2025/08/05

薬師寺久遠(篝火真里亞)から比良坂初音へ

 プラモデル創彩少女庭園「薬師寺久遠(篝火真里亞)」を使って、ゲーム『アトラク=ナクア』の比良坂初音(姉様)を再現してみる。
 ※注意:蜘蛛型キャラクターの写真です。蜘蛛や節足動物が苦手な人は気をつけて下さい。


単独販売のパッケージを再現。赤目は濃いめに塗っておくと雰囲気が出る。桜桃高校の制服が八重坂高校にちょっと似ているのも、なかなか面白い偶然。
プロローグのCGを再現。HASEGAWA「学校の机と椅子」を使った。素足脚部は、ひとまず「ドレスアップボディM(黒)」に差し替えた。
作中の標準立ち絵を再現。あまり似ていない。
イラストなどでよく使われる、「スカートの下から覗く魔物触手」の図。蜘蛛ハンドも作ってみたが、完成度は低い。
このあたりにジョイントを仕込めるスペースがある。スカートの持ち上がり具合も、計ったかのようにフィットする。
8本の蜘蛛脚を装備。原作では燐と奏子が、背中から蜘蛛脚を出しているので、そのデザインを踏襲した。後述のとおり、実は蜘蛛ガールではなくプテラノガールになっているのだが……。
正面アップ。パールコートのおかげで、ほどよく異形感のあるギラつきが表現できた。ここでも、赤目を濃く塗り直した効果が出ている。
上半身を斜めから。美人さんだなあ……。
斜め下から見上げる角度で。胸部と腹部のパーツ分割はちょっと気になるが、黒一色なのであまり目立たずに済んでいる。
逆側(顔の右側)からも。蜘蛛脚の関節部にはダークグリーンを塗っているのだが、ほとんど目立たない。
斜めの全身構図。蜘蛛脚は、ある程度動かせるようにしている。ただし、頭髪の干渉が激しいので、頭部はほとんど動かせない。
斜め上から。8本の脚部が複雑に絡み合って、たいへんな迫力がある。横幅は最大25cmほどにもなる。ただし、この形態はゲーム本編には一切描かれていないのだが……。
背面から。さすがに頭髪干渉はどうしようもない。
MSG「フォールディングアーム」を2つ使って8本の脚部を背面接続している。基部は「ジョイントセットB」の大型ボールジョイント。見てのとおり、わりと柔軟な角度に可動確保している。ジョイント強度も高いので、蜘蛛脚をアウトリガーのようにして全身のバランスを保持させることもできる。
このレイアウトだと、背中から触手蜘蛛脚が生えている感じが伝わりやすいだろうか。
パーツ差し替え、あるいは蜘蛛脚にジョイントを仕込んで可動箇所を増やしておけば、さらに派手なポーズも取れる(※今回は美観を重視して、ジョイント追加はしていない)。
さらに蜘蛛ハンドも追加して、ちょっと格好を付けさせてみる。
あらためてアップの構図で。
以下、おまけ。作中CGのポーズを再現してみた。まどかさんの大根演技……。
公式サイトのサンプル写真にも、明らかに『アトラク=ナクア』を意識したポーズがある。オマージュには乗っかろう。
エンドロールのCGを擬似的に再現。
さらにおまけ。もちろん任意のキャラに付け替えることができる。その1:怒らせてはいけないキャラを怒らせた場合。あるいは『寄生獣』っぽい?
付け替えその2。90年代の伝奇漫画か何かに出てきそうなキャラ。たぶんムードメーカーな元気系サブヒロインだけど中盤あたりで魔物の体質に苦しみだして悲劇的な結末を迎えるタイプ。
赤い弓キャラといったら、このあたり。蜘蛛脚をホワイトに塗ったら「燐」っぽくできそう。
その他の蜘蛛キャラや多脚クリーチャープラモデルの写真。Eastern Model「アラクネ」(2020年頃発売)。ただし脚は6本。
Alphamax「ラーニア」(2020)。こちらはイカガールだが、大きな触手パーツが付属する。
橘猫工業「ガードスパイダー・フェーディ」(2022年頃?)。4脚(+人間型の四肢)の蜘蛛型戦闘アンドロイド。
ロボットにも、多脚メカはいくつも存在する。写真左はBANDAI「ライガー・テイル」(4脚+2腕)、右はKOTOBUKIYA「アビス・クローラー」(6脚+2腕のカニ型)。


