2014/07/01

『アウトベジタブルズ』雑記

  『アウトベジタブルズ』についての雑多なメモ。(※ネタバレ注意


  【 目次 】
- 体験版/デモムービーの感想
- 周回メモ
- 周回構想(別ページ)
- 獲得怪盗ポイントの計算
- 財宝パターン(別ページ)
- ゲームデザイン考
- 旧作との関連
- その他

※雑多な内容を一ページ内に記載しています。
   CTRL+Fなどでページ内検索されることをおすすめします。



  【 体験版時点の感想 】
  うーん。立ち絵の頭部よりも、テキストボックス顔窓の顔面の方が明らかに大きい(テキストボックスから突き出ている)のなんて、初めて見たかも。しかし、顔窓部分をできるだけ大きく、堂々と、はっきりと、良く見せようとするその大胆さは、これはこれでありかもしれない。

  「第二文芸部」ってのは『キラ☆キラ』か?と思ったが、おそらく単なる偶然の一致。

  「夜祭(やさい)」だからベジタブルなのか!(ヴォイスで初めて気付いた)

  ゲームシステムとしては、おおまかに言えば『真昼』の関門突破ゲームに『海賊王冠』式のカード要素(コストを支払って追加カードを入手する)を組み合わせたものだと見ていいだろうか。あるいは、相手のパターンを見極めたうえで最適なカードを出し続けようとするゲームという意味では、『メタモルファンタジー』『プリンセスうぃっちぃず』を思い出した。

  そういえばXPが対応OSから外れていた。

  【 デモムービー 】
  のっけからなにやらAC-Promenadeを彷彿とさせる見せ方が。ただし、英単語キャプションでその都度の画面の職業や状況を説明するのはいかにも皇風。後半はちょっとだれる。しかし、タイトルロゴが鍵の形だとは気付かなかった(にぶすぎ)。
  ライバルキャラたちとおぼしき立ち絵。黒づくめの集団はヴァルキル……ではないようだが、別のところでヴァルキルはやはり登場する模様(アイテム「ヴァルキル暗号」)。
  チップアニメがやたら細かくて、怪盗ならではの非常に珍しいアクションのアニメーションで、動作にも洒落っ気があって、そして可愛い。2Dチップアニメでは業界トップクラス、というかもはやほとんど類例が無いレベルだと思う(――大半のメーカーが3Dモデリングに移行してしまったので)。



  【 周回メモ 】

  1周目。
  アスカと歌蓮のイベントを発生させた程度。リューコも撃破したが、イベント発生しないうちにED。
  ED時の総得点は15499。回想モードのCGは96枚(38%)、イベントは25個(19%)、財宝は31個。 

  2周目以降。
  出てくる財宝は、完全固定ではないようだが、完全ランダムというわけでもなさそうだ。例えば「輸送車」の「一億円」はおそらく中身固定だろう。財宝の規則性を探すのが今回の(私にとっての)攻略目標になるだろうか。
  ちなみに、財宝のある宝箱は一周で96個存在するので、周回を重ねていけば150種すべてを登録するのはさほど難しくないと予想される。ただし、5シーズンの単純累計では96個になるが、前シーズンで取った財宝が次シーズンでは空になっている場合もあるようだ(――逆に、次シーズンで新たな財宝が補充されている場合もある)。要調査。

  3周目で、そろそろスキルカードの使い方に慣れてきた。
  アスカさんの八重歯が可愛い。佐々木氏は、『雪鬼屋』『門』と比べて調子を戻してきたように見受けられる。ベッドシーンで表情を蕩けさせるのは、『忍流』の頃からだったろうか。口元の表情づけもいろいろやっている感じ。あまりにも無邪気に開いた「ワ」の字型の口は、久しぶりに見た。
  順位が低くてもデッドエンドにはならないようなので、一つの周回プレイを「全て情報収集」「全て事前準備」で過ごすことも出来てしまいそうだ。これらは全イベント(フレーバーイベント)制覇のためには必要になってくるだろう。情報収集Lvを上げずに進めれば、情報フルにせずに情報収集し続けることは十分可能だろう。
  財宝チェックも始めてみたが、123個×150種をどのようにリスト化したらいいか、迷っている。旧作からの予想では、「完全固定財宝」と、「(マスクデータの財宝ランクや種別カテゴリーの範囲内で変動する)ランダム財宝」とに分かれるだろう。

