2018/05/07

模型雑話:2018年5月~

  模型関連の雑多なメモ。2018年5~8月。(→9月~1~4月


  08/26

  1/350艦船のような大型=高額なキットは、「失敗したら取り返しが付かない」という意識が過度に強くなってしまい、なかなか制作着手できずに積んでしまうということが生じやすい。
  確かに失敗時の心理的ダメージは大きくなるし、パーツ請求も相対的に高額になるし、それどころか海外メーカーのものだとパーツ請求が困難だったりする。艦船模型だと、1/700スケールと比べて汎用アフターパーツの品揃えが未発達なので、代替品を調達できる可能性も低めになる。また、大型キットだと、サイズとスケールが大きい分、粗が見えやすいという問題もある。これらは、大型キットに起きやすい問題だ(※エアクラフトやAFVでは多少事情が異なるかもしれないが、おおまかに言えば共通の問題を含んでいる)。
  しかしながら、模型は作ってこそ、鑑賞してこその存在だ。誰かに見せたり売ったりするわけでもないし、これからは失敗を恐れず、作りたいと思ったものはどんどん作っていくように心掛けたい。なかなか難しいのは確かだけど……。


  ニパ子のデザインが洗練されていないのは、元々「コミPo!」で作られたものだったからか。べつに「コミPo!」が悪いというわけではないが、イラストレーターが新規に作り上げた絵と漫画作成ソフトのデフォルト素材だけで作ったキャラとでは、クオリティに違いがあるのは当然だ。まあ、なんのかんので、「こいつ、これはこれで小癪なところが可愛いなあ」という感じになってきたけど。


  行きつけの模型店でMD新作が早々に安売りされていたのは、発注しすぎたせいだろうか。どんなに良い出来でも、それなりに良く売れていても、売れ行きに比して在庫数(発注数)が多すぎれば、その店は多少値下げしてでも売り切ろうとする。在庫を抱えるリスクは、それほど大きいものだからだ。とはいえ、MDシリーズの中で、「初のファンタジー寄りのモティーフ」、「肌色の四肢が付属」、「エフェクトパーツ付属」、「全体のボリュームにも不足は無い」、「キャラクターもまっとうに可愛らしい」と、製品単品のクオリティは十分なのだが……。「朱羅」シリーズの売れ行きが良かったので、それに乗じて小売店が大量発注しすぎたのだろうか。


  模型メーカーや工具メーカーが、お互いに仲が良いのは、良いことだと思う。幸せな状況であり、そして、幸せな条件下で成立した状況だと思う。
  話の通じる同業者同士が仲が良くなる――密接に連絡を取り合い、しばしば協力しあう――というのは、それ自体としては自然なことだが、それが成立してうまく続いていくには、さまざまな前提条件が必要になる。国内のプラモデルメーカーや模型工具メーカーは、
  1) 比較的少数の企業である。つまり、相手の存在が見えやすい。それに対して、玉石混淆の大量の企業が乱立している状況では、交渉コスト(交渉相手の選別を含む)が掛かる割に、リターンの見込みがはっきりしないだろう。
  2) 長期間継続的に事業を行っている。お互いのスタンスがはっきり分かるし、協力関係を結ぶ際にもプロジェクト維持が信頼できる。不安定な泡沫企業同士では、安心できる関係構築はなかなかしづらいだろう。
  3) すでに寡占安定市場である。つまり、同業者を潰してもメリットにならない。それどころか、一社が潰れて店頭ラインアップが薄くなると、模型分野全体にダメージが生じる。家電品などの実用品であれば、同業他社を駆逐していっても市場規模は変化しないが、ホビー分野では、一社が消滅するということは、ただ単に「そのメーカーが扱っていたネタが消滅する=市場がその分だけ縮小する」ことを意味する。
  4) 対象が限定されている。原作(アニメ)の存在を前提とするロボットだったり、実在の軍用兵器のスケールモデルであったりするので、メーカー1社が革新的なブレイクスルーをするということが難しい。もっと競争の激しい分野や、対象の限定されない分野であれば、同業他社を無視してとにかく新発明や新機軸を追求して市場でのプレゼンスを奪取していけばいいのだが、模型分野ではそういうことが出来ない。
  5) 競争関係があまり発生しない。あるいは、競合してもあまり損にならない。例えばAFV一つ取っても、キット化しうる対象は膨大にあるし、同じ対象を扱ってもユーザーの取り合いにはならない。模型化のアプローチが違っていたり、スケール違いだったりといった商品差別化もある。家電品のように「だいたいこんな機能を備えてさえいれば、どのメーカーでもよい」という状況が、ホビー分野ではあまり存在しない。
  6) 棲み分けのメリット。例えば艦船模型同士でどの艦をどのメーカーが担当するかを分担したり、アクションフィギュア分野でキャラ被りが生じないようにしたりといった棲み分けの余地がある。これも、実用品では成立しないホビー(趣味活動)特有の条件だ。
  7) 協力関係のメリット。棲み分けだけでなく、もっと積極的な協力関係を結ぶこともできる。A社のキットのパーツとB社のキットのパーツを、モデラーたちは自由に組み替えたり流用したりする。モデラー文化とはそうしたものであり、そうしたポテンシャルを引き上げていくことは模型分野全体の活性化につながる(と考えられている)。いたずらに独自規格で囲い込みをし合っても、メーカーもモデラーも疲弊するばかりで、けっして得にならない。ましてや、キットメーカーと工具メーカーでは、利害対立(パイの食い合い)の余地がほとんど無い。
  だいたいこうした事情ではなかろうか。もちろん、模型人口が急激に増えるということはなかなか無いし、ユーザーの財布にも上限はあるので、ユーザーのお金を取り合うという関係はどうしても生じるが、今のところはそれほど末期的な閉塞市場になっているわけではない。


  既存のメカ少女プラモの中では、フレズヴェルクガールの外見が一番好みなのだけど、膝の巨大なパーツがまったく好みではない――本家FAの「アーテル」版で懲りた――ので、いまだにキットには手を出していない。いつか作れる日が来るのだろうか。

  ……などと書いたのはまさにフラグだった。オタショッピングをしていたら、ちょうどフレズヴェルクがちょっと安めに値付けされていた(※中古ではなく新品販売のショップ)ので、これも運命かと思い、買ってしまった。
  これでFAGシリーズは、轟雷/迅雷とアーキテクトを除いて全系統を入手したことになる(※イノセンティアのみは赤青2個、それ以外は1体ずつ)。アーキテクトガールも、眼鏡が似合いそうなので、いつか買うかもしれない。ただし、DTAガールや初音ミクガール(?)は買わないと思う。

  各系統に対する個人的な評価は、以下のとおり。
- Sty: 顔立ちは好みだが、翼などのパーツを残しているのが作為的で、あまり好きではない。
- Mat: 頭髪はもっさりしているし股間部分は卑猥だが、顔は可愛らしい。
- Bas: 脚部が長すぎてアンバランス。武装組み替えの芯としては非常に優秀だろう。
- Inn: 赤青どちらも可愛い。ネコ耳や素肌手足など、生物的要素が最も大きい。
- Bai: これまでのロボット擬人化とは異なり、武装少女らしい路線のデザインが好き。

  フレズヴェルク(ガール)は、アニメ版で重装甲のままカチャカチャ金属音を立てながら歩いたりフワフワ浮いたりしている姿に、不思議な可愛らしさがあった。アニメ版は、00年代初頭風のレトロ感のあるドタバタコメディもので、全体としてはそれなりに楽しかった。主人公以外のキャラクターは3Dモデリングのままという割り切りも、この作品には合っていた。販促的性格の強い部分も、長大な妄想シーンなどの横紙破りも、上手いバランスで作品内に収めていたと思う。

