08/10(Thu)
某大型ショップで閉店ぎりぎりに買い物をしたら、店員さんが「自動シャッターが降りてしまっているかも」と出口まで案内(見送り)して下さった。会話の中で「○○を買って下さるのはありがたいですから」と言われたのは、きっとその店員さん自身もそのキット(またはそのモデル元)のことをお好きなのだろうけど、自分が買ったキャラものを名指しで言及されるのは気恥ずかしくもあった。
ちなみに、たしかに多少大きめのキットではあったけど、それほど高額なものではない。また、店員さんは、礼儀正しく応対しつつもにこやかでフレンドリーな方で、「ああ、この方はちゃんと自分の趣味上の価値観を持ちつつ、仕事を楽しんでいらっしゃるのだろうなあ」と感じた。よーし、それなら今度はもっと良い買い物(趣味の良い買い物)をしてあの店員さんをもっと喜ばせちゃうぞー。
IJN艦船は、艦橋窓枠という「顔」があるのが良い。つまり、艦橋に広く窓を並べた部分があるので、愛嬌があるし、視線を落ち着けやすい。それに対して外国艦だと、戦艦でもそういう造形が存在しなかったりするので、なんとなく冷たく見えてしまうし、視線が落ち着かない。
IJNでも、例えば空母には飛行甲板上に艦橋が出っ張っていないものがあるけど。
[ www.aoshima-bk.co.jp/contents/enquete/ ]
制作途中で放置してしまうことは、基本的には「無い」。そもそも新規キットに着手するのは時間的余裕と精神的余裕のあるタイミングだから途中で止まりにくい。また、大型艦船模型を中心とした大型キットとBANDAIの作りやすいキットの二種類が多く、前者はいったん中断してしまうと「パーツが多すぎるので放置しておくことが出来ない」「再開すると何がどうなっているか分からなくなるので中断できない」という事情があり、また後者は「飽きたりして停滞する前に完成させられる」ので、とても制作中断しにくい。
ただし、艦底貼り付けや船体整形のためにパテを盛った状態で放置するというのは生じやすい。これは制作の最初期段階にあたる(まだパーツ群がバラけていない)し、放置してもスペースを取らない(破損の心配が少なく、安全に保管しておける)し、ヤスリ整形が面倒なので気が進まないし、それでいて乾燥するまで一日乃至数日を放置していなければいけないので、そのまま制作中断してしまいやすい。実際、この状態で数ヶ月放置しているキットが2隻ある。
また、ひととおり塗装&組み立てをしあげたところで、だいたい満足して終わりにしてしまうことがよくある。スミ入れやデカールを横着して、そのままにしてしまうことがある。これは「制作途中で放置している」のか「中途半端ながら完成している」のか、見方によって評価が異なる。後からデカール貼りをすることはまず無いので、私にとってはこれが完成状態だと言うしかない。
「ハンマ・ハンマ」(RE/100)は素晴らしいキットだった。原作(アニメ)は知らないけれど、店頭で一目惚れして即買いした。華やかさ(おそらく花の萼のイメージ)と、外連味(シールド紋章や頭部の角)と、ボリューム感(角張った重厚感)の取り合わせが、見て見飽きない。色合いも落ち着きのあるグリーン基調で、各所に赤と黄の差し色が入っているのが楽しい。
塗装はザク色をベースに、彩度を多少抑えつつ、グリーン二色のコントラストをちょっと強調するくらいにした。キット成形色だけでも色再現はほぼ完璧のようだが、各部ダクトのフィン部分、各部パイプ基部の塗り分け、脛(パイプの裏側の平面部分)、シールド下部の把手あたりを別途塗装すると、ディテールとリアリティがさらに引き立つだろう。今回はウェルドラインを消しつつツヤを整える程度のフラットな塗装で作ったが、それだけでも完成状態は十分鑑賞に堪える。これが実売3000円台で入手できるとは……。
原作アニメのイメージに近づける場合は、グリーン部分を青みがかった硬質な色合い(寒色)にするのが良いようだ。ただし、この造形は、色彩設計を間違えるととても下品でオモチャっぽい見た目になってしまいかねない。今回の制作では、濃い緑をオリーブグリーンに寄せて、暖色側で統一感のある色合いを目指したが、まあわりとうまく行ったと思う(※下の写真ではニュートラルな緑で写ってしまっているが)。
内部構造がしつこくないので、丸一日で完成させられた。可動範囲の小ささは価格相応、足首の不安定さは元設定由来で、どちらもやむを得ないところだろう。角の先端まで含めれば高さ25cmほどになる大型キットで、デコボコカクカクの造形にもかかわらずラインに統一感があるのであまりうるさくならず、見応えのあるデザインとして結実している。
(2017年8月19日、自宅にて撮影)
(写真1:)両肩はスラスター群が縦になって横向きに広がり、腰部は水平になって全周囲に広がっている。各部スラスターの縁は、アニメ設定画は四角形だったところ、このキットでは六角形にアレンジされているようだ。足首が極端に緩いので、支持なしで自立させておくのは難しい(両足を踏ん張ったポージングにしているのは、そのためでもある)。
(写真2:)同じ1/100スケール(MG)のF2ザク(左)と比べても、頭一つ大きい。このF2はOVA後半の宇宙戦のイメージで彩度を下げつつグリーン2色のコントラストを強めた。HGUC(1/144)のF2(右)はOVA前半の地上戦のイメージで、明るめの色調にしつつ2色のグリーンをフィットさせた。ハンマ・ハンマは濃いグリーンを微妙に赤に寄せつつ、シックな色合いを目指した。
(写真3:)大昔に作った同スケールのGP-02と並べるとこんな感じ。こうして見ると、大スケールのキットは、実物を眺めてもディテールや面の美しさは十分楽しめるし、下手にスミ入れをするとアニメっぽいちゃちさに傾斜してしまいかねないので、スミ入れはあまり気が進まない。ウェザリング等とうまく併用して初めて効果が発揮されるものではなかろうか。
(写真4:)昨年制作したEx-Sと並べても、遜色ない迫力がある。単色塗装だが、光の反射のために、両肩の凹凸が幾何学模様的なカラーリングに写っている(両肩の縦の濃いラインも、塗り分けによるものではない)。カラーモジュレーション塗装を施したらさらに見栄えが上がるかも。それにしても、80年代のアニメはこんな複雑な造形のロボットをすべて手書きで動かしていたのか……。
FUJIMIの1/700は後からフルハル版を出すので、最初のWL版は購入を躊躇してしまう。
テネシー級/コロラド級も面白そう。PITROADの既存キットだと、TN1941、CA1941、MD1941、WV1941は、配色(前檣楼の上部分がホワイト)とデザイン(いわゆる籠状の後部マスト)が共通している。ただし、CA1945は前部煙突が大型化しつつ後部マストは消滅。CO1944は後部マストが消滅し、全体に迷彩が施されている。MD1945も籠マストが消滅し、後檣楼が設けられている。中央部の最上甲板もグレー一色なので塗装はしやすそう。WV1945はとても派手な幾何学的モノクロ迷彩で、前部煙突が大型化し、煙突の後ろはかなり変化している。どれを、あるいはどれから作ろうかな。
というわけで、一つに決められない私は、
- 明るくて三連主砲で籠型マスト2本のCA1941、
- シックなネイビーブルー基調で籠型マスト1本だけのMD1945、
- カラフルで機銃群ツンツンで籠型マストの無いWV1945、
の3キットを買ってきた。この3隻を作り分ければ、それぞれにいろいろやれて楽しいかと思う。ちゃんと出来ればだが。
ちなみにメリーランドは、単色ではなくて、上面(デッキブルー)と側面(ネイビーブルー)の二色構成だったようだ。このくらいならば、いちいちマスキングせずにフリーハンドエアブラシ塗り分けの練習機会にしてもいいかもしれない。
HASEGAWAの「マクロス」1/4000キットは、縮小率ではトップクラス……かな。元が全長1200mという超巨大な宇宙艦だが。
08/04
【 キャラクターフィギュアと価格 】
最近は、1000円台~2000円台くらいのお安めのフィギュアをいくつも買っている。1)安いし、2)市販商品のヴァリエーションも豊富だし、3)それでいて両目や衣装のディテールまできれいに塗装されているし、4)スケールは1/8程度(高さ20cm程度)でかなりボリュームがあるし、5)基本的に台座に立った状態なので、スペースを取らず、たくさん並べて飾りやすい。
さすがに質感表現はほどほどだし、素肌の部分などはほとんど成形色任せだし、ゲート跡などの微妙な荒れが無いわけではないが、それでも衣服の柄模様もきちんと再現されているし、かなり複雑なグラデーション塗装や精緻なプリント塗装も施されているし、とりわけ両目のプリントもきれいに表情が出ているし、ポージングもそれぞれキャラクターらしさを表現しているし、ものによってはこの価格の範囲内で小物にも凝っているしで、とても楽しい。
これが3000円台~6000円台くらいのフィギュアになると、ディテールの精度は上がるのだけど、サイズが一回り小さくなったり、関節可動や差し替えといった無くもがなのプレイバリューを追加していたりして、どうにも中途半端になる。
そして7000円以上の高額フィギュアになると、サイズは見栄えのする大きさに戻るのだけど、今度はポージングや周囲の小道具/大道具がずいぶん派手になってきて、置き場所にも困るし、汚損にも気を使うし、それでいて出来はそれほどすごくもないし(せいぜい1万円以下なのだし)、立体化のシチュエーションが具体化されすぎてイメージが狭まる。発売時を逃すと後からでは買いにくくなる(中古高額化する)のも悩みの種。
しかし、さらに12000円以上の価格帯になると、本当に個性的な作品が現れてきて、これはこれでたいへん面白い。極端に大型化するわけでもなく、サイズは1/7から1/8程度に収まっているし、その枠内でポージングやディテール表現などが非常に洗練されたものになる。最近だと、例えば「土管の中に横たわっている枝垂ほたる」(13800円+税)という、わりととんでもないフィギュアがあって、買ってしまおうかどうか、店頭でかなり悩んだ。
というわけで、先日も書いたように、キャラクターフィギュアはプライズ品などのお手頃な商品をいろいろ買いつつ、時々はこれと決めたハイエンド商品を買うのが、私自身の満足度を最も高める買い方であるように思える。中間の価格帯は、帯に短し襷に長しで、これといったものがなかなか見当たらない。
【 縮尺の違い 】
縮尺に対する見方。スケールモデルの場合は、環境が許すかぎり大きなキットの方が良いということになりそうだ。1)単純に大きな方が迫力があるというだけでなく、2)実物の再現という要素が大きな徳目になるため、縮尺が大きい方が有利だ。また、3)造形上、構造上の違いも基本的には存在しないため、方向性の違いというコンセプト上の問題にならない(――ただし、艦船では1/350はフルハル志向が強く、1/700は集めて並べる洋上仕様が支配的だ。また、AFVやエアクラフトも、大スケールキットでは内部構造の再現も行われるようになる)。技術面でも、大スケールキットは組み立てや塗装の作業量は増加するものの、制作の技術的ハードルはむしろ下がる(作りやすくなる)と言っていい。
