2016/04/28

1/700「ネウロイ化赤城」模型(1):制作プラン

  アニメーション作品『ストライクウィッチーズ(Strike Witches)』に登場する、いわゆる「ネウロイ化赤城」(ネウロイ赤城、ウォーロック融合赤城)の1/700模型化。

(1) 制作メモのページ(このページ)
(2) ディテール解説(別ページ)
(3) 映像との比較(別ページ)
(4) 完成写真(別ページ)


  制作の動機、各部のカラーレシピ、改修点、工程構想、使用パーツなどを雑多に書いているので、閲覧者は適宜ページ内検索をされたし。



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  【 制作前の雑記 】
  機が熟したので、週末はリアル「ネウロイ赤城」に挑む予定。web検索しても、あれを模型で再現した人はほとんどいないようだし。
  制作プラン(塗装手順など)は、電車の中でつらつら考えた。FUJIMIのスケルトン版フルハルキットを使って、赤い部分は、クリアレッドにする予定。電飾を仕込むかどうかはまだ未定だが。おそらく最大の難所は、艦首のウォーロック部分の再現。今回は白線デカールや艦載機を無視していいので、わりと気楽に作れそう。ただし、クリアパーツは切りにくく加工しにくく塗りにくいので、あまり好きではないが、そこは仕方ない。ノーマルのフルハルキットを使う手もあるにはあるが、やはりあの不気味な赤い六角模様は透明パーツを利用してできるだけ目立たせたい。
  いずれにせよ、こういう一発ネタは「やったもん勝ち」だろう。誰でもいいから、クオリティはそこそこでもいいから、とにかく実際に手を動かして作りさえすれば、それでわりと楽しめるであろうことが保障されている、といったほどの意味合いで。 ……「せっかくだから俺はこの赤(城)のキットを作るぜ」。

  そういえば、11ヶ月前にモデラー復帰するきっかけになったのも、まさにこのスケルトン版「赤城」だった。ずいぶん遠くまで来たような、いやちっとも進歩していないような。

  今回の制作ではクリアキットを使うが、これは必須ではない。赤いパーツをクリア表現にしたいからこれを選んだだけであって(しかも、クリアパーツが意味を持つのは飛行甲板と艦底部の2枚のみだ)、その部分を別の仕方で塗装するならば、他のキットでも構わない。要はフルハルキットでありさえすればよい。しかし、FUJIMIの通常フルハルは価格差がほとんど無いのでクリアキットの方が表現の選択肢が増えるし、またHASEGAWAのフルハル版は比較的高額(専用エッチングを含めれば更に割高)なので。ましてや1/350キットは、今回のネタ制作で使用するのは牛刀にも程がある。HASEGAWA版も評判が良いし、いずれ一度作ってみたくはあるが。


  同じ趣向の制作例はすでにある。
  [ yoshigou.blog21.fc2.com/blog-entry-90.html ] ※エレベーター部分まで再現されている。
  [ www.fg-site.net/archives/2804643 ] ※きれいな出来。ヘックスパターンは筋彫りか?
  [ ameblo.jp/hihiihi-ho/entry-11888791963.html ] ※ちび丸版。六角形はプラ板貼付とのこと。


  【 スケルトンキットについての感想 】
  スケルトン赤城キットについては、当初から疑問の声もわりとあったようだが、私としてはこれはアリだと思う。以下、おおまかに肯定的論拠を挙げてみると:
  1)たしかに艦船模型としてはイロモノだが、他分野ではすでに行われている手法だ。例えばガンプラのクリアカラー版アイテムはいくつもリリースされている(似たような方向性としてメッキコーティング版もある)し、キャラものでもディズニーの組み立てパズルのような実例がある。
  2)無塗装で飾れるディスプレイモデルを商品化するという方針の一環として見ても、クリアキット化は良いアイデアだと思う。実際、FUJIMIは「ちび丸」「特easy」「艦NEXT」という形でもこの無塗装アプローチを試み続けている。むしろ、このクリアキットがシリーズ展開されていないのが不思議なくらいだ。
  3)見た目にも、キラキラ透明できれいだし、艦底部の赤色もコントラストとして良い感じになっている。軍艦らしすぎない明るい感じは、好き嫌いがあるのかもしれないが、少なくとも私は好きだ。
  4a)スケモでクリアキットにするなら、たしかに艦船で実行するのがベストだろう。造形上も最も面白味が出るだろうし、元々塗装でディテールを仕上げていく分野ではないため、クリア単色造形でも完成状態が見栄えが落ちない。また、縮尺が極端であるため、内部構造が再現されていなくても問題にならないというのも、逆説的に強みになっている。カーモデルだと輪郭が分かりにくくなりそうだ(クリアキットは存在するが、ボディのみクリアというものが多い)し、航空機だとクリアにしても見どころが無さそうだ(塗装表現が重要なジャンルなので)し、戦車については「履帯をどうするの」といった疑問も湧くし内部が空っぽなのはキツいだろう。
  4b)しかも、艦船の中でみても、上面の見通しが良くて乾舷も十分に高い空母赤城は、最もクリアキット化の効果が上がる対象だと言える。サイズの問題(軽巡以下では小さすぎる)、知名度(相当の上位だろう)、色配分(飛行甲板全体をデカールできれいに覆えるし、色分けの悩みも少ない)、見栄え(戦艦等では甲板上の凸凹やピン部分がクリアパーツだと見苦しくなりそう)、造形の明快さ(戦艦の艦橋を透明パーツにすると、見た目がかなり分かりにくくなりそうだ)、強度確保(大型マストをクリアパーツで作るのは避けたい)、等々。もっとも、もしかしてクリア金剛なんかがリリースされたら、私は喜んで購入するに違いない。



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  制作用メモ。
  資料が無いので、さしあたり映像のみから判断しよう。アニメ1期限定版第6巻の特典冊子には、おそらくネウロイ赤城の設定資料も掲載されていると思われるが、所持していない。


