2018/12/15

模型雑話:2018年11~12月

  模型関連の雑多なメモ。2018年11~12月。(→2019年1月~9~10月


  12/23

  日本橋遠征。時間的余裕があまり無かったせいもあり、買いものの数量や総額は控えめになったが、それなりに満足のいくものが入手できた。

AZONE Internationalの「カスタムリリィ TYPE-C」に、新商品「ミリタリーワンピースset(カーキ)」をコーディネート。店頭で脳内シミュレートしたとおり、大成功の取り合わせ。おっとりと口を半開きにしたフェイスパーツに、妖しげな赤眼、ツインテールを外した黒髪ショートカット、ボディはちんまりしたSサイズ、そしてこのカラーリングが紅衛兵っぽくて笑える。大きく開いたダボ袖がユーモラスだし、上腕があえて素肌を見せているのもカジュアルな雰囲気を出している。80年代おたく風センスとか言わない。
そういえば、今年も『螺旋回廊』の時期だった。「私が入るには、ちょっとサイズが小さいかな」。

  今回の「ミリタリーワンピース」シリーズは、海軍士官風の白黒カラー、軍服寄りのカーキ、水兵っぽい白青、そしてゴスロリ志向のブラックの4種類がある。それぞれ個性が明確で、しかも使いやすい(合わせやすいという意味で汎用性がある)カラーリングだと思う。要所にくっきりした色合いのラインがい入っているし、ボタンやベルトの金属色もアクセントが利いている。ただし、1/12スケールなので、どうしてもスカート生地が分厚くなるし、しかもワンピースの下にプリーツスカートが入っている二重構造なので、きれいに座らせることは難しい(※プリムラやスティレットのような超ミニのデザインには、その意味で確かに合理性はあるのだ)。
  衣服は背面を開いてマジックテープで留めるスタイル。袖が分割されているおかげもあり、たいへん着せやすい。下半身は開放的なスカート構造なので、腰周りの厚みや脚部の長さを問わず、どんなプロポーションでも柔軟にフィットする(※パンツスタイルだと、こうはいかない。現実でもな)。その一方、バストサイズの多様性に対してあまり柔軟に合わせられないのは、やむを得ない。背面で留める=前面は完全に閉じられているので、平たい素体の方が好都合だ。
  店頭で現品購入する場合は、襟がきれいに整っているものを選ぶと良い。小型の縫製品は不可避的に個体差が出てしまうものだし、消費者としてはそのくらいは選ばせていただきたい。

  「カスタムリリィ」シリーズでは、TYPE-Bも「ツリ目+ヘアバンド」が活発で陽気な感じがあって好印象。うまく似合うファッションを思いついたら、また買いに行こう。

  ……はっ、いや、まだドールには嵌まってない。嵌まってないよ。落ちたら死ぬ世界だから、絶対に近づいちゃいけないよ。分かってるから大丈夫。まだほんのちょっとだけだから。

  AZONEショップには、もう1/12エッチング眼鏡の在庫は無いのだろうか……。
  近隣のGEE!STOREには、1/6用のエッチングメガネが売っていたので、一応買っておいたけど、本当に欲しいのは1/12用の方なので。
  1) 在庫のある通販サイトを利用する。→ほとんど残っていないし、通販先を増やしたくない。
  2) それ以外のメーカーの眼鏡パーツを購入する。→ほぼ通販頼みにならざるを得ない。
  3) 自作する。→1/12スケールでは、クオリティを保つのが難しい。
一応、PLUMのプラ眼鏡セットを買い足してストックしてあるけれど、出来に不満があるし、ツルが太いので装着できないフィギュア/ドール/プラモも多い。できればエッチング製の精密眼鏡を掛けさせてあげたい。
  ちなみに、PLUM眼鏡にはクリアプラスチックのレンズがあるので、見せる角度によっては「レンズ越しに睨み付ける」ような演出に使える余地はある。

  上のミリタリーTYPE-Cガールを眺めていると、なんだか赤い本を片手に掲げて「ぞーはんゆーりですのー!」と叫び出しそうで、ちょっと怖くなってきた。ほぼ50年前のことだが、現代アジア史の重苦しい一ページなので、(まだ)なかなか冗談にはできないが。


  日本橋KOTOBUKIYAでディスプレイしてあった「轟雷改 Ver.2」は、
  [ www.kotobukiya.co.jp/wp-content/uploads/2018/07/821336add52266fe4d32d26e95f922d75476f572-800x534.jpg ]
突き出た素体バストがめちゃくちゃ気持ち悪かった。チチブクロどころじゃないあんな不気味な突起物を、よくもまあ作ったものだ……。ただし、胸部装甲は選択可能で、装甲で全面を覆って剥き出しにならないように作ることもできるようだ。


  写真を撮る時は、いつも「闇夜に霜の降りるがごとく……」というフレーズを思い出しながらシャッターボタンをそっと押す。(それは引き金を引く時の話だ!)
  実のところ、動いている物を撮るときはそんな悠長なことは言っていられないし、静物を撮るときはタイミングも何も無いから静かに押せばよいだけだ。


  デカール(水転写型)の分量が一番大きいのは、どのキットだろうか。アイマス航空機や痛車プラモあたりは、面積最大の有力候補だろう。オーソドックスなスケールモデルでは、多くのキットにデカールが付属するが、数量はそれほど大きくない。キャラクターものだと、最近のSOL ラプターは、各部のピンク色ラインを表現するのに相当数のデカールを使っている。プラモ本体に対するサイズ比では、バーチャロイドのプラモも、なかなかのものだった。BANDAIのプラモだと、デカールよりもシールの方が多そうだが、ΖΖガンダム Ver. Ka.などはかなりの枚数のデカールがあった。


赤いボディの正面に走るライン。既視感の正体はこれだったか。どちらがどちらの既視感だったのかも分からないけど、なんとなく腑に落ちた。
Rocket Modelsの「ヴォータン」。1/72スケールの架空兵器。ちょっと汚しすぎたが、汚し塗装の練習としては十分な成果があった。下のケッテンクラートは1/48なのでスケール違い(※これでも大きすぎる)。
同一縮尺のメルカバ3D(LIC)と並べて(メーカーはHobbyBoss)。ボディ上面の幅それ自体は、ほとんど変わらない(※ヴォータンの方がわずかに広いという程度)。


  エアブラシ塗装にも慣れてきたことだし、もう筆塗りは完全にやめてしまおうと考えていた。平筆も、ウォッシング用を除いて全て捨ててしまおう、というつもりだった。しかし、そんなタイミングでオール筆塗りの『GA』版ビートルを制作することになるとは、なかなか数奇な偶然だった。



  12/16

「モビルドールサラ」(中央)。ゆったりと広がるロングスカートの裾が美しい(左のは和服の矢絣袴だし、右のは前開きがいかにも下品だけど)。
スカート部分は二層構造なので、ふわりとフェアリーの羽根のように広げることもできる。それは同時に、内側のメカディテールを見せることにもなるので、ちょっと不思議な二重の演出効果を持っている。その意味で、非常に面白いデザイン。

  このキャラクターが登場する原作(アニメ)はまったく知らないのだけど、このキットは可愛いと思う。人間フェイスは相変わらず出来がよろしくないので、メカフェイスで飾っておきたい。いかにも『ファイアボール』のドロッセルを連想させる路線のデザインだが、それと同時に、なにやらSTGのラスボスにでも出てきそうな雰囲気もある。フェイスの中央には鼻筋を模した突起があるが、いっそ削り落としてつるんと丸い曲面に仕上げてしまってもよいかもしれない。
  また、ドレスに隠れて目立たないが、腰部から臀部にかけて、やけにむっちりした肉感的なラインになっているのにちょっと引いた。web上の感想では、この造形は「ダイバーナミ」の太腿パーツを流用したからだという意見があり、見比べてみると確かに同一のようだ(※さらに、肘と膝の関節部も同じ形状)。ただし、この「サラ」はHGBDシリーズとのことで、9月の「ダイバーナミ」はFigure-rise Standardシリーズだったから、一応は別系統ということになる。もっとも、サイズも価格帯も事実上同じだから並べて飾れるし、ユーザー層もほぼ被っているだろう。

