三つの要素の組み合わせによるキャラデザが普及しているという話のメモ。
月に一回、getchuなどの情報集約的なサイトで新作ページを(ほんの数時間ほど)見て回るだけでも、個々の作品の特徴やキャラクター属性の有無乃至動向についていくのは難しくないのだが、最近では「属性」文化は退潮しているのでねえ。新作企画でキャラクターを作る時も、特定の一つの外形的属性だけで作るなんていうことは――TechArts系列やNEXTON大作の多数ヒロイン作品でもないかぎり――ほとんど行われていないのではなかろうか。属性ベースで構成する場合も、おそらく3つ以上の特徴を、しかも単なる外見上の特徴ではなくキャラクターの性格に関わる性質を、組み合わせて作っている。例えば『恋する姉妹の六重奏』(2014年2月発売)が、キャラクター紹介のキャプションで「○○×○○×○○」といった3属性組み合わせを明示している――「真面目×ツンツン×でも甘えんぼ」「頑張り屋さん×わがままボディ×ピュアガール」など――のは、典型的にこの傾向を示している。
同様の三題噺的キャラデザは他にも少なからず存在し、たとえば今月発売タイトルの中にも何本も存在する。
『こいなか』は「クールでちょっと天然入った押しかけ許嫁」「しっかりもの風おっちょこちょいな世話焼き幼なじみ」「性的なことに興味津々な小悪魔系部活の後輩」と、一昔前では考えられなかったであろうほどに長大な――しかもそれぞれ明確に3つの属性を含んでいる――キャッチコピーが付いている。
『ゆめみがちーく!』も「優等生×世話焼き×お姉ちゃん」「小悪魔×ビッチ×同級生」のように三題噺キャプションが各ヒロインに付与されている。
『ハーヴェストオーバーレイ』も「海で出会うラッキーガールな転校生」「ゲーム好きでお嬢様な後輩」「兄が好きすぎる天才な妹」「武闘派の小さな先輩」のごとく。
『リリウム×トライアングル』に至っては「“女の子大好き”だけど“へたれツンデレ”な、やかまし系“サキュバス”少女」「いつも“ニコニコ笑顔”な“ふんわり天然”系“あまラブ”お姉ちゃん」「“クール”に見えて内心は“デレデレ”な“小悪魔”系妹」と、わざわざ属性要素を引用符で括っているうえ、年齢要素を加えると3属性どころか4属性でのキャラクター設定になっている。
『恋がさくとき~』も、全キャラが3属性表現ではないものの、「謎多き美颯の女帝」「常に兄の考えを読むクール妹」のように、3属性組み合わせのキャラ設定をはっきりと志向している。
ことほどさように、現代の美少女ゲームは、キャラクターひとつ取ってみても、非常に緻密化し、複雑化し、そして繊細なものになっていると言うことができるだろう。