2013/08/18

PCゲーム声優の「世代」をめぐるもやもや

  PCゲーム声優の「世代」をめぐる、もやもやした雑記。


  PCゲーム声優の世代交代は、一面では新たな役者たちの登場という喜ばしい事態でもあるが、一面ではそれまで活躍していた役者たちの引退という事実も伴っている。世代交代がPCゲーマーたちの間で最初にはっきり意識されたのは、鳥居氏の引退(2004)と長崎氏の最初の引退(2005)の頃だろうか。私はその当時の空気はよく知らないが。『Piaキャロ』は第一作(1996)も第二作(1997)の声優も、『とらハ』第一作(1998)のキャストも、そして『D.C.』(2002)の声優も、ほとんどが新作でお目にかかれなくなってしまった(――ただし、『Piaキャロ3』(2001)の草柳氏やかわしま氏、『天いな』(2003)の鷹月氏やみる氏は、今年に入っても何本も出演作がある。また、PCゲームが主な仕事ではない『同級生』『同級生2』『下級生』出演者たちの中には、いまだ現役の方が結構いらっしゃるのに驚かされる)。黄桃それぞれに新世代の台頭があったのが、PCゲームシーンの印象を大きく変えている。

  おおまかには、以下のような感じで認識している。かなり適当で恣意的な見方だが。
  1) 前世紀からのキャリアのある方々。鷹月氏、青山氏、大波氏、芹園氏、まき氏、金田氏、みる氏、北都氏、一色氏。それぞれが特別な個性と風格を備えている伝説的世代。
  2) 01~04年頃から活躍している方々。風音氏、金松氏、かわしま氏、桜川氏、鈴田氏、木村氏、安玖深氏、成瀬氏。多士済々で職人的気風と華やかさを併せ持った世代。しかし西田氏、松永氏、三咲氏のように出演歴が途切れてしまった方も随分増えてきている。
  3) 2005年前後にデビューした方々。民安氏、五行氏、羽高氏、青葉氏、藤森氏、宮沢氏、水瀬氏、桃井(い)氏、青井氏、西野氏。webラジオ出演や顔出しイベントも増えている世代。最近はやや落ち着き気味。
  4) 00年代後半以降の最新世代。有栖川氏、星咲氏、杏子氏、姫川氏、波奈束氏、雪都氏、そして黄組新世代。00年代末以降のデビューでは澤田氏、藤咲氏、桐谷氏、あじ氏、百瀬氏、秋野氏、「車の人」、そして桃組新世代がいる。
  ただし、デビュー時期と私がゲーム上でが初めて接したタイミングとが大きくずれている場合もあって、たとえば小倉氏は2003年のデビューとのことだが、「かなり若い世代」とつい誤認してしまいそうになる。また、上記は基本的に白箱系"人気"声優に強く傾斜したものであって、黒箱系出演の多い役者さんをきちんと考慮に入れればかなり違った展望になるだろう。

  私の中では、羽高氏のデビューが最も印象的だった。『Dancing Crazies』(2005)は、厳密にはデビュー作ではなかったが、それまで比較的固定的な顔触れでキャスティングされてきたソフトハウスキャラ作品のいきなりメインヒロインに躍り出た「葉木崎唯」役の芝居に触れたのは、まさに才能ある新人が大きく抜擢されてその資質を披露する瞬間の体験に他ならなかった。そして、しかし、その一方で宇佐美氏が、神崎氏が、冨樫氏が、ダイナマイト氏がこのブランドのキャストから姿を消していった2006~07年の移り変わりもまた、私にとってはまぎれもなく喪失の経験だった。