  【 各部の配色:原作映像からの情報 】

  【船体のグレー】:乾舷部分と船底/飛行甲板面とでは色が異なっている。
  前者は通常の軍艦色のままの可能性もあるが、映像から見てグレーバイオレットくらいにしてみようか(――ちなみに、作中では横須賀から出港している)。艦橋部分も同色。映像では、手摺や梯子は黒く塗られているが、視認性のためのアニメ的塗り分けであろう。アプローチとしては、「アニメ的表現に即してブラックで塗る」のと、「模型的表現に即してグレーに塗る」とがありうる。今回は一般的なスケモ流儀に倣ってグレーにするが、アニメ風の黒手摺にするというのも面白そうだ。飛行甲板の側面(縁)も、通常のグレー。したがって、飛行甲板の裏側(トラス等)も標準の軍艦色のままと思われる。
  後者は色の濃いグレー。おそらくこちらがネウロイ通常色になっている。ジャーマングレーにホワイトを混ぜる感じでよいだろうか。艦首側の錨甲板も、先端の方はこの濃いグレーで、途中から標準のグレーになっている。映像を見ると、各所に薄いグレーが塗られている(例えば艦尾側のボラード)が、これは光の反射を示すためのアニメ的表現と思われるので無視する(つまり、塗り分けはしない)。
  色パレットを取ると、薄い(淡い)グレーは青寄りで、わずかに赤が混じっているようだ。しかし、既存色の「グレーバイオレット」では合わない。柔らかくなりすぎて、あの寒々しいグレーにならない。標準の「軍艦色」も不適。基本色から自分で調色するしかないか……。濃いグレーも、(シーンによるが)青寄りでわずかにピンクが混じっている色調のようだ。薄いグレー(船体の色)は「つや消しホワイト200+つや消しブラック90+ブルー15+レッド微量」。濃いグレー(ネウロイの色)は「つや消しホワイト100+つや消しブラック90+ブルー5」で、うちのディスプレイ上の色調に近い色合いになった。ツヤ消しブラックの割合が大きいので、塗装の際には塗装面の状態に注意する必要がある(――実際、くりかえし吹きつけしすぎたせいで、表面がザラザラになりかけた)。


  【ライン部分】:蜂の巣型模様は、他よりもかなり濃いグレー。フラットブラックでよいだろう。通常のネウロイは赤いパネルラインだったり薄青っぽく明滅していたりするが、赤城は違っているようだ。他のネウロイのアップ画像を見ると、小さなハニカムパターンの上にオーバーラップして、大ぶりで太いラインが走っているような映像もあるが、ウォーロック変化時を見るに、小さいヘックスパターンは赤城合体時は消滅しているようだ。
  飛行甲板上の亀甲模様は、横に4枚乃至6枚が並ぶサイズ。1/700キット上(横幅4cm程度)では、六角形一個は一辺6mm程度になるか。斜めに見て3枚目毎に赤いパーツになっており、全体では前後に38列と少々の六角形が並んでいる。同様に、船底側のハニカム模様は前後に41列程度。つまり、飛行甲板よりもやや小さいサイズの亀甲模様。とはいえ、映像上でも食い違いがあるし、律儀に数まで合わせる必要は無いと思うが。なお、舵にも小さめのハニカムパターンが入っているが、細かすぎるので省略したい。また、当然ながら、飛行甲板上の標識線などはすべて消えている(飛行甲板下の支柱白線も無くなっている)。
  クリアパーツを使うので、ヘキサゴンパターンは、適当なものを紙などに印刷して、それをガイドにして逆側からマスキングしていけばきれいに出来、る……筈、たぶん。


  【赤い発光部分】:赤光部分は、クリアレッドにしよう。オーソドックスに、クリアパーツの裏からシルバーを透かすか、あるいはホワイト裏地にでもしてみるか。検討中。一度実験して、見え具合によって判断する。シンプルにやるなら、通常のレッド(モンザレッドあたりか)を表面から塗装するだけでもいいと思う。実際には、蛍光レッド+レッド適量で塗装することにした。きれいに見せるために表側を磨き上げるというのも考えたが、今回は行わない。
  飛行甲板のハニカム模様は、大きな「<」が7本(6本半)あり、「<」部分はそれぞれ9個乃至11個の六角形で構成されている。サイズは前述のとおり。
  艦底部の赤い六角形は、一個置きで縦に21個か。艦首側の赤六角形は、端に模様が入っている。何かのセンサーだっけ。艦底側の赤い六角形は、二枚セットで底まで回り込んでいるようだ。なお、スクリュー基部は、赤い六角に干渉する部分もグレーのままなので、別途塗装して後から取り付けるだけで済む。
  ちなみに、続編のネウロイ大和は艦橋窓枠部分も赤く光っていた(ハニカムラインも赤くなっていた)が、赤城の場合は映像では真っ黒のまま。ウォーロック部分にも赤光部分あり。後部錨甲板の奥(絡車群の上あたり?)にも赤いラインが見えるが、何を表しているかは不明。信号灯(着艦指導灯)にもレッドが使われている。


  【木甲板部分】:各所のリノリウム部分(船尾錨甲板や舷外通路)も、色が残っている。ただし、この赤城の舷外通路はリノリウムではなく木板張りになっている(ネウロイ化前の映像が明らかにそうなっている)し、ネウロイ化後もカーキ色のままになっていて、周囲とは異なる色で塗られている。「扶桑皇国の赤城」はそういう仕様として制作しよう。ウッドブラウンのままでもよいが、イメージ優先で暗めのカーキ色っぽくするつもり。いろいろ試してみて、ラッカーのオリーブドラブFS3087にウッドブラウンを少量混ぜるとちょうど良くなった。右舷の資材置き場には木材が積んであるので、これも同じ色で塗る。船尾側錨甲板は、先端以外は木製。先端(支柱より先)はノーマルのグレー。艦首側は、カーキ色/薄いグレー/濃いグレーの三色になっている。


  【その他の塗り分け】
  単装砲の防水布も、周囲とは異なる薄めのグレーが残っている。11話以前のシーンでもこの色だったので、通常時(ネウロイ化以前)のままだと思われる。艦船模型のオーソドックスな手法に即して塗ってもいいが、全体の印象を整えるためにごく薄いグレーにする。

  煙突の先端は黒に塗り分けられている。オーソドックスにフラットブラックで。

  飛行甲板の艦尾側で二重になっている下側の甲板面は、他のグレーとは異なって、マホガニー色のような色合いになっている。不可解な仕様だが、映像ではそうなっているので、一応再現してみよう。マホガニー色にブラックを少量混ぜて暗めの色合いにした。ただし、キットを組み立てると完全に見えなくなるが。