  しかし、メカ少女プラモデルは、他分野と比べるとやはり相対的には割安なのだなあ。1/12スケールでドールを一揃え調達すると最低でも8000円、一般的には1万円以上になるし、フィギュアの価格もずっと高止まりしているし、とりわけfigmaは(昔は3000円程度だったのが)6000円台から8000円台にまで激しく値上がりしている。それに比べると、ベーシックな素体では4000円程度、重武装のものでも6000円台に留まっているのは、――単体として見ると高額なのだけど――美少女キャラの可動立体物としてはまだしもリーズナブルと言えるのかもしれない。
  ただし、組み立ての作業時間は無塗装で3~6時間になるし、全塗装すると作業時間は10時間を超える。時給換算すると、キット価格+作業コストで10000円から16000円程度になる。figmaなどの完成品フィギュアは、制作時間(とクオリティ)を財布に肩代わりさせていると考えれば、それはそれで納得のいく価格ではある。


  パネルラインに沿って薄く暗色を残すのは、個人的にはとても格好悪いと感じる。エアクラフト模型のように、ラインの存在を知覚させる目的でごく薄くシャドウを残すくらいならば、効果はあると思うけれど、周囲までぼんやりとブラックを残しているのは、端的に美しくないし、人工物としての説得力にも欠ける。
  ラインのモールドをはっきり際立たせるならば、むしろラインの周囲はくっきりと明るい色にしておき、それに対して面の中心部分に掛けて色のニュアンスを変化させるという方が良いのではないかと思う。そうすれば、そうすると、広い面の単調さが解消されるし、場合によっては曲面の盛り上がりなどを強調することもできる。
  パネルライン表現は、単なる「現実の再現」ではなく、模型分野が作り出した創造的表現と言うべきものであり、その実験的挑戦的な姿勢それ自体は良いことだと思う。しかし、それはそれで、創造的表現の枠内において、審美的な再検討に常に晒され続けるべきだ。因習化したエスタブリッシュメントに安住してはならない。



  08/20

HASEGAWA「ガラヤカ」。ほとんどインストどおり、オーソドックスに作った。ただし、顔や袖などのグレーは、補色のフタロシアニンブルーを混ぜて明るめにした。レッド(デカール)以外は全塗装。脚部は合わせ目処理を試みたが失敗した。
ガチャガチャの眼鏡。「うわっ、似合わない!」と思ったけど、なまじモダンなデザインの眼鏡よりも、このくらいのレトロ感のあるデザインの方が、まだしも愛嬌が出てマシなのかもしれない。詳細は「MSG眼鏡フレーム」記事にて。
「EXQ」シリーズのアラレちゃん「時雨」は、細やかな布服モールドがジーンズ生地に合っている。ただし下半身の被服部分は半ツヤっぽいので、ツヤ消しを吹いておくのが良さそうだ。眼鏡は付属していない(※写真では例によってMSGエッチング眼鏡を着用させている)。
あっ、えっと、一応、真面目(?)なプラモデルも作っていますよ。いますってば。TAMIYA「コルセア」(1/48)。翼端灯も塗ってないし、パイロットもいないし、塗り分けはフリーハンドのエアブラシという大雑把な作りだけど。

  パッケージの「Shigure」(時雨)の表記を見て、「シィギュア(Shigure)のフィギュア(figure)」という駄洒落を自制できなかった。模型駄洒落としては、「フィグマのヒィグマ」の方がよほどマシだろう。英語版のページでも、しっかり「figma higma」になっているし。
  白露型は、手すさびに1/700で模型制作したことがあるが、部屋が手狭になったので捨ててしまった。こうして擬人化した姿を見ると、捨ててしまったことに疚しさが……いや、そういう感情はべつに無いな。あと、なにかの折に買ったえろくないキャラクター同人誌も一冊持っていたと思う。このキャラクターだと:
  [ www.goodsmile.info/ja/product/6591/%E6%99%82%E9%9B%A8+%E7%A7%81%E6%9C%8DVer.html ]
こういう1/8フィギュアもあるらしい。三つ編みにアホ毛に銀杏に眼鏡にカメラにネクタイにポケット手と、ずいぶん濃いめに趣味を盛り込んでいるなあ。しかも、web検索してみると、どうやらボクっ娘のようだ。


  もはやプラモでなくてもいいんじゃないか? 自分はドール分野に入って楽しんでしまえばいいんじゃないか?という気分になりつつある。実のところ、
- メカ少女趣味にはそれほど愛着は無い(:プレーンな人型素体で十分)。
- 組み替えしたり武装を盛ったりもしていない(:拡張性が不要)。
- ポージングに凝ってもいない(:関節の頑健性は不要)。
- プロポーション改修をしない(:プラ製である必要が無い)。
- メカ少女プラモでは模型制作の手応えがあまり得られない(:完成済み製品でもよい)。
- むしろ可愛い布服を着せておきたい(:布服がきれいにフィットすることが大事)。
というのが私のスタンスだ。だから、頭部(顔と髪型)の造形がそれなりに好みであって、価格面で折り合いがつくならば、ドールでもいいということになる。ただし今のところ私の環境では、一連のメカ少女プラモは、場所を取らない1/12スケールでは、ドールよりも入手容易であり、製品のヴァリエーションが豊富であり、見た目も可愛らしいものが多いので、ここ9ヶ月ほどずっとこのジャンルに付き合ってきた。しかし、今後のことを長期的に考えると、ドール分野に軸足を置いていく方が、より豊かな成果を効率的に享受できるのではないかと思う。とりわけ、1/12よりも大きなスケールを視野に入れると、その技術的蓄積も、品揃えの豊富さも、個人的適性も、将来的ポテンシャルも、ドール分野の方がはるかに大きい。

  ただし、1/12だと何かと困難がある。小スケールだと布服の厚みが無視できないし、作れるディテールにも限界がある。しかし1/6以上のスケールにも、難しい点がある。サイズ上の問題としては、例えば両目が大きくなるので、アイプリントの平板さが目立つようになる。かといってドールアイにすると、二次元オタクイラスト的な雰囲気は消え去る(それはそれで良いのだけど)。また、大きさやディテールの問題からして、樹脂などの成形ヘアではなく、植毛タイプにならざるを得ない。さらに、保存環境の問題が顕在化するし、コスト(購入価格と展示設備)も上がる。フィギュアでは1/8から1/7の製品も多く、その範囲内ならばきれいに見えるのだけど、分母の数字が1減って1/6になるだけで、質感やディテールに対する要求が一気に跳ね上がる。


  白虎ガールは、ホワイト基調で、胸下パーツをグリーンにして、各部にオレンジのラインを入れたら、プラグスーツ綾波っぽくなったりしないだろうか。もちろん頭髪はライトブルーで。


  模型制作は、実用品ではなく非実用品――芸術品または趣味の創作物――を作るプロセスなのだから、一般的な用語法に照らして言えば「製作」ではなく「制作」の字を当てるべきだと思うのだが、gglは「(キット名)+制作」のand検索をしても「(キット名)+製作」の検索結果にリダイレクトしやがるのが癪に障る。もちろん検索結果もかなり異なるので、適切な結果表示とは言えない。
  ホビー誌でも、両者が入り乱れている(?)が、「製作」の方が多いように感じる。とりわけスケールモデルの場合は、芸術的(創作的)というよりは即物的(再現的)な志向が強いからだろうか。しかし、雑誌記事などでも「作品制作者=記事執筆者」はそれぞれ独自の個性のある創造的なメイキングを行っているのだから、「制作記事」と呼ぶ方が実態に即している筈だ。
  また、「建築模型製作」のような実用目的の場合は「製作」と書くのが適切だろうし、「模型製作会社」のように業務として行う場合も「製作」の方が良さそうだ。


