッド学園』等となにか関連があるのか、それとも単なる偶然の一致なのかは不明。

  なお、この作中世界では、魔物はかなり珍しい存在になっている。また、魔法も一切登場しない。もしも本作がソフトハウスキャラ共通世界に含まれるならば、『門』くらいの時代になるのではないかと思われる。

  個別イベントや雇用職人として、エルフに相当する「森の民」や、ドワーフに相当する「山の民」は存在する。さらに「海の民」のキャラクターも登場するが、どのような種族なのか(人類なのか異種族なのか)ははっきりしない。



  『その大樹は魔界を喰らう!』(2018年4月発売)

  第27作。「チーム++」制作。魔界全体が舞台になっている。

  登場する一般ユニット(魔物たち)の多くは、『勇者砲』『呪いの魔剣』と共通している。ただし、同社旧作との具体的実質的なつながりは示唆されていない。だから、『勇者砲』『呪いの魔剣』と同一世界だと考えてもいいが、そう考えたからといって作品理解が深まるわけではない。あるいは、キャラクターのみが流用された別世界だと考えても、べつに困らない。ユーザーが自由に想像してよいだろう。例えば、同一世界であったならば、主人公の淫魔ファビオと、『勇者砲』の淫魔ティーナが、知り合いであったという可能性もある。最初の敵勢力がマナ砲台を所持した大魔族だというのも、『勇者砲』をちょうど逆方向から捉えた筋立てになっていて面白い。

  魔物については、別掲「ソフトハウスキャラ『チーム++』のモンスター」を参照。



  『悪魔聖女』(2018年11月発売)

  第28作。現代世界。

  作品の舞台は不明だが、アルフレッド学園が同じ地区にあるとのこと。また、加来山府に行ける場所のようだ(『真昼』『Dancing Crazies』の舞台)。メインヒロイン山村雲京香が通っているのはロータス学園(『LJ』『アウトベジタブルズ』にも登場した)。ただし、旧作のロータス学園制服とは異なっており、むしろ『DC』のシリウス学園の制服に酷似している。
  『LJ』との関連では、ヴァルキルの魔将キリッサ(のコスプレをしたヒーローショー)のシーンがある。また、サヤが「一石三鳥社」のロゴの入った服を着ている。『LJ』本編よりは後の時代だと見做してよさそうだ。
  『真昼』との関連では、小説家「コスモスタイガー」(=山春日霧姫)の名前が挙がっている。また、山村雲グループは山春日グループの下についているとのこと。
  「葵屋」も登場。ただし台詞で言及されるのみ。アルフレッド学園の「逢坂」という学生が登場するが、『葵屋』の逢坂一族なのかどうかは不明。
  妖怪たちが経営している温泉宿に行くイベントがある。
  ヒロインの一人「神時玉」は、『アルフレッド学園』『LJ』『アウトベジタブルズ』の巫女一族に連なる存在。「神時」の名字は『LJ』でも言及されていた。部分的に妖怪の血統が混じっているらしい。

  魔力操作に関する諸設定は、従来どおり。例えば、人間から魔力を大量収奪すると直前の記憶が失われるとか、魔力を結晶化して体外に出すことができるといった描写がある。

  魔界&天界に関して。
  敵モンスターとしてベト、ダークマン、ハラミボディが登場する。
  『BB』シリーズなどのフォーゼロッテ、ウルティニア、イザナ、パニバーナ、アイシエスの名前が出る。ルティは彼等と知り合いとのこと。
  クエアは天使族。200年前に天界からの魔力が人間界に漏出したため、人間界にも多少の魔力が存在する。

  小ネタ。「アスパラガスの変わった食べ方」。TVドラマ『愛情のない小僧は愛憎』。



  『巣作りカリンちゃん』(2019年12月発売)

  第29作。NEXTONとのコラボタイトル。主要キャラクターは、NEXTON(BaseSon)の『恋姫†無双』シリーズの登場人物をベースにしているが、「華琳」→「カリン」、「春蘭」→「シュンラン」のようにカタカナ化して一応別人という扱いになっている。また、作中世界は古代中国風ではなく、一般的な西洋中世風ファンタジー(>ソフトハウスキャラ共通世界)に近い。イメージとしては、『恋姫†無双』のキャラクターたちがSHC世界に転生してきたような感じになっている。

