2025/05/13

2025年5月の雑記

 2025年5月の雑記。
 
今月の一枚は「ユクモ」3形態。手間を掛けた割に、写真上での見栄えはたいして変わっていないが、実物ではもう少しふっくらした毛並み感が実現できている。


 05/23(Fri)

 カプセルトイの「フォスル級戦艦」(ダライアスシリーズ)を回してきた。King Fossil×1、King Fossil(クリア)×1、Knight Fossil×2、で撤退。Iron Fossilは、イエサブかSRGYあたりのバラ売りで入手できたらいいな。サイズは尾びれの先端までで約13cmとなかなかの大きさ。
 ただし、構造面では問題があって、キングフォスルの胸びれがエラに干渉してしまう(※明らかに設計ミス)。撮影時は、干渉を避けるように首を捻りつつ、胸びれ装着は片側だけにすればなんとか見た目は確保できるのだが、うーん、惜しい。
 尾びれ側がボールジョイントで4パーツに分割されているし、首と胸びれも別パーツで可動し、さらに口の開閉もある。いずれも動かせる範囲は小さいが、多少の表情づけはできる。
 追記:Iron Fossilも無事入手した。

TOYS CABIN / TAITO「フォスル級戦艦」(ダライアスバースト版)。King Fossil×3(※一つはクリア版)、Knight Fossil×2、Iron Fossil×1。優雅な機械仕掛けのアクアリウムですわ!
ユクモの頭髪塗装と、背面の注連縄の縄目塗装。注連縄の模様を描き込むことで、質感表現がぐっと向上したが、少々やり過ぎかも。毛筋塗装は相変わらず、写真には反映されないくらいの微妙さ。単純なグラデーション塗装の方が、オンラインでの見栄えは良いだろう。

 注連縄塗装は、曲面に細筆で線を描いていくのがちょっと大変で、数時間かかった。リアリズムを追求するならば、縄目の線ではなく、素材(稲藁)の茎ごとの色の違いとして表現する方が良かったかもしれない。しかし「線」ではなく「面」での塗り分けとなると、労力がさらにヘヴィになってしまうので、このあたりが妥協点だった。
 巨大な尻尾2つ分の毛筋塗装がまだ残っている。そちらは、色の交じり具合を大胆に入れてしまっても大丈夫だろうと高を括っている。ただし物量の負担はどうにならないが。

 水性塗料は擦れに弱いので、一気に塗装してすぐにトップコートをしなければならないというのも面倒。複数日に分けてもいいのだけど、1) 何度もトップコートをするのが手間だし、2) トップコートによって色調が変化してしまう場合もあるし(※濃く沈んだ色になりがち)、3) 混色したカラーリングを翌日にまた再現する必要があるので、やはり気が進まない。
 戦車模型などであれば、一通り組んだ後で塗り足していくので塗装面には触らずに済むのだが、ガールプラモのディテール塗装だとバラバラのパーツに描き込んでいくことになるので、どうしても途中で擦れが生じてしまいやすい。


 将魂姫「怠惰」は、まさに中国(ガール)プラモの最新モードという感じ。
 20年代初頭は重装甲をクリアパーツで派手にデコレーションしていたのが、1) 現在ではメカとガールがそれぞれ単独で完結するまでに完成度を上げてきているし、2) 成形色についてもクリアカラーは控えめにして、カラフルな成形色をワンポイントのメタルカラーで引き締めている(※カラーリングの多彩さはロボットプラモにも見られる)。
 3) さらに、随伴アニマルメカたちは、デフォルメ感のあるユーモラスな曲線美を発揮している。これも近年のメカ動物プラモの延長上だろう(※カニロボットとかカブトムシ車とか、あるいは完成品ロボットトイなどもたくさん出ている)。ほとんど既視感すら覚えるほどだ。
 4) ガール部分も、つやのある表情作りはかなり「分かってきた」感じだし、脚部装甲の曲面構成もオリジナリティがある。これだよ、これ。
 そして、これらの特徴の多くは、現在に至るまで、日本国内のキットには稀な要素でもある。塗装済みのメタルカラーパーツは現在でも少ないし、独立性の高い随伴メカは、「ケーニッヒモンスター」(AOSHIMA)や「コスモス」(VOLKS)など、ごく一部のシリーズに限られている。


 それなりに知的で、社会的公正さを重んじている筈の人たちでも、地域差別や地域的偏見についてはおそろしく鈍感なまま、というのはよく見かける。残念な話だが。社会調査、フィールドワーク、そして地域間の比較研究等については、当事者の尊厳や地域的偏見の問題を十分に考慮しなければならないという研究倫理があるのだが。そういうデリカシーに対して無頓着なままに「○○都道府県には××な傾向がある」と公言してしまうのは、非常に危ないのよな……。
 特に、統計上の(皮相的な)違いから一足飛びに、「○○県(の住民)は××だ」といったようなステレオタイプな烙印を押してしまうのは、一見すると科学的な客観性のお墨付きがあるように思えてしまうだけに、その偏見助長的な危険性が軽視されて、地域蔑視を容易に拡散させてしまう。そういうのは怖いのよ……?


 ユクモの注連縄は、大まかな縄巻きは造形されているものの、藁束を表現する細かい縄目が無くて、表面がのっぺりだったんですよね……。手間を掛けてリアリスティックに作り込むならば、極細の筋彫りを延々掘り込んでから、スミ入れの要領で影をつけていくのが正道なのですが、さすがにそこまで手を掛けられる余裕は無いので……。実際には、
・放射状の藁束 →筆塗りで影のラインを描き込む(モールドが浅いのでスミ入れは困難)
・縄の大きなひねり →スミ入れで、陰影を強調しておく
・藁束 →ひたすら細筆で縞々を描いていく(うーん、やり過ぎてクドい?)
という感じ。遠目で見るぶんには質感があって良いのだけど、近くで見るとクドいかも。

こんな感じ。サムネイルレベルだと、縄目らしさがぼんやり見えて程良い感じなのだけど、クローズアップで見るとちょっとキモいという、厄介なバランス。この上にウォッシングを掛けて色調を馴染ませればなんとか落ち着くかも。白いものが見えているのは、気のせいでごわす。

 そして尻尾もモッサリ造形なので、ランダムな毛筋塗装を入れてリアルなモフモフ感を演出してやりたいのに、表面が中途半端に波打っていたり、パーツ分割でこれまた中途半端に色分けされていたり、しかもパーツ分割の隙間もあったりして、しかも巨大パーツなので手に持つのも大変という、なかなかの難物。くっ、キャラは可愛いのに……。
 ネットで目にするユクモ塗装制作も、ツヤ消しトップコートや尻尾グラデーションがせいぜいで、参考になるものがなかなか無いという状況。実のところ私自身は、いわゆる第2世代型のオタクとして、「他の人がやっていない道に挑戦する」ことに意義を見出すタイプなので、それはそれでいいんだけど。
 