  [ laid-back.hatenablog.jp ]
  面白かったのでメモ。キットレヴュー中心のブログだが、歴史と技術の視点をきちんと持ったうえで個々のキットの位置づけを評価しているので、議論の見通しがクリアになっている。対象としているキットも、私が「よく知らないけど気になっているプラモ」をしばしば取り上げてくれているので、ちょうどありがたい。


  [ www.aoshima-bk.co.jp/special/acks/vfg31a/ ]
  早速のヴァリエーション展開。「猫的愛らしさが際立ちます」とは……。今度はカイロス版なので、機体部分の塗り分けはかなり楽になる。発売は12月とのことだが、うーむ、その時期に作っていられるだろうか。
  サンプルを見ると、ブルーの同系色ばかりで少女部分が埋もれてしまっているし、せっかくのケモキャラなのだから、少女部分は補色のブラウン系で塗った方が面白いんじゃないかな。ブラウン基調にグリーンの線が入っているならば、アクセントとして悪くないし。


  近年の一連の可動プラモが「メカ」少女プラモなのは、どのような事情があるのだろうか。日常的な学生服姿や、ファンタジー衣装ではない理由は何だろうか。いろいろ考えてみる。
- ノウハウの問題? プラモデルメーカーには、ロボットプラモのノウハウはあるが、キャラクターフィギュア側の蓄積が乏しいことが多い。それゆえ、まずは成形しやすいロボットプラモからアプローチしているのかもしれない。……とはいえKOTOBUKIYAやVOLKSは、フィギュア製造について莫大な経験があるし、むしろ被服表現のノウハウでは他社よりも長じている。
- 質感表現の問題? 組み立てプラモデルでは、布服の質感や、デリケートな皺の表現、色分けなどを再現するのが比較的難しい。それに比べて、直線主体のメカキャラプラモであれば、そうした細部のクオリティをあまり気にしなくてよいし、無塗装キットでもそれなりに見栄えがするということかも。……とはいえ、例えば『WARHAMMER』シリーズのように、金属だけではなく生物的な要素も多分に含む複雑な造形が、実現できないわけではない。製造価格の面さえ折り合いが付けば、不可能ではない筈だ。ただし、布服風のデザインだとドールに及ばないという問題もある。
- デザイナーの問題? 美しく洗練されたファッションを設計できるデザインは、けっして簡単なものではない。プラモデルメーカーが、そうした服飾デザイナーへの伝手を持っていないということも考えられる。また、服飾デザインを発注するのは費用が掛かる。ロボットデザイナーはゲーム、アニメ、プラモくらいしか需要が無いが、衣服のデザインであればもっと大きな市場を相手にすることができるからだ。原作人気に頼れない独自プロジェクトの場合には、見た目のデザインで訴求しなければいけないので、ここがネックになりうる。……ただし、アニメやゲーム並のファッションでよいと考えれば、それほど無理な話ではない筈だ。ファンタジー設定であれば尚更。
- 関節可動に関わる美意識? 可動プラモデルでは、どうしても関節部の構造が剥き出しになってしまう。プラで成形された長袖やジーンズに、不自然な折れ目が入ってしまうのは、受け入れられにくいと考えられたのかもしれない。それに対して、あらかじめメカキャラとして売り出してしまえば、剥き出しの関節構造も「そういうもの」として受け入れられる。……ただしこれは、文化的な問題であり、克服可能な問題だろう。実際、ドール分野では、素肌部分に剥き出しの球体関節が出現していても、それはそれとして受け入れられているし、figmaのような可動フィギュアにも布服キャラクターはすでに大量に存在する。
- コストの問題? メカ少女プラモはあくまで新たな市場であり、売れ行き(つまり収支)の見込みは分からなかった。それゆえ、プレーンな素体プラモだけにするのではなく、大量の武装パーツを付属させて高価格路線を考えていたのかもしれない。……ただし、VOLKSの「プリムラ」のように、かなりプレーンな素体キットもすでにリリースされているが。
- 組み替えのため? KOTOBUKIYAやVOLKSは、自社の他キットとの組み合わせを見込んだプロジェクトの一環として商品展開を行っている。武装パーツと組み合わせるのは、日常的な学生服キャラクターでは務まらないだろう。学生服の各所に接続穴を空けまくるわけにはいかないからだ。……この側面は、それなりにありそうだ。
- セールスの期待? 完成品フィギュアではなく組み立てプラモデルとして売り出す以上、どうしても既存のプラモデル人口を無視することはできない。しかるに、(男性)モデラーの多くは、美少女フィギュアよりはロボットプラモに親しんでいるだろう。その意味で、メカ要素のあるキャラクターものプラモデルは、無難(安全)な路線なのかもしれない。ただし、そもそもオタク界全般で、「メカ少女もの」が盛り上がっていたかというと、少々疑わしい。前世紀の「MS少女」文化とも切断されているだろう。あくまで「ロボットもの」+「美少女もの」の現代的合成と見るのが妥当かと思われる。
- 偶然? メカ少女もののキットが続けて現れているのは、最初期の偶然的事情によるものであり、今後は学生服姿やファンタジーものの可動・組み立て・プラモデルキットがどんどん作られていくのかもしれない。

  KOTOBUKIYAは、メカ少女ものに留まり続けるだろう。ただし、最近のMDを見てのとおり、SF的なメカ少女だけでなく、ファンタジー要素も取り込みつつある。たしか「イカ娘」のプラモもあったが、あれはかなりシンプルなデザインだったから成立していたものだし、現実的なプロポーションのキャラもの可動プラモデルを出すかどうかは、まだ難しそうだ。
  BANDAIは、「Figure-rise」シリーズを初めとして、メカ少女以外の可動キャラクタープラモも展開していくと思われる。萌えキャラのデザインとしては垢抜けないが、それに適した人材はいくらでも調達できるだろう。
  AOSHIMAはどうするのだろうか。ジークフリードガールはわりと売れたようだが、あれはあくまで原作ありきのネタだから、マクロスガールが一段落したら様子見に移るのかもしれない。カーモデルや艦船模型からSFメカまで幅広く扱っているメーカーだから、メカ少女ものもワンオブゼムに過ぎないだろう。
  VOLKSは、ちょうど新作(ヴィオラ&ローレル)を発表したとのこと。巨大鉤爪を除けば、メカ要素の乏しいプレーンな素体のようだ。今後とも武装キャラプラモの芯として継続展開していくものと予想される。
  それ以外のプラモデルメーカーはどうだろうか。HASEGAWAやWAVEあたりがキャッチーなネタを出してくるかもしれない。FUJIMIにも、くまモンやプラロビの製品があるので、美少女プラモを作れるだけの技術的蓄積はあるだろう。



