2016/10/09

『王賊』再プレイの雑感

  再プレイしての、いろいろな感想やメモ。


  竜兵隊が強くて便利でとっても楽しい。「飛竜隊は無敵無敵ー!」(CV:大波こなみ)
  竜兵隊に限らず全般に、ピーキーな(強い)ユニットよりも、動きが軽快で汎用的に使い勝手の良いユニットの方が好み。だから、この作品では弓騎兵隊も重用したくなる。もっとも、戦闘マップが狭いので機動力の高さはあまり活かされないのだけど。

  「うぎゃああああ!」「憎いいいい!」「また殺すのかあああ!」
  渋谷氏のアンデッド(モブ敵ユニット)の芝居が真に迫っていて凄い。
  それと、主にヴィストモブ女性キャラでのとても目立っていたのは民安氏のお声だった。

  以前のsvdtを掘り返してみたら、ユニット名がいろいろリネームされて「ブラッド・ライン」とか「ガンジェット」とか「ロベルト・カーロン」とか「ロンギュスト2世隊」とかになっていたのは……9年前の自分からこんなことをされるとは。

  カーディルの芝居、やっぱりこれではあの方とは分からないよなあ……。当時このあたりのむにゃむにゃに反応を出せなかったのも、これでは仕方ないから恥ずかしくないもん! というか、これで分かる方が凄い([tw: 37103883247427584 ])。


  【 ユニット育成 】
  ユニットを理想的な状態まで育成するには。
  ランクSにするだけならば、経験値増加スキル+「名将」スキルのジン軍団長の下に配置して、「ダンジョン2」をひたすら出入りすれば、12分程度で出来る。ユニーク傭兵3隊を含めて、一般ユニットは最大89隊まで持てるから、30*12=360分、つまり6時間もあれば完成する。

  ただし、称号を含めた最強状態にするには、「技術」系はスキル使用1000回、「魔法」系でも350回ずつ魔法スキル使用しなければいけない(――もちろんその過程で大量の経験値を獲得するので、ダンジョン出入りは基本的には不要になる)。さらに、治療系スキルを取得できるユニットは、「治療」称号の方が上なので、まず治療系スキルを取得させてから治療スキルを300回以上使用し、そのうえで目当てのスキル編成に付け替えるという形になる(――歩兵隊などは、Sランクにならなければ治療スキルを入手できないので、まずはダンジョン出入りでさっさとSランクにしてから称号育成に取り組む方が効率的になる)。
  手許の配下100ユニットのうち、「技術」系称号になるユニットは約40、「魔法」系は15、「治療」系は45。一戦闘あたり「平均2軍団(8ユニット)が参加して、それぞれ平均4回ずつ所定スキル使用する」とすれば、「技術系」ユニットは全部で(40/8)*(1000/4)=1250回戦闘する必要があり、同様に「魔法」系は(15/8)*(350/4)=164回、「治療」系は(45/8)*(300/4)=421回、つまり総計で1835回も戦闘を行う必要がある。一戦闘あたり4分かかるとすれば、7340分(=122時間)も掛かる。さらに、出撃制限、敵撃破、スキル使用可能数、スキル使用対象などの条件があるので、実際にはもっと非効率になる(もっと戦闘回数が多くなる)。しかも、最も時間効率の高いのは、「瀕死の敵ユニットを一隊だけ残してひたすらスキルを空撃ちする(または対象ユニットを一つ残して、回復させつつ殴る)」という退屈きわまりない方法になってしまう。さらに、そこまでやってもたいして強くならないのがまた悲しい。さすがに時間的余裕のある学生時代ですら、実行しきれなかった。

  昔のsvdtを持ってきて多少上積みした現時点で、汎用86隊+ネームド傭兵3隊のうち24隊が、最上位称号まで手に入れた完成状態になっている。残りは65隊、しかもその半数以上は、膨大な量のスキル使用を必要とする「技術」系ユニット……まだまだ遠すぎる。ランク(レベル)だけを取って見れば、大部分がSランクになっているので、もう十分強い陣容だし。

  webラジオを聴きながら(ゲームの音声はOFFにして)、汎用ユニットすべてを育成完了した。ネームドユニット11隊は、周回すると初期化されるのでどうしようもないが。ちゃんと効率を考えつつ、マルチタスクでやりくりすれば、案外なんとかなるようだ。退屈さも、webラジオを聴くことで宥められた。「覇道」リーダーの下に置いて運用すれば、スキル習得ポイントの無駄遣いも最小限で済む。しかし、超多槍射砲隊や投石機隊はネタとして育成を楽しめたが、ナメッド隊や汎用傭兵隊はあまりにもつまらなくてなかなか気が進まなかった。ひたすら「叱咤」「咆哮」を連呼するしかないし、称号獲得してもちっとも報われないのがつらい。一応、士気や戦闘速がちょっとは上がるし、「攪乱」「突撃」を5ターン丸々使えるようにはなるけれど。

