2025年1月の雑記。
01/31(Fri)
アートやホビーに対する私の基本姿勢はわりとシンプルで、要するに、「技術によって、新しいものを見せてほしい。そういうものに付き合っていく」というスタンスを取っている。
例えば漫画表現についても、ストーリーやキャラの好みだけではなく、コマ組みやトーンワークの技巧に着目していろいろな雑記を書いてきた。優れた漫画とは、ただドラマティックな物語だけで成り立つものではない。数十年に亘る表現手法の実験と試行錯誤の上に、現代漫画の洗練があり、そしてそれはさらに新しい漫画表現を生み出していくだろう。
(※……と、ここまで書いてアダルトコミックのいわゆる「断面図」のことが脳裏を過ぎったが、まあ、そういうのもあるよね。歴史的には、00年代半ば頃にアダルトゲームや商業アダルトコミックで導入されていき、そこから18禁同人誌に取り込まれて大量に反復されていくうちに、2010年代には一般的な様式の一つとして確立されていた。当初の「断面図(カットイン)」だけでなく、メインカットにそのまま内部を描き込む「透視図」スタイルも増えてきた。当初は「きもい」「グロい」「バカ演出」「イロモノ」という見方が大勢だったが、今ではごく普通の表現として定着してしまった)。
また、PC美少女ゲームも、まさにプログラムという技術そのものによって表現物が構成され動かされていく媒体だ。そういった構造的側面に焦点を当てつつ、そこから作品ごとの新規性とその表現世界の独自性を語り、あるいはそれらを様式的に整理して作品横断的-歴史的にに展望しようと試みてきた。このブログの一連の(技術的)ゲーム演出論は、だいたいそのアプローチに則している。
2010年代に入る頃には、アイデアとコストが頭打ちになり、新しい表現スタイルを生み出すのが難しくなっているが、それでも、00年代のあの華々しく豊かな実験の時代は忘れがたい。
そしてプラモデル分野(艦船模型やガールプラモ)も同じだ。
メーカーサイドに関しては、パーツ構成の妙趣や、金型インジェクション技術の進展が、一消費者としての私にとっても常に強く意識されてきた。模型誌でも、そうした側面にしばしば光が当てられる。また、モデラーサイドでも、もちろん、開拓されてきた膨大な制作技術と、それを支える大量のツールに触れることは、とても魅力的なテクノロジー体験だ。
ガールプラモ分野も、既存のプラモデルとは異なる新たなジャンルであることに、大きな魅力を感じてきた。そして実際に、「何か新しいものを摂取したい」という私の欲求に応えてくれた。関節構造や頭髪表現、サイズの試行錯誤、素材選択など、さまざまな局面でダイナミックな実験と変化が、この十年間のうちに展開されてきた。それを同時代的に体験できたのは、たいへん貴重で、充実した手応えがあった(※もっとも、だからこそ、先日述べたような、近時のKOTOBUKIYAの足踏みは、とても残念なのだが。海外メーカーの異素材多用や、「ガール」の枠を超えんばかりの大物キットなどは、楽しく刺激的な驚きを提供してくれた)。
艦船模型についても、10年代半ばのブームのど真ん中を経験することができた。多数の新規キット、パーツ構成の劇的な洗練(スライド金型の積極的な導入)、アプローチの多様化(無塗装で色分けできるキットやSDキットなど)、大スケールキットの増加、そして海外メーカーの超精密キットまで。
もちろん、そもそも「アート」とは、技術と技巧(とコンセプト)によって成り立つものであり、私はこれをしごく当然のものと考えている。ただしそれは、現代オタク/サブカル――とりわけ二次元系――の嗜好や関心とはかなり異なった視座であることも理解している。そういう確信と希望と諦念に伴われつつ、まあ、そこそこの年数を趣味生活にうち興じてきた。 今後も楽しんでいきたい。
漫画は毎月数十冊ほど購入(+同人誌)。アニメは、毎シーズン1~3本程度を摘まみ食い。LNは、たまにカジュアル買いや原作買いをするくらいで、基本的には嗜んでいない。ゲームについては、時間はそれなりに取ってプレイしているが、インディーズから海外まで爆発的に拡大していて、私の経験範囲からはなんとも語りようがない。ちなみに、今でもガ○ャ系オンラインゲームは一切プレイしていない。ゲームセンター(レトロ系)は、mastodon界隈の影響で、再び行くようになっている。