  08/01

  所持している未作成プラモデルに、新しいヴァージョンが発売されてしまうということはあり得る。そのような場合に、どう考えるべきだろうか。ミクロに見れば、「早く作らなかったのが悪い」ということになるが、それで済むだろうか。
  そもそもプラモデルは、「発売される=購入する=すぐ制作する」ものとは限らない。細部の考証をしつつ全塗装制作するにはかなりの時間が掛かるものだし、それでいて新作発売ペースはそれなりに速い。また、アフターパーツ等の充実を待ちつつキットを寝かせておくという場合もある。だから、新作を買ってどんどん作っていくというスタイルはなかなか成立しない。とはいえ、キットがあるうちに買っておかなければ、品切れになることも多い。また、プラ製のキットなので、長期保存しても古びることは基本的に無い(※ただしデカールが品質劣化して使えなくなることはある)。マクロに見れば、欲しいキットは買えるうちに買っておいて、ストックしておき、それらの中から作りたいもの(または作れる用意が調ったもの)を手掛けていくというスタイルには十分な合理性がある。だから、「積み」が存在することは、それ自体としてはけっして悪いことではない。
  しかるに、新版の発売によって旧キットが役立たずになるという事態は生じ得る。そうした場合には、「早く作っておけばよかった」と後悔するのは、精神衛生上もよろしくない。「一定確率で発生しうるサンクコストのようなものだ」と割り切るか、あるいは「運が悪かった」と考えればよいだろう。また、旧キットが完全な無駄になるとは限らない。ものによってはパーツ取りに使えるし、キットの中身を比較して温故知新とするのもよいだろう。そのあたりをどうするかは、モデラーの才覚の問題でもある。

  模型のパッケージは、よほど大型のキットでもないかぎり、あまり嵩張らない。それでいて、安いものでは1000円台から2000円台程度と、そんなに高額でもない(1万円の戦車模型や2万円の空母模型などもあるけど)。また、キットの種類も膨大であり、欲しいものは大量にある。だから、欲しいものは気軽に買って積んでおくというのは、無理のある行為ではない。2017年7月2日付のテキストでも買いたように、一部屋に1000個くらいは収納できる。プラモの箱は軽いので、上に積んでも潰れて破損する可能性は低い。

  レジンキットはさすがに重いか。VOLKSの1/4 KOS-MOSを店頭で見かけたが、なかなかのボリュームだった。価格も58000円とかなりのもの。


  EXQフィギュアは、被服の質感表現の追求ぶりは素晴らしいのだけど、総じて顔があんまり可愛くないのが実にもったいない。これでもうちょっと顔立ちがきれいだったら、2000円級プライズフィギュアとしては本当にトップクラスの出来になりうるのに……。


  HASEGAWAの「フィニッシュ」シートに塗装してから貼り付けるのは、たいへん便利だ。入り組んだ場所や、すでに塗装済みの場所、発色を良くしたい場所などで、特に効果を発揮する。筆でもきれいに塗りにくく、マスキングもしづらいという場所は、どうしても出てくるのだが、そういうときにありがたいツールになる。
  ここで「フィニッシュ」シートの強みは:
- 極薄である。適当に貼り付けてから、デザインナイフでスッと切るだけでよい。
- 粘着力。一度貼り付けてから不要部分を剥がせるし、押さえればしっかり定着する。
- シールを貼り付けるだけなので、切り出しを失敗してもリカバーするのが容易。
- 伸縮性。複雑な曲面にも、柔軟に貼り付けられる。
こうした性質を利用して、「塗装したい色を『フィニッシュ』シートに吹き付ける」→「適当なサイズに切り出して貼り付ける」→「塗装したい輪郭に合わせてデザインナイフで切る」→「不要部分を剥がす」という手順でやれば、任意の場所に必要な色を簡単に乗せられる。切り出しを失敗した場合でも、表面を傷つけずに剥がせる。また、隠蔽力は100%であり、下地色の影響を一切受けないという強みもある。
  もちろん、自前塗装をせずに、製品そのままの色で使ってもよい。ホログラムや網目模様など、一般モデラーの塗装環境では実現不可能なシートも発売されている。

  ただし、難点が無いわけでもない。
  1) 多少なりとも厚みが出るので、表面が擦れたり干渉したりする場所には使えない。
  2) 一枚あたり1000円程度と、それなりに値が張る。ただし、小さく切り出して使うだけならば、実質的に数十円程度にすぎないが。
  3) 極薄なので下地の凹凸を反映してしまう。ちゃんと工作していれば問題にならないが。
  4) 基本的にフラットな塗装に限られる。ただし、「フィニッシュ」シートを使うような細かな場所が、グラデーション塗装を必要とすることは、まず無いだろう。
  5) 塗料の定着が、プラ(とサフ)の上に塗るのに比べれば、やや弱い。
  6) ツヤ出しやウェザリングなどの追加処理が困難になる場合がある。

  要するに、作業時間の短縮と、完成時のクオリティ、失敗時のリスク回避(リカバリー容易)、等々を、お金を出して購っていることになる。私見では、十分割に合う製品だと思う。塗料の食いつきを良くした無地のシートを、例えば500~600円くらいで発売してくれたら、大喜びで買い込んでしまいそう。
  例えば護衛艦の戦闘通路の白線も、極細の平行線できれいにカットすることさえできれば、きわめて有効なアプローチだろう。マスキング塗装するよりも、はみ出しなどの不出来の可能性が低いし、デカールと比べても、発色がきれいだし破損の危険性も低い。失敗してもリカバリー(補充)が容易だ。つまり、失敗したシートを剥がして同じものをすぐに補充することができる。分割した白線のつなぎ目さえきちんと処理できれば、おそらく技術的に最も簡単で、見栄えも最もきれいな出来になるだろう。真っ白の「ホワイトフィニッシュ」製品があるので塗装も要らないし、次に護衛艦を作る時に試したい。
  公式サイトによれば、「ホワイトフィニッシュ」はデカールの発色を良くするための下地としても有効なのだとか。なるほど、そういう発想もあるか。


  [ www.alter-web.jp/old/figure/08/10_1/ ]
  アルターの寝そべり綾波をSRGYの店頭で見かけた。目元がアニメ版っぽいし、表情もクールさの中にわずかな幼さを残している感じだし、ポージングも面白いし、脇のスーツ皺などもフェティッシュだし、たいへん好み……だったが、荷物が多かったので購入断念してしまった。

  【後日追記】購入したので、写真集記事に:「ALTER『綾波レイ』(1/8スケール)」。



  07/23

  PLATZの『少女終末旅行』キットは、プラ部分は基本的にDRAGONのケッテンクラートそのままなので、作中の形状とは異なる(後部が引き伸ばされていない)し、履帯も例によって細かく分割されているようので組み立ては大変。もちろん、リアルな男性乗員パーツもランナーに入っている。側面のカゴなどはエッチングパーツ製。二人のキャラクターは、ウレタン製のレジンキャスト。両目などはデカールで再現される。
  入手容易な1/35スケールのケッテンクラートのキットとしても、ありがたい販売と言えるかも。


  [ hobbylinktv.jp/?p=20002 ]
  良いなあ。こんなふうにプラモデル(模型分野)に関しても、歴史と文化と技術をきちんと考えて個々のキットに取り組むモデラーやブロガーが、日本にももっと増えてくれたらいいのに。


KOTOBUKIYAのキット「KOS-MOS Ver. 4」(Extra coating edition)。筆塗りの部分塗装のみ。兵装部分はこれから作る。かなりの小顔なので、眼鏡は細い金属線などで自作するしかなさそうだ。

  元は2012年発売のキットだが、たまたま店頭で見つけたので、メカ少女プラモの温故知新のつもりで買って制作した。ちなみに、完成後にweb検索してみたら、ちょうど今年の10月に再生産されるのだとか。
  ゲームでも漫画でもプラモでもその他どんなジャンルのどんな創作物でも、旧作に遡ってクオリティやアプローチの変化を確かめていくのは、有意義なものだし、実際頻繁に試みている。
  というわけで、先日の「プロポーション」記事に、また加筆する予定。