  ろくに周回もせずに、シーズン毎のS/Lで財宝調査ばかりにかかりっきりに……まだイベント回想もあんまり埋まっていないのに……しかも財宝パターンが見えにくくてクリアな結論がなかなか出せないし……いったいどうしたらいいんだ。

  財宝パターンはなんとか整理できた。財宝が配置されうる場所は123個あるが、そこに入りうる財宝を取り尽くした場合は出てこなくなるので、実際には最大100個。しかも、ターン数の制約上、100個すべてを取れるわけではない。

  そろそろ総合wiki閲覧を解禁。
  イベントを埋めるために、巴オンリープレイとミライオンリープレイをそれぞれ試す。

  引継ぎポイントが上がってきたので、財宝コンボ制覇プレイに挑戦したい。

  あとは、エンディング時称号の一覧化……私には無理だな。

  周回プレイ時の行動計画については、別ページ「周回構想」で扱う。

  あとは財宝コンボ制覇(両立困難なので7周は必要と思われる)と、ハイスコア挑戦。



  【 財宝パターンのメモ 】
  「中身固定」「特定カテゴリー」「汎用ランダム」などに分かれていると思われる。ただし、一つのカテゴリーの中でも出現確率や出現如何が分かれている可能性がある。

  中身固定でない財宝の中身が決定されるタイミングは、シーズンの変わり目。乱数は固定されていない。前シーズン終了直前のデータからやり直せば、中身はその都度変動する。

  詳細は別ページで一覧化していく予定。

  シーズン開始当初から財宝が失われていることがある。条件は「三周目、第三シーズン以降、ラグドールイベント開始」、効果は「財宝のいずれか一つが失われている」あたりだろうか? 第三シーズンであれば、大魔王博物館(ランクB)の財宝が取られていると損だし、九十九倉庫あたりが取られていればまだマシだろう。→該当アイテムをすでに取り尽くしていた場合、財宝が出なくなる、ということだろう。「機械」カテゴリーの「ジョドーの車」「十七輪車」「カラクリ金次郎」を含む財宝は、「大魔王博物館」の「特別展示場」と「九十九倉庫」の「第三倉庫」の二つの場所で出現するが、これらは獲得機会が全部で5回あり、該当するアイテムを全て取っておくと後のシーズンではその場所の財宝そのものが出てこなくなる。要するに、財宝(箱)が出てこなくなったからといって、損をしているわけではない。



  【 獲得怪盗ポイントの計算 】

  怪盗活動終了時に獲得するポイントは、

  (活動中獲得P+アクションコンボ+結果コンボ)×難易度倍率 +財宝P +財宝コンボ

  となっている。小数点以下は切り捨て。合計がマイナスになった場合は0として扱われる。

活動中獲得ポイントx
アクションコンボx
結果コンボx
難易度倍率F: 0.1倍
E: 0.2倍
D: 0.5倍
C: 0.75倍
B: 1倍
A: 1.2倍
財宝ポイント合計x
財宝コンボx
合計x




  【 ゲームデザインについて 】

  ●経営SLG的側面
  キャラクター二人を使って抽象的なカードを消費していくゲームではあるが、実質的に経営シミュレーションゲームと見る余地がある。コストを支払って、必要な人材や資材を用意して、ワークフローに従いつつ必要なところに投入していくという意味で、そして最終的な成果物につなげられなければゼロであるという意味でも、そしてしかるべきリソースが用意されていなければ後からどれだけ頑張ってもどうしようもないという意味でも。それでいて、所持金のパラメータは一切使わず、キャラクターステータスに集約しているというのもユニークな設計だ。

