2024/08/29

2024年8月の雑記

 2024年8月の雑記。


 08/28(Wed)

 現代オタク系コンテンツに、男性たちの自己投影を促すような魅力的なキャラクターはいるか?という問について。
 問題提起としては面白い。ただし、不必要に挑発的な口ぶりはいただけないし、女性サイドのラインアップについても大いに疑問があることはあらかじめ述べておくが。
 上の問を私なりに定式化するなら、「思春期または未成年の男子にとって、ロールモデルとなるようなキャラクターや、理想となるような魅力的なヒーローを、今世紀日本のオタク/サブカルは生み出してきたのか否か」。あるいは、「男性一般にとって」と述べてもよい。
 遡れば、ジョーや聖矢やキン肉マンのような立派(?)なヒーロー、あるいは「僕はアムロ・レイだ」「碇シンジに共感できる」というような存在は、前世紀には常に提供されてきたと言えるだろう。それに対して、
1: そういう存在が今世紀にいるか
2: そういう存在は今世紀に必要か
3: そういう存在は今世紀に成立し得るか
を、それぞれ考えることができる。

 論点1)について。深夜アニメはともかく、少年漫画やコンシューマゲームや特撮ドラマには、数多く存在する。例えば『鬼滅の刃』(連載は2016-2020年)や『BEASTARS』(2016-2020)、『怪獣8号』(2020-)、『僕のヒーローアカデミア』(2014-2024)、等々。主に『少年ジャンプ』誌によるこれらのキャラクターたちは、少年たちの間で大きな人気を博し、しかも、主人公の男性キャラクターについてはその心情や価値観に即したドラマティックな掘り下げが為されている。また、ゲーム分野でも、『ポケモン』シリーズの主人公たちを初めとして、新作が出るたびに更新されてきた任天堂ヒーローたちを挙げられるだろう。格ゲーの男性キャラクターたちも、しばしば格好良く描かれる。いるかどうかで言えば、「少年たちのロールモデルになる男性キャラクターは、現在でも多数存在する」と言える。
 少年向けではなく、成人を含む男性一般について言えば、答はいささかアンビヴァレントになる。まず、存在するかどうかで言えば、存在する。むしろ、00年代風の無個性主人公とは異なって、10年代以降のネット異世界小説の男性主人公たちは、それぞれに特別なスキルを持って活躍する物語であることが非常に多い。そうした中で、各人が自分なりに共感できる(男性)キャラクターに出会うことは、いくらでもあるだろう。
 ただし、世代の看板になるような圧倒的な人気キャラがいるわけではない。しかしそれは、現代の多様化の帰結として、一強優位が市場的に成立しないというだけであって、自己投影できるヒーローがいるかどうかとは別問題だ。各人にとっての魅力的なキャラクターは、それぞれにいるだろう。
 また、そもそも成人はキャラクターに自己投影しないことが多い。これは男女ともに当てはまり、成人女性向けのロールモデル的看板キャラクターも、同様に少ないと言うべきだろう。実際には、ゲームやアニメよりむしろ実写ドラマ分野が、現実的な女性たちの生き方のより良い未来像を積極的に描こうとしているようにも見える。

 さらにここから、そのような自己の理想を投影するようなヒロイックなキャラクターが、現代において存立し得るのか(また、そのようなキャラクターは現代の価値観から求められるのだろうか)という問につながる。つまり上記論点2)と論点3)のことだ。マッチョなヒーローを現代において新たな描くことは、きわめて難しい。ましてや、男性のための(ジェンダーロールを不可避的に含む)ロールモデルとなるようなキャラクターを描くことは、はたして望ましいことなのかという疑問もある。
 悩みつつも世の中の転変に対処していく「新九郎」のようなキャラクターや、(旧来的な)男性性をかなぐり捨てた男の娘キャラや、「男性向け/女性向け」というジェンダーロールをヴァーチャルな現れによって乗り超えるVtuberたち、あるいは、旧弊的なマチズモに開き直るかのような無邪気な異世界ハーレム主人公であれば、現代でも表現することはできる。しかし、の子のための々しく英的な性キャラクターを素朴に描くことは、最低限の現代的センシビリティを持つ創作者であれば、かなり難しい筈だ。

 私なりの結論をバラバラに述べると:
・女性向け(少女向け)のロールモデル的キャラクターが更新されているというのは疑わしい(※ユーベルのような痛いキャラは、ここで挙げるのは無理でしょ……鋏を見つめてニヤけるキャラ……あっ、痛い痛い)。
・男性向け(少年向け)の自己投影できるキャラクターも多数存在する。それらを看過するのは端的に誤り。それに、「キリト、比企谷、キョン、阿良々木」も、ちっとも男性(少年)が自己投影できそうにないキャラクターばかりだが。
・「オタクアニメが美少女ものばかりになっているから、そこでは立派な男性キャラが描かれなくなっているのではないか」という推測は、ジャンルの違いを無視したチェリーピッキングだ。深夜アニメに素朴なヒーローキャラが少ないのは、むしろ当然だし、少年漫画を見れば、共感できる男性キャラクターは無数に見つかる。
・成人男女が視聴する深夜アニメが、素朴な自己投影を促すような旧弊的男性ヒーローを描いていないのであれば、それはそれで現代的ジェンダー意識の下で、良いことだと言える。もっとも、異世界系アニメのように、男性主人公のヒロイックな活躍によって魅惑するジャンルも存在するし、後宮小説や『○○の嫁』もののような女性向けのシンデレラ的エンタメコンテンツも多数存在するが。

 雑駁にまとめると、こんな感じかなあ。
 ユーベルを女性向けで挙げていいなら、男性向けではボンドルドを挙げてもいいよね。あれに自己投影するorしようとする人は、たくさんいそうだし。
 ちょっと驚いたのは、『水星の魔女』(2022-2023)のことを、まるで皆忘れてしまっているかのように見えること。スレッタ/ミオリネは、「現代(最新)の」+「超有名タイトルで」+「キャラクターも魅力的で人気を博しており」+「女性(少女)向けの自己投影できるような内面的掘り下げがあった」という典型なのに……。


 どんな議論も、例示を間違えると説得力を致命的に損なう。当該議論について、典型例の一つも挙げられないようでは、そもそも主張内容が間違っている可能性があるし、あやふやな例しか挙げられないようでは、論者自身の知識水準がまるで信用できないからだ。
 その一方で、ある議論に対して「○○の事例に言及していないから駄目」という批判も、これまた粗悪な論法の一つだ。よほど狭く絞り込んだテーマでもないかぎり、例示しきれない存在は出てくるものだから、こういう批判は基本的には難癖と言ってよい。
 語るときは慎重に(よく調べて)。聞くときは寛容に(議論の枠組や趣旨を尊重して)。そして、語り合うときは、お互いの知をより良いものにするように協力しあう(つまり、どちらが勝つか負けるかの戦いにはしない)。それが他者との知的な会話の基礎にあるべきだろう。私自身、なかなかやれていないが(※例えば、上の議論では、言及先の相手に伝わらないであろうモノローグなので、真偽や当否の基準を厳しめに扱っている。もしもこれが相手との直接の会話であれば、もっとマイルドに語っただろう)。


 異世界小説系のフィクションは、優れた作品も非常に多い。ジャンル全体を一括りにバカにすることがあってはならない。女性向け(女性主人公)のタイトルもあるし、ハーレムを作らない孤独の漂泊の物語もある。ただし、あれほど活発にジャンル内の相互作用やコードのアレンジやコンセプトの脱構築が大胆かつ高速に試みられているにもかかわらず、一夫多妻ハーレムに対する再検討の流れが見当たらないのは、不思議だし、残念に思っている。そういう取り組みをしている作品も、きっと誰かが試みていると思うが、寡聞にしてそういう実例は知らない。
 例えば『のんびり農家』では、様々な異種族の女性たちが、あくまで種族繁栄と勢力拡大のために男性主人公とのつながりを求めており、そういうクールな実利的判断による収奪関係は、ある意味、ハーレムものの根幹を突き崩しかねない要素を含んでいたが、表面上のコメディ展開に覆い隠されたままで、ジャンル全体への影響はほとんど生じなかったように見受けられる。


 中国製のプラモデル/トイについては、直近4連続でエラー品を引きまくっている。具体的には、
・ランナーの入れ間違い(※輸入元に連絡して、不足ランナーを郵送してもらった)
・フェイスパーツ差分の入れ間違い(※デカールを使って自力解決した)
・大きな成形不良(しかも2箇所。パテで埋めて解決できたが、可動が失われた)
・成形不良(こちらも2箇所の湯流れ不良。両方ともプラ工作で修復してなんとか解決した)

あくまで私個人の体験だが、やはりこうしたミスは海外キットには比較的多いと思われる。そして、こうした問題に対処できるスキルか(工作技術や交渉能力)、問題発生の可能性を受け入れる心積もり、そして解決不可能だった場合には諦める覚悟も必要になる。そういう意味で、初心者に勧めにくい領域なのは確かだ。とはいえ、造形は素晴らしいものが多いし、価格面でもリーズナブルで、日本国内メーカーのキットとは一味違った魅力を湛えている。いずれにせよ、上手く付き合っていけたらいいね……。

 上記のランナーの入れ間違いは、ちょうど同じくらいのサイズのランナー同士だったため、おそらく重量検品もすり抜けてしまったものと思われる。これはどうしようもない。
 日本国内のキットでも、エラー品はもちろん存在する。例えばAoshimaの初版「VFG ジークフリード」が、成形不良を起こしたことがある(※私が買った製品は大丈夫だったが)。KOTOBUKIYAも、アルカナディアの「ルミティア」で股関節パーツの不具合(※交換対応)、「ユクモ」で塗装済みパーツの塗り間違い(※こちらも交換対応)があった。
 スケールモデル分野には1970年代くらいのオールドキットもあって、金型にガタが来てモールドがゆるゆるだったりバリだらけだったりすることもあるので、自力でなんとか対処するスキルが求められる。日本国内だと、特にHASEGAWAが金型緩みを起こしやすく、近年のFUJIMIも金型メンテナンスがあまり上手くないという印象(※比較的新しい「艦NEXT」のキットでも盛大なバリが発生していたことがある)。


 ミリタリー系のディテールがしっかりしているので、キットパーツを加工しなくても、きちんと塗装していくだけで、とても迫力のあるキットになる。サイズも18cmと一回り大きく、たいへん満足。

 今回も、ツヤ消しトップコートにちょっとだけグレー系塗料を混ぜて、全体の色調を整えた。トップコートとフィルタリング(全体の色調フィルター調整)を同時に行う、いつものお手軽(横着)モデリング。
 一般的な制作手法だと、「ラッカーの基礎塗装→エナメル塗料でウェザリング→水性トップコートで保護」になるが、こちらの場合は、「基礎塗装→トップコート→エナメルウェザリング」の順番になる。メリットは、部分塗装でも出来ること(※ラッカーでのトップコートを先にするので、エナメルの侵蝕を防げる)。デメリットは、エナメル塗料がずっとベタベタすることと、ツヤ消しだとスミ入れが滲むこと。AFVや艦船模型を適当に汚しながら制作する分には好都合だが、航空機やカーモデルでは使えない。

 【 ガールプラモのサイズ:中国キットは大型化? 】
 上記キットに限らず、最近の中国メーカーのガールは、大型化しつつあるような気配がある。
 最初期(2020-2021年頃)は、日本のものと同等で15-16cmくらいだったが、御模道は2022年頃(錦衣衛やフランケン)から脚部が長くなって17cm級になっている。頭部の大きなSD双子「黒白無常仙」(2023)も、パーツそのものは大ぶりなので、もしかしたら大サイズキャラの実験なのかもしれない。
 Nuke Matrixも、素体のプロポーションは平均的だが、「ユフナ・マルキナ」(2023)ではメカ脚部が大型化して、頭頂高もかなり上がった。Dodowoの「梵蒂」(2022)も、明らかに一回り大きい17cm級。そして上記「Stapel」は18cmに達する。
 このまま進むと、日本ガールプラモ(14-15cm標準、1/10~1/11相当)と中国ガール(17-18cm、1/9相当)で、種分化していく可能性も考えられる。現状でも、すでに「Stapel」と日本国内ガールは、もはや同じ縮尺とは見做せないが、この風景が今後ありふれたものになっていくかもしれない。
 日本にも、18cm級キットとしてBANDAIのHGBFシリーズ(2015-2018)やGFP「マリー」「フィーナ」(2018)が存在したが、結局は15cm級(6インチ級)に淘汰されてしまった。Figure-rise LABOやX-PLUSのような固定ポーズキットにも大サイズのものが存在するが、無可動キットは別ジャンルと言うべきだろう。

 17-18cm級は、「大きいと迫力がある」、「大きい方がディテールや内部構造に余裕がある」、「ジョイントも大型化して強度確保できる」、「隣接分野の可動フィギュア(※これも中国が強い)と同サイズで並べられる」といったメリットがあり、これはこれで理解できる。それに対するデメリットは、「コスト上昇=価格上昇」と「マジョリティの15cm級キットと合わない」だが、これはまさに日本メーカー/日本モデラーには対処しづらい難題になる。現状ですら価格高騰に苦しんでいるし、KOTOBUKIYAもBANDAIもミキシングを推奨してきたのが裏目に出て、6インチ級の規格に縛られてしまっている。日本のガールプラモメーカーが17-18cm級に移行or進出していくことは、おそらく無理だろう。一応、「アルカナディア」シリーズや「Guilty Princess」が、やや大きめのサイズを目指しているように見えるが、どうなるかは分からない(※おおまかな見取り図は、「歴史的展望」記事で書いたとおり)。
 中国メーカーとしては、「大きい方がユーザー受けが良い(※ロボットプラモでも大ボリューム&大きサイズ傾向が顕著に見られる)」、「可動フィギュアのノウハウをそのままスライドできる(※両方とも製造しているメーカーが多い)」、「若い市場で、そもそも15cm級が規格として確立されていないので、それに縛られる意味は乏しい」、「ミキシング需要は小さいので、他のキットに合わせる必要が無い」、「サイズアップによるコスト増は問題にならない(むしろ価格を上げた方が利益になる)」といった事情からして、大サイズ化していく可能性はかなり高いと思われる。

 ちなみに、「Stapel」に佐伯リツカの頭部を乗せると、まるでキャプ翼体型のようなプロポーションになって、バランスが完全に破綻してしまう。まさかリツカヘッドを受け付けないキットが存在するとは想像もしなかったので、かなりの衝撃を受けた。フェイスパーツのサイズそのものはほぼ同じなのだが、ヘアスタイルやカラーリングなども含めたキャラデザ全体でボリューム感やバランスが違ってくる。
 個人的には、ガールプラモの大型化は歓迎している。スケールモデルでも「大きいことは良いことだ」が信条なので。サイズが大きいと、パーツも大きくなって組みやすいし(※極小パーツは困る)、大縮尺だとディテールもしっかり盛り込める。


 アニメ版『小市民シリーズ』は第7話まで来た。謎かけが作為的で、カタルシスに欠けるのは、原作由来の問題だろう。ミステリと呼ぶには、とにかく粗が多くて戸惑わされる。画面演出については、清らかな観光地イメージのカットと、複雑で立体的な屋内レイアウトの間のコントラストが面白いが、実のところ、あまり上手く行っていない。ラジオ音声などの背景効果音(環境効果音)なども使ってなんとか頑張っているという感じ。ヒロインの悪辣ぶりがいよいよ前面に出てきたが……。

 『負けヒロ』の方は、その都度の場面のムードを掬い取る演出が上手い。なかでも夜間のしっとりした暗さや、階段越しの会話の空間性など、面白いところが多い。演出面でも、ガラスの映り込みを使ったり、時計の長針と短針の動きで二人のすれ違いを暗示したりと、細かな映像表現のテクニックを多用しているのは、現代アニメしとてはかなり珍しい部類ではなかろうか。階段に立つ段差の演出も、お互いの立場のズレとしてくりかえし使われているし、二人が並んで座るときの位置も、距離感の表現として丁寧にコントロールされている。脚本(台詞回し)は基本的に原作由来だと思われるが、「悪い子」の三者三様のあり方や、星座が見える者と見えない者(=思いを共有できない)の違いなど、こちらも堂に入った巧みな表現がぎっしり詰まっている。特に第7話は、たいへん力の入った監督自身のコンテで、第2ヒロインの結着イベントを美しく描いている。
 妹キャラの動きも面白い。エスタブリッシングショット(全体状況の俯瞰カット)をすり抜けて、カメラワークの死角からスルリと登場してくる不気味さは、第1話でも第8話でも何気なく――しかしきわめて効果的に――表現されている。このコンテは上手い。カメラ外からいきなり侵入してくる面白コンテは、第1話で八奈見が唐揚げを放り投げてくるあたりでも発揮されていた。



 08/25(Sun)

 木村氏の声優現場体験談にはずいぶん重みがあるなあと感心しつつ聴いているが、そういえば、美少女ゲーム声優でY/V-tuber活動をされている中でも、トップクラスにキャリアの蓄積の大きな声優さんなのか。木村氏は初出演作が2001年で、それに対して小倉氏は2003年、あかしゆき氏と御苑生氏も2003年、民安氏や五行氏や桃井いちご氏でもデビューは2005年、あじ秋刀魚氏(2008-)や藤咲氏(2009-)、秋野氏(2010-)は完全に世代が違う。
 北都南氏や緒田マリ氏のような、90年代や00年代からのビッグネームが(これまではオンラインリアルタイム配信にはほとんど現れなかったが)、こぞって木村氏の配信に登場されているのは、そういう事情もあるのかもしれない。もちろん、木村氏自身の人徳や信頼関係も大きいだろうし、「管理会社」が存在することもポジティヴに影響しているであろうと察せられるが。
 もっとも、00年代からwebラジオ(つまり音声データ配信)を続けておられた方も多いので、実際には、自由なトークコンテンツには深く習熟されている方がとても多い分野でもある。
 調べてみたら、成瀬未亜氏もいらっしゃるのか(声優としては2000年から)。現在でも定期配信されているようだ。アダルトゲーム声優の中でY/V-tuber活動をされているのは、主立ったところでは、このくらいかな。もちろん、この他にも何人もいらっしゃるし、私自身オンライン配信をろくに聴いていないので、全体状況はまったく分かっていないのだけど……。