  パチ組みで75分程度(※ゲート処理をしただけ)。シンプルで清潔感のあるデザインだし、カラーリングもきれいにまとまっているので、アレンジ塗装のアイデアもあまり浮かばない。下手にスミ入れをするだけでも、汚くなってしまいそうだ。いっそオレンジかグリーンでくっきりとスミ入れをする方が、明るく引き締まった感じになって面白いかもしれない。
  キットとは逆に、スカートの内側をホワイトにしてペチコートのように見せ、それに対して外側を濃い色でシックに固めるというのはありかも。

  面白いのは、四肢を筒型のワンパーツにしている点。上腕、前腕、太腿、脛がそれぞれスライド金型で一体成形されているので、パーツ同士の合わせ目が出ない。このアプローチは、むしろFAGシリーズのような素肌デザインでこそ、有効になると思うのだが、FAGシリーズは一貫してモナカ式のパーツ貼り合わせで対処している。
  なお、MDサラの肘&膝については、関節ユニットを別途組み立てておいて、それを筒の中に通すという手法を採っている。「ダイバーナミ」も同じアプローチだった。たぶん関節部の強度確保や、見栄えの問題、コストの問題、設計の流用余地、さらには作りやすさにどれだけ配慮するかという問題でもあるだろう。

  謎の余剰パーツは、スカートの背面側に嵌め込むことができるようだ。ちょうどそれに対応しそうな穴が空いている。原作を知らないので分からないが、このあたりに何か増加パーツを設置していたのかも。

  とにかく表情が垢抜けない。また、両目のシールは視線をうまく調整するのが難しい。

  手に取って眺めていたら、ああ、これは良いわ。人肌要素ゼロの、純然たるメカ少女。その意味では、「バーチャロイド」シリーズにも匹敵する。良い、これは良い……。

  スミ入れしたらディテールがはっきりして、さらに良くなった。上にも書いたように、オレンジ色でスミ入れしたので、明るさと清潔感が増した(※頭部など、一部はブラックで)。ただし、純白のプラにビビッドカラーを入れるものだから、拭き取りの際に塗料が広がると大変なことになる。かなり執拗に拭き取りをしたが、微妙にオレンジの色合いが残ってしまった。真面目にやるならば、もちろん全塗装(=コーティング)の上からスミ入れするのが正道。

  スミ入れは、何色が良いだろうか。パープルやブルーだとモノトーンになってつまらないし、ブラックだと色がクドすぎる。グリーンは、センサー色と対応しているが、古典的なコンピュータ(電子世界)イメージで、ベタすぎる。ピンク色は、個人的にはきつすぎると思う。イエローは、薄すぎて目立ちにくい。オレンジであれば、「色相環で斜めの位置関係に当たるので程々に距離があり」、「単体の色でもくっきり目立ち」、「キット全体の色彩感を増す」ので、わりと有望な選択肢だと思う。

  「電子生命体」という設定と、このカラーリングから、どうしても『BALDR FORCE』のまきいづみヴォイスで真ヒロインな電子幽霊(ワイアード・ゴースト)さんのことを思い出してしまう。

  つくづく関西(の大都市圏)は恵まれていると思う。たいていのものは発売日当日に店頭に並んでいるので、ほぼ最速で入手できるし、また、商品の提供数もかなり潤沢なので、店頭一般販売でも十分余裕を持って買える。

  ロングスカートの美しさを描いているアダルトゲーム原画家さんというと、武藤氏、佐々木氏、了藤氏、それから☆画野朗氏あたりが挙げられると思う。これは以前も書いた話だけど。

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  くっ、『ファイアボール』パロディを先にやられた!(喜)


  VFG、FAG、MDと、なにやら昨今は猫も杓子も片目隠れキャラばかり。さすがに飽きる。
  2010年代の一連の流行の大元を辿ると、『Re:ゼロ』(2012年4月連載開始)だろうか……と思ったら、調べてみると白坂小梅(2012年1月)の方がわすがに早かったようだ。それ以降も、何人かの人気キャラが作られて、現在の流行に至っている。

  プラモデルは、金銭コストと時間コストの両方を消費するので、どのキットを買う(作る)かを選別する目はかなり厳しくなる。基本的には、完成させなければ意味が無い趣味なので、フィギュアのように「買って飾るだけ」では済まないし、ゲームのように「途中で飽きても元は取れる」というわけにもいかない。書籍のように「流し読みで済ませる」ということもできない。
  また、「安ければよい」ということも無い。いくら安く入手できるとしても、時間を掛けてそれを制作するだけの意欲を持てないキットであれば、当人にとっては買う価値が無いのとほぼ同義だ。逆に、高額キットであっても、時間を掛けて制作プロセスを楽しめるキットであれば割が良いと言えるし、完成時の満足が大きいならば確かに買う価値がある。


  フィギュアやプラモキャラのピンク色のくっきりチークは、誇張にしてもさすがにキツすぎる。お化粧に失敗したようにしか見えない。


  グライフェンガールに眼鏡を掛けさせているのを、少なくとも6人ほどは見かけている。眼鏡が似合うと筈だと判断した方がそれだけ多いということだ。嬉しいかぎり。


  自前調色のカラーモジュレーションは、明るい色を作るのがちょっと難しい。というか、明るくしたつもりの部分がうまく映えるようにするのが難しい。影になる部分はわりと楽なのだが。


  プラモ制作がたいへんなら、ドール分野に行けばいいじゃない。
  (そちらはそちらで、ヘアセットが難しかったり、保管環境を整えたり、いろいろ大変だが。)


  青イノセンティアを買って作ったのが、ちょうど去年の今頃だった。まさか、そこから一年の間に、KOTOBUKIYAの美少女プラモだけでも+10体になるとは、想像すらできなかった(※2015年制作のスティレットガールを含めて、計12体。同等サイズの他社キットやドールも含めると、20体を超えている)。おかげで楽しい一年を過ごせたので、満足だったし、感謝もしている。



  11/30

  FMGミクは、他の初音ミク立体物と比べて、表情に品が無いし、華も無い……。そこらの垢抜けない少女がミクのコスプレをしているような居心地の悪さがある。脚部などにFAGの記号を残しているのも、これ見よがしで鬱陶しい。あと、いつもながら前髪が重たすぎるし、バストを膨らましすぎなのも美しくない(※バストが上に来すぎで、プロポーションがおかしく、しかも初音ミクは既存のイラストやフィギュアでまっとうな造形の胸部を見慣れている分、このキットのおかしさが目立つ)。さらに、この内容で5800円というのは、(新規造形なのと版権料を考慮するとしても)高すぎる。ここまで私の好みに合わないミクが、しかもKOTOBUKIYAから出てしまうとは……。

  どこが悪いかというと、一つには、上の睫毛(アイライン)だ。通常の初音ミクでは、眼の上側のラインが、中央から外側へ向けてダイナミックに跳ね上がっていて、なおかつ上端は愛嬌のあるカーブを描いている。たいていのミクイラストは、そういう描き方になっている。クリッとした丸みのある眼は、明るさと機敏さ、そして意志的な表出性を感じさせる。私見では、これは間違いなく初音ミクの重要な個性の一つだ。
  それに対してFMGミクは、アイラインがほぼ水平に引き伸ばされているだけで、非常にどんよりとした表情になってしまっている。島田氏のイラストでも、キットのアイプリントでも、この欠点は変わらない。特に設定画の方は、ほとんど垂れ目のようにすら見える。鈍そうで、華がなくて、下品ですらある。明らかにミスマッチだろう。
  また、多くの初音ミクイラストでは、口元にキリッと引き締まった笑みを湛えている。歌手キャラクターなのだから当然だ。しかしFMG版では、口元に力が入っていない。悪く言えば、顎が落ちている。とても美声の持ち主には見えない。
  FMG版に対するマイナスイメージは、さしあたりこのあたりに起因しているように思われる。ひとまず納得したので、このミクプラモは「無かったもの」というつもりで行こう。
  プラモと言えば、Figure-rise Bust版の初音ミクも似ていなかったが、見返してみると、FrB版の方がまだしもマシに見えてくる。上記のようなミクらしさのコードは一応反映されているので。