  [ www.hasegawa-model.co.jp/hp/catalog/vr_series/vr7.html ]
  あっ……ガラヤカたん、可愛い……。
  (ちなみに、残念ながらショタではなく、一応女性タイプのロボット。)
  レイキャシール(イエロー)のスパッツ姿も良いなと思っていたけど、そちらは後回しにしよう。


  【 「KOS-MOS ver.4」塗装メモ 】
  メモ:「KOS-MOS ver. 4」(Extra coating edition)の塗装。設定を再現するために塗装が必要なのは、以下の箇所(だと思う)。
頭部側面(T6, T7):尖ったパーツの一部をゴールドに。
額のパーツ(B1, T8):一部をゴールド、一部をクリアグリーン。2形態ある。
首輪(J6×2):丸い金具部分をゴールド。
胸部(T2, B12, B14):金具をゴールド(※通常状態とD-TENERITAS状態の2種類)。
胸部(F20):金具につながっている部分は、パールホワイト。
腹部の縦ライン(B7, B8):ゴールド。
腹部(B8):一部をシルバー(スカートの中。ver.1を参照)。
左右太腿(H11, H12):サスペンダー金具をゴールド。※ABS製パーツ注意。
右の太腿(H9, H10):ラインをパーツホワイトに。丸い金具をゴールドで。 ※ABSパーツ。
右の足首(B24, B25):丸い金具をゴールド。

※腕と太腿(H3×2, H5, H6):フリル部分はデカール。

ドラゴントゥース:ゴールド、シルバー、(フラット)ブラック。
ハンドバルカン:ゴールド、シルバー(銃身)、ライトグレー(マガジン下部)。

その他、各部スミ入れ。

  ABSパーツがいくつかあるが、基本的にはラッカーで塗装して構わないと考えている。要するに、「溶剤が内部に染み込まないようにする(浅く吹いてよく乾かすなど)」のと、「テンションが掛からないようにする(嵌め込んで固定してしまうパーツならば大丈夫)」と思う。
  私が作ったのはExtra coating版のみ。通常版は持っていないので分からない。

「KOS-MOS ver. 4」。側頭部のツノの一部をゴールドに。額にはゴールドとクリアグリーンを。小さいパーツなので塗りにくいが、ゴールドを塗るだけでも見栄えはかなり向上する。首輪の丸い金具も(2箇所)。胸部の金具もゴールドに(※その上はパールホワイトになる筈だが、塗装失敗を恐れて放置した)。
スカートの前垂れ(B7)を外した状態で撮影。内部はこのような配色になると思われる。腕と太腿のフリルはデカール。きれいに巻くのは難しいので、フリルデカールは1mm長くらいに切り分けて、貼り合わせていくのが良いかと思う。太腿の金具は、側面も見えるのでちゃんと塗るように。
右足を後ろ側から。太腿のホワイト部分は、TAMIYAのパールホワイトで塗装すると、プリペイントの色におおむねフィットする。金具は筆塗りでよい。余談ながら、このH9とH10を膝側パーツと嵌め合わせるのが非常にきつかった(内部を削って組み立てた)。
「D-TENERITAS」再現用の胸部パーツ(B12, B14)。中央の金具部分はピンバイスとデザインナイフで中を空けたが、当然ながらパーツの強度がかなり落ちる(折れやすくなる)のでおすすめできない。


  関節可動ガールプラモ。発表されている各社の新作群は、どれも可愛くなかったり、色が好みじゃなかったり、ただのマイナーチェンジだったり、お色気がきつすぎたり、興味の無いコラボだったりして、欲しいものが全然無い。残念ではあるが、ジャンルの規模が拡大して裾野が広がっていけば、また好みのキットが出てくる可能性も上がっているわけだから、ひとまずは静観しておこう。


  1/2,700,000(270万分の一)スケールの「デス・スター」は、模型として最も極端な小縮尺の実例になるかな。『マクロス』には1/4000設定のキットもあったけど、この製品はそれをはるかに上回る。中身のパーツ構成は、なかなかきれいな感じ。270万分の1ということは、プラモの1mmが2700メートルに相当するのだというサイズ感を念頭に置きながらパーツの造形を眺めると……やっぱり訳が分からない。「スター・デストロイヤー」の方は1/14500スケール、つまりプラモの1mmが14.5メートル。一般的な地図の中では、「2万5千分の1」の地図の上に置けば、いくらか近いスケール感覚で捉えられるだろうか。って、すごく大きいな!
  艦船のガチャガチャは10cm程度の長さだが、実物は150メートルなり250メートルだったりするので、最大で1/2500程度のスケールになる。『マクロスΔ』の「エリシオン」は、設定全長800メートルのところ、BANDAIの小型プラモデルは約10cmなので、ざっと1/8000になる。
  14500というのは中途半端な数字だ。素因数分解すると2^2*5^3*29なので。


  ちょうどコルセアを組んだところだったので、「飛行機模型製作の教科書」は、復習(答え合わせ)のつもりで読むことができた。1/48コルセアの記事は10ページ(うち制作プロセスの解説は6ページ)だが、それなりに参考になった。「この部分のマスキングはこうやれば簡単&迅速&確実なのね」とか、「コクピットの中央部分は、ティッシュを丸めて突っ込むだけでもかなりカヴァーできるのね(もちろん周囲はテープ併用する必要がある)」といった現場的ノウハウが得られた。


  「パチ組み」というのは、無改修・無塗装・無整形で、ただパーツをパチパチ切り出して組み立てるだけの制作を指すという理解でいいだろうか。スミ入れとトップコート、それからごく局所的な一部塗装くらいまでは含みうるかもしれない。スケールモデルでは、基本的に無塗装で組み立てるだけではほぼ意味が無いので、この「パチ組み」に相当する概念は存在しない。
  「素組み」という場合は、上記「パチ組み」から、「大掛かりな改修は行わないが、塗装と多少の整形くらいは施す」までを含むと思われる。かなり幅の広い言葉なので、行き違いが生じやすいかもしれない。
  特にロボット模型では、アフターパーツを組み込んだりプロポーション改修を施したりはしないものを、「ストレート組み」と呼ぶ向きもあるようだ。つまり、キットの中身だけを使い、インストの指示におおむね忠実な制作が、含まれる。「全塗装は行なう、つまり、パチ組みではない」という含意が暗黙裡にあるようだ。
  いずれも、基本的にキャラクタープラモの分野で使われる言葉だろう。スケールモデルでは、細かな装備品の追加や置き換えを施すのはごく普通のことだし、造形上の「改修」というよりは、塗装による所属明示やウェザリングなどの演出的処理の方が重要なので、そもそも上記のような軸では思考していない。「ストレート組み」に相当するくらいの「キットそのまま(ほぼ無加工)の、全塗装制作」のことは、「簡単に作った」「キットのまま制作した」「プレーンに作った」といった形容をすることが多いようだ。わざわざそのために独自の用語を設ける必要が無いのだろう。
  もっとも、それはスケールモデル分野の卓越を意味しているわけではなく、むしろスケールモデル製品の不足に由来するものであったと考えるべきだろう。歴史的には、初期(前世紀)のスケールモデルのキットはしばしばディテールが乏しく、無塗装無加工では鑑賞に堪えないものもわりとあった。また、艦船模型のように、極端な小スケールのためにプラ成形の限界があったという制約要因もある。さらに、ヴァリエーション展開の都合上、成形色段階では色再現がほとんど顧慮されてこなかった。とりわけカーモデルでは、表面塗装でつややかな輝きを実現することが大きな美徳であり、したがって無塗装制作はほとんど考えられないことだった。また、航空機では、ほぼ同一の形状でも、所属等によるカラーリングの違いが大きいため、プラ成形色がそれらに対応することは不可能であり、ユーザー各自の塗装に委ねざるを得ない。
  分野的特性を考慮しながら概観すると、だいたいこんな感じだろうか。