だから、大スケールと小スケールのキットでは、a)入手可能なキットが存在して、b)キットの考証やディテールがまともな水準であり、c)モデラー当人が制作の「費用」「手間」「場所」の負担に耐えられるかぎり、縮尺の大きなキットを選ぶ方が理に適っていると思う。
もっとも、制作労力が増えること(パーツ数が数倍になり、多作困難になる)、ノウハウの蓄積および共有(近年ではアフターパーツの充実度も大きく影響する)、キットの不在(例えばIJN艦船でも空母や駆逐艦のキットはまだ少ない)、展示スペースの問題(特に艦船や航空機は面積を大きく取る)などがあるので、実際には比較的小さなスケールにも意義があったり、そちらの方が好まれていたりする。1/700の極小スケールだと、作り込めば作り込んだでミニチュアらしい可愛らしさが出てきてなかなか趣深いし。
キャラクター模型分野でどうだろうか。例えばガンプラは、1/144スケールには存在するが1/100では発売されていないロボットも多い。また、MG(1/100)やPG(1/60)では内部フレームが表現されるようになる。1/144スケールは1000円以下のものも多く、間口を広く保っておくという役割を果たしている。……スケールモデルとあまり事情が変わらないように思えてきた。
ただし、スケールモデルと比べると、大スケールキットでも造形上のアドヴァンテージは無いようにも思える。非現実的なロボットの模型であり、しかもアニメ表現を前提としているため設定画にも極端に細かいディテールは存在せず、また大型化すると関節部保持などにも支障を来す。実際、たとえば1/48メガサイズザクが、1/100MGザクよりも造形上精密になっているというわけではないようだし、1/100と1/144でもディテールの落差はきわめて小さい。
07/09
空母キットは飛行甲板の接着も大変。パーツがやたら大きく、しかも平たくて強度が低いし、しかも基本的には船体に乗せるだけだし、塗装と接着の順番も難しいし、上面や外周にデリケートなパーツが多かったりする。裏面(下側)も、支柱を取り付けたり、場合によっては補強桁を敷き詰めたりすることになる。さらに大スケールキットでは、取り回しの難しさをももたらすことになる。例えば1/450信濃では、長さ50cm以上の飛行甲板がワンパーツ造形されているので、HASEGAWAの金型技術をもってしても、その難しさは完全には解決されない。他方、1/350隼鷹などでは、飛行甲板を数枚のパーツに分割しており、個別パーツの扱いは楽になっているが、今度は貼り合わせの問題(合わせ目処理の問題)が生じてくる。
そして完成後も、艦載機をきちんと作って並べなければ、甲板面が空疎になってしまう。
【 縮尺と制作難易度 】
各ジャンルで、縮尺の違いによって作りやすさ等はどのように変化するのだろうか。
艦船では、大スケールになると、パーツが大きくなるため取り回しが多少難しくなるし、作業量(塗装量)が大きく増加するが、全体としては工作しやすくなるし、ディテールの緻密さも大きく変化する。キットそれ自体も、パーツ精度がかなり向上する(というか、1/700スケールだと精度確保が非常に難しくなる)。「制作ペース」「保管/展示スペース」「費用」「キットの有無」の問題がクリアできるかぎり、基本的には大スケールを選択する方がよい。
AFVやエアクラフトの場合は、キット縮尺の影響は比較的小さいように見受けられる。どのスケールでも必要なディテールはしっかり再現されているし、工作のしやすさもあまり違いは無いのではないかと思う。AFVの場合は、小さすぎると迷彩塗装の塗り分けが難しくなってきそうだから、基本的には大スケールの方が作りやすいだろう。大きめの1/35キットでも、車体はせいぜい15cmくらいで済むから、大きすぎて苦労するということも無さそうだ。1/48や1/72は、実物を見るとかなり小さいなと感じてしまう。
逆に航空機では、大きすぎると合わせ目処理が難しくなったり、翼のたわみが大きくなったり、脚部の強度確保が心配になったりしそうだ。構造上、手に持つのが難しいので、小さめのキットの方が取り回しがしやすいのではないかと思われる。ただし、迷彩塗装に関してはやはり大スケールの方が好都合だろう。1/32から1/72の間が一般的だが、いずれにせよ、大きすぎるキットを選択する意味は薄いのではないかと推測している。
カーモデル(プラモ)では、1/24規格が標準化しているようなので、縮尺の違いはあまり問題にならないようだ。鉄道模型も、工作面ではあまり問題にならないだろう。
ロボット模型(ガンダム)では、関節部に負荷が掛かりやすいし、合わせ目処理も比較的多いので、小スケール(1/144)の方が作りやすいと思われる。ただし、マスキング塗り分けのことを考えると、大スケールキットの方が、パーツ分割などが行き届いているので作り(塗り)やすい。1/60縮尺(PG)でも全高30cm程度だが、可動ギミックなどがかなり複雑になる。
航空機模型は、組み立ても塗装もデリケートなので、私には難しい。艦船のようにただ単に「細かい」のではなくて、表面処理から合わせ目処理から迷彩塗装から質感表現から風防処理から構造上の脆さから、とにかく「デリケート」なのだ。私程度の雑な手つきでは、隙間ガサガサで塗り分けもヨレヨレなひどい代物になってしまう。
けっして艦船模型が簡単だということではないけれど、合わせ目の露呈する箇所もかなり少ないし、基本塗装もわりとフラットにやれるし、クリアパーツもほとんど無いので、なんというか、ヘボでもまだしも多少は誤魔化しが利く。
AFVはAFVで、汚し塗装までしっかり仕上げていかなければ単なるハコで終わってしまう。
なんかもう、無塗装でいいやという気分に……。
【 ティルピッツのキット(メモ) 】
ティルピッツは、1/350ではTamiyaなど、1/700はAoshima(ちなみに1/2000も)、PitRoad(ビスマルクとコンパチ)、Revell、Dragon、その他いくつものスケールで何種類もリリースされている。さすがに一国を代表する戦艦クラスの一種だけあり、意外とキット化には恵まれていると言えそう。ただし、クオリティや作りやすさは別問題として。今日買ってきたDragon版も、いつになったら作れることやら……。
web検索してみたところ、ティルピッツ(ビスマルク級)のプラモデルは以下のものがあるようだ。かなり古いキットも多いようだし、品薄高額化しているものもあり、わざわざ収集するほどのものでもないと思うが、メモとして書き残しておく。(B)はビスマルク、(T)はティルピッツのキット。注記無きものはティルピッツ。
縮尺 | メーカー |
1/200 | Trumpeter(B) |
1/350 | Tamiya、Revell(B/T)、Lindberg、Academy(B/T) |
1/400 | Heller、Micro Ace(Arii) |
1/450 | Hasegawa |
1/700 | Aoshima(B/T)、Pit-Road(※B&Tコンパチ)、Revell(B/T)、Dragon、Trumpeter、UNIMAX(B/T、塗装済み完成品のようだ)、Flyhawk(B:発売予定とのこと)、Italeri/Platz(B/T) |
1/800 | Academy |
1/1000 | UNIMAX(B、詳細不明)、Amercom ST-6(塗装済み完成品) |
1/1100 | 世界の軍艦コレクション(※塗装済み完成品、B/T) |
1/1200 | Revell(B、Tも発売予定) |
1/2000 | Aoshima、Flyhawk(B:発売予定) |
1/2400 | F-toys(B/T、塗装済み半完成品) |
1/???? | Furuta(※食玩のようだ)、Nichimo(B/T、30cmシリーズ)、Airfix(B) |
それなりに入手しやすいキットが複数併存しているため、雑誌やムックもさまざまなキットをベースにしている。例えば「NAVY YARD Vol. 35」(2017)の記事はPit-Road版を使っているし、「艦船模型スペシャル No.44」(2012)もPit-Road版だったようだ。『ドイツ海軍ピクトリアルモデリングガイド』(2014)と『海外艦艇模型超入門』(2016)はRevell版を使っている。
4月の「ナチ」もたいした作り込みをしていない半端制作だったけど、それ以降も小さなキットやお手軽なロボット模型や無塗装パチ組みばかりだったので、そろそろ飢餓感が増してきた。夏休みになったら、手応えのある大型キットに取り組みたい。
机の上に1/350摩耶を置いておいたら、さすがに埃が積もってきたし、誤って手を触れてしまったせいでエッチングなどの極小部品もいくつか破損している。それでも、ほんの30cmの距離でこの大型キットのディテールを毎日眺められるのは、なかなか無い楽しみだ。埃は払えばいいし、多少の破損ならば補修できるし、よほどひどい状態になってしまったら、その時はもう一度作ればいい。その時はもっと上手く作れるようになっているといいなあ。
数えてみたら、机の上にはキャラクターフィギュアが11人、メカ系プラモ(スケモ/ロボット)が18個もあった。さらにトミカなどもいくつかいろいろ。F-toysなどの極小プラモ(7個)や制作途中(乾燥中)のキットも含むし、机もかなり広めのものを使っているが、それでもそろそろきつくなってきた。
FujimiのNEXT版信濃も出来つつあるようだし、Aoshimaも計画中(?)のようだし、嬉しいかぎり。Tamiya(1/700)とHasegawa(1/450)を合わせると、国内主要4社が信濃をキット化していることになる。さすがは大和型(の派生的存在)。ちなみに、大和/武蔵も、Tamiya(1/700)、Fujimi(1/700)、Hasegawa(1/450)、Aoshima(『アルペジオ』版)と4社が手掛けている。その他にも、Revell(1/1200)や食玩などがある。
さらに上手がいる。雪風はTamiya、Hasgawa、Fujimiが1/350スケールキットをリリースしており、AoshimaとPit-Roadが1/700キットをリリースしているので、計5社。そんなに人気なのか。
金剛型や長門型はTamiya製品が無いし、妙高型もTamiyaのみ無い。ただし金剛型は海外メーカーのKajikaが参入した。高雄型は、Fujimi(1/700)、Aoshima(1/350, 1/700)、そしてPit-Road版(1/700)もある。綾波はFinemolds(1/350)、Tamiya、Pit-Road、さらにYamashita Hobbyが加わった。もはや「私は三人目」どころではない。島風も1/350と1/700で計4社がリリースしている。
部屋の掃除をしていたら、1cm×0.5cmくらいの角張ったプラパーツが床に落ちているのを見つけた。なんだこれ……どのキットのパーツだ? ロボット模型の突起パーツではないかと思われるのだが、自分が作った中のどのキットなのか、見当が付かない……ああ、もやもやする!
