2019/07/15

ソフトハウスキャラ作品の進行分岐

  ソフトハウスキャラ作品の進行分岐、エンディング分岐について。


  プララジ#32で、『王賊』はSHCとしては珍しく分岐のない一本道だという話が出ていた。おおまかに言えば、目立った分岐が存在しないストレートな展開なのだが、細かく見れば必ずしもそうではない。たしかに本筋ストーリーは決まっているけれど、エンディングは進行度(アルイエットの成長度)によっていくつかのパターンに分かれる。その意味では、『うえはぁす』や『海賊王冠』と同じようなものだ。また、本筋以外にも多数のサブイベントがあり、それらに挑戦したり無視したりすることもできるので、完全な一本道というわけでもない。むしろ『BB』シリーズの方が、エンディングが一つしかないので、完全な一本道だと言える。


  ゲーム進行が一本道かどうかという問題は、以前にも書いた憶えがあるが、せっかくだからもう一度整理してみよう。

1) エンディング。
  1a) EDは一種類のみか、それとも複数のパターン(マルチエンディング)があるか。途中でドロップアウトするバッドエンドを、独自のエンディングとしてどこまで認めるかは難しい。SLG作品の場合は、ゲームパート上の失敗がバッドエンドになる場合も多い。
  1b) 本筋のEDは一種類のみでも、サブエピソードにヴァリエーションがある場合。

2) マクロレベルの分岐。
  2a) 択一的な分岐が生じるか。たいていのAVG作品は、選択肢によって事実上このレベルの分岐機会を持っている。SLG作品では、必ずしもそうではない。
  2b) 択一的ではないにせよ、進行のヴァリエーションがあるか。それとも、進行するイベントチェーンそれ自体は完全な一本道強制であるか。
  2c) AVG+SLG作品では、AVGパートの分岐とSLGパートをそれぞれ別個に考える必要がある。ゲームパートは基本的に変化しないがAVGパートのイベントは分岐するというタイプもあるし(例:『悪魔娘』)、AVGパートの本筋は変わらないがSLGパートには多くの変化が生じるという場合もある(例えば『BB』シリーズ)。さらに、双方がフラグ連動している場合も多い。

3) ミクロレベルの多様性があるか。
  3a) 読み物AVGでは、このレベルの多様性は基本的に存在しない。その一方、SLG作品では、唯一解のパズルゲームでもないかぎり、ほとんどのタイトルはこれを満たすだろう。

  SHC作品をざっとレヴューすると、以下のようになる(※記憶違いだったらゴメン)。

タイトルED分岐マクロ分岐ミクロ多様性
葵屋まっしぐら
うえはぁす
海賊王冠
真昼に踊る犯罪者
アルフレッド学園魔物大隊
ブラウン通り三番目
LEVEL JUSTICE
巣作りドラゴン
南国ドミニオン
Dancing Crazies△(姫子生死など)
グリンスヴァールの森の中
モード制

モード制
王賊△(鍋は択一)
Wizard's Climber
モード制

モード制
DAISOUNAN
忍流
BUNNYBLACK×
雪鬼屋温泉記
モード制

モード制
BUNNYBLACK2×
門を守るお仕事
BUNNYBLACK3×
アウトベジタブルズ
悪魔娘の看板料理
その古城に勇者砲あり!○(ルート分岐)
プラネットドラゴン
呪いの魔剣に闇憑き乙女○(ルート分岐)
領地貴族
その大樹は魔界を喰らう!○(ルート分岐)
悪魔聖女

  1) エンディング分岐について。○は、複数種類のエンディング(またはラストエピソード)がある。△は、本筋EDは一種類だがサブエピソードにヴァリエーションがある。×は、完全な一本道。
  2) マクロ分岐(通常の意味での分岐展開)について。○は、イベントAを発生させたらイベントBは見られなくなるといったような択一的展開がある。ターン制限によって事実上併存不可能になる場合も含む。△は、絶対的な択一ではないが、裁量的な取捨選択ができる(特にサブイベントの実行が任意である場合)。×は、分岐多様性が一切存在しない(※そのためエンディングも一種類になるのが通例だが、ミクロレベルのフラグによってED分岐することはあり得る)。
  3) ミクロ分岐について。ゲームパートの細かな変動があるかどうか。SHC作品の場合は、ほぼ全ての作品が○になるが、『悪魔聖女』のみは多様性がきわめて小さいので△。

  こうしてみると、チーム++のタイトルはどれも、ゲーム中盤でヒロインを絞り込むルート分岐型の構造になっている。SHC作品の中では特徴的だ。