  ●旧作との比較
  システムの基本枠組は、同社旧作を参照しつつ述べるなら、『真昼に踊る犯罪者』型の関門突破ゲームと、『海賊王冠』『うえはぁす』流のカードデッキシステムを組み合わせたものだと言える。
  ただし、『真昼』では完全オートの直線的な進行だったのに対して、本作ではマップ上のルートをプレイヤーが任意に移動させられるし、個々の関門でどのカードを切るかという戦略性が付与されている。また、『真昼』では帯同する個々のユニット(「支援者」)に成長要素があり、失敗(ユニットロスト)のリスクが高かったが、本作では固定性能の「カード」という形に整理されたため、ゲーム進行柔軟性が高まった。
  それに対して、『うえはぁす』との比較でいうと、マップ移動のためにカードを消費していくシステムだったものが、本作では個々の関門を突破するためにカードを使用するという形に変わっている(――『真昼』との関係では「マップ移動導入」だったものが、『うえはぁす』との関係では「非マップ移動化」になっているのがちょっと面白い)。手札が適宜(ランダムに)補充されていくのは同じだが、本作独自の要素として、事前にデッキ構成が出来るという点が大きな違いになっており、そしてこの点も、挑戦する個々の建物に合わせた手札構築という戦略性を追加するものになっている。しかも、それでいて、個々の関門が要求するのは基本的に、「手札の数字総計が個々の関門の要求をクリアしていればいい」というシンプルなものなので、おおまかな方針が出来ていれば、深く考え悩む必要なしに、簡単に手札を切っていくことができる。
  このデッキ構築の観念は、すでに『海賊王冠』にも用いられていたが、そこでは「突撃」「銃撃」「砲撃」という三竦み関係のカード群をその都度任意の枚数選んで用意して出航するシステムだったものが、本作では「レベルアップに応じた手札のシステマティックな増強」と「デッキのカード種別単位での使用如何の決定」というひとひねり加えたメカニズムが介在するようになり、部分的には単純化(作業軽減)しつつ部分的には複雑化(おおまかな手札のコントロール)するというアクロバティックな洗練化を行っている。コンボ要素も、これまでの同社カードゲーム系タイトルには無かった要素で、ストーリー上の「怪盗」設定とゲームパート上のポイント加算とがうまく噛み合っており、プレイヤーにとっては頭の働かせどころの一つになっている。周回を重ねて引継ぎポイントが十分に多くなれば、普通にプレイする分には瞬間的な足し算引き算の判断だけでカードをパサパサと気前よく切っていくことができるし、その一方でハイスコアを目指すとなるとマップ構成とデッキ構成を見比べつつ一手一手を慎重に切っていく奥深さがある。このバランスは本当に素晴らしい。

  ●ゲームデザイン上の個性
  エンディングまでのターン制限がきついのは、近年の同社作品の常であり、そして初期作品との違いがよく見える部分でもある。2009年の『忍流』まではターン制限が緩かったり、あるいはそもそも存在しなかったりしたが、それ以降は、『門』も『BB3』も『雪鬼屋』も、ターン制限をかけてくる起用性的なイベントがあったり、短いターン数での周回プレイを要求したりするようになっている。そして本作もその例に漏れず、20ターン(※実際には試験期間などで数ターンつぶれる)を5セットという厳しい制限の下でプレイしなければならない。
  報酬に関する吝嗇も、近年のソフトハウスキャラ作品の顕著な特徴である。『忍流』で侵入者を撃退しても、『BB3』で課題達成しても、プレイヤーがなんら報酬を得られなかったのと同様に、本作においても、ランキング上位入賞しても闖入者の捕縛に成功しても、とりたてて報酬は与えられないようである。これは一面ではSLGパートのゲームバランスの維持に寄与しているであろうが、しかし同時にゲーム進行を単調なものにしていることも否めない。徘徊ユニットとの衝突や、ライバルによる財宝奪取、セーブ時やポイント配分時の執拗なダイアログ出現、crtlスキップの中途半端な仕様、飛ばせない週表示(SKIP中ですらクリックしなければ進まない!)、断続的に行動不能ターンが挟まるテンポの悪さ、そしてイベントによるランキング介入のような、プレイヤーに落胆とフラストレーションを溜めさせる仕様の鈍感さも、同社の悪しき伝統になりつつある(――侵入一歩目で警備遭遇するのを7回も連続されると、さすがにマウスを投げつけたくなる)。