07/02
やはりアングルドデッキは格好良い。非対称の面白さもあるし、斜めにレイアウトされることによって進路指示の直線がよりいっそう引き立って見える。
【 費用、スペース、制作ペース 】
ものによるけど、プラモは安いからなあ……。AFVの海外キットなどでは国内価格5000~6000円になったり、大スケール艦船キットでは10000~20000円のものもあったり、そしてアフターパーツも結構な価格のものがあったりするけど、ガンプラ等も含めて均してみればおそらく2000円台で収まるだろう。ということは、100個買っても20万円かそこら。500個も買ってようやく100万円。他の趣味に比べればはるかにリーズナブルだろう。
そのうえ、「しばしば一品物であって、他では代替できない(ザクはあくまでザクであり、ドムのキットでは何の代わりにもならない)」、「一度買い逃すと入手できなくなる可能性がある(再生産が無いわけではないが)」、「基本的に価値や性能が下落することは無い(ただし、デカールが劣化することはあるし、ベターなキットが新発売されることもある)」、「開封してキットパーツを見るだけでも、わりと勉強になることは多い(特にスケモの場合、作るだけではなく資料的価値もある)」。こういった事情を考えると、買っておいて損は無いという判断になる。室内に保管できるスペースがあり、なおかつ購入できるくらいの財布の余裕があれば、「欲しいもの」「いつか作りたいもの」を見かけたら迷わず買ってしまうというのは、合理的な行動なのだ。そのうちの何割かが、結局作りきれなかったとしても、投資に見合った満足乃至可能性を当人は十分得ているのだ。
ただし、価格のわりに箱が大きいので、収納スペースは問題になりやすい。箱のままならば6畳部屋に1500個詰め込むことも可能だが、プラモは作るものなので、完成品をきれい&安全にディスプレイしていくとなるとスペースがどれだけあっても足りない。
制作に関しては、人によって千差万別だが、仮に週1個完成させるペースだとすれば、年間50個、30年で1500個。その半分と見積もっても750個。十代から六十代まで長く楽しめる趣味だと考えると、1000個以上の積みがあっても案外かなりの分量を消化できてしまうものかもしれない。その一方で、時間の取れないモデラーや作り込みの激しいモデラーだと、年にほんの数個しか完成させないということもあるようだ。仮に年間4個とすれば、30年間でも120個。
2年前に出戻って以来、55個のキットを作ってきた。三分の一はパチ組みで、全塗装制作は年平均18個(月平均1.5個)。かなり波があるものの、まずまずのペースで作れていると思う。全塗装といっても、合わせ目をきちんと消していなかったり、ウェザリングまでは施さなかったりする、かなりの横着工作だが。
【 エアクラフト雑感 】
航空機模型は、かなり昔のキットでもディテールがちゃんとしていて、よく驚かされる。さすがにバリが出来ていたり、パーツの合いに不備があったりはするけれど。そうなっている理由は、「現物」「スケール」「構造」など多岐に亘る。
1)時期しだいでもあるが、現用機でないものでも、現物や資料がちゃんと残っていることが比較的多い。ものによっては数百機も生産されているし。IJN艦船だと、ほとんどが水中に没して失われているし、個艦が一品物のようなものだし、機密性や規模のために資料も少ない。
2)縮尺の都合で、艦船模型のように極端な小スケールだと再現が難しくなるだろう。しかしエアクラフトの1/72なり1/32なりの縮尺であれば、目に見えるレベルで十分精密感のあるディテールを作り込むことができるのだろう。
3)構造上も、基本的には円筒状の機体に翼が数枚付いているだけなので、比較的設計しやすいだろう。艦船だと、構造がかなり入り組んで複雑なので、再現性にも限界がある。また、表面上の構造がシンプルだということは、模型としてのパーツ数も少なくて済むということだし、そのぶん造形整備に集中しやすいだろう。
これらはAFVにもおおむね当てはまり、昔のキットでもとてもきれいな作りだったりする。……というか、艦船の方が特殊なのか。極端な縮尺であり、しかも凸凹の多い構造なので、製品としてのキットをデザインする際にも、全体のディテールバランスを適切に整えるのはさぞかし難しかったことだろう。
精密性という言葉も多義的だ。1)ディテールの多さまたは細かさ。2)ディテールの正確性(実物との類似度)。3)パーツの合いの良さ。4)ディテールのエッジのきれいさ。たとえば、細部まで表現しようとしているがモールドがユルいという場合もあるだろうし、パーツはぴったり合うが全体のシルエットは全然似ていないという場合もあるだろう。
06/30
[tw: 879697224090787840 ]
ククク……こんな話を聞いたら黙っていられなくなったので、市場在庫をもう一つ減らしてきてやったぜ……。給料を上げても上げても追いつかないくらい忙しくなるがいい!(もっとも、こんな後乗りではちっとも格好良くないのだけどね。最も支援が必要なのは、あるいは最も支援が効果的になるのは、当事者が困っている時、挑戦している時、まだ成算が得られていない時なのだから。)アルティメットニッパー値上げした結果を報告します。— 角田稔【ゴッドハンド代表】 (@godhandminoru) 2017年6月27日
極の刃研ぎ職人の給与改善もできましたし、さらに新人も採用できました。
ようやく、極という職人集団が1人で歩けるようになりました。
ありがとうございました。
(2017年6月30日、自宅にて撮影)
せっかくだからこの赤の…もとい青のズゴック君はジャック・ザ・ニッパーと名付けよう(ありがちな駄洒落)。
実のところ、専門性の高い精密工具であることを考えると、実売5000円程度というのはむしろ安いと言っていい。世の中には、DIYレベルですら万単位の価格の工具なんてありふれているわけで(レンチやドライバーでも1万円以上の商品はざらにある)、それに比べると模型専用のハイエンド商品なのにこの価格というのはお得と言うしかない。つまり、用途が極端に限定されており(=市場規模が小さい)、しかもこれよりも上位の商品がほぼ存在しないクラスなのに、この価格に抑えられているのだ。ちなみに、業務用、金属用、特殊用途、超々精密などのニッパーであれば1万円以上(ものによっては2万円や3万円)のものも多いようだ。
ともあれ、工具に恥じないプラモ作りをしていきたい。
切れ味はツプツプときれいに切れる感じで、腕に切断の衝撃が来ることも無い(=身体が疲労しにくい)ため、常用のニッパーとしては十分なクオリティ。ただし、刃がやや短いので入り組んだランナーに差し込むのは少々手間取る。通常の長刃のニッパーと併用(使い分け)した方がよい場面もあるだろう。また、切断後にニッパーを抜き取る際にちょっと引っかかることがあるが、これは慣れの問題かもしれない。さらに、左右対称ではない(片刃である)ので、もしかしたら左利きの人には使いにくいかもしれない。
切断面が完全にフラットになるというわけではないから、ものによっては他のニッパーで大雑把に切り出してからこのニッパーまたはデザインナイフで細部を整えるという使い分けをする場面も出てくると思われる。
結局のところ、汎用性や使いやすさに価値があるという種類のものではないだろう。「誰にでも」「どんな場面でも」「気兼ねなく」使えるというわけではない。そうではなくて、「スキルの高いモデラーが」「より繊細かつ精密な工作を可能にするために」「慎重に」使用するための機能特化したハイエンドツールだと考えるべきだろう。熟練モデラー向けの工具だと思う。
(たぶんこのくらいならば書いてしまってもいいと思うが、)今日の講義にTAMIYAの☆★Tシャツを着た学生がいた。しかも女子学生。講義の後でちょっと話しかけたら、それが何であるかを理解したうえで着ているようだったので、模型趣味者なのかもしれない。それまでの印象からすると、かなり意外な取り合わせだった。
この他にも、好きな映画の話題で『アイズ・ワイド・シャット』を即答した学生もいたりして、うむ、素晴らしい。将来も有望だ。
06/23
【 価格とクオリティのバランス 】
フィギュアにせよロボットにせよ、12000円以下の完成品アイテムは価格に見合わないものが多い。例えばROBOT魂も、わりと高額なのだけど、サイズは小さいしディテールもエッジも塗装もかなり甘い。figmaのフィギュアにしても、プロポーションは今一つだし、可動もぎこちないし、ディテールや塗装も洗練されていないし、表情もとろいし、プレイバリューも乏しいし、それでいてポンと5000円なり8000円なりの価格になってしまう。ねんどろいども同様。そのくらいなら、思い切って13000円程度のものを買う方が、緻密さ、質感表現、サイズと迫力、そして総合的な満足度の観点で、むしろコストパフォーマンスがはるかに良い。
もちろん、上記の商品がこれほどの価格になっているのはそれはそれで理由のあることだ(デザインも大変だし、版権料も出ているだろうし、少量生産だろうし、型の使い回しも利かない)し、そしてこれらが商売として成立しているのは「他には無い」「時期に合ったものを上手く出している」という強みを持っているからでもある。そういう事情を理解はしているが、しかし購入意欲は湧かないし、買ってもあまり満足できない。
1/350阿賀野が再生産されたようで、各ショップの店頭に並んでいる。ただし、個人的には能代が一番好みだし、矢矧はもう作っているので、阿賀野には手を出さないと思う。ただし、阿賀野キットから自前で改修して能代っぽくするということは技術的には可能かもしれないけど、私はそこまでの知識は持ち合わせていない。
今月はわりとまめに模型制作している(ただしパチ組みを含む)けれど、それ以上にいろいろキットを買い込んでいるので、制作率70%がいよいよ遠い。一時期は70%を超えていたのだけど、現在は68%にまで落ち込んでいる(未着手は30個以上)。たとえば、3つ購入して、1つはきちんと制作して、1つはパチ組み、1つは未制作のままだと、制作率は66.7%、つまり70%を切ってしまう。
もちろん、買ったものを絶対に全部作らなければいけないということは無い。購入後に状況が変わったとか、あるいは開封してみたら予想外に難しそうだったとか、積んでいたら興味が薄れたとか、そうした事情があれば、無理に作らなくてもいい。現在の自分が購入時点での自分に拘束される必要は無いのだ。支出した分は無駄に終わるが、それはサンクコストとして潔く諦めるべきだろう。当時の自分の購入判断が失敗であったと見るか、保険的な支出の一部にすぎない(つまり、多めに買ってストックしておくという戦略をとっていたにすぎず、そのキットはたまたま作らずじまいだったが、別のキットはタイミングが合って作りたい時に制作することができた)と見るか、事後的な事情変更であると見るか、あるいは運命だとして諦めるか、心の落ち着け方はどうにでもすればいい。あるいは、少なくとも実際にキットの内容物を手にしてみて、そして説明書を熟読したというだけでも、確かに自分の知識および体験の糧になっているのだし。
【 巨大な一パーツ部品 】
最大のプラパーツはどのくらいのサイズだろうか。プラモ全体では、おそらく大スケール艦船の船底部パーツあたりが(最大長でも重量でも)トップクラスになるかと思われるが、ロボット模型だとどのあたりになるだろうか。ガンプラだとナイチンゲールの両肩や腰部のアーマーとか、FAZZのハイパーメガカノンとか、GP-02の盾とか、あるいはHGUCだとデンドロビウムのコンテナやギャプランのブースターは、一パーツのサイズとしてはかなりのものだろう。HGUCゾックの胴体部分は、細かくパーツ分割されているんだっけ。PGシリーズだと、ザクのシールドあたりは一パーツだろうか。
雑誌の投稿欄を見ても、ミリタリー系スケモユーザー層は20代から60代くらいまで幅広く存在する。二次元系文化のように10代から30代を中心とするジャンルとは、かなり懐事情や市場的余裕が異なるだろう。ましてや40代や50代くらいになれば(その年代、その世代であれば)、経済的にはかなり余裕があるだろうから、数万円くらいの高額キットでも簡単に買えるだろうし、50cm~70cmの大型キット群を展示するスペース(及び設備費用)にも余裕があるだろう。歴史、軍事、技術、文化、造形が深く関わるインドア派の趣味なので、ユーザー層は知的な人が多いだろうし、そうすると経済的に豊かなホワイトカラー層の比率も高いと思われる(――ただし、同時に子供っぽい趣味と見做されがちな側面もあるけど)。そう考えると、たまにはもうちょっと贅沢なものが出てもいいのではないかと思う。鉄道模型や完成品カーモデル並の価格帯の市場が、ミリタリーモデルにほとんど存在しないのは、ちょっと不思議だ。
ただし、数万円規模のレジンキットはあるし、モデラーによる完成品を数万円乃至数十万円で販売する市場も成立しているので、あると言えばあるのだが。
フィギュアレヴューを称するサイトは、どうしてあんなにベタベタと大量に似たり寄ったりの写真を並べたてるんだろう……。現代では画像枚数やファイルサイズをほとんど気にしなくてよいので、「多ければ多いほど良い」というのは確かなのだけど、そしてまた、繊細で複雑な曲面的立体造形物であるフィギュアは微妙な角度の違いによって様々な表情の違いを見せてくれるものではあるけれど、しかしそれでも、「取捨選択」の意識を持ってほしいと思うことが間々ある。
「記録」としてフィギュアを紹介したいのであれば、情報の効率性に鑑みてもっと枚数を絞るべきだし、「写真」としてフィギュアフォトを誇示したいのであれば自分自身の美意識に賭けて最高のレイアウトと最高の写り具合を実現した最高の数枚に絞って掲載するべきだろう……と思うのは要求が高すぎるのだろうか?