  作中世界のディテールは、ソフトハウスキャラ共通世界を緩やかに踏襲している。
- フウがギュンギュスカー商会の所属である。
- 魔物たちはソフトハウスキャラ(チーム++)過去作品のモンスター。
- 人間界とは別に魔界と天界が存在する。
- 魔界には多数(千人以上)の魔王たちがいる。
- ドラゴンが巨大な巣を張るという話。
- 魔力を結晶の形に固定した魔力結晶。
- 通貨単位「B(ブレッド)」。

  小ネタとしては、「アスパラガスの変わった食べ方」「愛情のない小僧」がある。ゲンブ部屋のリキオー」は、『LJ』の力王だろうか? サブキャラ「シッポ(CV: 風花ましろ氏)」と「ミダリ(CV: 綾音まこ氏)」の二人は、「プラスになるラジオ」パーソナリティとしての縁もあったと思われる。




  全体としては、以下のような時系列になる筈。以前にサイトで書いたことの再整理だが。

  【 中世的世界 】

1) 『王賊』『Wizard's Climber』:最も古い時代。根拠はメイア・クルセイダとルーン・ヴィレアトロが同門という描写から。公式サイトの記事では「一番古いのは『王賊』」だと述べているので、一応それを受け入れておこう(――ただし、『王賊』本編中には、時代設定を明示するような情報は無い)。
  典型的な西洋中世ファンタジー風の世界像である。竜族や魔物が闊歩し、人間の中にも魔法使いが多数存在する。政治権力及び軍事力は、第一義的には封建的諸勢力(王と諸侯)に掌握されているが、商人ギルド、魔法使い協会、教会などの勢力も存在する。
2) 『巣作りドラゴン』『ブラウン通り三番目』:ほぼ同じ時代。双方に「銀」のレイラ・スパルコアが共通して登場する(or言及されている)ことから。上記1)との時間的間隔は、作品によって不整合があるが、より新しい『Wizard's Climber』に則した立場をとるなら、せいぜい数十年の間隔でしかない。
3a) 『BUNNYBLACK』シリーズ:上記2)よりも後。『巣作り』のブラッドたち(の娘)が無印『BB』に登場していることから。『BB2』『BB3』ではダークスの娘たちが思春期相当の外見になっているので、無印『BB』からそれなりの時間経過が生じていると思われる。 3b) 『グリンスヴァールの森の中』:上記2)よりも新しい。『ブラウン通り』のセラ・エンジェルスカイが、伝説的魔法使いとして噂が伝わっていることから。ただし、セラの活動時期からどのくらい経過しているか(あるいはもしかしたら同時期なのか)は不明。左記『BB』シリーズとの先後関係も不明。なお、地理的には、『王賊』の舞台になった土地に近い地域のようだ(――間にレグルリア王国を挟んでいる)。
4a) 『悪魔娘の看板料理』。魔王がコゼロットに代替わりしているので、『BB3』よりも後。ただし、どのくらいの時間が経過しているのかは定かでない。『BB3』とほぼ同時代という可能性も考えられる。地理的には、カステの街の南がトライリース王国に面している。なお、この時点ではまだ、人間界における「魔力の衰退」現象は生じていない模様。
  ↓↓↓
  【 近世的世界 】

5) 『海賊王冠』『忍流』『門を守るお仕事』。銃器が発達しつつあるが、封建主義的政治体制もいまだ維持されている、近世的世界。人間界の魔力は減少しつつある。ただし、魔法使い、魔物、獣人族(亜人)も、稀な存在になってはいるが、いまだ公然と存在している。3作品間に直接の関係は無いため、詳細な前後関係等は不明。
  中世的世界に対しては、竜族(龍族)の噂のほか、『門』のロウメイがグリンスヴァール学園の制服を着ている(理由は不明)というつながりがある。現代世界に対しては、お宮の噂(『葵屋』と『忍流』)や、箱折アスカが水玄衆の末裔であるという話(『忍流』と『OV』)などがある。
  『領地貴族』も、同一世界であるならば、このあたりの時期になるだろうか?
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  【 現代世界 】 