  機銃は濃い色で塗られているように見える。他と同じグレーでもいいかもしれないが、せっかくなので塗り分けておこう。これも通常の艦船模型制作と同じアプローチのまま、黒鉄色で。

  着艦指導灯の赤と緑は、ネウロイ融合後も残っている。ただし、FUJIMIキットには照門灯(手前側の赤い方)パーツが存在しないので、再現するならばエッチングかパーツ自作が必要になる。その一方、艦尾の十字信号灯は、存在しているが塗り分けは視認できない(映像上ではすべてグレーのまま)。表現としては不整合の印象が否めないが、グレー単色のままでよいだろう。

  浮き輪やホースリールなども元の色が残っている。浮き輪は省略。ホースのイエローは、ディテールアップのついでで塗り分けておく(カーキ色)。黒板も、緑色が残っているので、ダークグリーンで塗装。

  スクリューはネウロイ化してもゴールドのまま。ただし、これも多少くすんだ色にした方が良さそうだ。これは、映像がそうなっているからでもある(ただしそれはアニメ映像には金属的発色ができないからにすぎない)が、それよりむしろ、全体のトーンを統一させるためでもある。キラキラのゴールドではなく、ゴールドにグレーを少量混ぜて塗装する。基部やシャフト部分は周囲と同じグレー。ちなみに、映像では空中浮遊中もスクリューは回転している(笑)。艦首には菊花紋章(に相当する扶桑皇国の紋章とおぼしき何か)が存在するので、キットのままの造形でゴールドを塗っておけばいいだろう。

  映像では、舷窓の周囲などに濃い滲みがある。ドライブラシ表現に近い感じ。あまり映像に忠実に合わせる必要は無いが、多少はウォッシングを施しておこう。


  【ウォーロック部分】:ウォーロック単体時の塗り分けに準拠して、細かく複数の色に塗り分かれている。基本的には、ネウロイ色(濃いグレー)でよいだろう。基部(赤城との癒着部分)、肘の縁取り、腕の内側などは、薄いグレー(ここではグレーFS36270を使った)。顔面(?)、両腕の内側、両肩に赤いパーツがある。蛍光レッドで塗装。赤/緑の翼端灯も残っているので、一応再現してみる(「ジュラルミンフィニッシュ」を貼り付けた上にクリアグリーンとクリアレッドを付けた)。全体に、赤城融合後のウォーロックは映像演出上ほとんど目立っていないのだが。
  ウォーロックに使う色は、濃いグレー(全体)、ごく薄いグレー(縁取りなど)、黒(脚部の一部)、レッド(顔面、両肩など)、グリーン(翼端灯)。わりと大変。



  【 造形:キットからの改修ポイント 】

  舷側いろいろ。特に左舷が、キットと比べて艤装簡素化されているようなショットがある。資材置き場の柱組みもあったり無かったりする。同一の3Dモデルを使っている筈なのに……。設定上はあくまで「扶桑皇国の赤城」だとはいえ、現実(史実上)の赤城と異なった構造にする理由は見当たらないので、一貫しない描写があれば基本的にキットどおりの仕様とする。
  複数の場面で確認できる明確な変更点として、左舷の資材置き場前方の舷外通路や艦尾ボート周辺が、板(壁)で覆われている。要するに、右舷と同じような形になっている。せっかくなので、プラ板を張ってなんとか再現する。
  また、1話の映像を見ると、左舷後部のスポンソン支柱が多少異なっている。壁の部分が閉ざされているのに合わせてか、支柱が下まで伸ばされており、さらに横向きの補強板も出ている。せっかくなので映像に合わせて改修してみる。HASEGAWA版1/700キットの造形がこれと同じなのだが、今回はFUJIMI版を使うので、手作業改修になる。
  映像では、舷外電路も装備されているのが見て取れる(FUJIMI版キットでは表現されていない)。どうしようかな……今回は省略しよう。

  飛行甲板は、キットでは板一枚なので、裏から電飾を仕込むことは不可能。艦底部なら、発光させることも可能だが……。甲板面の小物類は取り付けない。映像を見るかぎりでは、エレベーターの縁取り以外は全て失われているようで、残っているのは艦橋/信号マスト/4.5m測距儀だけ。ループアンテナは、ネウロイ化以前の時点でそもそも存在していないが。ネウロイの設定からして、木板等はすべて脱落して金属部分のみが残っていると解釈する余地もある。甲板面は、木板などのモールドを全て削り落としてきれいな平面にしよう。パテとヤスリで工作すればいい。
  飛行甲板裏面のトラス構造は、艦尾側は映像でもはっきり描かれているが、艦首側は不明。横からのショットではトラスが見えるが、下からの仰角ショットではトラスが無い場面がある。単なる映像上の省略という可能性もあるが、実際にトラス無しとして作るアプローチもありだろう。そうすると、HASEGAWA版のエッチングトラスを組まなくて済むが、FUJIMI版にはキットパーツがトラス構造をモールドされているので、むしろ削り取らなければいけない。
  表側はきれいにする。溶きパテを塗って、紙やすりで整えていく。モールドを埋めるのに、サフだけではうまくいかなかった。結論から言うと、パテを使わずにヤスリでモールドを削りきってしまう方が良かったかもしれない。
  ウォーロック部分を強調するためか、艦首側の飛行甲板は史実の赤城よりもやや短い(先端が後ろ側に引っ込んでいる)。しかし、整合性のある形で改修するのは難しいので、キットパーツそのままにしておく。

  ボート類は、ネウロイ状態では見当たらない。乗員がそれで脱出している(描写がある)のだから、ボート類が残っていないのは当然。ボートダビットだけを取り付けておくか、それともシンプルに何も無しにしておくか。艦尾錨甲板が少々寂しくなるが、やむを得ない。
  艦載機も出てこない(作らなくて済む)。ただしその分――というわけでもないが――、船首像のようなウォーロックがいる。スクラッチ工作でなんとかするしかない。