艦船模型は、面白そうな艦をだいたい作りきって、かなり落ち着いてきた。ガールプラモは、定期的に楽しんでいるが、今後の(分野的-業界的な)展望が見えない。大サイズのスケールフィギュアは、自宅の展示スペースが埋まりきったのでもう買えない(※一時期は、小サイズやドールなども手を出していた)。それでも、2000円程度のプライズフィギュアは、月に1~3体ほど入手している。
音楽(クラシック)は、これまで買ってきた数千枚のCDをいろいろ聴き返すだけで十分。美術関連は、コロナ以降はほとんど展覧会に行かなくなってしまった。映画も、シアターには行かず、たまに有名作品のディスクを買うくらい。ファッション関連は、ごく控えめ。美食趣味はほぼ皆無。等々。
創作に関わるインドア派趣味というと、現状はこのくらいかな。コロナ蔓延以降は、同人誌即売会にもほとんど行かなくなってしまい、そのため、ここ数年間会っていない知人もいる。
最近は、animateなどでアクスタなどのグッズを見て回るようになった。以前はそういうグッズ類にはまったく興味が無かったのだけど、「グッズを買って自宅等に並べるという形で、自分が好きなコンテンツに触れ続ける機会を増やすのも、きっと楽しいんだろうなあ」というくらいには、認識が変わってきた。好きなコンテンツを画面の外に持ち出せる貴重な手段だし、マイナーな作品だと関連コンテンツがアクセサリーグッズくらいしか無いというのもある。
とはいえ、缶バッジ(500円)やクリアファイル(800円)のようなアイテムは、やはりチープだと思ってしまうし、その一方で、大きめのアクスタになると2000円近い価格になり、けっこうな割高感が出てきてしまうので、実際にはめったに購入しない。メディアミックスされた場合、往々にしてアニメ絵準拠になってしまうのもモヤモヤする(※原作漫画の絵の方が好み、という場合も多いので)。
しかしそれでも、キャラグッズをお手軽に入手できて、購入時の充実感もあり、しかもそれを継続的に行えるというのは、市場的に大きなアドヴァンテージがある。
『冒険には、武器が必要だ!』第10話の出来映えが物凄い……アイデアの豊かさ、架空世界の掘り下げ、濃密なネタ、横溢するユーモア精神、そして演出の切れ味と、「本物の戦闘」を初めて目にするシーンの実感と迫真性。web連載で読み続けている数少ない漫画の一つだが、この回は特に充実した表現がたっぷり展開されている。
アニメ『通販』第3話。しよーもない話だが、そういうしよーもない話が早回しでサクサク進んでいくのは、これはこれで気持ち良い。ストーリー面では、農業スローライフ志向+ハーレム化という意味で、『のんびり農家』のデッドコピーみたいになってきた。
獣人ヒロインが、手先まで猫ハンドのままで、全身にしっかり体毛が生えているという、かなり本格派のケモ度なのは、ちょっと珍しい(※ちなみに、富田美憂ヴォイスだ!)。
『ソロ討伐』第4話のボス戦進行は、ベタに盛り上げたが、キャラクターの表情変化や振り付けの細やかな中割アニメーションがよく出来ているので、臨場感と迫力がある。主演声優も、今回はかなりましになっている。ただし、脚本進行は作為的だが、これは原作由来の限界もあるだろうし、まあ仕方ない。
最近のアニメで、リップシンクがあまり顧慮されていない――つまり、音声と口パクが合っていない――のをよく見かける。個人的には、それほど拘泥しなくてもいい部分だと思っているが、アニメ制作手法や音声演出の価値観が変化してきているのかもしれないという意味ではちょっと興味深い。
サルミアッキを調達して、自宅でゆっくり食べている。いわば洋風塩昆布飴みたいなもので、じっくり舐めていられる(※実際はリコリス[甘草]の入った硬めのハーブグミ)。
たまにしか買わないが、入手する度にここで書いているので、前回の購入時期もログを辿れる(前回はちょうど一年前の2月初旬)。
01/22(Wed)
アニメ『全修。』第3話。ストーリー面でも、ひとまず枠組が確立された。今回は屋内戦での『タイガーマスク』パロディで、明確なコメディ路線。このように、ジャンルを問わず、アニメ史上の名シーン、名場面、名キャラクターなどを大きく回顧していくことになりそうだ。