ちなみに私自身は、自分が制作したキットの写真をこのブログに掲載する時は、もっぱら前者の姿勢、つまり「記録」的紹介に終始している。だから、対象の全体がフレームインしていることを最優先した無難な構図で撮影し、そして各部のディテールと色彩がきちんと認識できるかぎりで枚数は極小化するように写真を取捨選択する。だから、理想は三面図3枚ということになる。実際には、そこまで厳格にはしていないし、他のキットなどと組み合わせたネタ写真なども掲載しているが、それでも枚数を絞り込むという意識は常にある。角度を微妙に変えながら似たような写真を何十枚も並べるのは、どうも「だらしない」と感じてしまう。
フィギュアは、罪深いほどに楽だ……ただ買って、(関節可動の場合は適当にポーズをつけて)机の上などに飾っておくだけで、どんどん作品享受体験が蓄積されていってしまう。しかも、自作では数十時間を要するクオリティのものが、ほんの1万円ほど支出するだけで、きれいな全塗装完成品として入手できてしまう。こんなのずるい! 楽すぎる! 幸せすぎる! うわああん!
もちろん、買う行為だけでなく、作品選別眼や、レタッチやメイクアップの技術、ディスプレイのセンス、あるいはポージングの洗練や撮影のテクニックなど、必要になってくる要素は多々ある。
1/150情景模型と1/144ロボット模型(HGUC)はほぼ同スケールなので、並べてジオラマ化することができる。例えばズゴックから逃げ回るタグボートとか、ザクに襲撃されるコンビナートとか。食玩航空機も1/144が多いので、大きさの比較として使える。
同様に、ガンプラの1/550スケールキット(ミデアやノイエ・ジールなど)も、FUJIMIの1/500長門などと並べることができるだろう。ただし、HASEGAWAの1/450スケールだと、さすがに縮尺のズレが大きくなるが。
1/60イングラムは、トミカ(1/60~1/67くらい)におおむね相当する。トミカを持ち上げさせれば、まさに違法駐車撤去中のイングラムを再現できるということだ。PGガンプラも1/60だが、完成時のサイズがかなり極端なので、並べてレイアウトするには不向きだろう。
06/07
キャラクターモデルの場合は、好きな色を乗せる立体塗り絵のようなアプローチになってしまいやすいようだ。形状修正もせず、スミ入れもほとんどせず、それどころか合わせ目処理すら怠ってしまう。例えばパトレイバーでは、警察車両風のツヤツヤの黒白塗装をしてそれなりにレイバーらしい雰囲気になったらそれだけで十分満足できたし、零号機も弐拾参話を一応念頭に置きつつ自分のイメージに合った色合いに塗装することばかり考えていた。ナチの場合も、一応は設定画を参照しつつも、グリーン2色のカラーリングは自分の好みで適当にアレンジした。昔の制作だと、ガンダムMk-II(グランプリホワイトによるツヤ出し塗装)や、GP-02(後半話数イメージのグレー基調塗装)などは、素人の蛮勇とはいえ、当時の自分としてはなかなか大胆に面白い表現ができたと思う。自分のしたいように適当に色を混ぜていくのも、色の取り合わせや全体コンセプトを考えつつ順番に色を乗せていくのも、とても楽しい。もっとも、調色した塗料や瓶の事後処理(保管や廃棄)は面倒なのだけど。
最近は手軽なロボット模型に手を出している。パーツ数が少ないので制作時間が少なくて済むし、一つ一つのパーツが大ぶりなので塗装もしやすいし、脚部や頭部などブロック毎に作っていけるので制作過程を区切りやすいし制作途中状態での管理もしやすいし、極小パーツも少ないので破損リスクもかなり低い。気が済んだら適当な布にでもくるんで箪笥に突っ込んでおけばいいという気楽さもある。
ただし、デメリットとしては、カラフルな塗装色をその都度用意するのが多少手間だし、合わせ目処理の工程も必要になる。基本的にワンオフキットであるため、構造把握と工程設計をその都度新規に行う必要がある(特に可変ロボットは大変)。また、面の広いパーツが多いため、しばしば目立つ場所に大きなヒケが出来ている。ただし私は、合わせ目やヒケは基本的に気にしない超イージーモデリング派なので、塗って組んでの楽しい部分だけを享受している。
しかし、入念な計画と長時間の専心が要求されるハイボリュームな大型艦船模型も、また手掛けたくなってきた。うずうず……。巡洋艦クラスでも最低40時間(つまりフルプライスゲーム2本分)、エッチング込みの戦艦だと80時間は掛かるが、他では得られないような満足感が得られる。
06/03
「春ニパ子」さんは可愛かった。
完成させてみると、非常に躍動感のあるポージングで、体は大きくひねりつつ反らせているし、ツインテールも前後に大きく撥ねている。完成見本画像を見ると太腿が短めでふっくらして見えるが、キット実物の太腿はすっきり引き締まっていた(――見本写真のようないかにも日本人体型らしいプロポーションも、それはそれで愛嬌があるのだけど)。台座抜きの頭頂高は約7cm。公式サイトによれば設定身長は155cmとのことなので、1/22くらいの縮尺になる。
頭部(顔面)のデザインはかなり好み。パッケージアートよりも引き締まっていて、アクが強すぎもせず、芋っぽくもなく、ヒラメ顔でもなく、キツすぎもせず、ユルくもない、明朗で表情のはっきりした笑顔になっている。言い換えれば、パッケージアートにはあまり似ていない。
成形色でおおむね色分けが表現されている。
デカールはセーラー服の胸襟のライン、袖のライン、髪留め(ただしここは塗装した方がいい)、両目、口などがある。デカールは、目や口はそれぞれ4個分ずつ、服のラインは3本ずつ用意されている。予備デカールが多めに用意されているのはたいへんありがたい。他のフィギュア等に転用するのは難しそうだが。
塗装が必要なのは「胸のリボン(背中側も)」、「上履きの上側(底側は別パーツで色分けされている)」、「ニッパーの金属部分」、の三箇所くらい。上述のように、髪留めも、メタルカラーで塗装した方がよいと思う。
スカートの中は、ホワイトの下着パーツが太腿上端あたりまで伸びている。ズロースかペチコートを着用しているということでいいのだろうか。
ボーナスパーツとして、頭髪や上履き底面のパーツが、ブルー整形色のランナーでもう一枚同梱されている。これを使えば擬似的にノーマル(青)ニパ子も作れそうだが、ただし襟や袖のラインはピンク色のデカールしか用意されていないので、無塗装では完全な青ニパ子を作ることはできないと思われる。サービス精神はありがたいが、実際にはあまり役に立たない。あくまで予備パーツくらいのつもりでよいだろう。あるいは、ニッパーの持ち手部分がブルーの、オーソドックスなニッパーを持たせるのも良いかもしれない。
注意点としては、
- 首の位置が定まりにくい。頭部を接着固定してからツインテールを付けるのが良さそう。
- 金属部分(ニッパーと髪留め)は、やや明るめの色(焼鉄色など)で塗装した方が良さそう。
- 胸襟とリボンの間に隙間ができやすいので、しっかり密着固定させる。
- 胴を反らしたポーズなので、腹(臍下)に隙間が出ないよう、しっかり接着する必要がある。
- パーツ分割のせいで両足の接地がやや難しい。足裏のダボを切除して接着した方がよい。
- パーツ分割された上履きは、きれいにフィットせず、二重底のように見えてしまう。
組立説明書はフルカラー。片面は簡単な組立説明書であり、裏側はパッケージアートの画像をトリミングして大きくプリントしてある。スティックポスターとしても使えるということだろう。
サイズやディテールを考えるとずいぶん割高ではある。食玩やガチャガチャの水準ならば、この1/3以下の価格でもおかしくないくらいだ。しかし、「レジンキットよりも割安で」、「工作しやすいプラスチック素材で」、「公式(公認)のキットであり」、「組み立てキットなので自分なりに手を入れて作れる余地があり」、「ニパ子として十分可愛らしいデザインである」と考えれば、完成見本写真を見て可愛いなと感じられたモデラーならば、購入する価値はあると思う。
上述のように、頭部の角度がいささか定まりにくい。
サンプル写真のように、振り上げた右手に合わせて右上を仰がせると、おおらかで素朴な魅力が引き立つだろう。ツインテールも安定感のある角度に落ち着くし、前髪の左側が横に流れているのとも整合性がとれる。
あるいは、左下側に顎を引いた角度にすると、キュートな可愛らしさが強調されるだろう。これだと、胸を反らしたダイナミックなポージングにもよく合うし、ツインテールもかなり大胆に振り乱している格好になる。首の長さをごまかせるというメリットもある。
ごく簡単な部分塗装で、制作時間は3時間程度。
フランスのメーカーがWWII期のドイツ空軍機のプラモデルをリリースなんてよくやるなあ、などとお節介なことを気にしてしまったが、日本のメーカーがWWII期の米軍プラモを発売するのと同じようなものなので、それほど気にすることではないのかもしれない(実際、例えばFujimiはB-29をキット化している)。ただし、現在でも中国国内のメーカーが帝国陸海軍もののプラモを出すのは多少気を遣う必要があるようだ。
エアクラフト系モデラーさんは、やたら仕事が速くてしかも一人一人が特殊なスキル(独自の制作ノウハウ)を持っているというイメージがある。大量の精密なリベット表現もあっさりこなすし、複雑な迷彩塗装もあっという間に仕上げてしまう。作品にも隙がなく、それでいて模型なりの割り切りを弁えており、人間的にもクールという印象。エアロモデラー文化は、ネットで見かける艦船系モデラーの人々とは、ずいぶん違ったタイプの方々だなあと感じる。
05/27
梅田YDBSはホビー/漫画コーナーがB2階に移されていた。HASEGAWAの1/450信濃の塗装完成品がディスプレイされていて、しばし見入っていた。店頭で見るとこのスケールは本当に大きく見える。ただし、やはり真っ平らなマナ板感というか、サケの切り身感というか、膨れ上がったハリボテ感は否めないが。キティホークのキットも2個店頭在庫があったが、知人と会う用事があったため、あの巨大なパッケを持ち歩くわけにもいかず、購入断念した。あと、はつゆき型のエッチングもあったので購入した。
ハイティーンくらいの男女客グループがいて、「あっ、瑞鳳あるー、これ好きやねんー」みたいなことを嬉々としておしゃべりしていた(※関西弁の再現は適当)。嬉しいねえ。