 6月のVtuber開始から、すでに配信数は20本に達していて、そろそろバックナンバーを掘り返すのが大変になってきた。URL付きのリストは手許に作ってあるのだけど、これも記事化してここで公開しておこうかと検討しているところ。
 実のところ、リンク集としても活動記録としても、それなりに有益なものになると思うが、記事の内容はただURLリンクとタイトルコピペばかりになってしまうので、いささか憚られるところもある。アダルトゲーム関係の話題もあるので、内容をあまり詳しく書いてしまうと、ご本人のために差し障りが生じてしまう虞もある(要するに、所属事務所との関係でややこしい問題になる危険があるし、ゲストが出演しにくくなってしまう可能性も考えられる)。どうしたものかな……。もとより検索ヒットすらしにくいマイナーブログだし、大丈夫だろうとは思うけれど。

 「木村あやかさん出演情報」の管理人さんはお元気かな……。どういう方なのかは一切存じ上げない方だが、木村氏の出演作データベースを公開しておられる方で、残念ながら2年前(2022年8月)から更新が止まっている。
 もう一つ、大波こなみ氏の出演情報データベースを公開されているサイトさんも、動きが見られないのは残念だ。ちょうど先月に、大波氏の久しぶりの新規出演作(『 神楽漫遊記 桂香と初花』)が発売されているのだが……。
 さらに言うと、売り切りパッケージゲームだけでなく、オンラインゲームでの出演がいろいろあるようだ。しかし、そちらは把握するのが大変だろうし、ファンの有志が出演データを作っていくのはいよいよ大変な時代になっているのだと思う。

 このブログは、データベースというようなものではないし、特にテーマも設けずに適当に書いているだけだが、いつか何らかの事情で更新を終えることになったら、その時はきちんと終了を宣言したい(※さすがに事故死とかだったら無理だけど)。
 ブログや個人サイトが、何も言わずにふっつり更新が途絶えるのは、これまでたくさん見てきた。そういうのも、個人ページのあり方の一つだとは思うのだけどね……。更新が止まっているなあと思ったら、数年後にポロッと更新されて、近況報告とともに改めてサイト終了を告知してゆかれたり。あるいは、サイトが消えてしまったと思っていたら、別のところで元気に活動しておられたり。悲しい話だと、本人逝去を報せるご親族からの投稿があったり。
 オンラインの背後でも、それぞれの生活、さまざまな人生があるものだよね……。


 今月のプラモはVFG「フレイア・ヴィオン」や「朱羅:弓兵(絆)」などを購入。まだ組んではいないが、パーツ構成などを確認した段階での所見。

 VFG「フレイア・ヴィオン」は、ガール用の一部パーツが塗装済み(腹部の模様や太腿の黒色ラインなど)。もっとも、航空機部分などの大半は、依然として単色パーツ+シール頼みだが。「中途半端にやるくらいなら、いっそ航空機パーツも、主立ったところは塗装済みにしてしまったらどうだろう」と思ってしまう。金型費用が回収できた後なら、市場拡大(新規取り込み)も含めて、そういうキットを出すのもありかもしれないが……。
 色再現については、シールor部分塗装だけて効率的に仕上げることも可能だが、今回の「フレイア」はレッド成形色のパーツが多いのが困りもの。赤色パーツは、色が透けて安っぽくなってしまいやすいので、完成度を上げるためには下地からの全塗装が望ましい。他の色ならば、誤魔化しも利きやすいのだけど。ヴィヴィッドな赤色の航空機には派手な魅力があるので、なんとか上手く塗装したいところ。ガール部分だけならば、テカテカのツヤ出しコーティングだけで誤魔化せるかも。

 ランナータグを見るかぎりでは、
・無印「ジークフリード」由来の航空機パーツは、そこそこ多い(タグ番号で言えばMC-01)。
・航空機の翼などは、カイロスSPで新造された(?)パーツを流用している(MC-11)。
・展示ベースは、「ワルキューレ」5人組で共通になりそう(MC-13)。
・さらにガール部分は、それぞれ完全新規金型のようだ(今回のキットは、MC-14)。
実際、5人のキャラクターはそれぞれプロポーションが異なるようだ。意外にも、真面目にキャラクター再現に取り組んでいるんだ……けっこう感心した。ちなみに原作の設定身長は、アニメ版公式サイトによればカナメ(168cm)>美雲(165)>マキナ(159)>フレイア(154)>レイナ(147)、の順らしいが、Aoshimaのこのページを見るかぎりでは、カナメ(168)とマキナ(159)がほぼ同じ高さに造形されているようだ。
 また、今回の5人組キットでは、航空機部分はジークフリードとカイロスが混在しているが、両者は主翼の先端部の形状が異なるだけなので、おそらくランナー構成にはほとんど違いは無いだろう。

 その他いろいろ。
 無印ジークフリードでは、ガール脚部が頑健なメカ脛だったのに対して、今回の「ワルキューレ」組は、素足のまま装甲パーツに足を突っ込んで合体する。この点はちょっと危なっかしく見えるが、まあ許容範囲内だろう。彼女たちの膝から不思議な突起物が出ているのは、バトロイド合体時にはこの突起パーツを外して、空いた穴にメカを接続固定するため。パーツポロリorパーツロストが怖い仕様だが、「クラン・クラン」では作為的な接続穴が剥き出しだったことに比べれば、改良点として評価すべきだろう。
 パッケージアートは、これまでは新米氏が担当されてきたが、今作では某イラスト制作企業がクレジットされている。プラモの完成見本写真とイラストが細部まで似すぎているので、これは完成見本写真をイラスト風に描き直しただけなのでは……。

 ちなみに艦船模型には、パーツ塗装済みのキットが存在する(PIT-ROAD社)。要するに、F-Toysを大きくしたようなキットで、大半のパーツはランナー状態で塗り分けされている。とはいえ、一部はデカールを使っているし、ゲート跡のリタッチが必要なところもあるが、それでも、ユーザーが塗装しなくても良いというのは、なんのかんの言って大きなアドヴァンテージではある。
 航空機などにも、オール塗装済みのプラモデルはある(童友社やTOMYTEC)。ただし、航空機の塗装パターンは艦船よりもはるかに複雑なのでコストが嵩み、結果として、小サイズのキットしか作られていないようだ。
 フル彩色のカプセルトイがこんなにも大量生産されている&購入されている時代だし、 プラモデルも「塗装済みキット」の市場を拡げるのは、今からでも十分あり得る道だと思う。私自身、塗装制作:無塗装=6:4くらいで、無塗装パチ組みもそれなりに多い(※無塗装のほとんどはロボットプラモとガールプラモだが。ここでいう「塗装」は、基本的に全塗装を指している。足りない色をちょっとだけ塗るのは「無塗装」としてカウント。ガールプラモの素肌パーツは、塗装すると透明感が無くなってしまうので、無塗装でOKとしている)。

 「朱羅」新版は、今風に肉付きの良いプロポーションになっている。以前の「朱羅」無印は2017年末発売で、引き締まった細身の体格だったが、その直後に、アニメ『SSSS. GRIDMAN』(2018年)やゲーム『ライザのアトリエ』(2019年)、AMAKUNIの「鹿島」フィギュア(2018)などが大きなインパクトを与えて、オタク界のパラダイムは一変した。それを受けたリファイン版としては、今回の「朱羅」はひとまず正解だと言ってよいのだろう。個人的には、旧版のスリムボディも好みだったのだけど。
 ガールプラモとして見ると、今回の新版では、素体キットそのままで見栄えが良くなったというのは確かだろう。ただし、今回は武装無しのキットなので、FAG初期の「イノセンティア」あたりを思い出させるようなパーツ数の少なさに驚く。
 相変わらず肩甲骨もどきが剥き出しなのは、やはりもったいない。肩可動は、胸部装甲に埋もれさせて、隙間が目立たないようになっている(Buster DollシリーズやVOLKS「ルピナス」に近い)。ただし、肩可動は軸回転式で、直前のBuster Dollの肩甲骨がボールジョイント可動だったところから後退している。
 パーツ構成も、旧版から7年も経っているわりにあまり進歩しておらず、四肢は左右貼り合わせばかりだし、股関節はいつものT字ジョイントのままだ。一応、股関節(太腿側)が最新の二重ジョイントになっているのと(※無印版は回転のみ)、太腿の上端がワンパーツ化しているところは、改良ポイントと言える(※Buster Dollシリーズと同様)。オムツパーツの上端(両脇)が素肌パーツになって、造形上の不自然さが解消されたのは、構造上の問題をキャラデザの次元から解決してみせたという離れ業(※Buster Dollはここの不格好さが致命的だった)。
 というわけで、良いところも多いが、コンセプトはよく分からないキットだ。推測としては、「30MS対抗として、リーズナブルな軽装キットを提供したい。その候補として、人気のある朱羅シリーズを起用した」ということだろうか。


 プラモデル界隈でも、ブログやSNSではなく動画によるレヴューが増えているようだ。日本語だけでなく海外(他言語)でも、また、ガールだけでなく艦船模型やカーモデルでも、プラモ感想動画や制作動画は大量に存在する。Youtubeだけでなく、FBやnicoなどにもある。
 理屈としては、分からないではない。組み立てのプロセスを説明したり、パーツの形状をじっくり見せたり、それらについての感想を述べたりするのは、動画カメラを流しっぱなしにしておくのが最も容易だし、視覚面でも効果的だし、喋るのも簡単に大量の情報をアウトプットできるからだ。それに対して、静止画カメラで一々撮影して、トリミングして、個々のファイルをアップロードして、それらについて適切なコメントを書き込むのは、実のところかなり面倒で、ハードルは高い。細部に言及するときも、ただ動画の中でパーツを手に取って指さしすれば、どの部分がどのような形状について話しているかは自明になる。
 また、動画トークであれば、いいかげんな発言やお下品な発言も許容される余地がある(と考えられがちだろう)。動画上でバストパーツを手に取って「エ■くていいよね!」と言うのと、ブログに画像アップロードしてその横に「エ■くていいよね!」と書き込むのとでは、後者の方がはるかに躊躇の度合いが大きいだろうし。そういう都合は、それはそれで理解できる。ちょうど上で書いていたような感想も、動画を流しながら10分も喋っていれば済むような内容だ。
 もっと言えば、YTはそれ自体、ソーシャルメディアの一種でもある。すなわち、人を集めるのに適しており、投稿内容が注目されやすい(と期待できる)し、場合によってはコンテンツ提供者がいくばくかの金銭的利益を得られる可能性すらある。その意味でも、ブログや個人サイトよりも有利な点がある。
 しかし、私自身は動画レヴューを一切見ないし、自分からも動画を出すつもりは無い(※ブログのプラモデルレヴューもめったに閲覧しないけど)。配信者のトークが洗練されないのもあるし、声が鍛えられていなくて聞き苦しいのもある。特にミリタリー系では、ずんどこビートの鬱陶しいBGMが付いていることも多い(もちろん、サウンドOFFにすることはできるが)。そもそも、うんざりさせられるあの不快なYoutubeを開きたくないというのも大きい。検索性も劣悪だ。提供側としては、後から編集困難なのも困る。内容をくりかえし吟味してブラッシュアップさせていくというプロセスを取れないのは、非常にまずい。複雑な事柄を、できるだけ正確に語ろうとすればするほど、「文章媒体で書く(そして何度でも再編集する)」ことのアドヴァンテージは絶大だ。というわけで、オールドファッションなこのブログは、もうちっとだけ続くんじゃ。

 そういえば、声優モデラー(あさみほとり氏)の制作動画は、ずっと視聴していた。本職声優なので、発声も明晰だし、視聴者に向けたトークの仕方もきちんと理解しておられるし、制作技術の面でも面白いところがあった。ご本人の性格ゆえか、けっして騒いだりセンセーショナルに煽ったりすることは無く、誠実に模型制作に向き合っておられた。そういう動画であれば、見て満足できることはある。


 ここ2年ほどは、プラモデル塗装でパールコート(半ツヤ)を多用している。ツヤめきを程々に維持しつつ、下品さを避けられるし、ツヤ無しパーツでも単調にならず、光の反射で微妙な彩りを持つことができる。例えば頭髪パーツも、普通のツヤ有り塗装のままだとテカテカでチープになってしまいやすいし、逆にマット塗装だと頭髪のツヤ感が失われてしまう。そこでパールコートを吹きかけておくと、程良い明るさを保ちつつ、毛筋の軽みのような雰囲気も作れる。
 特にガールプラモでは、リアリズムよりも見栄えの効果を優先できるので、どんなパーツにも軽率にパールを吹きまくっている。ホワイトパーツにもちょっとしたニュアンスの変化を作れるし(※パープル・パールをよく使う)、濃い色のパーツにもミステリアスな雰囲気を足せる。イラストでいう「覆い焼き」のようなつもりで、簡単に視覚的エフェクトを増強できるのはありがたい。ガールプラモで人気の、近未来kakkoiiサイバーSF武装路線との相性も抜群。部分塗装などで色調がズレてしまった場合に、多少は誤魔化しが利くときもある。
 ただし、色によっては、ほとんど効果の現れない場合もあるし、黒色パーツには使えない(色調が変わってしまう)。もちろん、素肌パーツやメタリック塗装、制服(布地表現)にも不向き。写真に反映されにくいのも難点と言えば難点だが、自分一人で鑑賞する分には問題無い。とにかくイージーな手段で、それなりに明確な効果を得たいという私にとっては、たいへん好都合な技法だ。

昨年制作したMD「スサノヲ:レガリア」。紫色パーツに、パール特有の細やかな反射が見て取れる。頭髪にも同じくパールコーティングを施していて、程良いきらめきを発しているのだが、写真ではほとんど分からない。ライティング(照明)を上手くやれば、効果が現れるかもしれない。


 鉄道よりもバスの方が好きかな。鉄道で数駅くらいの近距離であれば、バスを使いたい。高架鉄道とは異なって、市街地や幹線道路の中を走ってくれるし、スピードも程々なので街の風景をじっくり楽しめるし、バスならば正面からの風景をきれいに見通せる。数百メートルごとに停まってくれて、停留所に反映された地名も面白いし、その都度の地元乗客の様子からは、ローカルな生活感が窺い知れる。
 あくまで時間に余裕のある時だけだし、特にコロナ蔓延下の現代では交通機関に乗っている時間も極力短く済ませたいのだが。しかしそれでも、今日のような夏の晴れた日に、幹線道路のおおらかな見通しの中、入道雲と青空と街並み風景を、涼しい冷房の効いたバスの正面車窓からゆったり眺めていくのは、リーズナブルで気持ち良い娯楽だ。5月くらいであれば、距離によっては、自転車や徒歩移動でも良いけれど、さすがに夏場は車内にいたい。


 新調した眼鏡は、ちょっと度がきつくて疲れる。装着感も、以前の眼鏡の方がはるかにフィットする(もちろん、慣れの問題もあるが)。デスクワークの時も、旧眼鏡の方が見やすい。うーん、どうしたものか。
 併用してもよいのだが、それはそれで目に負担が掛かりそうだし、慣れるのにも時間が掛かって、結局は非効率になりそう。新眼鏡の方は運転免許更新用としてキープしておいて、当面は旧眼鏡を使い続けるのが気楽だが、新眼鏡への移行が遅れるだけなので、長期的に考えると、あまり良いやり方ではなさそう。



 08/22(Thu)

 ガールプラモの話。Leizhou Studio(雷宙文化)の「STAPEL(詩塔佩爾)」を買ってみたら、なかなか挑戦的なキットで、感心しながらパーツ構成を確かめているところ。

 1) なんと、左右の眼球が別パーツになっている可動式だった。近年の可動フィギュアではよく採用されている機構だが、ガールプラモではおそらく史上初。サンプル写真では、「ちょっと変な目つきだなあ」と思っていたが、こういう仕組みだったか……。ちなみに、一般的な両目印刷フェイスも同梱されている。

 2) もう一つの特徴は、合金製ジョイント。肩関節や股関節を、金属パーツで構成している。これも新しい。ジョイントの内部にはプラリングを挟んで、その摩擦で関節の渋みをコントロールするようだ。さすがに金属パーツだけだと、滑って固定できないだろうからね……。また、この金属製関節は、剥き出しになっていて、メカ系ガールとしての個性にもなっている。
 これまでも、chitoceriumやメガロマリア、Voyager Modelのような球体関節はあったし、Nuke MatrixやSUYATAのような内部フレーム露出はあったが、これほどはっきりとメタルパーツを使うというのは、これまたガールプラモ分野では初めてかも(※金属製パーツそれ自体は、矢の軸やチェーンなどで使われたことがある)。

 3) 三つめの特徴は、本格派のミリタリー系ディテール。スライド金型を多用しつつ、スケールモデルのような細やかでリアリスティックな造形を、見事に成形している。考えてみれば、この種のミリタリー路線は、ガールでは非常に珍しい。