  このペースだと、今年も模型&フィギュアの支出が30万円に届きそう……。見てのとおり、そんなにたいしたものは作っていないのだが、4000~5000円のプラモをいくつか買いつつ、塗料や小物(ディテールアップパーツなど)を買い足していくと、すぐに2万円台になるし、さらにフィギュアにも手を出すと月額3万円をあっさり超えてしまう。



  07/14

今日の眼鏡。EXQシリーズの「SAO ユウキ」にエッチング眼鏡を掛けさせた。ああ、眼鏡、眼鏡! この眼鏡のためにどれほど多くの喜ばしいことがこの世に起こることであろうか!(『幻影太陽』経由のトルストイパロディ) 詳しくは「メガネフレーム」記事に加筆。
胸部の締め付けの立体感や、腹部の皺の寄り方、流れる裾の動きも見事だが、布地の素材感を表現するために水着全体に凹凸を彫り込んでいるのが上手い。距離を取って見るとマットな質感が自然な布地に見える。きれいだろ、これ、布製じゃなくて樹脂成形で作られてるんだぜ……。しかも、高額フィギュアではなく、普通のプライズフィギュアなのに。


  アーキテクトガールはまちがいなく眼鏡が似合うと確信できるので、買いたい気持ちもあるのだけど、しかしその一方で、このタイプ(島田デザインの轟雷ライン)のキットは作り飽きているので、これを買うくらいならば他のものにもっと有益な仕方でお金を使いたいという気持ちもある。
  白虎ガールも可愛いのでもう一つ買って作りたいという気持ちもあるが、こちらはこちらで「次はこんなカラーリングで作ろう」という具体的な構想がまだ無いし、今更無塗装で作っても仕方ないので、手を拱いている。
  そんなこんなで、モヤモヤは残るものの、この手の萌えキャラプラモはひとまず休止しようかな。グライフェンガールが発売される頃には、このジャンルに戻って来るだろう。もっとも、下手をすると、その間にドールに嵌まって戻れなくなっているという可能性もあるのだけど……。


  [ www.aoshima-bk.co.jp/contents/enquete/ ]
  このアンケート結果はなかなか興味深い。当然ながら回答者はwebアンケートに自発的に答えた人に限られるから、ユーザー層の実態を正確に反映しているとは限らないけど。
  ユーザー層は、40代が圧倒的に多い(※7月20日閲覧時点で全体の43%:以下同様)。40代というと、いわゆる最初期のガンプラ世代で、幼少期にプラモブームがあった世代ということだろうか。スケールモデル分野も、80年代のうちにかなりラインアップが増えてきて、クオリティもひとまずマシなものが出来つつあった頃かと思われる。よく知らないが、ラジコンブームもそのあたりだろうか。ユーザー層が厚いのも納得できる。
  30代は、1979~1988年生まれで、1992年~2007年の間に人格形成期(ティーンズ)を経験している世代だ。男子向けのロボットアニメは盛況だったとは言いがたい。現実世界では、全体としては内戦が多発した時期だったが、湾岸戦争やイラク戦争などがあり、情報化時代における戦争報道が一般化した時期でもある。アンビヴァレントな感情を抱きつつも戦争関連のニュースにドキドキしたミリオタもいただろう。
  20代以下は、さすがに多くはない。ここから模型趣味に目覚める人がどのくらいいるか、その一方、現在30代以上の世代がどこまで趣味を続けられるかが、今後のモデラー人口を決める。また、50代以上もそれなりにいる(約24%)。模型雑誌の読者投稿欄や各地の模型展示会情報を見ても、古参モデラーのプレゼンスは理解できる。

  以下は、以前実施されたアンケート(※たしかこのブログでも言及したことがあった)。
  完成させた模型を、ちゃんと展示せずに放置しているのは、うん、ごく少数派(6%)だよね……。机の上に置きっぱなしだったり、書棚前面のわずかな空間に置いたりして、埃も積もるがままにしている(デリケートなので掃除が難しい)のは良くないよね。ごめんなさい。

  「キャラクター系プラモデルに求めるもの」は、1位(42%)が「オプションパーツの豊富さ」か。ちょっと驚いた。武器類やフェイスパーツがたくさん同梱されているのが嬉しいということだろうか。2位の「成形色での色分け」は22%とのこと。基本的には、無塗装できれいなプラモが欲しいというライトユーザーの声を反映しているものだろう。22%という数字が大きいのかどうかは、判断の難しいところだ。



  07/05

  ロードランナーのヘルメットを見ると、「おまえはどこの神骸魂装姫だ」と言いたくなる。
  と思ったが、見比べてみると、そんなに似てもいないか。

  ロードランナーは、ウェーブのかかった前髪と横髪が激しく干渉するので、眼鏡を着用させるのはほぼ不可能だった。無念。(前髪パーツを浮かせておけば、擬似的に眼鏡装着したような感じに見せることはできる。)
  もっとも、このキャラの場合は、本命は眼鏡ではなくて、1)頭髪塗装の実験台にすることと、2)手許に余っている矢絣袴セットをうまく着こなしてくれること、の二点を目当てにしている。

ほら、かわいいでしょ。頭髪はパテを盛って合わせ目をきれいにしている最中。今回は頭髪のみ塗装で済ませようかな。


  透明感のあるグレーをなんとか作ろうとして難渋している。そもそもグレーは濁りの色そのものなので、透明(クリア)なグレーというのはほぼ形容矛盾に等しい。スモークグレーなどをごく薄く吹いたり、グロス(ツヤ)でコーティングしたりすれば、擬似的にそれらしい彩りにすることは出来なくはないが……。


  HASEGAWAの「ミラーフィニッシュ」を適当な大きさに切り出して、クリアレッド(またはその他のクリアカラー)を吹いておくと、ちょっとしたところにいろいろ使えて便利。他のシールやテープと比べて、曲面にもきれいに貼れるし、適当に貼ってからデザインナイフで輪郭をなぞっていけば複雑な形状のところも簡単に色を乗せられるし、発色に関しても鈍めの金属色がクドすぎず地味すぎずちょうど良い。粘着力も十分だし、塗膜強度も爪楊枝でこすった程度では剥がれないので安心。ただし、伸縮性が大きい点は、慣れないとちょっと戸惑う。


  高湿の問題は、いまだにピンと来ない。この大雨の中でも吹きつけ塗装作業をしているのだけど、発色はきれいだし、色ムラやカブり(濁りや霞み)が出たことも無い。閉め切った室内はほどほどに低湿度に保たれているのか、カブりが出ているのに気づいていないのか、たまたまカブりの出にくい使い方をしているだけなのか(例えば塗料の種類や濃度)、あるいはたまたま幸運にもその現象が起きていないだけなのか、見当が付かない。カーモデルなどのデリケートな塗装をしていたら、はっかり分かる現象なのかもしれないが、濃いめの単色で平滑に塗っている程度ではあまり出ないのかも。
  デカールの上にクリアでコーティング塗装をしていた際に、吹きつけすぎて白濁してしまったことはあった。あれが一種のカブり現象だと思うが、その時は湿度のせいというよりはただ単に濃度調整の問題に起因するものだろう(※俗に「シルバリング」と呼ばれるもの)。