  艦橋は、裏側(後方)が手摺だけではなく、面張りになっている。金属色(グレー)の板に、内側は縦横の鉄棒らしき描写が見て取れるのだが、これは「ブルワークの内側に支柱が立てられている」ということなのか、それとも「手摺は手摺で存在し、その外にキャンバスだか防弾板だかが貼り付けられている」ということなのか、よく分からない。ベタに再現するなら、エッチング手摺の外側にプラ板か何かを張り付けておけばいいのだが、それで実際にうまくいくかどうか、そしてその解釈が妥当なのかどうかは分からない。また、艦橋の左側に、空中線用支柱が突き出ている。小スケール(1/700)の「赤城」模型作品では省略されがちなのだが、史実の赤城にもあったようだし、今回は挑戦してみる。
  艦橋には、双眼鏡が最大9本置かれているようだ。とりあえず再現してみよう。また、艦橋前部にはジャッキステーとおぼしきパイプが張られている。これも適当なエッチングで表現しておく。中途半端な精度のものを取り付けるとかえって全体のリアリティが損なわれてしまうこともあり得るが、今回はスキルアップのための練習を兼ねてやってみる。
  艦橋前に、2台の双眼鏡の間(というかブルワークの板の上?)に単装機銃のようなものが描かれている。銃身はかなり高い角度を向いている。適当な単装機銃を取り付けておくことにする。

  落下防止ネット、マスト空中線、手摺、梯子類などは、映像でもはっきり描写されているので、模型でも省略せずに工作しておきたい。エッチングを使って表現する。飛行甲板を支える支柱のトラスは、映像でも緻密に描かれているので、せっかくだからHASEGAWA版の支柱エッチングを調達して組み込むことにする。信号マストの旗は無くなっているが、上下の張り線は残っている。起倒式マストは倒した状態で固定する。タラップは無い(取り付けない)。錨見台は映像では描かれていないので、今回は取り付けない。

  艦首/艦尾。艦尾支柱にそれぞれ見張り台のようなものが描き込まれているので、錨見台エッチング4個をこちらに転用する。また、艦首/艦尾とも、支柱に取り付けられたクレーンは、左右両舷に存在するので、伸ばしランナー自作で追加する。クレーンの鈎はエッチングで。
  細かい点として、艦尾錨甲板の手摺は、映像では描写されていない。艦首側は手摺が描かれているので、意図的な相違だと思われる。乗員が内火艇で離脱する時に倒されたままということだろうか。しかしながら、手摺を付けずにおくと艦尾の見た目が少々寂しくなってしまうので、試しにエッチング手摺も取り付けておくことにする。見栄えが良くなければ撤去しよう。

  艦首の1/700ウォーロックは自作になる。映像を見るかぎり、単独状態では原寸3~4m程度のようだが、赤城の船首に付いた状態ではそれよりも大型化しているように見える(1/700スケールではおそらく1cm強、ということは7~8m程度のサイズに変化している計算になる)。赤城の錨甲板との融合面は、薄いグレーで、溶けかけたようにくっついている。ちなみに、艦首の旗竿は消滅している。周囲のフェアリーダーも、通常時からすでに存在しない(それにウォーロックの位置に干渉する)ので、あらかじめ削り取っておく。各部の発光部分は、試しにHASEGAWAの「○○フィニッシュ」シートを応用してみようか。

  以上、造形上の主な改修点をまとめると:
- 艦首にウォーロックを取り付け。艦首旗竿は削除。
- 艦橋の手摺は、一部をブルワーク状あるいはキャンバス貼り付け状態にする。
- 艦橋の横に、空中線マストを張り出させる。
- 左舷、資材置き場の下あたりの舷外通路を壁で塞ぐ(右舷と同じようにする)。
- 左舷、艦載艇格納庫の外壁を埋める(右舷と同様、中が見えないようにする)。
- 左舷、後部のスポンソン支柱を下に延長。水平の補強板も付ける。
- ボート類はすべて外して空っぽに。ダビットも付けない。艦載機も一切乗せない。
- 飛行甲板の上面は平滑にする。 エレベーターの縁は残っている筈だが、省略してしまおう。
後は、史実の「赤城」制作に倣った一般的な作り込みをしていけばよい。


  【 工程 】
  出来るところまで組んでから、まとめて塗装。入り組んだ場所に注意。

  飛行甲板パーツとハルパーツは別で。艦橋や支柱の扱いに注意。裏から透けさせるつもりならば、エレベーター部分の凸凹もあらかじめ処理しておくべきだ(が、実行するかどうか)。飛行甲板側は表面からの塗り重ねで済ませた方が見栄えが良いかもしれない。最悪の場合、艦底部だけを透過発光可能なようにしておけばよい。艦橋や信号マストは、後から甲板上に取り付ける。

  舷外通路と艦尾錨甲板は、先に別色(カーキ)で塗ってマスキングしておけばよい。

  1)赤色部分と木板部分を塗装。透け防止を兼ねて、裏からも濃いめの色を乗せておく。
  2)上記の部分をマスキングしてフラットブラック塗装。パネルライン(?)表現のため。
  3)さらにハニカムライン部分をマスキングして、グレー2色を塗装。
  塗装手順はこれだけでよいと思う。というか、できるだけ簡単にしたい。上記3)の前にサフ厚吹きしてパネルラインの段差を表現するというのも一案だが、そこまでしなくてもいいだろうか(そもそも
段差になっているのかどうかも分からない)。透過させないならば、「全面ブラック塗装→ヘックスラインをマスキング→レッドとグレーを塗装」で、かなり簡単になる。

  ついでにチェーンも金属製に取り替えておこう。その方が、塗り分けも楽になるし。

  ウォーロックは、別途適当に自作して最後に取り付ければよい。



  04/29

  【 色調確認 】
  簡単に実験してみた。裏地にシルバーを塗って、表にクリアレッドを厚吹きした場合は、クリアレッドの紅色っぽさがかなり勝った色合いになってしまった。光の反射は、ホワイトよりも多少まし。ただし、裏面の凹凸はいかんともしがたい。キットのクリアレッド成型色の裏にシルバーを塗った場合は、朱色寄りになる。こちらはわりと映像上の色調に近い。
  通常のシルバーの代わりにシャインシルバーを使ってみると、その名のとおりたしかに輝きは増すが、粒子の粗さがスケール感を損ないかねない。また、硬質な金属的反射は、ネウロイの不気味さに合わないようにも思える。吹きつけ塗装をすると、目詰まりもしやすそうだ。
  裏地ホワイトは、基本的にはシルバーに近い色合いになる。光の当て方によって、印象はかなり変化するが。