 【 ミリタリー趣味とガールプラモの間の距離感? 】
 もっとも、FAGの最初のデザイナーも萌えミリ系のクリエイターではあったのだが、ガールプラモの主流は「ロボットプラモ寄りのヒロイックなデザイン」と「フィギュア寄りのお色気重視」のどちらかで、ミリタリー/サバゲー風の装備品はほとんど無かった。縮尺の近いLittle Armoryシリーズや1/12ドール服などが、そういったアイテムを間接的に提供していたが、ガールプラモの内部ではほぼ皆無だったし、そもそもミリタリー系デザインのキャラもほとんどいない。考えてみれば、これはかなり意外な状況だ。近未来SF的武装デザインがずっと主流であり続けてきたのは、どのような事情でこうなってきたのだろうか?
 実例としては、一応、FAG「グライフェン」のハーネスベルトや、「ルーデンス」の宇宙服デザインなどが、そういったリアリズムに近付いていた。また、「重兵装型女子高生:壱」も、セーラー服ながら、ミリタリーセンスを感じさせるところはあった。遡れば「ホイホイさん」にも、地に足の付いた現場的雰囲気は見て取れる。
 しかし、このキットでは、タクティカルヴェストや大量のカートリッジ&ホルダー、ニーパッド、ヘルメット、通信機まで入っている。こういったガジェット群は、ガールプラモとしては新鮮な気分だし、そして同時に、スケールモデラーとしては馴染みのある造形だし、さらに言えば、スケールモデル分野で見慣れたアイテムが1/35→1/10と大迫力のパーツになっているのが感動的でもある。
 おそらく、現在のガールプラモ市場を支えているのは、美少女コンテンツやロボットプラモを好むオタク層が中心であって、ミリオタやスケール系モデラーからの流入や、スケモ&ガールの両刀モデラーは案外少ないのかもしれない。スケモ人口が小さいだけとか言わない。また、素肌露出を大きく取るお色気路線は、コンバットスーツのような重装備路線とは、明らかに相性が良くない(つまり、双方の美意識を両立させるようなキャラデザは難しい)。しかしそれでも、日本国内のキットからも、こういった趣向が広がってくれたらきっと面白いと思う。例えば、HEXAGEARの拡大版キット(1/20→1/12)のようなものが出てこないものだろうか。

 話を戻すが、上記「STAPEL」キットについては、ネット上に感想や評価がほとんど出ていない(※動画紹介はあるようだが、個人的には見たくない)。早めに完成させて、レヴュー記事を書きたい気分。
 成形色による色再現は、ほぼ完璧。ただし、マガジンポーチがベルト部分まで一体成形なので、ここは塗り分けた方が引き締まるだろう。それと、カラーリングが茶色系ばかりなので、ある程度は色のコントラストが見て取れるように調整したい。例えば、頭髪をピンクや黒髪に変えたらどうなるだろうか? ちなみに、四連の暗視スコープについては、メタルグリーンのシールが同梱されている。
 スカートに砂漠迷彩模様を入れれば、色彩的な見栄えが格段に向上するが、さすがに塗装の難易度が高くなる。戦車迷彩よりもはるかに細かな模様の描き込みが求められるし、それでいて、1/35の人物フィギュアよりもはるかに大きいので誤魔化しが利かない。1/35人物であれば、筆でちょこちょこ適当に塗り分けて、上からウォッシング(フィルタリング)をすれば、そこそこ見られる雰囲気になるのだが、1/10スケールだと粗が目立ってしまいそうだ。
 リザード迷彩であれば、マーブル塗装の応用でそれっぽく出来るかもしれないし、雲型迷彩のマスキングシートを調達してくるという手もある。シンプルな対処としては、迷彩柄のデカールorシールを貼り付けるのが最も簡便な筈(※ただし、厚みの問題や、剥がれるリスクなどが生じる)。そもそもの問題として、プリーツスカートなので、ヒダに合わせてきれいに模様を描くのは難易度が高いというのもある。迷彩は諦めて、砂漠向きのシナイグレーに塗り込めてしまっても格好がつきそうだけど……。

 イスラエルは面白い形状のAFVが多いし、カラーリングも総じてモノクロで作りやすいのだけど、目下の社会状況ではイスラエル兵器(のプラモや写真)を眺めて楽しむことは、まず無理だよな……。ロシアキットにも言えることだが、現実の戦争や虐殺に関わっている最中の存在に対しては、いかに模型といえど、強い心理的抵抗感がある。自宅には未制作のイスラエルAFVキットもあるが、まるで作る気になれない。

 Little Armoryは、基本的には「手で持つ道具」ばかりだが(つまり銃器や近接武器)、ラインアップの中には、ガンラックやシールドのような大型アイテムもあるし、ゴムバンドで背負えるバックパック(バッテリーユニット)付きのM134もある。ミリタリーオフィス(ジオラマセット)やロードアウトセット(オプションパーツセット)には、無線機なども入っている。使うとしたら、このあたりかな。


 メガミ風の肩基部の回転軸は、初期の中国キットでは多用されていたが、最近はほとんど使われなくなっているようだ。
 最初期の「Angelic Doll」(2019)と「CAT-00」(2020)は、メガミ式の回転軸有り。ただし、豊臣秀羽(2020)は無し(※簡易的な引き出し関節のみ)。
 Eastern-Modelも、アラクネ(2020)は肩回転有りだが、四聖獣(2021)以降のボディはいずれも回転軸無しの筈。Nuke Matrixも、ヴィヴィアンとリリーベル(2021-22)は回転構造有りだが、ハーピー(2022)以降の素体では簡略化された形になっている。異次元重工は、ナコルル(2021)のみ肩回転があったようだ。このように見ると、最初期はメガミ式の肩可動が積極的に取り入れられていたが、2022年頃からは業界全体に大きな方針転換があったように見える。
 Mecha Pigは、そもそも肩回転を設けず、当初は二重引き出し関節を採用していたが(趙雲~馬超、2021-22)、夏侯惇(2022)以降はシンプルな埋め込み式になっている。SUYATA(2021-)は当初からシンプルな構造。
 2022年以降も、新規メーカーの参入が相次いでいるが、メガミ式の肩回転機構はほぼ消滅しているようだ。唯一、アーシー(2023)には肩回転機構があるが、これは全身の可動がきわめて特異な構造なので、メガミとはほぼ別物と言ってよい。

 発売順に見ていくと、ボディ構造の変化も見通し良く把握できるようになる。
 Eastern Modelでは、「アラクネ/セルケト~四聖獣シリーズ」が共通ボディ(第一世代、肩回転軸あり)。「ヘラクロス/タイタン」が共通(小柄ボディ? 肩回転はせず)。「錦衣衛以降、最新のカーミラまで」は第二世代で、腹部パーツなどを共有しているようだ。いずれにしても、腰部のオムツ構造はずっと維持されている(つまり、腰部外装を浮かせて独立可動する)。
 Mecha Pigはよく分からないが、「趙雲~馬超」の構造が第一世代で、「夏侯惇」以降は各キットごとに独自金型になっているようだ。いずれも、肩関節はシンプルな軸差し込み式で、腰部は腹部と一体になっている(つまり、オムツ可動しないものが大半)。
 Nuke Matrixは、「ヴィヴィアン~リリーベル」(スケルトンボディ、第一世代)から、「ハーピー」以降(第二世代ボディ)に移行している。すべて腰部はオムツ構造。
 SUYATAは、オムツパーツを浮かせているのではなく、腰部全体が一つのユニットになっている感じ。BANDAIキットに近いかも。肩はシンプル構造。
 もっとも、軽装ボディだけを比べてもあまり意味は無いのだが、開発系統やパーツ共有を跡付けていくうえで、手掛かりになることもあるかもしれない。

 日本国内のキットだと、浅井氏の関わっているシリーズだけが特異で、肩基部の回転軸や腰部オムツ構造、さらには爪先可動まで仕込んでいる(メガミ/chitocerium/Dark Advent)。爪先可動は、figmaなども採用しているが。
 もう一つ、特徴的なのはAoshimaで、両肩を大きく膨らませて、動かしてもシルエットが崩れないようにしているし、胸部と腹部の間に大きめのリング(筒状)パーツを挟んで、動かしても隙間が見えないようにしている。「アトランジャー」では、オムツ構造も取り入れた。
 BANDAIは、腰部全体をユニット化して、ロボットプラモの腰パーツのように構成していることが多い。ガールの場合は、スカートの中のパンツユニットということになるが。パンツのユニット化は、KOTOBUKIYA「ホイホイさん」の頃から存在していたが、それを徹底しつつ、パーツ構成の洗練にその都度挑戦し続けてきたのは、やはりBANDAIの特徴と言ってよいだろう。
 KOTOBUKIYAは、股関節の引き出し構造に凝っている。具体的には、「腰側の軸を下に引き下げられる」+「太腿側の受けも、軸可動を加えて引き出せるようにしている」。前者はたぶんFAGの最初期から。後者のギミックは、おそらくFAG「フレズウェルク」の頃から? ジョイント引き下げ機構については、他のメーカーも実装しているが(例えばVFG)、太腿側の二重可動はKOTOBUKIYAの特徴だと言える。
 VOLKS(FIORE)は、初期シリーズではオムツ構造に近い腰部可動を試みたが、すぐに胴体一体型に移行した。爪先可動を仕込むなど、真面目に作っているのは見て取れるし、「ルピナス」の肩可動のような新機軸も見せてくれる。ただし、ポリキャップを使うせいでユルユルになりがちだが。
 ……だいたいこんな感じかなあ。もっと丁寧に整理したいところだが、かなり難しい。

 無装備形態と重装形態の丸々2人分を作れる、いわゆる「ダブル素体」の意義は、よく分からない。ネットを見ると、ダブル素体を喜んでいるユーザーが多いので、好ましいことなのだろうとは思うが、個人的には、とりたてて欲しい要素ではない。
 ・ダブル素体のメリットを考えると:「キャラクターが2人も入手できてお得」、「軽装/重装をいちいち組み替えなくても済む」、「しかも格好良さ(武装形態)とお色気(薄着形態)の両方を楽しめる」、「フェイス差分(余剰の頭部)が有効利用できる」、「差分の四肢パーツも余剰にならず、キャラクター1人分としてちゃんと使われる」、「破損時の予備パーツにすることもできる」、「他のキットに転用できる余剰素材としてもありがたい」といったところか。
 ・考えられるデメリットは:「2人分も組み立てるのが大変」、「薄着形態はディテールが浅くてつまらないものも多い」、「増えたパーツ分は価格に転嫁されている」、といったあたり。
 現在の海外キットは非常に安価なので、価格面はあまり問題にならないし、組み立てが面倒ならば作らなければ良い(それもモデラー各自の選択だ)。ガールプラモはデリケートなので、軽装/重装を組み替えるときに破損する可能性があり、それを避けられるメリットも大きい。プレーンな薄着素体は、布服を着せるにも絶好の素材になる。このように考えると、なるほど確かにありがたい仕様だと腑に落ちる。


 日本国内のキットだと、ダブル素体は今のところ皆無(※特撮ヒーローキットには存在する)。
・「ダイバーアヤメ」は、丸々1体+胸像までは作れる。
・FAGやメガミは、少しだけパーツを足せば、余剰パーツで2体目を作れることがある。
・「宝多六花」(上半身がダブる)+「新条アカネ」(下半身がダブる)で、1体錬成できる。
・今月発売の「めぐみん」が、日本初(?)の正式なダブル素体になるようだ。
このくらいかな……。四肢と頭部は余りがちなので、ドールボディや「素材ちゃん」などで胴体部分を確保してやると、かなりキャラが増やせる。……あまり増えすぎても困るのだけど。


 そういえば、Finemoldsも豊橋の企業か。何かコラボでもしないかな。痛デカールとか。
 nano-dreadパーツの他にも、1/350駆逐艦や三式中戦車、Bf109など、いくつか買っている。


 みすみ氏ゲスト回。同じ管理会社とは……。
 声優さんは、その都度の収録スタジオの様子まで、よく覚えておられるんだなあ。
 (美少女)ゲーム音声の形態も変化していて、最近ではリモート収録だったり、長時間収録をしなくなったりというのは興味深い話だ。昔のインタヴューなどでは、一日10時間収録をすることもあったらしいが。



 08/18(Sun)

 木村あやか氏の配信トークに、今度は緒田マリ氏までいらっしゃるのか。人徳と人脈がすごい。この調子で行けば、みすみ氏や大波こなみ氏や金田まひる氏も出演される可能性が……。事務所つながりや「はにはにラジオ」のご縁などがあって、わりと現実的にあり得ることだと思う。

 と、そんなことを書いていたら、まさに、
 みすみ氏がゲストでいらっしゃるとのこと。「木村あやかを観察する会会長」(※)だから、むしろ順当と言うべきか。私としては、やはり『鬼神楽』のイチ様&かんな姉さんのコンビかな。
 (※Whirlpool作品のどこかのフリートークで、こんなことを語っておられた筈)


 SNSなど、言葉遣いやコンテクストがあまり厳密でない場所で、大雑把に「ボードゲーム」と書かれると、かなり戸惑うことがある。『カタン』などの多人数ゲームの話だったり、『人生ゲーム』のような緩めのパーティーゲーム(特に協力ゲーム)だったり、囲碁将棋のような勝敗の明確な一対一ゲームだったり、麻雀のような多人数の(+賭博イメージのある勝負事の)ゲームだったり、『Scrubble』のようなワードゲームも含められたり、ものによってはTRPGが想定されている話だったりするので。このあたりを、もっときれいに分類して使い分けられる用語は無いのかなあ。
 対戦カードゲームやトランプゲームは、「ボードゲーム」とは言われないだろうし、TRPGも基本的には「ボードゲーム」ではない(※「卓上ゲーム」「テーブルゲーム」とは言うし、即売会的に言う「非-電源ゲーム」「アナログゲーム」の一種ではある)。

 定義的な分類用語は一応存在するようだが、きれいな分類とは言いにくいように思う。「参加人数」、「繰り返すか(スコア累積などがあるか)」、「対立ゲームか/協力ゲームか」、「盤面(マップ)を使うか否か」、「勝負目的か/娯楽目的か」、「サイコロなどの偶然性があるか/完全情報ゲームか」、「参加者たちのトーク(コミュニケーション)が重要か/道具だけでゲーム進行が完結するか」、「古典的で知名度が高いか/現代のオリジナルゲームか」、「賭博のイメージがあるか否か」といった要素で、かなり異なるだろう。
・囲碁将棋、チェス、オセロのように、一対一で、勝負要素が強いもの。
・麻雀のような、多人数で、特定のレイアウトを使用し、勝負要素の強いもの。
・『カタン』『モノポリー』のように、マップとコマ(トークン)のあるもの(※狭義のボードゲーム?)。
・各種パーティーゲーム(※双六などの緩い卓上ゲームや、ジェンガのような玩具ゲーム)。
・カードゲーム(※トランプゲームや、独自のトレカ系ゲーム)。
・TRPGや『人狼』『ナンジャモンジャ』のようなインドアゲーム(※盤面はあまり使わない)。
これらはそれぞれ、ゲームとしての性質(システム及び形態:客観的要素)も違うし、ゲームに対する取り組み方(主観的要素)も異なるので、混同が生じないように、なんとか分けていけたらと思うのだが……。これらを一括りに「ボードゲーム」と言うのでは、問題が生じやすいだろう。
 

 『ロマサガ2』の初回プレイで、カンバーランドを潰してしまいがち、というのは分かる(※途中で領外に出てしまうと終わりなので)。しかし、それはそれで亡霊徘徊やレジスタンスといったドラマティックな展開になるので、むしろ初回プレイではこちらの展開を体験しておく方が良いかも。
 デメリットとしては、その分の領地収入が取れなくなったり、ホーリーオーダーの加入が不可or遅延になったりするけれど(※長城の門も封鎖されたままだっけ)、たいしたダメージにはならないし。
 むしろ、イベントを順調に進めるパターンだと、「他国の後継者問題に首を突っ込んで、黒幕撃破まで全ての功績を掻っ攫った挙げ句、結局は支配下に収めてしまう」という厚かましい振舞いになってしまう。序盤~前半でのクリアが想定されているエリアで、ボス級は出てこないので(※七英雄の配下が暗躍しているだけ)、わりと地味なイベントだし。
 とはいえ、下膨れなカバ顔の――というか『宇宙船サジタリウス』あたりを連想させる――ホーリーオーダーが可愛いので、できる限り加入させたいが。今の私だったら、下半身うねうねのネレイド族(ラミア)や赤眼+羽根のイーリス族(ハーピー)を起用しまくると思う。

 中盤(中級者)だと、武装商船団の連鎖イベントをこなすタイミングが難しかったり、人魚イベントがサバンナの白アリイベントで潰されてしまったりするあたりが、引っかかりどころかな。人魚イベントを見逃すと、ネレイド加入もできなくなる。
 個人的には、格闘家を入れるタイミングで迷った覚えがある。通常のイベント進行ではほとんど使わないので、終盤で加入させて「格闘家の陣形ゲット」と「格闘の技習得」をバタバタと処理するのが面倒、というか、つい忘れてしまいやすい。