BANDAI製品を取り上げないままでは議論の欠落が大きすぎるので、Figure-rise Standard「人造人間18号」を作ってみて「プロポーション」記事に加筆。そしてもちろん、眼鏡を掛けさせたり矢絣袴を着せたりするのだった。ロードランナーさんは袴を脱いでのびのびしています。
今度はこのあたりを、「プロポーション」記事にちょろっと加筆(+4000字)。プロポーションの話がどんどん脇へ追いやられていって、このままだとメカ少女立体物総説になってしまいかねない。そういえば「武装神姫」には手を出していなかった。

  そんなに良くもないコンデジで、しかも撮影スペースを整備する余裕が無いせいで、机の上で適当にパシャリと撮るしかない。ピントも、質感も、ディテールも、発色も、全てがぼんやりしていて、なんともつらい写真になってしまう。私自身はきれいな実物をこの目で見ることができるから写真が不味くても構わないのだけど、閲覧者には申し訳ない。

  ロードランナーさんは、濃いめの色で頭髪の下地塗装をしたら、これだけでずいぶん美人っぷりが上がった。あまりに気持ち良い色合いで、その出来映えに十二分に満足してしまったので、頭髪の上塗りをしようという意欲がきれいさっぱり消え失せてしまった。頭髪のライン塗装の実験をするのが当初の目的だったのに……嬉しいやら、もどかしいやら、いったいどうしたものか。

  文字数をカウントしたら16000字になっていた。そんなに長々と書くほどのネタではないのに。そして、これだけ書いても、立ち入った分析が出来たわけでもないし、まとまった分類や展望を提供できたわけでもないというのが……。



  06/28

FAG「白虎」。塗装色をいろいろいじっていたら、またもや空母迷彩めいたライトグリーンになってしまった。しかも、眼鏡を掛けると、なにやらレトロな爆発系発明家キャラ(李紅蘭やルッカ)の気配がする。詳しくは「頭髪塗装」記事と「エッチング眼鏡」記事にて。
ククク……うちに来たフィギュアやキャラクタープラモは、誰しも眼鏡装着の洗礼を免れないのだ。大きく見開いたツリ目は、眼鏡の輪郭にうまく合わせるのが難しいので、あえて視線を外した角度で撮影した。オフショットっぽく見えたらいいな。
スティレットガールにも眼鏡の恩寵を。不敵顔だと、中性的な美形の雰囲気が漂う。きっとCVは田村(睦)氏で、おばかな殺し屋だな!
「V.F.G. ジークフリード」。キット同梱の顔プリントは睫毛がクドかったので、「イノセンティア Blue」のデカールにしてみたら、べっかんこうキャラのような雰囲気になった。『バイナリィ・ポット』あたり。着ているのはAZONE「1/12 矢絣袴set」。
上体をきれいに反らすことが出来るように、胴体部分は三分割構造になっている。胸部と腹部の間に筒状パーツを挟んでいるので、上半身を反らしても隙間が出ない。


  ああ、しばらく艦船模型を作っていなかったので、瓶の中の「リノリウム色」塗料が分離してプリンのようになってしまっている……。(髀肉之嘆、モデラー版)


  ジークフリードガールも早速カラバリが出るのだそうで。VOLKSのプリムラも最初からカラバリで3連発だし、KOTOBUKIYAもカラバリ率が100%を超えている。MEGAMIも、胴体部分など共通パーツが多い(※シリーズ当初からの仕様でもあろうが)。近年の美少女プラモがやたらヴァリエーション展開が多いのは、何故だろうか。ありそうな理由を想像してみるに:
  1) それは思い込みであって、それ以外のジャンルでも派生キットが多いのがむしろ普通である。BANDAIのプラモデルだけが異例に新製品が多いと言ってもいい。
  2) ロボットやスケールモデルと違って、人体としての基本的なプロポーションは同じなので、別のキャラにも使い回しが利く(※特にFAGシリーズやMEGAMIシリーズの胴体部分など)。
  3) まだまだ新開拓の市場であり、売れ行きがまだ小さい、あるいは不透明である。それゆえ、新規開発の負担(コストとリスク)が大きい。かといって、商品を切らして市場を冷ましてしまうのも不味い。だから既存製品のヴァリエーション展開を続けながら、売れ行きが見込めるペースで新開発を行っている。メーカー側の事情としては、こんな考慮があったりするかもしれない。
  4) 既存の模型趣味人口よりも、美少女立体物に惹かれて購入するユーザーが多く、ユーザーの平均的な制作技術があまり高くないのかもしれない(※例えば、塗装環境を持っていないユーザーが多いかもしれない)。それゆえ、少ない種類のキットを供給し続けるよりも、さまざまな髪型やカラーリングのヴァリエーションキットを提供するのは、ユーザーに喜ばれているかもしれない。
  5) 美少女キットは顔立ちの魅力や頭髪の個性が重要なので、そこを変えるだけでも、商品の独自性における劇的な変化が生じる。けっして小手先の誤魔化しではなく、たしかに意義のある商品展開なのだ、ということかもしれない。
  6) カラバリや派生キットは、さして重要ではない。それよりも、それなりに定期的に新規キット(新規デザインのキット)がちゃんとリリースされているかどうかが重要であり、その点では現在の日本の美少女プラモ界隈はおおむね健全な状態にあると言える。
  さしあたり想像できる事情は、このあたりだろうか。


  エッチング眼鏡のストックが尽きたので、また日本橋で買ってこなければ……。
  フィギュアを買えば眼鏡を掛けさせたくなるし、眼鏡を買えばまたその分フィギュアが欲しくなる。同様に、キャラクタープラモを作れば眼鏡や衣服を買ってあげたくなるし、衣服が余ればまたその分のプラモを買ってみたくなる。この循環はどうやったら終わるのだろうか。


  FAG白虎さんが最も眼鏡が似合う、もとい、最も可愛い、いや、最も眼鏡が似合うと思う。ツリ目の大きさが眼鏡の縁取りに負けていないし、正面をしっかり見据える視線の力強さが眼鏡によってさらに引き立たせられている。ゴツめの全身武装やヘルメットとの取り合わせも、理系知性派風の雰囲気をクリアカットに作り上げている。イノセンティアのおすまし眼鏡もジークフリードガールのおっとり眼鏡も真島百由さんの正統派眼鏡もそれぞれ良いものだけど、相性という点では白虎が図抜けている。たいへん魅力的で、ずっと机上にいてもらいたいと思う。



  06/24

  【 FAG白虎(BAIHU)の塗装プラン 】
  今回は設定画から自由に作るつもりだが、キットパーツから設定画(または完成見本)のようにするための塗装ポイントをメモしておく。

- 頭髪:グラデーション塗装
- ヘルメット側面のダクトフィン部分(E16、E21):ライトグレー。※ABS製注意
- 両肩外装パーツ(C25、C28):背中側の先端をライトグレー
- バスト下(E22):両脇をブルーに。※ABS製注意
- 前腕の先端(手先側、C14、C15、C32、C33):ライトグレー
- 手先(計10個):掌はグレー、指先は肌色。※PVC製パーツ
- 足の甲(I3、計2個):ライトグレー
- ソード(D27):刀身部分をダークグレー
- 各部のスミ入れ。特に腰部側面の「○」状モールドは、完全見本でも黒々と塗られている。

