2016/05/29

1/700「ネウロイ化赤城」模型(3):映像との比較

  アニメーション作品『ストライクウィッチーズ(Strike Witches)』に登場する、いわゆる「ネウロイ化赤城」(ネウロイ赤城、ウォーロック融合赤城)の1/700模型化。

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(2) ディテール解説(別ページ)
(3) 映像との比較(このページ)
(4) 完成写真(別ページ)


  TVアニメ(第1期)第12話に登場するネウロイ化赤城の映像と、同じ構図にして写真を撮ってみた。もちろん像のクオリティ、ピント、光源、カメラ位置、質感等は大きく異なるので、単純な比較にはあまり意味が無いが、ネウロイ赤城の「実写化」を試してみるつもりで。

  以下、画像はクリックすると拡大表示される。


(写真1:)38分36秒~(DVD版第6巻でのタイミング。以下同様)。ネウロイ化して海中より姿を現した赤城。先端にはウォーロックがいる。融合以前のウォーロックは4m程度(宮藤やマロニーの2~3倍程度)の大きさだったが、融合後は8~9m程度になっている。巨大化したと解釈してよいのか、それともシーン毎の表現上の都合であって整合性を問うべき性質のものではないととるべきか。
(写真2-1:)38:49-。左舷全体を舐めていく10秒以上のカット。映像でも、赤城各部のディテールがかなり緻密に描き込まれているのが見て取れる。その前のクロステルマンたちが落下しかけたところの映像を見るに、この赤城では舷外通路は木張りになっている。船底部分の接着が甘くて隙間が出来てしまったのは失敗。信号マストの張り線が全部撓んでいるのも間違い。
(写真2-2:)映像上で、手摺等が黒く塗られていたり、各所のエッジに白いツヤが出ていたりするのは、アニメーションならではの描き分けと思われる。飛行甲板のグレーは、撮影機材と光源処理の都合上、この写真では淡い色合いになってしまっている、実際にはもっと濃い色(ホワイト:ブラック=100:90程度)で塗装している。
(写真2-3:)映像では、エレベーターの縁取りが飛行甲板上に残っているが、今回の制作では無視した。四角形のモールドを残す(or再生する)のが手間だという事情もあるが、せっかくだからこのネウロイらしいヘキサゴンパターンをきれいにしておきたかった。

(写真3-1:)39:10-。今度は右舷側を、真横から接写しているダイナミックな構図。ここからネウロイ赤城のビーム攻撃が開始している。張り出したスポンソンが何本もの支柱で補強されている様子は、映像でも正確に描写されている。本作の艦船映像は、多くが3D起こしの2D制作と思われ、細部の緻密さと三次元的動画表現の的確さを両立させている。
(写真3-2:)映像では、艦尾上甲板のディテールまではっきり見えるのだが、拙作では光源の都合上、ほとんど見えない。この甲板の手摺は、本編映像では描かれていない。乗員脱出時に手摺が倒されたままなのかもしれない。
(写真4:)39:19-。やや遠目のショットで、右舷を艦首から艦尾までまっすぐ映している。映像には、舷外電路とおぼしきものも描写されているが、今回の制作では省略している。色彩以外は、史実の赤城とほぼ同一の形状なので、一般的な艦船模型としてのディテールアップ工作を施しただけ。
(写真5:)39:36-。ヴィルケと坂本がネウロイ赤城の内部をサーチしている場面。ウォーロックの背面がよく見えるショットである。この一連のシーンの赤城は、飛行甲板の前端がやや短くなっている。他のシーン(第1話など)では史実の――我々の知る現実の――赤城と同じなので、これはウォーロックを目立たせるためのアレンジと思われる。

(写真6:)40:04-。艦尾側を映したショット。上記写真3-2とやや似ており、カメラは俯瞰の位置にあるが、激しい光線攻撃と、その周囲に群がるウィッチたち、そしてネウロイ赤城の巨体の重々しい動きと、非常に印象に残る一枚。飛行甲板後部の二重構造は、赤城の造形上の特徴の一つだが、模型ではほとんど見えない。ネウロイの光線攻撃は、ここでは20cm砲からも発射している。
(写真7:)40:15-。今度は艦首側から。ネウロイ赤城が悠然と前進していく、非常に押し出しの強い構図になっている。正体不明のマジカル怪異と融合して空を飛んでいるIJN空母という奇妙奇天烈なシチュエーションなのだが。舷窓の墨入れも、後で行なっておく。

(写真8:)41:03-。まるでクジラか何かのように雲海上に飛び出てきた赤城が、飛行甲板から光線を大量に放射しながら移動しているところ。ここの映像のウォーロック(7~8m程度?)と比べると、この模型(約10m相当)は大きく作りすぎたようだ。また、ウォーロックの足元は、溶けたように白く融合している(ので、もっときれいに作るべきだった)。
(写真9:)41:12-。ハルトマンとバルクホルンが右舷側に激しい攻撃を仕掛けている。映像は奥行きの強調された迫力あるショットになっており、弾着部分から広がる白煙の描き込みもたいへん凝っており、赤城のディテールも堪能できる。下手なタイミングでスクリーンショットを撮ると、画面の大半が白い布で覆われていたりするが。
(写真10:)41:37-。ネウロイ赤城のロングショット。ウィッチたちの猛攻により「攻撃が弱まっ」ているとのことで、ここでは光線攻撃をしていない。ネウロイ赤城の全体を一画面に収めたきれいなショットであり、飛行甲板のヘックスパターンがはっきり見える一枚でもある。模型としての見栄えを重視するなら、空中線の類はもっと太いものにすべきだったか。
(写真11-1:)41:49-。イェーガーとルッキーニがコンビ攻撃でウォーロックを粉砕する場面。映像では、右舷に張り出し空中線が描かれている(のに気付いたので、後で追加工作した)。
(写真11-2:)ネウロイ赤城の最後の攻撃は、この融合後ウォーロックの腕からのビームだった。全般に融合後のウォーロックはほとんど目立たず、特別なアクションもせず、まるでネウロイ赤城の船首像のように鎮座したままだったが、ここでは(唯一)攻撃行動に出ている。模型としては、この自作ウォーロックのちゃちさが、今回の作品の出来をかなり引き下げてしまっているように思う。
(写真12:)43:51-。コアを破壊され、ネウロイとしての活動を停止して墜落していく様子。艦底側の模様が見える。ネウロイ化赤城は、出現してから撃破されるまで、映像では5分少々しか掛かっていない。しかし、赤城それ自体は第1話からくりかえし登場していたこともあり、絶大な存在感がある。マスキング剥がしを乱雑に行なったため、かなり見苦しい痕が残ってしまい、上から塗装しても結局消せなかった。

『ストライクウィッチーズ』
(c)2007 第501統合戦闘航空団

以上の写真に対応する本編映像。ちっとも似ていない……。