  ただし、一般論としては、立体化されたフィギュアにも十分な魅力がある。それは現代のフィギュアの素晴らしさだ。以前(00年代前半くらいまで?)は、アニメキャラなどのフィギュアの大半は、原作のデッドコピーのようなものばかりで、似てもいないし、可愛くもなく、ディテールも甘かった。しかし現在では、元イラストの魅力に比肩するほどの独自の魅力のある造形が作れるようになっている。細部の作り込みも見応えがあるし、顔の表情も十分なクオリティがある。グラデーションをはじめとした繊細な塗装も、今ではごく普通に行われている。ポージングもよく練られており、立体物ならではの「様々な角度から観賞できる」というアドヴァンテージを大いに享受している。隣接分野たるオタク系イラストからしばしば強く影響を受けつつも、フィギュアはフィギュアで独自の美意識を作り出し、確立させている。本当に素晴らしいことだ。


  EXQシリーズのフィギュアは、萌えを追求するアーティスト的な創造というよりは、面白い仕組みの立体物を組み上げようとするエンジニア的挑戦の産物のように思える。忌憚なく言えば、キャラクターの表情は全然可愛くないし、アイプリントを含めてずいぶん画一的に見えるし、ポージングもあまり魅力的ではない。しかし、衣服のディテール表現や質感表現、さらには着せ付けの構造などは、プライズフィギュアとしては飛び抜けたクオリティを誇っている。そういった、オタク系分野としてはいささか珍しいギャップを持っている。昔ながらの、技術志向のオタクの気配すら感じる。
  多重フリルを巧みに表現したり、クリア素材を大胆に使ってみせたり(※クリアパーツは裏側や内部を誤魔化せないので難度が高い)、複雑な頭髪の流れをきれいに表現していたり、下半身スライム化を再現してみせたり(※リムル)、シャツの上のジャケットを着込んだ重ね着を見事に立体化していたり(※渡辺曜2nd、どうやって内部まで塗って組み合わせているんだ)、飾り房を律儀に作り込んだり(鷹富士茄子と渋谷凛)。新作のデフラグ版シノンも、「このクリアパーツ、いったいどの角度で成形して、どんなふうに組み合わせて、どうやって身体に着せているんだ?」と驚いた。左腕に掛かる部分が分割されているのは分かるが、右側はいったいどうやって着せたんだ?

  ……それでも相変わらず、アイプリントが平板なせいで、目が死んでいるのだが。惜しい。シリーズの中では、「緒方智絵里」「ユウキ(無印版)」「おすわり真宵」あたりは、技巧性とチャーミングさと個性を両立していて、完成度の高いフィギュアになっているのではないかと思う。毎月5種類前後の新作を出してくる製作速度もすごいし、その速度にもかかわらずその都度新たな実験要素を盛り込んでいるのも素晴らしい。

  実のところ、「萌え」という単語は、現代では単体で用いられることはほとんど無くなっている。せいぜい「萌え○○」という分類上の説明に用いられる程度だ。しかし、「オタク的な路線での、可愛らしさ(に対する愛着)」を言い表す言葉としては、非常に便利だ。10年代前半から中葉に掛けて、「尊い」とか「バブみ」といった新たな言葉がいくつも案出され、そうした概念によってオタク的なキャラ萌えの表現はいよいよ本格的に精緻化されていくのかと期待していたのだが、結局それらは一時的な流行としてあっという間に失速し、汎用的な言葉としては定着しなかった。個人的にも、それらの言葉は好きになれなかったので、私自身はまったく使っておらず、昔ながらの「萌え」という言葉でそれらを総称的に指している。


  [ www.rocket-models.com/fistofwar ]
  何この多脚メカ大好きメーカー……。次に店頭で見かけたら買おうかな。

  [ www.rocket-models.com/47010 ]
  というわけで買ってきた。連装砲塔の六脚戦車という、おとこのこ向け仮想メカ。
  メーカーは静岡所在。ランナーにも"modelcollect"と刻印されているとおり、中国のメーカーと共同開発しているようだ。

  買って開封してみると、脚部は同じランナーが6枚。このあたりで程々にコストダウンを図りつつ、全体としてはこれほどのボリュームで約4000円と、なかなかリーズナブルな価格になっている。そのわりに、パッケージの印刷はコーティングが施してあったり、組立説明書も厚手の紙だったりと、面白い作りになっている。
  パーツ分割は、わりと無難な感じっぽい。車体上面のハッチなどは別パーツ化されているので、情景模型的なアレンジも出来そう。一つのパーツの内側の隙間に別のパーツを入れ込んであるのが、なにやら海外メーカーめいている(※スペースの効率的利用によって、金型のサイズを極力コンパクトにしている)。
  1947年のナチスドイツ製という設定の架空兵器なので、ディテールについてはあまりコメントできない。リベットモールドは各所に入っているが、全体の精密感は程々。派手にウェザリングして楽しむのが良いのだろうか。チッピング(細かな塗装剥がれ表現)の練習やストリーキング(ストレーキング、雨垂れなどに沿った錆表現)の実験に使うにはちょうど良いかも。ただし、当然ながら履帯は無いので、ピグメント塗装(粉末塗りつけによる泥濘表現)はあまり出来ない。

  web上でざっと見るかぎりでは、[ www.rocket-models.com/47002 ]:このZwillingが、わりと人気が高いようだ。連装高射砲を四脚メカに積載してやがる……。価格も2000円と、さらにお安い。こちらも、見かけたら買ってみよう。

  難点は、公式サイトの重さだろうか。何か変なものを入れてるんじゃないかと訝りたくなるほど、ブラウザの動作が重くなる。

  2割ほど組んでみた。嵌め合わせのピンすら存在しない、見事に割り切った仕様。パーツの合いはそれなり。1/72スケールなのに、車体は1/35のシャールB1 bisに匹敵するサイズ。ただし、車体の内部は補強桁などが存在しないので、多少注意する必要がある。一応、戦車の一種ではあるので、組み立てと基本塗装の工程はやりやすい。車体の側面はほぼ平滑なので、なにかしらディテールを追加したい。
  シリンダーは、金属パイプに置き換えてしまうと楽だが、可動部なので強度を考慮してプラのままにした方が良いかも。関節にシリンダーを組み込む都合上、モナカ挟みの上にさらにモナカ挟みをしていくデザイン。まあ、やむを得ないか。
  砲塔が、その後ろ側にある車体ハッチに干渉して擦れてしまう。プラ板を挟むなどして、砲塔を1mmほど持ち上げておく方がよさそうだ。……というか、何かあった時にここから出入りできないし、こんなところにグリルがあって換気(排気)や排熱は大丈夫なのだろうか。

  しかし、塗装作業は春まで出来そうにない。あるいは、寒さを圧してベース塗装だけでも頑張っておくか……。

  この六脚戦車が、遠い未来に『ソラノヲト』のタケミカヅチに結実するのかと妄想すると、さすがにニヤけてくる。……というか、外見は同作のトリフネ(技術的に未熟な雑魚メカ)に近いけど。

  ひとまず組み立ててみたが、六脚だといかにも昆虫めいて見える。まずは四脚のキットを手掛ける方が、素直に架空兵器らしさを楽しめると思う。



  11/24

  メカ少女プラモの雑誌作例は、キットの原形をとどめないほどのゴージャスな全面的アレンジか、そうでなければ本当に軽い塗装見本のようなものに、二極化しがちなようだ。前者はハイレベルすぎ&特殊すぎて応用しにくいし、後者はシンプルすぎて見るべきところが少ない。要するに、どちらも参考にならない。色変えによる雰囲気の変化とか、tips的なディテールアップの実例とか、プロポーション変更の実験とか、素肌部分のお化粧の仕方あたりを手厚く紹介してくれるのが、私としては一番ありがたいのだけど。本当に若い分野だから、基礎的なノウハウの確立と共有がまだ出来ていないということかもしれない。