[tw: 868820077159759872 ]
MENGのビスマルクとミズーリは間違いなく買うけど、どういうアプローチで作ろうかなあ。色分けは完全というわけではないし、可能ならばティルピッツとして作りたいので、普通のキットと同じようなやり方で全塗装制作することになりそう。
[tw: 863758482054316032 ]
これはすごい……こうして広い面積を絶妙に煤けさせる汚しは、たしかに「スターダストメモリー塗り」と呼ばれるに相応しい。
そういえばユーティライネン機(あのアニメキャラの方ではなく、元ネタの実在パイロットの方)を作っていなかったので、HASEGAWAの1/32キットを買ってきた。しかし、エアクラフト模型は制作経験が乏しく、箱を開いてパーツを見たら頭を抱えてしまった。うまく完成させられるか分からないが、早いうちに取り組みたい。こんなデリケートな斑迷彩をうまく塗れるかなあ……いや、エイラのイメージモデルとして作るのであれば、迷彩無しのフラットな塗装にしてもいいかもしれない。
要は[tw: 783283800969056256 ]、[ 810493756034064384 ]:こういう感じになるわけだが、これらの方々と同じ趣向を1/32スケールの専用キットでやらかすのは、ディテールとリアリティの面でも危険だし、大スケールキットおよびネタ元ご本人に対して畏れ多いという気持ちもある。うーむ。
細かいことを言うと、このキットはBf109G-6なのだが、キャラクターの方はG-2およびK-4(に相当するもの)を使用しているとのことで、キャラクター設定の側に合わせるならばFINEMOLDSの1/72キットを使う方がよいかもしれない。航空機の機種間の違いについてはまるっきり不勉強で、どこまでは別キットの流用が利いてどこまで行くとNGになるかを自分では判断できないので、失敗を避けるには完全に同一の機種を使うしかない。
例えばザクでも、MS06FとMS06F2では、胸部から前腕から膝からふくらはぎから靴部分までかなり違っていて、とても同一視したり流用制作したりすることはできないくらいだし……。一つ一つの対象について具体的かつ詳細に調べて学んでいかなければ、そうした違いを理解することはできない。「これとこれは、ここが違っているんだよ」という情報は、その場限りの知識であって応用が利かないのだ。
1/32スケールの二次元キャラフィギュアは、手頃なものがなかなか無い。多少の縮尺違いには目をつぶって、1/35スケールの「カバさんチームフィギュアセット」あたりを使って――場合によっては青髪に塗装してあおいちゃんにして――コクピットに乗せるというのもありかもしれない。
ガンダムのプラモは、上腕がやたら貧弱で、その一方で前腕はやけにでっぷりと大型化していて、さらに肘の関節が長くて浮いているのが、どうにも落ち着かない。関節部に関しては可動確保のためという事情があることは理解しているが、それにしてもセンスのない対処だし、前腕の巨大さはいかにも鈍重そうに見える。上腕を伸ばしすぎると胸部との対比で間延びして見えるというのもあるのだろうし、肩からパーツが横に張り出しているという造形上の都合から、表見上の上腕パーツが小さく見えているにすぎないというのもあるだろうし、前腕部分が小さすぎると迫力やボリューム感が乏しくなるといった考慮もあるのかもしれないが、それにしてもなんとかならないのか。
メーカー毎の所持キットと制作率。BANDAIは以前に作ったものが多く、多くは引越の際に廃棄してしまった。TAMIYAは海外艦がなかなか作れていない。AOSHIMAとHASEGAWAは、そこそこ完成させている。FUJIMIとPITROADはかなり消化できている。パーツ精度やパーツ分割の巧みさという点ではTAMIYAが好きなのだけど。
05/15
「艦船模型スペシャル」は、私の好みに合うスタイルなので読んでいてたいへん楽しい。誌名どおり艦船系モデリングに集中している(スケモ全般でもないし軍事史系でもない)ので密度が高いし、1/350スケールも十分尊重してくれているし、通り一遍の制作過程記事ではなく制作技術を抽出したテクニカルレクチャーの側面も強いし、なにより写真と紙面レイアウトの出来が良い。大判紙面できれいな写真をじっくり見せてくれるので読み応えがある。技術面でも、例えば今号(No.64)では、ケーニヒの制作記事が載っているし、エアクラフト系モデラーによる制作記事やAFV系テクニックの適用例などもあってなかなかユニーク。
その一方で、「Model Graphix」は、取り上げる対象の範囲が狭い。艦船系の特集記事ですら、1/350キットを丸ごと無視して、1/700の制作記事しか載っていなかったりする。あくまで「月刊ペースの」「模型総合誌」であることに起因する制約なのだろうけれど。
艦船モデラーにとっての「究極」とはどのようなものだろうか。あるいは、艦船モデラーは何を目指せばいいのだろうか。とりあえず卑俗にキット単位で考えるならば、純正製品一揃えで5万円以上になる「赤城」や、全長96cmにもなる「エンタープライズ」あたりだろうか。あるいは、「完全自作」、「帆船模型」、「超ラージスケール(事実上、完全自作を含意する)」くらいが候補になるだろうか。満足度という観点では、お気に入りの艦を自分の持てる時間と技術を最大限投入して最高の姿で完成させるというのが理想かもしれない。
やっぱりタグボートは可愛い。外見はきわめて素朴で、全体の作りもいかにもプリミティヴな感じで、古タイヤを周囲に取り付けていたりするのもトボけたユーモラスさがあるし、まるでトレーのように甲板を低く構えているところも健気だし、自分よりも大型の艦船を押したり引いたり動かすという頑張りっぷりも素晴らしいし、大型船をエスコート(!)するのも格好良いし、かと思えば横移動のようなユニークな(もちろん目的に適った)機能を備えていたりもする。色合いもわりとカラフルだったりする。そういうのが港湾内をうろうろ(失礼)していたり、二隻、三隻と集まっていたりする様子も、とてもキュート。アジマス(azimuth)スラスター(向きを変えられるスクリュー)も、「鯵・鱒」を連想させてこれまたコミカル(もちろん、可愛いだけではなく、船を動かす現場実務の仕事そのものとして、尊敬もしている)。複雑かつ巨大な軍艦模型に取り込んだ後でタグボートを見ると、距離感の近いリアリティを感じられて、安心しつつ縮尺模型のスケール感をリフレッシュできるのもありがたい。
05/12
ケーニヒの制作記事は、和英併記にしてもいいかも。さすがにドイツ語だと辞書無しではまともに作文できないが、英文ならば(最低限、術語を確認すれば)そこそこ読めるものが書けるだろう。英文で公開すれば、日本語話者に限定されず、より多くのネットユーザーが利用できる情報になる。日本のアダルトゲームやIJN艦船模型はドメスティックな性格が強いので、英訳公開する必要性はあまり感じなかったが、ウクライナメーカー(?)のドイツ艦プラモであれば、ユニヴァーサルなアクセス可能性に配慮することにも意味は出てくる。
戦時曳船セット、とてもチャーミングだった。さすがにこのサイズだと1/350スケールにしてほしかったという気持ちもあるが、ジオラマ向きの船舶だということを考えると、やはり1/700洋上模型と合わせるためにこのスケールにするのが妥当なのだろう。
以前の「はつゆき」キットとの異同は知らないが、「あさゆき」はおおむね標準的なPitRoadキットの水準と言っていいだろうか。通行帯が凸モールド二本で表現されている(もちろんデカールも別途用意されている)のは少々面倒かも。格納庫の内壁側はモールド皆無なので、キットそのままで作る場合はシャッターを降ろしておくしかないだろう。ルーバー部分は、「たかなみ」型キットとは異なって壁面パーツに一体成形。スクリューも薄くて良い感じ。ただし、船底パーツは横幅の合いがよろしくない(左右あわせて1mm近い段差が出てしまうので、全体をパテで整形するか、WL仕様で簡単に作るかの、いずれかになるだろう)。プラはいつもの(?)質感で、柔らかくてほどよく粘りがあるので、切削作業がしやすい。艦番号デカールも含め、「しらゆき」「はるゆき」「やまゆき」「せとゆき」「あさゆき」「しまゆき」の6艦に対応しているようだ。早めに作りたい。
当然のことだけど、縮尺が2倍になると体積は8倍になるんだなあ……。しかも1/700WLと1/350フルハルとでは、軽く10倍を上回っているだろう。でっかい……。
知名度が高いはずの艦船のプラモデルキットでも、web上には制作記事がほとんど見つからないということがしばしばある。何故だろうか。
1)買われていないのだろうか? いや、少なめに見積もっても数千個の桁で売れているはずだ。そうでなければ採算が取れないだろう。また、キットも、模型となった対象それ自体も、知名度が低い(注目されていない)というわけではない。
2)買ってもなかなか作られない? いや、モデラーたちは仕事が早いはずだ。また、比較的手間の掛からないキットの場合でも、事情はあまり変わらない。
3)あるいは、「まだ」作られていないだけかも? いや、発売からそれなりに経過しているキットでも、いっこうに制作記事が出てこないものは多い。
4)ネット上で作品公開しているモデラーは、意外と少ないのかも? 模型制作は息の長い趣味であり、とりわけスケールモデルは年季の入ったユーザーが多く、そのためネット以外のコミュニティを確立しているとか、若いITメディアにはあまり親しんでいないといった可能性はあるかもしれない。しかし、今時そんな極端なギャップがあるとは考えにくいが。
5)私の検索の仕方が下手? キット名と「制作」「塗装」「完成」などでand検索すれば、制作記事が見つかるものだと思うけれど。
6)検索システムが関連のあるページを適切にピックアップしていない? その可能性もある。通販サイトや無関係サイトばかりが大量にヒットするのが現状であり、制作記事がそうしたものに紛れている、あるいは検索劣位に置かれている、あるいはweb上に存在していても検索ヒットしないということはあり得る。実際、私の「比叡」記事は、「艦next 比叡」でggl検索しても出てこない(!)。同様の不幸な境遇にあるページ乃至サイトが大量に存在するという可能性はある。
