2014/09/05

AVGの枠内で、動物をいかに扱うか

  AVGの枠内で、動物をいかに扱うか。何一つ整理されていない文章だが、こういう点にも注意を払っていこうという備忘録として、単独記事化しておく。いずれネタが集まったら改稿したい。


  可愛い動物キャラってなかなか見ないよね……。そうさせている(必然的ではないとしても少なくとも傾向的には作用するような)原因はいくつか考えられる。例えば、サイズや位置が違うので画面内に登場させにくい。地面を這っている、せいぜい数十cmの生物であると、そのままでは人間キャラクターたちの視線の高さには入ってこられない。あるいは、大型の動物であれば、檻や柵を挟んで遠くから眺めるものだったりする。小動物を抱きかかえるとなると、それ専用の一枚絵を使う必要が出てくる。また、原画家たちの多くは、どうやら動物を描くのに慣れていない。そういう技術があるとしても、美少女ゲームに特有のデフォルメと並べて見せるとなると、あまりにも写実的だと違和感の原因になるし、かといって美少女ゲーム風の動物デフォルメのスタイルなどというものはいまだに確立されていない。

  今のところ美少女ゲーム分野でしばしば選択されている解は、
  1)一つには、訳が分からなくてもいいから――あるいは、プレイヤーの現実ベースの認識で捉えられることが無いように――奇抜生物にするというもの。典型的には『ましろ色シンフォニー』。anastasiaブランドのマスコットキャラ「アナスタシア(ナス)」も、これに含まれるだろう。羽根があって、一応、空を飛んでいるということになっているようだが。小柄で浮遊可能な妖精キャラクターなどは、しばしばそのままの形で、画面内に登場する。例:『DAISOUNAN』『BUNNYBLACK2』『とっぱら』の小柄なウサギ妖怪は、実際に上下動アニメーションしていた。『愛cute!』の妖精キャラクターに至っては、メッセージウィンドウに腰掛けすらしたが。

  2)もう一つは、カットインという形でAVG画面に登場させる手法。例:『もしも明日が晴れならば』『プリンセスうぃっちぃず』の猫。実際には、このタイプ1とタイプ2を併用しているものも多い。例:『らぶKiss!アンカー』『マジカライド』

  3)第三の方法、一枚絵の中でキャラクターとともに描くというのはかなりの少数派だろうが、例えば『こころナビ』『THE GOD OF DEATH』などは学校の飼育係ヒロインを描くに際してこのアプローチを採っている。『蠅声の王』も、プレーリードッグを何枚ものイベントCGに登場させているが、この作品では、通常の立ち絵シーンもいささか特殊な見せ方をしており、プレーリードッグの立ち絵も特別な加工なしにしばしばそのまま表示される。
  大きなものでは、『ヴェルディア幻奏曲』がある。ラクダのような大きな輸送用家畜の背にヒロインがもたれかかっている一枚絵は、1)ヒロインの魅力、2)動物の魅力、3)その作中世界のありようを複合的に提示する、秀逸な表現である。

  その他。もちろん、テキスト上でその動物の存在を示唆するだけで、画像としてはその生き物が出てこないということも、珍しくない。特に、小さな生物の場合はしばしばそうなる。例えば『殻ノ少女』でヒロインの一人が飼っているカタツムリ。人間よりも大きな動物の場合、画面内に収めるのに苦労することになるだろうが、成功すればたいへん迫力のある画面になる。『英雄*戦姫』の「ユーウェイン」は、白いライオンに騎乗した少女の姿が、AVGパートでも大きく表示され、SLGパートでも桝目からはみ出すほどの大きなサイズでユニット表示される。『神樹の館』のオオカミはどうだったか。いずれにせよ、巨大生物を視覚的に表現するうえでは、SLGに大きなアドヴァンテージがある。