  うーん……これならストレートに表面をモンザレッドかシャインレッドで塗った方が良いかも。私のディスプレイだと、ちょうどモンザレッド(をごくわずかに彩度を落とした色合い)でぴったり合う。というわけで、クリア透過塗装プランは放棄しよう。

  硬くて割れやすいクリアキットをきれいに加工するのは大変すぎるし、飛行甲板をフラットに処理したくなってきたので、ノーマル赤城を買い直すか……。艦底パーツだけを、スケルトンキットから流用すればいいし、なんなら(通常の)フルハル版でもいい。楽に組み立てられるという観点で、いっそ艦NEXT版を待つというのも一手かもしれないが、発売は6月末とかなり遅くなる。



  結局、赤城はノーマル版(非クリア版)で作った方が楽だという結論に……。まあ、試行錯誤は経験になるので、損だとは思わないが、スケルトンキットが一つ浮いてしまった。パーツ取りに使えるキットでもないし、気分転換などで気軽に作れるようなキットでもないし、何かの実験に使えるわけでもなさそうだし、他人にプレゼントできるような品物でもないし、捨ててしまうにはもったいない値段だったし、どうしようかな。ともあれ、明日は日本橋に出向いていろいろ調達してこよう。今年は、1月のこみトレの後に行ったきりなので、ちょうど一シーズンぶりになる。せっかくだから、旧作ゲームも見繕ってきたい。



  ……って、これ、週末だけでは終わらないぞ! 適当に組んでプシャーと塗装するだけで済むかと思っていたのに……。ハニカム模様マスキングの手間が大きいので、まともな赤城を作るよりも大変かもしれない。当初の予定では金銭的にも時間的にも技術的にもリーズナブルに仕上げるつもりだったのに、お金も掛かっているし、時間も掛かりそうだし、技術的にも普段以上にややこしい作業が入ってしまった。



  04/30

  【 HASEGAWA版のエッチング(+飛行甲板)との、ミキシング計画 】
  いろいろディテールが気になってきたので、せっかくだから思い切ってHASEGAWA版のエッチング(「ディテールアップパーツセット」)も投入して本格的に作り込んでみよう。基本的には、飛行甲板の位置合わせさえ出来れば、FUJIMI版船体とのハイブリッド制作は実行可能……な筈だが、やってみなければ分からない。HASEGAWA版オンリーで作らない(作れない)のは、HASEGAWA版のフルハル版が調達できないから(品切れの模様)。もしも飛行甲板の取り付けがうまく行かなかったら、HASEGAWA版フルハルの次回出荷まで寝かせておくか、FUJIMI版のみで出来る範囲で作り上げるか、どちらか(あるいは両方)の対処になる。なんという泥縄。しかも、連休中には到底完成させられそうにない。

  さすがに甲板裏のトラス組み立てはハードなので、多少なりとも省力化を試みるなら、支柱類のみに限ってHASWGAWA版エッチングを使用するというのもアリだ。それならば、飛行甲板もFUJIMI版のままで行ける。ただし、ちゃんとしたモデラーさんの目には「こいつはなんと無駄が多くて愚かで拙劣な制作をしているのか」というのが露呈してしまうのが申し訳ない。

  でもでも、趣味の領域でも、時間効率はけっして無視できるものではない。人生の時間をどのように配分するか。たとえば、瑣末すぎるうえに、満足度にもスキルアップにもつながらないような部分はであれば、省略できるものは省略して、その時間を他のもっと楽しめる対象に注ぎ込むというのは、理に適った判断だろう。しかし、個々の対象に対する誠実を尽くすことも大事だし、「趣味だからこそ効率を無視してやりたいことをやれる」というのもまた確かだ。うまくバランスを取れるようにしたいものだ。

  というわけで、今週末は艦船模型の有名な難所、赤城の飛行甲板裏トラスのエッチングに挑戦するのだわさ。(失敗に終わる可能性も高いが。) しかもFUJIMI版とのミキシング、さらに非史実制作というアレっぷりだが……頭は大丈夫なのか?

  あのトラス組み立ては、技術的な難度はそれほど高くないと思われる(これよりも難しいものは多い)が、とにかくボリュームが尋常でなく、大量の細かなパーツをひたすらちまちまと組み立てていく根気が求められるのがつらいのだろう。「挫折しそう」とか「戦々兢々で積んでいる」、「手を出せない」といった声が多いのも頷ける。なにしろ、
  [ www.hasegawa-model.co.jp/product/30036/ ]
  [ www.1999.co.jp/image/10321589/10/0 ]
こんなのだからね……。

  造形上、作中演出上の特徴からして、下から覗き込んでも見栄えがするように制作したいところだが、さすがに三角補強材までは手が回りそうにない。すぐに入手できるエッチングが無いというのもあるが、これは作業の手間の問題でもあり、私の技術的限界(そしておそらくは根気の限界)の問題でもある。ジャッキステー類は、映像でも見えなかったので、こちらでも省略。各所のモンキーラッタルを一々再現するのは、私の技術では難しい。

  萌えオタモデラーのネタコンセプトだからといってあまりちゃちい作品で済ませてしまいたくないという、余計な使命感だか対抗心だかが芽生えつつある。たぶん不要な――本当に余計な――意識だが、それでも工作に取り組むモティベーションになるならいいかなとも思う。

  飛行甲板は、FUJIMI版よりもHASWGAWA版(エッチング同梱のプラ甲板)の方が1mm強ほど長いが、嵌め合わせには支障無さそうだ。艦橋周辺の膨らみ(張り出し)も多少異なっているが、前部エレベータの位置もずれている(HASEGAWA版の方が2-3mmほど後ろにある)が、なんとか合わせられるだろう。幸い、全般にHASEGAWA版の方がサイズに余裕があるようだ。ただし、右舷側の裏面トラスの端(中央寄りの方)は、HASEGAWA版の方が短い(FUJIMI版の方が、出っ張りが艦首側に寄っている)ので、エッチングトラスに干渉してしまう虞があるが、作ってみないことには分からない。干渉するなら、エッチングの側を適当に切り詰めればいいだけの話だし(――上述のように、艦首側はトラスが無いと解釈して、作らずにおくのも一案)。
  大きな違いとして、右舷中央――煙突のあるスペース――は、甲板裏面のトラス構造(のエッチング)がHASEAGAWA版は半分程度しかカバーしていない。FUJIMI版はキットプラにトラスモールドが入っている。ただしこれは、組み立ててしまえ完全に見えなくなる場所なので、実際上はなんら問題ではない。
  その他、ブルワーク等の位置が微妙に違っていたりするが、差し支えないだろう。場合によってはFUJIMI版とHASEGAWA版のエッチングを併用することになるかもしれないが、やむを得まい。どうせ他に転用するあても無いエッチングだし、使えるものはここで使い切ってしまって構わない。