●改修箇所

相違点
改修アイデアや雑感。
頭髪。
シンプルな黒髪なので、ツヤ有りのブラックで塗装。キットそのものは紫寄りの成形色なので、ゲーム終盤の半-変化状態を再現するには適している。ヘアスタイルも違っているのだが(特に頬横に髪を垂らすところ)、デリケートな改修になるので今回は断念。
セーラー服のスカーフは白。塗装。
足元はショートソックス(白)に普通のローファー靴(たぶん黒)。
通常制服版「薬師寺久遠」の下半身(素足+白靴下+ローファー靴)を移植する予定。それ以外だと、体格や素肌成形色の点でなかなか合わないが、成形色の違いくらいは無視しても良さそう。白靴下は、「虹村映美」にもあるし、「ドレスアップボディ」にホワイト塗装するのでもよい。
スカートの丈も、膝下まで。
良い解決法はない。自作するか、ドール布服などから流用するか、あるいは諦めてキットのままにするか。短めの脚に交換するという方法もある。
全体のシルエット。可動確保のための隙間が多すぎる。
シルエットの美しさを重視するなら、結城まどかの上半身を持ってくることも考えられる。次の制服版「薬師寺久遠」は、胴体分割が同じなので交換は無意味だが、まっすぐ下ろしたスカートは使えそう。
へそ?
へそ出しはこのキャラには似合わないので、腹部はホワイトで塗装してシャツっぽく誤魔化すか、あるいはブラックで塗りつぶして目立たなくする。
蜘蛛脚。
BANDAI「プテラノドン」からパーツを取る。接続部は適当なMSGで。
蜘蛛ハンド。
自作するしかない。実際には、上記「プテラノドン」の余剰パーツを組み合わせた。原作の描写に従うなら、右腕は袖口を破りつつ細い蜘蛛ハンドに差し替えられるようにする。
 また、終盤の状況では、上腕まで衣服が切り裂かれた状態で、太い蜘蛛脚(?)が露出しているシーンもある。
小物:机。
HASEGAWAの1/12スケール「学校の机と椅子」、はサイズが小さめなので合わなかった。
奏子。
「結城まどか(冬服)」が、デザインやカラーリングはそこそこ近い。襟元、袖口、胸の校章などを改修すれば、かなり似せられる筈。


●塗装

塗装箇所
塗料
頭髪
ツヤ有りブラック。
制服ツヤ消しブラック。スカーフと靴下はホワイト。
両目
瞳のレッドは、濃いめの色で塗っておく。ただし、ハイライトは残しておく。
蜘蛛脚
Gaia Notes「パールマーズダークブルー」を、上澄みだけ使用した(※パールが濃すぎると色合いが軽くなってしまうので、パール粒子は減らした)。
 黄色の縞は、水性ファレホ「Sun Yellow」。塗りすぎると安っぽくなるので、あくまで軽めの塗装に留めた。さらにシタデル(shade)「Agrax Earthshade」をさっと上塗りして、色調を抑えつつ、凹凸のディテールをちょっとだけ強調しておいた。
 関節部は、ゲーム版CGのとおりならばブラウンだが、ミステリアスな雰囲気を重視して、ダークグリーン(=血の色、ファレホ「Monastic Green」)で塗装した。
 最後にクレオス「アメジストパール」を全体に吹き付けて、表面をコートしつつ、ツヤを加えておいた。

 その他、制作中のメモや途中経過写真は、2025年7月の雑記欄にも掲載している。



 制作中のメモ(08/02~)