雑誌の読者投稿欄などを見ても、20代から60代までかなり幅広い。性別はおそらく男性がほとんどではないかと思われるが、(特に最近では)店頭のスケモコーナーで女性客を見かけることが無いわけではない。
05/04
また模型制作欲の内圧が高まってきたが、具体的に作りたいと思えるキットがなかなか無くてモヤモヤしている。いっそ、もう一度「信濃」を作ろうかしらん。TAMIYAらしく直線がきれいに出ていて清潔感のあるキットで、ブルワークも薄く引き締まっていたし、ディテールも嫌味が無くて、別パーツ化された支柱類もぴったり嵌まって、非常に作りやすかった。
あ、あれ……ニパ子が可愛く見えてきた……。
さて、「さざなみ」を買ってきたはいいが、私はこれを「おおなみ」として完成させることができるのだろうか。ものによっては、任意の同型艦を作れるような仕様になっているキットもある(艦番号のデカールも全種含まれていたりする)が、このキットは一応「さざなみ」専用の仕様になっている。もっとも、それほど大きな違いは無いと思われるので、割り切って「おおなみ」に似せるくらいのつもりで取り組もう。モールドも、ほどよく薄い(つまりクドすぎない)のが嬉しい。幸いにも、追加エッチング同梱版を入手できたので、とりあえず箱の中のものをそのまま組み立てるだけでも十分見栄えのするものになりそうだ。艦載ヘリ(透明プラ)も、1/350スケールだとさすがに良い感じに存在感があるのでありがたい。
彫刻を見るかぎり、船体は「むらさめ」と共通であり、甲板も「たかなみ」と共通。つまり、甲板上のヘリ着艦標識(スポットマーク)は旧型の扇状デザインが凸モールドされたままなので、最新のデザインで制作する場合には削り取る必要がある。船体パーツは、内部の補強桁は一切無いが、一体成形(※バウ部分を除く)だし、艦尾が四角く固められている護衛艦の形状も幸いして、甲板を接着してしまえば強度面は大丈夫そう。なお、プラの表面はスベスベで、塗布剤によるベタつきは感じないので、離型剤の心配は要らないようだ。
1/700「あさゆき」が今月発売されるのか! やった、これで「やまゆき」を作れる(かも)!
『声優職業体験所』の一件以来、「やまゆき」を作りたいと思っていたのだけど、「はつゆき」型のキット(PRの「はつゆき」)は品切れが続いていたため、手を拱いていた。このスケールで門脇1等海尉と大橋3等海曹を再現しようとすると、仮に155cmの1/700スケールとして約2.2mmか……これはムリダナ。2色の棒人間を立てるのがせいぜいか。汎用エッチングパーツの乗員も市販されてはいるけど、さすがにそこまでする必要は無いだろう。
旧海軍艦の場合は、基本的にモノクロ写真でしか見られないし、ロマンティックな――あるいはほとんどフィクショナルな――歴史的過去の存在として捉えることしか出来ないので、フルハル置物として抽象的なかたちで模型鑑賞するのも受け入れやすいし、あるいは波濤を切り裂いてパワフルに洋上航行しているジオラマもありだと思う。それに対して現用艦の場合は、(主に港やその近辺で)実物を目にしたり、あるいは実際に乗船する機会すらあったりする。だから模型でも、静かな港に停泊してタグボートたちと一緒にちゃぷちゃぷ浮かんでいる姿の方が、親しみが持てるし、可愛いと思う。交戦情景にリアリティを感じることは困難だし。
AOSHIMAは、箱絵にミサイル発射の瞬間を描いたりするけどな!(おおたか/しらたか)
普段とは違うジャンルのキットに手を出すと、塗料だけで千円以上嵩むのがもやもやする。塗料瓶8本に、調色した塗料を保管する空瓶3本も買えば、2000円近くになることも間々ある。もちろんこれは費用だけの問題ではなく、「対応する塗料(色)の確認」、「購入の手間」、「調色の難しさ」、「残った塗料の保管乃至処理」がすべて掛かってくるわけで、心理的にはかなり面倒だと感じてしまう。いやまあ、そもそも模型制作趣味とはそういうプロセスの全体を楽しむ活動なのだから、不平を言うのはお門違いなのだけど、それでも人によって作業内容の好き嫌いはあるだろう。
また制作率が70%を割り込んだ……。
もっとも、作り切れないほど買い込んでいるわけではないし、それぞれ熟慮して買う意味を見出したうえで購入しているのだし、また、市場払底してしまう可能性を考えると「いずれ作りたいものはあるうちに買っておく」というのは合理的な行動だし、模型制作したい時に手許にあってすぐに作れるキットの選択肢は多い方がよいのだから、多めに買ってキープしておくというのはけっして悪いことではない。
1/350陸奥も、いずれ作りたいと思いつつも、行きつけのお店の店頭にあるのを眺めているだけだったのだが、今日行ったら無くなっていた。「それを購入されたとは、なかなかお目が高いモデラーさんがいらっしゃったのだな!」と思いつつも、自分がそれを買えなかったのはやはり残念だ。2万円近い出費はけっして小さくはないし、持って帰るのも大変なのだけど、やっぱり作りたいものは早めに買っておくべきだなあ。
04/27
余った塗料(混色したり溶剤で希釈したりしてしまった塗料)の扱いは、どうしたらいいのだろうか。特に、その塗料を使用する可能性が低い場合は。
a) 保管しておくならばどうか。保管コストは一色あたり瓶一本分。本数が少なければ負担は小さいが、数十個にもなってくると、保管も管理も大変になってくる。混色していた場合でも、ラベルに色設定を記録しておけば再利用の機会があった時にすぐに使えるが、ぴったり合う色ではないとか分量が足りないとかいった問題も生じうる。
b) 廃棄するならばコストはどうなるか。残った塗料を適当に廃棄する分には、基本的に費用はかからない。瓶は、不燃物あるいは「ビン」分類でゴミ出しするならば、わずかな手間と費用が掛かる。瓶を洗浄して再利用する場合は、溶剤分のコストが十数円乃至数十円掛かるし、きれいにするだけの手間も掛かる。同じ色を再度使用したい場合は、一色あたり150円程度の支出(と買いに行く手間)が掛かる。
心理的には、「ほんの少量であれば廃棄してしまいたいが、大量に調色+希釈したものは保管しておきたい」と感じるが、理屈でいえば、「少量調色していた場合は保管コストが低く、大量に作っていた場合は高くつく」ということになる。しかし、実際的にいえば、よほど大量でもないかぎり、一瓶分を超えることはまず無いので、塗料量の要素はあまり問題にならず、再利用の可能性の方が決定的になる。……という感じだろうか。あるいは、保管スペースには物理的限界があるので、「保管場所がオーバーフローした時点で、最も使いそうにない塗料から廃棄していく」のが、一応合理的であり、そして最も明快かもしれない。
デカール貼りは苦手だ……フラストレーションが溜まる。ふだんは独り言は一切しないのだけど、デカール作業中に苛立って悪態をつくことはわりと多い。
何故かというと、1)水を溜めておく必要があり、こぼさないように神経を使う。2)一気に作業することができず、一枚ずつ作業する。しかも、一枚毎に30秒程度待たなければいけない。3)デカールはペラペラなうえベタベタで、思ったところに貼り付けるのが非常に難しい。4)手順も「マークセッターを塗布する→ピンセットでデカールを摘んで貼る(スライドで置ける場合は爪楊枝等でもよいが)→爪楊枝等で素早く位置調整する→綿棒で液体を吸い取りつつ平滑に均す」という作業で、持ち替えが頻繁に生じるのが面倒。5)ベトベトする台紙に触れるのがすごく嫌。デカールを取った後の始末も鬱陶しい。6)失敗するとリカバリーが至難。7)コーティングするまではその部分をマスキングすることが出来ず、工程上の妨げにもなる。
デカール以外では表現困難なものもあり(例えば極小の文字プリントや大きなイラスト)、デカールならではのメリットも多いのだが、しないで済ませられるならせずにおきたい作業ではある。
1/350「さざなみ」は、まだ店頭入手できるので、近いうちに「おおなみ」として制作したい。改修点はよく分からない(調べていない)が、とりあえず艦番号の表示を113から111に変えるだけでも気分は出るんじゃないかと思う。次に作ったら、たかなみ型は6隻目か……。
4月の趣味支出はかなり少なかった。多少余裕が出来た分、1/350隼にゃん(未着手)にエッチングセットを振る舞ってあげてもいいかも。いつ制作できるか分からないけど。
新記事:「『1/700ナチ』雑感」。片手間の制作だったが、楽しかった。この「ナチ」キットを完成させたweb上の個別記事(一般モデラーの制作例)はまだ無いようなので、私が記事公開することに一定の意義はあるだろう。
それにしても、よくもこんなものをキット化したものだと思う。はたしてどのくらい売れたのかと心配してしまうくらいだ。「ミリタリー系の関心+モデリング技術+アニメ(または漫画)好き」の三者が揃っていなければ、手も出しにくいし完成させるのも難しく、一般の艦船模型と比べてもはるかに敷居は高い筈だ。通常のキット(「金剛」や「那智」)はすでにあるので、通常の艦船モデラーがわざわざこれらのキットを買う理由も無い。コスト面でも、独自に企画立案及び交渉+パッケージング+新規パーツ(主に艦底部の金型)の作成及び保守管理が必要になっているのだが、採算は取れているのだろうか。
ただし、「大部分は既存金型を転用できる」、「3Dモデルのデータはすでに出来ている」という強みはあるので、開発費は比較的低く抑えられているのかもしれない。また、TVアニメに合わせたプラモシリーズだけで終わらず、その後さらに劇場版対応の一連のキットもリリースしているわけだから、おそらく最初のシリーズのセールスが良くて、シリーズ追加しても採算が取れる手応えはあったのだろう。内容面でも、金剛型と妙高型はHASEGAWAキットを使っているので(金剛型の精度はともかく)作りやすいし、大和型についてはAOSHIMAが新規開発したのでそれなりに配慮が為されているだろう。そう考えると、「金型資産の活用」「新規顧客(モデラー)の開拓」という意味で、成果はあったのかもしれない。AOSHIMAが上手くやっていてくれると良いのだが。
