2018/09/02

模型雑話:2018年9~10月

  模型関連の雑多なメモ。2018年9~10月。(→11~12月5~8月


  10/29

  航空機やAFVのモデラーさんたちはすごいなあ、そして羨ましいなあ。そこそこ慣れた人なら、十数時間で組み立てと塗装からひととおりのウェザリングまでこなして完成させてしまう。しかも大スケールなのでキットの出来も良くて、きちんと塗装すればストレートに制作するだけでも鑑賞に堪えるクオリティになる。しかも、わりと安価なキットでも十分なサイズがあって見応えがある。
  艦船模型だと、1/700スケールだと本当に小さくて、ディテールもキットそのままではろくに再現されておらず、ただのミニチュアで終わってしまう。極端な小スケールのため、モールドにはリアリティが無いし、マストも太すぎて説得力に欠けるし、機銃等も不格好なままだ。かといって、エッチングなどのパーツを追加していくと、相当な時間が掛かってしまう(※手早く作っても20時間以上。丁寧に作業すると数ヶ月になることもあるようだ)。もちろん費用も嵩む。1/350スケールだと、今度は巡洋艦キットでも8000円かそこらはするし、制作の手間も数倍になって、たいへんヘヴィな制作作業になってしまう。
  ということで、しばらくの間、AFVキットをいくつか手掛けて経験を積んでこよう。


  エアロモデラーたちは、1/32や1/72といったスケールの違いに対して、どのような姿勢でいるのだろうか。縮尺には拘らないのだろうか。それとも、実機のサイズに応じて取捨選択しているのだろうか。あるいは、特定のスケールのみで揃えるというスタンスのモデラーも多いのだろうか。あるいは、必要に応じて柔軟に作り分けているのだろうか。それぞれの縮尺にどのような意味づけが与えられているのかが、門外漢にはよく分からない。
  艦船模型であれば、1/700が事実上のスタンダードであって、その同一のスケールでほとんどの艦船を揃えることができるので、スケール違いは問題になりにくい(※特にIJNの主要艦船では、「1/700以外にしか存在しない」というものはたぶん無い)。というか、1/700がデフォルト縮尺として強くなりすぎたせいで、1/350や1/500のようなオルタナティヴが伸びにくくなっているという皮肉な問題がある。
  AFVであれば、スケールに応じた各キットの位置づけや用途が、わりあい明確になっているように見受けられる。真剣に取り組むのであれば大型の1/35で、ややカジュアルに小物を作るのであれば1/48など。
  カーモデル(1/24)やバイクモデル(1/12)は、共通規格が成立している。鉄道模型は、ちょっと事情が複雑なようだ。



  10/22

  最近は、帰宅途中に模型店(やゲームショップや書店等)を巡っており、毎週1~2個はプライズフィギュアを買っている(※新品が模型店に出ているもの)。ということは、このペースだと一年にざっと75個に……しかも、一個2000円とすれば年間で15万円に……うわあ。
  それなら、「このお金で毎月1個ずつ、1万円級のフィギュアを買った方が良い」という判断もありかもしれない。だがしかし、2000円クラスのフィギュアにも独自の面白さがあるし、素晴らしいものも多い。高額フィギュアに素晴らしいものがあっても、だからといってプライズフィギュアを全て無視して高額フィギュアだけに趣味を絞ってしまうのは、やはり辛い。もちろん、高額フィギュアの方も買っているわけだし。

フリュー「火焔猫燐」。背中の青い炎の複雑かつダイナミックな造形が目を引く。3パーツ分割でうまく構成されているようだ。引き締まった上半身の曲線美や、ネコ耳のミステリアスなグラデーションなど、見どころは多い。セリオさん(右)は、机の上に置いていると、上目遣いで睨まれているような角度に。


  【 市販(高額)フィギュアとプライズフィギュア 】
  最近のプライズフィギュアは、飛躍的にクオリティを上げており、十分見応えのある製品(作品)も増えているのだが、いったいどうやってこのクオリティを実現しているのだろうか。模型店などでの新作プライズフィギュア――買い取り品だろうか――は、1500円程度からせいぜい2500円程度と、けっして高くはない値段で売られており、おそらく卸値もそこから窺い知れる程度だろう。
  不思議なことに、その一方でプライズ以外の市販完成品フィギュアは、近年いよいよ高騰している。小サイズのfigmaでも、7000円から8000円台(※付属品の少ないものですら6000円台)だし、ミドルクラスのフィギュアも8000円かそこらが常態化しており、ハイエンド帯はすでにいくつもの製品が2万円台に突入している。
  要するに、同じフィギュア分野で、同程度のサイズで、どちらも塗装済み完成品という仕様なのに、1000円台から2万円超まで、10倍――文字通り桁違い――の価格差が生じている。これはどのような事情に起因するのだろうか。市販フィギュアはどうしてこんなに高くなっているのだろうか、そしてプライズフィギュアはどうしてこんなに安く作れているのだろうか。
  市販フィギュアの価格高騰は、製造費(製造国の人件費)の上昇のためだと言われている。ならばそれは、プライズフィギュアにも当てはまる筈ではないか? 市販フィギュアの価格はこの十年でざっと2倍に上がっているのだが、その一方でプライズフィギュアはそれほど変わっていないように見えるし、それどころかびっくりするほどクオリティを高めてきている。どうしてだろう? どうやってこのクオリティを実現しているのだろう?

  フィギュアの価格には、1)企画進行のためのコスト(主に人件費)を初めとして、2)版権料、3)デザイン(原型製作)、4)金型製作、そして製造段階では5)材料費、6)塗装&組み立て(主に人件費)、7)輸送費、さらに8)小売業が得る利益が含まれる。市販(高額)フィギュアとプライズフィギュアは、どの部分のコストがどのように違っているのだろうか。

  1) 企画維持のためのコスト。企画立案から、版権元との交渉、そして各種発注からスケジューリング、販売のための営業、等々、要するにフィギュアメーカーのあらゆる作業が入ってくる。これは高額フィギュアでもプライズフィギュアでも変わらない。プライズフィギュアでも不可避的にそれなりのコストが発生し続けるし、高額フィギュアメーカーもこのコストを抑えようと努力はしている筈だ。プライズフィギュアメーカーの場合は、作業をあるていど定型的に処理していくことで、この部分のコストをうまく切り詰めているのかもしれない。 しかし、高額フィギュアを作っているメーカーも、多数の企画を平行して進めているだろうし、違いはよく分からない。

  2) 版権料。当然ながらプライズフィギュアでも、版権料は発生しているだろう。契約次第だが、固定費×個数だったり、卸値or小売価格に対する一定の掛率だったり、あるいはそれらの組み合わせ(例えば「販売数一個あたり基本料XXX円+希望小売価格のY%」といったような設定)だったりと様々だろう。一般的には、キャラクターもののロイヤリティ(版権使用料)は販売価格の5%程度に設定されることが多いようだ。この点では、プライズフィギュアの版権料負担は市販フィギュアよりも小さくて済む。言い換えれば、価格差に対する影響は基本的に存在しないので、当面の考慮から外してよい。

  3) デザインのコスト。つまり、まず原型を製作するまでの費用。基本となるデザイン仕様(ポーズ、表情、ファッションなど)を決定してから、実際に金型で製造するための立体サンプルを作るまでのプロセス。
  設定画を版権元などに依頼する場合は、一定の費用が掛かる。
  また、フィギュアメーカーとしては、キャラクターの青写真から原型を作るのが、さしあたっての大きな目標になるだろう。この原型の形状をうまく設計すれば、販売フィギュアの製造コストにも影響する(※パーツ分割しやすく、成形しやすく[複雑すぎると歩留まりが下がる]、塗りやすいのが望ましい)。また、原型のクオリティは、もちろん、販売されるフィギュアの最終的なクオリティや魅力を大きく左右する。プライズフィギュアは、この点でクオリティに対するコスト的妥協をしているのかもしれない。そうは思えないほどクオリティの高い造形が、どんどん増えているのだけど。
  社外のデザイナーに原型製作を依頼する場合は、比較的高額なデザイン料が発生する可能性がある。社内スタッフで原型製作を行う場合には、その費用は減らせるが、自社製造のための実作業コストが掛かる。プライズフィギュアの場合は、原型師の名前が出ることはあまり無いようだし、実際に内製で賄っていると思われる。この部分はおそらくコストカット(≒価格低下)に寄与しているのではないかと推察される。

  4) 金型製作。ここにもかなりコストが掛かるらしい(※ちなみに、固定資産税の対象でもあるらしい)。ただし、精密なディテールをきちんと再現するためには、高額な素材で金型を作る必要があるだろうから、高額(≒高品質)なフィギュアの方が、金型費用が大きいということが考えられる。この点は、それなりに大きなコストの差をもたらしているのかもしれない。
  しかし、その一方で、一つの金型から大量のフィギュアを作るには、耐久性という観点も出てくる。後述するように、高額フィギュアと比べて、むしろプライズフィギュアの方が大量生産しているのではなかろうか? その観点では、プライズフィギュアの側も、事情は単純ではなさそうだ。しかし、もしかしたら、製造数の差は問題にならない規模なのかもしれない。つまり、必要な数を成形して売り切るくらいであれば、どちらでも金型は十分保つのかもしれない。

  5) 材料費。成形素材(PVCやPS)。高額(=ハイディテール)なフィギュアは、繊細な造形をきちんと表現し、さらに発色も良くして、なおかつ強度を保つ必要がある。そのため、より高品質(≒高額)な素材を使っていると思われる。材料費の如何は、当然ながら商品の価格にも反映されるだろう。 ただ、門外漢である私には、このあたりの事情はまったく分からない。
  高額なフィギュアは、しばしば台座もきちんとした出来のものが付属する。それに対してプライズフィギュアは、ごく簡素なものであるのが通例だ。この点でも、多少の違いは出るだろう。