 初音姉様変化の見本として。姉様だと、やはり背中から生やすのが正統派かなあ。
 私はひとまず、BANDAI「プテラノドン」の翼パーツを蜘蛛脚に見立てて使う予定。

プテラの骨格と羽根。よし、サイズも屈曲もちょうど良い感じ。ただしここから表面処理(羽毛除去や隙間埋め)、体節の造形(彫り込み)、ガールとのジョイント仕込み(計画未定)、そして塗装が必要になる。
仮組みでこんな感じに。あとは、目の表情をもう少しミステリアスにしたいところだが……瞳のハイライトを消すだけでも、雰囲気は変えられるかも。
左は薬師寺さん、右は「ドレスアップボディ(M)」。Lサイズならばちょうどサイズが合う筈だが、未発売だし素肌の色合いもおそらく異なる。虹村さんボディにも同様の問題がある(※ただし、色の相違は、気づかれない程度だと思うけど)。
元のBANDAI「プテラノドン」のパーツはこんな感じ。羽根の広がりをちまちまカットして整形することになる。手先に力を入れるので疲れるが、作業時間そのものは短い。
フル可動初音姉様への道。接続部はMSGのボールジョイントにしてみた。この色だと、なんだか『エイリアン』シリーズのチェストバスターみたいだ……まあ、あながち間違いでもない。あれも8本脚のえろい襲撃者だし。
フルアーマー比良坂初音姉様(お試し)。なんとか装備可能になった。格好良い……そしてやはりグロい……。この色だとアシダカグモっぽいので早急に塗装してもっとグロい女郎蜘蛛カラーにしたい。まっすぐな脚部は長すぎるので、関節を一つ切り詰めるのもアリだが、いや、これはこれで異形感があってよい。
本体を完成、そして蜘蛛脚をダークパープルで塗装。「ここまでで止めておいた方がいいのでは」という気持ちもある。いずれにしても、奏子には見せるのが憚られる姿だというのは分かる。蜘蛛脚のいくつかは、関節部を斜めカットしてつなぎ直して表情を変えた。
構図を似せようとしても、これが限界。もっとも、原作CGの側にも問題があるけど(とりわけ人体としてのプロポーションがおかしい)。
標準立ち絵のポーズで。さすがに全然似ない。目は赤色を強く塗ったが、ゲーム立ち絵は垂れ目気味だし、ヘアスタイルもまっすぐストンと落ちていく。
基本塗装を全て終えたところ。あとは一晩乾燥させてからトップコートをすれば、パーフェクト初音姉様が出来上がる筈(※ホワイトの靴下だけは、9月まで持ち越しだけど)。
予想どおり、そして期待以上にすごい……横幅25cmの迫力もあるし、黒黄ベースのデザイン的な明快さも上手く行っている。ただし、背面の干渉がとても激しく、ほとんど動かせない。なお、イエローは安っぽいので、ウォッシングとトップコートで色調を整える予定。
姉様はこんなヒロイックなキャラクターではなかった筈だが……。しかし、この姿を奏子に見せたら、泣くかも……姉様が。

 当面の予定。
 太い3本は背中から生やせるようにする(※キットをさらに買い足せば8本脚にもできる)。
 さらに1本は、片腕に付けられるようにしたい。ただし、接続部の加工が面倒。今回の黒制服の腕部は、上腕と前腕が一体になっていて取り外しできないので。他の適当なキットから上腕だけを持ってきて、蜘蛛腕につなげるのが無難か。
 当初は細い蜘蛛脚を使うつもりだったが、考えを変えた。細い方がミステリアスで不気味な雰囲気になるけれど、太脚にする方がグロテスクな異形ぶりをはっきり打ち出せるし、元デザインにも忠実になるので。
 ということで、脚部増量のためにプテラノドンを後2セット買いたい。2個でも3000円以下なのでリーズナブル。ただし、羽根の膜部分を切除して全体を成形するのはちょっと大変。

 薬師寺さん本体については、ザクスカートやセーラー襟の強引な分割も、肘の作為的な二重関節もやはり気に入らないが、まあ仕方ない。そして最終的な完成は、9月発売の通常制服版を待つ必要がある(※脚部パーツなどを取るため)。

 細い方の蜘蛛脚は、切り貼りして細長い指の蜘蛛ハンドにする予定。こちらはゲーム本編のCGにも描かれているので、参考にしながら造形できる。
 ただし、両手とも長い5本指にするには、やはりプテラノドン3つが必要になる(5本×2手=10本 < 4本×3キット=12個)。もちろん、長い爪を再現できる素材はこのキットに限らないけれど、斉一のクオリティで安価に数を揃えられるのは大きなメリットがある。

 スカートの裾から覗く蜘蛛脚は、実は『アトラク=ナクア』本編のCGには描かれていない(※テキストでは描写されていたかもしれない)。なので、そのスタイルを再現する必要は無い。
 そもそも、初音の蜘蛛化ヴィジュアルは、基本的には慎重に避けられていたようで、パッケージでもイメージ的な蜘蛛脚は初音本体とつながっていないし、本編CGでも蜘蛛ハンド(それと、全身完全変形時)くらいしか描かれていない。
 逆に、ライバルの燐は、立ち絵でもはっきりと白い蜘蛛脚を背負った状態で登場する。同族だから、初音蜘蛛もおそらく同じ形状になる筈だと推測できる。

