2025/12/08

2025年12月の雑記

 2025年12月の雑記。

 12/17(Wed)

 模型店で見かけた、SDガールキット。特撮『ビーロボカブタック』は知らない作品だったが、この色っぽいマスク+タイツキャラには、新しい扉が開きそうに……いや、この扉はもう開放済みだった。ともあれ、店頭価格で3000円台とのことだし、メーカーは橘猫工業だし、せっかくだから買っておこうかな……。


 Escu:deの次回作は、おそらく『サクリファイス』『テスタメント』系統の作品。『姫と穢欲のサクリファイス』(2019)は、主人公の境遇も、配下5悪魔たちのデザインも、そしてヒロイン側のドラマティックなストーリー展開も素晴らしい作品だった。


 例の提携の件。メの字の企業はもちろんのこと、駿の字の企業もちゃんと人々から嫌悪されているようで、ほっとした。
 私個人としては、以前はショッピングの巡回経路上に入っていたので定期的に立ち寄っていたけど、ここ数年はフィギュア在庫(特に高額フィギュア)が激減して店内ラインアップが貧弱になったので、行く意味も失われつつある。女性向けのグッズなどでは、まだそれなりに存在感を維持していると思うけど、それも近所のらしんばんと大差ないし、品質管理などの問題点も多いので、後回しになるだろう。店員さん個々人は、まともな人も多いと思うんだけどね……。


 年内の講義もそろそろ終わりなので、年末年始のためにいろいろ悔恨できた……もとい、買い込んできた。とりあえず漫画を24冊買って、そして半日で23冊読みきった……あれ?
 「良い作品をたっぷり読めて楽しかった」というのと、「読み終えてしまった、未読漫画が無いのでまた買わねば」(※積みはほぼ消化している)と、そして「この新たな書籍タワーをどこに収納すればいいのか」という悩みが……。


 1月からの冬アニメをあらためて展望してみる。
 上記リストにあるのは73作品(※再放送を除く)。
 2期タイトルは9作。3期以上/シリーズ/リメイクは20作に及ぶ。続編率39.7%は非常に高く、売れ筋集中の悪弊が強まっている。ちなみに2024年春は続編率28%、夏は23%、秋は31%だったので、この冬アニメの異常さが際立つ。
 オリジナルアニメは『プリズム輪舞曲』の1作だけ。しかもNFオンリーで枠外なので、事実上ゼロ。うーん、これはきつい。

 洋風ファンタジーは19作、そのうち異世界転生系は8作。これはシーズンごとに波が大きいが、平均的な数字と言える。
 それに対して和風ファンタジー、現代伝奇(バトル)、オカルト系が、今回はかなり増えている。正確な分類はしづらいが、重複カウントありでざっと数えると、和風ファンタジー4作(『悪魔くん』『ぬ~べ~』など)、現代オカルト/ホラーが8作(『カヤちゃん』『地獄楽』『呪術』など)、現代舞台のバトルファンタジーが8作(『アンラック』『炎炎』など)。
 学園ものは8本で、これもだいたいいつも通りの水準。むしろ学園以外でのラブコメ/恋愛ものが多いのが興味深い(※学園舞台の恋愛ものは6本で、非-学園の恋愛ものも6本。自宅ラブコメやオフィスラブコメなど)。

 女性主人公は20本と、かなり少ない。しかも、女性向けと見做される作品(※男性死守人口も含む)は10本と、かなり減っている。

 その他。ミステリは2本、SFっぽいものは3本。歴史系は4本。アイドル/タレント3本。お色気2本。スポーツ2本といった感じで、とにかく続編/シリーズものにリソースを食われて、それ以外の新規作品から多様性が失われている。例えば動物もの、魔法少女もの、美食ものがついにゼロになった。


2025/12/07

漫画雑話(2025年12月)

 2025年12月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

●新規作品。
 長代ルージュ『イヴとイヴたち』(単巻、GOT)。SF百合短編集。戦場での幻想から、人類絶滅後の二人、漫画家とアンドロイドのぎくしゃくした関係、そして伝奇百合妊娠、そして脳髄ネタに絡めた「永遠の恋」への思弁的SFと、内容は多彩。全年齢扱いながら、ストレートなベッドシーン描写もある。キャラの表情はやや生硬だが、いずれもユニークな展開で読みごたえがある。作者は18禁分野でも執筆しているようだ。
 宇加創陽(うか・そうや)『odd and kind』(単巻、講談社、原作あり)。こちらも3作の短編(中編)が収録されている。ウラシマ効果とノスタルジーとロマンスを綯い交ぜにした宇宙開拓もの。宇宙人に6年間もアブダクションされていた少年と、その友人たち。そして、若者たちの祈りを聞き入れようとした神と、その青少年たちの行動との間の奇妙なズレ。豊かなイマジネーションと堅実なSF描写、そして切なさのある恋愛テイストが、濃い陰影に縁取られたキャラクターたちの力強い表情とともに描かれている。
 zinbei『この世でいちばん甘い毒』(単巻、小学館)。現代日本の若年都市生活者の、ちょっと風変わりな体験を様々に描く短編集。ややスノッブで掘り下げは浅く、イメージは類型的だが、キャラは可愛い。


●カジュアル買いなど。
 薄雲ねず『レーエンデ国物語』第2巻(講談社、原作あり、5-9話)。クラシカルな、ややアジア風の架空世界の幻想的な物語で、絵柄からコミュニティ習俗描写の描きぶりまで、明らかに『乙嫁語り』以降の流れに棹さしたスタイルを採っている。絵の密度が素晴らしいが、やや圧力が強すぎて緩急が欲しいのも、このジャンルに特徴的。というわけで第1巻も買って読んだが、「本国の政治的駆け引き」「交易路の開拓」「村内のユニークな生活と人間関係」「主人公のアイデンティティの謎」「メインヒーロー側の謎」といった層が積み重なりすぎて、物語全体の目標設定が掴みづらい。悪くはないのだが、これほど重たく詰め込んだストーリーは、小説の速度でやるべきものであって、作画漫画のペースで進めていくのは大変すぎるのでは……。
 あむ『澱の中』(第3巻、講談社、15-22話)。カバーイラストに妖気を感じて買ってみたが、男性主人公は社会的な自信を喪失してコンプレックスに苛まれており、またヒロインはヒロインで変態的な性的執着を示す側面と社会的に抑圧されてきた側面(母親と夫それぞれからのDV)の両方を持っている。そして両者ともに、虚無的で捨てばちで自傷的な振舞いと、それを逃れられない人格形成上の困難を饒舌に噴出させている。
 せっかくなので既刊も買って読んだが、ああ、「澱(=澱んだ執着)」でもあり、「檻(=囚われた心)」でもあり、そして「下り物(経血ネタがある)」でもあるのか。近年増えている全年齢露悪エロ(※歴史的には90年代のSMを経由して10年代のNTRものの普及に触発された流行か?)の中に位置づけられそうだが、それらの中でもかなりシリアス寄りのスタンスで、しかしほとんどチープに陥りそうなギリギリの大胆なシチュエーション展開と、そして漫画演出技巧(コマ組みやレタリング)はかなり意欲的な挑戦も見られる。主人公の強烈な自意識描写も、ストーリー進行と歩調を揃えて展開している。

