2018/12/01

『悪魔聖女』雑感

  『悪魔聖女』の雑感。戦闘、ストーリー、小ネタなどのメモ。


  【 戦闘メモ 】

敵の名前敵HP訓練備考
4ベト75031訓練メニューは「強攻撃」のみ。
5ダークマン90062「防御」訓練が追加されている。
6メロディクイーン(1)120092「集中」追加。
7ライオネル(1)1350122
8アヤ(1)130092訓練2日目から「多重攻撃」追加。
9メロディクイーン(2)1400123
10ライオネル(2)1600113「吸収」追加。
11アヤ(2)1500123「スタン」追加。
12ハラミボディ2600123「身代」追加。
1三人少女2000153
2クエア2500154
3暴走魔力竜(1)2200743月中は、訓練回数は累積される。つまり、戦闘でコマンドを使用しても、戦闘後に使用回数は元に戻る。
3暴走魔力竜(2)2700543月中は、訓練回数は累積される。つまり、戦闘でコマンドを使用しても、戦闘後に使用回数は元に戻る。
3暴走魔力竜(3)320054

  「通常攻撃」:約100ダメージ(ランダムで多少変動する。以下同様)。
  「強攻撃」:約400ダメージ。
  「多重攻撃」:約200ダメージ。「身代」を張られていた場合、「身代」を破壊しつつダメージ。
  「大攻撃」(※追加コマンド)。
  「超攻撃」(※追加コマンド)。
※敵の行動では、ダメージ量は異なる。


  【 集中スキルの効果 】

  「集中」の重ね掛けは、1個でダメージ2倍、2個で2.5倍、3個で3倍、4個で3.5倍。5個で4倍。それ以上は未確認。実用上は2個がせいぜいと思われるが、「超攻撃」などの追加コマンドを予見できれば、3個以上でも戦略に組み込める可能性がある。また、「触手」や「混乱」で相手の動きを止めている間に「集中」を掛けるのも有効だろう。


  【 ☆の効果 】

  ☆は、攻撃準備時間に含まれる場合は1.5倍、攻撃発動タイミングに合っていれば2倍。

  ☆の効果は、一回の攻撃につき1個分しか乗らない。例えば、ある強攻撃が、攻撃準備中に☆を2個含んでいたとしても、1.5倍にしかならない。また、攻撃準備中に☆1個+攻撃発動時に☆1個の計2個を含む場合は、2倍になる(※おそらく効果の強い方が1つ分、という計算)。

  自軍ユニットの攻撃準備中に、相手側の攻撃で攻撃がずらされて☆の位置が変わった場合は、どうなるか。攻撃コマンド入力時に☆が入っていれば、攻撃発動前にスタンを喰らって☆が外れても、☆の効果は出た。また、攻撃コマンド入力時には☆が入っていなかったが、攻撃発動前にスタンを喰らって☆が範囲内に来た場合は、☆の効果は出た。どちらにしても、損にはならない仕様のようだ。敵側の☆効果に関しては未検証。

  「集中」(2倍)と☆(1.5倍)が同時に掛かると、2*1.5=3倍ダメージになる。
  「集中」(2倍)と☆(2倍)が同時に掛かった場合は、おそらく2*2=4倍ダメージ(未検証)。

  ☆の位置は完全ランダムだろうか。初めの方のマスに乗っている場合もあるし、最後の方に詰まっていることもある。敵の行動そのものは完全に固定されているが、☆の位置を調整するだけで難易度がかなり上下する。
  ☆の出る位置は、プレイ毎に変化する。新しい月が開始する時点で決定されるようだ。したがって、svdtをロードして直前の敵を再撃破すれば、☆の位置が変わっている。ちなみに、直前の戦闘で同一の行動を取っても、次月の☆の位置は毎回(ランダム?)変化する。
  ということは、よほど余裕を持ったパターン構築をしないかぎり、「必勝パターン」にはならないということだ。☆の位置によっては、敵から受けるダメージが増加してしまうことがあるので。