 素足について。今回の薬師寺さんは腹部から腰部まで一体に組み上げられるので、シンプルに下半身だけを交換することはできない。なので、脚部を外して組み替えるしかない。うーん。径は合うかなあ。
 ちなみに、「創彩」既存キャラだと、虹村けいch…もとい、虹村映美がホワイトの短い靴下なので、スニーカーを適当なローファーに組み替えるだけで想定どおりのファッションが成立する。体格に関しても、虹村さんは160mmとのことなのでサイズは合う筈。もちろん、適当な素足をホワイト塗装して靴下っぽくするのでもよい。ドレスアップボディ(L)の素肌が、ちょうど色が合う。

 塗装について。制服部分はツヤ消しブラックで、文字どおり黒々とした印象を強めたい。
 蜘蛛脚は、対照的にツヤ有りのブラックで。多少パープルを混ぜた方が、奇怪な雰囲気が強められると思う。黄色の縞々は筆塗りでよいだろう。下着も縞々にとか言わない。
 頭髪は、先端部のパープル(成形色)を残しつつ、全体にツヤ有りブラックで毛筋塗装をしていくつもり。原作CG風にするならばホワイトでツヤを入れることになるが、立体物では難しいか。

 というわけでプテラノドンの買い足しをしたいが、またぞろコロナが猖獗を極めつつあるので外出の回数は極力減らしたい……うーん。

 8本の蜘蛛脚は、ジョイントで背面に取り付ける予定(上記写真)。
 強度確保を考えると固定化するのも一案だが、 固定化してポージングに失敗したら悲しいし、パーツ干渉を避けるためにも可動確保しておく方が無難だろう。ボールジョイントなので柔軟に動かせるし、強度が落ちてきた場合は接着固定なり、さらにジョイント軸を噛ませるなり、いくらでも対処法はある。

 最後の仮組みで、パーツ干渉や重量バランスが把握できたので、明日は塗装作業に入る。幸いにも、塗り分けは少なめ。
・制服=ツヤ消しブラック。
・スカーフ=ホワイト。
・蜘蛛脚部と蜘蛛ハンド=パール+ダークパープル。
・各部のイエローまだらは、筆塗りで。発色が弱いが、なんとかしよう。
・脚部関節=ゲームCGに従えばブラウンだが、雰囲気重視でダークグリーンにする(筆塗り)。
・頭髪=グロスブラックだけでいいかな。ガール本体は、あまりクドくしない方が良いだろう。
・瞳は、ハイライトを濃いめの赤で塗りつぶす予定。

 でも、これ、黒黄だんだらに塗装したら、相当キモくなるよね……。(今更戻れぬ)

 人間脚部は、試しに「結城まどか」と交換してみようとしたが、股関節の径が合わなかった。どうしてこんなところで仕様変更するのよ……。
 ひとまず「ドレスアップボディ」の素足と交換しておいて、9月の標準制服版の薬師寺さんを待つしかないか。

 蜘蛛脚を接続するボールジョイントは、残念ながら可動範囲がかなり狭いし、すぐにポロリ脱落するし、長期的な保持力も不安がある。素直にシャフト接続にしておくべきだった。しかし、KOTOBUKIYAのMSGは、多軸回転があんまり上手くないので、よく考えて組み合わせなければ可動方向が制限されるのよね……。
 蜘蛛脚は、先端部の先鋭化も検討していたが、このままでいいかな。プテラノドン表面の体毛も、このままで目立たないと思うので、やすりがけは省略する。

 完成したら、他の蜘蛛キャラたちと並べたい。手許にあるのは「アラクネ」(Eastern Model)、フェーディ(橘猫工業)、アビスクローラー(※カニだけど)あたりかな。

 蜘蛛脚は、体節それぞれにジョイントを仕込んで可動脚にすることもできる。しかしそれだと見た目にも作為性が露呈してしまって、蜘蛛キャラのおどろおどろしさが失われる。触手可動によってダイナミックなポージングを取れるようになるというメリットもあるが、それを加味してもジョイント露出の汚さは覆いようがない(※小サイズの球形ジョイントを埋め込むように仕込んだりして目立たなくする対処も、一応可能ではあるが)。
 可動はあくまで「手段」であり、私が追求したい「目的」は美しさだ。手段のために本来の目的を犠牲にするは本末転倒だろう。というわけで、今回はこのままにする。ただし、可動蜘蛛脚の派手さを楽しむというアプローチも、選択肢の一つではある。