 元三大介(もとみ・だいすけ)『魔法医レクスの変態カルテ』第1巻(新潮社、1-6話)。以前から存在は知っていたが、気まぐれで単行本を買ってみた。なるほど、上手い。「ビキニアーマー」「淫紋」といった20年代現代のキャッチーなネタを踏まえつつ、それらを丁寧に咀嚼して独自の(ある種の合理的な)解釈に結びつけている。その意味では、ほとんどSF的なまでの知的なアプローチを採っている。演出面も、外連味を見せつつもコマ組みや作画や台詞回しは明晰だし、ネタの密度もきわめて高い。個人的には、第2話のパワフルでポジティヴなエルフガールがたいへん魅力的。
 最新刊(第2-3巻)まで買い揃えて読んだ。テイマー、壁尻、ユニコーン、エロトラップダンジョン、張型、リビングアーマーと、いかにもキャッチーなネタを俎上に上げつつ、そこにオリジナリティと説得力のある解釈を展開している。例えば、触手生物の分類論(捕食型/苗床型/寄生型)のように、非常に明晰な説明を与えつつ、そこから物語的な面白味をたっぷりと引き出していく手腕とイマジネーションが素晴らしい。作画に関しても、初老男性を現代漫画らしさを維持しつつきちんと描いているし、さらにそれが女体化した状態も的確に描き分けているところが素晴らしい(※これをやれる漫画家は、そうはいない。具体的には、顎のラインや睫毛の描写によって性差表現をしているのだが、キャラクターの同一性を確保しつつアレンジできる技量は、並大抵ではない)。

 谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』第4巻(ぶんか社、22-27話)。保守的-家父長制的-マチズモ的な価値観から次第に解放されていくキャラクターたちを描いている。


●続刊等。

1) 現代ものやシリアス系。
 雁木万里『妹は知っている』第5巻(37-45話)。ミニマルなエピソードを各話完結で緩く繋げているのだが、日常的なシチュエーションから出発しつつ、読者に実感の手応えを持たせるような展開にしていくのは、まさに作中のラジオネタと同種の巧さだし、キャラクターたちもそれぞれに社会的な距離感をデリケートに(時には不器用に)意識しつつ、全体としては融和的な雰囲気を維持しているところも上手い。
 江戸屋ぽち『紙山さんの紙袋の中には』第4巻(20-26話、完結)。飛び道具的なキャラクターばかりで物語のコントロールが難しかったのか、これまでの展開は捉えどころが無かったが、江戸屋氏らしく優しい雰囲気と内面造形を感じさせる描写に、斜めゴマと陰影を多用した演出のおかげで、きれいな形で完結してくれた。『メルセデス』の方は、ひきつづき情趣豊かな連載を展開していただきたい。
 江垣沼『生意気なギャル姉を解らせる話』第3巻(30-43話)。姉の心情的な掘り下げはいったん収めて、ライバルヒロインとのサイコスリラー的駆け引きに焦点が当てられている。チープなシーンやギスギスした描写もあるが、妖気のある表情を大写しにする見せ場の大ゴマはたいへん魅力的。
 瀬尾知汐『罪と罰のスピカ』第5巻(30-38話)。いかにもミステリらしい孤立山荘殺人ネタから、主人公の危機、殺し合いの惨劇へと何重にもどんでん返しを敢行していき、そして主人公のバックグラウンドと動機に焦点が当てられる。連載漫画形式のミステリ/サスペンスは、そのエピソードが完結するまではトリックの公正如何を確定しきれないのがちょっともどかしい。小説媒体ならば、ほとんどは単巻で完結しているので一気に結末(真相)まで辿り着けるのだが。


2) ファンタジー世界やエンタメ寄り。
 高山しのぶ『花燭の白』第10巻(61-67話)。過去の真相から、現在の決意へ。レイアウトに関しては、上下に狭く横一面に広がる水平コマが多用されているのが興味深い。時には畳み掛けるようなコミカルなコマ組みとして、また時には顔の表情を隠す緊張感のあるレイアウトとして、時にはワンクッションの余韻コマとして、また時には枠線からキャラクターが飛び出しつつ情景を示すコマとして、様々な活用されている。
 フカヤマますく『エクソシストを堕とせない』第13巻(94-101話)。忌憚なく言えば、挑戦的なモティーフとそのユニークな掘り下げが見られたのは5-6巻くらいで、それ以降はあまり面白くないのだが、最後まで付き合うつもりではいる。
 鴻巣覚『うさぎはかく語りき』第2巻(7-13話)。邪悪で挑発的な描写と、シニックなユーモア、そして露骨なお色気の暗示、さらにはSFだかオカルトだか分からない都市の暗部の不気味さとといった諸要素を、芳文社らしいkawaii美少女オンリーでコーティングしている怪作。ただし、登場人物があらかじめ限定されていることもあり、次巻あたりであっさり完結しかねない気配もする。
 からあげたろう『聖なる加護持ち令嬢~』第2巻(5-8話)。他者を力づける率直な情愛と、他者を救うための覚悟を決める倫理、そしてkawaiiものを慈しみあう朗らかなコミュニティ。このまま連載を続けていってほしい。
 ぬじま『怪異と乙女と神隠し』第10巻(40-45話)。怪異の条件を客観的に要素分解して、それを利用して自身の目的のために利用しようとするクールさが、相変わらず刺激的。ただし、一歩間違うと「後出しの御都合主義的ルール」になりかねないところだが、本作は十分な説得力を維持している。それにしても、サブヒロイン三輪の描写には、今回も異様な雰囲気がある。怪異によって引き起こされる深刻な苦難の境遇と、それによる痛々しい全身負傷描写、そして強烈な心理的屈折と、苛烈な攻撃性の表情。他の怪異系キャラクターたちと比べてもほとんど別世界のような空気をまとわせているのに、大いに引き込まれる。
 星野真『竜送りのイサギ』第6巻(33-40話)。竜の住処に近い領地まで来たところで、中央政治の彼挽きに巻き込まれるわ、逃走して河原芸人一座に紛れ込むわ、そのうえ女装してやたら可愛くなるわ、さらに相方には強面の姉キャラが出張ってくるわ、そしてそれらの間にコミカル描写も挟み込んでくるわ(※36話はたぶん囲みペンギンのミームをパロっている)、最後に同行少女が怪異の側面を見せるわで、大騒ぎの一冊になっている。本筋が本格的に進行し始める前の今のうちに描いておこうと言わんばかりで、実に楽しい。
 真木蛍五『ナキナギ』第3巻(14-22話)。人間社会を知らない海棲怪異たちが、人間の少女の初々しい片思いを見守っていくという、なかなかに倒錯したシチュエーション。常識外れのキャラクターたちを使って、時におとぼけコメディを展開し、時に神秘的な恐怖を覗かせつつ、それらを絶妙にドライヴしていく手腕は、さすがと唸らされる。今回登場した新キャラは、頭髪に複雑な波模様が入っているという、とんどもないキャラデザ。小柄人魚キャラの方も、とんがりだらけのやたら複雑な髪型で、よくもまあこんな作画の面倒そうなデザインにしたものだと感心させられる。本物の非常識存在たちが自由に闊歩しているスリリングな雰囲気と、その一方で彼女たちにもそれぞれに内面的な真率さがあることがひっそり暗示される陰影感の取り合わせがきわめてユニーク。
 きただりょうま『魁の花巫女』第6巻(46-55話)。漢字表記のオノマトペは今回も独創的だが、そろそろ読むのを止めるかも。
 閃凡人『聖なる乙女と秘めごとを』第8巻(56-63話)。ようやく四枚花弁の指標が出てきたが、このペースで4人×4枚だと30~40巻の規模になってしまう。ストーリーはだらだらしているし、これもそろそろ止めるかも……。コマ組みの紙面レイアウトを初めとして、旨味のある漫画ではあるのだが。