  一戦闘でのスキル使用可能数を手っ取り早く増やしたい時は、味方攻撃による「地獄」系称号が便利。ほんの25回(25ユニット)当てるだけでよいし、これを上書きする「技術」系称号もスキル使用回数を増やしてくれるので、途中の落ち込みが無い。「治療」系や「魔法」系も、スキル連射して効率的に称号を上げていくのに便利なので、「地獄」系経由でもいい。
  治療行動も味方攻撃もできないユニットは、周回プレイで使って鍛えていくのが精神衛生上良さそう。あるいは、敵を生殺しで放置して「隊列」「説得」「叱咤」「激励」「咆哮」を使うとか。特に巨人隊や超多槍射砲隊が安全/確実/簡単/高速にスキル使用回数を稼ぐには、おそらく「叱咤」くらいしかない。「叱咤」「咆哮」は、1クリックでコマンド実行が済むのも助かる。
  「叱咤」「咆哮」を連打するとして、1ターンに3軍団×3隊×5フェイズ×2(自/他)=90回スキル使用できるとすると、2~3ターンに一つずつ称号が上がるペースになる。技術系称号タイプは40ユニット程度、最上位称号の条件はスキル1000回使用なので、40*1000/90=444.4ターン掛かる。1ターンに平均3分掛かるとすれば、全体で22時間以上。不可能な時間ではないが、なんとも不毛な時間だ。

  汎用86ユニットの内訳は、「基本的に各兵種2隊ずつ」、「軍団長用ユニットは別途確保」、「強力なユニット(大魔法使いやミックス)、有益なユニット(輸送隊は何隊いても困らない)、便利なユニット(弓騎兵隊)、入手困難なユニット(漆黒騎士やドラゴン)、スキルヴァリエーションの豊富なユニット(ベト)、可愛いユニット(獣人隊)などは3隊以上キープしておく」、「無能ユニットやスキルヴァリエーションの乏しいユニット(巨人隊、投石機隊、超多槍射砲隊)、ユニークユニットと重複するユニット(傭兵隊)は1隊のみでよい」といった感じにすると、ほぼきれいに埋まる。
  スキルは、強力なものを選ぶとだいたい剣舞連続(+剣の才能)や大暗黒魔法(+高速詠唱)ばかりになってしまうので、さほど面白味はない。むしろ軍団長を構想する方が楽しい。

  移動力は、歩兵隊でも基本2歩+「神速の構え」+「歩兵将軍」効果+治療系上位称号で5歩移動できるようになったりする。ルティモネでも、「神速の構え」と「魔法将軍」で4歩まで伸ばせる。最大はおそらくケーニスの9歩(基本6歩+「神速の構え」+治療系上位称号+「逃亡の心得」発動時)。戦闘マップは横9マス/縦10マスなので、9歩あればほぼ全域がカヴァーできる。弓騎兵隊も、基本4歩に「騎兵将軍」「弓矢将軍」「神速の構え」の効果を加算できるので、7歩移動できる。


  【 テキストの雰囲気をコントロールする 】
  『王賊』には、人死にの描写は無い。戦争SLGなので、SLGパートではモブ兵士たちは大量に戦死している筈だが、少なくともテキスト上では、人の命を奪ったり奪われたりする描写は、事実上皆無だった(――ただし、唯一の例外として、ゲームパートでジンのユニットが撃破されると絶命テキストとともにデッドエンドになるが、これはSLGパート上の現象でもあり、主人公に特有の表現でもあり、ゲームオーバーという通常期待されない状況でもあるため、死亡表現があるのは妥当だろう)。撃破した敵国将軍たちもうまく落ち延びる(そういうテキストが挿入される)し、カーディルたちもエンディング後まで生き延びている。国内反乱を煽動したロウズの街の悪徳商人どもですら、アルイエットの助命を承けて極刑にはしなかった。内藤テキストは、幕間のイベントでも兵士たちもユーモラスな会話を頻出させており、人死にを直接描かないのも、作品全体の雰囲気を陰惨にしないための意識的なチューニングなのだろう。

  ただし、SHC作品が死の描写を避けているということではない。他の作品では、『海賊王冠』(進行によってはキルンが捕縛処刑される)、『真昼』(ルネリア殺害の記憶)、『LJ』(イヴ解体)、『巣作り』(マイトがドゥエルナに)、『南国ドミニオン』(ゲームパート上の行動として、いつでも誰でも)、『DC』(姫子たちが暗殺される)、『BB』(ラスボス[マイケル]を消滅させる)、『BB2』(オルデウスが殺される)、『悪魔娘』(テルミナ王)などがある。もちろん、デッドエンドでの主人公死亡も。


