2025/03/05

漫画雑話(2025年3月)

 2025年3月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

●新規作品。
 furu『ひなたとお兄ちゃん』第1巻。異界の怪物たちに破壊されたポストアポカリプス状況で、空は黒い霧に覆われた常闇世界になっている。主人公男性(兄)は実はモンスターであるにもかかわらず、視覚障害の妹(人間)を保護しつつサバイバルしているという屈折した関係。おそらくホラーでもあり、サバイバルものでもあり、主人公の行動原理を巡るミステリーでもあり、そしてさらに、一年後には兄が絶命することも予告されているというカウントダウンドラマでもある。読み続けるかどうかは、うーん、ひとまず次も買ってみよう。
 雁木真理『妹は知っている』第1巻。兄は抜群の切れ味を持つラジオ投稿職人だが、職場では寡黙で不器用。そして妹(アイドル)は、兄の本当の面白さを確信している……というシチュエーション。かなり強引な設定ですぐにネタ切れしそうだが、今のところは上手く行っているし、周囲の登場人物もキャラが立っているし、決めゴマの表情も良い。ちなみに、バスト露出描写やベッドの事後シーンなどもあるが、エロコメではない(※作者の過去作にはエロコメ寄りの作品もあるようだ)。


●続刊等。
 ヨシカゲ『神にホムラを』第3巻。1950年代の数学漫画。数学者漫画は、近年でも『天球のハルモニア』などがあったが、いずれも短命に終わっていた。本作は順調そうで何より。作者のヨシカゲ氏は、これまで芸術家漫画とお色気バトル漫画を連載してきた多才なクリエイターで、今作でも、本来は紙の上だけで展開される数学的思考を、迫力ある形でヴィジュアライズしている。

2025年3月の雑記

 2025年3月の雑記。

 03/04(Tue)
 
chitocerium「hydra」の上半身を撮影。ディテールを写真に反映させるのが難しい……。
MD「朱羅:九尾(祭)」。素肌パーツはそのままで、着衣等はパールコート、頭髪には筆塗りでシェード(毛筋)表現、そして爪や模様部分にもレッドを乗せた。

 chirtocerium「hyrda」も完成。グレー+パール(頭髪)、ゴールド(王冠パーツ)、レッド(王冠パーツ)は吹き付け塗装で、それ以外は無塗装。レッドは成形色のままだとテカテカで下品なので、グレーを混ぜた塗装で彩度を下げた。
 キットの完成度は非常に高い。股関節の構造などに意欲的な試みが見られるし、上腕の布地表現なども上手く決まっている。キャラデザの観点でも、ツンデレ風味の強気ツインテール女王キャラという、オーソドックスで受けの良さそうな路線できれいにまとめている。シルエットは、第1作「platinum」に戻ってきたような感じ。「platinum」(スレンダー)→「carbonia」(頑健)→「tanio」(※ネコ)→「albere/efer」(低年齢)→「urania」(やや小柄)と来て、今回の「hydra」も高さ17cmのスレンダー体型になっている。
 杖のレッドパーツ(眼の部分)は、変形時には王冠に取り付けるよう指示があるのだが、気づかずに接着してしまった。まあいいか……。

 MD「九尾(祭)」は、四肢やボディを最新版にアップデートしてある。先月も述べたように、肘関節をシンプルな一軸ジョイントにしたのは、今後も踏襲していくのだろうか。メリットは「素人でも組みやすく」「分解補修も容易で」「腕パーツの合わせ目も出ない」「シルエットもおおむねきれい」で、デメリットは「保持力がやや低い」「見る角度によっては不格好」あたりだろうか。BANDAIキットのように肘の内側が丸く膨らむジョイントは苦手なので、こういうシンプル関節も選択肢としてありだと思う。
 朱羅系列ではあるが、元々の(最初の)「忍者」キットから残っているパーツは、おそらく頭髪の一部だけ。「テセウスの船」を完遂するまであと一歩!