 「他人のやらないことをやってみる」ことの意義。
 一つは、実験主義。成功すればそれで新たな道が拓けるし、失敗したら失敗したで事例経験になる。各自がそういう開拓作業をし、知見を公開しあうことで趣味の世界が豊かになるというのはまさに第2世代に典型的な発想で、90年代後半から00年代前半くらいまでの、「ネット」の創造的な未来に対する希望と歩調を合わせていた。
 もう一つは、発掘の喜び。マイナーなものを掘り下げて、新たな知識を自力で獲得するという知的な喜びは、当時の工学系オタクたちの精神性とも結びついていた。もっとも、それが10年代に入る頃には、「俺たちが見つけた真理」という喜びが独善的なものになったり(例えば「トレス発見」運動はどんどん頓珍漢なものになっていった)、アジテーションによって誘導されるものになったりしたが(※ヒマ集団というオタク史最悪の醜聞事例が生まれてしまった)。
 第三には、アイデンティティ問題。「皆の好きなものにただ追従するのではなく、私は私なりの好奇心を重んじる、私自身の価値観を突き通す」という姿勢は、マイナーなものにも積極的に目を向けようとすることになる。もっとも、それは90年代の露悪的サブカル雑誌や00年代の不謹慎ゲームのような活動も生んでしまったし、さらに10年代以降はオタクたちが「主観的な『好き』でしか語れない」(客観的な評価を巡るパブリックな議論ができなくなる)という不幸な状況ももたらしているが。


 この方のユクモは、丁寧なディテール塗り足しと、マイルドな尻尾グラデーションが良い塩梅で、イラスト風の程良いデフォルメ感できれいにまとまっている。タヌキっぽい濃いめの体毛塗装も良い感じ。注連縄は、軽くスミ入れをしているようだ。
 
 こちらの方は、尻尾塗装が上手い。凹凸の影ががきれいに入っているし、塗装のランダム感がキツネっぽい毛並みの軽さを表現しているのも上手い。注連縄にはスミ入れと汚しを入れているようで、そのおかげで注連縄の単調さが解消されている。
 ブログも2007年(!!!)から続けておられるようだし、最近でもリツカゾンビなるエキセントリックな作品も作っていて、凄いなあ……。


これがこうなってこうじゃ(第1段階)。影塗装+毛筋多重塗装(メインは4色=4重くらいを予定)+ウォッシング+トップコート(半ツヤ?)で、モフモフ感を追求するつもり。モールドがぬるくてスミ入れはできないので、濃いめの影を描き込んでおくことにした。
まだ途中段階。水性塗料でランダムな毛筋塗装をひたすら描き込む(※2色をざっくり塗ったところ)。まだ粗いが、複数の色で塗り重ねていけば落ち着いてくる筈、たぶん……。かわいい毛玉を作ってあげるからね!
ちょっとクドいかなと思ったので、細筆で全体をほぼ単色に塗り込めた。微細な毛筋の濃淡を残すための工程だが、予想以上にブラウンの隠蔽力が強く、なんだか「元の木阿弥」感も……。現状から下手に色を足すと浮いてしまう繊細さなので、ここらで切り上げよう。

 一見すると大変そうだけど、空母の木甲板を細かく塗り分けたり、城郭模型の石垣を一つ一つ塗り分けたりするのに比べれば、まだしも簡単(……だと思い込んでおく)。
 ここからさらに2色くらい適当に塗り足して、それから白毛部分もグレーで薄く線を引いて、そのうえでトップコートとウォッシングでようやく完成する筈……たぶん。
 こんがりキツネ色は、ファレホ(新版)「Model Color: Light Brown/Marron Claro」が、期待通りにぴったりイメージどおり。下地には「Game Color: Leather Brown」も塗っているのだが、ほぼ隠れてしまった(あくまで微妙な陰影としては残っている)。

 こうして塗り重ねていると、もはや模型制作というよりも絵画に近い。
 もっとも、これは当然の話で、戦車模型の質感表現や汚し表現なども絵画の技法をさまざまに取り入れているし、レジンキットの瞳の描き方なども原理的にはイラストとまったく同じだ。艦船模型の色調コントロールには、空気遠近法などの知識も参考になる(※特にジオラマで効果的)。
 言い換えれば、「絵画の知識やイラストのスキルがあれば、模型表現としてもやれることが増える」ということだし、あるいは、「絵画やイラストのノウハウも積極的に取り入れなければ、いずれ模型塗装にも限界が来る」ということでもある。

 以前から書いているとおり、模型制作もまた一種の総合芸術であり、そして趣味人としての総力戦でもある。制作コンセプトを構想できるだけの知識と発想と美意識。アイデアを完成状態まで持って行けるだけの計画性と継続性。キットごとの問題に即応できるだけの能力(柔軟性と器用さ)。様々なツールを調達する費用と、それらの機能性を理解して使いこなす知識および技術。制作環境を確保し維持できるだけの勤勉さとコスト。そして数十時間の労力を掛けられるだけの時間的余裕と精神力。さらには、考証を自力で掘り下げていけるだけの知識と情報収集能力。
 大変だが、それだけに楽しくやり甲斐もある。良い趣味だと思う。

 ユクモのキャラデザは、一見するとタヌキ寄りなのだけど(例えば眉毛とか、ふっくらした尻尾とか)、その一方でキツネキャラの記号も多い(キツネハンドや、尖ったケモ耳。擬似巫女服=稲荷=キツネのイメージ。さらに、毛先が白くなるのはキツネ。タヌキは先端が黒いし、耳も丸っこい)。おそらくデザイナーが意図的にミックスしていると思われるが、この不思議なバランスはなかなか面白い。
 ただし、制作する際にはキツネ寄りにするかタヌキ寄りにするかで迷う羽目になるけど。キツネっぽくするならばケモ耳の外周を黒くしておくと良いのだが、ミスったときのダメージが大きいので差し控えた(→追記:黒い縁取りも塗ってみた)。

 というわけで、ひとまず完成したので「ユクモ」総評。
 和服や巨大尻尾といったユニークな個性があるし、造形も総じて良好。ただし、尻尾の毛並みの造形は細やかにモールドして欲しかった(※尻尾の可動は無しで良かったと思う)。
 また、「胸部装甲を交換しにくい(着脱が硬い)」、「注連縄と人体の接続部が脆そう」、「おさげと注連縄と尻尾がそれぞれ激しく干渉する」などの問題もある。モードチェンジ時に、さほど劇的な変化はないというのも惜しい。背面の注連縄の巨大化は見て取りにくいし、尻尾の変化も中途半端(※通常時は、もっとほっそりした尻尾にしておく方が、対比が明確になったんじゃないかな……)。
 ともあれ全体としては、十分満足のいくクオリティ。

ユクモ全塗装の上半身。やはり注連縄のディテールは扱いが難しい。ケモ耳の黒い縁取りも塗ってみたら、かなりキツネっぽさが増したし、頭髪にワンポイントの色が入って引き締まり、良い感じになった。
尻尾塗装は、「影のブラック(筆)→下地ブラウンを大雑把に→毛筋ライトブラウンを細筆で→トップコートに際に、ハイライトの明るいブラウンを適当に吹きかけた(ほぼ効果無し)」。白毛部分も薄いグレーで毛筋塗装を入れてある。