『ボスをソロ討伐』も第3話。チープな嫌われキャラを出して物語を強引に動かしていくのは、おそらく元の脚本(原作)に起因するものと思われるが、映像そのものは見ごたえがある。遊戯的な演出や、力感と速度感のあるバトル表現はエンタメとして楽しいし、巨大ハンマーを振り回す映像的インパクトもきちんと掬い取っている。アニメーションの中割も、ダイナミックな味付けで大きなインパクトを生んでいる。さすがはCloverWorksと言うべきか。また、主人公の行動原理が一貫していて、意志的な表情で、堂々と自分の意見を主張しながら状況をどんどん切り開いていくのも気持ち良い。下膨れ気味の顔立ち造形も、視聴しているうちに慣れて、愛嬌を感じられるようになった。
今季のアニメは、あとは『通販』を――声優目当てで――流し視聴するかも、という程度。
『通販』第2話は、映像表現も今一つで、脚本もだらしなく、さらに音響コントロールにも不満があるのだが、ところどころ楽しげな演出があるので、後味はわりと良い。
英語圏mastodonでいろいろ投稿していて、「漫画やアニメの趣味でひたすら遊んでばかりいる(ように見える)アホなジャパニーズ」の姿をさらけ出すのは、ちょっと不味いのではなかろうかということに、そろそろ気づきつつある。
しかし、オンライン他言語圏に出ていく日本人オタクがほとんどいないという断絶の現状は、けっして良いことではない。なんとかして、英語圏(というか、日本語以外のグローバルなオタクたち)と日本語圏の趣味人たちを、ほんの少しでも架橋していければと思う。
もちろん、日本人オタクたちとしては、日本語圏での莫大な情報蓄積と巨大なオタク言論空間を自前で持っているので、わざわざ他言語の場所にまで出ていくインセンティヴが無い。だから、それはそれで仕方ない(けっして悪くはない)。とはいえ、わざわざ日本語を勉強してまで日本漫画やアニメを読み込んでくれる人々がいることに(その偏頗に)対して、申し訳なさを覚えることはある。そして、国際交流のために、できることがあれば、何かしら貢献したいという思いもある。
投稿内容そのものは、基本的には、このブログで書いていることを適当にアレンジして英語化しているだけなのだが、「自分の思考を英語で表現する練習」と、「読み手に合わせた文化的なチューニングの練習」の双方の意味で、かなり鍛えられる訓練になっている。例えば、日本のオタクに対しては説明不要なところでも、他文化の人々に対しては補足説明の必要なところがあったりして、自分自身が置かれている文化的条件について新たな認識が得られることがある。また、他文化の人々の眼前に投稿するということから、社会的公正や多文化的状況への意識が常に喚起される。そういうデリカシーの無い世界――つまりエロ絵もろだしの日本オタクの内輪コミュニティ――に浸ったままでいるのは危なっかしいという危機感がある。
日本以外でも、「ここでは趣味だけを楽しんでいたい、政治の話は見たくない」という人々もいれば、その一方で、「政治の問題は趣味生活の問題にも不可避的に直結している」という人々もいて、そのあたりはどこも変わらないのだなあと感じる。
現在のmastodon界隈(fediverse)は、twitterなどの有害プラットフォームを避けて移住してきた方が多く、平均的に見て、非常に健全な――つまり社会的な公正と個人の尊厳をきちんと重視する――価値観の人が多い。その意味で、私個人としても、過ごしやすい場であるのは確かだ。
『エルフェンリート』を再読中。ナナに感じた既視感を辿ったら、『フランケン・ふらん』のベロニカだった(※もちろん、初出の順序としては『エルフェンリート』の方が先)。ショートボブカットと黒のロングスカートで、強気で苦労性で、不幸な目に遭いまくりつつ、隠し武器を仕込んでいるところなど、なんとなく共通点が多い。ちなみに、アニメ版のナナは松岡由貴氏が演じており、キャラクターの掘り下げが物凄い。
アニメ版は、原作漫画とは多少異なった展開を入れつつ、原作第7巻までのところで完結させた。ドラマがいったん大きな結着を迎えるところなので区切りとしてはちょうど良い。原作は全12巻だが、第8巻以降はちょっと冗長になって、バックグラウンドにある政治的謀略や新薬開発サスペンス、サブ敵との戦い、そしてラストバトルと慌ただしく、映像化しても面白味には乏しいだろう。ストーリーとしても、終盤は「死んだと思ったら生きていた」展開を連発していてダルいし。その意味で、アニメ版は主要キャラクターたちの物語としてはきれいな終わらせ方だったと思う。