  6) 直接的な製造コスト、つまりパーツ製造、塗装、組み立てのコスト。
  パーツ製造(成形)の工程それ自体に掛かるコストは、どんなフィギュアでもあまり変わらないだろう。より高額なフィギュアほど、より高度な精密さが求められ、結果として歩留まりが多少落ちるかもしれない。また、金型に由来するパーティングラインも、高額フィギュアではそうした不格好なズレが露出しないよう、慎重に処理されているようだ。それに対してプライズフィギュアでは、パーティングラインの痕跡が残ったままであることが多い。
  塗装。この点は、製品の品質からしてはっきりした違いがある。高額フィギュアは、事実上すべての部位が塗装されている。衣服にも細やかな多重塗装が施されるし、素肌部分にも繊細なグラデーション塗装が乗せられている。小物類のディテールも、きれいに塗り分けられている。爪の先まできちんと塗装されていたりする。高額フィギュアの価格は、塗装のクオリティによるところも大きいだろう。それに対してプライズものなどの比較的安価なフィギュアは、大部分が成形色任せのままである。プライズフィギュアでも、両目などはきれいに塗装(プリント)されているし、ところによってはグラデーション塗装を乗せていたり小物のディテールを塗り分けたりしているが、やはり限界はある。工程上の最大の違いは――そして価格面への影響が大きいのは――この点だろう。とはいえ、現代では、安価なフィギュアでも複雑な模様や微少なディテールをきちんと塗ってあり、それはそれで素晴らしいことだ。これだけのクオリティのものが、1000円台かそこらでマスプロとして成立するというのは、本当に素晴らしいことだ。
  ちなみに、水着姿のフィギュアが多いのも、これと関連する。素肌部分は、ほぼ自動的に無塗装で済ませられるので、塗装工程の負担がおおいに軽減される。
  組み立て。高額フィギュアはパーツ数も多いし、パーツの合わせ目のズレが出ないように慎重に作る必要がある。また、破損を避けるための梱包にも、手間と費用が掛かる。

  7) 輸送費。多くの場合、フィギュアは外国で製造されている。そのため、国内への輸送にも費用が掛かる。大型の製品ほど割高になるし、高額フィギュアは総じてパッケージも大きくなるので、いくぶんコストが嵩む。とはいえ、それほど大きな差にはならないだろう。

  8) 小売の利益。これは卸値次第でもあるため、直接的には関係しない。
  ただし、プライズフィギュアは、当然ながらクレーンゲームなどの景品として掲示される。模型店などで直接販売されるフィギュアとは異なって、売れ残りになる(=不良在庫になる)可能性が比較的高いのではなかろうか(※まさか委託販売のようなシステムではないだろう)。その意味で、小売の利益率という観点では、プライズフィギュアにも難しさがあるかもしれない。
  卸先の違いは、影響があるだろうか。ゲームセンターに卸すのと、模型店や量販店や通販企業に卸すのとでは、どのような違いが生じるだろうか。店舗数の問題として、あるいは販路の問題として、双方の間にどのような違いがあるだろうか。詳しい業界分析をしなければ分からない。売れる(卸せる)数の問題にもつながる。補足的にその点についても考えてみよう。

  ex) 製造数の問題。
  高額フィギュアは、当然ながら、数が売れない。メーカー側の視点でいえば、ハイクオリティなフィギュアを製造するには、それだけ工程数が多くなる。それゆえ、製造コストが掛かるだけでなく、生産効率も低いだろう。また、ユーザー側の視点でも、フィギュアが高額になればなるほど、それを買おうとする者は少なくなるだろう。一種類のフィギュアを企画しても、ハイクオリティなフィギュアは、どうしても少量高額販売にならざるを得ない。生産数の限界と、市場規模(需要)の限界の双方が、ハイクオリティフィギュアを縛っている。
  ちなみに、この問題は、ドール分野ではいっそう顕著になる。繊細な植毛から、細やかな服飾縫製まで、一つ一つのドールを作るのにはたいへんな手間が掛かるし、それゆえ量産することができず、結果としてドールはフィギュア以上の高価格市場になっている。

  ……順を追って考えてくると、ハイクオリティなフィギュアが最終的に10倍もの価格になるというのは、なんとか腑に落ちてきた。表面を磨き上げ、繊細な陰影を付与し、作り込まれた繊細な表情を造形し、どの角度から見ても隙のない、そんな高品質なフィギュアは、確かにそれだけのコストが掛かっているのだ。それだけの素材と労力と時間と金銭を掛けているからこそなのだ。
  また、それと比べて、プライズフィギュアなどの比較的安価なフィギュアがどのあたりでコストを下げているであろうかも、それなりに見えてきた。しかし、いやしかし、これだけのコストでこれほど魅力的なフィギュアを作れるのは、やっぱりすごい。

  でも、figmaの高価格はやっぱりよく分からない。細やかな塗装が施されているわけでもないし、素肌部分もすっぴんのままだし、塗装の不出来もあったりするし、デザインも月並だし(※可動フィギュアだから、メーカー側がポージングを作り込む必要は無い)、ディテールの粗も大きいし、造形上の難点も散見されるし、顔の表情などもたいして作り込まれているわけではないし、サイズもやたら小さいし、素材も高品質なようには見えないし、版権料が高いわけでもなかろうし……。それでいて、最低でも6000円台というのは、納得しづらい。新作の「初音ミク V4X」も、たしかに元イラストをきれいに再現していて非常にかわいらしいのだけど、ギターとマイクスタンドくらいしか付属していないのに税込定価7500円とは……店頭でパッケージを見て絶句した。


  うーん、今時「右クリック禁止」のサイトとは……。


  [ www.diablock.co.jp/nanoroom/ ]
  「nano Room」シリーズの「チェロ」は、胴部3.4cm、全長5.5cm程度。だからチェロとしては1/20から1/22スケール程度のサイズになる。「ポーズスケルトン」シリーズに近い感じか。ただし、ヴァイオリンとして扱うならば1/10スケールくらい、ヴィオラとしては1/12くらいのスケールになる。FAGやVFGに持たせればヴァイオリン、MDに持たせればヴィオラのように見える筈。
  素材は大部分が木製で、木工用ボンドで接着して組み立てる仕様。金属(蝶番など)や糸(弓の弦部分)もある。あくまで木材加工製品なので、全体の出来は今一つで、ディテールも塗装も質感も、f-toysのギターなどとは比べるべくもない、大雑把な作り。ただし、遠目に見ればそれらしく見えるし、ケースも込みで700円なので、手っ取り早くヴァイオリンを持たせたいという場合は便利なアイテムだと思う。
  このシリーズの他の商品の寸法は、確かめていないのでよく分からない。スケールが合わないものも多そうだ。


  6000円から9000円くらいのフィギュアが、層が薄くなってきた、そしてクオリティが落ちてきたように感じる。さもありなん。十年前には10000円で作れたものが、現在では15000円掛かっているような時代だ。以前は定価9000円で作れたクオリティの製品は、1万円以上のカテゴリーで売られている。現在の9000円クラスの製品は、一昔前でいえば6000円か7000円くらいの手間しか掛けられていない。顔もあまり可愛くないし、全体のボリュームも控えめ、デコレーションも少なめになっているように感じるのは、おそらく思い込みばかりではないだろう。


  「ラム フィギュア」で検索したら、「もしかして:レム フィギュア」を示唆してきやがりました。
  gglくんよ、それは失礼じゃないかい。



  10/10

  うう……艦船模型のマスキングはパズルだ……。細部が入り組んでいるので、どういう順番で塗装していくかの判断が決定的に重要になる。基本的には失敗は無い(やり直しが利く)のではあるけれど、やり直せばその分だけ塗膜が厚くなるので不格好になるし、不適切な手順で塗装していくとマスキングの境界線が崩れる危険がある――というか、マスキングがきれいにならないような塗装が、まさに「不適切な手順」の一例なのだが。また、破損や塗装剥がれのリスクも高まるし、もちろん時間の無駄も生じる。精神衛生上もよろしくないし、マスキングテープも無駄に消耗する。マスキングテープそれ自体は安価だが、費用面での不経済であることに変わりはない。電車内や寝床で、「あのキットはどの色から塗って、どんなふうにマスキングしたらいいかな」と思考実験することが多い。


  【 メカ少女プラモを人に薦めるならば 】
  模型初心者がメカ少女プラモに興味を持ったならば……。
  1) キットの選択。KOTOBUIKIYA、BANDAI、AOSHIMA、VOLKSなどが発売している。どれも出来は良いので、サンプルを見て気に入りそうなものを買えばいい。ただし、定価5000円以上のものは武装のボリュームが大きいことに注意(※作るのに多大な手間が掛かって疲れる)。制作技術に不安があるならば、BANDAI製品が安全(※ダイバーナミなどのFigure-rise Standardシリーズ)。スティレットガールとジークフリードガールは、無塗装ではちょっと見栄えに難あり。HASEGAWAのバーチャロイドシリーズも、デカール貼り付けがとても大変なので、初心者は避けた方がよい。VOLKSのプリムラは作りが緩いので、あまりおすすめできない。メガミデバイスも、小サイズなのでやや作りにくい点に注意。最も素肌面積が大きい(素肌手足が付いて人間らしく見える)のは、FAG「イノセンティア」、メガミ「マジカルガール」「ウィッチ」「朱羅 蒼衣シリーズ」。
  2) 購入。店頭だと、ホビーショップ(模型店)や家電量販店に置いてある。通販でもよい。箱はそれなりに大きい(人目に注意?)が、それほどデリケートなものではないので、持ち帰りでも大丈夫だろう。ベーシックなキットでも4000円ほどするし、高いものだと6000円以上のキットもあるが、ところによっては2割引くらいまでは値引販売されている。
  3) 工具と工作。ひとまず見苦しくない程度に完成させたいならば、模型用ニッパー(2000円前後)とデザインナイフ(1000円程度)は必要。デザインナイフの刃はかなり鋭いので、怪我に注意。工作は、インストを見て丁寧に作れば大丈夫。技術的な難易度は、ガンプラでいえばMGかRGくらいの水準。ただし、KOTOBUKIYAのキットはパーツ嵌め込みがきつい点に注意(※無理に嵌め込むと破損しかねない)。ほとんどのキットは、塗装しなくてもほぼ完成見本のとおりのものが出来る。ただし、上述のスティレットガールとジークフリードガールは無塗装だとちょっとつらい。また、メガミデバイスは、一部のパーツで接着剤の使用が推奨されている。
  4) 塗装。九割方は設定色が再現されているので、最初は塗装のことは考えなくてよいだろう。全塗装レベルになると、「本人の技術&費用」「制作環境」「作るキット」「完成状態の目標」によってアドバイスが大きく異なるので、一概には言えない。細かいパーツ群をガッチリ嵌め込んでいくので、後から塗装するのは困難(※筆塗りでちょっと塗り足すくらいならば可能だろう)。「フェイ・イェン」や朱羅シリーズは大量のデカールを使うが、貼り付けるのがかなり難しいので、失敗の可能性が高いものだとあらかじめ覚悟しておく方が、精神衛生上ベターだと思う。
  5) 完成後。総じて頑丈で、破損リスクは低いので、好きなように遊べる。ポーズを取らせたり、飾ったり。ただし、KOTOBUKIYAのキット(特にメガミデバイス)は関節部がきつく、無理に動かすと関節が破損する危険がある。動かす時は慎重に。関節をスムーズにするテクニックもあるが。多くのキットは単体では自立しにくいので、市販の展示用の支柱&ベースを使うとよい(※実売600円~1000円程度で様々な商品がある)。支柱ベースが同梱されているキットもある。