 今回の「ユクモ」制作は、いかにも私らしいスタイルになったと思う。つまり、派手なリペイントや大改造をするわけではなく、見た目のオリジナリティは乏しいが、キットそのものの造形を素直に受け入れてなぞりつつ、そのポテンシャルを引き出すように質感表現(毛並み塗装)やリアリティ演出(キツネ耳の色再現)をできるだけ盛り込んでいくというアプローチ。
 これは要するに、艦船模型を中心としたスケールモデルの制作経験に由来するものだが、ガールプラモの場合はかなり相性の良し悪しが出る。例えばBANDAIのような簡素なキットや、あるいは質感表現を入れにくいSF路線のキャラ(海外キットなど)では、手を出せるところが少ない。その一方で、Dark Adventやannulusのように、「造形そのものは素晴らしいが、局所的に隙がある」というキットでは、密度感を上げて見せ場を作ることができる。その意味で今回の「ユクモ」は、部分塗装ながら歯応えがあり、そして完成時の手応えのある楽しいキットだった。



 05/17(Sat)

 コロナ以降のここ数年間は、コンサートや美術展にはほとんど行かずに過ごしてきたが、今回は珍しくパウル・クレー展を見に行ってきた。彼と同時代の芸術家/芸術運動との関わりをフィーチャーするもので、歴史的展望の理解が深まって良い刺激になった。ただし、ロベール・ドローネーの作品が無かったのは残念。クレー自身の作品についても、もうちょっと欲しかったが、一つの展示企画としてはこのくらいの規模が限界だろうか。
 人の入りは十分賑わっていたけど混みすぎもしない感じで、タイミングを見計らえば、見たい作品を正面からじっくり鑑賞していられるくらいの余裕はあった。
 実物を見られるのは、作品の雰囲気(オーラ)に触れられるのもあるけれど、印刷では出にくい本来の色(例えばイエロー)を見られるとか、ブラシのタッチの詳細や素材感が分かるとか、作品原寸のサイズ感を経験できるとか、作品からの距離に応じた見え方を確かめられるとか、とにかくいろいろある。もちろん企画ごとの解説で知識を深めたり、マイナー作品に触れる機会を持てたりもする。中でもサイズ感はカンバスの数字だけでは実感しにくく、展示会で実物を見てようやくその意味づけやインパクトが腑に落ちてくるということも多い。
 なんのかんの言って、美術館でのほんの数時間で得られる体験のボリュームは莫大なので、その時点で自分の頭では意識化(整理)できていなくても、自分の感受性の中に大量のものがずっしりと沈み込み、染み通っていく。

 それにしても、芸術家が政治的抑圧や自身の重病に苦しみつつそれを反映した作品――例えば自画像――を、現代の我々がトートバッグやクリアファイルの飾りとして消費するのは、なんとも尊厳破壊めいて苦々しい(※なので私は基本的には、その企画展の図録くらいしか買わない)。


 現実の狐の体毛(ライトブラウン)と、コミカルなイラストなどでの「キツネの色」として扱われるイエローはかなり違うのだが、「ユクモ」頭髪のキツネイエローについていろいろ考えた結果、Creos「MSイエロー」が最善という結論に達した。ブラウンではなくイエローであり、なおかつ派手すぎないというバランスを追求すると、既存の塗料ではこれが一番しっくり来る。ザクみたいなスカート分割をしていることだし、もうロボット色で良いだろう。
 もちろん、このままではのっぺりしてしまうので、面相筆で描き込みを増やしていくが、ラッカー塗料でのベース塗装としては十分だし、パッケージアート(イメージイラスト)にも近付く。頭髪の色と尻尾の色は、成形色では同一になっているが、やはりここは別色にした方が良いと思う。彩りも豊かになるし、人体とケモノが融合している状態を強調できるので。

 というわけで、ユクモの本体だけを組み上げてみたが、予想以上に可愛い。リング状の寸胴帯や、ザク型可動のスカートや、本体よりも重い尻尾などにいささか疑問もあるが、全体としてはなかなか良い感じにまとまっている。着物風のガールがこれまでほぼ皆無だったというのもある。
 ケモ耳無しの人間スタイルにも組み替えられるというのは、買ってみて初めて知った。公式サイトのサンプル写真もパッケージ側面の画像も全てケモ耳有りの状態だったので、気づかなかったのは仕方ない、というか、売り方がもったいない。ケモ耳を外すと、なにやら2020年代のハーレムラブコメ漫画ヒロインっぽい雰囲気がものすごーく強まるけど。
 ちなみに、袴の着脱部をあやまって接着してしまったので、変身モードにするには一部分解しなければならなくなった。うーん、どちらの形態で飾っておこうかな……。

 重量からすると、巨大な尻尾の方が「本体」のような気もする。

「ユクモ」の本体。狐ハンドは、このキャラならではの独自性。襟元や帯のパープル、上腕の輪っかの朱色と星のライトグリーンなど、塗装した方が引き締まるところがいくつかある。尻尾や注連縄の塗装はこれから作業する。

 伝統的和装のガールプラモというと、他には忍者キャラの「ダイバーアヤメ」「アヤツキ」くらいとか思い浮かばない。SDキットまで含めれば「宮本武蔵」もあるし、海外メーカーの「雪姫」や「不知火舞」なども一応それっぽくはあるか……いや、うーん。


 余所でも書いたけど、mastodon-japanはもしかして差別投稿ぶっ通しのサーバーだったのだろうか? LTLをちらっと見ていた限りではまっとうで控えめな人たちばかりかと思っていたのだが、たまたま久しぶりにLTLを見てみたら、剥き出しの国籍差別アカウントたちが数年間バンもされずに投稿を続けてきたのを知って衝撃を受けている。周囲の人たちも咎めたり通報したり注意喚起したりしてこなかったのだろうか(※ちなみに私は即座に通報を入れた)。
 このままだと、あのサーバーも.jpやpawooのように海外インスタンスからアクセス制限されまくって孤立する羽目になりかねないのだが。

 安全で健全で堅実なSNSなどというものは、もうどこにも無いのかもなあ……。差別発言で溢れているプラットフォームだったり、財政的に存続困難なところだったり、小規模すぎて発展性のないところだったり……。つらい話だが。
 ソーシャルメディアはやめよう、みんなブログや個人サイトに引き籠もろう!