  【 追加コマンド 】

  追加コマンドの出現条件は、「ターン経過(または行動回数?)」や「体力(※減っている時にしか出ないものもあるようだ)」が関係していると思われる。すでに追加コマンドが出ている場合に、別のコマンドで上書きされるかどうかは不明。コマンドが変化したのは見たことがあるが、「上書き」なのか、それとも「前のコマンドが消滅条件を満たし、同時に新たなコマンドが出現条件を満たした」のかが判断できない。実戦でしか確認できないのが面倒。誰か検証して下さい。

  「星」:☆の増加数をチェックしたい。
  「時間」:1ターンだけ行動をずらして、☆に攻撃を合わせたりすることはできる。
  「混乱」:効果時間を測定したい。
  「触手」:効果時間を測定したい。3人のサブヒロイン戦にのみ出現?
  「大攻撃」:ダメージを測定したい。
  「超攻撃」:ダメージを測定したい。


  【 敵ごとの各論 】

  ベト:☆がどこに出ても必勝だろう(つまり敗北することが出来ない)。
  敵からの攻撃のダメージは、通常攻撃:125、強攻撃:425。

  ダークマン:「防御」訓練のみでも勝てる。つまり、通常攻撃と防御のみでも勝てる。また、1~11ターン目に☆が入っていれば、「強攻撃」2回で勝てる。敗戦も可能(※例えば、通常攻撃だけを連発していれば負ける)。
  通常攻撃:145、強攻撃:520。強攻撃2発で敗北確定。

  メロディクイーン(1):1~6ターン目に☆が出ていれば、「集中」+「強攻撃」で一撃必殺できる可能性がある(※ダメージのランダム幅で、ぎりぎり撃破できない可能性もあるが、直前でセーブしておいてやり直せばよい)。それゆえ、ダークマン撃破前から調整して☆の位置を合わせておけば、残り7回の訓練は自由に使える。とはいえ、この段階では「集中」までしか使えないが。
  通常攻撃:165、強攻撃:460、回復:420。攻撃のダメージはかなり弱い。

  ライオネル(1):敵の攻撃間隔が短いので、追加コマンドで足止めしなければ「集中」は役立たず。「強攻撃」訓練(+追加コマンド)だけでも勝利できたことがあったが、そこまで無理をする必要は無いだろう。
  通常攻撃:210、強攻撃:475(最後のみ)、スタン攻撃:210。

  アヤ(1):敵が防御しているところがチャンス。「集中」+「集中」+「強攻撃」で400*2.5=1000ダメージ与えられるので、序盤の通常攻撃数発と合わせれば撃破できる。あるいは、☆が11~16ターン目に出ていれば、「集中」1個+「強攻撃」を重ねれば400*2*1.5=1200ダメージ(攻撃発動時に☆が出ていれば1600ダメージ)になる。
  通常攻撃:230、強攻撃:475(最後のみ)。身代も使ってくる(計4回)。

  メロディクイーン(2):。
  通常攻撃:210、強攻撃:560(最後のみ)、多重攻撃:210、回復:520。回復量が上がっている。

  ライオネル(2):。
  通常攻撃:250、強攻撃:510(最後のみ)、多重攻撃:250、スタン攻撃:250。

   アヤ(2):。
   通常攻撃:230、強攻撃:560、多重攻撃:260。身代(6回)と集中(1回)も。

   ハラミボディ:。
  通常攻撃:170、強攻撃:520、多重攻撃:170。通常攻撃&多重攻撃は5発分耐えられる。

  三人少女:。
  多重攻撃:270、スタン攻撃:250。強攻撃:645、回復:430。身代も3回。

  クエア:。
  ☆が多いのでダメージが増える。
  通常攻撃:260、強攻撃(終盤のみ):565、多重攻撃:260。身代も3回。

  暴走魔力竜(1):。
  通常攻撃:210、強攻撃(最後のみ):410、多重攻撃:210。

  暴走魔力竜(2):。
  通常攻撃:260、強攻撃:560、多重攻撃(最初のみ):260。

  暴走魔力竜(3):。
  通常攻撃:330、強攻撃:650、多重攻撃:325。



  【 プレイメモ(戦闘パート) 】

  ダメージは多少変動する。
  第1戦のベトは、敗戦不可能。
  ダークマンは、模擬戦では完封(ノーダメージ勝利)可能だが、攻撃コマンドを揃えるだけの訓練ターンが足りない。敗戦すると即GAME OVERになる。
  防御を繰り返すなどして戦闘が時間切れになった場合は、敗戦扱いになる。