近時のKOTOBUKIYAのカラバリ連発は、そろそろ「見飽きた」レベルになってきた。他の模型メーカーと比べてもヴァリエーションに捻りが無いし、色彩センスもかなりひどいし(全身真っ白だったり真っ黒だったり、下品なオレンジやグリーンだったり)、特定のキットばかりに偏ってしつこいし、連発ペースもかなり早いので食傷しやすい。追加武装のデザインもチープで、とにかく彼等のセンスの底が露呈して印象がどんどん悪化している。しかも、余技ではなくて会社の主力商品なのに、こういう安っぽいもたつきを見せられるのは悲しい。どうしてこうなった……。武骨な戦車キャラ「轟雷」を真っ白なカラバリで出したり、パワーローダーのような重厚感のある「グライフェン」をパープル成形色で出したりされると、もう企画担当者の判断力が信用できなくなるのよ……。
もっと情趣のある成形色を選ぶとか、もっと派手で面白味のある拡張パーツを付けるとか、もっとはっちゃけたコンセプトに挑戦するとか、不人気だった(?)キットをグレードアップさせて新たな魅力を作り出すとか、上手いやりようはある筈なのだが。まあ、元々、気の利かないドジっこ企業なので、できるだけ好意的に見守っていきたい。
ラミアガールとか青肌ガールを出してくれたら嬉しいのだけど……(※ちなみに人魚型は海外キットにある。また、青肌ならぬゾンビ肌はフレズヴェルク=インバートがあった)。
『全修。』第4話。ストーリーはかなり強引だが、なるほど確かに、ヒーローとのダンス&デュエットは、アニメ文化が作り出してきた最も美しい風景の一つだ。鈴木みのり氏はまさに『マクロスΔ』の歌姫キャラでデビューした声優だし、今回の相方の宮野氏は、もちろん言うまでもなく、『うたプリ』――今回の作中では『うた☆メン♪』――にも出演されているので、声優文化のコンテクストもパロディとしてしっかり押さえられている。
それにしても、前半パートはかなり退屈なので、毎回のクライマックスシーンだけ(約2分)を摘まみ食いするだけで十分なのではないかという思いが……。
01/18(Sat)
「関西キャラ模型の会」に行ってきた。人が集まるイベントに参加するのは数年ぶりだが(※コロナ蔓延以降、趣味のイベント参加はほぼ皆無)、せっかく近場で開催されるので、思いきって飛び込んでみたら、たいへん充実した展示会だった。
長机が全部で38枚あって、それぞれに平均5個程度のキットが置かれていたから、おそらく総計で200個以上の作品が出展されていたと思われる。一人でいくつものキットを並べている方も多かった。内訳としては、ガンプラが長机14台(=専用の別部屋)、ガール6台、フィギュア等6台、その他12台。
ガール系で目立ったのは、水面模様の大迫力ケニモン、ミリタリー路線の朱羅忍者、きれいにまとまった騎士ユフィア、サメに跨がってエアブラシを構えているタンク、ルッキーニもどき、壊れかけの轟雷など。本格的なミキシング2体の作品が、完成度も高く、最もインパクトがあった。ちなみに、ガール部門では、私の隣にいらした方が紫のスサノヲで金賞を獲得されていた(※展示タグも撮影記録しているので、後から調べることができる)。ケンタウロスの「エレーナ」が3つも出ていたのは驚いた。メガミ「赤ずきん」も2人出ていたが、どちらも陽気なネタキャラ扱いだったのは……(※片方は生き生きしたダンス[上記タンクの作者さん]、もう一方はごろ寝したり逆立ちしたり)。そうだ、そのまま行け! 私もレーナ4体セットを持っていった。頭をすげ替えただけのネタ作品だが、賑やかしになっていたら幸い。
その他(ノンジャンル卓)では、メタリックブルーの「レイレナード・アリシア」(※作者のオンライン住所は不明)、「ナウシカ」の腐海ジオラマ(大賞)、エレガントなダンバイン(※哨戒中のザクジオラマもこの方)、エリアル(※上記轟雷の方)など。
ガンプラ部屋では、1/12ザクヘッド、バリュート装備のマラサイ(大賞)と∀ヴィネット、大量のガンダムのいるハンガー、ザクフライトタイプ(※上記ルッキーニと同じ方)、電飾ペーネロペー、ツヤツヤのナイチンゲール、1/550ミデア&ドムのジオラマ、リアリスティックなザクなど。
その翌日は、久しぶりに京都a-cho訪れてきた。学生時代には時々遊びに行っていたゲームセンターで、現在でもレトロゲーム(シューティングや格ゲー)を多数稼動させているのだが、残念ながら今月末で閉店してしまうとのこと。せめて筐体は、どこかが引き取ってきちんと保全&運用していってくれたらありがたいのだが……。