  SOL ラプター。黒星氏デザインの癖毛ショートカットキャラで、きれいな逆ガル翼で、ミミズクキャラが付属していて……うっ、惹かれる要素がたくさん入っているのだけど、いやいや、そこまで手を出している余裕は無い。


  [ www.modelart-shop.jp/?pid=137157836 ]
  艦船模型プロパーのムックで、しかも中級者以上のコンテンツなのに、作例が1/700ばかりで、1/350の制作記事が一つも入っていないというのは、どういうことですか。初級者向けであれば、高額な大スケールキットにいきなり手を出すのは難しいだろうから、さしあたり割愛しておくという判断もありだろうけど、本格派(ハイエンド)キットにもちゃんと目を向けておこうよ……。1/700スケールは、AFVで言えば1/48くらいの小ぶりのキットだけを扱っているようなもので、艦船模型の魅力のほんの一側面を表しているにすぎないのに……もったいない。さすがにこれでは買えない。


  クロムシルバー+ブラックは、なにかと便利に使える。SFロボット模型のフレーム部分にリアリスティックな質感を与えることもできるし、スケールモデルのメタル部分に使っても馴染む。きちんとした金属感がありつつ、ギラつかず、それでいて暗くもならない。もちろん隠蔽力も高いので塗りやすい。難点は、スミ入れの効果が低い(目立たない)点だろうか。


  メカ少女プラモをランナー状態で眺めると、解体展示してしまっているかのような背徳感が。


TAMIYA「B1 bis」。車体高がかなりあってコロンとしたシルエットは愛嬌があるし、プリン(イエロー)・抹茶(グリーン)・小豆(マホガニー)とやけに美味しそうに見えて、食欲が刺激される。

  スミ入れで汚してしまうのがもったいなくて、このままにしている。彩りを増すために、デカールだけは貼っておくつもり(そしてA17パーツ×3個も)。いずれにせよ、作って良かった。全体のシルエットも攻撃的すぎないから、気楽に机の上に置いておけるし。丸々とした車体に、前面の履帯が突き出ているので、動物が静かに伏せているような雰囲気がある。

  [ www.youtube.com/watch?v=n_1neH-5NUY ]
  「ドーラク」の、以前の回(#16)。私もこのキットは作っているので、動画でどこのパーツをどうやって組んでいるかがはっきり把握できる。まさに「わかるわかる わかるぞお」。

TAMIYAの「B1 bis」のキット(写真右)は、履帯(つまり戦車の車輪を覆っているベルト状のアレ)が、あらかじめ一枚ずつ切り出されているという親切仕様。通常の細密キットでは、左右60枚ずつとか90枚ずつとかを一つ一つ切り出して組み立てていく必要がある(写真左、Mengのメルカバ)。

  「B1 bis」のキットは、戦車模型の中では初心者にも作りやすいと思う。TAMIYAキットはパーツがきれいに合うし、組み立て(パーツの噛み合わせ)の面白さもある。デリケートなパーツや小さいパーツも少ないので、破損や紛失の可能性が低い。履帯パーツもあらかじめ切り出されているので、面倒が無い(※ゴムベルト式のキットでもよいが)。後部の金属鎖のようなアイキャッチもある。完成時のボリューム感(と満足度)も十分だろう。まあ、組み立てやすさは、多くのAFVプラモに共通する美徳だが。
  井澤氏の場合は、演じたキャラクターの一人がこの戦車に乗っていたというご縁でこのキットを制作されたようだが、そういう偶然によるものとはいえ、AFV模型のファーストチョイスとしてなかなか好適だったと言えるだろう。
  難点としては、一般にイメージされるような長大な主砲を持っていないことと、価格がやや高いこと(税抜4800円)、知名度や人気がそれほど高くないことがある。そういった点に不満を持つならば、もちろん別のキットを選べばよい。
  ちなみに、艦船模型はほとんどのキットに極小サイズのパーツが大量に存在するし、塗装も難しい。エアクラフトも、翼や着陸脚をきれいに取り付けるのが難しいし、無塗装では味気なく、かといって塗装するにはキャノピーをマスキングする必要がある。カーモデルは、クオリティを割り切って作れば比較的簡単だろうか。組み立てフィギュアは、着色済みのものならばわりと簡単。

キット同梱のハートマークのデカールを貼ってみると、いよいよ可愛い。小ぶりな砲塔の上に、さらにキューポラが段重ねに乗っているのも、ユーモラスでよい。もうこのままでいいんじゃないかな。


  私が吹き付け塗装に使っている溶剤は、「Rapid Thinner」。カーモデルのようなツヤ出しキットをほとんど作らないというのもあるし、メタリック系塗料をよく使うせいもある。揮発しやすい=浸透しにくいので、ABSパーツへの塗装にも適しているとのことだ。もちろん作業時間短縮にもなっている。筆塗りの場合は「Leveling Thinner」が適しているそうだが、リターダーを混ぜてしまうことの方が多い。



  11/19

  現時点でグライフェンガールを武装部分まで全塗装完成させている方は、tw上だと、
  [ 1061103643292655617 / 1061544039764217857 ](※イエロー)
  [ 1061977689685258240 / 1061977462098223104 / 1061977097013358592 ](※イエロー)
  [ 1062298251695542272 ](※オレンジ)
  [ 1063438892840431618 ](※オリーブ)
  [ 1063012095103389698 ](※ブルー)
の5人だろうか(※あと、ニパ子版も)。素体のみの全塗装制作も、何人もいらっしゃる。
  いずれも、技術面でもクオリティの高い制作だし、色彩設計以外にもオリジナリティを盛り込んでおられる。そのうえ撮影もきれい。造形の面白さを引き出せるような塗装だったり、MSGなどを投入しつつ説得力のある改修を行っていたり、大胆な色使いをきれいにキットにフィットさせていたりして、しかも作業もおそろしく速い(※最も早い方は、11/9には完成させている。完全新規キットなのだから条件は同じなのに……)。
  それに引き比べ、私のはしょせん保守的なアレンジャーにすぎぬのよな……。いろいろ塗り分けてはいるものの、立体感も精密感もうまく出せていない。技術的にも、素朴なアプローチを抜け出せていない。ひとまず構想どおりのものが作れたし、単体で見るぶんには満足しているのだけど、やはりクオリティに限界がある。

  ちなみに、ggl検索だと、検索ワードをいろいろ変えても一件も引っかからない。ひどい。もちろん私の記事もヒットしない。ということは、私と同様に、制作記事を公開しているけれど検索結果に出てきていないという方々がいらっしゃる可能性がある……というか、発売から二週間も経っていればそのくらいのページはすでにいくつも出来ているに違いないのだが。ちなみに、制作途中のブログ記事は数件ヒットするが、いずれもまだ完成していない模様。
  何がヒットするかというと、大量の通販ページとか、無関係なページの広告部分の文字列でヒットしているものとか、「今月買ったもの」のようなしよーもないページとか……。このブログの記事は、何故か「頭髪塗装」の記事がヒットするが、肝心の制作記事は出て来ないという、ズレた結果。

  twはtwでかなり滅茶苦茶で、しかも検索設定の細かなチューニングが利かないので、ものによっては相当ひどいことになる。特に問題なのが、「アカウント名も検索に引っかかる」という仕様で、例えばゲームタイトルや役者名で検索すると「○○@『(タイトル)』プレイ中」や「○○(CV[声優名])」のようなアカウントの投稿群がずらりと検索結果に並ぶ。ゴミの海。



下ネタ御免。あんさんぐさん(左)と、らむさん(右)、何してるんだ!とびっくりしてしまった。

  机の上のものを適当に移動させて、ふと見たらプラモとフィギュアがこんな位置関係になっていて、アレな状況に見えてしまった。フィクションでしか見たことが無いような行為なのに(しかもゲームでも、こういう構図になることは少ないのに)、どうしてこの私がそんな連想をしまったのか。しかも機械カンという……。
  ところで、現実では普通は舐め(られ/させ)ることは、しないよね……?