アニメ雑話(2025年12月)

 2025年12月の新作アニメ感想。

●『悪食令嬢と狂血公爵』

 第10話は、主人公の驚異的なスキルを巡る政治的な配慮から、パートナーは魔鳥討伐のためにいきなり数日不在にするという宙吊りの展開。とりたてて上手いわけではないが、ざっくりした進行の中に挟み込まれる相互の情愛が美しい。公爵役の坂泰斗(ばん・たいと)氏は、穏やかでよく通る声色で、細やかなニュアンスを台詞に乗せている。
 残りは、狩ってきた魔鳥の料理と、結婚式のイベントかな……今のペースだと残り2話で語りきれるのか、ちょっと心配になるくらいののんびり進行。

 第11話は、果物を食べて、夫にからかわれて、子犬を可愛がるだけの回。いや、まあ、それでいいのだけど、画面作り(コンテ)が非常にダルかったのは残念。3キャラが横一列に立って順々に喋る、といったような捻りの無いレイアウトが頻発していた。おそらく低予算企画で、使えるカット数も限られているのだろうけど、この一話全体を一つの部屋の中だけで完結させてしまったのは、さすがに要素を削りすぎだろう。
 唯一良かったのは、後ろから優しく抱き寄せられる動画表現の柔らかさ。



●『終末ツーリング』

 第10話。満開の桜に蝉の鳴き声がオーバーラップするのはともかく、さらにしばらく進むといきなり紅葉の山々になっているというイージーさ。うーん。落石を雷が壊してくれたというのも、お仕着せの御都合主義そのもので驚きが無い。アニマルアニメとしても、ペンギンからイルカ、そしてシカにサルと、かなりベタな顔触れ。
 ただし、弁慶のような入道雲のカットは、ちょっと粋な演出。良い箇所もあるにはある。また、カット数が少ないにもかかわらず、間延びした印象を免れているのは、やはり背景美術の彩りと存在感のおかげだろう。原作の浅さをアニメ版スタッフの尽力で、なんとかぎりぎり映像作品として成立するようにしている(※ストーリーの骨格は、ノスタルジーとナルシシズムを混ぜ合わせたような代物なので、こんなストーリーはいっそ放棄して、ただのイラスト集で良かったのでは……とすら思う)。

 第11話は、とても不思議な雰囲気のSF回。前半では、神秘的なものの訪れをかすかに予感させつつ、アイリが夜の墓群遺跡を彷徨い、そして超自然的な出会いをする。このあたりの映像進行はとても好み。ただし後半は異星人の設定を語りつつ日本史をなぞるという凡俗な展開になる。今回は徳本監督自身による絵コンテで、風景の広がりと、そこにひそかに漂う緊張感を伝える秀逸なクオリティ。
 なお、紅葉の季節から蝉の鳴き声と、今回も季節表現が錯綜している。これはストーリー的にも演出的にもあまり意味が無さそうで、ただ混乱を誘うばかりのように思える(※見栄えの良い季節を、その都度適当に選んでいるだけなのかもしれない)。
 異星人が作った遺跡……『七夕の国』かな?

 秋葉原を過ぎた中盤あたりから、市街地の風景をクローズアップで描くことをやめて、ただ遠景のオブジェとしてやり過ごしてしまっているのは、実にもったいない。現代の我々が生きているこの風景が、緑の廃墟として描かれているというイメージの落差が面白いのだが……。寂れた博物館や、変わらぬ紅葉の山々や、千年前と大差ない状態の遺跡などを映してもまるで新鮮味が無いし、観光地巡りとしても通俗的だ。廃墟化した世界のロードムービーというコンセプトはまずまず良かったのに、作者自身がそのポテンシャルを引き出すことに失敗している。



●『野生のラスボスが現れた!』

 第10話は設定開示の回。前半は大迫力の空間戦闘をたっぷり描き、そして後半は一転して、画面そのものは止め絵で保たせつつ、明暗の濃いレイアウトと声優の芝居と真相への興味で引っ張りきった。何をどのように見せるべきかの取捨選択と、演出効果の最大化が巧みにコントロールされており、たいへん心地良い。コンテも小気味良く、激しいバトルシーンの中でも大胆な奥行きパースを設けたり、ユーモラスな瞬間を挟み込んだりしている(※今回の絵コンテは田中智也氏、演出は福元しんいち氏)。
 薄井氏(ディーナ役)も、丸々20分間を小清水氏と一対一で渡り合いつつ変幻自在の芝居を展開するという力演を披露している。
 それにしても、もう10話。残り2話でどのように締め括るのだろうか。配信視聴数などに鑑みて、続編(2期)もありそうだが……。
 プレイヤーたちの行動を組み込んで公式ノヴェルにするというのは、古式ゆかしきPBM(プレイ・バイ・メール)のシステムを思い出す。私自身はそういう企画に参加したことは無いけど。あるいは、TRPGリプレイ小説にも同じような性質がある。