  細かいことは、適当なキーワードでweb検索すればすぐに手引きが見つかると思う。幸いにして、日本語模型界隈はwebSEOゴミ企業にあまり汚染されていない(グレーなまとめサイトや、集客目的で模型関連のキーワードを引っかけているサイトはあるので、汚染皆無ではないが)。

  プラモ制作に不安があるならば、まずはFRS「ダイバーナミ」か、プレーンなFAG「アーキテクト(白)」が無難。ダイバーナミは最新作だし、アーキテクトガールはFAGの標準的クオリティを経験できる。ただし、アーキテクト(白)は、武装要素が乏しいのでプレイバリューは乏しいかも。似たようなキットでFAG「マテリア」でもよいが、自立困難なのが不満に感じるかも。武装も含めて、もう半歩だけ頑張ってみたいならば、FAG「白虎」がちょうど良いと思う。シリーズの中でも、ほぼ最新のキットだし、かなり作りやすい。手持ち武器をいろいろ持たせて遊びたいならば、FAG「轟雷」または「迅雷」(2種)もありだろうか。いずれにせよ、当人にとって「入手可能」「価格が納得できる」「外見が好きになれそう」といった条件を満たすかぎりでの話になる。各社公式サイトのサンプル写真を見て、気に入ったものを買ってみるのが一番だと思うので、このテキストはそれを補充するためのガイドにすぎない。
  HASEGAWAのバーチャロイドは難物なのでおすすめできない。スティレットガールとジークフリードガールは、色再現に難があるので、おすすめしにくい。プリムラは、ファーストチョイスにするのはまずい。フレズヴェルクガールも、ボリュームが大きいうえ、制作上の難所があるので、ファーストチョイス向きではない。背骨破損リスクさえ無ければ、「フレズヴェルクガール&ラピッドレイダーセット」が、作りやすいし可愛いしディスプレイしやすいし遊べるし組み替えられるしで、一番におすすめできたかもしれないのだが……惜しい。メガミシリーズは、嵌め込みがきついので初心者にはちょっとリスキーだし、価格がやや割高だが、SOLの2体は装甲充実、朱羅は武器(刃物)多数、新作の「マジカル」「ウィッチ」は武器+エフェクトと、好みに合わせて選べる。
  出費を極力抑えたいならば、FRS「ダイバーナミ」と1000円台のニッパー1本で、最低限のものは出来るだろう。SD体型でもよいならば、Figure-rise Mechanics「ドラえもん」「アラレちゃん」や、「ホイホイさん」でもよい。新作のFAGシルフィーも、小柄体型だが、なかなか良いものらしい。技術的問題や時間的事情で模型工作をしていられないという向きには、figmaやデスクトップアーミーなどの塗装済み完成品フィギュアの方が適している。

  というわけで、誰かを引きずり込めそうな機会が訪れたら、こんな感じでおすすめしよう。薦めるような友達がいないとか言わない。結局のところ、気に入ったデザインのものを選べばだいたい大丈夫なのだが。あえて一つと言われたら、FAG白虎を挙げたい。シリーズ最新モデルなだけあって、作りやすさ、武装充実、堅牢性のバランスが良い。

  しかし、気恥ずかしさのある萌えキャラプラモであり、費用は工具代も含めれば6000円以上、しかも組み立てに失敗する可能性もある(初心者にはリスクの度合いが判断できない)のだから、いきなり手を出すにはかなり敷居の高い分野だと思う。先達の立場にいる者は、最初はご祝儀として余り物のニッパーと「マテリア」を1つプレゼントしてやるくらいの度量を……って、いほーやくぶつをすすめるばいにんかよ。

  それにしても、イノセンティアを作ったのが、ほんの昨年末のことだったというのが信じられない。すでにずいぶん長い時間をメカ少女プラモで過ごしてきたような感覚があるのに、まだ丸一年も経っていないとは。


  アーキテクトガールとグライフェンガールも巨大副腕キャラだが、巨大副腕(巨大武装腕)というと、『ヴァルヴレイヴ』の火神鳴とか、『BRS』のストレングスとか、『ヴァンパイア』シリーズのレイレイとか……イージスガンダムは全身がクローアーム化したけど。背中に大型の武装ユニットを背負ったり、あるいはMS少女のように着込んだりする場合も、大ぶりなロボット腕を持つことになる。巨大アームには建機のような武骨さと迫力があり、その一方で本体部分とのギャップがSDめいたユーモラスな印象を与える場合もある。


  「この尊いフィギュアは、毎朝毎晩伏して拝むべきではないか」と思うことはあるが、さすがにそこまではしない。下手なことをしてカースアイテムになられても困るし。ただ、実際そうしてもおかしくないくらい、ありがたい存在であることは確かだ。


  『アーマード・コア』のプラモデルも、何か一つくらい作ってみたいけど、キットがいろいろありすぎて、どれに手を出したらよいか分からない。ものによってはスケモ並の極小パーツがあったりして、ロボット模型としては価格の割にかなり歯応えがあるらしい。


  グライフェンガールが延期か……。残念がっていても仕方ないので、考えを切り替えて、今月分の模型予算は別のキットに回してしまおう。ちょうどメルカバを買うかどうか迷っていたところなので、これで躊躇なく注ぎ込んでしまえる。
  地雷処理ローラー付きのMk.3:[ www.meng-model.com/index2_new.php?id=200 ]も魅力的だが、オーソドックスにMk.4:[ www.meng-model.com/new.php?id=753 ]にしようか。950パーツというのは、大量の履帯パーツのせいでもあろうが、1/350戦艦並のボリュームだ。

  ごく大雑把に分けると、メルカバの1/35縮尺のプラモデルはMk.1系列がTAKOMとTAMIYAから、Mk.2がTAKOMとACADEMY、Mk.3はACADEMY、meng model、HobbyBossの3社からいろいろ、そしてMk.4もmeng、ACADEMY、HobbyBossの3社から発売されている。1/72スケールは、HobbyBoss、Trumpeter、RevellなどがMk.3またはMk.4をキット化している。

  グライフェンガールは、ノーマルのライトグリーンと、パワーローダー風のイエローと、軍艦風のグレーで、3個作るという考えも脳裏をよぎったが、いやいや、1個だけにしておきたい。
  パワーローダーのクロー部分に使えそうなパーツをいろいろ探しているのだが、なかなか良いものが見当たらない。いっそプラ板で自作すれば確実なのだが、それだとあまりに真面目になりすぎてしまって、ネタっぽい軽みが出ないだろう。



  10/02

 人間タイプのプラモは、太腿の肉付きがちゃんとしている方が好み。その意味ではダイバーナミはかなり良い感じだった。あるいはせめて、ジークフリード少女やFAG白虎くらいはボリュームがあると嬉しい。MDのような肉の薄い痩せすぎのプロポーションはちょっと面白味に欠けるし、最近はバストばかり盛り付けているので、ほっそりした素体手足とのアンバランスさがさらに目立つ。
  私としては、上半身はストレートですっきりしたボディラインにして、下半身は安定感のある優美な曲線美にしてくれるのが良い。「素材ちゃん」のバストをもう少し引き締めたくらいだと良さそう。

  でも、弓兵(蒼衣)も、完成写真を見ていると、これはこれで可愛いなあ。リアリティのある茶髪に、曲線的な輪郭の横髪、そして愛嬌のあるツリ目気味の猫目。買うつもりは無かったが、これは心が動かされる……。


  慣れないジャンルのキットを作ると、覿面に制作効率が落ちる。マスキングの順番に悩んだり、複数の塗料を入れ替えて塗り直すことも増える。どの部分は手抜きをしても大丈夫なのか、どの部分は手抜きをすると致命的になるかの識別もできない。使い慣れない色の塗料だと、隠蔽力の把握や希釈濃度の調整で失敗する確率が高まる。
  シップモデルでは、海外艦に手を出すとかなり難易度が上がる。迷彩パターンが豊富なうえ、どれも複雑な塗り分けが要求される。IJN艦と比べると、資料や制作記事もアクセスしにくいし、塗料も独自に用意しなければいけないし、余剰パーツやアフターパーツの流用もできない。しかし、そういう別種のキットだからこそ、完成させてゆっくり眺めると、その独自の面白さを味わえる。