  訓練メニューによって、イベントテキストが変化する。

  戦闘中に「星」「時間」「混乱」「触手」「大攻撃」「超攻撃」コマンドが出ることがある。出現条件は未詳。コマンドコンボだろうか。いや、特定のマス目を踏むと出現するシステムかも。

  「触手」コマンドを発動させてMQに勝利すると追加イベントが発生。
  他の敵キャラについてもおそらく同様。
  追加コマンドの出現条件が明確になれば、計画も立てやすいのだが……。ターン経過かな。
  「触手」は、効果中に撃破しなければイベントが発生しない。要注意。

  「身代」は、「触手」コマンドも防ぐ(身代は解除される)ので注意。
  結局のところ、触手勝利を目指して試行錯誤するのがゲームの主眼か?
  アヤ2戦目は、触手勝利がかなり大変になる。「防御」はターン経過のために有用。

  ライオネル(1)は「強攻撃」訓練だけでも勝てる。アヤ(1)はかなり強いので、「強攻撃」以外のコマンド訓練(または追加コマンド)が必須かな。「触手」発動勝利はさらに難しい。

  訓練メニュー毎にイベントが用意されている。全イベント制覇は出来るのだろうか?

  触手発動勝利が、長期的にゲーム進行とどう関わるのかが見えてこない。予想では、全ての戦闘で発動させたらベストEDになりそう。

  戦闘テストで、追加コマンドのチェックが出来ないのは、かなり問題がある。実戦は追加コマンドに大きく左右される――というか決定的に重要になる――ので、それをあらかじめ考慮できないのでは、無意味と言ってよい。ただし、「追加コマンドに頼らずとも確定的に勝利できるパターンを発見できる」という意味では一応の役割があるが、2戦目以降はそもそも勝てるパターンが存在するのかどうか疑わしい。また、フラグのことを考えると、触手発動を組み込めないのも致命的だろう。「吸収」などの補助コマンドも、戦闘テストでは発動しない。いよいよもって無意味。

  MQの2戦目は回復行動が多すぎる。追加コマンドが無ければ勝てない(倒しきれない)か?

  「吸収」は、自動発動の模様。
  「身代」は、「防御」状態で攻撃を受けても剥がされてしまう。身代を持っている場合は、使いきってから「防御」コマンドを使用すると無駄がない。
  「スタン」は、自動発動してしまうので、訓練1ターン使うにはもったいないかなあ。訓練ターンが大量にあるか、あるいは使いどころを指定できるならば強いと思うのだが。2戦目アヤは、スタン+追加コマンドだけで勝利できたが、こんな偏った訓練をしても……。

  対モンスター戦は、触手を使わなくていいから気楽だ。……というか、対モンスター戦に「触手」コマンドは出てくるのだろうか? 拘束されて苦しむハラミボディ(ミノタウロス)の姿に喜ぶユーザーもいるかもしれないけど。

  三人少女……☆効果が乗ると、攻撃が一撃必殺級になる(つまり、ダメージが1000を超えることもある)。触手拘束から「集中」重ね掛けの強攻撃で撃破できたが、そろそろ大変。
  公式ラジオでは、ほどほどの難易度だと言われていたが、総じてゲームバランスはなかなかシビア。戦闘に勝てない(クリアできない)という人も出そう。

  クエア戦では、触手は出ないのか? ひとまず普通の仕方で撃破して進める。

  戦闘テストで、少なくとも一撃は相手にダメージを与えていれば、こちらが防御していても相手のHPが変動するのは何故だろうか。もしかして、その都度0ターン目から再計算している?