  05/02
  エッチング等を組み込むポイントを説明書に書き込みをして着手。

  当初はキット一つと塗料代だけで済むと思っていたのに、なんのかんのでざっと26000円ほども投入している……こんな筈では……(内訳は、キット、ハイディテールパーツ、エッチング、塗料、資料)。まあ、ハイディテールパーツを買うのは、自作では実現できない(あるいは自作では手間が掛かったり失敗の可能性が高い)工作部分を代置するためのものであり、要は時間と技術とリスクを金で買っているようなものだから、金が掛かっているのはけっして褒められたことではない。



  ついでにHASEGAWA版赤城も買ってみたが、HASEGAWA版の船体とFUJIMI版の艦底部分は微妙に合わない。具体的には、HASEGAWA版の方が少し長いし、艦首側の引き絞り具合が異なっている。上下を分割している喫水線の位置はどちらもほぼ同じだが。したがって、HASEGAWA版をベースにしてFUJIMI版の船底を付けるというアプローチは、一筋縄ではいかない。パテを盛って整形するなり、あるいはハル部分を完全自作するなりして合わせることは可能だが、今回はそこまではしたくない。HASEGAWA版も、ディテール把握の参考にしつつ、また何かの機会に作ることにしよう。(HASEGAWAのフルハル版が入手できれば良かったのだけど、現在品切れのようだ。)



  05/04
  まず扶桑皇国版に改修する作業だけでそれなりに大変。プラ板自作で正確にサイズを合わせて嵌め込むのは、かなり面倒だった。

  ハンダ付けは失敗。接合したいところにハンダがくっつかず、余計なところで玉になってしまう。やり方が悪いのだろうか……。ちゃんとししたやり方を調べておこう。

  側面の支柱トラスが、大半がプラのままなのでなんとかしたい。しかし、四角錐(上窄まり)ではない四角柱トラスエッチングがなかなか無いのが苦しい。探してみたところ、HASEGAWAの比叡Bや伊勢Aにはあるが、上下間隔が違うので、純正エッチングと混用することができない。
  (後日追記:FINEMOLDSや海魂に、汎用のトラス支柱エッチングがあるようだ。)

  使用する色は、グレー(軍艦色? 船体など)、ネウロイ色(濃いグレー。飛行甲板ほか)、薄いグレー(防水布)、暗い木甲板色(艦尾錨甲板など)、レッド(レーザー発射部分)、フラットブラック(亀甲ライン)、ゴールド(スクリュー)といったあたり。防水布やスクリューは筆塗りでよいだろう。イエロー部分を筆できれいに塗り分けられるなら、マスキングの手間が省けるし作業もかなり簡略化できるのだが、これは私の腕次第か。


  結局、今回の制作も総力戦になっている……。Ex-Sが初級者モデラーとしての卒業制作だとしたら、今回の「赤城」はモデラー中級者の資格試験のような位置づけになりそう。今まで試したことの無いテクニックもいろいろ使っているし、これほどのオリジナルコンセプトでの制作も初めてだし、ボリュームも(そしてコストも)最大級だし、そしてせっかくだからと基本工作の精度を上げるように取り組んでいるし。失敗に終わる可能性もあるが、なんとか作りきりたい。「木甲板も艦載機も無視していいから簡単に作れるや、楽ちんだね」などと錯覚していた私は本当に愚かだったが、これも良い教訓になるだろう。ともあれ、道具と構想の下準備はすべて出来たので、後はもう組んで塗って組んで塗るばかりだ。


  手を付けあぐねていた2個目のトムキャットには、ウォーロック制作の生贄になってもらいました。ありがとう、そしてさようなら。主に背面や腕(?)のパーツに生きている。航空機同士だから、これでもいいかな。


  赤光部分に「蛍光レッド」の塗料を使ったらどうなるんだろう。(ドキドキ)
  →実際に投入した。わりとうまくいったと思う。

  クリアピンクのプラを調達できれば、伸ばしランナーの応用でビームの再現もできる。接着してしまったら取り返しがつかないし、強度確保も困難なので、机上構想の域を出ないが。内側を空色で塗った箱の中に、船体とビームを完全固定するならば、ちゃんと状態を維持できるが。空中浮遊ジオラマは、さすがに試したことが無い。


  トラスエッチングはまだしも、指示どおりに組み立てる「だけ」と言ってもいい。しかし、船底側のハニカム模様は、「曲面に対して」「複雑な模様の」「極細マスキングを」「完全に自力で」「大量に」施さなければいけないので、相当きつい。手順は、
  1)マスキングテープで斜めの線を60度(120度)の角度でひたすら交差させていき、
  2)交差点にぴったり重なるように前後の直線を通して、
  3)ハニカム模様になるようにデザインナイフで切り分けていく
というものだが、とにかく量が多い。飛行甲板だと斜めが60本×2と、前後に長く8本。船底部だと67×2と、前後が数本。一本につき2-3分は掛かるので、マスキングだけでざっと10時間ほど掛かる計算になる。



  05/07

  【 工程の整理 】

●飛行甲板
1)パテ/サフ/やすりで表面を平滑にする。
2)塗装。ブラック→マスキング→濃いグレー→マスキング→シルバー下地→蛍光レッド。
3)側面は薄いグレー。
4)後部の下側甲板表面は、なぜかマホガニー色。どうせ見えなくなるけど。
5)トラス制作。甲板/船体との合いだけを確認し、まだ取り付けはせずにおく。
6)トラスを貼り付けて裏面を塗装。色は薄いグレー。
7)最後に船体と接着。支柱類(薄いグレー)もこの時に位置を合わせて取り付ける。一発勝負。

●船体
1)ディテールアップと改修。
2)全体を薄いグレーを塗装。塗り分けのため、一部の舷外通路等はまだ取り付けない。
3)マスキングしてカーキ部分を塗装。木材も作って塗っておく。
4)エッチング手摺等のデリケートなパーツは、別途塗装しておいて後から取り付ける。
5)リノリウム部分、防水布(ごく薄いグレー)、艦首紋章(ゴールド)を筆で塗装。
6)機銃(濃いグレー)の取り付けは、できるだけ後回しにする。
7)艦首/艦尾の錨甲板などは最後に取り付ける。