 やりたいこと、遊びたいことが多すぎて時間が足りない……。


 室温30度に達したので冷房を起動。例年もこの時期に使い始めている。この温度でも活動はできるけれど効率が大きく下落するし、PCへのダメージも心配なので、躊躇せずに使っていく。ただし、温度設定はマイルドにする(※時期によるけど27~28度)。

 模型店のコンテストはこんな感じ。若年層向けの部門はゼロ? 悲しい話だが、やはり25歳以下くらいまで幅を広げておくべきだったろうなあ……。


 うーん、大学教員ですら、いまだに「初音ミク動画を電車内で見ていたりスマホゲームをしていたりするのは恥ずかしい」という価値観の人がいるんだなあ。
 これは、「プライヴェートな趣味を他人の目に触れるところでやるのは気が引ける」という意味ならばいくらか理解できるのだが、しかし「若年向けまたはオタクっぽい趣味を見下す」という意味であればけっして肯定はできないので、「現代の若者文化や彼等の価値観では、そういう趣味もごく普通のことみたいですよ。昔の大人がスポーツ新聞を電車内で堂々と広げていたのと同じようなものじゃないですかね」という方向性でやんわりと諫めて(あるいは、なだめて、たしなめて)おいた。
 表立った喧嘩をするのではなく、相手にも納得しやすい比較論や喩えを使って異文化を受け入れさせていくテクニックを行使できている時点で、私もすでにオトナの側になってしまっているわけだが。

 いささか皮肉なのは、その先生方が、外国の異文化に対してはかなり詳しいお仕事をされていること。異なる土地の異文化に対しては理解が深く寛容であるにもかかわらず、自国内の異文化(若者文化)に対しては無邪気に「恥ずかしい」と公言してしてしまうというのは、うん、まあ、人間にはそういう矛盾もあるよね。しかし、そういう偏見を取り除いていったり、あるいは、「自国のことだから、自分の考えが正しい筈だ」という思い込みを問い直したりする姿勢が、大学人(研究者)には求められるべきではないかなあ。

 ICT知識の乏しい大学教員も、まだまだいるからなあ……というか、いわゆる「実務家系」の教員は情報収集スキルが研究者と比べて桁違いに低かったりする。研究者キャリアの人と比べれば当然なんだけど、でも大学で仕事をする以上は、そのくらいの知的スキルは欲しいよね……。
 年齢で見ても、やはり50代以上の先生方は、いまだにPCにもスマホにも慣れていない人がそこそこいる。50代以上はwindows普及以前の世代なので、やむを得ないところもあるのだが。例えば、windows98発売の時点で大学生だったとすると、2025年時点では45-49歳あたりになる。もちろん、アーリーアダプターとしてwin98やwin95以前から使いこなしていた人も多いが、大多数はこのあたりに断絶があるだろう。コロナ初期にオンライン授業のための対応が求められて、そこでたいへんな苦労された方も多かった。
 私自身は幸いにも、常識レベルでは一応ひとまず問題なくPCを扱えているし、それで同僚の先生方を現場で手助けすることもある。ただし所詮は、「あくまで一般人並の用途では、ひとまずだいたいまともに使える」という程度の話だけど。プログラミングの初歩くらいまでは、かじったこともあるけれど、実用レベルには程遠い。

 現在の大学生でも、ノートPCのタッチパッドをヌメヌメ触るばかりで、マウスを使わない人が多かったりする。マウスの方がはるかに高速かつ正確に操作できると思うのだが……カーソル移動にしても、選択決定にしても、範囲選択にしても、あるいはウィンドウ切り替えなどにしても、いろいろ便利な筈なのだが、全然使わない人が多いのよね……。もちろんキーボードショートカットやタッチパッドジェスチャー機能に慣れていればかなり高速に操作できるが、やはりそれでも広い範囲選択などでやりづらいところは残る。
 最近の大学生でも、超々高速なスマホフリック入力がほとんど「美しい」「指のダンスかよ」と言えるくらいの境地に達している学生がいたりして、それはそれで頼もしい。

 私自身、もう現状では先が無いので今年度中に転職してしまいたいのだが、いや、うん、まあ、まっとうなクチなどそうそうないので困っているところ。行けるところまで享楽キリギリスライフを突き通したいものだが……。



 05/14(Wed)

 ラージスケールのキットはサイズ相応のディテールが必要になってくるのだが、FAGグランデはただ縮尺を拡大しただけで、造形面ではほとんど変わっていないし(※胴体のパーツ分け=色分けなどは追加しているようだが)、頭髪もモールドのないのっぺりヘルメット状のままのようだし、肩などの関節構造もそのままのようだし、しかも、もしかしてあの接続穴まで単純に大きくしているっぽい?(※規格を外れて使えなくなるうえ、不格好な穴ボコがさらに悪目立ちする) そういうとこだよKOTOBUKIYAくん。本家FAGの最新作では骨盤スイング可動を仕込むなどの新機軸も取り入れているのに、惜しいなあ……。
 大スケールのメリットも発揮できる筈なのだけどね……1/6ドール布服が使えるようになるとか、加工改修が(ものによっては)やりやすくなるとか、関節部などの内部構造を入れる余裕も出てくるとか(※例えば腹部をへこませるなどの可動ギミックを増やせたかも)、眼球可動を入れられるとか(※すでに1/12スケールにも導入例はあるけど)、そしてもちろん、大サイズならではの迫力も堪能できる。そういう長所をきちんと反映させるように作ってくれたらいいのだが。

 「ユクモ」にしても、目立ちにくい脚部は頑張って色分けしているのに、襟の紫色のラインは単色のままなのがもったいない。もうちょっとだけ頑張って、パーツ分割で襟の色再現をするか、あるいはせめてデカールを入れておけば、ずいぶん見栄えが良くなっただろうに……。(私自身は塗装するつもりだけど、無塗装ユーザーにはもどかしいだろう。)