  そうか、これはあくまで魔力戦闘なんだね。テキストで京香の魔力量が1000程度だと言っているが、これはちょうどSLGパート上での彼女の耐久力と等しい。1000というのは言葉のうえでの喩えのようなものだが、その数字と平仄を合わせているのは偶然ではあるまい。


  【 ストーリー、小ネタ 】

  OP(デモ)ムービーは、いつもの皇征介氏だろうか。
  主人公ヴォイスは原田氏。
  敵方3人は、「影森律」「赤遠藤サヤ」「神時玉」。予想どおり、巫女キャラは「神時」家だった。内藤ワールドでは順当の設定か。
  サヤの服に「一石三鳥社」が。「小四光製鉄」の方は不明。
  ドラゴン(?)の脚。本編待ち。
  女神。ラスボスかな?
  モンスターとして、ベト、ダークマン、ハラミボディが登場する。

  音声コンフィグ欄の配列が、公式サイトの出演者リストに対応するのだと想定すると、
  ルティ:原田氏
  京香:綾音氏
  律:八尋氏
  サヤ:霧島氏
  玉:羽高氏
  クエア:青山氏
  レイカ:なつめ氏
  セイ:結城氏
  その他女性A:大波氏
  その他女性B:藤邑氏
  その他女性D:波野氏
  その他女性D:渋谷氏
  その他女性E:大野氏
  その他男性A:一条氏
  その他男性B:本多氏
  その他男性D:山本氏
  その他男性D:植木氏
  その他男性E:原田氏
  システムボイス:???
という対応関係になる。

  魔力に関する設定も、SHC共通世界のとおり。通常の人間が魔力を体内に蓄積すると精神に悪影響が生じるし、体内の魔力を奪われると記憶が混乱する(その間の記憶が無くなる)。ただし、簡単に回収できる魔力(授受しやすい魔力)と、しにくい魔力(特定の人物に固着しがちな魔力)の二種類があるという話は、今作が初めてかも。

  綾音氏の芝居はかなり表情豊かで、時としてテキスト(台本)を拡張すらしている。羽高氏も、台本にかなり味付けをしている。木葉楓スタイル。

  キャラクターの配置は『LJ』っぽいと思ったが、ストーリーはもしかして『アルフレッド学園』の再演になるのだろうか。魔族主人公に対して、天使族が学園に介入するという意味で。
  「司会」の女性は、コンフィグでは「女性E」に割り振られている。やけに上手いと思ったら、これは大野氏かな。

  ごめん、八尋氏の芝居はちょっと……。こんななひどかったっけ? 喘ぎ声すら平板というのは、さすがに……。これまでは無口無感情系の役で誤魔化せていただけか。ライオネル役の霧島氏も、あまりにも声が弱々しい。
  レイカの中の人もかなり拙い。なつめ氏?

  デパート屋上のヒーローショーに「ヴァルキル」。キリッサ(のコスプレ)を演じているのは渋谷氏か。セイフマンはSAFEスターのセルフパロディ。
  「もどき」とはいえ、キリッサもどきを蹂躙するのは申し訳ない思いが……。
  ライオネル敗戦は、MQ敗戦と同じテキスト。

  セイが勧めているコスモスタイガーは、『真昼』の霧姫。

  「アスパラガスの変わった食べ方」。恒例ネタ。「帰ってきたアスパラガス将軍2」と「アスパラガス工場」も一応。

  「タマルデニーロ」「キノスケックス」……スタッフさんかな?

  「ロータス学園」……え、あれ? シリウス学園じゃないの? 制服のデザインはシリウス学園(葉木崎唯の学園)のものと同じなのに。ロータス学園は、『LJ』の唐紅葉月の学園。さらに『アウトベジタブルズ』は、「聖ロータス学園」だったが、同じ学校かどうかは不明。

  「魔界への通路を作る」……かなり危険な行動なのでは? 天界と魔界、双方のリーダーに話を付けられるとは、ルティはかなりの地位にあるのかも。

  「アルフレッド学園」が登場。同じ地区にあるらしい。

  「魔力を結晶化」も、『アルフレッド学園』から。というか、結晶化能力を持つ人物は限られていたと思うのだが。ルティは優秀なのか。それともサフィールの縁者か何かか。

  「しっらたき、しっらたき、しっらたき」!