 アニメ版『小市民シリーズ』第6話。一つ前の第5話ともども、小さな日常ミステリ。
 萌え+ミステリは、案外上手いバランスなのかもと思った。というのは、ミステリは一般に、「会話やモノローグが中心になりがちで、画面の動きが乏しい」+「作り手としてはトリックを重視するが、受け手としては行動の動機づけに説得力を求めがち」という問題がある。そこで、登場人物を萌えキャラにすれば、「画面に大きなアイキャッチを作れて、間(ま)が保つ」、「デフォルメの利いたキャラであれば、行動原理の弱さが見えにくくなるし、可愛らしいキャラであれば、その言動はなんとなく説得力を持つようになる」。実写ミステリドラマで、有名俳優を出して視聴者の気を引くのと似たような話だが、一定の効果があるのは確かだろう。
 第5話も、キャラクター性の優位を活用している。「メインヒロインがスイーツ大好きで、しかも強い欲望を持った(食い意地の張った)キャラクターである」、「わりと不憫な目に遭いがち」、「シャイな性格で、人前に出たがらない」というキャラ設定が確立されており、視聴者はあらかじめそういうキャラクター性を前提としている。だから、そういう特殊な設定に引っかけたトリックを作ることが許される。読者はそれを当然の設定として受け入れてくれるし、むしろ、トリックとして楽しむだけでなく、キャラクター性の表現としても楽しんでくれる。
 一般的な(本格)ミステリであれば、一般人とは異なった特別な動機や行動原理を持つキャラクターを出すことは、アンフェアになりがちだろう。言い換えれば、「使えるトリックやシチュエーションが、ごく常識的にあり得るもののみに限定される」ということになる。しかし、オタク寄りの萌えキャラミステリであれば、それを覆して、かなりエキセントリックな行動原理を持つ登場人物も使うことができる。これは大きなアドヴァンテージだと思う。
 10年代後半頃から、「ストーリー要素に対するキャラクター要素の優位」ということがいよいよ前景化しているが、ミステリ分野でも同じことが起きつつあるのかもしれない。第5話の謎かけのタネは、実際にはかなり根拠の乏しい推測だけで締め括っており、本格ミステリとしては弱いのだが、訓練されたオタクたちは、「そのキャラならば、きっとそうしただろう」というルートから、その推理を妥当なものとして受け入れるだろう。ロジックに対する信頼ではなく、キャラに対する信頼が、推理を裏書きするというのは、面白い現象だ。
 第6話も同様だ。ミステリとしてはかなり弱い(つまり、犯人の行動も不自然だし、推理の根拠も薄い)。しかし、今回は主人公が犯人という、一種の倒叙もので、終盤ではS気質のヒロインからじっとりと問い詰められることになる。推理の説明、つまり彼女が犯行に気づいたきっかけは、推理としてはいささか無理があるのだが、この回は「恐るべきヒロインの虎の尾を踏むような犯行をするスリル → 問い詰められるシチュエーションでヒロインの個性が存分に展開される」という魅力が全編を覆っていて、それがきちんとしたカタルシスを提供している。どちらかと言えば、「ミステリ(推理)」というよりは「サスペンス」と呼ぶべきストーリーだが、それを成り立たせている最大の柱は、まさにヒロインのキャラクター性とその魅力そのものだ。
 いや、個人的には、「察してちょうだい」の姿勢で威圧してくる小佐内さんのキャラは、かなり苦手なのだけど。不愉快なことがあると蹴りつけてくる暴力キャラだし、使い走りをさせたうえに代金も払わないし……。
 第6話のコンテは「夏洛特」氏。中国語で「シャーロット」を表す言葉らしく、つまり今回のスイーツ「シャルロット」に掛けた偽名と思われるのだが、何者だろうか。

 細かく言うと、「ストーリー要素に対するキャラクター要素の優位」というのは、00年代にはすでに十分に広まっていた。10年代後半からの新たな流れは、「キャラクター要素」というのが、キャラ単体の外見や属性の魅力ではなく、キャラクター間の関係のあり方にシフトしているという点だろう。BL妄想や百合妄想がその典型だが、それ以外でも、キャラクター間の様々なコミュニケーションや、キャラ同士の心情的機微を想像するという、いわば二次創作的な捉え方が、強力に普及し浸透している。これが良いことなのかどうかは分からないし、私自身はそういうアプローチにはコミットしていないのだが、そういった傾向が強まっているのは確かだろう。

 演出面では、『負けヒロ』の方が抜群に良い。コミカルなシーンも、原作小説では言葉だけで表現されていたものが、アニメ版ではキャラクターの振り付けや位置関係も含めてしっかり再構築しているのが見て取れる。
 例えば第5話の「朝雲千早」の小走りアニメーションは、キャラクター表現として実に上手い。小柄な彼女がかなりのスピード(※リアルに取れるぎりぎりの速度)でタタッと駆け寄ってくる様子は、このキャラクターの「行動力の高さ」、「人なつっこさ」、「身体面での華奢さ」、「精神面での芯の弱さ(抱えている不安)」などを雄弁に物語っている。キャラ立てにもなっているし、恋愛描写に関わる性格描写としても大きな意味がある。アニメーション媒体の強みを最大限活用している見せ方だし、こういうアニメーションの意味づけまできちんとコントロールできている制作陣はたいへん優秀だと思う。
 第6話にも、見応えのあるカットが多い。川辺で距離を取って向き合うシーンのレイアウトも良いし、主人公と朝霧が夜間に道ばたで話し込むシーンでは、しめやかな夏の夜の情緒が巧みに掬い取られている。その一方で、「瞳に映ったヒロインの変顔」というユニークなカットもあったりする。バスに乗り込む直前のシークエンスでは、音声台詞と映像進行をあえて合わせないまま進めて、語りのデリケートな流れをきちんと聴かせるように処理している。それに対して川に落下するところでは、劇伴もきちんと映像進行に合わせて「溜め」を置いて、きれいなカタルシスを作り出している。
 『負けヒロ』は、演技の掘り下げが浅いのは残念だが、画面密度がこれほどぎっしり充実していると、むしろ音声芝居は勢い任せであっさり流しているくらいの方が良いのかもしれない。ただでさえ、振られシーンが連発するきつい内容なので、あまりシリアスにのめり込みすぎるとコメディシーンとのバランスが破綻しかねないし(※ちなみに、話をコミカルに引っ張り回す賑やかしキャラには、種﨑氏を起用してきちんと引き締めている)。
 「小鞠知花」役の寺澤百花氏は、まだキャリアの浅い若手だが、かなりピーキーなキャラ芝居を上手くこなしており、役者としてのポテンシャルを感じさせる。

 それにしても、セミ作画にクワガタ作画、そして今回はサワガニ作画がやけにハイレベルで、なんだ微笑が頬に浮かんでしまうが、そこまで手を掛けているからこそ、夏の雰囲気や森のリアリティ、渓流のイメージが視聴者に伝わってくる。

 八奈見さんは、オフラインの身近にちょっと似た雰囲気のヘアスタイルの方がいたので、なんとなく不思議な気分で視聴している。いや、似ているというほどではないし、性格等はもちろん全然違うのだけど。


 海外のガールプラモ状況について。そろそろ過去の情報が掘り出しにくくなっているし、新規メーカーも増えてきたので、思いきってリスト作成した(※作業時間はほんの3時間程度)。ほとんどのキットは、実際に購入したか、あるいは少なくとも店頭で見かけているので、キットの存在そのものは間違いないと思うが、一部は通販サイトの記述でししか知らないので、情報が正しいかどうかあやふやなのはかなり怖い。この場合は仕方ないと言わざるを得ないが。
 なかでも発売時期を確定するのは困難で、このリストでも推測情報に過ぎないので、単独のセルにするのは差し控えた。表計算で扱えるためには、独自にセルを作っておく方がよいのだが、むしろ確定データとして扱われてしまってはまずいので、あえて使いづらい形にとどめておく。
 ひとまずこれで、海外ガールプラモについて展望するための準備作業(情報整理)は出来たので、ここからはあらためて、個別のキットの話をしていくべきだろう。
 しかしこのリストも、今後ずっとアップデートしていくとしたら大変だなあ……。

 ガールプラモは、これまで100体以上作ってきたが(※塗装制作は半分以上)、猛者モデラーたちの中では、これはたいしたことのない数字だろう。
 ジャンルの中で見ても、これまでに発売された国内ガールプラモは400種類以上あるので、せいぜい1/4しかカヴァーできていない。さらに海外キットも60種以上あるので、ほんの2割程度。
 ただし、「フレズヴェルク」や「フェイ・イェン」のようなヴァリエーションキットをまとめれば、国内キットは300を下回る(※数え方によるが、おそらく270種くらい)。そう考えると、それなりのキャリアにはなってきたのかもしれない。
 艦船模型はまだ100隻に達していないが、制作時間で言えば依然として艦船の方が圧倒的だ。なにしろ、一隻完成させるのに20時間~60時間掛かるので。モデラーとしての私のアイデンティティと技術的基盤と思想的姿勢は、何よりもまず、シップモデルに立脚している。

 余談。ヴァリエーションの多いキットを適当に挙げてみると:
11種:FAGフレズヴェルク(ビキニ版4種を含む)
9種:ホイホイさん
8種:FAGマガツキ(ドゥルガーを含む)
7種:フェイ・イェン、FAG轟雷(「改」4種を含む。ハンドスケールなどは除く)
6種:レイキャシール、VFGカイロス(スクルド1つを含む)
5種:30MMアチェルビー、FAGアーキテクト、FAGスティレット、GGLレディコマンダー、VFGジークフリード。
※メーカー専売キットなどは除外しているので、実際には朱羅などはもう少し増える(※朱羅全体では11種類に及ぶ)。また、MD「Bullet Knights」シリーズをひとまとめにするなら8キットになる。


 中国ガールプラモのリストについて。ちまちま加筆しているが、編集方針に悩む……。
・シンプルな製品リストだけに限定するか。
・歴史的経緯や流行の推移を辿れるように、キット構成などにも言及しておくか。
・技術的な背景も示唆するように、関節構造やパーツ精度にも言及するか。
・社会的-市場的な環境を示すように、メーカー所在地なども記載するか。
・制作上のアドバイス(ジョイントの脆さなど)……ここまで書く必要は無いだろう。
・購入ガイド的なアドバイス……これだけはやりたくない。

あまり盛り込みすぎると、私見だらけで情報を抽出しづらいリストになってしまうので、ある程度は節制していくべきだろう。各メーカーの方向性(キットのおおまかな傾向)を書くくらいにとどめておくつもり。ただし、ダブル素体かどうかは、多くのユーザーが気にするポイントなので、私が知っている範囲で、可能なかぎり記載しておく。

 キットそれ自体については、ひとまず現時点では網羅的なリストができたかと思う。ただし、これから発売予定or企画中のキットの情報が、すでに二桁も出ているので、今後リストを更新していくのは大変だろう。
 発売時期については、基本的に自分の記憶頼みながら、だいたいは合っていると思う(※マイルストンのサイトに載っていれば、照合してほぼ確定できる)。少なくとも、日本国内で流通or海外通販で入手できるようになった時期は、おおむね合っている筈。しかし、これまでノーチェックだったメーカーについては、記憶には頼れないし、通販サイトでも正確な日付は書かれていないことが多いし、そもそも通販サイトの情報は鵜呑みにできない。SNS検索を遡っても、発売時期が確認できる場合があるが、海外キットについては言及が非常に少ないので、残念ながら、参考にならないことも多い。特に使用素材については、ABSと書いてあるのに実際はPS+POMだったり、ABS素材の筈なのにPVCと記載されていたりする場合もあって、まるで信用ならない。

 フェイスパーツの互換性も重要だな……と思い出したが、さすがに各シリーズを網羅的に買ってチェックするわけにもいかないので、ごく大雑把なコメントに留めるしかない。大抵のメーカーは、同一規格で互換性を確保している筈だが、最初期のキット(例:MS General「趙雲」、E-Model「アラクネ」)は規格違いだったりする。
 もっとも、フェイスパーツの取り替えは、個人的にはあまり重視していない。拡張性の観点では、両目デカールを貼り替える方がはるかに有益だろう(※他社デカールでも使えるし)。なので、フェイスパーツの規格については、拘泥する必要は無いと思っている。あくまで、メーカーの設計思想や商品コンセプトを窺い知るための補助的情報として言及するに留めておく。

 いずれにしても、海外ガールプラモを展望するための基礎資料は、今のところ、おそらくどこにも無い。なので、昔ながらのオタクとしては、「無いものは自分で作る」を実行した。そのうえで、「誰かが使えるかもしれないので、ネットに放流する(情報をシェアし、一般に還元する)」。これもまた、昔ながらのオタク的倫理のつもりだ。
 知は、一人で独占し秘蔵するのではなく、ボランティア的に緩くシェアしあう。
 知は、単なる物量の蓄積ではなく、整理し、記録して、公開して、誰でも使えるようにする。
 知が、重要だ。ただ皆で体験をシェアして、その場を楽しめればよいというだけではない。
 知は、正しさに向かわねばならない。真偽不明な物語(デマ)に乗るのは、不誠実だ。



 08/14(Wed)

 眼鏡を新調してきた。視力測定してもらったところ、近距離についてはほとんど変わっていないが、遠距離がやや低下したようだ。というわけで、運転免許のためにも、遠距離の視力が確保できるように調整してもらった。とはいえ、自動車を運転することは皆無だし、デスクワークではこれまでの眼鏡を使い続けても良さそう。


 今年の夏は、体調はおおむね順調。夜間も冷房をマイルドにつけたままで快適だし、耐えられそうなときは扇風機だけで寝る日もある。食欲も、例年どおり健全に機能している。ただし、やや胃腸の働きが弱っていそうな気配があるので気をつけたい。


 第1弾(2018年10月)は未購入。紺色制服と正面顔で、無難志向の造形だったようだ。ただし、武器セットには対戦車砲RPGのようなアイテムも入っており、当初から「水鉄砲バトル」の枠組はかなり柔軟に扱われていたようだ。武器はブラックとスモーククリアの2パターンで、武器セットの片方にクリアカラーを使うスタイルはその後も継承されていく。
 第2弾(2019/06)は、長袖の白い制服。ボディは2種類だったかな。キャラクターも、ショートボブカットなど、スポーティな路線。ただし、3人中2人は横向きの視線で、ちょっと癖がある。武器セットは、タクティカルベストやニーパッドなど、ミリタリー(サバゲー)色の濃いものが入っていてたいへん貴重。このオプションを大量確保しておいた人は、先見の明がありそう。
 なお、この頃には人気が確立されていたようで、オンライン専売のフェイスパーツセットが発売されるようになった。私は未購入なので実物は見ていないが、高コストなフェイスパーツを受注販売に回すのは賢明な判断だろう。
 第3弾(2019/03)は、カジュアル志向。半袖+リボンの制服で、キャラクターも正統派の茶髪美人「望月あかね」に、金髪ポニテ「野中りか」、犬っぽい外ハネボブの「和田あずき」とキャッチーだし、オプションアイテムもヘッドフォン、手首シュシュ、腰巻きアウターといった日常路線。ヘッドフォンは1/12ガールプラモにも流用できる。これもたくさん確保しておきたかった。
 第4弾(2020/01)はクラシカルなセーラー服と機関銃。黒髪ロングの「本橋いずみ」から、片目隠れで赤眼半笑いの「星乃ともよ」まで、振れ幅が大きい。オプションパーツは、ドラム缶や土嚢、ゴーグルなど、これまたサバゲー路線、あるいはジオラマ路線を窺わせる。その一方で、刀型の水鉄砲(?)というユーモラスな珍武器も、堂々と導入されている。
 第1弾のカラバリ「1.5」弾もリリースされた(2020/04)。茶色系の学生服という珍しいカラーリングだが、「ヴァーチャル世界でのアバターバトル」という設定らしいので、こういう風変わりな見せ方もありだろう。オーソドックスな武器類の補充としてもちょうど良いタイミングだったと思う。
 第5弾(2020/11)は、秋っぽいカーディガン制服。ボディも3キャラそれぞれに異なる。組み立て補助の小さな治具が付属するようになったのも、このあたりからだったかな。キャラクターは、大きな三つ編みの「小林ゆかり」や、赤髪ウェーブボブの「霜鳥ジュリ」がいるが、フェイスの表情は無難。武器セットは、弓矢型があるという程度で、非常に簡素。拡張装備用のアタッチメント(ホルスター)が入っているのは、シリーズを通しての拡張性を見込んだものと思われる。言い換えれば、この時点で固定客がきちんと付いていたのだろう。
 第6弾(2021/03)はメイド。キャラクターは、第1弾のものをベースに、髪型をアレンジしている。オプションカプセルも、箒やティーポットなど、メイド関連のアイテムになっていて、水鉄砲要素が無い。たしかにメイド服そのものはかなり力の入った作りで、第6弾それ自体としては可愛らしいメイドフィギュアなのだが、シリーズ全体の中で見ると最も扱いにくく、他と組み合わせづらいグループだった。
 第7弾(2021/09)は、紺色上着に白色スカートという珍しいファッション。キャラクターは、おしとやかなグレー長髪「松原みはる」と元気なピンク髪「山野さくらこ」の2人が盛大なアホ毛を跳ねさせており、シリーズ初の眼鏡キャラ「黒沼かなこ」ともども、非常に力の入ったキャラデザになっている。それに対して武器セットは、レールガンのような巨大な砲で、視覚的なインパクトもあるし、組み替えて楽しむこともできる。中身の充実したグループ。ちなみに、この弾から肘関節の軸径が変更されたらしい(未確認)。
 第8弾(2022/03)は、シャツ+スパッツのストリートガール風。シリーズ内で初めて、スカートの無いデザインが導入されて、脚部(股関節)の可動が最大限活用できるようになった。実際、スカートの無いスパッツ姿ということで、椅子やバイクに座らせることができ、ジオラマ系ユーザーには好評だったようだ(※もちろん、他のキャラクターでも、スカートを外して組むことは可能だけど……)。キャラクターは、第3弾のトリオが、ヘアスタイルを変えて再登場している。オプションパーツは帽子やゴーグルだけで、特別な武器は無い。軽装で走り回って撃ちまくるという想定だろうか。
 なお、これまでは脛(ソックス)部分で分割されていたのが、太腿(スパッツ)でのパーツ分割になったこともあり、シリーズ内での互換性は弱くなった。ただし、太腿ロールができるのはポージングにとってかなり有利なので、一長一短と言うべきだろう。
 第9弾(2022/05)は、再びメイド。ハート型エプロンやケモ耳カチューシャなど、あざとさが目立つ。キャラクターは第2弾からの再登場。
 節目の第10弾(2022/10)は、グレー系のセーラー服。オプションセットはタクティカルベストにマシンガンやライフルがたっぷり入っていて、第1弾以来の正統派路線(サバゲー風)と言える。新機軸が無いとも言えるが。ただし、「田川みわ」には悪役マスクまで入っていて、かなりの力作。
 第11弾(2023/05)は、シンプルな白シャツ制服。ただし、スカートはチェック柄が塗装済みという贅沢仕様(※おそらく特別版からのフィードバック)。キャラクターは、ピンク髪美少女「苗村ことこ」に、茶髪ツインテール「服部みつき」、水色頭髪のタレ目キャラ「松澤ゆう」と、ギャルキャラ志向でかなりキャッチーな部類。それに対して武器セットは、ガトリングシールドなど、武骨でインパクトのある大型アイテムが入っている。ただし、サイズが大きすぎて使いどころ(見せ方)が難しいかも。
 第12弾は、11ヵ月空いた2024年8月のリリース。キャラクターは第4弾のアレンジで、ボディは第8弾と同じくシャツ+スパッツ姿。「長島まゆみ」が猫耳ヘッドフォン同梱で、かなり優遇されている。「星乃ともよ」は、目隠れが第4弾とは左右逆になっている。「本橋いずみ」がロングヘアを後ろでシニヨンにまとめているし、中性的なスパッツ(ハーフパンツ)ルックなのも含めて、3人ともなんだかショタボーイっぽくて可愛い。なお、下半身に関しては、他弾のスカートを組み込むこともできる(※特に第7弾の白スカートが良さそう)。
 武器セットは、ブレードガンと大型ナックルグローブ(ガントレット)。水鉄砲要素はどこに行った……と言いたくなるイロモノ武器セットだが、手持ち武器として見栄えが良い(ポーズが決まる)ので、多めに持っておくと便利だろう。第4弾の日本刀やドラム缶と同様に、戦闘風景のジオラマ的表現を見せるには、ガンシューティングよりもむしろこういった近接武器にこそ大きな魅力がある。ユーザーは他のコンテンツ(とりわけJRPG風の「ガシャポンクエスト」)とも組み合わせて楽しんでいるようなので、これはこれで正解なのだろう。