  ●S/Lをめぐって
  これまでのSHC作品は、ノーセーブプレイ(つまりロードしてやり直しをしないプレイ)の偶然性が楽しかった。「ままならなさ」を楽しむ感じ。ターン制限も緩かったので、主力ユニットを失っても取り戻せる余地が大きかったし。しかし今作は、S/L無しではあまり楽しめないかもしれない。レベルを上げても、運次第で、「狙って情報収集していた建物にライバルが来る→侵入したらいきなりお邪魔カード複数枚で関門突破失敗→何の成果も得られないまま数ターン分を徒過し、財宝を奪われるor建物の警戒上昇」といった最悪の結果が容易に発生する。それでなくとも、ターン経過時にランダムで財宝が奪われていき、しかもそれに対してプレイヤーが採りうるゲーム内の対処は(S/Lを除いては)一切存在しない。ただし、最上位に入らなくてもよいし、コンボボーナスをうまく取っていけば最上位も難しくないし、最下位でもデッドエンドにはならないとはいえ、「プレイヤーの計画に対する邪魔行動が多くストレスフル」「失敗時にはリターンが一切得られないので徒労感が大きい」というのは少々つらい。理屈としては、プレイヤーに対するNPCの邪魔は、利害の対立する複数のアクターが競い合っている状況なのだから当然だということなのだろうし、失敗時の不毛さは、そもそも論として「財宝を盗み出すのが難しいのは当然だ」「怪盗ゲームなのだから財宝を盗んでこそだ」ということだろうし、その意味では「怪盗シミュレーションゲーム」として筋が通ってはいるのだが、しかしやはり爽快感の欠如と、あまりにも露骨なS/Lの影響の大きさは、「怪盗シミュレーションゲーム」として問題無しとは言いにくい。



  【 小ネタ:旧作との関連 】
  『真昼』『DC』関連。「加来山銀行」「加来山府バス」などがあるので、本作の舞台はどうやら加来山府。ということは『真昼』『DC』と同じ。 「何でも屋」の存在にも、プロローグで言及されている。アイテムにも「山春日大金庫の秘密」がある。また、山日野家は、『真昼』の山春日家の分家であるとのこと。分身の術を使う山春日の忍者とは、おそらく奥平鈴かその関係者だろう。それとも氷野麻紀だろうか。「林海屋」も、実は『真昼』の何でも屋につながる企業。

  『LJ』関連。「聖ロータス学園」は、唐紅葉月が通っていた学園。『LJ』では「セント・ロータス学園」だった(SLGパートのマップ施設としても登場する)が、同じ学園だろう。ただし、制服は『LJ』のものとは変わっているが、モデルチェンジしたのだろうか。『LJ』の舞台は奈賀島府だったので、加来山-奈賀島は隣接している(葉月は遠距離通学)のか、あるいは同名の学園が複数存在、あるいは同一学園の複数のキャンパスが存在するのだろうか。背景画像の「一石三鳥社」や建物「一石三鳥ビル」は、『LJ』で主人公が所属していた組織「ヴァルキル」の表の顔。ヴァルキルは、アイテム「ヴァルキル暗号」としても出てくる。彼等はこの『OV』の時点でも活躍しているようだ。イベントCGで出てくる黒づくめの怪人たちは、『LJ』のコゾーンを多少連想させるが、彼等自身だと考えるには状況が不自然なので、別ものだろう。
  そういえば「神歌」巴って、まさに『LJ』で言及されていた巫女一族の名字じゃないか。『LJ』の神代美香の話によれば、神代(美香の家)、神歌(巴)、神園(美加子、『アルフレッド学園』に登場)、神時(未登場)の4つの家がある。なるほど、「巴一般END」で唐突に巫女設定が出て来たのはそういう背景があったからなのか。ちなみに『LJ』では、「“神歌”の跡取り娘が家出と言うか、その……駆け落ちしちゃったらしいの」と述べられている。巴のことではなさそうだが……。

  『アルフレッド学園』関連。アイテム「妖怪大辞典」は、「アルフレッドの書」とも言われているとのこと(※同人誌によれば、夏野雪継の魔界での名前がアルフレッドなのだとか。本人だろう)。聖ロータス学園の姉妹校「アルフレッド学園」も、テキスト上で言及されている。イベントCGのミライのマグカップの猫デザインも、『アルフレッド学園』あたりにあったような……いや、『Dancing Crazies』『Wizard's Climber』に出て来た小物か。

  『葵屋』『雪鬼屋』関連。アイテム「葵屋温泉チケット」を入手すると葵屋イベント。最高級の旅館であるらしい。葵屋イベントでは、葵屋の提携先として「雪鬼屋」があるという話も出てくるので、時間軸上では『雪鬼屋』EDよりも後だと考える余地がある。同様に「逢坂屋創業録」も、『葵屋』に登場した店。アイテム「汚れた着ぐるみ」は、『雪鬼屋』のクマンの着ぐるみ。イベントCGあり。建物「四季扇邸」は、『雪鬼屋』の扇一族の縁者だろうか。