みやこめっせの文学フリマにも行ってきました。
アニメ『ボスをソロ討伐』は、PVの時点では安っぽいコメディかと思っていた(なので、視聴する気は無かった)のだが、ちょっとしたきっかけで第1話を見てみたら映像表現がかなり面白かった。特にOPでは、布地などの柔らかい動きの表現や、カット移行(トランジション)のきれいさが目を惹くし、そして架空の魔物についても筋肉の動きを窺わせるようにアニメーションが造形されている。本編部分も、ほんのわずかに頭を傾げるところなど、繊細かつ効果的な振り付けを随所に織り込んでいるし、光源演出などもデリケートに付けられていてびっくりするレベル。能天気なEDもわりと好み。
ただし、欠点もある。今どき受付「嬢」というのはどうしても引っかかるし、ストーリーの骨格も作為的で説得力に欠けるし、主演の芝居も皮相的で退屈だし、時折挟まってくるお色気要素も(個人の好みだとは思うが)邪魔に感じる。要するに、「枠組(原作)も声優も駄目だが、映像演出だけは妙に達者で心地良い」という感じ。
こういうのは扱いが難しいが、ひとまず、ついて行けるところまで視聴を続けてみるつもり。
大根声優は、その場その場の感情を適当に付けながら喋っているだけで、一つ一つの言葉に意味が乗っていない。例えば、怒っているシーンであれば、なんとなく刺々しい喋り方にしているだけ。だから、強調すべきフレーズを「立て」ていなかったり、言葉の抑揚がおかしかったり、流れが一本調子だったりして、結果的に台詞が上滑りする。こういう芝居は、砂を噛むように味気ない。
例えば、「この猫、可愛いね」という(仮)台詞でも、下手な役者だと、ただ可愛がっているニュアンスを乗せながらぼんやりと「このねこ・かわいいねー」と喋るだけだ(※俗に言う「ナチュラルな」「生っぽい」芝居は、しばしばこういう上滑りに終始している)。しかし、台詞の解釈を掘り下げている役者であれば、「この猫」と口にするところで、その猫に対する捉え方が聞き取れるように演じて(例えば、物理的距離や、驚きの度合いや、次の言葉に向けての溜めなど)、そのうえで「可愛いね」にもしっかりと心情を乗せて演じる。それは情愛であったり、驚きであったり、喜びであったり、感動であったり、共感であったりと様々だが、物語の中でのそのシーンの位置づけに沿うように的確に選び取って演じるのだ。そういう精度のある芝居をこそ聴きたい。
『異世界通販』も、声優目当てで第1話を視聴してみたが、こちらはコンテもイージーで(※ただしこのスピード感はちょっと面白かった)、ストーリーも下品で(※性行為の暗示あり)、かなりきつい。それでも、ヒロイン級のキャストは良いのだし、人によっては楽しめるかもしれないが……。
現代日本の物品を異世界に持ち込んで、上手い交易(要は輸入)をするというのは、文章だけで説明すれば済んでしまう話だ。わざわざアニメ媒体にする意味が無いし、実際、アニメ版が原作に対して何か新しいもの(新しい魅力や価値)を作り出しているようには見えない。キャスト陣が上手くやってくれれば、評価を一転させることも可能かもしれないが……。
mastodon英語アカウントは、フォロー数が増えてそろそろ面倒になってきた。これは純然たる怠惰の問題であって、人間関係のトラブルなどではないが。自分一人で好き勝手なポストを投げていくのは気楽だし英語のトレーニングにもなってちょうど良いのだけど、リプライに対して(必要そうな場合には)一つ一つ返事をしていくのは、かなり気を遣うし、量が増えてくると負担にもなりかねない(※文化的にも言語的にも、誤解を生んだり、うっかり失礼な表現をしてしまったりする可能性が高いし)。そういう意味で、つまり、独善的で失礼な意味で、「そろそろめんどいなあ」と感じることが、まあ、無いではない。維持できそうな範囲に留めつつ、当面は続けていくつもりだが。
実のところ、リプライ等の通知欄に付き合うのは、仕事のメールチェックと似たようなものなので、あんまり嬉しくはない。つまり、非-自発的な関係であり、時間のコントロールもできず、それでいて無視しがたい出来事というのは、やはりストレスになりやすい。
木村あやか×藤咲ウサのトーク配信(1月25日)は、いったいどうなるんだろう?