  【 獣人隊の使いやすさ 】
  物理系の一般ユニットの中では、獣人隊が一番良いかも。連続剣舞が使える中では、3歩あって攻撃力も高いのはこのユニット(と忍隊)だけ。歩兵に「歩兵将軍」を利かせたり、侍隊に「神速の構え」を付けたりすればほぼ互角になるが、裏を返せば獣人隊はスキル無しでもその水準のスペックを持っているということだ。しかも、士気初期値が高いのも強み。忍隊もほぼ互角だけど、あちらは声が、ね……。

  ただし、究極的には、「治療女神」称号の精鋭歩兵の方が強い。称号のおかげで移動力が並ぶし、攻撃力の差は基本スキルの性能差で補えるし、運営費も同じだし、なにより防御面で大きく上回るので、外見と声以外はほぼ上位互換になる。「連続の構え」の上位スキル「連撃の構え」を取れるので、単体の与ダメージ最大値でも、獣人隊の(260+500+200+50)*2=2020に対して精鋭歩兵の(120+500+200+50)*3=2610の方が上回る。獣人隊が上回れるのは、スキル使用可能数くらい。技術系最上位称号を取れば、「剣舞」のデフォルト使用可能数が5回になるし、固定スキルの「格闘」も13回も使えるので、突破力と継戦能力に十分な余裕が出来る。「精鋭歩兵+治療女神」だと、「剣舞」を3回しか使えないので、連撃1回ですぐに息切れしてしまう。

  もちろん、軍団編成は状況に合わせた最適化の問題なので、登場が早くてすでにランクアップしているユニットの方が強いという状況もあるし、治療スキル持ちの歩兵の方が使い勝手がよい場面もありうるし、「騎兵将軍」の下に騎馬隊を並べるのも強力だし、後方の魔法使い隊を攻撃するのに弓兵/弓騎兵を複数運用する方が総合的に安定するという場合もありうる。

  しかし、単体のデフォルトでのスペックが高い(しかも運営費も程々)ということは、それだけスキルを載せて汎用的に活躍できる余地が大きいということでもある。特に軍団長に起用しやすくなるのが強みになる。全面強化リーダーとして汎用的に陣頭に立たせたり、経験値割増スキルを付けて周回育成用の堅実なリーダーにしたりすることができる(――ただし、「○○将軍」スキルは取れない)。これが歩兵リーダーだと治療系上位称号を取らせるのがまず大変だし、騎馬隊だとリーダーにするにはやや脆い。侍隊リーダーも、獣人隊と比べて特にアドヴァンテージは無い。魔法使い隊は先頭に立たせるのは危険だし、竜兵隊は出撃コストが嵩みすぎる(獣人隊の約3倍の金額)。鬼人隊も、リーダーに据えれば移動2歩もデメリットにはならないが、やや費用が高いし、強力な魔法スキルを取得できるのでリーダーにするにはもったいない。

  もっとも、べつに物理系一般ユニットに限定する必要は無いので、(大)魔法使い隊や鬼人隊、竜兵隊や魔物系ユニットをどんどん起用していった方がはるかに強いのだけど、そこはそれ、実利ばかりに拘泥しない軍団編成のロマンというものもある。


  【 スキル雑感 】
  物理系ユニットのスキルは、「剣舞」「連続(連撃)の構え」「剣の才能」に、用途次第で「英雄の憧れ」「対剣撃防御」「神速の構え」「絶」あたりを入れるのがオーソドックスだろうか。歩兵系や暗黒騎士は「連撃の構え」を習得できる分、スキル使用可能数で息切れしやすいので、「突刺」などを取っておくのもよいかもしれない。1軍団対3軍団の戦いでは、弾切れになる可能性は十分ある。また、足の遅いユニット(速度でも移動力でも)は、乱戦状態に後から入ってくることになるので、周囲の味方を巻き込む「剣舞」は使いにくいというのもある。
  「絶」は、重騎兵隊や獣人隊などの攻撃力の高いユニットにつけると、わりと楽しい動きができる。さらに「神速の構え」も付けると、味方ユニットの支援もできるし、敵軍の後方にも回り込める。ただし、いずれも非常に脆いので、味方ユニットとの連携が必要だが。輸送隊に「絶」をつけても、非常に使い勝手が良くなる。
  (大)魔法使い隊やモエルモンを単体運用する場合は、「大火炎魔法」よりも「火炎魔法+高速詠唱」の方が良い。こうすれば、「武道」系の軍団長スキルが無くても、それなりの威力の魔法を連射できるようになるので。本作では、瀕死ユニットでもわりと大きなダメージを出してくるので、多少オーバーキルしててでも確実に撃破できる方がメリットが大きい。「(大)流氷魔法」のスタン効果もありがたかったものだが、ランクアップ引継ぎしていると最大ダメージでどんどん撃破していく方が楽になる。