 迫害デマに乗っかってしまう人たちは、かれら自身、デマに騙された被害者でもあるのが辛い。もちろん、だからといってその迫害的言動が完全に免責されるわけではないが(それが判断力のある成人の責任というものだ)、それでもやはり、デマに幻惑されてしまった人々をただ批判して叩き潰すだけでは問題は解決しない。
 刑事政策でも議論されているように、犯罪者について、教育や更生を認めずにただ厳しい処罰を与えるだけでは、そもそもの目的が果たされない。1) 再犯を抑止できないので非効率だし、2) かといって重罰でどんどん社会から排除してよいわけもないし、3) 虐待や失職などの社会的原因に左右されるところも大きいし、4) あらゆる人の尊厳を守るという理念にも反する。刑罰の枠組が拘禁刑に改組されたのも、そういう事情だ。
 だから、差別的なデマの蔓延に対しては、対抗言論を広く展開すべきだと思う。差別的なエコーチェンバーが働いてしまうならば、同時に、それを抑制し解除するのも言論空間のあり方次第だろう。だから、SNS上でもっと広く、説得運動を展開すべきだというのが以前からの私の持論だ。そういう冷静で公平な言論活動が、もっと以前から大規模に行われていたら、現状はこんなにひどくなってはいなかったのではないか(※とはいえ私自身はメジャーなSNSには出ないという姿勢だから実践できていないし、某mstdnサーバーでも別のトラブルからその場を待避することになったが)。
 個別的な説得が、奏功しなくても仕方ない。言論の場に、差別的でないまっとうな意見をもっと増やして目に入るようにして、しかも、誰にも聞き入れられるような冷静で誠実なスタンスでそれをやるべきだった。難しいけど。
 プロパガンダやアジテーションは、社会的分断によってさらに伸張していく。つまり、嘘だろうが何だろうがいったん自陣に取り込んでしまえば、逃げられる心配なしに搾取し操作し続けられるので。そういう構造こそは最も危険なので、それをなんとかして解体する必要がある。社会的分断、つまり、相手の意見が見えなくなること。対立構図、つまり、敵味方の認識を固定化して他者をはなから敵視してしまうこと。現状の問題はそうした点にあるのではないか。
 もちろんこれはけっして、「仲良くしよう」「悪口は言わない」といったようなおためごかしではない。真面目な会話の場をシェアしていけるように、そのためにはお互いが最低限、相手をきちんと尊重するということだ。それを出発点として初めて、より良い論拠、より正しい認識、より妥当な解決を目指すコミュニケーションが成立する。
 社会を動かすのは、「言葉による説得」か「権力」か「利益」であり、そして社会的な価値や公正さに関わる問題は権力や利益によって操作されるべきではない以上、「対等な市民の間での相互の説得」こそが唯一採りうるまっとうな手段であり、そしてそれを放棄してしまったら、本当に社会は崩壊する(いや、今まさに崩壊しつつあるのだが……)。
 私自身、非常に強く社会的公正と人間的尊厳の意義を信じているのだが、それだけに、オンライン言論空間があまりにも対立ベース、攻撃性ベースに組織化されてしまっていることを悲しく思う。結局のところ、システム(SNS)が邪悪だと、どうしても人は誤ったスタンスに誘引されてしまいやすい。だから、対立を煽りに行くことで利益を得ているようなプラットフォームにはいたくないし、以前からの友人にもtwitterからの退出を促したりしているのだが……難しいね。
 いずれにしても、そういう悲しい被害者-兼-加害者を増やしてしまわないために何ができるかということは考え続けていきたい。海外(特に米国の)オタクたちの間では、いわゆるゲーマーゲート事件の負の歴史がいまだに尾を引いているようで、しかしそこから良い対処法が出てきたかというと、やっぱり銀弾はそうそう見つからないもので、だからせめて邪悪の猖獗する場からは距離を取っていこうというのが現状のようだ。


 ゲームセンターでSTGにうち興じていたらいつの間にか20時になっていて、欲しい塗料も漫画新刊も買えなかった……。(おばか)

 Aoshimaの「1/350 イ401」を積んでいたら、リニューアル版が発売予定なのだとか。私の制作技術もこのキットを作れるくらいになってきた筈だし、積んでいるのを早いうちに組むかな……。
 ちなみに原作漫画『アルペジオ』は、たしか10巻くらいで飽きて読むのをやめた。アニメ版は、ネタ目的と声優目当てでディスクを買って視聴した(特にゆかな氏と藤田咲氏)。

 そして、護衛艦カラーの「出雲」も間違いなく出るだろうと思っていたが、ああ、これは先に自分で作っておいて良かったと思う。
 ああやってガールとメカを完全に同系色にしてしまうとガールが埋没するし(※だから私はツヤの有無やパール塗装で機能的な違いをあえて強調した)、また、グレーの部分が多すぎると全体のトーンが沈んでしまうし、一部だけのホワイトが悪目立ちする。フェイスの表情も無印「出雲」の方が好み。それに、この成形色だと護衛艦らしくするには色が足りない(※舷側の黒ラインとか、甲板面の2色とか)。つまり、公式発売される前に自分なりの美意識を追求できたという意味で、先に作っておいて良かった。
 スクラッチ制作などで言われる「作れば出る」(※自作で制作すると、その直後に公式でも発売されてしまうというアレ)の一事例でもある。今回のはさすがに予想どおりだが。
 造形面の違いとしては、腰部装甲が無くなって、腰の両サイドが素肌剥き出しになっている。これはおそらく大失敗で、腰周りがのっぺりして鈍重に見えてしまうし、人体としてのシルエットも美しくないし、ここだけ素肌が露出しすぎなのが他の部分とバランスを持ち崩している。素肌はただ出せば良いというものではない。


 女性向けの漫画も読むけれど、ものすごく苦手な要素も頻出するのがつらい。特に、ヒーロー役の男性があからさまな権力者として描かれることが非常に多い。例えば中国風国家の皇帝だったり、騎士団長だったり、洋風世界の公爵様だったり、魔族の王だったり、強大な力を持つ鬼や龍だったり、少なくとも貴族クラスの身分があったり、娼楼の主様であったり……。社会的地位を露骨に前景化させつつそれを前提として恋愛関係に進んでいくのは、女性向けらしく社会性が発達しているせいでもあるが、グロいよね……。要はシンデレラストーリーということだけど(※逆に、ホ○トやいわゆるヒモ○ズのように社会的に脆弱な立場のヒーローキャラを設定する場合もあるが、それはそれで後述のようにDVや依存を発しやすかったり、非日常の新たな刺激としての反社会勢力ヒーローだったりする。いずれにしても極端すぎるのよ……)。
 それらと比べると、男性向けジャンルは「身分のために恋愛するのではない」という傾向が強い。むしろ社会的地位を放棄してでもよいというほどパーソナルな「純愛」関係を志向するのは、00年代半ば以降の成人向け恋愛ゲームでも主流だった。それは、1) 90年代以来の歴史的経緯だったり、2) 男性の方は社会的地位をすでに得ているのでヒロインの社会的地位を求める必要が無いという事情もあるだろうし、3) 一対一の恋愛物語ではなく複数ヒロインの中から選ぶという構造が逆説的に恋愛感情そのものの純粋性を必要としたという側面もあるかもしれないし、4) 女性を力尽くで蹂躙する黒箱系が別途存在したからだという事情もあるだろう。しかしいずれにしても、男性向け恋愛ゲームが「フェアな恋愛」「ヒロインの悩みに主人公が付き添う物語」を一貫して描き続け、そしてそれが自明のものとして受け入れられてきたというのは興味深い。

 さらに言うと、女性向けでは、男性が重い愛情をぶつけてきたり(特に「溺愛」が称揚される)、かと思えば不安定な精神状態で女性主人公に対して強く依存してきたりする。これらはBL分野でもしばしば見られるが、逆に男性向けや一般向けジャンルではこうした傾向はめったに描かれないか、あるいは少なくともギャグ表現としてマイルドに濁される。そのうえさらに、「ヒロインを傷つけるような悪者に対して酷薄かつ攻撃的に振る舞う」という第三のありがち描写を加えると……それってDV男そのものじゃん、と言いたくなる。

 もちろん、それらは「あくまでフィクションの中で空想的に楽しむためのマテリアルにすぎない、分かったうえで楽しんでいるだけだ」と言うことはできる。つまり、男性寄りのジャンルで「一方的に愛してくれる好都合なヒロイン像を楽しむ」とか、「奴隷ヒロインを救い出して尊敬される快楽を楽しむ」、「『勇者の息子』のような血筋信仰めいた設定を無条件に肯定する」、「前世紀的な意味での『萌え』は、基本的にかよわい存在に対する哀憐の情緒であり、そこには家父長制的な庇護欲が作用していた」といったことと同根のグロテスクさだという意味で。
 それでもしかし、女性向けにおいて封建的な権力者キャラを無条件かつ絶対的に肯定する作品世界は、私には少々受け入れがたい。さらにBLになると、相手(受)に対する支配欲丸出しになったり、受以外に対しても残虐かつ傲慢に振る舞う差別主義的なお貴族様的攻キャラが無邪気に「強くて格好良い人」として評価されていたりして……うーん。
 むしろ少女漫画は、そういった点ではきわめて健全で、男女の公平性や配慮に富んだ関係といったものを衒いなく描いていることも多いようだ。それが年齢を上げて「女性向け」やBLになると、いきなり美醜の差別や権力者の専横や陰湿な政争があっけらかんと肯定されるようになる。この落差はいったい何なのだろう。どうしてそんなに無邪気に「権力者大好き」でいられるのだろう?