ふんわりとフワフワのベテランと、ふんわり毒々の後輩キャラ……想像できない。
ちなみに、共演作も非常に少ない。キャラクター大量のタイトルを別とすれば、『初恋サンカイメ』(どちらもサブ)や、『ジンコウガクエン2』(3Dゲームの特殊事例で、しかも別名義)、それからDigital Cuteのいくつかの作品くらいか。
01/09(Thu)
来週末(01/18)に「関西キャラ模型の会」というイベントが開催されるらしい(※近所の模型店にフライヤーが置いてあったので知った)。適当に自作を持ち寄ったり、ただ見て回ったりするためのプラモ展示会という理解でいいのかな。入場無料だが、出品(出展)は2000円のようだ。詳細情報がまるで分からないのが心配だが、せっかく近所で開催される有志イベントなので、せめてもの賑やかしとして参加したいところ。
SNSの質問受付録音を聞いたかぎり、「部屋の電源は使えない」、「一人あたりの展示スペースは45cm幅」、「背景や雛壇などでのレイアウトもOK」、「ガンプラを中心に、参加者は多くなりそう」、「作品はお互いに撮影OK」、「R18は駄目(子供も入場するので)」、「貴重品は各自管理」、「飲食はできれば控えて」、「部門ごとに賞を用意している」、「ジャンル分けはガンプラ/ガール/ガレキ/その他」とのこと。
持って行くとしたら、昨年制作した中では、ガール「STAPEL」とSDガンダムズくらいしか出せそうにない。スケールモデルはNGだろうし……。それ以前に制作したキットだと、「シタラ:ガネーシャ」「ユフナ・マルキナ」「レーナ×4」あたりを持って行ったら、多少はネタになるかもしれない。
スキル面では、VOLKS三宮の展示参加作品を見るかぎりでは、ハイレベルなモデラーさんがたくさんいらっしゃる(※私自身のスキルは中の下くらいだと思う)。筆塗りを駆使した力作から、AFVキットの本格的な作り込みから、華やかな大型ガンプラ作品、そして完成度の高いレジンキットまで、水準の高い方々がいらっしゃる筈。
うちの大学の学生と鉢合わせしたら嫌だけど、まあ、そういうことは生じないだろう。
『全修。』第2話。今回は板野サーカスのパロディ……というか、まさにご本人直々のコンテだったようだ。ストーリー進行は退屈だし、音響も良くない(声が埋もれる)のだが、毎回の作画パートをこのレベルにやってくるのであれば、たいへん贅沢な作品だと言えるし、これをアニメ媒体でやる意義もある。第1話の巨神兵パロディの時点では一発ネタかと思っていたのだが、このアプローチでやり切ってくれるのであれば、視聴する価値はある。つまり、作品の核心部分は「アニメーターの異世界転生もの」ではなくて、「アニメ史を遂行的に辿り返すための場として、虚構世界が設定された」と考えることができそうだ。
ただし、攻撃アクションとして実効性があって、しかも動画としての見栄えもして、なおかつ知名度が高いとなると、はたしてネタが足りるのかという懸念もある。ガンダムからは核バズーカとかラストシューティングとか、あるいは『AKIRA』や銀英伝などを見境なく使えば、いくらでもネタはあるのかもしれないけど。ボスキャラとの対人戦闘シーンでも、バトルものの名場面はいろいろ出せるだろう(『なのは』とか『プリキュア』とか)。
アニメオタクたちはおそらく、今後出てきそうなアニメ名演出を50個も100個も挙げてどれが使われるかを激論しているのだろうけど、私はアニメオタクではないのでそういうネタ出しはできない。
01/03(Fri)
今期のアニメは、うーん、観るものが無さそう。消去法で、ミステリ(?)の『誰ソ彼ホテル』とオリジナル作品『もめんたりー・リリー』くらいは見てみるつもりだが、あまり期待はしていない。
『どうせ、恋してしまうんだ。』は、逗子近辺が舞台のようだ。江ノ電らしき車両もPVに映っている。