  実のところ、可動フィギュアやプラモデルは自由にポーズを取らせることができるわけで、あんな姿勢やそんな姿勢にして絡ませているユーザーもきっといるのだろう。あまり見たくはないが。一昔前はリボルテックの「ウッディ」に美少女フィギュアを襲わせるものがあったし、「クイーンズブレイド」に至っては明らかにそういう用途のための差分パーツが入っていた。固定ポーズのフィギュアでも、いわゆる「キャストオフ」仕様(衣服パーツを外せる)だったり、ダメージ状態コンパチパーツが入っていたりするものがある。
  もちろん、ストレートなアダルトフィギュアも存在する(SkyTube、ダイキ工業など)。ただし、15禁だったり、建前上は全年齢だったりするようだが。


  パワーローダー化したグライフェンガールを見ていたら、「こんなに簡素でぎこちなくて頼りない、ただの重機に乗って、あの巨大で凶暴なエイリアンクイーンと対峙していたのか」ということに気づき、なんだかとても悲しくなってきた。劇中ではいかにも格好良く映っていたけど、助けも無く、武器も無しに、怪物の脅威に立ち向かっていた……悲壮にも立ち向かわざるを得なかったんだね。あのシーンの見え方が変わってきそうだ。


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  「高度に調色された塗料は成型色と見分けがつかない」。よくある。いや、私のはけっして高度ではないけれど、それでもどこを塗ったのか塗っていないのか、見分けがつきにくくなることがある。塗装室での照明をきちんとしていれば多少は解消される問題だし、そうでなくとも、せっかくだからと成形色と異なる独自のカラーリングをしていれば、問題にならなくなる。とはいえ、スケモ(なかんずくミリタリープラモ)では、突飛な独自カラーにするわけにはいかないし、しかもグレーなどの地味な配色が支配的だから、判別しづらくなることがある。


  ネット上でのグライフェンガール制作は、ひとまず山を越えた感じだろうか。
  FA版との合体グライフェンも、パワーローダー風のクロー装備も、みんなやるだろうと思っていたのに、私以外は誰も実行していないようだ。発想があまりにベタすぎて、あえて実行するほどではないと考えられているのだろうか。ちなみに、重機風のイエロー塗装や、エイリアンフィギュアと並べたりするレイアウトは、それぞれ複数の方が行っている。また、「エクステンドアームズ03」を装着させたミサイルグライフェンガールは人気なようだ。私が見た範囲でも、おそらく5~6人ほどが実行されている。どうやらFA/FAG界隈は、「ディテールアップ文化」よりも「ミキシング文化」の傾向が非常に強いようだ。
  脇の下を塗り分けるのも、ベルトのラインを明確にするうえで有効だと思うのだけど、素体を全塗装している方々でもそういうアプローチは全然見かけない。影になりやすい位置だから、目立たないといえば目立たないのだけど、きちんと塗り分けておけば、見る角度によっては立体感と構造的リアリティが増す。太腿をスーツ色に塗装している人もいないようだし、ケーブルを這わせている作品も見かけない。ただし、眼鏡を掛けさせている方は、少なくとも2人いらっしゃった。
  いずれも、発想それ自体はありがちなものだし、表現効果もはっきりしているし、技術的にもきわめて容易な筈だが、メカ少女プラモユーザーのコア部分は、そういう志向ではないのだろうか。よく分からない。twに投稿した写真へのリアクションを見るに、わりと多くの人に面白がってもらえたようだから、私の発想がズレているということではないだろう。 まあ、他の方々がどうあれ、私は私で好きなアプローチを楽しんでいくつもりだし、今回の一連の工作にはひとまず満足している。なにしろ、このグライフェンガールのキットは発売前からずっと期待していたし、制作にもほぼ全力の水準で取り組んだから。
  頭部の髪筋塗装は、今後も機会があれば積極的に実行していきたい。

  現在告知されている各社のラインアップには、欲しいものが全然無い。資料目的としても、さしあたって必要なものは無さそうだ。せいぜいケモ娘のカイロスガールを買うかどうかだが、大半はジークフリードガールと同じだろう。ずいぶん寒くなってきたし、ちょうど丸一年間のメカ少女プラモ趣味は、ひとまず店仕舞いにする。これで安心してドール分野に目を向けられるな!

  MDラプターや朱羅と比べると、グライフェンガールがデカールを一切使っていないことにあらためて驚かされる(※予備のアイデカールは同梱されている)。フレズヴェルクガール(無印)やバーゼラルドガールも、デカールはほとんど無かった(※ただしアーテル版は多いようだ)。こういうところにも、キットデザインの方針の違いが見て取れる。


  モデラーがぶつかる困難としては、技術的金銭的な限界の他に、
1) シンナーによる健康被害、
2) 模型趣味に対する家族の無理解、
3) 溶剤の匂いに対する家族等からの苦情、
4) 保管展示スペースがどんどん足りなくなっていくこと、
5) 老眼による作業困難(高齢で手が震えるなどの現象も)、
などが多いようだ。私の場合は、模型趣味は余技扱いなので1)は比較的少ないし、2)と3)も無関係で済んでいる。4)は、私にとっては最大の(そして克服困難な)問題だ。特にスケモキットは、デリケートなパーツが多いし、バラすこともできないので、保管にも苦労する。5)に関しては、40歳代で発症して読書しづらくなった先輩もいらっしゃるし、長期的には問題になりうる。ただし、私がそこまで模型趣味を続けるかどうかは分からない。



  11/14

  半徹夜して、予定を半日前倒しでグライフェンガールを完成させた。無塗装で組み立てるだけならば一日で作れて、可愛いメカ少女プラモの最先端を楽しむことができるのだが、細部をきちんと塗り分けて制作するとなると、スケールモデルのハイエンドキットを真面目に作るのに匹敵するくらい労力が掛かる。

これがやりたかった。
ダブルグライフェン。イカやタコを超える12本腕。
素体も可愛いグライフェン。詳しくは別掲記事にて。

  グライフェンガールは、「メカ少女のプラモ」というよりは「メカ好き少女のプラモ」なのでは……。
  眺めていると、もう一つ欲しくなってきた。プレーンに作るとしたら、襟&袖のラインととベルトを塗るだけでも十分だろう。もう一歩進めるとしても、シリンダーとギア(?)部分にシルバーを足したり、両肩のフィンを塗り分けたりするくらいだろうか。あと、マーカーでのスミ入れも。



  11/04

  [tw: 1059036790537904129 ]
  明日発売か。予約はしていないけど、最近の傾向を見るに、たぶん大丈夫だろう。
  以前のサンプルでは、もっと堂々としたギョロ目だった憶えがあるけど、ずいぶんまっとうな美少女顔になっているような……。
  口の中(舌と上下の歯)を、あらかじめ塗り分けてくれているのか。スティレットガールや白虎ガールの開口フェイスは、口の中はピンク一色だったので、さらにプリペイントが細やかになっているということだ。ちなみに、プリムラのマヌケ顔も口と八重歯をちゃんと塗り分けてあったし、今後はこのくらいがスタンダードになっていくのかな(※後日追記:口の中は別パーツ化されていた。口内パーツは塗装済み。口の中はかなり奥まっているので、塗装しやすいように分割したのだろう)。
  頬のチーク塗装もデフォルトになりつつあるようだけど、ピンク色がきつすぎて、「お化粧が下手」なように見えてしまう。あまり好きではないのだが、これも模型的デフォルメの範疇の表現として受け入れるべきなのだろうか。