  再び制作率75%まで戻せた。未制作のキットも作る価値のあるものばかりだから、100%を目指すべきなのだが、なかなかそこまでは行けない。


  【 艦船模型の縮尺設定 】
  1/700というのは、やはり小さすぎる。細部の造形や質感を表現するには、あまりに無理がある。近年ではアクロバティックな細密工作をするモデラーも増えているようだけど、米粒にお経を書くようなエキセントリックな名技競争は、模型の醍醐味と言えるのだろうか?
  90年代後半から00年代初頭のうちに、WLシリーズの1/700規格は切り上げておいて(あるいはそれと平行して)、1/500くらいのスケールを主戦場にしていった方が良かったのではないかなあ。現在の、1/700ベースの艦船模型は、迫力もリアリティも無い小型ミニチュアの袋小路に留まってしまっているように思える。ガンプラで言えば、程良い大きさのMGクラスがほとんど存在せず、ごく少数のPG(ハイエンドキット)と大多数のHGUC(比較的安価で小さなキット群)だけで構成されているようなものだ。もうちょっと見栄えのよいスケールでシリーズ展開していたら、艦船モデラーをもっと増やせたのではないかなあ、と妄想してしまう。
  AFVであれば、見応えのある1/35スケールがジャンルの中心に位置していて、1/48や1/72などのコンパクトスケールとは評価も注目度も違っているし、特に近年では海外メーカーのおかげで1/35のラインアップはかなり充実しているようだ。価格面でも、2000円台の1/35キットも多く、手を出しやすい(※ただし、1万円近い高額キットも多数存在する)。エアクラフトでも、小回りの利く1/48以下のキットだけでなく、1/35スケールなどの大型キットがきちんと存在感を発揮しているように見受けられる。ドール分野でも、1/12から1/6、1/3などがバラけている。
  しかし、(日本国内のプラモデルの)艦船模型では、大半が1/700スケールばかりに取り組んでおり、1/350を制作しているモデラーはかなり少ないように感じる。web上の個人モデラーのサイトでも、1/700の完成写真だけがずらりと並んでいることは珍しくない。ただ単にジャンルの主役ではないというだけでなく、顧みられてもいない。1/700スケールは、手に取ってみると本当に小さくて存在感に欠けるし、素人が見ても魅力を感じにくいだろう。そういった意味で、現状の艦船模型ジャンルの偏りは、非常にもったいないと思う。
  もしもAFV模型が、1/48スケールの層が極端に薄くて、1/35の下には大きく飛んでその半分の縮尺の1/72スケールしか存在しないようだったら、どれほどつまらなくなっていただろうか。あるいは、航空機プラモが、小回りの利く1/48スケールを持たず、1/32と1/72ばかりだったら、どれほど不自由だったろうか。艦船模型は、それに近い状態にある。駆逐艦などの小型艦船は、1/700では小さすぎるし、1/350ではマイナー扱いでキットの種類が非常に乏しい。その一方、戦艦や空母などの大型艦では、1/700からもう一歩ディテールを追求しようとすると、1/350ではいきなり2万円以上&60cm前後の扱いづらい大物キットばかりになってしまう。1/500前後のミドルクラスのキットが充実してくれば、駆逐艦キットでもそれなりの存在感を持つことができ、戦艦キットでも程々のサイズで楽しめるようになると思うのだが……。
  1/35スケールのAFVキットは1000個近いパーツ数になることもあり、つまり艦船模型の1/350級の密度があるハイエンド商品だと言ってよいのだが、キットのヴァリエーションはかなり豊かだ。ハイエンドランクのキット制作がこれほど広汎に普及しているのは、羨ましいかぎりだ。艦船模型も、海外メーカーを含めればかなりラインアップは充実してきたが、まだまだ足りない。エアクラフトは、実機のサイズもまちまちだが、それに合わせて1/32、1/48、1/72をうまく使い分けているという印象だ。小型の機体であれば1/32で発売したり、大型の機体であれば1/72で発売したりと、柔軟に対処している。艦船模型では、WLシリーズが「並べて楽しむ」という建前を掲げてしまったこともあり、そういった柔軟性に乏しく、なんでもかんでもまずは1/700で発売され、そして一部の艦船だけが(まさにフラグシップとして)1/350でキット化される。融通の利かないやり方だと思う(※HASEGAWAの赤城リメイクは1/350の方が先で、1/700の発売が後になっていたが、かなり例外的だろう)。
  FUJUMIの1/500スケールは長門で止まってしまったようだが、近年1/350の艦NEXTキットをいくつか発売しているし、HASEGAWAも1/450スケールのキットを定期的にリリースしてくれている。この流れがもっと定着していってくれればと思う。

  私自身、1/700スケールもたまに作るし、完成させればこれはこれで満足がいくのだが、制作中は扱いづらくて不格好で省略されすぎな極小パーツ群を前にして「なんだよこの罰ゲームは……」という気分になることが間々ある。マストやエッチング手摺も太すぎるし、機銃やパラベーンや電探はデフォルメされすぎて説得力に欠けるし、ブルワークも分厚すぎて見るに堪えないし、リールなどは質感表現以前のひどさだし、キットのままでは窓枠やトラスも抜けていない。特に駆逐艦レベルだと、完成させても小さすぎて、いかにもみすぼらしい。モデラー自身が手を入れて改善していくことは可能だが、そうした改良作業はマイナスをゼロまたはプラスに戻すものにすぎないわけで、それがはたして模型制作の面白味になっているかというと……。

  ついでに言うと、洋上仕様も好きではない。艦底部分の無い、切り出しキットは、手に取った時に物足りなくてがっかりするし、船体構造に対する想像力がまるでかき立てられないので苛立つ。「実物(またはその写真)を目にするのは洋上での姿である」という単純な事実性依存のほかにも、コストカット、ジオラマ対応、接地安定性など、WL仕様にもメリットはあったと思われるが、海面表現を伴わないままフルハルと並べると、どうしても安っぽくみみっちい省略に見えてしまう。

  1/350が艦船系モデラーの標準になればいいのに……。出来る作業が格段に増えるし、工作もやりやすいし、造形に無理がなくてリアリティもあるし、細部を省略せずに済むから写真映りも良いし、完成させた時の満足度が桁違いだし、良いことづくめなのに……。

  まあ、1/350スケールで単装機銃を20個以上も延々作り続けるのは、それはそれで大変だったりするけど。


  MDは割高に感じる。胴体部分はおおむね共通ランナーだし、それ以外のパーツも2体セットで共通化されているところもあるし、サイズもFAGと比べて一回り小さいのに、価格は最低でも5000円(税抜4800円)、実際には6000円前後が標準になってしまっている。他と比べても、異様に高いと感じる。どういう見積もりでこの価格になっているのか、そしてこの価格設定でいったいどれだけ売れているのだろうか。
  HEXAGEARも、中身が分かりづらいパッケージのうえ、それほど魅力的とも思えない奇怪なデザインのメカばかりで、キャラクター性が極端に弱いのに、よく続けられているものだと思う。あのシリーズが商品として続いているのは、わりと不思議。いったいどういう層が、どのくらい買っているのだろうか。


  航空機モデラーおそるべし。下地塗装からベース色塗装、そして迷彩表現まで、ほんの数時間であっという間に作業を進めてしまうとは……。


  茶髪の蒼衣弓兵はたしかに可愛いのだけど、買うかどうかでずっと迷っている。
○可愛い。茶髪もなかなか似合っている。
○明るいカラーリングは新鮮。落ち着きのある濃いめの茶髪との取り合わせも面白い。
○無塗装でよいので、時間が掛からない(※原画も無塗装で済むようにアレンジされている)。
-形状は無印とほぼ同じなので、モデラー経験値にならない。
-個人的な好みとしては、このカラーリングは目に痛い感じで、あまり好きではない。
-細すぎる手足は、やはり好きではない(※売りの素肌手足にはあまり魅力を感じない)。
-実売5000円はけっして安くない。他のキットや他の趣味に投じたい。
-キット自体がいくぶん割高だと感じている点でも躊躇している。
要するに、可愛いけれど、モデラーとしては足踏みになってしまうのではないかという懸念だ。これまで、メカ少女プラモに関してはダブり買いをしたことがほぼ無い(※イノセンティアのみは、赤青両方買ったが、これっきりのつもりだ)ので、そのポリシーは維持したい。……しかし可愛い。可愛いから悩むのだ。買うつもりはないのだけど買いたくなるのだ。意思と欲求が相反するのだ。
  ちなみに、今回の忍者の方は、あまり食指が動かない。金髪水着は、好きな人も多かろうと思われるが、そういう好きな方々に任せておけばいい。全てを好きになる必要などないのだし、自分以外にそれを好む人たちがいれば、それはそれで当人たちも嬉しいだろうし、メーカーも潤う。あまりに私自身の好みから外れていくのでないかぎり――例えば巨大バスト傾向は嬉しくない――、そうした多様性は言祝ぐべきものだろう。
  今のところは「蒼衣」シリーズは店頭在庫も潤沢にあるようだが、このまま順調に売れていくだろう。初心者が買うにもちょうど良い(※関節部がきつかったり、一部のパーツが小さかったりする程度)し、既存のメカ少女プラモユーザーにも安心して買えるキットだろうし。無印版と比べると、一部がクリアパーツになったので工作しにくいが、些細な問題だろう。


  ホビー店は、ウィンドウショッピングだけでもずいぶん楽しめてしまうのが、良いやら悪いやら。新作のハイエンドフィギュアを眺めて回るだけでも、十分楽しいし、眼も鍛えられる。漫画やゲームだと、パッケージアートを見るのがせいぜいで、中身を確かめることがほぼ不可能だから、「店頭で見て楽しむ」ということが出来ないし、また、未知の作品や新興ブランドの出来具合を判断することもできない。
  しかし、楽しさにかまけて、つい時間を過ごしてしまう。もっと早く帰宅して、ゲームや音楽や漫画や模型やその他さまざまな活動に勤しむ方が生産的なのだが……。