 おおまかに展望すると、だいたいこんな感じ。序盤の第2-4弾でサバゲー的な小物周りが充実し、第6/9弾のイロモノ(メイド服)や第7/10弾などではキャラクター表現にも力を入れて、途中(第7/11弾)からは大型武器のヴァリエーションもいろいろ提供してきた、という流れ。
 個人的に欲しかった武器は、大鎌(※水鉄砲じゃない)、マフラー(※動きを演出できる筈)、楽器類(※ちょうど合うサイズのギターやテニスラケットなどがあれば)。ジオラマ用アイテム(ドラム缶)やファッションアイテム(カバン)なども、定期的に出してほしかった。

 「Aqua Shooters!」は、是非とも『キルミーベイベー』コラボをしてほしかった(※体格も近くて3人のキャラも立っているので)。ナイフとか仏像とか恐竜マペットとか火遁の術セットとかパンプキンヘッドとか、オプションパーツに使えそうなネタもたくさんあることだし。
 また、同じく低頭身キャラのシューティングとして(※しかもスパッツ素体もあるので)、『スプラトゥーン』版も出せそうな仕様なのだが、いまだにそういう動きは無い。なんとか実現してくれたら嬉しいのだが。


 国内ガールプラモのメタル(メッキ)塗装仕様というと、「KOS-MOS ver.4」のパールコート版(Extra coating edition)と、FAG「轟雷改 最終戦仕様(のメッキ版)」くらいかな。前者は、武器パーツの一部に金銀のコーティング、ホワイトパーツにパールコートを施している特別版。ただし、後者は公式限定品だし、通常のキットをただ金メッキ処理しただけで、メッキの厚みでクリアランスはガタガタらしいし、アンダーゲートでもないけれど。メタルカラー以外だと、FAG「フレズヴェルク・アーテル」の大鎌が偏光メッキコーティングを施してあった。ランナー全体のメッキ塗装というと、たぶんこれだけ。個別パーツに局所塗装をしてあるキットはそれなりに多いのだけどね……(創彩、アルカナディア、VFG、chitocerium)。
 最近のBANDAIが、メカキャラではなく出来合いの着衣キャラを目指しているのは、キャラクター商売というだけでなく、「プラだけで質感表現をしやすい」という都合もあるかもしれない。メタルカラーを避けつつ、金型のシボ加工やラメ入りパーツによって成形色だけで独自の色合いを表現できるので。それ以外のメーカーも、サイバー路線のメカガールを全然作っていなくて、「フェイ・イェン」「ホイホイさん」「レイキャシール」「メガロマリア」のようなガワありきのロボットキャラばかりで、そもそも金属メッキの出る幕がない(あるいは、メッキ無しで済むようにデザインしている)。
 とはいえ、XPLUS「マリア(機械人間)」、WAVE「HRP-4C 未夢」、BANDAI「アラレちゃん」(内部メカ再現あり)、MODEROID「エリアル」(メカ関節がチラ見え)などは、メタルコーティングがあっても良かったかなと思うけど……。
 もちろん国内モデラーの間でも、メカキャラ趣味はかなりの支持があって、例えば先日言及したコンテストでも、[tw: YS_SANNNOMIYA/status/1822571052721131794 ]:こんなふうに、機械関節露出とか、ボルト剥き出しの作品はたまに見かける。FAG「グライフェン」も、ツヤツヤのメタル塗装をしたら迫力があるだろうなあ……やってみようかな……。


 海外キットと国内キットは、ユーザーがどの部分のコストを引き受けるかによるかなあ。
 国内キットだと、パチ組みでも3時間くらいで完成して、すぐに動かして遊べる(BANDAI、chitocerium、創彩、BusterDoll)。これはこれで、モデラーにとってもありがたいし、ユーザーの間口を広げてくれるので、強力なアドヴァンテージだと思う。またその一方で、拡張性が大きく確保されているシリーズは、ミキシングをしてモデラー個々人の創造的を発揮しやすい。実際、国内ユーザー(SNS)の間ではそういうミキシング文化が完全に定着した。ただし、個人的には、ミキシング配慮をしすぎて穴ボコだらけなのは好みではない。また、ガールの見栄えを良くしたい場合は、デカールや塗装などの作業負担が大きくなる。Kotobukiyaは味気ない単色キットをたまに出すし、AoshimaのVFGも大量のシールで強引に乗り切っている。
 それに対して海外(中国)キットは、説明書のままストレートに組んでいけば、ディテールの細やかなキットが完成する。メカディテール露出は、そうしたディテール表現にとって好都合でもあるのだろう(※もちろん、美意識でもあるだろう)。しかし、制作の手間(時間的コスト)がかなり掛かるし、極小パーツで組み立てミスもしやすくなる。例えばMecha Pig「将魂姫:関羽」のドラゴン首×6本とか、Eastern Model「セルケト」のサソリ脚×8本とかは大変らしいし……そういうボリュームについていけないユーザーもいるだろう。さらに、完全にワンオフキットなので、モデラー独自のアレンジがしづらい。メッキパーツや金属線、布服、PVC頭髪など、異素材の使用に積極的なのも、「単体での完成度は上がるが、アレンジ加工はしづらい」というジレンマが発生する。

 というわけで、日本のガールプラモは「キャラクターグッズ化と、ミキシング素材化で、二極化」。中国キットは「無塗装で組み立てて、見栄えの良い美女プラモを作り出せるおもちゃ」という路線の違いがはっきりしている。
 国ごとにアプローチが異なっているのは、ガールプラモ全体としては、むしろ良いことだ。ユーザーにとっては、好みや能力に応じて選べるメリットがあるので。つまり:
 ・手軽に遊びたい。あるいは、キャラものが欲しい → 国内キット(BANDAIや創彩)
 ・塗装しなくても完成度の高いものを入手したい → 海外キット(ただしスキルが多少要る)
 ・大ボリュームのキットを、安価に入手したい → 海外キット(ただし欠品リスクなども)
 ・塗装や組み替えを追求できるポテンシャルが欲しい → 国内キット(Kotobukiya)
選択の余地が大きいのは、ユーザー参入のハードルを下げることにもなっているし、良いことだと思う。日本のメーカーが、メディアミックスのメリットを活かして『マクロス』『ガンダム』キャラクターのプラモ化をしているのも、市場拡大という意味で好ましいし、中国メーカーが地の利(たぶん人件費)を活かしい大ボリュームキットを連発しているのも、ありがたくはある。そうした中で、KOTOBUKIYAが一人負けになりかねないのは、ちょっと心配だけど……。
 中国メーカーでも、SUYAYAはボリューム増強とパーツ整理(パーツ数抑制)の両方を進めていて、特に「アルテミス」はかなり気に入ったのだけど、ジョイントがかなりきついのと、キャラデザ面で迷走気味なのがもったいない。もうちょっと舵取りを上手くやってくれれば、日本受けもしそうなメーカーなのに……。

 ざっくりランナー塗装をしておけば、そのまま組んでクオリティが上がるという意味では、中国キットはありがたい。例えば、パールコートをランナー吹き付けしておくだけでも、かなり見栄えが違ってくる。それに対して、国内キットだと、塗装やデカール貼付の後にトップコートをしなければいけないので、制作手順がまるで別物になってくる。


 模型コンテストの件に追記。7/26にコメントして以降、さらに参加作品が増えている。全部の作品にコメントはしきれないので、ほんのいくつかに言及しておく。以下、エントリー順で。
 [tw: YS_SANNNOMIYA/status/1822102818221949182 ]:一見するとシンプルだが、ミキシングが上手い。頭部は創彩リツカのアレンジで、上半身は「六角潮季」、下半身は「メガロマリア」、武器はlittle armoryあたりかと思うが、全体の統一感と、造形的なオリジナリティがある。
 [ 1822194622992470468 ]:30MSの新作「ユフィア」をさっそく使って、素肌露出度を上げた作品。頭髪のグラデーション塗装も上手くなさっているし、腹部の黒ラインをはっきり目立たせつつ、全体がきれいにまとまっている。ただし、胸部の半透け塗装は、うーん、ちょっと……。
 [ 1822547089773232469 ]:FRS「チュアチュリー」のしゃがみ下半身がバイク跨がりに使えるというのは有名だが、ラピッドレイダーに乗せたのは良いチョイス。カウルはマーブル塗装っぽく細やかな模様を入れており、エンジン周りも質感豊かに塗装していて見応えがある。ただし、HASEGAWAデカールは、ちょっと余計だったかも……。
 [ 1822571052721131794 ]:上でも言及した、サイバネティクス化ガール。ベースは30MS「ティアーシャ」だが、実際にはかなり独自パーツに入れ替えている。ぬめるような金属表現も絶妙だし、腰に手を当てたポージングは股関節のメカ表現に目を向けさせるし、台座演出まで含めて完成度が高い。あえて言うなら、頭髪塗装がややベッタリしているのはもったいない。
 [ 1823212151789769071 ]:「エクソシストWIDOW」の色変え。造形面ではほぼキットのままと思われるが、塗装技術が高い。ツヤのコントロールから、配色選択まで、バランスが取れている。丁寧な塗装で完成度を上げた、正統派のアレンジだと思う。
 [1823212609543537143 ]:ケタギーノさんだ……。いや、面識も何も無いお方だが、関西の模型展で、強烈な個性の作品を出しておられるのをたまに見かけた。ただし、今回はアレンジ控えめな作りだが、それでもスカートの追加、細部の塗装、ポージングの取り合わせによって、BANDAIキットが引き締まった出来映えになっている。刀の柄の部分のディテール追加が見事。
 ガール部門では、計16作品が参加しておられるが、私が投票するなら、キットの造形に忠実でありつつ完成度を高めた「ガオガイガー」( 1816404748503073065 )か、上記のサイバー30MS[ 1822571052721131794 ]のどちらかかな。
 自分の話をしても仕方ないが、私の作品は、「コンセプトはあくまでパッケージアートからの借り物。塗装もベタで、ほぼキットのまま。取り柄はボリュームと、細かなラインの塗り分けくらい」なので、とりあえず賑やかしになっていれば幸い。エントリーNo.1(参加1番目)で、良い展示場所をもらってしまったのは申し訳ない……。

 ガールプラモと並んで、1/144ロボットプラモ部門のコンテストも開かれている。そちらは詳しくないので個別のコメントはしないが、力作や傑作が店頭に並んでいて見応えがある。


 酷暑で参加者たちがバタバタ倒れて救護室もパンクしていたと聞くに、「コミケットはもう開催しなくていいのでは」と思う。開催するにしても、例えば「北海道会場と関西会場と福岡会場で分割開催」といった形でもよいのだし、せめて時期をずらすなり何なり、主催者側が組織として真摯に再考すべきではないかなあ。
 現状では、参加者たちに「気をつけて」と言うばかりで(つまり当人任せ)、根本的な対策はしていないようだし、事ここに至ってもろくな動きが現れていないのでは、最早まともなイベントとは言いがたいように思える。これでは、音楽イベントやスポーツ競技会よりも劣悪なのでは……。
 当面の状況としては、来年には空調が改善されるらしく、夏の開催が多少なりともましな環境になればよいのだが……。チケット制で参加者を減らす(=密度を下げる=熱源を減らす)というのも、あらためて選択肢として有望かもしれない。チケット制は、参加者を制限する(とりわけカジュアル層や若年層を排除しかねない)ので、あまり賛同はできないのだが、そういう対処もやむを得ないのかもしれない。


 プライズフィギュア界が、ここ1~2年で、かなり縮小してきたように感じる。あくまで個人的な体感レベルの話だけど。考えられる事情としては、
・コロナ蔓延下でゲームセンターが苦境に。→商品たるプライズフィギュアの供給も減る。
・いわゆる「巣ごもり」により、購入者は増えた。→ 需要>供給になり、既存在庫が払底。
・スケールフィギュアの高騰傾向も影響?(フィギュア趣味者が減り、プライズ系にも波及?)
・中古品の店頭在庫も、この数年でめっきり減った。海外からの購入者も多そう。
・原料価格高騰も、コストが厳しく制約されるプライズフィギュアを、作りにくくした。
 需要そのものが減ったのか、それとも既存の商品が取り尽くされて無くなったのか、供給側が減ったのかは、よく分からないが、全体としては明らかに数が減ってきたように感じる。

 10年代後半は初音ミク、レム/ラム、「ラブライブ」、オンラインゲーム系(「FGO」「アイマス」「艦これ」)などのプライズフィギュアが大量にリリースされていたが、この数年で店頭品やレンタルショーケースからどんどん姿を消していった。
 その一方で、20年代には「五等分」「ゆるキャン△」「スパイ」「ウマ」「転スラ」などがしばしばプライズ化されているが、商品展開としては比較的小規模なように見受けられる。アニメ関連のプライズフィギュアが、ごく散発的にリリースされるというパターンもあり、これはこれで「フィギュア市場の裾野が広がっている」と評価することもできる。
 プライズフィギュアのブランド(シリーズ)も、10年代後半からいくつも登場して、様々なアプローチで楽しませてくれた。例えば、大サイズのGLITTER & GLAMOURS(2016年8月-)、ディテール表現を追求したEXQ(2017年8月-)、ラメ入りなどの素材に凝ったESPRESTO(2020年8月-)、人気キャラを機敏に取り上げて堅実にまとめ上げる王道安定のCoreful(2020年11月-)、少年ジャンプ系に強いFIGURIZMα(2022年6月-)、水着特化のCelestial vivi(2022年6月-)、浮き輪シリーズのAqua Float Girls(2022年8月-)など。非-プライズでも、4000円台のpop up parade(2019年2月-)が出ていた。しかし最近は、目立った新シリーズがあまり出ていない。Luminasta(2023年1月-)くらいだろうか。また、ネタ元としては、「エヴァ」が2021年に完結したのも大きいかもしれない。いずれにせよ、残念ながら、縮小と停滞を感じている。

 私自身、2010年代後半から200体以上買って楽しんできた(※ゲームセンターではなく、ホビーショップの店頭売りで購入するのが多い)。しかし今年に入ってからは、あまり買わなくなっている。らしんばんやSRGYの中古コーナーの店頭品も、ずいぶん減ってきた。
 限られた製造費の中で、様々な挑戦が見て取れるし、造形面でもユニークな趣向を凝らしたものがあって、たいへん楽しい分野なので、豊かに続いていってほしいところだが……このジャンルが今後どうなっていくかは分からない。

 個人的には、TAITOのプライズフィギュアが一番好み。素肌の成形色に透明感があるのが素晴らしい(※他社のものはマネキンのような素肌だったりする)。キャラクター造形はちょっと癖が強くて、丸顔寄りのデフォルメが入りがちだが、これはこれで愛嬌があって可愛らしい。

 可動プライズフィギュア「Movingood!!!」は、『五等分』シリーズだけで終わりなのかな。入手してみたが、全身はもちろん組立て済み&塗装済みで、フェイスパーツも2種類、掌パーツも3種類同梱されているというもので、サイズもガールプラモ同等の15cm級で、ホビー店で2000円程度で購入できるのは大したものだと思ったが、世間的な評価は低めなようだ。
 たしかに、萌えキャラ(美少女キャラ)の立体物であれば、表情がよく見える大サイズで、魅力を最大限引き出すようなポージングに仕立て上げてくれる方が良いのだろう。ドール的な可動需要は、まったく別種の文化だということでもある。
 造形それ自体も、がに股気味に見えるのは、あまり印象が良くなかっただろう。可動プライズフィギュアを試みた意欲は分かるが、いささかもったいない出来だった。