  口のスミ入れは、オレンジを使っている。
  ピンクだと、目立ちすぎるし、作り物じみた印象になるし、影としての暗さが出ないし、血が通っている感じがしない。レッドだときつすぎるし、ブラウンにすると色が濁りすぎる。
  それに対してオレンジ色(エナメル塗料)であれば、周囲の肌に対してはっきり濃い色になるし、目立ちすぎることもなく、汚い印象にもならず、周囲の色合いにマッチする。
  まさか本物の口紅を使うわけにもいかない。そもそも、唇を塗るためではなく、唇の合わさったラインを表現するためのスミ入れなのだし。
  既存のフィギュアでも、ただのピンクではなく、ピンクにグレーを少量混ぜたような感じに塗装したものがある。20cm以上のフィギュアであれば、リアリスティックな路線での一つの正解だろう。ただし、12cm以下のフィギュアやプラモだと、色の印象が沈みすぎる。

  パワーローダーっぽくするために、あのアームのような形状のパーツをいろいろ探しているのだが、めぼしいものが無い。かといってプラ板で自作するほどのネタでもないしなあ。

  最近買ったor買うものだけでも、このグライフェンガールにACアンサング、B1 bis、サーニャ(Yak-3)があるし、メルカバももう一両作っておきたいし、他にも制作途中の艦船キットが複数あるのだが、そろそろ気温が下がって模型制作のしづらい季節になってきた。
  ゲームは手先だけ出していればいいからいかにも冬向きだ。もっとも、複雑なSLG作品でデータ取りをし始めると、かなり忙しい作業になるが。

  twの中では、[ twitter.com/*/status/1059036790537904129 ]:こんな感じにユーザーネームの部分をアスタリスク「*」にすると、相手のアカウントに通知が行かないかたちでリンクを貼れるらしい。しかし利用者ではない私には、使いどころの無い知識なのだった。


  グライフェンガールはようやく塗装工程に入れた。しかし、塗料やパテの乾燥待ちやマスキング作業もあるので、まだまだ掛かる。300パーツくらいなので、無塗装で組み立てるだけならば一日で完成させられるのだが……。いずれにせよ、たいへん可愛いので、時間と財布に余裕が出来たらもう一つ買いたいくらい。
  パワーローダーっぽいアームも作れるように準備しているが、本体を組み立ててサイズを確認してからの作業になる。ケーブルだらけの武骨な重機ロボにしたい。


  グライフェンガールはようやく、素体がほぼ完成。構想どおりのカラーリングで、なかなか上手くいったと思う。私はモデリングに関しては保守的なので、基本的には設定画のカラーリングを踏襲しつつ、色調や塗り分けをちょっぴりアレンジするという程度だが。
  残りは「装甲の塗り分け」「頭髪塗装」「全体のスミ入れ」。いずれも大変。

  うう……グライフェンガールの塗り分けを真面目に再現しようとすると、なまじのスケモ塗装よりもハードになる……。大型のボルトモールドが大量に存在するのだが、筆塗りだと表面が荒れるし、かといってエアブラシ塗装をすると円形マスキングがややこしい。今回は(合わせ目処理以外は)全力で取り組むつもりなので、時間と精神力が保つかぎり頑張っていきたい。

  マスキングゾルを導入しておいて、本当に良かった。塗り分けの境界線が凹凸などで物理的にはっきりしていれば、適当に垂らして爪楊枝で突いていけば必要な範囲をきれいにマスキングできるし、万一はみ出した場合でも、固まった後でデザインナイフを使って切り出せば塗り分けの輪郭を修正できる。特に円形モールドは、ゾルを大雑把に塗って、固まったら溝に沿って鋭利なデザインナイフで切り出せば、「技術的要求が低く」、「特別な工具を使わず」、「どんな形状にも対応できて」、「比較的精度が高く」、「ミスしにくく」、「リカバリー容易で」、「塗料染み込みの危険もきわめて低く」、「比較的迅速に」、「少ない手間で」、作業できる。また、大面積をマスクすることも一応可能だし、AFVの複雑な曲線迷彩などでも簡便に使えるだろう。デメリットは価格だが、作業時間と完成度と精神衛生を金で購っているのだと考えればよい。

  火曜日(11/12)にはおおまかな塗り分けを終えて、水曜日には細部の筆塗りとスミ入れをして完成させられればと思う。そして、画竜点睛の眼鏡を掛けてあげるんだ……。(死亡フラグっぽい)


  【 「アリシア アンサング」雑感 】
  「アリシア アンサング」のブラックは、メタルブラック基調の色と、マルーンとパープルを多めに混ぜたものの2色に分かれているようだ。ランナー成形色の違いは非常に分かりにくいが、おそらく以下のようになっている。
- 濃いブラック(メタルブラック+パープル10%、マルーン10%):D、E、G×2、P×2、Q×2。
- パープル寄りのブラック(メタルブラック+パープル15%+マルーン25%):それ以外。

  レッド部分は、シルバーの上にクリアレッド+スモークグレーを塗るくらいでよいだろうか……と考えていたが、「朱羅 忍者」に使った紅色塗料にシルバーを多少混ぜたら、ちょうどぴったりの色合いになった。念のため、クリアレッドを上塗りして、さらに赤みと輝きを強調するようにした。
  ゴールド部分は、シルバーをわずかに黄味がかった感じにする。チタンシルバーで代用してしまってよいだろう。

  あ、あれ……吹きつけ塗料がはじかれる……これが離型剤の影響なのか。
  開封してランナーを触ってみた時点ではベタつきなども感じなかったので、お湯+洗剤の中で多少じゃぶじゃぶさせる程度で済ませていたが、もっときちんと漬けて、歯ブラシで磨くまでやっておくべきだったか。
  ラッカー塗装をしかけた状態で、どうしたらいいかなあ。乾かして、そのままお湯に漬けても大丈夫だろうか。中途半端に塗料が表面に残ってマダラになってしまうという可能性がある。
  安直なランナー塗装だったのは、不幸中の幸いか。ランナー単位でOK/NGの判断がつくし、洗浄もしやすい。もしもパーツを切り出した後だったら、小さなパーツを紛失する危険があるし、バラしたパーツを一つ一つブラシで洗うのは大変だろう。

  主な塗装箇所、つまり、成形色では設定が再現されていない箇所。
- 両肩(工程#3-4):K7×2の一部をブラックに。中央部分とパイプ。
- 肘関節(#8):G14+G15(各2個)の一部(放熱板)をシルバー。
- 手の甲(#12):G9×2の一部をレッドに。
- 脚部(#23):I16, I17(各2個)は、全体をブラックに、内部はレッドに。
- 踵(#24):P2×2の一部をレッドに。
- 頭部(#27):A27の一部とA8をレッドに。
- 胸部(#28):A23とD3+D4の一部(縁の部分)をレッドに。
- 胸部(#30):A28の一部をレッドに。
- 背中(#32):P15×2をレッドに。
- 武器(#38~39):U9-U10の一部、T18の一部をレッドに。
- 武器(#41):T22+T23をシルバー。また、T2, T4, T8, T9, T12, V5, V6の一部をレッドに。
- 武器(#43~44):M7+M8の一部, M11+M12の一部をレッドに。M14のサイト部分も。
- 武器(#45~47):V7, V8, T15と、T20, T17の一部をレッドに。
  その他、各部のスミ入れ。


  【 ランナー状態での塗装 】
  大雑把なランナー塗装にも、一定の意義がある。
1) 成形色に頼らずに自分の好みの色を乗せられるようになる。
2) ウェルドラインを消せる。
3) 塗装による質感変化の効果を得られる。
4) 下塗り段階でもそれなりに有効。
5) ツヤ消しなどのコーティングをするだけでもよい。
6) とにかく塗装作業が速い。持ち手があるようなものだから、塗装するのも楽。
7) パーツを紛失しにくい。組み立て時のパーツの取り違えなども生じにくい。
8) 細部は筆塗りでリタッチすればよい。
  現代のプラモデル製作としてはけっしてディーセントなやり方ではないし、私自身も滅多にしないアプローチだが、ものによってはアリだと思う。大昔のガンプラなども、ランナー状態での塗装指示があったと仄聞する。

