2024/08/30

ガールプラモ「STAPEL」について

 中国のガールプラモ「STAPEL(诗塔佩尔)」について。

バストアップの一枚。ごく簡単な塗装とウェザリングのみで制作したが、引き締まったディテールとリアリスティックな迫力に満ちたガールプラモが完成する。


 メーカーはLeizhou Studio(雷宙文化発展科技有限公司→weibo)。広東省深圳市所在。キット発売はおそらく2023年で、日本国内の模型店や家電量販店でも見かけることがある。このキットは、「聖亜戦姫(圣亚战姬、Saint Asia)」シリーズの第1弾と銘打っている(SYZJ-001)。
 キャラクター名の「STAPEL」は、ドイツ語のStapel(シュターペル、スターペル)から? Stapelは、単語としては「倉庫」などの意味を持ち(※英語のstockに相当する)、ドイツやオランダでは苗字としても使われているようだ。日本の「武希子(武器庫)」のようなネーミングなのかもしれない。漢字表記で「诗塔佩尔(詩塔佩爾)」とあるのは、Stapelの発音に対する当て字と思われる。


軽装状態。ボディは約18cmで、ガールプラモとしてはかなり大きい。重厚なタクティカルヴェストや暗視スコープといった本格的なミリタリー路線は、ガールプラモとしてはきわめて珍しく、貴重と言える。サイズの大きさゆえ、ディテールもしっかりしている。
一般的なガールプラモと並べると、頭一つ分もサイズが異なり、BANDAI初期の「Ms. ローエングリン子」などに相当する。しかし、その分、キットそのものの存在感も大きく、迫力と魅力がある。
キットの内容(ガール本体部分)。頭部は、無帽のポニーテールと、ヘルメット装着用の2種類が入っている。スカートも、「通常」「一部なびき」「着座用」の3種類がある。キットのスカートは無地のままだったが、せっかくなのでそれぞれ塗り分けてみた。股関節は金属製の球体関節が露出する。
装備品。銃器の造形はたいへん精緻で、パーツ分割も実銃を示唆するような構成になっており、Little Armory並のハイクオリティ。背嚢のベルトは全てパーツ分割で再現。ただし、マガジンポーチは一体成形なので適宜塗り分けた。その他、携帯ゲーム機やパウダーケースなどの可愛らしい小物もあり、さらに1/1スケールのアーミーナイフのプラモデルも作れる。
主要な関節部は、合金パーツを使っている。具体的には、両肩、肘、腹部ジョイント、股関節、膝関節、さらに靴底パーツも金属製。さすがに手首と足首はプラパーツだが。絶対に折れない強度があるし、キットを手に取るとズッシリした手応えを味わえる。見た目のうえでも、金属メッキの輝きはメカニカルな雰囲気を際立たせる。
ただし、問題もある。金属パーツのため、関節部の渋みの調整が至難であること。また、関節部は、合金パーツ+プラパーツとの組み合わせであるため、くりかえし動かしていると合金パーツがプラパーツを一方的に削っていき、ジョイントが緩くなってしまう。「折れない」というメリットと天秤に掛けて、どちらが良いかは難しいところ。
ブーツの上側が分離する(つまり、輪っかになって足首に挟んであるだけ)。これは、ショートブーツの高さを維持しつつ、斜めに曲げられる可動性を確保するもので、なかなか面白い構造になっている。
ヘルメットは、頭部に嵌め込む形。多少加工すれば、他のキャラクターにも装着できるだろう。暗視ゴーグルは、上げ降ろしの可動がある。暗視ゴーグルのレンズ部分はデカール。
軽装状態と、重装状態。写真左側のスカートは、適当な1/35迷彩デカールを貼ってみたが、ガールプラモとしては柄が細かすぎてスケール感が合わないかも。写真右側のスカートには、砂漠迷彩のような模様を適当に描き込んだ。
上半身のアップ。この両目は、ドールアイのように内部で独立可動し、任意の視線を作ることができる。パッケージのサンプル写真では、過度に黒目がちで不思議な目つきに見えてしまうが、実際にはごくまっとうに可愛らしい。頭髪の毛筋表見もきれい。
頭部を差し替えて。キットパーツの成形色はライトブラウン中心でかなり明るめだったので、パッケージアートのようなシックな色合いを目指して、Modelkastenの「シナイグレー(1)」などを吹き付けて、彩度を落とした。さらに細部の筆塗りと全体のウェザリング(フィルタリング+スミ入れ)も施した。
重装状態の全身写真(左側)。軽装状態から、前面のマガジンポーチや背面のリュックを取り付けるには、ベルトパーツの一部を外す(分解する)必要があり、ちょっと面倒。説明書は、両肩ジョイントの左右を間違えているので注意(※パーツのL/R刻印も間違っている)。
全身(右側)。通信機ホルダーやブーツは、スライド金型を駆使して細やかに造形されているので、スミ入れをするだけで質感が引き立つ。
武器を構えた状態で。両肩の装甲は独立可動。肘と膝は二重関節。パーツは基本的にABS製だが、関節部の合金や、脚部ピストルホルスターの軟質樹脂など、異素材も積極的に使用している。付属の1/1ダガーナイフの刃は硬いPOM製?