『リリー』第1話は、全てが駄目だった……。23分間ひたすら休みなく喋らせるダサ映像だし、台詞回しも口癖キャラばかりで(しかも言語感覚が古い)、まるで十年以上前の美少女コンテンツのような印象を受けた。コンテもただ闇雲に動かしているだけで、見せ方がコントロールできていないし、せっかくの頭髪アニメーションも演出として機能していない。まるで20分尺のPVを延々見せられたかのような感じ。せっかくのオリジナル企画なのに、やりたかったのはこの程度なのか。志が低すぎる……。
もう一つのオリジナルアニメ『全修。』も、ひとまず視聴してみた。ストーリーの初期設定にかなり無理があるし、内輪受けっぽい方向性も気掛かりだが、ひとまず第1話の流れはまっとうに良かったので、続きも見ていく予定。女性スタッフ中心という意欲的な座組なので、上手くいってくれたらよいのだが。
『誰ソ彼ホテル』は、映像美が無さすぎる。あまりにも味気ない。
「Gundam Assemble」は、なかかな上手いところを突いた感じ。日本でもTCGなどのオフライン競技は盛んで、デュエルスペースも数多く存在しており、十分なインフラが確立されていると言ってよいだろう。海外でも、「Warhammer」などのミニチュアゲームの素地はある。なので、そこに「ガンダム」コンテンツで市場参入していくのは良いアイデアだと思う。
技術的にも、「Star Wars」や「Gundam Artifact」などで、5cm程度の小サイズ+高精細(&安価)なプラモデルの製造経験を十分蓄えてきているし、モデラー側でも、ミニキットをちまちま塗装する楽しみが定着している。もちろん、塗装せずにただ組むだけでも十分見応えのあるキットが出せるだろう。
デジタルゲーマー視点で見ても、SDガンダムの「ガチャポン戦士」シリーズは前世紀からの蓄積があるし、アーケードゲームでもカードなどのオフライン連動要素を取り込むことに成功しているようだ(『アーセナルベース』)。
BANDAI自身にとっても、「ガンダム」は多対多戦闘(戦争)をモティーフにしているのでコンテンツの性質に合致しているし、量産型も含めてキットをたくさん買わせるという戦略にも適している。また、簡易的でもよいから塗装するというアプローチから、ボードゲーム人口をガンプラに引っ張ってくる入り口にすることも期待できる筈だ。また、特定のストーリーなどに依存せず、複数作品のロボットたちを適当に混ぜ合わせることもできるので、コンテンツを長期間存続させられる見込みもある(※30MMシリーズにも共通するアプローチ)。その他、教育的要素や、ブームとしての(新たな)広がり、そして既存作品への興味を持たせる契機、等々、ポテンシャルの大きな企画だと思う。
昔にも似たようなガンダムボードゲームが存在したらしいが、現代の文化的土壌の上にこの路線をあらためて試みることにも、大きな意義があるだろう。
(例によってGP-02の扱いは難しくなりそうだけど……。核攻撃で広範囲を焼き払う機体などというのは、ボードゲームに組み込むのはちょっと無理だろう。かといって、それ抜きだと、ビームサーベルとと頭部バルカンくらいしか武装が無くて、あとは大ジャンプの機動力と大盾の防御力でなんとかするしかないという尖りすぎた設計だし。)
ちょうど5cmサイズの「ガンダム アーティファクト」は、これを見越した実験だったのかな。一個500円の単色プラモという商品設計も、基本的には好評だったようだし(※ただしアイテムの偏りには不満も出ていたが、まあそれは仕方ない……うちの近所ではトールギスばかりが大量に売れ残っていたけど、あの無惨な光景も、たぶん仕方ないのだろう、たぶん?)。実のところ、売りになりそうな人気のロボットは、すでに軒並み「アーティファクト」で出してしまっているので、あらためて5cmサイズの小型プラモデルを連発されても、美味しいところはあんまり残っていないかもしれないし、個人的にも小サイズプラモには魅力は感じない。その観点では、市場的ポテンシャルに関する懸念がある。