  『うえはぁす』関連。アイテム「ゴースティアル王冠」は、『うえはぁす』の舞台となったゴースティアル王国。EDで「“緑の方(みどりのかた)”」と言われているのは、ヒロインのクリス(プリンセス・オブ・クリス・クラリティーズ・グリーン)のことだろうか。

  『忍流』関連。山日野家は――ということは山春日家も――久留滝家の血を引いているとのこと。また、箱折(葉凍)家は水玄衆の分家だとアスカが述べている。その割に、奥平鈴のことは知らないようなので、かなり昔に分かれた遠い類縁かと推測される。

  『海賊王冠』関連。EDでわずかに言及される。アイスが財宝を残していたとは……。

  中世ファンタジー世界関連。アイテム(「魔界軍団」シリーズ)に「ウルフ」「ダークマン」「ダレット」「ハラミボディ」「モエルモン」「レボリューション」「ロキン」「ベト」(の像)。敵ユニットとしても、「近未来研究所」にベトらしきユニットが出現したりする。ジャッジマンは、『Wizard's Climber』ネタ。同じ名前、同じ役どころのキャラクターが登場していた。声優も同じ、一条光氏。ライバル怪盗の「ゴランゴラン」は、『BUNNYBLACK』シリーズのあのキャラを連想させる。

  その他。自室の工具箱(?)にはSHCのロゴっぽいマークが。ライバル怪盗の中に「怪盗アスパラガス」がいる。アイテムにもアスパラガスシリーズがある。おまけシナリオ「殺人事件」にもアスパラガスネタが。



  その他。

  まさかの某細胞ネタ。「SHK」って何の略だろう……「それ(S)ほんま(H)かいな(K)」とか? あるいは「ソフト(S)ハウス(H)キャラ(Kyara)」という可能性もある。なにしろ『DAISOUNAN』でも、型番号として「SH-C1973KN」のような文字列を設定していたくらいだから……。


  AVGパート上のイベントで参加不可になった筈のチームが、次シーズンのランキングにしれっと登場していた。この不整合は設計ミスと言われても仕方ないだろう。どうやらシーズンの最後には0点(失格扱い?)になるようだが、そもそも最初から参加資格を失っている場合には、ランキングに登場すること自体がおかしいのではなかろうか。


  壁ネタきましたわー。壁埋めなんて、他社タイトルではまずお目にかからないのに、『忍流』といい、『BB』といい……。まさか壁貫通ネタの大家にでもなるつもりか。
  ちなみに、総合wikiのバナー広告にも、たまに壁ネタの画像が出てくる。単なる偶然か、それとももしかして私の知らないうちに、どこかで壁埋めネタが流行しているのか?


  「ラグドール」は、単語としては「ぬいぐるみ(rag doll)」だが、猫の品種「ラグドール」(Ragdoll)でもあり、実際この品種は、まさに彼女のキャラデザと同様に、高級感のあるブラウンを含んだ配色が特徴的である。彼女が猫耳を装備しているのも、そのネーミングが猫の品種に由来していることをはっきり示している。さらに、本編中の描写に鑑みれば、もしかしたら"luxury doll"でもあるかもしれない。こう捉えると、宝石好きという意味、彼女の出自に関する意味、そして作中の境遇に関する意味と、三重のニュアンスを含むことになる。


  塗りのせいか、配色のせいか、リューコさんが紅村キャラのように見える。このようなごく控えめなツリ目は佐々木氏としては珍しいし、こういう小さく引き締まった瞳も佐々木氏はほとんど描いてこなかった。異種族的雰囲気の色濃いキャラデザもどちらかといえば紅村流に近い。頭髪の描き込みも、普段の佐々木氏ならばもっと細かい。鼻の描き方もかなり珍しいタイプだが、佐々木氏も紅村氏もふだんは小さな「ゝ」型の鼻を描いているので、判別の手掛かりにはなりにくい。いずれにせよ、この作品の中でも風変わりな立場にあるこのキャラクターの個性をくっきりと浮かび上がらせている巧みなキャラデザであることは間違いないが。
  後日追記:同人誌に寄れば、アラタ氏原画とのこと。