  ダイバーナミは、発売から2週間になって、サーフェイサーから吹いて本格的に隙のない作り込みをする取り組みが増えてきたようだ。
  色調を完全に統一させるためにも、塗料の色乗りを良くする(結果的に薄塗りで済む)という点でも、そして細かなヒケなどを洗い出してきれいな面を研ぎ出すうえでも、サフに重要な意義があることは理解しているが、私自身はサフ吹きは好きではない。サフを吹くとしても、細部をよほど注視するのでもないかぎり、ランナー状態で軽く吹いてしまうくらいでもいいかなあと思っている。
  特に艦船模型では、「塗り分けが比較的シンプルであり、しかもグレーが強いので成形色や下地色による変化を受けにくい(しかも、最後のウォッシングでも、色調はわりと整えられる)」のと、「超細密パーツや精密ディテールが多いので、そうした繊細な造形がサフ層で埋まってしまうのを避けたい」、「マスキングを含む複雑な作業工程になるので、サフを吹くタイミングが作りにくい」、そして、「各パーツが入り組んだ形状だったり側面モールドが大量に乗っていたりして、そもそも表面処理のできない場所が多すぎる」といった事情から、サフを吹かない人もそこそこいるようだ。



  09/28




  店頭でついに出会ったKOTOBUKIYAセリオさん。
  初版の発売は2000年だそうで、当時としては目を引くクオリティのフィギュアだったらしい(※当初は無塗装ガレージキットで、2005年に塗装済PVCフィギュアとして再発売?)。もちろん、18年を閲した現在の目で見れば技術面での限界は見て取れるが、しかしそれでも、18年前のデザインとは俄に信じがたいほどの洗練がある。

  時代的限界というのは、たとえば:
- 撫で肩の造形がやや古めかしいとか(※まあ、好みの問題だ)、
- 塗装がかなり甘いとか(※これは仕方ない。経年劣化もあるが、塗装がちょっと汚い)、
- グラデーション塗装が無くて平板だとか(※個人的にはグラデ髪は好みではないが)、
- 服の縫い目表現がぎこちないとか(※両肩。あまり気にならないが)、
- 腕を前に下ろしたポーズはボディラインが見えづらいとか(※現在はもっとボディコンシャス)、
- 細かいディテールがあまり入っていないとか(※最近はゴージャスにゴチャゴチャさせる)、
といったあたり。しかし、そういった様式的変化(流行)や技術的アップデートの落差を埋めてなお余りあるほどの、美しくまとまった造形的洗練がある。

  というわけで、眼鏡を掛けていただくのだった。
  ああ、この部屋で、眼鏡セリオさんを実現させる日が来ようとは……。(感涙)
  もちろん、原作(「マルチ」ED)の眼鏡姿の一枚絵を踏まえての話。


  2018年現在のフィギュアを見慣れていると忘れそうになるが、2000年頃のフィギュアは、まだクオリティが低くて、萌えキャラフィギュアでもそんなに可愛くはなかった。つまり、ゲームの画像やアニメポスターのイラストに匹敵するほどの、鑑賞に堪えるクオリティのものは、非常に少なかった。当時の私は、フィギュアにはほとんど関心が無かったが、それでも記憶を辿ると、クオリティ面での至らなさは印象に残っている。もちろん、ハイエンドの素晴らしいフィギュアもあった(特に『ああっ女神さまっ』関連は凄かった)が、それでも塗装やディテールの作り込み、衣服などの質感表現はまだまだ未発達だった。VOLKSやKOTOBUKIYAでも、当時はかなり「似ていない」「可愛くない」「洗練されていない」「仕上げが甘い」ものが多かった筈だ。
  00年代前半のうちにかなりマシな出来になっていったが、オタク向けフィギュアの品質が急上昇したのは、――よく分からないが――00年代半ば頃だっただろうか? いみじくも『ToHeart』シリーズの続編『ToHeart2』向坂環が大人気になって、フィギュアがいくつも作られていた時期だ。たしかあの頃から、フィギュアの出来が良くなっていた(そして同時に、節操のない色気も増していった)と思う。特に『一騎当千』のフィギュアもその恩恵を受けていて、「呂蒙子明」などでめざましい出来のものが発売されていた。

  だいたいこんな感じだったかなあ。当時をよく知る賢者諸氏に話を聞いてみたい。もしかしたら、状況認識はかなり違っていて、例えば「00年代前半には十分良い出来だった、ただし品質の上位と下位の落差が今よりも大きかった」といった程度の話に落ち着くかもしれない。あるいは、ブレイクスルーの詳細な時期や主要なアクター、具体的な技術的変化などが特定される(orすでに特定されている)かもしれない。あるいは、海外の動向なども視野に入れて議論しなければいけないのかもしれない。


  最近のMDは、どうもなあ……。C&Pはどうも色彩感が鈍くて手を出す気になれなかったし、朱羅ブルーも色がきつ過ぎるし、ラプターはいかにも最近の鋭角ゴテゴテ盛り付けでキャラクターらしさがほとんど消えてしまっているし、コラボキットもEWは可愛くないし、AGAのは配色が変なので、どれも購入意欲が湧かない。しかも、胴体部分などがほぼ同じ構造なので、制作の楽しみや新構造の驚きに欠けるのがあらかじめ判っているのが、さらに購入を躊躇させる。他の類似プラモと比べてサイズが一回り小さいので、作りにくかったり、融通が利かなかったりするし。そろそろもう一つくらい作ってみたいのに、手を拱いてしまう。

  特に吾妻某のデザインは、変すぎる。どうしてこんなものが……。例えばレッドの差し色も、膝関節ではなくてその上の太腿の中途半端な位置に付いており、構造に沿わない部分で悪目立ちしているし、腰部のレッドも、要らぬところに余計な色を足してしまった感じがありありと……。前腕のレッドも、構造にも輪郭にも合っていないラインで、やけに素人臭い。胸部などの、紙垂を模したような菱形模様も、ちょっと気持ち悪い。全体のシルエットも、直線的な下半身に対して、上半身には曲線的な輪郭線が集まっていて、統一感が無いし、非常にアンバランスに見える。ただでさえ、黒白ベースに赤を入れる原色トリコロールは下品になりやすいのに、そこにクリアブルーまで足してしまうというのは、かなりまずい(※ちなみに朱羅は、明るい紅白をベースにしており、ブラックは影になるところや武装部分や重心の来るところに割り振っているので、クドさは免れている)。前髪も、相変わらず不自然なほど重たくて、いかも垢抜けない。実績のあるデザイナーの仕事の筈なのに、どうしてこんな珍妙なデザインを作ってしまったのか……。
  ちなみに、重力を無視して虚空を斜めにドすべっていようなあの決めポーズも、受け入れがたい。視界に入る度に、拒絶反応が出るほどキツい。まあ、好みでない要素が複数のキットに分散するよりは、一つに集約されている方が、ましだったと考えよう。

  ……というか、島田氏の色彩センスは昔からそんなに良くもなかったと言うべきなのかも。ミリタリー的な理屈付けのある配色には長じているのだと思うし、萌え記号の摂取および具体化にも大きく寄与してきたと思うが、審美的な意味での色彩設計(カラーコーディネート)に感心させられたことは、これまで一度も無かったんじゃないか。
  試しにggl画像検索でザッと見てみると……あー、ごめん、色使いが本当につまらない。彩りの楽しさが全然見えてこない。色彩の豊かさが見えてこない。調色のデリカシーが伝わってこない。いや、好きかどうかといえば、まあ、好きなイラストレーターさんだ(った)けど、この点は褒められない。

  ついでに言うと、この方の絵は、どれもキャラクターが棒立ちばかりという印象がある。ほんの少し手足を折り曲げたり、申し訳程度にしなを作ってみせたり、せいぜい体をよじった振り返りポーズだったりするくらいで、総じてものすごく身体の硬い絵だ(※『SW』関連では脚部可動が死んでいるのは設定上やむを得ないが、それ以外のイラストでもだいたい同じだ)。全身運動のダイナミズムやレイアウトの美しさを感じる絵なんてあっただろうかと首を捻ってしまう。前髪が異様に重たいのも――これは巧拙の問題ではなく趣味の選択だとするとしても――、そうした沈んだ印象に拍車を掛けている。結局のところ、美術(単体で鑑賞されるための作品)を作る人というよりは、イラスト(説明的な図示を行うための画像)を作る人なのかもしれない。



  09/23

  つい徹夜をしてダイバーナミを全塗装完成。

BANDAI「ダイバーナミ」。おおまかには設定指定どおりに塗装したが、いくつか色を塗り分けて構造を視覚的に強調した。サイズは、同シリーズの「人造人間18号」とほぼ同じ。メガミデバイスにも近い。

  自立の安定感は抜群。ちなみに全てPS製パーツで、ABSなどは使っていない。関節部はかなり頑丈だが、両腕のフォールディングアーム(B1-5とB1-9)はかなり緩く、角度固定できない。襟足の頭髪が分厚いので、頭を上に向けられない。
  顔はあんまり可愛くないが、これはこれで愛嬌がある…かも。パッケージアートはくりっとしたつぶらな目だがキットは垂れ目気味だし、頭髪の先端部も短く丸まっているので、全然似ていない。睫毛はエナメル筆塗り。シールは睫毛あたりまでカバーしてしまっているので、瞳の部分だけを切り出して貼るときれいになる。眉毛は、内部のホワイトパーツを頭髪色で塗ってみたが、完成状態ではほとんど見えない。よほど近寄って凝視しないかぎり、眉毛部分が単なる空洞であるということに気づかないだろう。
  腰にベルトを巻いているので、腰部関節の分割がうまく隠されている。それもあって、腹部から太腿にかけてのラインがとてもきれい。
  イエロー&ブラウンはプリンっぽい。額のパーツは何だろうと思ったが、ノーマルスーツのヘルメットをアレンジしたものか。イエロー基調の宇宙服は、『0083』のパイロットたちが着ていたようなタイプをベースにしているようだ。
  FAGのような差分パーツは少ない。顔パーツが3種類あるが、ケモ耳型パーツはつけっぱなしだし、素足なども付属していない。その分、価格が抑えられていると考えれば、これはこれで商品として良いバランスだろう。頭頂高は147mm程度。仮に身長160cmだとすると、縮尺は1/11くらいになる。同じFRSシリーズの女性キャラ「人造人間18号」とほぼ同じ高さで、FAGとMDの中間くらいの微妙なサイズ感。

