2013/09/20

ありがちなイベント

  ありがちなイベント。


  アニメでいわゆる「水着回」「温泉回」に遭遇すると心底しらけるのだが、そういえばPCゲームではそういう通俗的に普及したイベントは――意外にも――少ないように思われる。特定の季節に限定されるためか、卒業式/入学式、林間学校/修学旅行、体育祭/文化祭、クリスマス、新年、バレンタインなども、割合としてはおそらくそれほど支配的なものではなく、また扱われるとしてもその都度その都度かなり自由に描かれており、アニメにおけるそれらほど大掛かりで因習的なものにはなっていない。中でも比較的多いのは、文化祭/体育祭が中盤の盛り上がりを形成するというタイプだろうか。あるいは、一昔前には、「連休明け」がイベント分岐の大きな節目になっていることもわりと多かったと思う。もちろんビーチシーンや温泉シーンも、存在しないわけではなく、PCゲームでも一定頻度で見かけはする。

  この観点で振り返ってみると、Purple softwareはずいぶんアニメ寄りの趣向でイベントの取捨選択を行っているように思える。特に『秋色恋華』(2005)の合宿旅行は、当時としてもそして現在の目で見ても、この分野では珍しいイベントだった。

  上記のような社会的、祝祭的なイベントが支配的でない代わりに、PCゲームで――PCアダルトゲーム分野でのみ――特に頻繁に見られるイベント類型も存在する。なかでも、浴室やお手洗いでの予期せぬ遭遇イベントは、昔も今も多くの恋愛AVGで採用されている。また、ロケーションとしては、生徒会室の利用頻度が、隣接諸分野(アニメ/漫画/LN)と比べても顕著と思われる。


  そういえば。(ハーレム)軍学校ものは、PCゲームでは結局大きなムーヴメントにはならず、どちらかといえば地上波アニメで豊かな果実を得たということになるのだろうか。さしあたり念頭に置いているのは『SW』『IS』あたりのことだが。アクション表現や空間表現あるいは巨大物表現といった視覚表現の点でAVGよりもアニメーション映像の方が適していたという事情は、一つの要因としてあったのかもしれない。『ひめしょ!』でも教練シーンはほぼ皆無だった(――訓練と称した無謀な遠泳を強いられるシーンはあったが)。