2013/11/04

公式サイトのコンテンツ

  公式サイトのコンテンツは、何をいつどのように公開するのが望ましいか。
  (あるいは、私がユーザーとして、何をいつどのように公開してもらいたいか。)


  公式サイト等で扱われるコンテンツには、新たなインフォメーションを与える「情報」としての意味を持つものと、その都度のアミューズメントを与える「娯楽」としての意味を持つものとがあると考えられる。そして広報上の機能としては、前者のコンテンツは顧客をして当該タイトルに「注目」させる役割があり、他方で後者は――主に公式サイトを訪問させるという形態で――顧客をして当該タイトルへの注目を「維持」させる役割があると言ってよいだろう。典型的には、スタッフ情報やキャスト情報は前者にあたり、発売前人気投票などは後者にあたる。サンプルCGやサンプルヴォイスは、購入のための判断材料を提供する試供品であるという意味で基本的には前者に属するが、しかしCGサイズの大きさや音質の良さに応じて、閲覧者の耳目を楽しませることもできるし、新たなサンプルを定期的に公開していくことによってサイト再訪を促進することもできる。さらに、大きなコストを掛けて制作されるデモムービーは、双方の機能を高いレベルで備えている。

  このような機能的分類を想定すると、前者の情報は、新作告知の初報時点で必要なものを一気に(できるだけ大量に)公開して、できるだけ多くの注目を集めることが望ましい。他方で後者に属する情報は、クリティカルなものをあまり隠蔽し続けていてもいけないが、しかし分割して小出しにしていくことにもメリットはある。このように考えられるだろう。

  つまり、要するに、キャスト情報は出し渋らずにすぐ教えて下さい。


  ただし、現在支配的なあの細切れサンプルヴォイス仕様については、不満がある。本編から適当に切り出しただけの、単体としてはそんなに面白くもないほんの2~3秒の台詞を抜き出して、それらをほんの3つか4つ並べておくだけでは、ちっとも面白くはないし、たいして参考にもならない。もちろん、そのほんの2秒の芝居でその役と役者の個性をまざまざと知らしめる声優の実力を、ユーザーたちは数限りなく体験してきているのではあるけれど、それはウェブ広報の怠惰さを正当化するものではない。

  近年では公式サイト用のキャラクター自己紹介音声などを別途作成し公開しているものが現れているが、これは、「これまでどおりのやり方」にただ安住するのではなく、ユーザーに対して何をすることが必要であるか(あるいは、同じことだが、何をすることが有効であるか)をきちんと考えたうえでの、正統進化だと言うべきだろう。実際、それらは嬉しいし楽しいものだ。たとえば『イモウトノカタチ』(Sphere、2012年)は全5回にわたってwebドラマ形式のコンテンツ(全体で40分にも及ぶ大規模なもの)を公開したし、Whirlpoolは2011年の『77』以来、主要ヒロインたちの「キャラクターコメント」音声を公開している。