『アウトベジタブルズ』 (c)2014 ソフトハウスキャラ

怪盗活動時の対決シーン。「宝石瞳黒双竜」の部分は「ジュエリーアイブラックツインドラゴン」と読み上げられている(――そのような「痛い」キャラとして描かれている)。


  最初はピンとこなかったが、何百ターンもプレイして弟子二人のいろいろな活動を見守り続けていると、「こいつら可愛いなあ」としみじみ感じられるようになってきた。SHCではいつものことだし、そしてSHCの美点の一つだ。
  ただし、今作の弱点がシナリオにあるということもまた確かだろう。幕間イベントは、立ち絵すら出ない学園生たちのイベントばかりで、本筋との無関係さが際立っている。むしろライバルたちの日常風景などを描くべきではなかったのか? 錦織仙次郎やリューコといった立ち絵のあるサブキャラクターたちのイベントがあまりにも薄く、とりわけラヴィーラヴィとスチールアームは、キャラクター造形の安直さも相俟って、かなりひどいことになっている。本筋部分も、スターエッグイベントの唐突さも、問題無しとしない。ソフトハウスキャラのSLG作品においては、テキストで描かれることだけでなく、SLGパートで生起していることがらの全てがイベントであり物語になっているのだから、テキスト量だけではその密度や広がりや面白さを判断することはできないが、しかし、だからといってテキストがここまで話をかいつまんでしまってよいということにはならない筈だ。『雪鬼屋』『門を~』とともに、シナリオ面のぎこちなさ、浅薄さはたいへん気掛かりだ。


  【 7コンビコンボの難しさ 】
  手持ちカードが「巴14枚+ミライ14枚」の状態で、あるいはカードを引く時に巴カードとミライカードが常に等しい確率で引かれるという場合に、コンビコンボを7回成立させて「7コンビコンボ」を実現できる確率はどのくらいになるのだろうか。確率計算しようと思ったら、ちょっと面倒だった。
  巴カードとミライカードが常に等確率でドローされるとして、初期状態で「巴2+ミライ3」または「巴3+ミライ2」になる確率は、5/8=62.5%。カードを常に5枚ずつすべて切っていく(つまりその都度新たに5枚ずつドローされる)として、確率62.5%の状態が7回続く累積確率は、(5/8)^7≒3.7%。ちょっと難しすぎませんか。もちろん、毎回連続して必ず成立させなければならないというものではないので、カードを多めに持って行ってコンボを作れるところで成立させていくようにすれば、全体としての7コンビコンボ成立の確率は高められるが。
  「巴2+ミライ3」または「巴3+ミライ2」の状態から、余った一枚を残して「巴2+ミライ2」を切っていくとしても、次のドローでコンビコンボを成立させられるようなカードを引いてこられる確率――例えば巴1枚を残している場合に、「巴1+ミライ3」または「巴2+ミライ2」を引いてくる確率――も、5/8。なので、5枚切りの場合でも4枚切りの場合でも、コンビコンボを成立させられる確率は等しい。
  「巴14枚+ミライ14枚」デッキであれば、6回目までですべてコンビコンボを成立してきたならば、残る4枚での7回目も自動的にコンビコンボが完成するので7回目は100%として計算してよいが、これを考慮しても(5/8)^6≒6.0%にしかならない。怪盗ポイント800点は大きいが、これでは実用的とは言いがたい。
  なお、「3コンビコンボ」であれば、(5/8)^3≒24.4%。これも簡単ではないが、3コンビコンボ程度ならば、大量のカードを所持した長期戦の中で、たまに実現可能な時にコンボを作っていく程度でも到達できる可能性がある。といっても、たかだか200ポイントのボーナスだし、巴とミライを同時育成するのは非効率なのでそういう状況になることはあまり無いだろう。