 第11話は、勇者召喚から魔王出現から世界設定の謎への言及まで、いきなり忙しく新ネタが連発された。これはさすがに、全12(?)話中の11話目でやることではない。前回の最後に顔見せで登場したベネトナシュの件も宙吊りのままだし……。とはいえ、この一話だけで見ると、派手なバトルと小気味良い演出で24分間を一気に突っ走り、充実した見応えを提供してくれている。
 魔神王を演じているのは速水奨氏。そして勇者一行の魔法使い少女は、なんと、遠藤綾氏。さらに、もう一人の同行女性はニケライ・ファラナーゼ氏が演じている(※イラン系の方とのこと)。ディーナ役の薄井氏は、主演を食いかねないほど存在感ある芝居を全開にしている。

 ……あっ! 原作者の炎頭氏って……『欠けた月のメルセデス』の作者でもあるのか。『メルセデス』は漫画版で読んでいて、江戸屋氏の筆致が素晴らしいのだけど、ストーリーは地味なところから丁寧に積み上げていくタイプの作劇で、『ラスボス』の外連味あるフィクションとはずいぶん趣が異なっているので、まったく気づかなかった。

 今期は、OPよりもEDの方が、好みの曲が多かった。『終末ツーリング』も、『最後にひとつだけ』も、『悪食』も。前期は『クレバテス』が、OP/EDともに好みだった。

2025/11/28

2025年11月の雑記

 2025年11月の雑記。

 11/22(Sat)

 「星花・百合」について。青で塗るか緑にするかで迷うなら、青緑にすればいいじゃない。ということでエメラルドグリーン(ターコイズグリーン)を使ってみることにした。青っぽいクールな透明感がありつつも、緑色の瑞々しさも兼ね備えるので、これはこれでありだと思う。ただし、色調やコーディネート次第では安っぽくなりやすい色でもある。上手くいくかなあ。

 というわけで、ざっくりエアブラシ塗装。
 ライトグレー:クールホワイトできれいに。後でブルーのグラデーションを入れるかも。
 ブラック:メタルブルーブラック(混色)が余っていたので使ってみた。良い感じ。
 ダークブラウン:リノリウム色(またかよ!)。しかしこのチョイスは失敗かも。うーん。
 ライトブラウン:ターコイズグリーンでビビッドに。隠蔽力が高くて助かった。
 頭髪(イエロー):パールコートのみ。後で影色を入れたりするかも。

 ジョイント周りにディテールが多いので、筆塗りしてやるとさらに引き締まるだろう。
 スミ入れも、一応入れておく。 
 デカールも省略。ゴチャゴチャさせず、シルエットと色合いを見せることを最優先にしたい。

 というわけで完成(※リンク先はSNS投稿)。わりと上手く行ったと思う。
 ライトブラウンは、キットのままだと色が埋没してしまうので、ヴィヴィッドな緑色で塗り替えたのは正解だった。
 また、アドリブでホワイト面にブルーのグラデーションを掛けてみたが、これもキットの雰囲気を盛り立てることに成功したと思う。つまり、「色彩感の追加」、「青色のクールさを強調」、「花弁の柔らかさや軽やかさを表現」、「パーツの立体感を強調」、等々の効果を出せた。グラデ塗装は、これまでほとんど使ってこなかったが、便利なのは確かだ。


 買って読んで読んで買ってを繰り返しつつ、未読漫画はちょっとずつ減ってきた。
 カジュアル買いをしたがあまり読む気のないまま数ヶ月間ずっと枕頭に置かれている単行本も、そろそろ諦めて仕舞い込んでしまってよいかも。そうすれば未読(積み)は一桁になる。


 『斑鳩』の「銀鶏」(※リンク先はメーカー公式ページ)も、パーツ切り出し。
 複雑な境界線が多いので、細部は筆塗りした方が、速いし確実だろう。また、各部のカラーリングがよく分からないので、ディテールから推測しつつ適当に色を付けていくことになりそう。

2025/11/27

ガールプラモ「星花・百合(Starflower Lily)」について

 ガールプラモ「星花・百合(Starflower Lily)」について。

細身のメカガールプラモ。

2025/11/15

フレームアームズ・ガール(グランデ)「アーキテクト」について

 フレームアームズ・ガール(グランデ)「アーキテクト」の制作メモなど。

27cm級のガールプラモ。細部のディテールを追加して制作した。

2025/11/06

Kotobukiya「メルティーナ」について

 Kotobukiyaのプラモデル「メルティーナ」の制作メモと雑感。
 ※ヘビ人間(ラミア)のプラモデルの写真があります。苦手な方はご注意。

2025/11/02

漫画雑話(2025年11月)

 2025年11月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

2025/11/01

アニメ雑話(2025年11月)

 2025年11月の新作アニメ感想。

2025/10/07

2025年10月の雑記

 2025年10月の雑記。

2025/10/06

漫画雑話(2025年10月)

 2025年10月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

2025/10/05

アニメ雑話(2025年10月)

 2025年10月の新作アニメ感想。
 5本くらいに絞り込んで精読(丁寧な視聴)をしたいところだが……。

2025/09/10

2025年9月の雑記

 2025年9月の雑記。

2025/09/09

漫画雑話(2025年9月)

 2025年9月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 今月は女性向けや現代世界ものが多く、ファンタジー新刊は少なめ。
 未読が10冊以上あるけど、読んだら追々加筆していく。

2025/09/05

アニメ雑話(2025年9月)

 2025年9月の新作アニメ感想。『鬼人幻燈抄』『クレバテス』『第七王子』の3作。

●総評。

 『鬼人幻燈抄』(2クール目)は、エピソード群のオムニバス的な散漫さは相変わらずで、作画(動画表現)は終盤落ちてきてきたが、絵コンテの美しさや背景美術のムード、そして江戸~幕末の時代的空気を反映した造形がたいへん趣深い。「天邪鬼の理」や「茶飲み話」のような含蓄に富んだエピソードもある。75点(※1クール目と同じ)。

 『クレバテス』は、場面ごとの空間的な雰囲気やスケール感の表現が素晴らしい。作画も丁寧でありながら、勢いのある構図や表情づけで、見応えがある。ただし、ひたすら台詞で説明させるところは惜しい。75点(※一般的な評価としては、80点でもよいくらい)。

 『第七王子』は、無策無思慮に漫画版の絵を猿真似しただけで、映像としてのテンポも作られていないし、動画としてもただ静止画にエフェクトと台詞を乗せて誤魔化すばかり。ストーリー面でも、ほとんど漫画版をコピーしたままで、アニメ版としての独自の意義はほぼ皆無と言ってよい。ただし、一部の声優の頑張りのおかげで、音声だけは多少聴ける。20点。