 「時雨」は、連装砲も1/350スケモとほぼ同サイズなので、丸ごと置き換えることも出来るだろう。見比べてみると、精密感とディテールの繊細さは、さすがにオーセンティックな艦船模型パーツの方が上回っている。「時雨」の方は、モールドが大味で、誇張が激しい。ただし「時雨」の方も、スライド金型を導入して、ひとまず必要なディテールが再現されるようにワンパーツ成形しているので、頑張ってくれてはいる。


 春アニメのメモ。cf. [ https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=5228 ]
 現時点で64タイトル(+再放送5タイトル)が記載されており、そのうち2期が9本、3期以上やスピンオフが9本。続編率28%はやや低め(※この冬クールは続編率34%だった)。

 嬉しいことに、オリジナルアニメが9本もある。具体的には、遠未来のホテルもので旧GAINAX系のスタッフが多そうな『アポカリプスホテル』、既存のyoutuberキャラをアニメ化した『ツインズひなひま』(AI作画を大幅に取り入れているらしい)、キャラクターCD発の『華Doll』(※オリジナルとは言いがたいかも)、群馬舞台の『前橋ウィッチーズ』、Yanmar社が関わっている遠未来オムニバス『未ル わたしのみらい』、架空の薬害サスペンスとおぼしきネタが被ってしまった『ユア・フォルマ』と『LAZARUS』、そして上松範康氏が関わっている音楽ものの2本『クラシック★スター』『プリンセッション・オーケストラ』。このうち、『ホテル』『未ル』『フォルマ』『LAZARUS』『クラシック』あたりは視聴してみるつもり……多すぎて大変なのはともかく、オリジナルアニメが豊作なのはたいへん喜ばしい。

 そして、SF豊作のシーズンにもなるようだ。上記『ホテル』『未ル』『フォルマ』『LAZARUS』に加えて、エイリアンコメディの『宇宙人ムームー』、悠木碧氏がサブモンスター役を一手に引き受ける(?)『かいじゅうせかいせいふく』、金元寿子氏主演の『GAMERA Rebirth』、ガンダム新作、そして格ゲー由来の『GUILTY GEAR STRIVE』もSF設定があるし、中国アニメの吹き替え(?)の『この恋で鼻血を止めて』もウルトラマンっぽい宇宙人寄生シチュエーション。どれも面白そう。

 その一方で、ファンタジー/異世界ものは、やや数を減らしている。洋風ファンタジーでは、キャストが物凄い『ある魔女が死ぬまで』、『天才治癒師~』、『片田舎~』、小松未可子氏が少年役で主演する『勘違いの工房主』、『完璧すぎて~』、『ゴリラの神』の6本に、それから転生ものの3本がある。これら洋風ファンタジー世界の14%は、前クールの36%から大きく下落している。さらに、和風ファンタジー2本と、現代世界ファンタジー5本などがある。和風歴史ファンタジーの『神統記』は、田村睦心氏が青年役で主演される。

 学園ものやラブコメは、2024年はたまたま人気作品が続いたが、この春クールは再び沈滞傾向にある。学園ものが3本と、ラブコメ5本、さらに恋愛中心のタイトルが2本。『小市民シリーズ』2期は、神戸守氏がひきつづき監督であれば視聴する。エロコメ寄りの『鷹峰さん』は、いったいどのような映像でアニメ化されるのか……。ちなみに、部活/ホビーものも4本に留まる。

 その他。動物ものがわりと多くて7本(『コウペンちゃん』)。バトル系ジャンルも9本に及ぶ(『真・侍伝 YAIBA』も、女性声優が少年役を演じている……ショタ豊作のシーズンになりそう)。歴史要素のあるタイトルも4本(『アン・シャーリー』など。『ニンジャバットマン』って何?)。音楽ネタも4本、スポーツ2本、ミステリ2本、ロボット2本。