  設定画を再現するのに必要な塗装箇所は、以下の通り。
- 瞳。シールあり。
- 額のガード:ライン部分をイエロー。シールあり。
- 肩の装甲:一部をイエロー。シールあり。
- 上腕と太腿:ブラックのライン。シールあり。
- 手首に内部のイエローが露出している。マホガニーで塗装。
- 盾:イエローとグレー(?シルバー)の二色に。一部はシールあり。
- 胴体:合わせ目のレッド。シールあり。
- 脛装甲:中程の部分をブラックに。シールあり。
- バックパック:一部をブラックとグレー(?)に。
- ニッパー:刃先と持ち手部分は、塗り分けた方がよいだろう。
- 各部のスミ入れ。

  ベルトのバックル部分は大きすぎて不格好なので、小型化した方が良いかも。原作の「ナミ」の設定画を見ても、やや小ぶりに描かれている。

  BANDAIは、『STAR WARS』のキットではフェイスプリントを実行していた。しかも、かなり複雑な陰影を顔面全体に塗り込めたもので、それでいてキットの価格も2000円台に収めていた。今回のダイバーナミは、『STAR WARS』の実写的リアリズムよりもはるかに単純な造形で済むはずだし、シールではなく塗装でよかったんじゃないかと思う。
  とはいえ、今回はフェイスパーツが3種類同梱されていたからコストが嵩んでしまうし、塗装派や改修派にとってはアイプリントは邪魔になるかもしれない。今回のメカ少女プラモは、『STAR WARS』よりもはるかにコア層向けの製品だろうし、再塗装や改修を積極的に行うユーザーも比較的多いだろう。そう考えると、今回の両眼シールという対処は、ライト層向けには最も簡単な手段であり、中級者向けには低価格でキットを提供できる手段であり、上級者向けには邪魔物を排除しやすいパーツ構成である、ということになるのかもしれない。うーむ、難しいものだ。

  「対象年齢8才以上」なので、頭髪の先端部もネコ耳パーツも丸まっている。この点も、あまり可愛らしく見えない原因の一つだろう。

いつものエッチング眼鏡。多少下にずらして着けると、目の大きさとのミスマッチを誤魔化せるし、愛嬌も出る。


  IJN艦船用のグレーは、独自調色で大量に作ってある。濁りのないきれいな色を目指し、スケール感と素材感を反映するような色合いで、粒子の肌理は細かく、さらにウォッシングをした最終的な状態で理想的な明度バランスになるようにしている。ただし、1/350スケールを想定しているので、1/700キットに使用すると、面積効果によってやや暗めに見えてしまう。


  先日は「大淀は1/700では作らない」などと嘯いていたが、舌の根も乾かぬうちにキットを買ってしまった。たかなみ型のような大ぶりな格納庫が面白そうだったし、AOSHIMAには紛失パーツの追加注文でお世話になったばかりだし、値段も割安だったので、せっかくだからと購入した。
   さっそく艦底パーツを接着固定したり、主立った構造物を貼り合わせたりしているところ。キットパーツだけでプレーンに作るつもりだが、十分楽しめそう。2009年発売とのことで、そこそこ新しいキットだし、箱組みもうまく嵌め合わせられるようにガイドが付いている。ただし、ちょっと大きめの隙間が出来てしまうので、パテで埋める必要がある。
  こんな大きさなのに軽巡なのか。実際に作ってみると改めてびっくりする。とはいえ、重巡と比べると船体幅がほっそりしているので、阿賀野型などと同じカテゴリーなのだなというのも納得できる。また、米国の軽巡洋艦クリーヴランド級はこれよりもさらに大きいし(※排水量ベース)。なかなか面白い。

「大淀」(AOSHIMA、1/700スケール)。キットのまま、簡単に作ってみた。後部の格納庫からカタパルトにかけての造作が面白い。プロポーションは安産型めいたボリューム感と(不)安定感があるが、軽巡らしく船体はほっそりしている。

  AOSHIMAの大淀は、全体のバランス、各部の精密感、そして作りやすさもあって、なかなか良い感じのキットだった。合わせ目の隙間が各所に出来るのは、少々いただけないが、やむを得ない。手を加えるとしたら、まずはマストだろうか。型抜きの都合上、細長い棒状パーツや立体的なトラス構造を作るのには限界があるので。とはいえ、精密なマストを自作するのは難しいから、まずはエッチングに頼らざるを得ない。高角砲の台座も、縁を薄く削りたい。3連装機銃や艦載艇もWL共通ランナーのままなので、そのあたりも適当に置き換えるとよいか。


  遅まきながらマスキングゾルを導入している。細かく入り組んだ部分や曲線状の部分は、マスキングテープを小さく切ってペタペタ貼り付けていくよりも、塗り分けの縁に沿ってゾルを流していく方が、はるかに楽だ。掛かる時間は、テープとあまり変わらないが、「心理的なストレスが低い」「テープでは困難な場所もマスクできる場合がある」「テープ重ね貼りだと厚みが出てしまう場所に代用できる」「はみ出しても修正が容易」などのメリットがある。今後もうまく併用していきたい。


  「HOBBY JAPAN」掲載の写真で、ダイバーナミがやたら可愛く見える。工作それ自体はキットに沿ったストレートなものだが、撮り方が(撮り方も)上手いからだろうか。とても魅力的に見える。


  メカ少女プラモのブームは、そろそろいったん終息するかと思っていたが、BANDAIの本格参戦によって、まだまだ発展していきそうだ。
  終息すると考えたのは、それなりに理由があった。KOTOBUKIYAは、FAGは主立ったキャラをひととおりキット化してしまったし、MDは小さめなので朱羅以外は程々の売れ行きのようだ(※しかも最近はコラボ企画に傾斜している)。AOSHIMAのVFGは今のところ単発の企画で、この系統から先がまったく見えていない。VOLKSのプリムラは、カラバリだけで足踏みしているし、クオリティもまだまだ、販路も限られている。それ以外のメーカーも、展示会などでサンプルを出しているようだが、発売に向けた具体的な告知は出ていない。BANDAIは、HGBFシリーズは論外だし、FRSシリーズは『DRAGON BALL』などが中心で、やや畑違いになる。人型キャラクターは塗装等に際しても特有の技術が求められるので、ロボットもの中心のBANDAI既存ユーザーは手を出しづらいかもしれない。
  ところが、BANDAIはアニメとうまく連動させつつ、鑑賞に堪えるメカ少女プラモを出してきた。ガチャポンの「換装少女」なども含めて、裾野が広がりつつある。また、VOLKSは年内に新規素体を発売するとのことだし、AOSHIMAも次の「カイロス」は単なるカラバリを超えているようだ。トップランナーのKOTOBUKIYAも、カラバリが多いものの新商品が途切れない(しかも、大物の「初音ミク」も控えている)。他社の新商品や関連アイテムも充実してくるだろう。
  私個人としては、グライフェンガールを作ったら、そろそろ切り上げt……「切り上げる」と何回書いただろうか?

  ……てなことを書いていたら、なんとAOSHIMAは、今度は『ペルソナ5』のアルセーヌを組み立てプラモで製作発売するのだとか。メカでもなく、少女でもない。人型(生物型)のキャラもの組み立て式可動プラモデルの外延を一気に広げてくれそうだ。
  BANDAIにも、『DRAGONBALL』キャラや「仮面ライダービルド」がすでにあるけれど、ライダーはややメカ寄りの金属的なデザインだし、『DB』は原作の洗練されすぎた漫画キャラデザインのせいもあってかなり作りがプレーンで、プラモとしては評価しづらかった。
  『ペルソナ』関連では、『3』のアイギスについても可動プラモキット企画進行中とのこと。こちらは本格派のメカ少女キャラで、人肌らしい部分は顔面しか露出していない。


  メカ少女プラモについては、そろそろプラモデル構造としての「技術論」と、ユーザー側の動向も含めた「市場論」と、そしてキット個別の「作品論」、この三者をきちんと視野に入れた分析および展望が提示されるべきだと思うのだが、誰かがちゃんとやってくれているだろうか。


  大淀を見比べて数日間、やはり私は、擬人化キャラのフィギュアよりも、実艦のプラモの方が好きかな。いかに眼鏡+黒髪ロング+セーラー服であっても、「艦船(巡洋艦)そのものの」「緻密なスケールモデルを」「自分で制作した」という事実を前にしては、好意の差を覆せなかった。
  ただし、要素単体の評価として、たとえば巨大構造物フェチと眼鏡フェチを比べたら、おそらく後者の方が私の中では多少優位にあると思う。
  完成したキットを手に取って眺めていると、うぐっ、大スケールの艦船模型制作欲が再びフツフツと湧き上がってくる。これから忙しくなるというのに……。

  えっ……な、なんだと……この擬人化キャラって、川澄ヴォイスだったのか! 名にし負うTHE・ヒロインじゃないか! あわわ、よく知らずにたいへんなものをお迎えしてしまった……このフィギュアは尊い存在として、ちゃんと大事にしていきます!