  【 レベルアップポイントと財宝コンボの話 】
  巴/ミライを全パラメータLv5にするには、それぞれ(1+2+3+4+5)*3+(2+3+4+5)*2=73ポイントが必要。二人合わせて146ポイント。引継ぎポイントと財宝ボーナス(最大100個)を全て稼いでも140ポイント程度が限界だし、そもそも財宝を入手していくために情報収集Lvへポイント投入する必要がある(合計15ポイント)ので、二人とも全Lv最大にするのは無理のようだ。
  ……いや待て。計算してみると、理論上は一度のプレイで財宝コンボを26個中25個成立させることができる(「魔界軍団」の残り5個分だけ届かない)ので、総合wikiの引継ぎポイント計算式が正しいならば、25(財宝コンボ)+12(総得点)+0+4+5+5+5+5(順位点)=61点を引き継ぐことができる。なので、73+73+15=161ポイントが必要なところ、61+100=161ポイントを供給することができる……おお、なんと美しい。超人的な財宝ドロー運(またはS/L)と、それを正確に計算して確実に実行するだけのスキルを持つプレイヤーにのみ、弟子を理想的な姿にする資格があるということなのか。なんと素晴らしい。(後日追記:どうやらポイントの計算法は違っていたようだ。私のプレイ結果に照らしても、引継ぎポイントの変動は上記の想定に当てはまらない。引継ぎポイントの最大値は、49ポイントだろうか。)
  ちなみに、財宝コンボを揃えるうえで難しいのは、コモン系アイテムの中からコンボアイテムをもれなく取り出してくること。6シーズンに分かれた25個のコモン財宝で、64種中24種のコンボアイテムを引いて来なければならないというのは悪夢的。しかも、それと同時に、「完全」シリーズの出てくる宝箱も、26種の候補に対して、20個の宝箱で19種のコンボアイテムを引いてくる必要がある。それ以外は、選択候補が限られているので、それほどハードルは高くないが。具体的には、第一シーズンからいきなり、(24/64)^5=0.74%の確率を目指さねばならない。同様に、第二シーズンに入る時は、第一シーズンで出たアイテムの分を除算して、(19/59)^5 × (19/26)^3、つまり0.35%掛ける39%、要するに0.13%。要するに、1000回程度リロードしても成功しない可能性がそれなりにあるというレベル。第三シーズンは0.4%、第四シーズンは0.74%。第五シーズンに至っては0.001%、さらに第六シーズンは(4/44)^5 × (3/10)^5*100=0.000015%。1千万回もリロードしてられるか!
  なお、25種の財宝コンボボーナスで、総計18500ポイントを追加的に稼ぐことができる。育成に関しては、最初のうちはどちらか一人を集中的にレベルアップさせていく方が、強いカードを早期に入手できるし、コンボボーナスも稼ぎやすい。レベルアップポイントが余ってきたら、もう一方も一気にレベルアップさせていけば、終盤の難所の建物もクリアしやすくなる。

  現実的なレベルで考えると、各シーズンの財宝をすべて獲得していけば、実は「六つの宝石」「財宝王」「ファッションショー」「雷舟」「木寛」「侘び寂び」の7つはほぼ確実に取れる。あと一歩で完成させられるコンボのために、「111億円」の各アイテム、「大画廊」のための「洞窟壁画」、「金次郎」のための「像」、「悦子」のための「大自伝」(コモン)あたりは取っておきたい。あとは、少数のアイテムで成立しそうなコンボ(「大楽団」「ミロク」「アスパラガス」など)を取ることができれば、財宝コンボは13個成立させられる。そうすると、引継ぎポイントは、13+12+24=49ポイントくらいまでは行けるのではなかろうか。50ポイントを超えるには、計画的に行動して怪盗ポイントを劇的に伸ばす(至難)か、あるいは、限りなくS/Lを繰り返して財宝コンボをもっと増やす(至難)か……。

  個別の財宝コンボ成立を考えると、「マニアック」を構成する財宝は8個。S/Lの効率を考えると、第二シーズン以降ではタイムロスが大きいので、第一シーズンで2個(以上)獲得しておく必要があるが、コモン財宝5個の中で、64種中7種のアイテムが2個以上入っている確率はかなり低い。そのうえで、第二シーズン以降のコモン財宝で、少なくとも毎シーズン1個以上、該当アイテムを出現させなければならず、さらにどこかで「虎の絵のメダル」(非コモン)を入手しなければならない。確率を考えると、「メダル」入手は最終シーズンに回すとよい。外れアイテムを先に引いておけば、目当てのアイテムが出てくる確率が高まるので。
  同様に、「魔界軍団」も、第四~第六シーズンの三つの機会で、(9+1)個の宝箱で14種中8種のアイテムを全て入手しなければならない。第四シーズンの2個+1個(輸送車)が全て該当アイテムである確率は約11%、第五シーズンで4個中3個が該当アイテムである確率は18%、第六シーズンで3個中2個が該当アイテムである確率は17%。けっして不可能というわけではない。「飲ん兵衛」も、第二シーズン以降で6個を集めなければならないので、どこかで一シーズンに二個入手する必要があるが、S/Lを繰り返していればなんとかなるだろう。
  これら以外は、S/Lして一シーズンに1個ずつ入手していけばコンボ完成するのだが、それでも最後の1個を出すのはかなり低い確率が要求される。特に「世界の味」「大食い王」のようなコモンアイテムコンボの最後の一個は、非常にハードルが高くなる。