  「葵屋」も登場。

  カードゲームイベントのウルティニア、イザナ、パニバーナ、フォーゼロッテは、『BB』シリーズのキャラクター。ルティは知り合いのようだ。

  「加来山ランド」の「加来山」は『真昼』『DC』の舞台。

  「小四光」は「しょうしこう」と読むらしい。ボディガードたちの会話シーンから。

  モブ警官……いたのか。
  モブサラリーマンは、結局本編に出てこなかった。おまけシナリオのみ?

  あっ、メイン画面のヒロイン立ち絵をクリックすると反応が……古式ゆかしき女体クリック。ただし、どの場所をクリックしても変わらないようだ。単純にクリックする回数で、台詞と表情が(ランダムに?)変化する。立ち絵のパターン毎に台詞は異なる。

  クエアの勝利時(つまりこちらの敗戦時)の「くふふふっ」が素晴らしい。

  ひとまずクリア。京香END。CGは88%(250/284)、回想は69%(363/522)……えっ? キャラクターイベントが足りていないのか。おまけシナリオは大量。2周目は……HPが増えたりコマンドが増えたりといった変化は特に無いのようだ。
  まさか半日で終わるとは……。脚本の雰囲気は悪くなかったけれど、作品規模はせいぜいミドルプライス並じゃないかな。

  青山氏が、おまけシナリオで全力を出している……。「残念ながらそれはアウトなのです。アウトなのですよ」。

  「キリッサの声は、私の声に似ているので妙に親近感があるのです」。
  ……かなりぎりぎりのネタじゃないかな。

  おまけシナリオ。清掃員や映画監督や土器発掘は、もはや本編と何の関係も無いのだが。「山春日」の名前が出ている。

  イベントは基本的に、各訓練コマンドの実行回数(と時期)に応じて発生する。ただし、月末の実戦に勝利しなければいけないから、あまり偏った訓練メニューでは詰む。……ということは、イベントコンプリートするためには、あるプレイでは「防御」訓練の実行回数を最大化――あるいは少なくともイベントコンプリートするまで――しつつ各月の敵と戦っていき、次のプレイでは「サヤ」訓練をできるだけ多く実行しつつ毎回の戦闘をきちんと勝利していき……といった繰り返しプレイが必要になるのだろうか。さすがに、そこまではやっていられない。

  OPムービーで出てきたサヤのランニングCGに、本編で出会えなかった。もしかしてサヤENDの一枚絵なのだろうか。SDキャラたちがドラゴンの足に追われているCGも無かった。
  それにしても、「サヤ」と「アヤ」とは紛らわしい。