●錨甲板
1)艦首側はカーキ色、薄いグレー、濃いグレーで塗装。艦尾はカーキと薄いグレーの二色。
2)ホースリールや錨鎖などを取り付け。
3)最後に船体に取り付ける。
4)別途制作塗装してあったウォーロックを取り付け。

●煙突
1)内部をつや消しブラック塗装。
2)組み立てる。
3)エッチング取り付け。
4)全体を薄いグレー塗装。
5)マスキングして先端部をブラック塗装。
6)適当なタイミングで船体に取り付け。後からでもよいが、エッチング手摺との干渉に注意。

●艦橋
1)ストレートに組んで薄いグレーで塗装。
2)エッチングの組み込み。取り付けてから塗装か、別途塗装して接着かは、どちらでもいい。
3)双眼鏡や単装機銃(?)などのディテールを追加。
4)黒板も塗り分けしておく。
5)最後に甲板面に接着。

●船底
1)ブラック塗装。透ける可能性があるので、念のため裏も塗装しておく。
2)蜂の巣模様をマスキングして、濃いグレーを塗装。
3)さらにマスキングしてシルバー塗装+蛍光レッド塗装。
4)スクリュー周りは、別途塗装して最後に取り付ける。
※塗装と接着を、どのようなタイミングで行うべきかは分からない。

●FUJIMI版船底:塗料が余れば試してみる。→手間が大きいので、作らないことにした。
1)裏からヘックス状ラインの位置決めをしておく。
2)クリアレッド(ややオレンジ気味に)。マスキングしておく。
3)ラインのブラックを塗装。
4)濃いグレーを塗装。
5)裏からシルバー(?)を塗装。

●ウォーロック
1)制作。
2)塗装。
3)最後に前部錨甲板に取り付け。

●仕上げ
1)マスト(1+4本)、信号灯、着艦指導灯、艦橋、ウォーロックなどを取り付け。
2)飛行甲板周囲の落下防止ネットなど(エッチング)も取り付け。先に別途塗装しておく。
3)空中線も張る。取り付け位置を確認のこと。



  【 使用する色と塗装箇所 】

蛍光レッド:飛行甲板面、船底、信号灯、ウォーロック発光部。
濃いグレー:飛行甲板面、船底、錨甲板、機銃等。
薄いグレー:船体全般、錨甲板、飛行甲板裏側、艦橋。
フラットブラック:煙突、六角模様のライン部分。船底の内側。
カーキ色:舷側、錨甲板、木材、ホース類。
ゴールド:スクリュー、艦首紋章。
マホガニー:一部甲板。
シルバー:レッドの下地として。
リノリウム色:船体中央の一部のみ。
ごく薄いグレー:防水布。
クリアレッド:信号灯。
クリアグリーン:信号灯。
ダークグリーン:艦橋の黒板。


  船体塗装に入った。ブルーを混ぜたため米軍っぽい印象になったが、色パレットは合わせてあるので、全体が完成すれば映像に近い配色に収まるはず。ウォーロック部分の制作もそれなりに出来てきたし、わりと順調。……ただし、作業効率が悪くて時間が掛かっている点を除けば、そして予想外に支出が嵩んでいる点を無視すればの話だが。今日も、塗料が切れたのでまた買いに行かなければいけない。


  私程度の初級~中級モデラーには難所が多い。飛行甲板の平滑化、甲板裏面トラスのエッチング、亀甲模様の多重マスキング、ウォーロックの自作(フルスクラッチ)、その他映像準拠の改修。さらに、追加的に、複数キットのハイブリッド(すり合わせ)、他艦用エッチングの流用、本格的な調色といったテクニックも――いずれも経験済みではあるが――実践することになったし、伸ばしランナーの導入は私としては初めての挑戦になる。空母模型制作には慣れていない(パチ組みも含めて5個目)ので、飛行甲板の接着もわりと難所だったりする。

  とにかく手間を省いて、それっぽい形にするだけならば、「全体をグレーに」、「船底と飛行甲板のみは濃いグレーに」、「HASEGAWAのレッドフィニッシュシートを六角形に切って適当に貼り付ける」だけで、最低限それらしい形状になると思う。ウォーロック部分は省略で。これなら、マスキングの手間もほとんど要らないし、費用も安くつくし、制作時間は素組みよりも短いだろう。リノリウム部分は特easy版などのシールを持って来られれば、その分の塗り分けも簡単に再現できる。



  【 制作に掛かった時間 】

  飛行甲板裏のトラスエッチングは、ざっと数えて300パーツ以上ある。ということは、切り出し、切断面整形、嵌め合わせで一パーツあたり2分掛かるとしたら、600分=10時間掛かる。基本的に直線状の板パーツを縦横に組み合わせるだけだし、慣れてくれば時間はもっと短縮できそうだから、集中力が続けば10時間以下で完成させられる。ただし、下手に組むとパーツがうねってしまう(きれいな平面にならない)ので、それなりに精度の高い工作が必要になるし、それでいて単純作業なので、精神力(根気)が続かない。私の場合、一日3時間が限度だった。
  甲板/艦底のマスキングも、ざっと300枚以上のテープを平行に貼り付けていって、ハニカム模様になるように適宜切除していくという手順。飛行甲板の方はガイドペーパーを当てることができるが、艦底側はほぼフリーハンドでの位置合わせになるため、非常に手間が掛かるし神経も使う。おそらくこちらの方が時間が掛かったと思われる。失敗できない(多重マスキングのため途中でチェックできないし、リカバリーが大変だし、目立つ場所になる)という緊張感も大きかった。
  「ウォーロック」部分も、ほぼゼロからのフルスクラッチなので大変だった。完成まで5時間以上掛かったか。とはいえ、所詮1/700スケール(高さ1.5cm)なので省略と誤魔化しも利くし、一部は既成キットからパーツ流用もしたが。

