2014/09/01

鑑賞モードの諸形態(続)

  CG鑑賞モードの諸形態の補足のようなもの。


  シーン回想/CG鑑賞モードについては、以前にCG鑑賞モードの諸形態で書いたが、それ以外にも個性的な試みが多数存在する。

  1)タイトル付きの一枚絵。各CGにタイトルが与えられているものがある。実例としては、『こみっくパーティー』(Leaf、1999)や『さよならを教えて』(CRAFTWORK、2001)などがある。シーン回想では、個々のシーンにタイトルが付されていることも多い――特にリスト型表示の場合は、ほぼ自動的にそうなる――が、一枚絵レベルでタイトルが表示されるものは、かなり珍しい。

  2)コメント付きのCG/シーン。さらに『葵屋まっしぐら』(ソフトハウスキャラ、2000)では、各CGにタイトルがあるだけでなく、CG一枚一枚にキャラクターのコメントもついている。イベントCGのそれぞれについて、該当ヒロインがその場面を振り返るという体裁。ソフトハウスキャラ作品は、その後もシーン回想モードで各シーンのサムネイルとともに簡単なコメントを表示しているものがある。『片恋いの月』(すたじお緑茶、2007)も、回想モードにシーンタイトルと概要コメントを付記しているが、こちらは第三者的なコメントになっている。

  3)音響演出あり。黒箱系に特有の演出として、例えば『輪罠』(Guilty、2005)は、CGを選択する(フルサイズ表示にする)と、その場面に関連したキャラクター音声が流れる。ほとんどはアダルトシーンのCGなので、そのヒロインの悲鳴や嬌声が流れることになる。このメーカーは、後に『虜ノ契』(Guilty eX、2012)では、「NUKI MAKE SYSTEM」と称するシーン回想編集機能をも提供している。つまり、回想シーンの登録リストを作成することができ、登録した順番に連続再生できるというものである。

  4)サムネイル差分変化。CG鑑賞モードで、一枚絵の差分変化を一つの枠に入れている場合に、それらの一枚絵サムネイルが定期的に差分切り替えしていくというものもある。例えば、『DUEL SAVIOR』(戯画、2004)や『ヒメゴト・マスカレイド』(Escu:de、2012)。親切といえば親切なのだが、小さなサムネイル画像なので見やすくはないし、とりわけ大量の差分がある一枚絵についてはその利便性は――残念ながら――皆無に等しい。


『さよならを教えて』
(c)2001 CRAFTWORK
(図1:)CG鑑賞モードのメイン画面。本編の奇怪さに相応しく、鑑賞モードもレイアウトと色彩設計の双方においてエキセントリックなものになっている。

(図2:)個別ヒロインのイベントCGは、左側にリスト化されている。CGサムネイルにマウスカーソルを置くと、画面中央の「TITLE」欄にそのCGのタイトルが、テロップ風に流れる。左記画像でタイトル表示されているCGは、リストの上から三枚目のもの。なお、鑑賞モードのBGMも、ヒロイン毎にキャラクター専用BGMが流れている。

『葵屋まっしぐら』
(c)2000 ソフトハウスキャラ
CG鑑賞モードの画面。サムネイルの上にはタイトルが、また下にはヒロインのコメントがある。画面右下の「C'」マークを押す度に、画面右のキャラクター立ち絵が差分変化する。立ち絵鑑賞モードの、おそらくは最初期のアイデアである。

『DAISOUNAN』
(c)2009 ソフトハウスキャラ
イベント回想のサムネイルの下に、シーンタイトルとそれに関する簡単な説明的キャプション――時としてユーモア溢れる冗談になったりもするが――が置かれている。

『片恋いの月』 (c)2007 すたじお緑茶
回想シーンそれぞれについて、タイトルが表示されるだけでなく、内容についての簡単なコメントも表示される。