 高価格なスケールフィギュアは、近年では3万円台が普通になりつつあり、そろそろ手を出しにくくなってきた。これまでは年に1-2個くらい、たまに買ってきたのだが、部屋の手狭さもあり、ずいぶん買いづらくなってしまった。
 高額フィギュア分野の、ここ数年での変化というと、SNSイラストレーターを起用した立体化が増えてきたことが挙げられるだろうか。アニメ等に依存しないオリジナルキャラだが、元々フィギュアはそんなに大量生産する商品ではないので、イラストレーター人気とお色気要素(※脱衣可能なフィギュアもある)によって一定数の固定客を確保できれば、商売として十分成り立つのだろう。



 08/11(Sun)

 「美少女部活もの」、「萌えサークルもの」は、10年代から20年代初頭までのオタク界隈を席巻した流行の一つだが、そのカテゴリーそのものについてはあまり語られていないように思う。私が考えているものを簡単に定式化すると、
 1: 主要キャラは、オタク向けの美少女キャラのみである(男性主人公などはいない)。
 2: 部活、または趣味的性格の強い特定の活動がテーマになっている。
 3: 総じてコメディ寄りである(※ただし、シリアス路線の作品も存在する)。
こういった方向性の作品を、仮に「美少女部活もの」と呼んでおくが、これはいつ頃から現れ、どのように形成されてきたのだろうか。

 複数の出自があったと考えられるが、最大かつ直接の震源地は、おそらく萌え四コマ漫画だろう。その出発点とされる『あずまんが大王』(1999-2002)は、特定の部活に関わるものではないし、取り繕った美少女ばかりでもなかったが、男性キャラ不在の安逸空間を指向した(※「木村」という男性教師がいただけ)という意味で、今世紀の(男性)オタク界隈の気風の土台作りをした。『らき☆すた』(2004-)も、比較的早い時期の有名作品だろう。
 萌え四コマ分野を本格的に手掛けた雑誌として、『まんがタイムきらら』(2002-)があり、なかでも『けいおん!』(2007-)は、複数回のアニメ化も含めて大きなセールスになって、美少女オンリーの部活ものという枠組を確立した(※舞台は女子校で、男性キャラは事実上皆無)。
 とはいえ、萌え四コマ全体としては、部活ものや職業ものはけっして多くはなかったようだが(かなりの少数?)、それでも、『ひだまりスケッチ』(2004年-、美術系高校)や、『GA 芸術科アートデザインクラス』(2004-2015、美術系高校)、『ハナヤマタ』(2011-2018、よさこい踊りの部活)、『NEW GAME!』(2013-2021、ゲーム会社)、『ブレンド・S』(2013-2022、カフェ経営)、『ゆるきゃん△』(2015-、キャンプ活動)、『はるかなレシーブ』(2015-2020、ビーチバレー、非-四コマ)、『球詠』(2016-、女子野球、非-四コマ)、『アニマエール!』(2016-2020、チアリーディング)、『スローループ』(2018-、釣り)といった芳文社作品が、くりかえしアニメ化されてきた。これらはまさに、
 1: 主要キャラがほぼ全て若年女性(美少女)で占められており、中高年の女性も稀だし(※教師役や母親キャラが脇役として登場する場合はある)、とりわけ男性キャラが強力に排除されている(※父親や男性教師などのサブキャラが登場する場合はある)。
 2: 部活、または特定の活動をフィーチャーしている(※職種不明な一般企業像ではない)。
 3: 総じてコメディ基調である(※スポーツものなどでは、シリアス傾向もある)
という基本的性格を体現している。

 【周辺領域について】:もちろん、美少女オンリーの萌え空間を目指すという広い意味では、ストーリー漫画でも『ああっ女神さまっ』(1988-2014年、男性主人公あり)から、『A・Iが止まらない!』(1994-1997、男性主人公あり)と同じ作者の『ラブひな』(1998-2001、男性主人公あり)、『咲』(2006-、麻雀漫画)のような流れがある。『ももいろシスターズ』(1993-2002)も、この中に含めてよいだろうか。
 小説(ライトノヴェル)媒体でも80年代の『ダーティペア』や、90年代の『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』(1993-2001)などに遡れる歴史がある。このあたりは、特に不勉強なのでよく分からないが、アニメ化などのメディアミックスの出発点になっているタイトルも多いようだ。
 アニメでも、『プリンセスナイン 如月女子高野球部』(1998)のような作品も存在したし、とりわけ『カードキャプターさくら』(1996年-/アニメ化1998-1999)は、美少女だらけというわけではないものの、歴史的には巨大なマイルストーンだろう。さらに世紀が替わる頃には、『デュアル! ぱられルンルン物語』(1999)や『シスター・プリンセス』(2001)、『ギャラクシーエンジェル』(2001-)、『HAPPY★LESSON』シリーズ(2002-)のようなハーレムものアニメが堂々と公開されるようになった。ただし、これらの大半は、特定の部活などに限定されない。
 ゲーム分野でも、『ときめきメモリアル』シリーズ(1994-)や『サクラ大戦』(1996-)のような恋愛要素のある作品では、美少女キャラが多数登場した。あかほりさとるは、『セイバーマリオネット』(1995-)や、『らいむいろ戦奇譚』(2002-)などのメディアミックスコンテンツを主導して、美少女キャラを大量に登場させる作品を幅広く展開した。
 女性向けでも、漫画『美少女戦士セーラームーン』(1992-1997)の頃から、『おジャ魔女どれみ』(1999-)以降の少女向けの魔法少女アニメまで、女性キャラ中心のコンテンツは多数存在するし、漫画『ちはやふる』(2007-2022、かるた部、男女混合)のような部活ものも現れている。

 なお、90年代から隆盛したアダルトPCゲームは、もちろん美少女キャラを大量に提供しているが、ストレートな性描写を扱う必要と、プレイヤーキャラを必要とする都合上、ほぼ全ての作品に男性主人公が登場して、ヒロインとの間で恋愛関係を育むのが主眼になる(ダーク系タイトルの場合は、男性主人公がヒロインたちを次々に蹂躙していく)ので、「美少女部活もの」とは成り立ちが大きく異なる。
 美少女PCゲームには、実在する特定の部活をフィーチャーした作品も多数存在する。例えば『ロケットの夏』(2002、未来のロケット制作部)、『六ツ星きらり』(2004、天文部)、『ぶらばん!』(2006、ブラスバンド)、『キラ☆キラ』(2007、バンド活動)、『水平線まで何マイル?』(2008、モーターグライダー部)、『BackStage』(2008、演劇)、『星空のメモリア』(2009、天文部)、『蒼の彼方のフォーリズム』(2014、架空の空中スポーツ)のように、部活もののタイトルも毎年のように発売されてきた。学生会ものも大量に存在し、これらを部活ものの一種と捉えることもできるだろう。
 また、『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズ(1996-)から、『ウェイトレスパラダイス』(2004)、『まじれす!!』(2004)の頃まで、主に00年代前半にはファミレス舞台の職業ものが流行していた。
 余談ながら、90年代から00年代までのアダルトPCゲームは、一対一の「純愛」が基軸だった。ハーレム化したのは、アトリエかぐやのようなピンク系を別とすれば、基本的には00年代末から10年代以降のスタイルだと言える(Whirlpoolなど)。ハーレム化を推し進めたのは、おそらく00年代初頭のハーレムアニメの影響が大きい。アニメ媒体の性質上、個別ヒロインに分岐することができず、最初から最後までヒロインを選ばずにずっとハーレム状況を続けることになるという事情もある。

 もう一つの大きな流れは、「擬人化もの(美少女化もの)」だろう。この分野にはまったくの不案内なのできちんとした展望を持てないが、漫画『一騎当千』(2000-)やアニメ『スカイガールズ』(2006)から、メディアミックスコンテンツ『ストライクウィッチーズ』シリーズ(2007-)、美少女ゲーム『恋姫†無双』シリーズ(2007-)、フィギュア系コンテンツ『武装神姫』(2007-)のあたりで、ミリタリー趣味と協同しつつ発展してきて、さらに10年代前半からはブラウザゲーム/ソーシャルゲーム分野で大量に試みられた……とまとめられるだろうか。
 これらの「美少女もの」も、萌え部活ものに相通じる性質を持つ。すなわち、
・事実上全てのキャラクターが、「美少女(若年+美形+女性)」である。
・特定のテーマやモティーフを持つ(花、音楽、軍艦など)。ただし、「趣味」の要素は少なめ?
・ゲーム媒体の性質上、競争的=シリアス要素も多い。

 いわゆる「百合」ネタの興隆も、おそらくこれらと連動していると思うが、よく分からない。百合キャラ文化は、読者が自己投影できるような特定の主人公を設定せず、作中キャラクターたちの関係だけで完結するという特徴があり、これは、美少女たちの活動をただ鑑賞するという現代的な姿勢との間で、たいへん好都合な親和性があると思われる。美少女キャラクターの間の「百合」イマジネーションは、『マリア様がみてる』(1998-)の頃には萌芽していたと見てよいだろう。
 アイドル分野は、いよいよもって分からない。「百合」ネタと同じように、あくまで鑑賞対象として、ステージの下から応援するのを良しとしているのか、それとも、イベントの気分を共有できる存在として求めているのか、あるいはマネージャー役になってアイドルと恋愛する妄想を楽しんでいるのか。しかし、いずれにしても、「アイドルになれる=外見的魅力がある=美少女キャラである」という結びつきは、おそらく大前提として存在している筈だ。そしてもちろん、アイドルとしての成功を目指すヒロインたちの描写は、部活ものにきわめて近い形態を取るだろう。「アイドルマスター」シリーズ(2005-)、「ラブライブ!」シリーズ(2012-)、「BanG Dream!」シリーズ(2015)など、開始時期はそれぞれ異なるものの、2010年代を通じて大規模にメディアミックス展開が行われてきた。

 このように辿っていった上で、ここ三十年の状況をおおまかに整理すると、だいたい以下のような流れだったと言えるだろうか。

 90年代のうちに、美少女ものが増加(萌え系漫画、さらにはアダルトPCゲームでも)
→ 90年代末からはハーレム化(ハーレムコメディアニメ)
→ 00年代初頭から「擬人化」を通じて美少女化が圧倒的多数に。主に漫画やミリオタ界隈で。
→ 00年代前半のうちに「百合」アプローチが伸張。同時に、男性キャラをも排除する傾向も。
→ 00年代半ば以降、萌え四コマ分野から美少女部活ものが増加(アニメ化も多数)。
→ 00年代末以降は、ブラウザゲームを中心に、擬人化(美少女化)ネタが本格的に普及。
→(10年代初頭以降は、美少女キャラのアイドル化も進行。「推し」競争が前景化)
→(10年代前半のうちに、ネット小説由来の美少女ハーレムものが爆発的に増加)
→(10年代半ば以降は、キャラ「萌え」が「エロ」表現によって上書きされた。SNSと同人文化)
→(20年代以降は……「百合(関係妄想)」と「エロ(性的妄想)」に二極化?)
美少女部活ものも、こういう大きな流れの中に位置づけられるのだろう。

 いずれにせよ、90年代以前の作品と比べると、00年代後半以降の「極端な美少女優位」、そして10年代以降の「極端なお色気重視(萌えではなくエロ)」というのは、歴史的にも内容的にもかなり特殊な傾斜を示していると言うべきだろう。
 近年の新作漫画でも、「美少女たちが特定の(趣味)活動を始める」という構成の漫画作品は多数現れている。それはそれで構わないし、活動内容のチョイスによって独自性を打ち出すこともできるし、少なくとも、男性主人公中心のベタなハーレムものよりは受け入れやすいと思われるが……やはり、繰り返されると飽きるし、個人的にはハズレ率が高いと感じる。導入部分が強引で、キャラ描写と活動描写がうまく連動しない(どちらも掘り下げられない)まま、短命連載で終わってしまうというものに遭遇しがちだったので。

 一連の流れを思いっきり粗雑に統合すると、「えろえろに擬人化した美少女キャラたちが、ハーレムを作ったり百合関係になったりギスギスしたりしつつ、異世界でアイドル部活をする」……『ルミナスウィッチーズ』か『マクロス』シリーズかな?

 その一方で、格好良い男性たちが活躍するヒーローもの(特撮路線)や、クラシカルなシンデレラストーリーもの(『○○の嫁』路線)も、あらためて大きな潮流になっている。

 オタク系フィクションの中では、「男/女」のジェンダー規範やカテゴリー的分断が、いまだ強固に存在するという話でもある。女装男子キャラなども散発的に現れてはいるものの……。


 最近の声優芝居で、台詞一つ一つにちょっとした緩急を入れてリアルっぽく(?)しているのは、そろそろ苦手に感じつつある。
 その抑揚それ自体によって、喋っているライヴ感を意識させるというのは確かだ。そして。「キャラクターの口調のパターンを確立して、日常会話の音響的ムードを作り上げる」という観点では、たしかに一定の効用があり、そうした芝居が好まれる事情も分かる。
 しかし、そうした緩急表現は、繰り返されるとすぐにマンネリに陥ってしまうし、また、そうした緩急に気を取られるため、台詞一つ一つの意味づけのデリカシーが消えてしまう。私にとっての(アニメ)芝居は、音響(サウンド)よりもむしろ言葉(意味と演出)だ。ガワの響きだけでリアルっぽくするのではなく、台詞の一つ一つを細やかに解釈して、台本全体を見通した掘り下げによって、その都度のシーンの流れを伝えるような芝居を構築していく。そういうアプローチの方が好みだ。恣意的な崩しよりも、明晰さを維持してくれる方がありがたい。
 結局のところ、そういう緩急芝居は、キャラクターの造形というよりは、その役者自身が剥き出しで前面に出てしまうことになっていないだろうか。「ああ、この芝居ぶりは、この役者さんらしいなあ」という捉え方をしてしまうことは私にもあるし、そういうくだけた芝居に耳に心地良く感じることもあるのだが、それがはたして表現芸術として良いことなのかどうかは、いささか躊躇せざるを得ない。
 ちなみに、こうした芝居が成立するようになっているのは、口パクのコントロールなどの映像制作の技術的進歩が関わっているかもしれない(あくまで素人推測)が、どうなんだろう。


 リプライで袋叩きにされているけれど、スケール系モデラーとしては、こういうシルエットやディテールの細かな違いを突き詰めたくなるのは、気分としては分かるのよ……。
 例えば艦船模型でも、「艦首の微妙な傾斜具合が実艦写真と似ていないので、パテで修正して本来の姿を追求しよう」とか、「この年次を想定して制作するならば、この艤装は外されていた筈だから、モールドを削り取ろう」とか、「同型艦の間で違いを表現するために、船体色は所属港に合わせて、こちらの艦は佐世保グレー、あちらの艦は呉グレーで塗り分ける」とか……。艦船以外でも、映像創作物を見て、「この戦闘機のエンジン音はこれじゃない」とか、「この戦車はこんな速度を出せた筈がない」といった話はわりと出てくる。
 そうやって闇雲に考証を追求するモデラー的/ミリオタ的な行動は、木を見て森を見ない些末な執着だったり、つまらない自己満足だったりするように見えるが、しかし、趣味の世界はそういう自由な執着があって良いのだとも思う。そういう執着をするマニアたちを知っている身としては、これはこれで微笑ましく思える。
 特に、飛行甲板の識別文字は、その艦を表示するシンボリックな記号だし、艦尾(スターン)のカーブの形状も、モデラーの間ではしばしば注目されるポイントだ。「この年次では、この艦載機を持っていた筈が無い」というのも、艦船模型であれば非常にクリティカルな問題だ。なにしろ艦船模型では、年次違いでそれぞれ複数のキットが発売されているくらいなので(つまり、艦船趣味者には、元からそういう人が多いのだ)。艦首正面の碇の位置が違うというのも、これが模型分野だったなら、致命的な失態になっていただろう。
 その意味で、少なくともモデラーから見れば、わりとありがちな関心の持ち方だったりする。そして、明確に特定の実艦をモティーフにした「実艦の形状に合わせられるところは、できるだけ忠実であってほしい」と思うのも、まあ、分かる。趣味のこだわりとは、得てしてそういうものだ。

 ただし、上記投稿者の過ちは、そうした齟齬を「手抜き」「ミス」「愚か」と断じてしまっている点だ。模型再現とは異なって、フィクショナルな擬人化キャラクターであり、そこには取捨選択やアレンジの余地がどうしても生まれる。そうした創作性を無視して、図面考証を絶対的なものとして主張する姿勢には、さすがに賛同できない。おそらくこの方としては、それらの指摘はマニアとして譲れない急所なのだと思うし、そういうこだわりは自分の中で大事にしていってほしいが、しかし、今回のイラストは、考証の畑から一歩離れた別分野の存在なので、そのあたりの距離感と、相互尊重の姿勢を示しておくべきだったのではないかなあ。
 このあたりのグラデーションは難しくて、例えば赤城にコルセアが乗っていたら、「それは違う、やめてくれ」と言いたくなるオタクは多いだろうし、もしも陸奥として描かれた擬人化キャラのイラストが46cm三連砲を乗せていたら、「そんなのでは、陸奥を名乗らせる意味が無いじゃん」と言いたくなる人は多いだろう。では、これらの事例は、上記の事例と同じなのか、違うのかというと、その線引きはきわめて難しい。というか、人それぞれに線引きは異なるだろう。
 個人的には、例えば機銃の総数やパープルっぽい影表現に関する指摘は筋違いだと思うし、管制塔の省略くらいは構わないと思うし、煙突内部の形状はさすがに些末すぎると思う。しかし、スターン(艦尾)のシルエットや艦載機の年次齟齬については、わざわざ実艦から外れる表現上の意味が無さそうなので、「せっかく実艦をモティーフにしているのだから、そこは合わせておいた方が良かったのでは……」と感じる。