 私が読んでいるものは、「女性の側にも何かしら設定上の特別なアドヴァンテージがある(悪役令嬢設定で心身がやたら強靱だったり)」とか、「少年皇帝だったりして権力者の臭みが希薄だ」とか、「ヒーローがマッチョでもなく依存心爆発もさせない穏やかな人格者」だとかで、わりと解毒が利いているものが多い。もっとも、攻が受を尊厳破壊レベルでドロドロに蹂躙する作品なども読んでいr…いえ、こほん。
 ちなみに、ヤ○ザキャラやホ○トキャラを肯定的に描いているものや、異世界であっても奴隷売買を無頓着に描いているもの、さらにはshachikuという言葉を平気で使っているタイトルは、極力買わない(読まない)ようにしている。



 05/09(Fri)

annulusのプラモデル3人を並べて。美点は頭髪造形の研ぎ澄まされた繊細さ、布地着衣表現の巧みさ、着脱変化、そしてパーツ分割による模様再現。短所は、組み替えのやりにくさ、可動の狭さ、一部をデカールに頼らざるを得ないところ、そして顔が元キャラに似ているとは限らないところかな。
新条アカネも、ストッキング/素足や、眼鏡とヘッドフォンの着脱など、差分変化が豊富に提供されている。腕と上半身を動かせるだけでもかなりの表情を作れる。
毛先を補ぎりぎりまで細く尖らせた卓抜な造形は、現在のガールプラモ界隈では間違いなくトップクラスの出来映えだと思う。特に「宝多六花」が絶妙の細やかさだったが、この「新条アカネ」もボブカットの軽みまで表現するような毛先の表情が素晴らしい。


 模型制作漫画とはまたなんとも珍しい……(読み切り)。


 伊藤ヒロ氏は00年代を通してラディカルなパロディや諷刺を利かせたPCゲームを連発していた方で、今回のアレもそういう思考実験的なアイロニーをまぶしたネタ投稿のつもり……なのかなと思ったけど、いや、もしかしたら、ベタに駄目な側に落ちてしまっているのだろうか?(最近の発言は全然フォローしていないので知らない) あのJSFに仲良くリプしている時点でかなりヒいたのだが。
 ああいうふうに冗談めかした穿ち読みをして遊ぶ――つまり真剣な主張を提起するつもりではなく、「こんな読み方もできるよね」とあえて軽薄で不謹慎な捉え方を開陳して、解釈の幅を無理やりにでも広げてみる実験――のは、さらに遡れば90年代的なサブカル悪ノリ文化そのもので、彼が美少女ゲーム活躍していた00年代まではまだそういうアプローチも一定の刺激的な意味を持つことができたが、10年代以降はそうした手法はほぼ失効したし、ましてやそうしたコンテクストを話者がコントロールできないSNS上でやるのは愚策だろう。だから、「アイロニーのつもりだとしたら大スベリだし、本気だとしたらもう終わり、どちらにしてもいろいろな勘が鈍っているのではないかと強く懸念される」という感じかな。こんな風景は見とうなかった。
 『夢幻廻廊』シリーズや『R.U.R.U.R』や『ク・リトル・リトル』シリーズは私も大いに楽しんだし、パロディ文化を正面から擁護していた姿勢にも敬服していたのだけどね……。イラストレーターはともかく、言葉の説得力で勝負しなければいけない文筆家が、それらの言葉の働きを支えている世間的な価値観(の変化)に対してアンテナが利かなくなるのは、たぶん致命的なんだよなあ……。


 再生産の「ユクモ」が安くなっていたので、つい買ってしまった。開封してみたら、アイキャッチになる巨大な尻尾は造形が甘いし表面もツヤツヤのままなので、何かしら手を加えてやる必要がある。水性筆塗りでなんとかするかなあ。フワフワモフモフ感を表現したいのだが、おそらくグラデーション塗装ではそういう立体的な柔らかさは出せない。
 頭髪は、キャラデザ(イラスト)ではキツネ風のイエローだが、プラの成形色はタヌキ寄りのライトブラウンになっている。こういう場合、私はわりと設定画重視のスタンスをとるので、今回もキツネっぽいカラーリングを試みたい。……とはいえ、リアルなキツネの体毛はむしろブラウンだし、あまり黄色味を強くするとただの金髪になってしまいかねないので、色合いのチューニングは難しそう。その意味では、むしろこの成形色はリアルなキツネの体毛に近いのだが、しかしこの色だとキツネっぽく見えないという難しい状況。
 モードチェンジは、両手と片足の差し替え、靴の底上げ、胴体前面の装飾追加、赤い注連縄の大型化、そして尻尾先端部のリボンくらい?

 そういえば、国内キットで動物尻尾が付属するのは珍しいかも。海外キットにはいくつかあるし、「バーゼラルド」のウサギ尻尾やケンタウロス型ガールなども一応カウントできるけれど。巨大尻尾をブンブン振って走る半竜キャラとか、スカートの裾から蜘蛛脚を覗かせるアラクネキャラとか、そういうのも見たいよね……。
 大蛇下半身な「邪神ちゃん」のキットも買ってあるけれど、さすがに難物すぎて、まだ作れていない。やはりストーングレーの一色で塗って石化させてやるか(ひどい)。あのキャラだったら、ダミアン・ハースト(※グロ検索注意)のように輪切りレイアウトにしても良いかもしれない(※艦船モデラー的には連斬模型として知られているあれ)。

 メーカー名+キット名でweb検索しても、通販サイトやレヴューサイトばかりが上位に並んで、メーカー公式のサイトがなかなか見つからないというのが、最近いよいよ増えてきた。


 『アルカナディア』のアニメ版はどうなるのかなあ……。キャスト面では:
・本渡氏(ルミティア):演じていくうちにちゃんとピントを合わせていけるだけの力はある。公式ショートを続けてきたので大丈夫だろう。
・岡崎氏(ヴェル):聴いてきた限りでは今一つだが、頑張りは分かるし、低年齢寄りのキャラは得意な筈。
・日高氏(ユクモ):脇役として物語を引き締めるのは、ひとまずやりきれる役者だと思う。
・ファイルーズ氏(エレーナ):ニッチなケンタウロスキャラでも、芝居一つで人気をひっくり返せそう。
・加隈氏(ソフィエラ):中堅世代(30代)の代表格の一人だと思う。役回りも面白くなりそう。
・エルメダ:……ごめん、この人だけは無理。芝居のエッジがダルダルなのよ……。
 シャルメド以降の3キャラはキャスト未発表だが(アニメに登場するかどうかも分からない)、中堅上位クラスの声優を揃えた、手堅い座組のように見える。
 もちろん、もしも脚本や演出が失敗した場合には声優の力でそれを覆すことはできないのだが、キャスティングから見て取れるだけでも制作陣の見識はきちんとしていると思われる。キャスト陣も公式サイトのショートドラマ集でキャラを咀嚼してきただろうから、期待して良さそう。上手く行くといいね……。