 その他。オリジナルアニメ『陰陽廻天 Re:バース』は、2話で飽きてしまったが、最後まで視聴してもよかったかもしれない(※いつかきちんと観るかも)。今期はオリジナルアニメを一つも摂取できなかったのが心残り。
 『瑠璃の宝石』は、『おしまい!』の藤井慎吾監督で一定のクオリティはあるだろうと思ったが、キャストに興味が無かったので外していた。世間的な評価も高いようなので、機会があれば見てみるかも。原作は、第1巻だけ買って読んでいた(※KDKW不買を始めた直前の2020年刊)。



●『鬼人幻燈抄』。
 第21話は、江戸(幕末)編のフィナーレ。鬼が持つ異能の根源を語り、そして鬼と武士の双方の終わりを描く。作画はやや浅いものの、意欲的なレイアウトと声優陣の芝居が、物語全体の説得力を確保している。今回の白眉は茅野愛衣氏(おふう役)。2クールに亘ってキャラクターをじっくり育ててきたその最後に、複雑な情緒に満ちた別離のシーンを絶妙に演じている。

 通算22話は明治5年、「二人静」の回。今回も、軋むような劇伴の雰囲気が抜群に良いし、レトロな街並みのロケーション設定も効果的(※背景作画の質感表現や時間帯表現は良い。ただし、京都の夜の大路でも延々殺陣をしているけれど……)。食事シーンを初めとして、キャラクターの日常の細やかな所作を頑張って動かしているのも好印象。絵コンテは、前回に続いて新留俊哉氏。戦いを終えた翌日の店内で、兼臣さんの背景に可憐な花瓶と穏やかな丸窓をフレームインさせているのも、滋味に富んだ美しい演出。
 ただし、アクションシーンの苦手ぶりも相変わらずだし、キャラクターの顔造形が不安定になってきた。新たな美少女キャラがいきなり3人も出てきたが、音声芝居は、うーん。兼臣さんの外見や性格造形はかなり好みなのだが……。
 ストーリー面では、ついにラスボスが姿を現した。これで2クールの物語を締め括る予定だろうか。原作は昭和平成の世までずっと物語が続くらしいが、このアニメ版のこれまでのユニークな個性は、江戸時代の文物と風景の魅力に多くを負ってきたので、それを手放してしまうとつらい。その意味でも、明治時代の始まりを素描したところまでで完結させるのは、アニメ版としては無難な対処なのかもしれない(※原作小説のまま映像化すると、どうやら7クールくらいは必要になるようだが、さすがにそれは無理なので、ここらが潮時だろう)。
 「おじさま」と繰り返し呼んでいるのは、ミドルエイジ男性の「小父さま」ではなく、親族の「伯父さま」だろう。字幕や翻訳でどうなっているかは分からないが。

 絵作りできちんと見せようとしている姿勢は、はっきりと見て取れる。例えば背景美術のディテールや歴史的雰囲気、周囲の小道具による意味づけ、そしてレイアウトによる映像的美意識など、おそらく原作小説には描かれていなかったであろう要素を盛り込んで、アニメ媒体ならではの作品として丁寧に作り出している。つまり、絵コンテと演出(そして設定制作などの地固め)がしっかり仕事をしているので、見るに堪える密度のある映像作品になっている。動画(中割アニメーション)に関しては息切れしかけていて、至らないところも散見されるのだけど、アニメ作品としてどのような表現を目指しているかは明確に伝わってくる。そば屋の店内や武家屋敷の内部構造まで、ロケーションをしっかり作り込んであり、そしてそれを映像演出に結びつけている(※例えば、店内の賑やかさや、深みのある奥行き表現、障子越しの距離感、そして光源表現の情緒など)。そういう美質があるから、この2クールの長丁場を保ちこたえて映像的品位を維持してきた。

 通算23話。おそらく最終エピソード(の前半)なのだが、出来は今一つ。ぽっと出のサブヒロイン視点に飛んでしまったせいもあるし、タイムリープという扱いの難しい素材のせいでもあるだろう。映像のレイアウトについては、ところどころユニークで情趣あるカットも現れるし、朝顔の身振りも生き生きした動画になっているが、総じて型通りで、面白味は乏しい。劇伴(BGM)のないシーンも多いが、語りの魅力を増しているわけでもないので、空疎感に流れてしまいがち。ただし、原作由来とおぼしき橋の上の回想トークは、さすがに深みがある。
 「朝顔」役の鈴代氏は、今回はわりとまともな芝居だが、主人公の八代氏はやや息切れ気味で、キャラクターの内面造形の説得力に欠ける。もったいない。
 冒頭のフラワーショップの描写がやけに思わせぶりだったので再確認したら、「三浦花店」……つまり、あの後ろ姿のキャラクターはおふうさんなのか。

 第24話。時間を超えてきた少女と、時間を経て生き続ける鬼男、そしてごく普通の人間として生きてきた女性の、交流と再会の静かなドラマ。背景作画はやや薄めだが、物語の情緒を支えるには十分な出来。
 終盤で出てきた鬼妹の配下たちもいきなり出てきた居候も宙吊りのまま終わってしまったが、まあ仕方ない。できればこのクオリティでアニメ版の続きも観てみたいが……。



●『クレバテス』
 第9話は、黒沢ともよ怪演劇場。田村(睦)氏もいよいよ好調。ただし、サブキャラには今一つな芝居も聞こえてくるが、まあ仕方ない。メイン二人の会話に黒沢キャラ(魔道士ナイエ)のとぼけた呼びかけを重ねていくのは、現代アニメとしてはかなり大胆な演出(※台詞を被らせるのは、よほどのことでなければ避けるので)。
 映像面では、ややぎこちないカットもあるが、奥行きや瞬間の効果を使ったダイナミックな演出もあり、見応えがある。盾を並べて防御するアニメーションなど、集団戦闘シーンも凝っており、描写としても説得力がある。
 今回活躍したハイデン妃は、王族の血の力を継いでいないにもかかわらず強大なボスキャラと対峙する。相変わらず、「不遇だけど頑張るポンコツ苦労人キャラ」ばっかりで嗜好駄々漏れだな!(にっこり)

 第10話は、将軍ドレルの過去回想が展開される。ここに至ってようやく、物語の各パーツが噛み合ってきた。すなわち、主人公の父親の因縁、勇者伝承の謎、魔獣王たちの存在、魔剣鍛冶と魔術の併存、そして世界そのものの謎に進んでいくだろう。
 映像表現も力が入っている。空中戦闘の迫力や、衝突時のインパクト、肉体再生のアニメーション、高低の立体的表現、そして魔獣の巨大感演出、等々。背景のタッチや随所に見せるレイアウトの童話めいた雰囲気も、どこか作り物めいた手触りと神秘的なムードを形作りながら、キャラ絵のクリアカットな存在感を際立たせている。