 ちなみに、こういった擬人化コンセプトゲームのキャライラストの場合は、メーカー側が考証情報も含めてサポートすべき(サポートしている筈)であって、今回のような細かな逸脱はイラストレーターの責ではない。その意味で、メーカー(運営)自身が矢面に立たずに脇からコメントしている(tw: 1822546905857183996)のは、責任逃れめいて、むしろ非常に印象が悪い。国籍差別的な言及もしてしまっているし……そういうのは良くないよ。

 擬人化デザインとしては、たいへん面白い。例えば、船体に大きな横穴を空けて内部にグリップを設けているのは、大胆にして秀逸なアイデアだし、そのグリップ穴と後ろのジョイント穴が同じサイズで並んでいるのもきれいだ。左手に持っている船体が、危険な真横構図なのに、船体らしい立体感と重厚な質感をしっかり感じさせているのは、さすがの上手さ。着彩についても、パープル基調のモノトーン寄りなのに、色彩を細やかに使い分けされているので、全体が単調に陥らず、しかも各部のパーツ構成が明晰に見て取れる。やはり上手い。左の足首部分が、ディテール皆無のベタ塗りシルエットになっているのも、なかなか思いきった処理だ(※ただし、左脚を後ろに下げた影表現というわけでもなさそうなので、ちょっと不思議ではある)。

 『ストライクウィッチーズ』のwebラジオでも、機体ごとのエンジン音を聞き分ける猛者リスナーがたくさんいたよね……。鉄道趣味でも、「音鉄」(録り鉄)という種類のマニアがいて、かれらは音の微妙な違いによって各車両を捉えていたり、その音を通じて様々なこと(歴史や技術)に思いを馳せたりするらしい。そういうマニアのこだわりは、(少なくとも当人一人の中で完結している分には)良いものだと思う。



 08/09(Fri)

 「Aqua Shooters!」第12弾が出ていたので回してきた。わずか7回で5種コンプリートできたのは、かなり幸運だった。昨年9月の第11弾以来、ろくに動きが無かったのでシリーズ終了したかと思っていたが、新弾が出てくれたのは嬉しい。
 最初の第1弾のみは見逃していたが、第2弾以降の通常シリーズは制覇している(※ただし、オンライン限定版や受注専売商品には手を出していないし、コラボ商品もほとんど買っていない)。そのくらいには、愛着を持って付き合ってきた。

 今回の第12弾は、頭部は第4弾キャラのアレンジ版で、ボディはおそらく第8弾と同じもの。つまり、完全新規ではなく、カラバリ+ミキシング商品と位置づけられる。しかし、装いを改めた彩りで新規キットが出てくれるのはありがたいし、コンテンツが続けられる可能性がつながるならば嬉しいし、そしてこの楽しいキャラクタートイを作り出してくれた方々が報われてくれたらと思う。
 しかし、今回の第12弾は、公式ブログでもろくに言及せず、SNSでの宣伝もしていなかったようだ。こんな状態で、良く出せたな……。内情は大変なのだろうし、今後もあまり期待はできないが、なんとか上手くやってくれたらと願うばかり。

 今回の「星乃ともよ」さんは、フェイスはおそらく第4弾のまま。頭髪パーツは新規造形で、目隠れの左右が異なっている。このキャラは、通常シリーズの中でも唯一、口を開いている(しかもあざとい八重歯、あざとい)というレアキャラ。口内塗装の分だけコストが掛かるので大変だろう。しかも、真っ赤に染まった赤目で、瞳孔が白く輝いていて、さらに前髪で片目が隠れているという、「Aqua Shooters」の中でも異彩を放っているイロモノ不思議なネタキャラ。今回の第12弾の3キャラの中では素肌露出が最少というのも、キャラ個性が滲み出ていて素晴らしい。
 黒髪ロングだった「本橋いずみ」も、頭髪色がやや明るく紺色になり、さらに後頭部をシニヨン(お団子)にまとめている。「長島まゆみ」も、第4弾では垢抜けない雰囲気だったのが、今回は猫耳ヘッドホンというキャッチーな装備をもらっている(※ショートヘアに似合っている)。

 後発の「ガシャポンクエスト」の方も、ちょっだけ手を出してみたけど、あちらは全体のバランスが悪くてもったいない感じ。というのは:
 1: 装備セットの比率が大きく、ハズレたときに悲しいし、割高感がある。素体×2、服装×2、武器×2の構成だったので、素体が当たらなければどうしようもないし、素体だけでも全然楽しめないという難しさ。もちろん、着せ替えのヴァリエーションを広げるためにはそうするしか無かったのだろうし、カプセルトイに複数回チャレンジしてもらいたいのは分かるが、確率的に、ユーザーが途中で挫折する可能性がかなり高いというのは本末転倒だろう。要するに、2回引いても4/9、つまり44%のユーザーは1000円掛けてもオプションパーツだけで肝心のキャラクターを入手できないので。
 2: また、上記のとおり、キャラクター(人物)が少ない。ということは、様々なヴァリエーションを試みる余裕が無く、結果として、表情が無難なものばかりで魅力に欠けた。フェイスプリントも、残念ながらモッサリした出来だった。その一方で、シリーズ全体としては、男/女、異種族までカバーしようとしたので、とっちらかる。それぞれのキャラに似合う装備品を掘り下げていくことができず、消化不良に感じる。
 3: キャラデザは日向悠二氏。上手い方なのだが、ペンタッチの味わいや服装ディテールの妙趣やポージングの可愛らしさを武器にしている方なので、500円カプセルトイに落とし込みつつその魅力を維持させるのは非常に難しい。実際、この「ガシャポンクエスト」の立体化は、キャラデザの長所を取り込みきれず、失敗していると思う。
 こういった諸条件が、カプセルトイ形式には不向きだったように思われる。1500円×2種、あるいは2000円×2種くらいの箱売りにした方が良かったのでは……。ほぼ同じサイズの「デスクトップアーミー」が1体2300円~6000円程度で成立しているのだし。

 これと引き比べて、「Aqua Shooters!」は、たしかに上手かった。
・少女キャラだけで統一し、フェイス互換性も確保。逆説的に、キャラごとのヴァリエーションを大きく取れるし、シリーズ内部で任意に組み替えられる。
・架空の水鉄砲バトルなので、武器デザインも汎用性が高く、それでいてイロモノを入れられる余裕もある(ライフル型、弓矢型、ガトリング型、等々)。ファンタジーRPGのような制約が無い。
・原川光博氏のキャラデザは、巧みに引き算をしつつ成立していて立体化しやすい。

 いかにも日本風の内輪路線ではある。すなわち、「大枠での多様性を切り詰めることで、その内部では多様性が確保される」という逆説。素肌も体格も全部同じSD少女キャラだけに限定することで、その中ではヘアスタイルやフェイスパーツや武装デコレーションを自由に融通し合える。これはこれで、小さな市場の実験的なコンテンツとしては一つの正解だと思うし、とりわけ私(たち)のようなオタク的耽溺にとっては「ひたすら可愛い萌えキャラたちのヴァリエーション展開を楽しめる」というのはたいへん好都合なのだが、しかしそれを成り立たせている条件のいびつさも意識しておくようにしたい。
 「Aqua Shooters!」でも、特別版でゾンビ肌(青肌)パーツを提供していたが、素肌の色を変えるだけでもたいへんなコストが掛かるし、組み替えの余地を大きく制約してしまう。様々なものが存在する豊かな世界を作るには、どうしてもコストが嵩み、負担が増すというのは、まあ、それはそれで事実なのだが……。
 プラモデル「30MS」や「メガミデバイス」シリーズにも、同じ問題が生じている。組み替えの自由度を確保するために、同じ造形でも「白肌/中間肌/日焼け肌」の3種類の商品を出す羽目になっている。いや、「モデラーならば塗装してしまえばいい」というのも一面の真理なのだが、パチ組みでの組み替えでは、なかなかそうもいかない。

 実際には、こういうコンテンツのキャラデザがどのようなプロセスで作られているのかは分からないけど。プロデューサー側がコスト計算をしつつ「こんな感じのツインテールキャラで、こういうスカートデザインの制服にします」と決定してから、それをイラストとして発注しているだけかもしれない。あるいは、大枠だけを決定してからフェイス等々の具体的な造形はキャラデザ(イラストレーター)に依頼して、それを元にして原型を起こしているのかもしれない。目指すクオリティやコスト判断によって、制作プロセスは様々に異なるだろう。


 漫画家その他のクリエイターについて、作品履歴を公開してくれるサーヴィスがあればいいのにと思う。wikipediaもあるが、外部の手によるものなので限界がある。私が想定しているのは:
- クリエイター自身が細かな作品情報を自分で登録して、公式情報としての信頼性を確保できるようにする。
- クリエイター自身にとっては、ポートフォリオ(制作実績の履歴)として使えるようにする。それに関して、ある程度自由なコンテンツを登録できるようにすると良いかも。
- ユーザー(購入者)も、クリエイターの過去作品の一覧をいつでも参照できる。可能ならば、そこから通販ページなどに飛べると便利だが……。
- サイト管理者は、広告収入などを得られれば、サーヴィスの長期存続が見込めるだろう。

要するに、包括的な作品履歴情報を、どこか信頼できる場所に集約できたらという話。フリーランス漫画家のようなクリエイターにとっては、「商業実績をとりあえずここに登録しておけば、後はそこにリンクを張るだけでポートフォリオ的に使えるし、過去作品も含めて読者を増やせるかもしれない」。読者サイドにとっては、「気になったクリエイターの過去作品についての情報を、そこそこ確実に入手できる、信頼できるサイトがあるとありがたい」、ということになる。
 現状では、商業単行本をいくつも出している漫画家でも、wkpdに項目が立っていないということも多い。当人のSNSアカウントなどでも、作品一覧を公開してくれていないことがしばしばだ。大規模な通販サイトでも十分な情報を得られない(※不十分だったり、見づらかったり、刊行年がはっきりしなかったり……)。現在連載中の配信サイトでも、作者欄にはろくな情報が無い。それ以外の一般的なweb検索では、ゴミが多すぎるし、そもそも目当ての情報がどこかに存在するという保障も無い。その意味で、創作履歴を公開してシェアできる、信頼できるサーヴィスが育っていない――無いよね?――のは、つくづく不思議だ。

 ※とはいえ、このような需要が、実際にはきわめて小さいであろうというのも理解している。漫画家の過去作品まで遡って読んでいくような読者は、おそらくきわめて稀だろう。新刊だけでも読みきれないほど大量に出ているのが現代なので。しかも、そういう読者がいたとしても、過去の単行本は、大手書店ですら入手困難なものばかりで、あまり役に立たない。
 作者側としても、創作履歴を一々公開するメリットは、おそらく小さい。上記のとおり、旧作はセールスにならないし(※配信サーヴィスとの個別契約による収益の方がはるかに大きいだろう)、新たな仕事の機会を掴まえるにも、出版社の編集者に直接伝われば済むので、一般読者にまでは気が回らない(=必要が無い)だろう。クリエイターたちのキャリアポータルサイト的サーヴィスが発達しないのは、現状では仕方ないことだと思われる。


 ガールプラモについても、正確で詳細なデータがなかなか存在しない。国内キットでも、書籍のような厳密な意味での発売日や、国会図書館のようなアーカイヴが存在しないので、オールドキットの発売時期を掘り返すのはかなり大変だ。
 特にスケールモデルでは、1980年代くらいのキットもごく普通に現役商品として店頭に置かれている。なので、発売時期を気にせずに購入すると、モッサリして組づらいオールドキットだったり、金型が緩みきってバリだらけのキットだったりして泣きを見ることがある。だから、事前に調べておいて、覚悟のうえで買う必要がある(※ちなみに、金型は古いままで、デカールと箱絵だけを変えたヴァリエーションキットが、完全新規キットのふりをして置かれていることもある)。

 中国のガールプラモについては、昨年春頃までのおおまかな展望はすでに単独記事でまとめたが、それ以降については手をつけられていない。発売時期などの情報は、どこかに記録しておかなければ、後からではどうしようもなくなってしまう。
 キット一覧リストを手許で作りかけていたが、上手く整理できないまま放置してしまった。web検索で調べても、キットの名称すらはっきりしないことがあるし、ましてや発売時期も正確に特定することができないし、さらには遺漏も多々発生している筈だ(※例えばナコルルのプラモは、買いそびれたままになってしまった)。
 海外ガールプラモで、この一年内外の新規メーカーだと、めぼしいのは:
・Leizhou(雷州) Studio社のSAINT ASIAシリーズ「STAPEL」(ミリタリー系キャラ)
・PR-Productionの「Project 狩」シリーズの「漣」(近未来SF的な武装キャラ)
・Creative FieldのNumber 57:アーマードパペット「霧御(Kirigyo)」(素肌の無いメカキャラ)
・Big Firebird Build(大火鳥製造)の「ケリー・ジャネット(Kelly Janet)」(小柄キャラ+大型メカ)
……だいたいこのあたりかな。前二者については、童友社が日本国内での販売(輸入)に噛んでいる。既存メーカーだと、Nuke Matrixのオオカミキャラ(Mad Wolf)と水着版キット(Vivienne Hayha)、Eastern Modelの「無限黒夜(无尽黒夜)」シリーズ、Mecha Pig (MS General)の「七つの大罪」シリーズなどが出ているようで、いくつかのキットは買っているが、最新動向はあんまり追えていない。これら以外にも、通販サイトなどを見ると、新興(?)メーカーによる発売予定キットがいくつかあるようだ。


 モデラーをやっていると、身辺の様々な道具類がどのように成形されているのかを考えることがある。例えば、PETボトルくらいであれば製造方法は分かるが、安価なボールペンを見ても、「こんな細長い造形で、パーティングラインもほとんど見えないし、内側には螺旋モールドもあって、さらに小さな刻印まで精密に出来ている、いったいどうやっているんだ!(しかも製造コストはどうなっているんだ!)」と驚嘆するし、マウスや調理器具などを見ても同じように摩訶不思議テクノロジーに遭遇した気分になる。いや、もちろん、きちんとした技術とクオリティコントロールがあるのだけど。


 百円ショップなどに売っている激安アクセサリー(ネックレスや指輪)も、ガールプラモやドールに使えばゴージャスなデコレーション小道具として機能する。リアルサイズではなく1/12スケールの中で使えば、安っぽさが解消されつつ、相対的に大きくて派手な装飾品になる。先日言及したコンテスト作品も大型ジュエルを活用しておられたが、実際、非常にお手軽でインパクトも大きいので、個人的にも重宝している。
 ただし、眼鏡パーツだけは、きちんとサイズ(スケール)が合わなければ不格好になるので、ドール専用のエッチングパーツ等を使うのが賢明だろう。眼鏡、大事、超大事。

「佐伯リツカ(水着)」に、ごく安価なネックレスを付けたところ。ユザワヤで買った300円の商品なのだが、ちゃんとした金属製で質感が際立つし、1/12スケールの拡大写真でも見るに堪えるくらいにはディテールがちゃんとしているし、ジュエルの輝きもアイキャッチとして強力だ。
「ねんどろいどどーる クイーンオブハート」。こちらも同じく。元々はリアル指輪として販売されている製品だが、ドールの首元を装飾するのにも使える。ただし、金属ベースなので、加工(切断や接着)はちょっと面倒だし、目立ちすぎて全体のバランスを損なうおそれもある。左記写真では、デフォルメドールなのが奏功して、寸法ズレや目立ちすぎがなんとか解消されている(と思いたい)。



 08/01(Thu)

 先月分の雑記ページはかなり長くなっていたので、月替わりで新しいページを作ることにする。
 ただし、この夏休みのうちは、あまり書かないかも。落ち着いて過ごしたいけれど……。

 gglアカウントの扱いがまた変わったようで、厄介なところが増えた。例えばこのbloggerへの画像アップロードの仕様も変化したし(アカウント認証が挟まり、さらにDrag&Drop式になった)、他のアカウントのファイルへのアクセスも制限が増えた。いよいよ使いづらくなっていくなあ……。


 最近のガールプラモいろいろ。
 今月発売のVFG「フレイア・ヴィオン(+ジークフリード)」は、頭髪のイエローとオレンジを成形色で2色再現しているようだ。ガールプラモの頭髪を複数の色で構成しているのは、2016年のFigure-rise Bust(胸像モデル)の「美雲・ギンヌメール」、2019年のchitocerium「platinum」、FRSのウマキャラ2種、FIORE「ルピナス」以来の6例目かな。海外キットにも同種の試みがある(※「Raider of Shadow 寅虎」と「黒白無常仙」)。Figure-rise LABO「初音ミク」が、頭髪のグラデーション表現を2色複合成形によって表現していたという、珍しい事例もある。KOTOBUKIYA公式販売特典の別色ヘアパーツも、組み合わせればツートーンヘアにすることができる。11月のFRS「ニカ・ナナウラ」も、2色成形になりそう。いずれにせよ、こうした試みが広がってくれるのは嬉しい。
 「platinum」の2色ヘアは、後頭部のお団子部分も白黒パーツが螺旋状に絡み合った複雑な造形で、パーツの小ささもあって、組み立てはまるでパズルのようじゃったのう……ごほごほ。

 上記「美雲・ギンヌメール」は、『マクロスΔ』の主要5キャラの一人なので、AoshimaのVFG版もいずれ発売されるだろう。パープルとライトブルーの2色巻き髪は、1/12サイズのVFGでもプラ成形色で再現されるのだろうか。それとも、さすがに細かすぎるのでシール対応かも。原作では小清水ヴォイスだったようなので、ガールプラモとしても買ってみたい気分。
 紫髪は、個人的には大好物なのだが、世間的には少数派。手許にあるガールプラモでは、FAG「グライフェン」、MD「ウィッチ:DARKNESS」、Eastern Model「アラクネ」「錦衣衛」、Suyata「Arya(アーリア)」くらいかな。Eastern Modelでは、「フランケンシュタイン/エリザベス」も、中国版では紫髪パーツ同梱だった(※中国版「フランケンシュタイン」は、パープル/オレンジ色の頭髪パーツが2種類入っている。日本版「エリザベス」では、オレンジとピンク色)。