  特定スキルカードを5枚入手、または情報収集/事前準備をLv5にするには、15ポイントが必要。
  スキルカード20枚入手のためには、最低でもLv2が4種とLv3が4種、つまり36ポイント必要。


  情報収集だけを87回繰り返してエンディングを迎えたら、総得点3870点だった。いったいどこで点数が入っていたのだろうか。たとえば、情報収集実行ボーナス40点*87 プラス EDボーナス390点、みたいな感じなのだろうか。事前準備を87回もやっておくべきだろう。


  今回はどこにテキストが隠れているのかといろいろ試してみたら、ライバル怪盗とバッティングした後の幕間会話(勝利退出する必要は無い)がいろいろあった。中には、「全ての建物の情報が増えた」(+2ずつ)という珍しいリアクションもある。「リューコの悲劇」も、バッティング侵入を繰り返していると最後の方に出てくる。


  カードの文字色と、それが対応する(カードの値が1UPする)部屋種類の表示色が、同じだということに(遅まきながら)気付いてから、プレイがずいぶん楽になった。例えば、緑色で書かれている「技術」カードは、同じく緑色で書かれている「鍵」系の部屋ではカードの数値が1加算される。一枚一枚は微々たるものだが、これを意識しつつカードを切るだけでも攻略難易度はかなり下がる。


  学業成績の変化は、事前実行の回数かなあ。巴とミライで学年1位、2位を取る場合もある。


  ライバル怪盗たちのポイント変動の仕組みも解き明かせればたいへん役に立つ情報になると思われるが、さすがにそこまでは着手できない。


  「事前準備」は、各項目20ポイント(20回分)まで蓄積できる。それ以上は増やせない。


  レベルアップ時イベントを見ているとよく分かるが、今回も主人公たちの活動領域は非常に多岐に亘っている。基礎的な運動能力、精神力、各分野の技術、知識量、戦闘技術、そしてファッション(変装)、美術的審美眼、機械的知識、トラップ(心理的技術的知識)、道路交通の知識(「裏道」)、各種運転技術、そして特殊環境下での行動修練(「暗闇」)に至るまで、彼等はおよそ社会的文化的人間としてのあらゆる領域に触れて、それを磨いていく。
  それは『南国ドミニオン』の漂流生活表現において最も徹底的な姿をとったが、それ以外の作品群にもこの姿勢は常に息づいている。温泉旅館とその周辺において生じうるあらゆる出来事を取り込んだ『雪鬼屋』、一国の領内を走り回る中でその社会の様々な文物現象を目にする『うえはぁす』、ありとあらゆる部活の学生たちが自由気儘にキャンパス内を闊歩する『アルフレッド学園』、探偵活動や護衛活動から販売補助、説得活動、恋愛指南、料理、さらには麻雀代打ちや漫画家アシスタントに至るまで依頼者からの多種多様な希望に応えていく『真昼』、そして一つの街の生活全体に関わっていく『グリンスヴァール』や『BB3』。『OV』と同様に弟子(たち)の育成が物語上の主目的になっている『Wizard's Climber』も。
  社会的環境の中にある個人が、その社会的条件のあらゆる部分と関わり合いながら、その中で何を目指し、そして自身の社会性と能力の全側面を開花させつつ、どのように活動していくかをシミュレートすることができるのが、ソフトハウスキャラ作品の「状況」の素晴らしさの一つだ。


  シーズンで最終的に1位にならなくてもラグドールイベントを越せるのか……。第四シーズン13061点で2位だった。1位は汎用ライバル(動物怪盗ポニー)の13077点。


  「BugBug」2014年8月号に攻略情報掲載。