  【 各国の人口規模 】
  再プレイしてみても、ヴィスト王国があれだけ急激に伸長した事情はよく分からない。そして、その大国が、明白な弱点があったわけでもないのにあれだけ短期間に滅亡したというのも。案外小規模な国同士の競り合いであったのならば、かなり極端な伸び縮みがあってもおかしくないが、どのくらいに推測できるだろうか。
  試しに推算してみると、オープニングでは、国土を半分制圧されたエルト王国でも常備軍が3万人いたので、人口全体では100万人前後はあると推測される。さらにヴィスト王国や奈宮皇国はその数倍の大国なので、『王賊』に登場する各国の人口を総計すると、間違いなく1000万人の桁に乗っているだろう。そうすると、日本だと16世紀頃(ちょうど戦国時代)の人口。中世/近世ヨーロッパで考えると、ドイツあたりの一国内の戦乱程度に収まる。ヴィスト王国もエルト王国も神楽家領国も、「国」というよりもせいぜい諸侯レベルの勢力規模だったのかもしれない。
  このくらいの規模だったと考えると、各勢力の急激な伸縮も、各国の人材の少なさも、盗賊団程度が幅を利かせたりするのも、ほんの一つ一つの砦が戦略上きわめて重要なプレゼンスを持っていたのも、八重の情報網がちゃんと機能していた(私設忍者たちだけで各国の情報を的確に収集し迅速に伝達できた)のも、エルト王国軍が同盟諸国へ柔軟かつ迅速に援軍を派兵できたのも、わりと納得がいく。


  【 超多槍射砲隊、最大ダメージ 】

『王賊』 (c)2006 ソフトハウスキャラ
「見よ、これが我々の戦果だ!」 これはこれで、妙な達成感がある。

 超多槍射砲隊の運用は、メインスキルの「超多槍射」の命中率が著しく低い(たぶん50%)ので、そのままでは使えない。実用性を考えるならば、「槍刺」「格闘」の確実性の高い攻撃スキルを習得させるか、あるいはいっそ軍団長に据える方がましだろう。しかし、そもそもこのユニットを使うこと自体が趣味なので、「みんなの憧れ」仕様にしてみた。スキルは付け替え可能だし。

  軍団長の下に置いてスキルを選別すれば、戦闘速は75、物防は最大40、魔防は最大25、「超多槍射」スキル使用可能数は最大で10×6=60発まで増やせる。マスクデータだが、物理攻撃力は基本攻撃力200に「神剣の構え」「英雄の心得」「賢者の陣」「死者の陣」「青竜の陣」「○○の王者」の効果を全部乗せれば、物理攻撃力は1000になり(200+50+150+100+150+150+200)、これで「超多槍射」スキルを命中させると1500~2800の大ダメージになる(実測値、以下同様)。これは、同様に徹底的に強化した竜隊の「突撃」のダメージにほぼ匹敵する、単発最大級ダメージになる。もっとも、そこまでピーキーに特化しても、命中率の低さのせいでとても実用レベルにはならないし、他にも強力な攻撃手段はいくつもある。「単発ヒットのダメージ」ではなく「単体対象のダメージ」「一行動での合計ダメージ」で見れば尚更。

  例えば、軍団長スキルの効果を乗せた漆黒騎士の「剣撃」+「波状の構え(最大8連続攻撃)」だと、1800*8=14400が出せる計算になる(おそらくこれが単体対象への最大ダメージ)。他のユニットからの追撃が入れば、さらに伸びて1800*(8+5)=23400になる。攻撃を受ける側のスキル編成によって、ダメージを軽減/回避することもできるが。
  同じく、魔法攻撃力をひたすら強化して「魔・隕石落」を命中させると、3200~3800程度のダメージが出る(単発最大ダメージ)。そしてこれを連続詠唱して15マスすべてで命中した場合、発生するダメージの総量は3800*15*2=114000にもなる(一行動最大ダメージ)。ただし、敵味方を問わないランダム命中なので、実用上は「大暗黒魔法」+「高速詠唱」の方が良い(2700*18*2=97200ダメージ)。魔法攻撃を強化するのは、「英雄の心得」「魔法の才能」に軍団長スキル「知者の陣」「賢者の陣」「白虎の陣」「魔法将軍」「○○の王者」。場合によっては「覇道」系スキルに差し替える。軍団長はルティモネが適任。