  トラスのエッチング組み立てはようやく半分……。精神力が削られること削られること。「デリケートな極小パーツ群で」、「似たようなパーツばかりだし」、「変わりばえのしない地味な単純作業で」、そのわりに「正確な(きちんとした直交&水平の)組み立ては難しく」、「代替パーツが無いので、失敗(パーツを紛失/破損)すると全体が取り返しのつかないことになる」というストレスがあり、「目にも悪いし肩も凝るし」、「瞬着の臭いを嗅ぎつづけることになって不快だし」、「苦労の成果が最後まで分からない(途中での達成感の手応えが得にくい)」という点で、艦船模型制作の中でもトップクラスにつらい作業だろう。やりたがらないモデラーが多いのも納得できる。

  なんとか完遂したが、とにかく精神衛生に悪すぎて、もう二度とやりたくない。


  完成した。船体14時間(エッチング込み)、亀甲模様10時間、トラス7時間、ウォーロック6時間、艦橋3時間、飛行甲板取り付け2時間、空中線等3時間で、作業時間はだいたい45時間くらいだろうか。実際には、構想(修正)や接着待ちの時間もあるので、もっと掛かっているが、作業時間それ自体は50時間以下だったはず。同スケール(1/700)、同サイズ(空母/戦艦並=35~40cm)の一般的な艦船模型の二倍程度の時間が掛かった計算になる。



  05/17

  【 主な使用パーツ 】

- FUJIMI版1/700フルハルキット(全体)。同社製の純正エッチングも。
- HASEGAWA版ディテールアップセット。同梱のトラス無しプラ飛行甲板も使用。
- HASEGAWA「比叡 ディテールアップパーツB」。一部トラスの再現のため(2枚使用)。
- HASEGAWA「加賀 ディテールアップパーツB」。起倒式マストのため。自作は自信なし。
- FUJIMI「翔鶴」エッチング。三角柱マストなどをいただいた。残りはどこかで使おう。
- FUJIMI「鳳翔」エッチング。大量の水密扉や梯子類、補強板などを以下略。
- FUJIMI「加賀」エッチング。一部トラスなどを以下略。無くてもいい場所だったが。
- HASEGAWA「1/72 F-14A TOMCAT」。余りもの。ウォーロックのためにパーツ取り。
- FINEMOLDSの連装機銃(14基)、単装機銃(4+1挺)、探照灯(3基)、フェアリーダー。
- MONOCHROME「スチールグレー極細チェーン」。いつもこれを使っている。
- HASEGAWA「ジュラルミンフィニッシュ」シート。塗装して蛍光レッド等の再現に使った。
- MODELKASTEN「メタルリギング 0.15号」。頑丈で極細。直線が維持できるので便利。
- AIZU「0.4mmマスキングテープ」(3個)。亀甲模様の精度を確保したかったので市販品で。

  ここまででざっと2万円強(チェーンやトムキャットの分は除く)。その他、塗料、プラ板、マスキングテープ、真鍮線、デザインナイフ(刃)、各種ヤスリ等も追加消費しており、また、実際には使用しなかったがFUJIMI版スケルトンキットとHASEGAWA版キットも調達しており、最終的には3万円以上掛かっている。うーむ、無駄が多い。自作能力が無い分、既成のハイディテールアイテムに強く依存してしまったのが問題だ。せめて支柱トラスを伸ばしランナー等で自作できるくらい器用であれば、もっとコストダウンできたのだが……。

  ごくおおまかにネウロイ赤城を制作したいというだけならば、フルハルキット一つを二色のグレーでざっくり塗り分けて、赤い六角形はフリーハンドマスキングなりプラ板貼り付けなりで再現すればいいだけなので、5000円もあれば十分足りるはず。なんならHASEGAWAの「赤色フィニッシュ」シートあたりを使えば、簡単に貼り付けられるし、エアブラシ無しでもきれいな面を作れるし、厚みの問題も解決できる(飛行甲板のモールドをなんとか処理する必要があるが)。ウォーロック部分も、適当にそれらしい物を作るだけならたいして難しくない。多少慣れたモデラーが適切に計画すれば、完成まで10時間も掛からないくらいだろう。

  ……余ったHASEGAWA版キットで、この簡易制作をリトライしてみようかな。赤城用エッチングも、HASEGAWA版の手摺等とFUJIMI版のネット類とで、事実上一揃え分が余っていることだし。というか、それならむしろノーマルの(まっとうな)赤城を組むべきか。



  【 失敗集 】
- トラスエッチングの組み立て間違い。227~231の順番を間違えた。目立たないのでそのまま。
- 飛行甲板裏トラスの、船体と干渉する箇所を、後から強引に切除。目立たないので誤魔化す。
- それ以外も、トラス制作は気力が尽きてイージーに流れたので、実は接着剤でベタベタ。
- 飛行甲板塗装の失敗。玉が滴って吹き溜まりが出来てしまった(元は濃度調整の失敗)。
- 艦底部の模様。本来は赤い六角形が21個のところ、22個にして塗ってしまった。そのまま。
- 礼砲の砲身を一つ折ってしまった。Finemoldsの単装機銃に全部置き換えてしまうことに。
- ウォーロックは、あまりうまくいかなかった。いかにもなプラ板工作っぽさが。
- 艦底部を放置していたため、上部ときれいに接合できなかった。隙間が出てしまった。
- 船体のエッチング手摺を一箇所紛失。他から持ってきて補綴した。
- 資材置き場の真鍮線ハンダ付けに失敗。諦めて支柱類はすべてキットパーツのままとする。
- フェアリーダーとボラード(J39/J42/J53)。工程の間違いで一旦切除→Finemoldsで再生。
- 失敗ではないが、張り線に大苦戦。飛行甲板の接着(支柱の位置合わせ)にも苦労した。
- 押し出しピン跡を放置したせいで、下側から見るとひどいことに……。

  私自身の失敗ではないが、制作時に不備が出たところ。
- FUJIMIエッチングの左舷64番に相当する右舷手摺パーツが指示無し。他から適当に流用。
- 購入時にHASEGAWA飛行甲板のゲート部分が破損していた。軽微な傷なので適当に補修。



  結論。こんなものを大真面目に制作する奴はおバカだと思う。



  後日追記。FUJIMIから「艦NEXT」版も発売された。そちらもフルハルキットだし、舷外電路があらかじめモールドされているのは長所だが、飛行甲板が色分けのためパーツ分割されているので、これをネウロイ化のためにフラットにするのはかえって手間が掛かる可能性がある。