2013/08/31

つるみくについて

  私がプレイしたのは『大阪CRISIS』『夢喰い』くらいだが。


  つるみく作品はプレイしていて辛い。そのゲーム作りは、たしかにコンセプトははっきりしているし洒落も利いており、けっしてセンスが悪いわけではないし、企画立案者自身が脚本も担当しているので企画趣旨はイベント管理の次元でもきちんと一貫しているし、フラグ構成にもそうした意図はきちんと反映されている(『夢喰い』はおまけコーナーで攻略ヒントを提供しているが、そのガイドテキストもフラグ管理に対する理解の深さを窺わせる)し、グラフィック面でも原画画風からレイアウトから差分変化までたいへん面白いし、キャラクター造形もキッチュではあるが上手く、要するに作品全体が空転することなくしっかりまとまっているのだが、しかし、プレイしていていつもどこか、こう、なんというか、飽き足らないものを、苛立たしさを、感じてしまってプレイする手が止まってしまう。あれはいったい何なのだろうか。

  理由を考え出すことは、一応出来るのだが。例えば、序盤進行のテキストのだるさ。あるいは、作品毎のコンセプトワークのユニークさを中盤以降の一方的な蹂躙シーンの連続に塗り込めてしまう単調さ。あるいは、キャラクター造形(とりわけ主人公の内面造形)の浅薄さ。あるいは、エンジンの妙な野暮ったさと鈍重さ(――吉里吉里2なのだが)。性描写の特徴的な傾斜(ほとんど性的興奮を追いやってしまいかねないほどの、あるいはほとんどミソジニーめいて見えるほどの、その加虐趣味的攻撃性。全体に漂う、品の無さ(――下品というのですらない、あのひたすら苦々しいナルシシズム)。そしてその執拗な汚物表現志向)も、なんとなく分かるようで、しかし実際に作品として(作品の中で)現れたものは非常にピーキーな(つまり、受け入れてついていくのに労力の掛かる)性嗜好と映る。それらの事情を圧してもなお、現在のアダルトPCゲームシーンの中できわめて個性的で貴重でそして魅力あるゲーム作りをしているブランドであることは疑いないのだが。