2025年3月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
●新規作品。
furu『ひなたとお兄ちゃん』第1巻。異界の怪物たちに破壊されたポストアポカリプス状況で、空は黒い霧に覆われた常闇世界になっている。主人公男性(兄)は実はモンスターであるにもかかわらず、視覚障害の妹(人間)を保護しつつサバイバルしているという屈折した関係。おそらくホラーでもあり、サバイバルものでもあり、主人公の行動原理を巡るミステリーでもあり、そしてさらに、一年後には兄が絶命することも予告されているというカウントダウンドラマでもある。読み続けるかどうかは、うーん、ひとまず次も買ってみよう。
雁木真理『妹は知っている』第1巻。兄は抜群の切れ味を持つラジオ投稿職人だが、職場では寡黙で不器用。そして妹(アイドル)は、兄の本当の面白さを確信している……というシチュエーション。かなり強引な設定ですぐにネタ切れしそうだが、今のところは上手く行っているし、周囲の登場人物もキャラが立っているし、決めゴマの表情も良い。ちなみに、バスト露出描写やベッドの事後シーンなどもあるが、エロコメではない(※作者の過去作にはエロコメ寄りの作品もあるようだ)。
●続刊等。
ヨシカゲ『神にホムラを』第3巻。1950年代の数学漫画。数学者漫画は、近年でも『天球のハルモニア』などがあったが、いずれも短命に終わっていた。本作は順調そうで何より。作者のヨシカゲ氏は、これまで芸術家漫画とお色気バトル漫画を連載してきた多才なクリエイターで、今作でも、本来は紙の上だけで展開される数学的思考を、迫力ある形でヴィジュアライズしている。