美少女ゲーム型(?)のサイト構成。
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私個人の経験上の感触というあまり説得力が無い根拠だけでなく、製品版それ自体もPCプラットフォームであり、修正パッチなどの必要性からもweb上での情報公開へと親和性が当初から高かったという点に鑑みても、どこかの男性向けアダルトPCゲームの公式サイトが先鞭をつけたであろうという推測には私も賛成するが、ただしそれは――どのような枠組として捉えるかという問題をさて措くとしても――どこかのメーカーのいずれかの作品の公式サイトが「源流」になったというようなものではないだろう。「トップページ/ストーリー概要/作品世界/キャラクター紹介/イベントCG紹介/スペシャルコーナー(DL情報や特典情報など)/スタッフとスペックの概要」という枠組は、いずれかの時の何者かの独創による案出を必要とせずとも、いずれ人々によってそのような形に収斂していった筈であり、そしてつまり、ある特定の一つのものが起源となって周囲に影響を及ぼしていったというようなものではなく、同時多発的なものだったのではないかと思う。
老舗ブランドを適当に手繰ってみると、例えばMinkでは『Fu・shi・da・ra』(製品版は1999年9月発売)や『夜勤病棟』(1999年12月)の時点で「概要/内容(特徴)紹介/ストーリー紹介/キャラ紹介&CG紹介」の枠組が出来ている。ただしこれらは単一ページ構成だったが、翌年の『Mi・da・ra』(2000年12月)ではキャラクター紹介がそれぞれ別ページになっており、さらに『Princess Knights』(2001年1月)ではトップページにサブページ一覧(メニュー)が並んだ構成が確立されている。
同様に、ケロQはデビュー作『終ノ空』(1999年9月)で、Escu:deは第三作『魔女っ娘マリエルン』(1999年11月)で、UNiSONSHIFTは第二作『Moe』(2000年2月)で、pajamas softも第二作『パンドラの夢』(2001年12月)で、アトリエかぐやもデビュー作『狂淫学園』(2001年11月)で、それぞれ「複数ページ構成でストーリー概要/キャラクター/CGなどを紹介する」という枠組を採用している。この構成が一般化したのは2000年前後という目算で良いだろう。ちょうどこの時期には、個人のPC環境でも通信量(と通信速度)の厳しい制約が解消されつつあり――ADSLサービスの開始がまさにこの時期――、各メーカーもデータサイズを心配せずにサイト構成をするようになっていたであろうと思料される。
F&Cやe.go!やD.O.やelfやjanisや戯画やabogadopowersやc's wareやstoneheadsの当時のサイト構成を見ることができれば、出発点はもっと遡ることになるかもしれないが……。LeafやAlicesoftも、サイトリニューアルしたり旧作情報を削除したりしているので、昔の様子は分からない。
現今の支配的な「公式サイト」フォーマットの「元祖」はどこだったのかという――私見ではあまり生産的ではない――問に対しては、上記の事実からして、私としては暫定的に1999年のケロQと答えておきたい。