「ナチ 制作」とか「ナチ 完成」とか、ぱっと見では非常にまずいキーワードで検索してしまっている。国家社会主義が完成してしまったらどうなるんだ。さらに「ハイディテールなナチ」「ラージスケールなナチ」「エッジをシャープに作り込んだナチ」「リアリティ溢れるナチ」「再現度の高いナチ」まで行くと、電波発言の域に踏み込んでしまったかのようだ。
04/19
ボートダビットは、エッチングを使用するとその薄っぺらさが目立ってしまうので、あまり好みではない。実物でもそれなりの厚みはあった筈だし。特に1/350スケールになると、そこだけ浮いてしまうように感じる。小スケールだったら、あまり気にならないのだろうか。あるいは、フック部分だけ切り出してキットパーツに移植するというくらいでよいかもしれない。プラのモールディングでは造形困難なくらいの細かさだし。
カーモデル、むずいー。
パーツ構成はシンプルなのだけど、その分、パーツの歪みがあると大変だし。ガラス部分などの接着固定が難しい箇所もあるし。組み立ての際にもボディ嵌め込みなどに力が掛かってしまう部分があるし。それでいて、補強桁のようなものがほとんど無いので、手に持つだけでもおっかなびっくりだし。ツヤ出し塗装は表面処理にたいへん気を使うし。メッキパーツのように、素人には扱いの難しいものも含まれるし。スケールが大きいので誤魔化しが利かない(失敗が目立つ)し。
どうにかこうにかして作り上げれば、きれいで存在感のある模型になってくれるので、これはこれでやっぱり良いものではあるのだけど。「完成状態のクオリティを上げる」というプロセスが、単純に金を掛けてディテールを増やせばよいというものではなく、工作精度そのものに直結しているので、モデラー自身の技術が厳しく問われる分野だと痛感させられる。
艦船系では、出来合いのオプションパーツ等を投入していけばどんどん見栄えが向上す(るような気分になれ)るし、極端な小スケールであるため塗装の質感表現などもあまり気を使わなくて済むし、塗装に多少失敗してもコーティングでずいぶん誤魔化せる。構造上も、マストのようなデリケートな部分はあるものの、基本的には船体の上にいろいろ積んでいくだけでよいので、制作中の取り回しもそれほど難しくないし、工程プランも立てやすい。……もちろん、これはまだまだ水準の低い話であって、本当にリアリティのある模型として完成させるのは相当なテクニックと労力が必要になる。あるいは、そうしたことが知られているくらい、艦船ジャンルでも作り込みの様々な技法が開拓され続けている。
極小パーツを工作した後で米粒(長さ5mm)を見ると、やたら巨大な物体に見える。
ああ、これが弓の名人の境地か(違う)。
ああ、後部マストがぽっきりと……机の上に置いていた1/350摩耶を、ついに(早くも)破損してしまった。ひとまずきれいに修復できたし、机の上に剥き出しで置いていれば遠からずそうなるのは当然だが、やはり悲しい。
クリアケース越しにではなく、じかに間近でその姿を見ていたいし、それは多少埃が付くのと引き換えにしても価値のある体験のクオリティだ。万一致命的に破損してしまったとしても、もう一度作ればいい。そう考えている。
04/12
【 シルバーを利用した塗装 】
キャラクターモデルを作っていた頃から、各色にシルバーを混ぜて塗装するのはよくやっていた。特に筆塗りの場合、「隠蔽力が上がる」、「塗料の定着も良くなる」、「塗料の伸びも落ち着く(塗りムラが出にくくなる)」、「なんとなく金属的な重々しさが加わる気がする(明るい色でもチャチな印象を免れる)」、「ツヤ消しと半光沢の中間程度の表面反射になる(メタルカラーというほどではない)」といった利点があった。難点は、「色が鈍く沈む」、「塗膜が厚めになりやすい」、「塗料を混ぜる手間とコストが増える」、「混ぜてしまった塗料は他に転用が利かない」、「エアブラシ塗装では濃度等に注意が必要」、といったあたり。
最近では、筆塗りメインで塗装することがほぼ皆無になったこともあり、またスケモ分野がメインになったためもあって、シルバー混色塗装をすることも無くなった。ただ、下地にシルバーを吹き付けておいて、その上から設定色を吹き付けることで、一風変わった質感を試みたことはあった。特にブルー系の塗装をする時は、色調のチャチさが多少は軽減されたと思う。いずれも、オモチャっぽさを脱するための私なりの(至極単純な)対処だった。
しなのさんが……ついに「ちび丸」シリーズに手を出す時が来たのか。
出オチなハリボテではあったけれど、名前といい、佇まいといい、色といい、私にとっては非常に好ましい
発売から15年も経つと、キットのバリも増えてくるんだなあ……。2007年発売でも丸十年だ。主要なキットは定期的に在庫補充されやすい分野なので、「欲しくなった(作りたくなった)時に買えばいい」というのは確かにあるけれど、金型のことを考えると、欲しくなりそうなものは若いロットのうちに買っておくというのは意味のあることだろう。バリ処理は、完成品のクオリティを上げるために重要な作業ではあるが、「あるべき」作業というわけではないし、制作の醍醐味でもなんでもない。無ければ無いに越したことは無いのだ。
わりと無策に買いまくっているわりに、制作率は(制作途中のものも含めれば)7割を超えている。積みすぎずに済んでいるということでもあり、また、イージーに作りすぎているかもしれないという懸念もある。大半はストレート制作か、お仕着せオプションパーツを組み込んだ程度か、あるいはせいぜいちょっとしたアレンジを加える程度なので。
艦底色は、1/350のサイズで明るいレッドにすると、面積が広いので目立つし、安っぽさの印象がが先行してしまいかねないので、あえて暗めの色調(Mr. Colorスプレーの艦底色)で重々しくさせている。しかし、1/700スケールであれば、キット全体がコンパクトに引き締まっているし、重厚なリアリティよりもクリアな清潔感を志向させやすいので、明度を上げた色調(本来の色)で塗ってもうまくフィットすると思う。理屈のうえでも、同じ色でも面積の大きい方が明るく見え、面積の小さい方が暗く見えてしまう(「面積効果」)ので、大スケールでは色を暗めにしても堪えられるし、小スケールでは明るめにしておく方がよい。
手許のリストで数えてみると、これまで制作した艦船模型は半数以上がフルハルモデルだった。1/350スケールキットはすべてフルハル(あるいは少なくともフルハル化可能な仕様)になっているとはいえ、フルハルキットをこれだけ楽しめているのは嬉しいことだ。
最初の頃は、艦底パーツを接着せずにいた。WL化可能にしておくという考えもあったし、軽巡洋艦以下だと艦底が平面になっていないのでベタ置きできないし、バラして保管しやすくするためにも艦底パーツを分離できる方が好都合だった。最近では、ようやく流し込み接着に慣れてきたこともあり、工程管理の仕方も分かってきたので、あらかじめ時間を取って艦底パーツをきちんと接着したうえで組み立てと塗装を行うようになった。
ICMのケーちゃんを作った日本人(webで完成記事を日本語で公開した人)は、まだいないのか。貴重なWWI期戦艦キットで、しかもパーツは極薄極細で、モールドも目を瞠るほど繊細精密で、パーツ表面も心地良いマットな感触だし、パーツの合いもきれいだし、もちろんバリなんかろくに無いしで、すごいキットだった。プラ素材も、ほとんど異様と言っていいほどの手触りで、クニャクニャとよく曲がって、デザインナイフで切っても音もなくプツプツと刃が通っていくし、接着剤を流し込めばねっとりとくっつく。約25cmの小ぶりなサイズにもかかわらず、まぎれもないハイエンドキットで、制作失敗してしまうのをこれほど怖れたことは無かった――そして、艦船キットにこれほど感動したこともそうそう無かった。
以前の同社キットでは離型剤が多量に付いているという報告も見られるが、今回のキットを手に取ってみたかぎりでは、ほとんど感じられなかった。ただし、念のため全パーツを洗いはした。
瓶に出しておいたリノリウム色塗料が、分離してイエローの液体とブラウンの塗料に……なんだかプリンみたいで美味しそu…こほん。
04/10
1/350飛鷹も出るのか。ということは、飛鷹を出しても十分売れるという目算が立てられるくらいには、隼にゃんがよく売れてくれたということなのかな。ただし、むしろ逆に、隼にゃんのセールスが今一つだったので金型投資を回収するためにマイナーチェンジの飛鷹も出すことにした、という可能性も考えられるのだけど。模型メーカーの経営事情は想像しにくい。
古鷹を「こよう」と読んでしまいがちなのは、「鷹」字を含むそれ以外の艦(飛鷹型や大鷹型)がたいてい音読みであるせいかもしれない。ただし、隼鷹たちは一般名詞である(それゆえ読みはどちらもあり得る)のに対して、古鷹は古鷹山(ふるたかやま)という固有名詞から来ているので、それに準じた「ふるたか」という読みしかあり得ない、という違いがある。
初鷹型や水雷艇蒼鷹は、訓読みの「たか」だったりするらしい。
超絶技巧のモデラーさんたちの作品を見ていると、1/700スケールでも1/350かと見まがう(比喩ではなく、本当に識別できない)ことも多々ある。それに対して私はあっさりプレーンに作っているので、大スケールキットですら1/700並に簡素な作りに見えてしまったりしそう。もちろん、プラモ実物を見るとずいぶん雰囲気は違うけれど。例えば空母なんかは、1/700スケールであればそれらしいまとまりが出るけれど、1/350スケールキットではよほどしっかり作り込まなければ間の抜けたハリボテになってしまいかねない。怖い。
ちなみに、表面の破損(ひっかき傷など)を気にしないならば、空母キットの上に小スケールWLキットをいくつも乗せてディスプレイしたりもできる。そんな状態を眺めていると、自分が何を見ているのか分からなくなったりして。
【 トップコート白化の対処 】
ツヤ消しトップコートの失敗(白化)に対しては、急いでシンナーを吹きつけて、表面を溶かして馴染ませるという対処でわりと解決できる。それでも微妙に白っぽい色合いが残ってしまうこともあるが、暗めの色でウォッシングすればちょうど良くなったりするし、場合によっては「これは空気遠近法の演出だから!」と強がって済ませることもできる。
【 船体だけでも作っておく 】