  『悪魔聖女』は、ストーリー進行の次元とバトルシステムの次元がうまく馴染んでいないのが問題だろうか。訓練行動を選択する度にさまざまなイベントが発生していき、その累積回数をフラグとしてイベントが進行したりエンディングが分岐したりする。しかしその一方で、訓練行動の選択回数は、バトルパートでのスキル使用回数に直結している。しかもバトルパートはそれなりに難易度が高く、下手な訓練メニューをしているとなかなか勝てない。その意味で、AVGパートとバトルパートが両立しない関係にある。
  もちろん、そういったトレードオフ関係を作る――言い換えればリソースを限定する――のは、ゲームの基本だ。同社作品でも、『グリンスヴァール』『Wizard's』『雪鬼屋』『門』のようにターン制限のある作品では、たいていこのような状況を作っている。そして、これらのタイトルは、けっして失敗しているわけではなかった。しかし、『悪魔聖女』の場合は、二つの問題がある。
  1)ゲームシステムが簡素すぎること。SLGではなくアドヴェンチャーを名乗っている。そう名乗らざるを得ないほど、作品全体の構造もシンプルで、ゲームパートも小規模だ。ゲームシステムが豊かではないため、ゲームパートとストーリーパートの間の衝突関係が、剥き出しに露呈してしまった。これが一つの問題だろう。
  2)蓄積が出来ないこと。『Wizard's』や『門』では、周回引き継ぎによってユニットがどんどん強化されていった。そのため、プレイ時間を積み重ねていけば、行動の余裕が出てくる。また、『グリンスヴァール』は300年モードが出現するし、『雪鬼屋』は細分化されたモード変化を導入することでゲーム展開が単調にならないように配慮されていた。しかし『悪魔聖女』には、どうやら一切の蓄積が存在しない。ゲーム内でも、一ヶ月単位でばっさり切られてその都度新規まき直しになるし、一度エンディングを迎えて以降のプレイでも、機能追加されたりすることはまったく無いようだ。☆の位置がランダム変化する程度で、基本的には、何度プレイしてもまったく同じ戦いのやり直しになる。
  結局のところ、「AVGパートは登場キャラクターが少なくて味気ない」、「バトルパートは小規模だし、再プレイでも同じことの繰り返しになってしまう」、「AVGパートとバトルパートの間で、訓練行動のやりくりに汲々とするため、AVGパートもバトルパートも安心して楽しむことができない」という状況を帰結している。ゲームデザインとして何がしたかったのかは分かるし、どうしてこうなったのかも分かる――だから「こうすれば良かったのに」といった対案や改善のアイデアも思いつかない――のだが、結果的に各パートがお互いの持ち味を殺し合うかたちになってしまった。
  さらに、それでいて、バトルパートには「☆の位置変化」「追加コマンド」という二つの不確定要素が入ってくる。しかも、バトルに対する影響がきわめて大きい(※この二つの要素無しでは、中盤以降の敵には勝てない)。バトルそれ自体の難易度はそこそこ高いうえ、大きな不確定要素があるため、システムの詳細な仕様を十分把握するまでは計画的な訓練行動を立てにくいし、心理的にも安心してプレイすることができない。

  だが、しかし、しかしながら、ゲーム進行のフレームワークそれ自体は、確かにいつも通りのソフトハウスキャラなのだ。コマンド選択によって日数経過していき、それを下準備として反映させつつ、定期的にバトルパート(SLGパート)が発生する。バトルパートは、『海賊王冠』『アルフレッド学園』『LJ』のように、それ自体としては比較的シンプルなものだ。それで良い。そう、これで良い筈なのだ。しかし、ゲーム全体に大きな軋みが生まれてしまっている。

  私としては珍しく、コンプリートのための再プレイに、ちっとも気が進まない。SHC作品では初めてかもしれない。『うえはぁす』はかなりハードだったけど、なんとか分岐条件を見つけてからは頑張れたし、『海賊王冠』も、海上で彷徨っているだけでも楽しかった。『アウトベジタブルズ』も、ライバルの妨害に苛立ちつつも、歯応えのあるゲームだった。『雪鬼屋』は退屈だったけれど、それでもモティベーションは最後まで維持できた。しかし、今回はかなり辛い。

  本当に、システムを改良しようが無いのだよなあ。例えば、周回プレイで体力を2倍にして難易度を下げようとしても、追加コマンドの出現条件に関わってしまうため、むしろやりにくくなる。各種コマンドを最初から使えるようにしてみたいが、そうすると訓練パートのイベント発生条件が根本からひっくり返されてしまう。訓練回数を増やすのも、同様にフラグ制御の問題が生じる。逆に、難易度をこれ以上高くしてしまうと、今度はAVGパートの訓練行動に余裕が無くなってしまう。バトルシステムがシンプルな一対一対戦であるため、少しでも難しくすると、あっという間に「勝てる解が一つしか存在しない」または「どうやっても勝てない」状況になってしまいやすい。個々のアイデアは、一つ一つは悪いものではないのに、それらの噛み合わせがあまりにもマズい仕方でハマってしまった。それが今作の不幸だろう。それを上手く設計するのがプロのゲーム制作者なのだが。