6) 『葵屋まっしぐら』。葵屋妖猫四姉妹の両親世代の物語。
  この6)以降の時代には、魔力や魔物の存在は、一般人にはほとんど知られていない。ただし、精霊(アルフレッド学園の精霊など)、魔物(死神族リンテールなど)、妖(樫野扇村の四族や加来山の鬼など)、獣人族(葵屋の妖猫一族、白野三日月など)、龍族(月池一族)などはひそかに存在する。
7) 『うえはぁす』『真昼に踊る犯罪者』『アルフレッド学園魔物大隊』『LEVEL JUSTICE』。『LJ』は2003年と明言されている。葵屋妖猫四姉妹が活動している。また、日本では「なんでも屋」(山県一義ら)が活動し、ヨーロッパには元「なんでも屋」のエリオットがいる。これらの中では、『うえはぁす』がやや早い。ちなみに、アルフレッド学園の精霊(リアン)は、グリンスヴァール学園の精霊シャルロットの娘。
8) 『南国ドミニオン』『Dancing Crazies』『雪鬼屋温泉記』。緑山五月が社会人になっているので、『南国』は『アルフレッド学園』よりも後の時期。山県一義たちが勢力を伸ばしているので、おそらく『DC』は『真昼』より後の時期。葵秋風たちの状況からして、『雪鬼屋』は『真昼』よりも後の時期と考える方が自然。ただし、これら3作品の間に直接のつながりはほぼ皆無なので、細かな前後関係は不明。
9) 『アウトベジタブルズ』。一石三鳥社が発展していることから、『LJ』よりも後だろう。また、「雪鬼屋」が有名になっているので、『雪鬼屋』本編よりも後と思われる。『悪魔聖女』も『LJ』より後と思われるが、それ以上のことは、はっきりしない。
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  【 未来世界 】 

10) 『DAISOUNAN』。西暦212X年の未来。葵屋温泉はまだある。人類を含めて、知的生命体は「リーファ種」と総称している。
11) 『プラネットドラゴン』。西暦2316年の未来。葵屋温泉や逢坂屋は健在。妖猫の葵宮子と、なぜか山県一義やヘルオー様も存命のようだ。


  【 天界 】 

   古くから魔界と争っている。9部族(8部族+命神族)に分かれている。三領主やワダツミなどが人間界に介入したことがある(『BB』シリーズ)。メルエもこっそり遊びに来た(『グリンスヴァール』)。クーチェルも人間界に手を出した(『アルフレッド学園』)。他方で、竜族のリュミスが天界に侵入したこともあったらしい。
  魔界との間で、おたがい人間界には干渉しないという協定を締結しているが、上記のとおり、実際には様々な形で暗躍している、また、天界/魔界にとって脅威となる人間が現れないようにするため、人間界の魔力を除去するシステムを作動させている。
  【 魔界 】 

  古くから天界と争っている。初めて魔界を統一した大魔王ガイエスは、逝去した。第二代(現大王)のアイシエスが、天界との和解(休戦)を実現したらしい。王子の夏野雪継は、人間界のアルフレッド学園に移住している。大魔王の下で、何人もの魔王たちによって分割統治されている(フォーゼロッテもその一人)。ギュンギュスカー魔界公爵が運営するギュンギュスカー商会が、多くの作品に登場している。『DC』のリンテール(死神族)も元は魔界の住人。



  【 第二の世界?(チーム++の世界) 】 

  『その古城に勇者砲あり!』『呪いの魔剣に闇憑き乙女』『その大樹は魔界を喰らう!』の世界。西洋中世ファンタジー風世界像だが、上述のグループとはつながりが一切無い。遠く離れた地域なのか、あるいはそもそもまったく無関係の創作世界であるのか、詳細は不明。
  また、この3作品間の関係も不明。モンスター名や通貨単位が共通しているので、同一世界と捉えることも可能だが、具体的なつながりは一切示唆されていないので、それぞれ別の世界だと考えることもできる。



  【 ??? 】 

  『巣作りカリンちゃん』の世界。ソフトハウスキャラ共通世界、チーム++の世界、『恋姫†無双』世界の3つの要素が混じり合っている。コラボタイトルという外在的要因もあり、どのように位置づけるかは非常に難しい。





  以上の関係を図示する(「チーム++」系統と『カリンちゃん』は省略している)。blggrの仕様上、アップロードできる画像のサイズ(容量/長さ)に限界があるため、分割掲載している。機会があればフルサイズ一枚でなんとか再掲したい。