  ちなみに、デメリットは:
1) ゲート跡が塗装できないのでクオリティが落ちる(※後でリタッチすればよいが、手間だ)。
2) ランナー単位を外れた細かな塗り分けができない(※後で個別に作業すればよいが)。
3) ピン部分まで塗ってしまうので、ピンのサイズが太くなってしまう(※後で削ればいいが)
4) 合わせ目処理をする前の塗装になってしまう。塗り直すとなるとかえって二度手間に。
5) 組み立て前の塗装なので、塗装箇所の判断を間違える可能性がある。
6) 全体を塗料で覆ってしまうので、接着剤による溶接が利かなくなる可能性がある。
7) おおまかな塗装なので、塗り漏らしの可能性がある(成形色と似ている場合は尚更)。
8) 当然ながら、キット全体に独自の改修を施そうとする場合も、不適当。

  リタッチの作業が増えるし、そのわりに粗が目立ちやすいから、全体としては必ずしも効率的なやり方ではない。だから、「完成時のクオリティはそれほど高くなくてもいいから、とりあえず自分が望むような色を乗せたい」という場合や、あるいは「(塗装ブースを長期間保持できないなどの理由で)塗装の時間をできるかぎり短くしたい」という場合、「パーツを切り出してから一々塗装するのが不向きである」といった場合にのみ、有効なアプローチだと言うべきだろう。

おとこのこだいすき、トゲトゲメカ。「アリシア・アンサング」。

  書いてから気づいたが、「男の子が好きな~」と書くと、「男の子たちが好むような」とも取れるが、「男の子のことを好きな」とも読める。「男の子の好きな~」と書くと、主語(男の子たちが好んでいる)だと認識しやすいだろう。ただし、同じように「の」を使っても、「ケーキの好きな~」と書くと目的語(ケーキを好き)だと読める。結局のところ、言葉の理解は、指示されている対象の性質や一般的な用語法の知識に大きく依存するということだが。
  そもそも、「ショタ」という言葉も、「可愛い男の子」それ自体を指したり、「可愛い男の子に愛着を覚えること」を指したりする。
  いずれにせよ、アンサングはショタメカではない筈。

  こういうトゲトゲメカの魅力は、私にはあんまりよく分からない。

  ランナー塗装してから組み立てた(+スミ入れ)だけだが、肩の合わせ目くらいは処理しておくべきだった。全体の塗装はメタルブラック+マルーン。インストではパープルも混ぜるよう指示されているが、マルーンのみで赤味に傾斜させた。メタルブラックは金属粒子が粗いのだろうか(?)、まるでラメのようなキラキラになってしまった。真面目にシルバー+ブラックを混色すべきだったかと反省。ただし、接写しないかぎりはそんなにクドくないので、大きな問題ではない。


  塗装順序を最適化して、二度塗りを極力避けることには、意味がある。
  1) エアブラシ塗装で、塗料の入れ替え回数を減らせる。洗浄の手間も省けるし、溶剤の消費も抑えられる。塗料の無駄も減らせる。
  2) 調色したそれぞれの塗料を、使い切りのつもりで使用できる。一度使った塗料を保管しておかなくてもいい(すぐに廃棄してよい)し、気軽にアドリブ混色してよい(再現性が無くてもよい)。
  3) もちろん、作業工程それ自体も効率化できる。
  もっとも、そればかりを優先して、他の考慮が疎かになってはいけないが。例えば、マスキングに関しては、あまりに広面積になってしまうとか、複雑なマスキングで手間が増えるとか、塗り分けのクオリティが落ちる可能性が出てくるとか。


  Mr. Colorのネービーブルーは、濁って沈んだ色合いになってしまうので、あまり好きではない。ホワイトを少なめにしつつ自前で混色した方が、きれいな発色の塗料が作れるかもしれない。あまり発色を強めすぎると、スケールモデルとしてはチャチく見えてしまう可能性も出てくるが。


  【 ABS塗装 】
  ABSパーツへの塗装は、そんなに怖れなくてもよいと思う。接続部など、力の掛かるところを塗らないように注意しつつ、溶剤が浸透しないようにエアブラシ塗装するのであれば、基本的には大丈夫だろう。つまり、塗ったらすぐに揮発していくくらいのペースで、やや遠めから吹き付けるようにすれば、プラへのダメージはかなり低減できるだろう。そもそも接続部は、塗る必要の無い場所でもあるから、そこだけ塗装を避けていればよい。
  また、ある程度浸透してしまった場合(=可塑性を失って、曲げ伸ばしなどに脆くなった状態)でも、力が掛からないようにすれば、なんとかやり過ごせる。さらに、比較的小さな損壊であれば、ABS用接着剤で強引に継ぎ合わせることも一応可能だ。
  ただし、溶剤がプラ表面に長時間滞留していると、どんどん染み込んでいくようだ。特にパーツとパーツの合わせ目に流れ込むと、空気に触れない状態になる(=揮発しにくくなる)ので、周囲のプラがあっという間にモロモロと崩れていく(経験済み)。



  11/02

  [ www.youtube.com/watch?v=n_1neH-5NUY ]
  「わかるわかる わかるぞぉ」。
  よし、私もB1 bisを作ろう……。(ただし、下のYak-3を作ってから。)
  それにしても、パーツを抉ってしまったとか塗料を吹きつけしすぎたといったありがちなミスは、たぶん台本ではなくその場の偶然――をうまく編集で拾い出したもの――だと思われるが、そういう現象がきちんと発生している(しかもリカバー可能な程々のところでとどまっている)あたり、運もついている方だなあ。
  ところで、お写真はどこに掲載されるのだろう。HJ誌の次号あたりだろうか。

  サーニャのレジンキットは、1/20なのでとても小さい(約8cm)し、バリとパーティングラインだらけで、作るのは大変だろうし、そもそもあんまり似ていないけれど、なんとか可愛く完成させたい。
  パッケージアートのサーニャはどこから引っ張ってきたのかと言いたくなるようなギザギザの粗い画像だし、キャラクターキットも上記のとおり辛い出来だし、インストもきわめて簡素なもので資料的価値も何も無い(※一応Yak-3の説明は載っている)、それでいて3000円を超える価格なのだが、まあ、こういう素っ気なさがいかにもHASEGAWAだよね、という感じ。
  ちなみに、瞳のデカールは2種類あり、しかも3個ずつプリントされている(つまり予備)。襟章やネクタイの星も4枚ずつで、失敗しても大丈夫なように予備が潤沢にある。このあたりは、さすがは模型メーカー、テクニカルな配慮はきちんと行き届いている。

『Re:ゼロ』の「ラム」。四つん這いのポージングはかなりセクシーだが、高さ10cm前後のものを見つめさせるにはちょうど良い。


  AGPシリーズは動きが止まっているのか。今年の春頃に発売されたFAZZガールと照月が最新作(もしかしたら最終作)のようだ。このシリーズも、参考までにどれか一つくらい買っておきたかったが、あまりめぼしいものが無くてずっと迷っていた。1万円超の高価格のわりに、店頭展示を見ても質感のよくないプラっぽさが露呈していたり、顔の表情がダルかったり、web上でも造形の問題が指摘されていたり、あるいは個人的に知らない作品のキャラクターばかりだったりして、手を拱いていた。やはり一つくらいは……。
  とはいえアニメ『IS』には良い印象が無いし、軍艦擬人化ものはあまり手を出したくないし(武装デザインが好みではないし、ディテールや質感にも難あり)、バンシィやFAZZは普通のプラモデルで作ってしまったし……。ここはちょっと我慢して、いっそ眼鏡基準で選ぶとか……。

  追記。割安で売られていたので、一つ買ってみた。うーん、いまいち。パーツはバリだらけだし(特にな頭髪部分がつらい)、塗装も粗っぽくて質感表現に欠けるし、可動もぎこちないし、嵌合の良くない箇所がいろいろあるし(嵌まらなかったり緩かったり)、ディテールもオモチャじみているし、サイズも小さめで迫力が乏しい。不幸中の幸いで、フェイスプリントはそこそこ魅力があるし、おそらくキャラクターの再現性という点では合格だろう。
  全体として、「figmaよりもクオリティが低くてfigmaよりも値段が高い」という印象。その比較対象のfigmaですら、最近は値段のわりにクオリティは中途半端なのだが、それよりも一段劣る感じ。まあ、キャラとしては可愛げがある造形なので、安売り相応には満足はしているが、褒められた出来ではないし、定価だったらきついだろう。
  素材に関しては、パッケージにもインストにも何も書いていない。公式サイトによれば、オーソドックスにABSとPVCの組み合わせとのこと。多少気を遣うが、塗装(上塗り)は一応可能。