 05/04(Sun)

 連休の予定はとくに何も設定していないので、ひたすら自宅に籠もる。

 視聴中のアニメは6本。オリジナルアニメ2本、じめじめ3本、そしてSFが3本と、なかなか良いラインアップ。ロケーションも江戸時代から(架空の)ロンドン、九龍市街、未来の廃墟化したビル街とヴァリエーション豊かなので背景美術も大いに楽しんでいる。第5~6話はそろそろ中盤の山場に入っていく頃合いで、監督コンテを投入している作品も出てきた。

 ファレホ新版「GAME COLOR:シルバー」を、大喜びでいろいろなプラモやフィギュアにペタペタ塗りまくっている。水性シルバーとしては桁違いのクオリティで、粒子の細やかさも、明るく輝く発色の良さも、隠蔽力の堅実さも、塗料のなめらかな伸び具合も、ラッカー並と言ってよいくらいに使い勝手が良い。やや暗めのシルバーには、新版「GAME COLOR:chainmail」も高品質。
 ただし、ゴールド(GAME COLOR:polished Gold)はシャバシャバに薄くて隠蔽力も低く、こちらは残念な出来だった。水性ゴールドは、現状ではやはりシタデル「Retributor Armour」(Base)が最も便利。先日の「ブリジット」でも、靴の金具はシタデルゴールド、パーカーの紐留めはファレホシルバーを使っている。


 『季刊 エス』は普段読んでいなかったけど、mignon氏の表紙で手に取ってみたらエロCGを堂々と載せていてちょっと驚いた(※同人誌に収録していたイラスト)。おそらく「アートとしてのヌード」という扱いでOKにしているのかなと思うけれど、同人誌レベルでは明白な18禁カテゴリーだったイラストが一般書店では全年齢雑誌に収録できるというのはなんだか不思議な感じ。
 インタヴューが中心で、そういうイラストは小さめに写っているだけだが、さすがに危険なので立ち読みはできませなんだ。


 一人暮らしは、ジャムをスプーンで掬って直舐めしても誰からも咎められないんだよ。(おばか)
 自戒のため、狂言に倣って缶蓋に「附子」とでも書いておこうかな。(それでは役に立たない)


 ガンダムファンたちを好きになれないのは、彼等がキャラクターやクリエイターについて、ネガティヴ寄りと見做されがちな身体的特徴をもって呼称(隠語)としているところ。そういう層はファンの中のごく一部だけかと思って看過していたのだが、今回の新作を機に、そうした言葉を無頓着に使う人々や、それを止めもしない人々が大量にいることが可視化されていて、改めてがっかりしている。
 もちろんそういうのはガンダムファンだけではないけれど、彼等がそういうものに対してずっと無批判であり続けてきたことは確かだし、それは良くないことだ。私はそういうものをけっして肯定しないし、それをここではっきり言葉にしておく。
 ※せっかくなので、試しに直近の一話(第4話)だけ視聴してみたが、うーん、映像作りがあまり好みではなかった。特にロボット戦闘に不満があり、極端なクローズアップショットからいきなり激しくキャラを跳ねさせたり、操縦者を大写しにして延々叫ばせたりして、空間戦闘の面白味が見て取れなかった。ただし、最初のロボット発進シーンでの射出メカディテールは見事だし、ダミーザクを展開してからそれらを鎧袖一触する動きも良かったのだが……(※全体として『水星』よりはマシになっているとは思う)。日常の会話シーンも、顔面どアップの連発は苦手だし、その一方で思わせぶりに外連味のあるレイアウトを混ぜてきたりして、演出の気温上下が激しすぎてつらい。


 某所界隈で、アダルトPCゲームのヘア描写に関する話を見かけたけど……偽史すぎない?
 ヘアの有無が問題視された時代もあったけれど、アダルトゲームが普及した時代とは被っていない筈だし、そうした規制があったとしてもそれは自主規制の問題であって(※ソフ倫などの内部規程は一般ユーザーには知らされない)法的規制として説明するのは不適切だ。そもそも90年代頃のCGはモザイクではなにドット直描きで、解像度の関係で細かなヘアを描くのが難しかったのもあるし、モザイクを掛けた場合もただのゴチャゴチャしたタイルパターンになってしまって面白くないというのもある(※それでもヘア描写をしたタイトルは昔から存在した)。カラフルな頭髪との兼ね合いで、アンダーヘアの色に問題が生じるという考慮もあったようだ(※この点も漫画や実写とは事情が異なる)。このあたりは00年代にはずっと議論されていたことだけど、そういう蓄積も失われているんだなあ(※そして、SNS界隈には適切なツッコミをする人がいなくなっているという話でもある)。
 「海外への輸出」の影響を主張している人がいるけれど、日本の商業アダルトゲームは基本的に海外には売っていないので、影響がある筈は無い(※大抵の作品では、パッケージや起動時に「Japan Sales Only」の警告を出しているくらいなのに)。
 時代的前後関係を無視したり、漫画/実写映像/ゲームの違いも無視したりで、あんなふうにツギハギの連想でもっともらしい偽史が作られるんだなあ。ネットの一見いかにもらしい主張を「知見だ!」などと鵜呑みにしてはいけないのよ……。



 05/01(Thu)

 ……2025年5月? 今が? なんだか現実感のない数字だ。

 FAG「出雲」を模型店のイベントに出してきた。よし、これでうちのスペースを占有している物品を一つ減らせたな!(どうやら私は、それが数ヶ月後に手許に戻ってくることに気づいていない。)
 ※追記:例の「出雲」ガールは、撮影と公開もしていただいたようで、ありがたいかぎり。ただし私の作品それ自体はただの一発ネタであって、なんらたいした出来ではないけれど、まあ、イベントの賑やかしになれば幸いというくらいの気分。

 先月に組んだannulus「ブリジット」は、ガールプラモとしてはかなり珍しいクオリティのキットだと思う。一言で言えば、「これほどの精密度でキャラ再現したガールプラモは、国内メーカーではもしかしたら初めてだよね」という意味で。もう少し詳しく要素分割すると、
 1) オリキャラではなく、既存キャラを再現するプラモで、
 2) 着衣などのディテールがかなり細かいにもかかわらず、
 3) それらをきわめて高い精密度で再現している、
という話。