  09/16

  メカ少女プラモのブームは、今年の春夏のあたりでいったんピークを越えたのかな。朱羅やVFGは、発売からほぼ即日売り切れて店頭から消えたものだったけど、今回の蒼版や35周年版はまだまだ店頭に残っている。それ以外のラインアップも、店頭在庫の回転はずいぶん落ち着いているように見受けられるし、MDマジカルなどは値下げ販売までされている。印象論だけど、昨年の『FAG』アニメ化あたりで潜在的ユーザー層をぎりぎりまで掘り起こして、翌2018年初頭に掛けて十分にキットの供給が行き届いたという感じだろうか。
  今後も新商品の発売がたくさん控えているけれど、ここから市場規模が爆発的に拡大することはそうそう無いのではないかなあ。なにしろ「お色気要素が強い」、「それなりに高額である」、「組み立てにスキルと時間とツール(費用)が要求される」、「まだまだ可動フィギュアと競合している(そして可動フィギュアも明らかにピークを過ぎている)」といった敷居の高さがある。要するに、「美少女ものを受け入れられて、なおかつ模型制作経験があり、制作時間の余裕もあるオタク」でなければ、手を出しにくいだろう。SNSなどを見ても、メカ少女プラモという新興ジャンルが広く周知されているという感じはしない。メーカー側としては、製造コストと価格設定と販売数が折り合えば、オタクモデラー向けの小規模高密度の市場としてやっていければ良いのだし(※ただし、初音ミクやソシャゲーコラボ、そしてアニメ化、既存作品ネタ[マクロス]など、新規ユーザーの掘り起こしは強く意識されているようだ)。
  もっとも、店頭在庫を見ているだけで市場全体の動向が分かるわけは無いけど。セールス状況に関する実データを持っているアクター(メーカーや小売店)は、当然ながらブームの熱量変化をもっと正確に把握している筈だ。もしかしたら、彼等にはもっとプロスペクティヴな将来が見えているかもしれない。

  VFGの元ネタの『マクロス』は長寿のシリーズものだし、FAGはロングテールなオリジナルプラモデルの派生商品であり、プリムラもVLOCKer'sの一部として組み込まれている。もしもこれが、単発アニメ作品のキャラクター立体化であったならば、『アルペジオ』キットのようにあっという間にセールスがしぼんでしまい、メカ少女プラモというジャンルも長期間存続の見込みが無くなっていただろう。その観点では、各社ともうまくやっていると思う。あからさまなニッチ商品なだけに、成算を立てられるように慎重に企画を練っているのだろう。


  PIT-ROADのキットは、フルハル仕様(WLと選択式)なのは嬉しいのだが、船底パーツの合いがどうにもよろしくない。船首付近などにヒケも目立つし、バリもわりと多いし、抜きテーパーも露骨だし、パーツを組み合わせた際に隙間も出来やすい。しかし、競合キットの存在しない希少な艦船のキットをリリースしてくれているのはありがたい。プラも柔らかめで切削しやすいのでかなり好み。
  このメーカーのプラモデルを作る時は、いつもこんな感想になるなあ。

  細かいパーツに関して、PtRdは思い切ってデフォルメすることがある。時にはゴテッとして不格好で、リアリティも無いようなパーツになることもあるけど。FUJIMIの場合は、無理にでも再現しようとして、形状のはっきりしない極小パーツにしてしまう。AOSHIMAはあっさり省略するし、HASEGAWAはエッチング同梱版に任せる。最近のTAMIYAキットはどうだろうか。


  艦船模型は、キットどおりに作るとしても全塗装で20時間近く掛かる。複雑なマスキング、船体の接着&合わせ目処理&乾燥、小物類の塗り分けと取り付けの手順、等々。それだけ時間が掛かるということは、一つ制作するのに十分な時間的余裕が必要だということであり、また、制作着手するのも腰が重くなる。
  作り込みをしないストレートな制作であれば、AFVやエアクラフトの方が気楽かなあ。ひとまずの全塗装程度であれば、せいぜい10時間かそこらで完成させられるのであれば、制作に取り組む敷居も低い。
  さらには、ロボット模型なども、制作時間のハードルは低い。実作業の時間だけでなく、塗装のための構想や工程プランなども軽めで済むので、とっつきやすい。


  ゴールドの塗料は怖いな……。吹き付け塗装をした後で、10回以上うがいをさせても、色がなかなか消えない。メタルカラーの中でも、特にきついと感じる。濃いめの濃度で吹き付けると、きれいに発色して良い色合いになってくれるのだけど。


  以前も書いた話だけど。未作成のキットを1000個積んでいたとしても、趣味として本気で取り組んで月に3個ペースで完成させていくとしたら、年間36個、そして28年間で1008個作れることになる。28年間というと、20歳から48歳まで、あるいは30歳から58歳まで。模型誌の読者投稿欄などを見ると、60代のモデラーもいたりするので、けっして無茶な数字ではない。
  ……とはいえ、所持キットが1000個のままで済むわけもない。知人の遺産としていきなり1000個もらったならともかく、自前で1000個も購入してしまうモデラーが、その後28年間で一個も新規キットを買わずにいる筈が無い。
  作りきれないキットでも、「実際に作るかどうかは未確定でも、キットが市場から無くなる前に確保しておく必要がある」、「作りたいと思った時に作れるように、手許に可能性を確保するための費用である」、「完成させなくても、ランナー状態で見るだけでも知識と経験は得ている」、「そもそもまったく無駄のない購買行動は不可能である」、「サンクコストとして割り切る」、「模型メーカーにお金が届いているのであれば、意味があったと言える」といった考え方ができるので、積みプラモを嘆く必要は無いだろう。


眼鏡と眼鏡と眼鏡……また今日もプライズ系フィギュアを買い込んでしまった。右から「セガ・ハード・ガールズ:メガドライブ」、「EXQ:国木田花丸」、「セガSPM:大淀改」。

  国木田花丸は、眼鏡と前髪が一体造形(ワンパーツ構成)なので、着脱できない。アンダーリムの眼鏡は、顔に密着しそうな位置にある。いつものEXQクオリティなので、表情のまずさは我慢しよう。衣服もいつものEXQで、編み目モールドが施されていて質感表現に一役買っているのだが、残念ながら半ツヤなので、ツヤ消しを吹いておきたい。
  大淀改は、見返り美人アングルでのみ可愛く見える(その角度ではたいへん魅力的)という超ピーキーな顔面造形。アンダーリムの眼鏡はクリアパーツで、フレーム部分のみ塗装されている。レンズ部分の厚みが不均一のようで、度が入っているように見えるのが面白い。スカートの前部にリボンが降りているのは不格好だし、スカートの側面が空いて素肌が見えているのもかなり下品に見える。また、やけに味気ない箱型の3連装砲などを見ていると、艦船モデラー魂がふつふつと湧いて修正したくなってくる。ところで、このファッションは、襟の高いYシャツ(?)とネクタイの上に、さらに半袖セーラー服を着込んでいるということなのか。
  メガドライブガールは、フチ無し眼鏡。鼻梁に掛かるブリッジ部分は、ピンク色に塗装されている。服装は、裾の翻ったコートの下に、丈の短いシャツを着たヘソ出し状態、さらにボーイッシュなハーフパンツと大ぶりなブーツ、そのうえ手首の袖もダボッと開いているという、すさまじいデザイン。公式サイトの紹介文によれば発明家キャラであるらしく、白衣モティーフを大きくアレンジしたものと思われる。
  どれも元ネタはよく知らない。メガドライブは触ったことも無いし、大淀(艦)の模型を作ったことも無い。大淀は1/350でキット化されていない――されそうな気配も無い――し、1/700スケールの細かさであれだけの密度のある艦を作るのも大変だろうしなあ……。


  FRS「ダイバーナミ」も店頭に並んでいたので、そそくさと購入した。
  とりあえずシンプルに、全塗装で作ろうかな。

  途中まで軽く仮組みをしてみた。顔があんまり可愛くない。垂れ目の位置がどうも落ち着かなくて、(悪い意味で)カエル顔になっている。頬肉を盛り付けているのもいただけないし、鼻と口が下に行きすぎているのも、表情のだらしない印象を強めている。さらに、眉毛が無い(眉毛部分が穴になっている)のは、いったいどうしてこんな設計にしたんだ……。人造人間18号のように裏側から凸パーツが突き出てくるというわけでもない。サンプル写真では、窪んだ穴が影になって、なんとなく眉毛のラインのように見えるのだが、実物はずいぶん異様に見える。パッケージアートの振り返りウインクの絵はなかなか可愛らしいのになあ。
  とはいえ、これまでのBANDAIの美少女もの(特にHGBFシリーズのあれら)はどれも面つきが邪神像並にひどかったので、これでもずいぶんマシになった(可愛くなった)のは確かだ。

  ベーススタンドのランナーの作りが面白かった。クリアパーツなのだが、パーツとパーツをつなぐランナーが、片側はタッチゲートのようにごく細く絞られており、クリアパーツの傷を最小限に留めている。そのうえ、ランナー棒のもう一方は、パーツから切り離さず、そのままハードポイント用のピンとして機能する。つまり、パーツを切り出したランナーの余剰が一切出ないのだ。この発想は無かった……。いや、もしかしたらこのキット以前にも同じような趣向のものは存在していたかもしれないが、私が気づいたのは今回が初めてだった。
  後日追記:遅くとも2017年初頭にはすでに使用されていたようだ。

BANDAIの「ダイバーナミ」のBA-Oランナー(※いったんカットしたものを、並べ直してある)。パーツとパーツの間のランナーは切除せず、そのまま中央のパーツに残される。パーツから突き出たランナーは、他のパーツに差し込めるハードポイントとして機能する(余った武装パーツなどを取り付けておける)。

  それにしても、このキャラも「上腕と太腿だけが素肌露出しているボディスーツ型の服装」なのか。そろそろ食傷しそうなのだが……。十年後、二十年後には、「すごく2010年代っぽいよね、あの当時は何故かこんなデザインばっかりだったよね」と言われるのだろうか。もっとも、元を辿れば、MS少女あたりまでは遡れそうだが。

うなじ(E1パーツ)に、何かを差し込めそうな穴が2つ空いている。原作に何か描写があったのか、それとも自由に使える接続用の穴なのか、あるいは今後のヴァリエーションキットで使用されるのか。わざわざパーツ分割して仕込んでいるので、何か意図があるのだろう。



  09/07

  武装スク水キャラというと、やはり『トリガーハート エグゼリカ』を思い出す。今の私の技術力なら、キットを改修してエグゼリカにすることも出来そう。

  [ www.alter-web.jp/old/figure/07/12_2/ ]
  ALTERの「エグゼリカ」は、今ではずいぶん中古値下がりしてきているようだ。丸10年前のフィギュアだが、当時としては最高級のクオリティで、価格も当時としては破格の高額商品、という評価だったようだ。十年前というと、(オタク系)フィギュア市場はすでに成熟していたと思うが、当時はフィギュアにはほとんど関心が無かったのでよく分からない。00年代半ば頃までは、品質面ではまだ玉石混淆で(塗装に問題のあるものがあったり)、価格面でも今よりはリーズナブルだったようだ。