自宅には、船体を接着しただけのキットがいくつもある。ここだけでも作業しておけば、ひとまずその土台作りに着手した気分になれるし、甲板パーツを嵌め込みさえすればその船の基本骨格を最低限鑑賞することができるし、作りたくなった時にはすぐ制作作業を進めていけるし、もちろん接着固定に十分な時間を経過させておくことができる。フルハルキットや大スケールキットであれば、補強構造がしっかりするので、放置していてもズレてくる可能性は低いし、箱の中の大型ランナーを数枚分除去しておけるというのも一応得になっている。万一接着を致命的に失敗してしまった場合でも、本格的に制作着手するまでに対処しておける(――製品をもう一個購入するなり、パーツ注文しとておくなり。今のところ、そこまで致命的なミスをしたことは無いが)。
デメリットは……「ランナーから切り出しているので、箱の中で船体パーツがガサガサ動いてしまう」、「接着が外れる可能性がある(甲板まで接着した完成状態に比べると、バラける危険はわずかながら高いだろう)」、「ものによっては、接着したせいで箱の中に入らなくなるかもしれない」、「手を入れてしまっているので、おそらく未制作品としての中古売却が出来なくなっている(売るつもりなど無いが)」といったところか。
04/08
【 艦船塗装の立体感演出 】
米艦などには迷彩塗装があるものの、IJN艦船は多くがグレー基調でどうしても単調になってしまいがちなので、何か良い手はないかと考えてみた。しかし、大型模型の塗装では、微妙に色調の異なる複数の塗料をそれぞれ大量に管理して一々塗り分けていくのは大変だ(木甲板塗装では行われているけど)。ということで、ウォッシングするエナメル塗料の色と濃度を使い分けることで、手っ取り早く陰影表現や擬似カラーモジュレーションを試みると……うーん、ほとんど効果は無い、というか実際に違いが生じているのかどうかも分からないレベルだ。しかし、濃度などをうまくコントロールできれば、立体感やスケール感を高められるポテンシャルはあると思う。フリーハンドの筆塗りでごく薄く色を行き渡らせていくだけなので、手間もかからないし、たいして気を遣う作業でもないし、その性質上、失敗してもリカバリーが利きやすい。なんとかうまくやれないか、適当なキットでいろいろ試してみよう。
もちろん、本塗装のレベルで複数の色調の塗料を用意して使い分けていくというのが、一番きちんとしたアプローチなのだが、AFVはいざ知らず、艦船模型は構造が複雑だしパーツも多いしパーツ破損も怖いので、(少なくとも私自身の制作では)あまり複雑な工程にするのは避けたい。でも、例えば機銃や高角砲などを微妙に違った色合いで塗装して存在感を際立たせるというのは、模型的演出として十分アリだと思う。また、陰影を強調するために、奥まった部分にあらかじめ濃い色を塗っておくというのは、すでに行われている手法だ。ただし、艦船の場合は造形が複雑なことが多いので、AFVのようにフィルタリングの上塗りを後から施すのは少々難しいように思うが、かなり薄めた塗料でさっと吹き付けるくらいならば、わりと簡単に行えるかもしれない。
要はAFVでいう多色使用のフィルタリング演出なので、すでに練達の艦船モデラーたちによって試みられて技法的可能性の診断が下されているのかもしれないが、寡聞にして聞き及ばないので、とりあえず思考(試行)の記録として書き留めておく。
【 「木甲板フィニッシュ」というのはどうだろう? 】
Hasegawaが「木甲板フィニッシュ」のような印刷済み極薄シールを作ってくれたら、かなり便利になりそう。考えられる利点は、「甲板面のマスキング作業がほぼ不要になり、後からシートを貼り付けるだけで済む」、「既存の木甲板シートよりもはるかに薄いので甲板面モールドや側面からの見栄えを損なわない」、「リアリティのある木甲板表現が簡単に実現できる」。
逆に、難点になりそうなのは、「広い面に極薄シートをきれいに貼り付けるのは難しい」、「特に手摺エッチングを先に取り付けていると、非常に貼り付けにくい」、「かなり高コストになる(特に空母。ただし、既存の木甲板シートと大差ない範囲に収まるだろう)」、「プリントされた木目の具合によっては好き嫌いが出る(木の材質感がプリントでどこまで表現できるか分からない)」、「カッターの木目部分との違いが気になるかもしれない」、「繋止眼環などを彫り込む際に表面が荒れる虞がある」といったところか。
クオリティ面では、既存の分厚い木甲板シートよりはかなりマシになるだろうし、特easy版のような木甲板シールよりも質感の再現度は良いものになりそうだ。既発売の「カーボンフィニッシュ」などを見ても、精密な木目印刷は技術的にも十分可能なように思える。シートの上からのラッカー塗装も一応可能なので(デカールは馴染むだろうか?)、空母の白線塗装もできるだろう。「フィニッシュ」シリーズの標準価格のままならば、価格もけっして高くはない。Hasegawaとしても、この程度の製品であれば、新規開発のコストもあまり掛からないだろうし、最近の天龍型や島風のように甲板面塗り分けのユーザビリティを考慮してくれているくらいだから、木甲板シールという発想を嫌がったりはしないだろう。ユーザー(艦船モデラー)側を見ても、特にtwではリノリウムフィニッシュを使った制作がそこそこあるので、「塗装に代えてシールを使う」アプローチは十分受け入れられていると見てよいだろう。……作ってくれないかなあ。
04/01
摩耶はこれまで6隻制作、赤城はいろいろあって6隻(未制作を含む)、ザクF2もMG版とHGUC版で併せて5体、ティルピッツも4隻、綾波や隼鷹も3社3キットずつ、利根型も計3隻、信濃は食玩も含めて9個、そして今回ので比叡も4隻目。所持&制作キットについてはリスト化して記録しているが、ソートしてみるとずいぶん偏っているなあ……。
比叡も完成させたが、なんというか、スケモとしてはずいぶんなネタ路線に向かいつつあるような気が……。ネウロイ赤城では、イロモノの王道(?)たるニコイチ制作もやったし、IF艦もやったようなものだし、もちろん『アルペジオ』にも手を出したし……。
年度が替わったので、これまで作ってきた模型のいくつかを撮影しておく。昨年(昨年度)の私がちゃんと遊んでいたことを証立てるためにも、ここに掲載しておこう。気に入った艦であれば、何度制作してもいいと思う。
「たぶん、私は三人目だと思うから」。上(奥)からFinemolds版(1/350、同社製エッチングも使用)、Tamiya版(非常に古いキット、無塗装)、Pit-Road版の綾波(汎用手摺などを組み込んだ)。この頃になると、説明書どおりに組むのは慣れてきていた。1/350綾波はリノリウムフィッシュを使ってみたが、わりと良い感じになった。艦橋頂部を接着せずにおくと、内部再現モデルっぽくなる。
摩耶5隻。上からAoshima版(1/350)、同じくAoshima版(最初期のネタ塗装制作)、Pit-Road版(作りやすかった)、Fujimi版(特easyそのまま)、Fujimi版(純正エッチングほかを使用)。以前にもう一隻作っていたが、引越の際に破棄した。Fujimi版の制作はとてもハードで、制作スタイルを再考させられた。
Aoshima版1/350摩耶を前面から。50時間くらい掛かっただろうか。なんのかんので楽しい制作だった。ひとまず説明書どおりプレーンに組んだ。これからまだウォッシングくらいは施しておきたい。
Aoshima版1/350摩耶を後ろ側から。同社製エッチング3枚セットを使いつつ、艦載艇はTamiya製のものに取り替え、機銃はFinemoldsに、高角砲をFujimiパーツに交換した程度。
利根型3隻。Tamiya版筑摩、Aoshima版筑摩、Fujimi版利根。出版の筑摩さんには(本業方面で)お世話になっています。下の利根は、ごちゃごちゃディテールの限界を感じさせられ、「1/700はシンプルでいいや」と方針転換するきっかけになった。Tamiya筑摩はとにかく作りやすく、楽しい時間を過ごせた。摩耶→最上→筑摩と重巡を並べると、デザインの変化が見て取れて面白い。
おおなみ4隻。作り込んだのはPit-Road版。下はAoshima版(無塗装)。どちらも一年以上前の制作だが。小さくてかわいいのは最近発売されたF-toys版の2種類。
せっかくだから、今回の「比叡」の記事も作っておこう。
いろいろ作ってはきたけれど、とりあえずモデラーとしての私の名刺(あるいは看板、代表作、能力証明)になるのは、1/350金剛とネウロイ赤城の2個になるかと思う。つまり、前者は「大スケールのハイエンドキットを、純正エッチングとひととおりのアフターパーツを使いつつ、一応曲がりなりにもストレートに組むことまではできますよ」(技術的になんとか初級者レベルは脱している)という証明として、また、後者は「比較的高度だとされている工作も一応こなしつつ、自分なりのコンセプトで一つの作品を作り上げることはできますよ」(モデラーとしてひとまず自立している)という証明として。もっとも、金剛はしょせん説明書そのままの習作レベルだし、赤城もいろいろと粗の多い出来だし、それどころかそもそもスケールモデルの範疇をほとんど逸脱しているけれど。
2年近く前に作ったこの金剛を手に取って眺めつつ顧みて、「はたして現在の自分は、この作品よりも優れたものを作れるのだろうか?」という疑問に答えられる自信は無い。たしかに、(同じキットを作った経験および知識という要素を仮に無視したとしても)今ならもっと手早く無駄なく作れるだろうし、制作上のミスももっと減らせるだろうし、(技術面でも知識面でも)こんな間違いはもはや犯さないという点も多々あるし、実行可能な追加工作もいろいろ増えている。しかし、しかしながら、全体の出来映えという点で、はっきり違いが見出せるほどマシなものを作れるかというと……YESと答えられるほどの裏付けは持っていない。つまり、私は今でも相変わらず、素材の出来に頼ったままなのだ。たしかに私が目指している模型スタイルは、メーカーの完成品見本のような明快なシンプルさなのだが、現代的水準のハイエンドキットを前にしてきちんとした技術的考証を踏まえつつリアリティ溢れる工作表現を盛り込むといったようなことは、「やる/やらない」以前に、端的に「私には(まだ)出来ない」のだ。
感染模型……『もやしもん』的なウイルスのフィギュア?
(→2017年1~3月/9月~)