 VOLKSの「ルピナス」は、野性味のある自由人キャラかと思っていたが、雑誌で新規公開された追加フェイス(※別売り予定)を見た感じでは、もしかして、実はおバカ無軌道キャラだったのでは……。元キットにも「慌て顔」があったしなあ。個人的には、「身体は成人女性、頭は男子小学生」のような二次元キャラは結構アリなので、これはこれで良しとしよう。

 FRS「ルナマリア」は、サンプル写真を見るかぎり、股関節-太腿の可動範囲が極端に狭そうで、食指が動かなかった。しかし、原作ありきのキャラクターなので、元キャラの魅力を維持するという観点では、これも一つの正解なのかもしれない。可動に執着しすぎて、露骨な隙間を見せてしまうと、せっかくの細やかな服の皺表現が破綻してしまうので。
 もっとも、BANDAIは、肘関節の不格好な二重関節や、肩の中途半端な引き出し関節を試みていたように、必ずしも成功ばかりではなかったが。しかし、近年のこうした消極的な無難志向も、これはこれでもったいないと感じる。

 【 ガールプラモの可動確保とキャラデザ 】
 ガールプラモの大半が、両肩(上腕)を素肌剥き出しにしているのも、様々な事情があると思われる。「1) 素肌露出をできるだけ増やす」というだけでなく、「2) シンプルな素肌ならば屈曲させても造形が破綻しにくい」、「3) 装甲無しのシンプルな素肌だけならば、可動を妨げない」という大きなメリットが生まれるので。「4)小さな可動パーツなので、割れにくく粘りのある成形色にしたい」というのもあるかもしれないが、材料工学には詳しくないので判断できない。もちろん素肌でなくても、MD「ラプター」「スサノヲ」のような全身タイツでも同様の効用がある。
 それに対して、FAG「白虎」やMD「ナイト(武装モード)」のように大ぶりの上腕装甲があると、両肩可動が制約されるし、見た目もかなり重たく見えてしまう。FRS「人造人間18号」「スレッタ」「ミオリネ」のような着衣キャラも、肩部可動との両立が難しい(※上手く解決しているとは思う)。とはいえ、両肩可動にはあまり拘泥せず、「キャラデザ重視」、「素立ちでの見栄え重視」、「強度(保持力)を重視」でも良いのだけど……。

 「仮面ライダー」「ウルトラマン」などの男性キャラのプラモデルでも、肩造形について同様の問題が生じている。そちらでは、以下のような対処が取られている。
 1: まるでロボットプラモのように肩部外装を独立可動させるという技巧的な解決が為される場合がある。例えばFRS「ウルトラマンブレーザー」や、多くの「ライダー」キット。ただし見た目は、パーツ一体感が弱まって、やや不格好になる。
 2: 胴体側(背中側)からせり出しを作ってシルエットの破綻を防ぐ(隙間が出ないようにする)というアプローチもある。例えば「ウルトラマンゼロ」。ただし、この対処だと可動範囲が狭くなり、腕を上に持ち上げることができなくなる。

 ガールプラモに話を戻すと、太腿を回転させると装飾的なラインデザインが破綻するのを嫌うユーザーもいるようだ。私としては、それは別に構わない(仕方ない)と思っている。
 むしろ、太腿回転軸の問題は別にある。つまり、太腿を途中で回転させると、断面が真円でないかぎり、凸凹の破綻が生じてしまい、それを避けるには太腿を真円にしておく必要があるが、それは人体造形としては味気ない……というジレンマだ。とりわけ、「創彩」水着キットやMD「朱羅:蒼衣」のように、脚部全体が素肌剥き出しになっているキットでは、太腿周りの肉付きの不自然さが目立ちやすくなる。

 それを避けるために、いくつもの対処法が案出されてきた。
 1: 先述のように、太腿を真円にする。私見では愚策だが、FAGやMDを初めとして、大半のガールプラモがこれ。ものによっては、脚部左右が完全に同一パーツになっているキットすらあるが、やはり人体のシルエットとしては魅力に欠ける。海外キットのEastern Model「フランケンシュタイン/エリザベス」も、正円断面なので、せっかくのすらりとした素足が間延びしてしまっている。もったいない。1/12級ドールも、同様の問題を抱えているが、布タイツやロングスカートで隠すことができる。
 2: FAGや30MSのように、間に別色のスペーサーパーツを噛ませて、シルエットのつながりを不要とする。やや作為的だが、「機能性(接続ハードポイント化)」と「シルエット(の無効化)」と「審美性(メカ要素の導入)」の3つの役割を果たしている。30MSのアイドルキャラでは、ガーターリングを装着させているが、これも同種のものと言える。……とはいえ、せっかくこんな対処があるのに、これらのキットも真円断面のままなのだが。
 3: 太腿のシルエットをあえて破綻させて、「ニーソックスに締め付けられた腿肉」として表現するという奇手もある。とりわけVOLKS「プリムラ」シリーズは、ニーソックスの上端に突き出しを設けており、別パーツ感をあえて強調することに成功している。あるいは、FRS「レーナ」やKOTOBUKIOYA「KOS-MOS」、FAG「グライフェン」のように、ガーターベルト造形を仕込むと、さらに説得力が増す。素肌/着衣を逆にしたスパッツ型やショートパンツ型でも、同じようなことができる(例えばMD「赤ずきん」「金潟すぐみ:臥薪」、FIORE「ヴィオラ/ローレル」「ルピナス」)。……しかしこれらも、相変わらず真円造形のまま。
 4: FRS「スレッタ」「ミオリネ」では、ハーフパンツの中に回転軸を隠すという個性的なアプローチを採用している。キャラデザが限定されるが、非常に上手い対処だと思う。特に「ミオリネ」は、左脚と右脚がそれぞれ独自に造形されており、脚部全体のシルエットが絶妙の肉付きで、なまめかしい魅力があるし、そのうえタイツの縫い目のモールドまで施されている。ハラショー。総じてBANDAIキットは、脚線美造形に大きな魅力がある(※全てではない)。同様に、ロングスカートの中に隠すという対処もあるが、これまたキャラデザと可動範囲が制約されるし、これだとそもそも太腿が見えない(実例はFRS「ラクス・クライン」、MOMOLING「豊臣秀羽」)。
 5: もちろん、そもそも太腿回転軸を入れないという対処も考えられるが、実際には、太腿の上と下に接続軸を仕込む必要があるので、パーツ分割の都合上、太腿を上下2分割するのが通例である。言い換えれば、太腿分割をしない場合は、シンプルな2パーツ貼り合わせにするか、あるいは筒状ワンパーツの上下にジョイントを仕込むことになる。実例は、FRS「人造人間18号」、annulus「宝多六花」、MODEROID「リプリー(withパワーローダー)」、PVC製の汎用ボディ「素材ちゃん」くらいで、非常に少ない。ただし、一体成形の分、シルエットはなめらかで美しい。PVC完成品の「figma」シリーズも、しばしばこの方式を採っている。固定ポーズのプラモデルも、ジョイントを仕込む必要が無いので、太腿分割を避けることができる(例えばFigure-rise LABOや、「創彩」シリーズの着座ポーズ用パーツ)。
 6: メカキャラでは問題にならない。例えば「フェイ・イェン」や「HRP-4C 未夢」。これはこれで、きれいな解決と言えるが、適用対象が著しく限定される。
 
 ガールプラモでは、VOLKSの「ローズ/リリィ」はかなり好きなのだが……世間的にはあんまり受けないだろうというのも理解している。きれいなスレンダー体型で、すらりとした脚線美、そして妖気のある細眼の美人顔に、花(fiore)のコンセプトを体現したボリュームたっぷりの華やかな武装パーツと、個人的にはかなり好み。
 しかし、キャラ造形としては、chitoceriumと同じく、あまり(男性)オタク受けはしないだろうし、股間部分を大きく抉った隙間造形も好き嫌いがあるだろう(※この点は「ロベリア/アキレア」も同様)。武装パーツも、VOLKSクオリティで安っぽいし(特に黄色パーツは、ちゃちさが目立ってしまう)、重たすぎてガールが保持できない。このように欠点も多いのだが、他のキットでは得られない個性がある。
 VOLKSのFIOREシリーズは、「ローズ/リリィ」の他にも、珍しい悪役路線の「ドラセナ」や、ユーモラスな宇宙服ルックの「コスモス」、剽軽で剽悍な「ルピナス」など、国内ガールプラモ分野の中でも挑戦的なキットをいろいろ出してくれているのがありがたい。しかしその一方で、パーツ精度はきわめて低く、各部ジョイントはユルユルだし、パーツ強度にも問題があり(※無頓着にもジョイント部分にまでクリアパーツを多用するので割れまくる)、そして武装デザインも総じて大味なので、けっしておすすめはできないのだが……。

 GSCの新シリーズ「ヴァルキリーチューン」は、2番目(?)のチューバキャラに興味がある。これまでのガールプラモでは、こういう華奢で気弱で儚げな後輩系キャラは事実上皆無だったので。大抵は極端な低年齢≒低頭身キャラ(SDキャラ/ぷにろり)に振り切れてしまったり、小柄キャラでもにこやかな元気系バトルキャラだった。あえて言えば「SOL ラプター」がやや近いかもしれないが、気弱後輩系とは言いにくい(シャイでドジっこな天然後輩系に見える)。というわけで、これまでのガールプラモでは、「ありそうで無かったニッチ」を取れそうなキットだと思う。
 下着丸出しのように見えるが、これはアンダースコートと見るべきだろう、うん。


 現代のオタク層は、プロパガンダや非合理的妄説(陰謀論)に対して脆弱だ、というのは残念ながら確かだろう。というのは、「俺たちが見つけた物語にのめり込んだり、対象をアイドルとして崇めたりしながら、内輪で共有して盛り上がる」というビヘイビアが、煽動対象としてあまりにも好都合だからだ。任意の政治的主張を、「俺たち」の物語であるかのように見せかけることも、複雑化/多様化した現代社会ではきわめて容易だ。
 まだしも前世紀であれば、「独立した個人どうしとしてのオタクが」、「比較的素朴な煽動に対しては」、「知的能力と茶化しスタンスによって相対化(解毒)しつつ距離を取ることができた」と言える余地があったかもしれない。しかし、当時それがあったかどうかはともかく、それはもはや過去の話にすぎず、現代出来何の効力も持たない。「推し」思考に呑まれた現代オタクは、あまりにも危なっかしい(※それが趣味それ自体として不純だと思うという側面も、先日も述べた)。また、昔からの古参オタクでも、しばしば現代の攻撃的妄説にホイホイ引っかかっているのを見れば、オタク/マニアとしての蓄積は社会的な煽動に対して無力であると言わざるを得ない。
 昔であれば、カルト宗教や政治家を「ネタ化」することによってそのパワーを無効化することは出来たかもしれないが、現代の混沌とした社会では、いかにも「ネタ」も、真顔で信じ込まれた「ベタ」と区別できず、その危険性を弱めることはできない(※「ネタ/ベタ」というのは、00年代前半くらいまでのサブカル界隈でよく使われていた枠組だが、もはや現代では、そのような区分は維持できないだろう)。それどころか、現代の陰謀論は、むしろそういった「ネタ化」≒冷笑的姿勢に乗っかって拡大しているという側面すらある。熟慮された専門知を張り子の虎だと冷笑し、それに対して「俺たちこそが真実を見つけられる」という論法が、その典型だ。
 例えば、スパモン教や『パラノイア』を知っていてネタにできるという程度では、ほとんど何の防御にもならない。社会的煽動は、往々にして、私たちの中にある無意識のちょっとした思い込みを梃子にしたり、何人も抵抗できないような心理的な隙に乗じて、そこからスルリと入ってくるものだから。オタクか非-オタクかに拘わらず、無欠万能の対策などというものは存在しないと考えるべきだろう。
 困ったことに、「オタクたちは『自分たちが騙されやすいことを自覚しているから大丈夫』だ」という、一見すると自戒できているようで、その実、やっぱり自ら隙を作ってしまっているという難しい(しかしありがちできわめて危険な)パターンもある。

 「もしもワシが反社会的妄説に堕ちた時は、どうかそなたの手で介錯してくれ」と頼めるような友人がいたらいいのだけどね……さすがにそこまでは、なかなか頼めない。


 趣味分野で、どこにお金を投じるべきかは、どうしても考えざるを得ない。
 理想を言えば、「漫画であれば連載継続できるかどうか、ゲーム等であれば会社を存続していけるかどうか、ギリギリのところを支援して存続できるようにする。そうすれば全体の多様性が維持され、より豊かに趣味を楽しめる」と考えることができる。もっとも、そんなボーダーラインを正確に知ることは不可能だし、個人の趣味活動は市場に奉仕するためのものではないが。おおまかに言えば、ややマイナーめの作品を継続的にしっかり買っていくことを意識するのは、良いことだと思う。逆に、十二分に売れているコンテンツであれば、私が買わなくても存続できるだろうし、私が語らなくてもたくさんのオタクたちが語り残してくれるだろう。私としては、こうありたい。
 それに対して、娯楽の最適化と確保可能性を徹底的に追求するのであれば、「人気の確立されているメジャー作品をフォローしていく」というのが最善になる。要はミーハー姿勢だが、しかしミーハーなマジョリティ路線こそは、最も堅実だ。連載は打ち切られずに続いてくれるだろうし、関連グッズも大量に供給されるし、メディアミックスもお金が掛かって高品質になる蓋然性が高いし、話の通じる同好の士もたくさん見つけられる筈だ。スポーツなどでも、メジャーな競技の強い選手/チームのファンになれば、楽しみに浸りやすくなるだろう。だから、まあ、一つの正解ではある。そういう姿勢は、私はあまり好きではないが。

 ただし、プレイヤーとして見る場合、つまり競争的要素のあるコンテンツ(例えばスポーツや囲碁将棋や、ユーザー同士が競い合うネットゲームなど)では、人口の大きい方がライバルが増えるので、単純な勝利の快感だけを求める場合はマイナー競技を選ぶ方が有利と言える。……いや、それはどうなんだという話だが。
 同様に、趣味を自己顕示欲の機会として(も)利用したい場合は、これまた「多少マイナーだが、それなりには知られている」、あるいは「ジャンルそのものはメジャーだが、その中では比較的マイナーな存在」というミドルクラスのコンテンツを積極的に押さえていく方が効率的かもしれない。……いや、趣味に向き合う姿勢としてそれはどうな(以下略)。

 ともあれ、最初に述べたとおり、マイナー志向は(しばしば非合理的な逆張りと見做されやすいが)必ずしも不合理ではなく、むしろマイナー志向のユーザーが多い領域の方が、全体としては選択の機会が増えて豊かになりやすいと考えられる。そして、選択肢が多いということは、それだけ参入の間口も広いということであり、新規ユーザーを取り込みつつ、なおかつ次世代の新たな人気コンテンツを生み出す可能性も高まって、長期存続しやすくなるという意義もある。
 ……まあ、これはあくまで観念的なモデルにすぎないから、実際にそれがどの程度妥当するかは分からないが。新規参入については、外的要因も大きいし、「マイナー」の基準も曖昧だ。一個人が趣味に投じるお金も、影響力は高が知れている。しかしそれでも、わずかでも良い方向に傾けていけたらいいよね。もちろん自分自身の楽しみはしっかり確保しつつ。


 2010年代はほとんどアニメを観なかったが、最近はちょっとずつ配信で視聴するようになっている。基本的に「演出目当て」と「声優目当て」、それから一部の「原作経由の関心」のみだが。
 私個人としては、昨年春クールの『のんびり農家』アニメ版が大きなきっかけだったが、世間的に見れば、20年代に入ってアニメ配信インフラが完全に定着した事実とともに、コロナ下の影響もあるかもしれない。

 『負けヒロ』第4話は、尺を1分延ばして、きりの良いところまで描ききった。説明台詞に頼らず映像によって語る演出を、ひとまず真面目にやってくれているのは好印象。特に線香花火で、相手と火を移すシーンは、アニメーションとしても実にきれい。
 とはいえ、元々は楽屋ネタのようなコンセプトの作品なので、それを映像作品としてここまでクオリティを上げて感動的に仕上げたのは、本当にそれで良かったのかという疑問もある。とはいえ、主人公中心のハーレムラブコメではなく、主人公はあくまでヒロインの心を観察する傍観者にすぎないというのが本作の構造なので、心情表現のデリカシーが高度に求められるというのも確かだ。考えてみれば、この構造は一回限りの奇手と言うべきだが、それを上手く成功させているのは素晴らしい。
 ちなみに、お色気表現はかなり控えめで、いやらしいアングルの絵などもかなり禁欲されている(※あくまで日本のオタクアニメの中での相対評価だが)。こういう方針選択も、制作者の見識だろう。
 ただし、夜間のシーンで画面が暗すぎるのは、あんまり好みではない。灯火のないところでは、本当に暗くなるのは確かで、リアルではあるのだが、アニメの画面としては見えづらく、いささか面白味に欠ける。本作はこれまでも光源演出を積極的に取り入れてきたので、暗闇のシーンもこのように表現するのは一貫性があるのだが……。

 『小市民シリーズ』も、4話でストーリーがひとまず結着した(※原作第1巻の末尾まで)。こちらはキャストわずか3名というミニマルな構成を突き通している。