  現在の目で見ると、確かにクオリティは遜色ない水準だが、デザインは案外シンプルに見える。特に、この脚部(脛)のようなストレートな曲線は、最近ではなかなか見かけない。私としては、このくらいの方が、無駄のない機能性を感じられて気持ち良いのだが、最近の流儀だと、もっと武装パーツを前景化させて、機械的なディテールを全体に盛り付ける――好きではない言葉だが「情報量を増やす」――のだろう。
  それにしても、web上の写真を見ているだけで、ああ、これは良いなあ。フレズヴェルクガールを改造してやろうかとも思ったけど、フィギュアが欲しくなってきた。

  「その時、哀れな被害者は、自宅にもはや展示スペースが無いことに気づいていなかった」。
  (「それが彼女を見た最後の姿だった」風に。)

  フィギュアやプラモデルは、ここ十年、十数年で大きく値上がりしている。GFFディープストライカーが、2003年当時はたった10000円で発売されたくらいだからね……(買ったけど)。今だったら、ロボット本体だけでも10000円、全体では20000円くらいになってしまうのではなかろうか。GFF版Ex-Sガンダムが2002年発売で4725円だったところ、昨年発売のAGP版「Sガンダム少女」が11800円(税込)になっているわけだから、同等内容と見做すならば単純計算で2.5倍にもなっている。先日も言及したfigmaのラインアップを見ると、フィギュア界の価格変動が見て取りやすいだろう。00年代中にもフィギュア価格はじわじわ上昇していたが、特に2013年から2014年頃に急騰したようだ。
  主な原因は、製造コストの上昇だと言われている。要するに、昔は中国などで安価に大量生産できたのが、先方国の人件費が上昇して、それが価格に反映されているのだとか。


  いつの間にか、フタロシアニンブルー大好きっ子に育ってしまった。単体で塗装することは無いけれど、普通のブルーの代わりにこれを使って調色することが増えた。ただし、さすがに塗料のあの匂いは好きになれないが。


  というわけで完成:「FAG『フレズヴェルク』塗装メモ」。
  普段通りであれば、素体形態のまま立たせておくところだが、今回は武装形態でもいいかも。
  AZONEのシスター服が余っていたので着せようとしたのだが、「前腕が太い」「バストが出っ張る」「頭部の突起が邪魔になる」などの干渉が大きく、着用は断念した。もっとも、頭部や胸部は衣服で隠れてしまうのだからパーツを外せばいいし、腕はイノセンティアあたりに交換すればいいのだけど、なんとなく今回はそうする気にならない。


  そういえば、うちのメカ少女プラモ関連の記事も、たいしてアクセスが多いわけではない(※ブログ内の他の記事と同等のアクセス量)。その観点では、メカ少女プラモのブームというのはほとんど感じられない。実のところ、どうなのだろうか。考えられる可能性を、規模の大きなところから挙げていくと:
  1) ユーザー規模。世間的なブームが、それほど大きなものではない? 繊細な造形で、価格面でもけっして安くはないし、売り場も限られる。かなり局所的なブームなのかもしれない。各社のセールスは良いようだが、比較的少数のモデラーが大量に購入しており、ユーザーの裾野は(まだ)広がっていない、ということかもしれない。
  2) 制作文化。ユーザー個々人が思い思いに作ればよいという気風から、他人の制作を見ようとする文化が成立していない? ……これはちょっと考えにくい。他人の作品は、自分のアイデアを刺激するし、技術的なノウハウに対する関心も高いだろう。
  3) コミュニティ。自分の作品を公開したり、他人の作品を見たりするための場が、すでに形成されている。例えばホビー系の投稿サービスや、ブログリンク、SNSなど。コア層はそういった場で交流しているし、ライト層もいちいち一般のweb検索から入るのではなく、そうした既成のコミュニティにアクセスしていく。こういうことがあるかもしれない……が、そういったコミュニティがそこまで組織化されているようには見えない。ただし、通常のweb検索では、通販サイトのページばかりがヒットして、ユーザーの制作記事がなかなか出て来ないので、かなり非効率が悪いというのは確かだ。
  4) うちのブログにもアクセスは十分ある、あるいは、模型関係のブログとしては平均的なアクセス数である、という可能性もある。……うーん、でも、「平均的なアクセス」がこんなに少ないようでは、ブームになっているとは思えない。
  5) web検索サービスから、うちのブログに到達しにくいのだろうか? 例えば、検索語「朱羅 忍者 塗装」で検索すると、検索結果39件の中にうちのブログは出て来ない。「朱羅 忍者 制作」でも、勝手に「~製作」の検索結果にリダイレクトされるせいもあってか、90件の中にうちのページは出て来ない。あー、このせいか。うちのブログ全体が検索結果から排除されているわけではないのだが、明らかにキーワードに深く関係するページにもかかわらず、何故か出てこないのだよね……。ただ、こういった検索語でも数十件しか検索ヒットしない(しかも通販サイトばかり)というのは、かなり意外だ。最近のモデラーは、わざわざブログを作って作品を公開したりはしないのだろうか。

  私がブログを開設しているのは、「情報を残しておく備忘録のため」と「書くことで思考するため」だが、同時に、「そうした情報が、自分以外の人にも役立てるならば」ということもモティベーションの一部になっている。しかし、web検索が適切に機能しておらず、しかるべきキーワードで検索したユーザーがうちのブログに到達できないというのは、かなり気落ちのする事実だ。


  BANDAIの「デス・スターII」プラモをランナー状態で眺めながら、これはすごいキットなのか、それともおバカキットなのかと考えていたが、実際に作ってみたら、ああ、なんだ、これはスミ入れ天国じゃないか。このシリーズの他のキットも、超絶的に繊細なディテールとモールドが造形されていたが、このキットは特にそれがはっきりした形で現れている。
  もちろん、あらかじめラッカー系塗料で全塗装しておかなければ、エナメル塗料がプラに浸透して崩壊してしまうだろうし、ということはエアブラシ塗装が前提になってしまう。また、この極端な縮尺設定でスミ入れをすると、スケール感も何もあったものではないが。

BANDAI「デス・スターII」。さっと全塗装して、軽くスミ入れしただけだが、密度のあるディテールがたいへん見栄えがする。公式サイトの完成見本のように各部に色を足すと、さらに迫真性が増すだろう。


  首を着け外しできるフィギュアやドールや美少女プラモが手許に集まってくると、そろそろ六条河原ジオラマをやりたくなってきた。

  ちなみに、洋風の断頭台ならば、すでに市販キットが存在する。
  [ stp-web.jp/ec/html/products/detail/19 ]


  フレズヴェルクガールの調色が上手くいったので、机の上でじっくり眺めては悦に入っている。フレーム部分は無難にフラットブラック+クロムシルバーだが、特にパープル部分はいろいろ試行錯誤した甲斐があった。
- スク水の紺色とは違った色合いで、
- パープルといっても、レッドを濃くした派手すぎる色ではなく、
- かといってラベンダーのような青すぎる色でもなく、
- ツヤあり&メタリックにして宇宙メカらしいイメージを強調しつつ、
- けっして下品にギラつかせないようにして、
- 明るすぎず、暗すぎないように、
といった感じの方向性で、塗料をいろいろ混ぜてイメージどおりの美しい色合いが実現できた。基本的には「バイオレット」と呼ばれる範疇だが、Mr. Colorのメタルバイオレットやメタルパープルでは赤味が強すぎるし、メタルダークブルーは青すぎる。
  ふだんのスケールモデル制作では、出来合いの専用塗料がそのまま使えてしまうし、史実(インスト指定色)を逸脱して珍妙なカラーリングにしてもべつに面白くはならないのだが、それに対して自分なりの色彩設計を自由に追求できるのはキャラクターモデルの醍醐味だろう。
  ただし、今回は目分量で適当に混色したので、カラーレシピは存在しない(=再現できない)。また、調色した塗料はまだ残っているが、転用が利かないから、廃棄するしかない(※ただし、残しておけば、キットが汚損した場合に補修できる)。



  09/02

  部屋がいよいよ手狭になってきて、完成品を置く場所すら無くなってきたので、新しく制作着手するのに躊躇してしまう。収納性を確保するために、また大掃除をすべきか……。


  Hobby Searchが各キットの組立説明書を全ページ掲載しているのは、さすがに如何なものかと思うので、今後ともこの業者は利用しないつもり。全てのメーカーからちゃんと許諾を受けているとは考えにくい(つまり、無断転載だろう)。説明書は製品の一部にすぎないとはいえ、インスト全体を丸掲げしているのは「引用」の限度を超えているし、説明書以外のコラムなども読めてしまう。傍目にも、これは権利侵害じゃないの?と思う。
  便利は便利なのだけどね。インストを紛失してしまった時や、以前に制作したキットの説明書を見直してみたい時に、1999で検索して確認したことはある。しかし、便利さは、その行動を正当化する根拠にはならない。それどころか、インスト丸掲げしてモデラーに便益を提供することによって、集客力を高めるのに利用している(他の通販サイトに対して不当に競争力を発揮している)のだろうから、その行動は例えば「公益のため」といったようなエクスキューズにはならない。


  ガラヤカに「ホログラムフィニッシュ」シートを使ってみたのだけど、難しすぎる。
- シートを広い面に貼るので、失敗しやすい。
- 極薄シートなので、丸まったり皺になったりしやすい(非常に失敗しやすい)。
- 透明シートなので、皺や気泡などの不出来が目に付く。
- 高価なので、コストが嵩む。失敗すれば尚更。
- 色の薄いホログラムなので、貼ってもまるで目立たない。(下地処理や見る角度によるが)

これならば、クリアカラー複数色で吹き付け塗装をする方が、よほど「安価で」「確実で」「見栄えも良く」なっただろう。苦労していったんは貼り付けたものの、あまりにひどい出来だったので全部剥がしたが、今度は剥がすのにも一苦労という有様……。余ったシートも、手持ちのキットで流用できそうなものが思いつかない。今回は大失敗だった。


  (→11~12月5~8月