  キャラクターは、メインヒロインはピーキーな面白さがあるし、三人娘もいつもながらのキャラ立てで、けっして悪いものではない。クエアも、青山氏が演じただけのことはあり、十分な個性を発揮している。イベントも、見せつけセックスの頻出には淫蕩感があった。……しかし、それだけだった。サブキャラがほとんどおらず、物語世界は非常に寂しい。三人娘との人間関係も、フラグが縦割りになっているせいで上手く広がっていない。その挙げ句が、本編と何の関係も無い大量の「おまけ」シナリオ。全体としては、どうにも褒められない。



  SHC本家チームは、『領地貴族』『悪魔聖女』でキャラクター数が激減しているのも、もどかしさの一因になっている。作中世界に固有の名前と顔を持って生きている(活動している)キャラクターが少ないと、その世界の手応えを薄く痩せたものにしてしまう。
  『悪魔娘』『アウトベジタブルズ』でも、男性サブキャラを含めれば10人はいたのだが、『領地貴族』ではまともな顔有りキャラは8人だった。『悪魔聖女』はさらに減って、主人公を含めてもわずか6人になった(※ラスボスやミスWやキリッサもどきは立ち絵が無いし、友人キャラのレイカとセイも目無しの汎用立ち絵にすぎない)。世界の広がりが描かれていないのは、たいへん息苦しい。
  『BB』シリーズや『忍流』、『Dancing Crazies』、『LJ』、等々、大量のキャラクターが自由闊達に動き回っているのは、ソフトハウスキャラ作品の大きな魅力だった。『グリンスヴァール』は、立ち絵のあるキャラクターは「王家の使者」を含めてもわずか7人だが、イベントサブキャラが多数登場したし、学園風景の視覚的な豊かさがそれを十分に補っていた。
  今後の内藤氏に期待したいのは、「登場キャラクターを増やすこと(ちゃんと立ち絵で見せること)」、「キャラクターたちを状況に絡ませること(無関係な学園生会話やおまけシナリオは、かえって印象を悪くする)」あたりだろうか。作中の社会の手応えが感じ取れれば、ゲームパートが簡素でもユーザーはついていける。まさに『LJ』や『悪魔娘』はそうだった筈だ。『LJ』は、ゲームパートは非常に単純だったが、多数のキャラクターが登場し、それぞれの楽しそうな生活が描かれていたので、作品世界全体が魅力的なものになっていた。『悪魔娘』は、逆に物語としては薄かったが、それでもBGMをはじめとした作中世界の雰囲気が良く出来ていたし、幕間のテキストイベントも料理屋経営にきちんと結びついた話題になっていたおかげで、何周でもプレイできた。



  『悪魔聖女』の最終月が3分割になっているのは、なかなか嫌らしい設計だ。断続的に発生する3つの戦闘に、全て勝利していかなければいけない。敗戦すると、それ以上続けられない。つまり、「最終戦には勝てなくてもいいから、特定のコマンドを最後まで連打して、そのコマンドのイベントを見尽くす(勝利エンディングはまた別にプレイすればよい)」という戦略が成立しない。
  「電気外祭り」ブックレットのテキストでも、「イベントコンプリートはやりごたえがあると思いますよ」と語られていた(29頁の内藤氏インタヴュー)。要するに今作のゲーム性は、ゲームパート単体の難易度に対する挑戦ではなく、それよりも一階上の、ゲーム進行のスケジューリングの次元で、目標を満たすような計画をどのようにして構想し実現できるかという点にある。
  とはいえ、それは通常のゲームよりもさらにややこしく面倒なゲームなのだが。そして、そうした挑戦に取り組みたいとユーザーに意欲させるにはイベントが魅力的であることが必要なのだが、残念ながら実際には、「キャラ毎に分断された」「コメディ」であり、しかも「あまり面白くない」という問題がある。例えば、謎の多いシナリオだったり、あるいはボリュームのあるベッドシーンだったりすれば、ユーザーたちのモティベーションは上がったと思うのだが……。