 女性主人公と思われるタイトルは28本と、かなり増えた。
- 狭義(?)の女性向け:『ある魔女』『アン』『完璧すぎて』『ゴリラ』『ディナーのあとで』『ロック』。
- 男女恋愛もの:『阿波連さん』『九龍ジェネリックロマンス』『鼻血』。
- 実質的に男性向け=萌え系や女性だらけ:『ウィッチウォッチ』『グレイ』『ざつ』『スライム』『ダークエルフ』『ツインズ』『忍者と殺し屋』『鷹峰さん』『ボールパーク』『アイプリ』『前橋』『mono』。
- その他、女性主人公もの:『ホテル』『ムームー』『GAMERA』『GQX』『中禅寺先生』『ばいばい、アース(2期)』『プリンセッション』『フォルマ』。

 キャストの観点では、先述の『ある魔女』が種﨑氏、日笠氏に榊原氏も出演される。『ウィッチウォッチ』も素晴らしい座組。ファイルーズあい氏は『ばいばい、アース』『ボールパーク』で主演。上田燿司氏は『悪徳領主』『ボール』に出演される。
 
制作スタッフに着目しても、いろいろと興味深いものが見えてくるが、さすがにそちらはジャンルやキャストのように一律の評価はできないので、ここでは割愛。 監督の過去作を他チェックすると、新作の方向性がある程度予想できたり、スタッフ編成を見ればクオリティ面の期待ができたりするが、実際にどうなるかは蓋を開けてみなければ分からない。

 ラインアップ全体として見ると、キャッチーな大作は少ないものの、意欲的なオリジナル作品が多く、非常に恵まれたシーズンになりそう。実際、各作品がどのくらいのクオリティで、いかに意欲的な表現を追求してくれるかは分からないけれど。


 近所のセリアにもガールプラモ関連グッズコーナー(ではない)が出来ていたので、いろいろ買ってみた。ドラム缶風呂に入れてみたり、木箱の上で格好をつけさせてみたり、浮き輪を持たせてみたり、檻の背後に置いてみたり、作業用ヘルメットでTHEガッツさせたり、小箱の中にあれを入れて『SE7EN』ごっこをさせたり、洋式便器に座らせたり、ポリバケツでメリークリスマスしたりと……なんだか楽しみ方の方向性がおかしいな?
 釣りのジグ(ルアー)も置いてあったので、試しに買ってみた。3本の針にそれぞれ返しがついていて怖いし、鉛製なので重たいし、針がクルクル動いて扱いづらい。もちろん、これ自体は百円ショップのチープな小物に過ぎないのだが、釣り趣味の人たちがどういう道具を使っているのかについて、ちょっとだけ実感を伴って理解が進んだ。
 それにしても、商品のクオリティからして300円かと思っていたら、100円だったのに驚いた。カプセルトイだったら、下手をすると500円でもおかしくないくらいの出来なのに……どうやったらこれを100円で販売して事業が成立するんだ……。


 アニメ『通販』第8話。ついに小林ゆう氏のキャラ(トラ獣人)が登場し、長縄氏のキャラも(脚本アレンジして)ひきつづき出番があってホクホクしていたら、最後に小清水亜美氏(貴族婦人キャラ)まで出演された。というわけで、キャスティング面では、今期トップクラスに贅沢な作品になっている。こういうコスト配分は大歓迎。
 小清水氏は、自由闊達なキャラのようでいて、芝居に関しては非常にデリケートで誠実な台詞解釈をしたうえで、それを演技の表情づけとして構築されている。真面目すぎるので、時として大人しい芝居になってしまう場合もあるくらいだが、たいていの場合はたいへん鮮やかで説得力のある語り口を映像に乗せてくれる。そういう意味で、私が最も信頼している役者さんの一人。

 『全修。』第9話は、今回も充実した内容になっている。前半は総集編的な進行だが、それが後半に向けての布石としてきちんと機能している。バトルシーン動画も、相変わらず良く動いている。
 最初の4話はかなり退屈だったのだが、第5話から影の濃い描写が増えてきて、第7話からは本格的にキャラクターの掘り下げに向かっており、さらにはこのアニメ内世界の構造と運命へと焦点が移りつつある。

 『ソロ討伐』第9話は、急激にクオリティが落ちた。絵はろくに動かないし、レイアウトも美しくないし、脚本もチープで、まるで見どころが無い。