 第11話は、たいへんな力作。空間を存分に活用してカメラを動かしまくるバトルアニメーションや、遠景の奥行きを強調した外連味のあるレイアウト、そして背景の(モブ戦闘などの)効果音、さらには田村氏の複雑なニュアンスに満ちた独白芝居、等々。ストーリー面でも、より広い世界に向かおうとする人類の力強い希望(アリシア)と、それを縛り付けてきた呪いのような伝承に対する虚無感(クレン)の対比――つまり「自由」と「運命」のコントラスト――が、苦いドラマを作り上げている。
 前半のロングジャンプが、延々喋りながらずっと浮いているのはご愛敬。作画コストの限界でもあり、また、説明台詞過剰の問題でもあるが、このくらいは仕方ないだろう。絵コンテ&演出は、田中宏紀氏。
 それにしても、主人公もゾンビ、敵ボスもゾンビ、王様もゾンビと、いよいよもってリビングデッドばかりになってきた。原作者岩原氏の趣味かなあ。
 「旧人類によって仕組まれていた世界」というのは、90年代末から00年代前半頃に一時期流行していたネタで、ちょっと懐かしい。名高い『ナウシカ』以来、有名なところでは『スクラップド・プリンセス』(1999)、美少女ゲームでも『うたわれるもの』(2002)など。『シュガーコートフリークス』(2010)あたりまで、ずっと続いていく。また、その支流として『Princess Holiday』(2002)や『AQUA』『ARIA』(2001-)のような人工的環境(テラリウム)趣味や、ヴァーチャル世界ものも広まっていった。

 第12話。冒頭から、進軍の破壊跡に沿ってまっすぐ超ロングティルト(ドリー)カメラを走らせるのが格好良い。それ以外も、いかにも特撮めいた映像構成が頻出する。田口監督は、怪獣特撮で多くの実績を上げているが、主要キャラクターの周囲の雰囲気まで掬い上げて表現しているのは、そのキャリアのおかげもあるだろう(※モブの動きや雑踏ノイズ、そしてロングショットでの空間表現など)。幼児を歩かせる場面や、末期のドレルがマルゴに呼びかけられるあたりも、どことなく実写系の感動シーンっぽい(※ちなみに、幼児が立ってよちよちと歩いていく描写は、動画表現としても秀逸な出来映え)。
 幼児「ルナ」役の会沢紗弥氏も、特にこの終盤2話の芝居が素晴らしかった。こういう喃語を演じられる声優はそこそこ珍しいようだが、この方はいったいどこでこのスキルを習得したのか……。『鬼人』の奈津役ではあまりピンと来なかったのだが、この作品での会沢氏の名演はたいへんな聴きもの。
 ともあれ、実写ではなくアニメだからこそ、ダイナミックな構図や、極端なクローズアップショットや、遠近のオーバーラップ演出、融通無碍なヴィジュアルエフェクトを惜しみなく使うことができるという優れた実例になっている。現代アニメは、カメラそのものは止めてキャラクターのアクションを重視する傾向があると思うが、それに対してカメラワークやレイアウトの面白味を前面に押し出した本作の意義は大きい。その一方で、幼児がぎこちなく歩く様子を丁寧にアニメーション表現したのも、意欲的にして効果的な良い判断。絵コンテは佐野誉幸氏。
 ナイエくん、馬車落下に巻き込まれたまま放置されてボロボロとは、なんと不憫な……。



●『転生したら第七王子』
 第21話は、完全食戦と月皇戦の二つ。漫画のモノクロ表現に合わせてアニメそのものも(ほぼ)モノクロにした奇手は、案外面白かった。OPパロディを敢行したふてぶてしさも好ましいし、「完全食」を大型/中型/小型ヴァージョンでわざわざ3人の声優に割り振った贅沢さも微笑を誘う(※そんなところにコストを掛けたのか!?)。
 後半の剣技戦闘も、アニメーション表現を多少拡充していた。とりわけ、「聡明で……カッコよくて 可愛くて……」のところでシルファに細かく振り付けをさせるなど、ネタ回だからこその吹っ切れた意欲的演出が利いていたのは皮肉。ただし、決着の一撃は相変わらず止め絵コピーでやり過ごしている。

 第22話は黒竜戦。ナレーション(地の文)をキャラクター台詞で喋らせてしまっているので、説明過多の印象が強まっていよいよダサい。せっかくのアクションシーンなのに絵を動かすのをサボって静止画+エフェクトだけで誤魔化しているところが多く、その一方で倒れた黒竜がもがいているところだけは細かくアニメーションさせているのは、コスト配分としても演出コントロールとしても不可解。
 黒竜を演じているのは楠大典氏。ちょっと落ち着きすぎで、個人的には若き黒竜の精神的な不安定さを強調してくれた方が良かったと思う。ギタン役の宮本充氏は、穏やかさの中にも迫力と虚無感を同居させていて、たいへん説得力がある。タオ役の関根氏も、今回の力演は上手くハマっている。そして「グリモワール/グリ太郎」役のファイルーズあい氏は、キャラクターの底力を存分に表現した名演。
 それにしても、下手にシーンの順序をいじったせいで、「大雨の中で、ピアノを露天で設置して演奏していたんかい!」というツッコミも生まれてしまっている(※漫画だと、ピアノを出す前に雨の描写を消しているので、この問題は生じていない)。このアニメは本当に見せ方が下手だなあ……。「無策にただ忠実」なのではなく、「いじった箇所でおかしな描写が増えている」のだから、ひとえに玉村監督自身の失策と言うほかない。

 作中でも触れられていたが、ギタンとギザルムが戦ったらどちらが勝ちそうか。ギタンの聖属性攻撃は魔族に対して属性有利だが、ただそれだけとも言える。なかなか決定打にはならないだろう。分離キメラで手数を増やしても、倒しきれそうにない。ただし、アンチ・ギザルム・エクスカリバーを当てれば、霊体でも消滅させられるかもしれない。
 他方でギザルムも、ギタンの回復能力や反射回避を超えて倒しきれるか疑わしい。ただし、大量の魔力槍で縫い付けたうえで、斬首して意識を絶つか黒死玉に吸い込むかすれば勝てるかも。
 ということで、どちらも相手の再生能力を上回ることができないまま終わるか、。ギタンのスタミナとギザルムの魔力で先に尽きた方が負けるか、あるいはどちらかが先に特効即死(?)攻撃を当てるかの勝負になるかの問題だろう。どちらかが決定的に有利/不利ということは無さそう。