 1) 既存キャラに関して。一般にプラモデル化を想定していなかった既存キャラ――とりわけアニメキャラ――は、どうしても立体化したときにディテールの不足が生じる。プラモデル独自のキャラであればディテールをあらかじめ最適化して製品化することができるが、既存キャラではそうした調整が利きにくい。また、完成品フィギュアであれば、グラデーション塗装や装飾表現によって盛り付けることも可能だが、プラモデルではそれが難しい。実際、ガンダムなどのアニメキャラを再現するBANDAIキットは、細部の掘り下げをあまり重視してこなかったし、PLAMATEAもまだまだ甘い(※ただし、Figure-rise LABOはディテールも質感も非常に高い水準を実現しているが、大サイズの固定ポーズキットなので、別ジャンルと見做してよいだろう)。

 2) ディテールに関して。ブリジットのキャラデザは、実際にはかなり複雑な作りになっている。着衣は「スカート+上衣+パーカー+フード」という多層構造だし、靴のディテールも非常に細かい。BANDAIにも白衣やジャケットを着脱できるキットは存在するが、基本的に単色の衣服なので、設計の難易度は高くない。その意味で、「よくも(よくぞ)わざわざこんな難易度の高いキャラを選んでプラモデル化しようと考えたものだ」と感心させられる。ただし、海外メーカーまで視野を広げれば、細密なパーツ分割によって非常に正確なキャラデザ再現をしているキットは他にも存在する。

 3) 再現度について。造形的完成度の観点でも、2025年の最新キットに相応しい出来映えを実現している。パーカーの模様までパーツ分割で再現しているし、手先は3色の多色塗装済みパーツという凝りようだし、それでいてデカールもごく少数にとどめている。頭髪パーツのエッジの鋭さは、さすがプラキットと言うべき品質で、figma(小型フィギュア)を上回る精緻さだし、大型フィギュアにも引けを取らない。annulusは第1作「宝田六花」からしてBANDAIハイエンドガール並の繊細な頭髪造形を実現していたし、「新条アカネ」でも衣服のライン表現をパーツ分割で再現していたが、今作でもその技術力は遺憾なく発揮されている。

 こうした意味で、今回のキットは大きな意義のある挑戦になっている。既存キャラ路線のガールプラモと言えば、これまでは:
- BANDAIのマス向けキット。頭髪造形もダルいし、ディテールはしばしば甘く、素肌はマネキン色のまま。その分、低価格や組みやすさ、可動行動の面白さなどの長所もあるが。
- AOSHIMAのキットは、なかなかの高品質だが、SFボディスーツ+変形可動重視なので、造形面ではそれほど目立ったものではない。
- PLAMATEAやMODEROIDは、良いものもあるが、まだ出来不出来が激しい。
- KOTOBUKIYA(『アリスギア』系列など)は武装ガール路線で、派手ではあるが、ディテールの密度で勝負するというタイプではない。
- KDKWは不買中なので評価できない(※「めぐみん」はかなり色分けを頑張っていたようだが、そもそも原作のキャラデザからして、ディテールの浅さは否めない)。
 こうした状況下で、「ブリジット」のキットは、「既存キャラのガールプラモ化」の通念を覆すほどの見応えある立体的造形を達成している。パーカーの広がり具合は絶妙に軽みと動きを感じさせるし、衣服も模様もパーツ分割でほぼ完全に再現しているし、頭部(顔立ち)の再現も見事だし、ジッパーや靴までくっきりと表現している。フィギュア並の引き締まった造形美と、プラモデルとしても十分に高い精密度を両立させているのは、類を見ない画期的な出来映えと言ってよいと思う。もっと言えば、「ファッショナブルな着衣のガールキャラを、これほどの完成度で再現した」という点で、突出したクオリティに達している。「ガール」じゃないとか言わない。

 もっとも、欠点もないわけではない。例えば、パーカーデザインのせいで腕部や頸部の可動は大きく制限されているし、フェイス交換もかなり面倒だ(横髪まで分解しなれけばいけない)。
 さらに、annulusの悪癖として、「似たような色を一枚のランナーにまとめてしまう」というのもある。最初の「宝田六花」でも、黒髪と黒スカートを一つのランナーにしたり、リボン+靴下+シュシュを一枚の赤色ランナーに収めたりしているのに驚いた。そして今回も、イエローパーツとゴールド(になる筈の)パーツを一枚のイエローランナーにまとめてしまっている。このくらいのことは、コスト上の制約からしてやむを得ないとは思うが、せっかくのハイディテールキットの見栄えを損なっているのはもったいない(※もちろん、塗装すれば済むのだが)。

 着衣(衣服)のガールプラモというと……
・FRS「人造人間18号」(2017)。スポーティな私服。可動重視で、分割式スカートは軟質素材。
・FRS「ダイバーアヤメ」(2019)ほか。忍者装束で、シンプルにまとめている。
・FRS「レーナ」(2021)は軍服。なかなか良いが、ディテールは甘め。
・FRS「紫々部シオン」(2021)は白衣を羽織っている。造形も構造もいろいろと問題あり。
・FRS「スレッタ」(2022)ほか。シンプルな軍服。
・MODEROID「パワーローダー(リプリー)」。シンプルな作業着。造形は良い。
・FRS「ノワール」(2023)と「エリー」(2024)。まずまずの出来。ジャケット着脱ギミックあり。
・創彩いろいろ。いずれも制服だが、装飾は控えめでシンプル志向。
・「荷光者・梵蒂」(2022)は近未来的チャイナドレス。塗装済みの軟質樹脂パーツも投入している。
・「黒白无常仙」(2023)は、中華系の私服。構造はシンプルで、スカートは分割可動。
 これら以外にもいくつかあるけれど、基本的には「シンプルで味気ないシルエット(制服など)」か、「BANDAIのギミック重視のキット」の2択だけだと言ってよいだろう。BANDAIキットも、布地の皺表現などは上手いのだが、ギミック重視のためか、どうしても美しさが足りなくて、個人的にはあまり好みではない。

フードや上腕の「AD2」のマークも、パーツ分割で再現されている。さすがに「D」の内側までは色再現できていないので塗装したが。極小の「2」の文字まで正確にモールドされていて、隙間無しにピタリとはまるのが気持ち良い。「- - -」の縫い目造形も、着衣の質感表現に寄与している。
パーカーの裾の黄色いラインもパーツ分割。類似の手法は、annulus「新条アカネ」やKOTOBUKIYA「小石川エマ」などでもすでに行われていたものだが、この十字部分も、ただ無調整で嵌め込むだけできれいにフィットするし、パーカーの皺もパーツをまたぎつつリアルに表現されている。太腿写真じゃないよ!
ただし、靴の色再現だけは、さすがに難しいようだ。左記写真では、金具のゴールド、イエローのライン、縫い目のブラックなどを筆塗りしている。
四肢も男の娘キャラならではの肉付きの良いシルエットがリアル。素肌の成形色は、透明感と血色感があって素晴らしい。肘関節は、見栄えと可動範囲を両立させている。このくらいで良いと思うのだけど……。他社キットでは、可動確保のために不自然なまでに肘の内側を抉っているものがあるが、そういうのは好みではない。