  可愛らしいドール(サンプル写真)を見てしまい、あやうくドール分野に落ちるところだった。あぶないあぶない、でも大丈夫、まだ6万円くらいしか使っていないし、まだドールにはハマってない。


  1/12スケールのドールでも1万円弱の高価格になる。それに対して、サイズが2倍になる1/6スケールでは、2万円台になるかというと、必ずしもそうではないようだ。特定のキャラクターを立体化した一揃いの製品でも、12000~18000円程度だったりする。しかも、たいていの場合、専用の植毛ヘッドになるというのに。
  これは1/6が割安というよりは、1/12の方がどうしても割高になってしまうということかもしれない。つまり、一人分のキャラクターをデザインするには、衣服の型取りから縫製、着付け、小物の取り付けなどをひととおり行うことは、どのスケールでも変わらない。例えば「型を取って切り出す」という作業のコストは、1/12と1/6とで、極端に違うわけではないだろう。「一つの工程を実行するためのコスト」がかなり高く、その中では具体的な作業量(針数)や素材量(布地消費量)の多寡はそれほど大きな違いを生じない、ということではなかろうか。だから、どうせひととおりの工程を踏んで完成品ドールを作るならば、1/6スケールの方が、サイズに比してリーズナブルということはあり得る。

  もっとも、さらに1/3スケール(50~60cm級)になると、5~10万円になる。つまり、1/6から1/3スケールに、サイズを2倍に上げた場合は、価格は2倍どころではなく、4倍またはそれ以上になる。これはこれで、おそらく理由のあることだろう。
  考えられる一つの理由は販売数だ。5万円以上の高級ドールになると、そうそう売れるものではない。つまり、デザイン費用や工程維持コストのような、販売個数にかかわらず発生するコストを、販売数によって薄める(分散する)ことができない。それゆえ、販売価格そのものを高く保たなければ、採算が取れない。
  また、1/12(15cm級)から1/6(30cm弱)へは12cm程度の拡大になるが、1/6から1/3(50cm級)にするということは、22cm分(の三乗)の上積みになる。単純な拡大だけでは済まず、その分だけ、質感表現のクオリティやディテールの作り込みが激しく要求されるようになる。そのことも、コストアップを不可避的に招来する。

  ユーザーの購買行動も、それに合わせることになるだろう。1/12スケールは、少しでも支出を抑えたい場合や、展示&保管スペースが足りない場合に、選好されるだろう。1/6スケールは、残念ながら製品のヴァリエーションはそれほど多くないのだが、ドールそれ自体のボリューム(存在感)と価格のバランスという観点では、最も満足度が高くなりやすい。1/3スケールは、ユーザーとしても気軽に買えるものではないから、極力慎重に選んで買うか、あるいは自分でカスタマイズするのが最善ということになる。


  【 「アーマード・コア」のプラモデル 】
  「アーマード・コア」のプラモデルは、どれを作るか。以下のような基準でいろいろ考えた。
- デザインが鈍重すぎず(太すぎない)、華奢すぎない(四肢などが細すぎない)。
- シルエットが曲線的すぎない(直線主体でメカっぽい感じが強いのが好み)。
- 外連味がある(大きめの武器などが付属しているとよい)。
- 顔がある(頭部の造形が好みであること)。
- 高額すぎず、入手可能(一昔前のキットなのでやむを得ない)。
- デザインにオリジナリティがある(既存のロボットと違っていて、ヒーローすぎない)。
- 安定感のあるものが良い(脚部ががっしりしているとありがたい)。
- カラーリングが好み(全塗装すれば済むけど)。
このようなポリシーでラインアップを検討したところ、「クレスト」系列、「レイレナード」系列、「ローゼンタール」系列などが候補になった。その中で、ちょうど「レイレナード 04-ALICIA アンサング」が店頭に置いてあったので買ってみた。前後に長く伸びた足は安定感があるし、膝の逆関節や4連ミサイルにも十分な外連味がある。色調も、グロスブラックにレッドの差し色が重々しくてよろしい。肩や脛などは、表面処理をしてきれいに磨き上げたら見栄えがしそう。……ん? 組立説明書を見てみたら、ひょっとしてこれ、組み立てがものすごく大変なことで有名な彼奴なのでは……? 艦船モデラーの端くれとして、極小パーツの扱いには慣れているから大丈夫だと思うけど。

  その他の候補。このシリーズが気に入ったら、このあたりも作ってみるかも。
  「ローゼンタール CR-HOGIRE ノブリス・オブリージュ」:派手でよい。
  「クレスト CR-C90U3 デュアルフェイスVer./ネクサスVer.」:ゴツゴツした金属感が良い。
  「クレスト CR-C75U2 デルタVer.」:多脚ロボット! ただし、残念ながら入手困難な模様。
  「UCR-10/A ヴェンジェンス」:巨大ノコ、巨大ケーブル、そしてトラス。ただし高額。
  「レイレナード 03-AALIYAH クラースナヤVer.」:配色のおかげで造形が見て取りやすい。
  「ミラージュ C02-URANUS マーウォルスVer.」:こういうのもありかなあ。
  「ラインアーク ホワイトグリント」:SFメカっぽい感じがよい。V.O.Bセットもある。

  うーむ、もしかしてこれは、一番最初に一番良いキットを買ってしまったのでは……。ランナー状態でまとめて塗装してしまって適当に組み立てようかとも思ったが、これは真剣に取り組むべきか。いやしかし、そこまでの時間は取れないし……。

  模型であれ音楽であれゲームであれ何であれ、新しいジャンルに初めて取り組む時は、クオリティに妥協せず、まず最高のものに触れるのが最善だと考えている。もちろん、その時点では私自身の理解力が及ばないこともあるが、それでも、そうした最高のものは大抵の場合、当該ジャンルの美質や方向性や価値観を良く体現しているものだから、ジャンル全体についての手応えを得るうえでも都合が良い。また、「どれが最高なのか」という問題もあるが、さしあたり傑作だと見做されているものを適当に選べば構わない。
  しかし、模型制作の場合は、こちらのアプローチが様々に変化する。つまり、技術的な取り組み方のレベルで、パチ組みにするか全塗装制作するかといった、段階的な切り替えがある。そしてそれは、私自身の対象認識の仕方を「事前的」かつ「決定的」に規定してしまう。しかも、プラモデルは、いったん作ってしまうと「作るべき対象」が消滅してしまう。もう一つ購入すればいいのだが、原則としては模型制作は一回性の取り組みだと言える。これが音楽や読書やゲームであれば、まず初回は真剣に集中して取り組み、その手応えに応じて2回、3回と再視聴、再読、再プレイすればよいのだが……。モデラーが新ジャンルに手を出す場合は、「最初はそのジャンルのスタンダードなキットで感触を確かめる」、「二作目以降で早いうちにハイエンドを一つ」、「気に入ったら後は好きなように」といったキャリアを辿るのが良いと思う。
  艦船模型の場合はどうなるだろうか。他分野のスケモに慣れている人であれば、1/700の巡洋艦と1/350の巡洋艦or駆逐艦を一つずつ作ってみれば、ひととおりのことは把握できるだろう。私の場合は、出戻りでいきなりFUJIMIスケルトン赤城に手を出したのはともかく、かなり早い段階で1/350金剛+エッチングを経験しておいたのは、その後の展望を持つうえで有益だったと思う。

  というわけで、この「アンサング」キットにどのようにして取り組めばよいかは、かなり迷う。

  それにしても、まあ、これは見事におとこのこのだいすきな趣味よのぅ……。


  (→2019年1月~2018年9~10月