 ちなみに完全食くんに対しては、ギザルムは「黒死玉で消滅させる」、ギタンは「全身を食べる」で、たぶん勝つ。完全食はこの時点では、ギザルム/ギタン/ロイドの3者には負けるが、それ以外はどのキャラにも勝てる(というか、負けない)と思われる。
 ただし、それ以降のストーリーだと、剣聖マルクオスならば、再生できないくらいまで細切れにして勝てるかもしれないし、イドくんも強力な魔法で完全食を消滅させられるだろう。バミュー領域で窒息(=行動不能)しても事実上負けだろうし、狂気樹海の精神攻撃でもたぶんアウト。「無限再生&その都度強化」だけではさすがに限界がある。

 第23話。止め絵だらけの進行はエフェクト(撮影処理)でかなり誤魔化しているが、音響演出の力もあって劇的に盛り上がっている。主演の小市氏も、これまでは物語の額縁のように堅実な芝居だったが、ここに来て緻密で迫力のある台詞を展開している。ヤタロウが余計なところでフレームインして目立ちすぎたり、美しい黒旋砲のシーンにカットインを重ねたりする無策ぶりは相変わらず(※グリモの「やりましたぜ!」台詞も漫画版には無く、アニメ版で追加されたもの)。
 光武剣連発のシーンは、ここだけはダイナミックに動いている(※アベユーイチ氏によるコンテパートか?)。アナスタシアの落涙や、花のしおれる花瓶のカットも、アニメ版独自の追加。

 第24話は、いつも通りのベタコピー+エフェクト頼みなので、特筆すべきところは無い。ギタン役の宮本氏の芝居が大人しすぎて、バトルの切迫感や感情的ニュアンスに欠けるのも残念。

2025/08/09

2025年8月の雑記

 2025年8月の雑記。

ようやく私なりの「ウルフさん」ヘッドの解を見つけたよ……。そう、「ちっちゃくて、そこそこ優秀そうで、落ち着きも身につけている自信家お嬢様」、これだよ……。
 レシピは「ドレスアップボディS」+「ウルフさん」ヘッド(※瞳の色が同じなので暦フェイスも使える)+Picco neemo「ロゼッタワンピースset」。
上半身のアップ。デフォルメ体型の「ピコニーモ」用なので、緩く広がったシルエットになるが、むしろこの非実用的にズレた感じが良い。これだよ、これが良いんだよ。
 胸部の巨大リボンは少々くどいが、これは肩に羽織っているショールの一部で、外すこともできる。

2025/08/08

漫画雑話(2025年8月)

 2025年8月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

2025/08/06

アニメ雑話(2025年8月)

 2025年8月の新作アニメ感想。『鬼人幻燈抄』『クレバテス』『第七王子』の3作に絞られた。

2025/08/05

薬師寺久遠(篝火真里亞)から比良坂初音へ

 プラモデル創彩少女庭園「薬師寺久遠(篝火真里亞)」を使って、ゲーム『アトラク=ナクア』の比良坂初音(姉様)を再現してみる。
 ※注意:蜘蛛型キャラクターの写真です。蜘蛛や節足動物が苦手な人は気をつけて下さい。

2025/07/27

「創彩少女庭園」シリーズの製品リスト

 ガールプラモ「創彩少女庭園」シリーズの製品リスト。
 公式サイトの一覧性が弱いので、私なりに情報整理してみる。

2025/07/07

2025年7月の雑記

 2025年7月の雑記。

リツカヘッドなんかに負けない! → リツカヘッドの汎用性には勝てなかったよ……。どうしてこのヘッドは、こんなに強いのか……(写真左下)。
 しかし、「ウルフさん」デフォルトも良いバランスだし(右向きの柔らかめの表情がとても良い)、写真右上のルピナスもなかなか似合っているし、もう一つの便利ヘッド、右下の「ブレイブガール(ガオガイガー)」も2019年のキットなのにさすがのクオリティ。
 ちなみに、開いた両足で大地を踏みしめる仁王立ちが大好きなので、しばしばこういうポーズで展示している。カトキ立ちとか言わない。

2025/07/05

漫画雑話(2025年7月)

 2025年7月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 試しに今月からは、収録話数も記録しておくことにする。

2025/07/04

アニメ雑話(2025年7月)

 2025年7月の新作アニメ感想。
 『転生したら第七王子』『nine』『鬼人幻燈抄(2期)』はほぼ確定。その他、『クレバテス』『雨と君と』『陰陽廻天』『ホテル・インヒューマンズ』『傷だらけ聖女』あたりを視聴していくかも。

2025/06/30

ガールプラモ(美少女プラモデル)の年表的メモ(2)

 ガールプラモ(美少女プラモデル)界隈の発売年表っぽい私的なメモ(2026年~)。
 2006~2025年の20年間については、別掲ページにて。凡例などもそちらを参照のこと。
 主に15cm級(1/10~1/12相当)の可動全身プラモデルを取り上げる。

※文章での通史的概観は、連載記事「現代ガールプラモの歴史的展望」を参照。
※各シリーズの品質評価などは、別ページ「ガールプラモ年表の補足資料」にて。
※海外メーカーの一覧は、別ページ「海外のガールプラモ一覧(メモ)」にまとめた。
※関連事項(ガール以外の商品やイベントなど)は、「※関連」として記載した。

発売月発売製品
2026/01FAG「ウィルバーナイン(ベリルアーマーカスタム)」
FAG「輝鎚(甲)」
MD「デザイアメイデン:メディック」
MD「朱羅:忍者(枢、影衣、フルパッケージ)」
創彩「一条 星羅(水着/ヘアアレンジ)」
創彩(グランデ)「ドレスアップボディ(Mサイズ、with 轟雷)」
PLAMATEA「キューティーハニー」(原作のメディアミックスコンテンツは1973年開始。このキットのデザインは2025年の新版に準拠している。全高約17cmとのこと)
PLAMATEA「ミューズボディ・いちか」(簡素な素体キット。3色同時発売とのこと)
GODZ ORDER(GO)「オーバーロード・ガブリエル」(スタンダードVer.とDXメッキVer.を同時発売)
メタモルバース(MV:TAKARATOMY)「斬山碧 & ブレードライガー」(1/10スケール。元となるコンテンツZOIDsシリーズは1982年開始)
FRS「ティファ・アディール」(原作アニメは1996年放映)
30MS「マリカル」
30MS「シャルロナ」
2026/02PLAMATEA「VALKYRIE TUNE:リサ=キャスター」(17cmとのこと)
PLAMATEA「VALKYRIE TUNE:アイリス=ブルックナー」(17cmとのこと)
GALHolic(AMAKUNI)「七星(ナナホ)」(1/10スケールで約17cmとのこと。販路限定)
KPMS「エミリア」
FAG「マテリア(レティシア、Azurite Ver.)」
FAG(P3)「ドゥルガーII(軽装Ver.)」
創彩「一条星羅(チアリーディング衣装)」
アルカナディア「ギィ」(全高133mmの小柄サイズとのこと)
30MS「ルルチェ(リリーウエア)」
30MS「アルトリア・キャスター」(原作のオンラインゲームは2015年開始)
MD「朱羅:弓兵(絆、影衣、フルパッケージ)」
MD「シャーシキット(スキンカラーC)」、同スキンカラーD
GP「ラクエル」(販路限定?)
メガロマリア「エミュレータ」
けもプラ(Aoshima)「カオマニー」「ニホンオオカミ」(体毛もあり、鼻筋[マズル]も突き出ている。サイズは155mmとのこと)
※関連:けもプラ「ヒトパーツセット」(組み替え用のボディパーツセット)、同「ぶらんこ」(情景キット)、同「メイド衣装セット」(布服)
2026/03FAG「バーゼラルド(with エグゾスーツ)」
FAG「グライフェン(バラクーダ)」
MD「BD ナイト(with モトコンポ)」
MD「ラン(銀)」
MD「BK エクスキューショナー(HELL BLAZE)」
アルカナディア「ルミティア(ReACT-A)」
アルカナディア「アルアリル」
創彩「小悪魔ツインテールちゃん」
メガロマリア「エミュレータ」
KPMS「ロキシー・ミグルディア」(原作のオンライン小説は2012年開始し、2014年から商業刊行された)
KPMS「有馬かな」(原作漫画は2020-2024年連載)KPMS「桜島麻衣」(DX Ver.はバニー姿に加えて制服姿も作れる。原作小説は2014-2025年)
30MS「ベルベリア=ベリィス」(公式限定商品)
30MS「春日未来」(原作ゲームは2013年開始)
30MP「山田リョウ」
30MP「鹿目まどか」(原作アニメは2011年放映)
2026/04PLAMATEA「鴇羽舞衣」(原作アニメは2004年放映)
創彩「小石川 エマ(with Honda AB12 モトコンポ)」
創彩「マネージャーちゃん(+部活オプション)」
MD「ユグドラシス:ガルム・リッパー」
FAG「輝鎚(乙、白兵戦仕様)」
FAG「マガツキ(ドゥルガーII :ノワールVer.)」
FMG(FAG)「初音ミク(雪ミク Another Color Ver.)」
Recicarnation(GSC)「レーシングミク 2013 Ver.」(固定ポーズ、既存フィギュアのデザインでプラモデル化したもの。18.5cmとのこと)
30MP「式波・アスカ・ラングレー(プラグスーツVer.)」
※Alphamax「パーティアニマルガール ルームウェア(うさぎ/怪獣/猫/ペンギン)」(パーカータイプの布服)
2026/05chitocerium「hydra(chirality)」
PLAMATEA「ライザリン・シュタウト」(原作ゲームは2019年発売)
FAG(P3)「バーゼラルド(ゼルフィカール、軽装)」
MD「シャオ(金」)
30MS「小宮果穂」
30MS「櫻木真乃」
※30MS「アクションウエアα」(無貌ながら一応全身パーツが揃っている?)
2026/06PLAMAX「ソフィア・F・シャーリング(ナイトカラーVer.)」
PLAMATEA「バーサーカー/アルトリア・キャスター」
PLAMATEA「初音ミク:中央町戦術工芸Ver.」
PLAMATEA「白銀ノエル」(Vtuber、2019年に活動開始)
30MS「メルンジャ」
30MP「伊地知虹夏」
創彩「如月ユエ」
創彩「白雪ちゃん」
KOTOBUKIYA「ゼニス・ガール」(約16cmとのこと。原作ゲームシリーズは1995年から)
2026/07x
2026/08x
2026/09x
2026/10x
2026/11x
2026/12x


x

2025/06/07

2025年6月の雑記

 2025年6月の雑記。

今月の一枚は、「Buster Doll: タンク(Midnight Fang)」。メカメカした雰囲気が好み。

2025/06/06

漫画雑話(2025年6月)

2025年6月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

2025/06/01

アニメ雑話(2025年6月)

 2025年6月の新作アニメ感想:『アポカリプスホテル』、『ある魔女が死ぬまで』、『鬼人幻燈抄』(1期)、『九龍ジェネリックロマンス』、『小市民シリーズ』(2期)、『LAZARUS』。

2025/05/13

2025年5月の雑記

 2025年5月の雑記。
 
今月の一枚は「ユクモ」3形態。手間を掛けた割に、写真上での見栄えはたいして変わっていないが、実物ではもう少しふっくらした毛並み感が実現できている。

2025/05/12

『悪役令嬢の中の人』原作小説版と漫画版の比較

まきぶろ『悪役令嬢の中の人』(原作小説、単巻)と、白梅スズナによる漫画版(全6巻)の内容比較。

2025/05/02

アニメ雑話(2025年5月)

2025年5月の新作アニメ感想。作品タイトル五十音順で、それぞれ話数順(昇順)。

2025/05/01

漫画雑話(2025年5月)

 2025年5月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 今月から新規作品は出版社やレーベルも記載してみる。会社ごと、雑誌ごとにカラーがあるので、関連情報として一定の意義があるだろう。

2025/04/14

2025年4月の雑記

 2025年4月の雑記。

annulus「ブリジット」(『Guilty Gear Strive』版)。着衣の模様やプリント(文字)の一部に至るまで、パーツ分割で再現されているという凝りよう。金銀パーツやパーカーの裏地、靴などの細部は塗装した。サイズは約14.5cm。
「POP UP PARADE」フィギュアと並べて。フィギュアの方は約17cmで、各部がマッシヴに作られている(※靴の大きさに顕著)。それに対して今回のプラモデル版は、プロポーションは大人しめだがディテールはフィギュアにひけを取らない。

漫画雑話(2025年4月)

 2025年4月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。

2025/04/13

アニメ雑話(2025年4月)

 2025年4月のアニメ感想。作品ごとの話数順(昇順)。

2025/03/07

2025年3月の雑記

 2025年3月の雑記。

今月の一枚は、これをトップに置いておこう。『三体』より「自然選択号」(メーカーは橘猫工業)。

2025/03/05

漫画雑話(2025年3月)

 2025年3月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 今月は何故か、(お色気)恋愛ものに秀作が多い。

2025/02/12

2025年2月の雑記

 2025年2月の雑記。

2025/02/11

漫画雑話(2025年2月)

 2025年2月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。
 何故か、今月の新刊はえろぐろ作品に秀作が多い。

2025/01/05

2025年1月の雑記

 2025年1月の雑記。

2025/01/04

漫画雑話(2025年1月)

 2025年1月に読んだ漫画の雑感。主に単行本新刊について。