  ライフルやキャノンの銃口部:設定画と完成見本とで塗り分けが異なっている。設定画では、銃口の下部のみがライトグレーになっている。完成見本では、銃口付近が広くライトグレーに塗られている。本家FA版では、完成見本と同じ配色。いずれにしても、銃口内部はオレンジ色
  上腕の排気口のような円形部分は、設定画ではホワイトのままだが、完成見本はグレーに塗り分けられている。本家FA版では、 設定画と完成見本の両方ともグレーに塗り分けられているので、デザイナーの構想としては腹部はグレーだと見るのが妥当だろう。
  胴体正面(C26)は、設定画ではライトグレーになっているようだ。しかし完成見本では、ホワイトのままになっている。こちらも、本家FA版では、設定画と完成見本のどちらもグレーで塗り分けられている。
  設定画では、ヘルメットなどにコーションマークのようなものが多数描き込まれている。適当なエアクラフトキットからデカールを流用して貼れば、それらしくなるかも。

  構想。インストでは、ホワイト部分はホワイト(90%)+タン(7%)+カーキ(3%)となっているが、完成見本の写真を見るかぎりでは、濁った色合いで、あまりきれいではない。ウォッシングすることを前提に、ベース塗装はシンプルなホワイトで塗ってしまってもよいかもしれない。あるいは、設定画の雰囲気に近づけようとするならば、ホワイトにクリアブルーとクリアイエローを微量混ぜるといったような感じでも。
  各部のグレーは、やりすぎるとうるさくなってしまうかも。BANDAIのReal Gradeの轍を踏むのは避けたい。しかし、塗り分けをするならば、完成見本のような微妙すぎる色違いではなく、もっとはっきりと別色に塗装したい。
  リボンなどのブルーも、このカラーリングだと埋もれてしまいやすい。せっかくのアイキャッチ部分なので、もう少し目立つような色にしたい。
  顔。設定画では、両目がクリっと丸くて可愛らしいのだが、キットのプリントでは目の上端ラインが直線的で、可愛げに欠ける。正面顔と右向き顔の区別も分かりにくいし、フェイスパーツに関しては製作側の失敗だと思う。シリーズの他のキットとの間で、おおまかに互換性があるから、適当に差し替えることも可能だけど。

  全体の雰囲気はけっして嫌いではないけれど、あまりよろしくない部分も多い。
- 可動範囲がやや狭い。特に肩は、まっすぐ差し込んでいるだけで前後動が出来ない。胸部と腹部もすぐに外れる。武装状態だと、首もほとんど動かせない。
- ディテールは、太腿前面だけがやたらと細かく(スミ入れするとさらに目立つ)、そのすぐ下(脛)はただの真っ平になっているといったように、バランスが良くない。肩くらいのはっきりしたデザインが満遍なく備わっていればよかったのだが。
- ツインテールがヘルメットを突き破って出てきているのは、さすがに珍妙すぎる。しかも、ツインテールが肩に干渉する(※スティレットガールやイノセンティアは、後頭部で結っているので肩には当たらない)。
- 胸部や太腿に人肌パーツを露出させておきながら、足首は完全にメカ造形(※スティレットガールやアーキテクトガールと同じ趣向)。特に設定画の腰回りに顕著なように、せっかく肉付きの良いキャラクターなのだから、足下までちゃんと人間らしくしておけば、FAの「ガール」化(擬人化)としての個性が際立たせられたと思うのだが。
- 太腿パーツは、股間部分が抉れている。おそらく、直立させられるようにとの配慮だろう。しかし、そのせいで脚部全体がやけにほっそりした印象になってしまい、設定画のむっちりしたボリューム感が失われてしまっている。もったいない。
- FAGシリーズの他のキットとの互換性がやや乏しい。顔面パーツも基本的には互換可能だがヘルメット装着状態では互換困難とのこと。差し替え用の太腿パーツも同梱されてはいるのだが。
- せっかくのリボンが、太腿側面に付いてしまっているので、目立たない。
- 顔面パーツのプリントがあまり可愛くない(上記)。


  というわけで新記事:「キャラクタープラモの頭髪塗装の実験」。

  もうちょっとこのアプローチを試してみたい気分。
1) もう一度「白虎」ガールを、別の頭髪色でリトライするか。ボディ塗装の腹案もあるので、キットの構造を頭に入れたうえで効率的に再制作できるが、ただし、同一のキットを連続で作るのはいささか不毛かもしれない。
2) 「ロードランナー」あたりで試してみるか。これならば、胴体部分は無塗装のまま、頭髪のみに集中するお手軽な塗装実験になる。ただし、入手できるか分からないし、定価それ自体も割高感があるし、どうせMEGAMI素体の部分は、繰り返し作ってもそれほど面白いわけではない。
3) 思い切って「ジークフリード」ガールにチャレンジするか。青髪での多色塗装の挑戦になるのは善し悪しだ。さすがに青髪では、参考資料(現実の写真とか)がほぼ皆無だし、カラーリングをうまくコントロールできる自信が無い。
  ……うーむ。白虎リトライに関しては他日を期すとして、ロードランナーでもう一度、頭髪塗装実験をしておこうかな。それでうまくいきそうならば、ジークフリードガールにも応用してみよう。

  というわけで、ジークフリードガールに続いてロードランナーも買ってきた(結局それかよ)。ああ、このパーツ密度ならば、けっして割高ではない。十分納得のいく価格だと思える。

FAG「白虎」。設定画では、ヘルメットなど各所にコーションマークのような文字が書き込まれている。既存航空機プラモデルのデカールを適当に流用して、おおまかに再現してみた(※「ガンダムデカール」などでもよい)。悪くはないが、小うるさい感じになってしまったかも。
デカールを貼付したのは、左記写真の水色で囲った場所。チンガード(顎下装甲)の各所、両肩の装甲、胸下装甲、腹部中央。1/72トムキャットのデカールを使ったので、よく見るとミサイルの名前などになっている。文字は判読できなくてもよいが、文字列の水平と左右対称には気を遣う必要がある。
設定画では、両脛にもなにかしら文字が書かれているように見える。脛前面はディテールが無くてのっぺりしているので、ここに多少なりとも埋め草的ディテールを入れられるのは良いかも。

  白虎ガールは、全体にクールホワイトを吹いた後で、その上からクリアイエロー&クリアブルーを(あえてムラが出るように)塗っている。もう少し薄く、ブルー寄りにしたら、パッケージアートのような色になったかもしれない。



  06/14

  2個も作ってしまったので単独記事化:「Bf109 E-4とJu87 B-2(『終末のイゼッタ』版)」。
  実に良いアニメでした。

  写真は、角度や距離によって対象の形状が異なって写る。例えば下記の2枚でも、左右の主翼の長さなどがずいぶん違って見えてしまう(迷彩模様に注目して見るとよい)。しかもこの写真の場合は、逆ガル翼のために先端部が上向きになっているのも、錯覚を強化しているだろう。

Ju87 B-2の全体像(その1)。
Ju87 B-2の全体像(2枚目)。主翼は左右の長さが違って見える。とりわけ右翼(画面左上側)が引き伸ばされたように見えるし、逆ガル造形が見て取れなくなっている。その一方、左翼は不格好に縮んで見える。さらに、二つの写真を行き来すると、かなり不思議な変化が現れる。


  エアクラフト模型は難しい。
  1) まずパーツの擦り合わせに気を遣う。縮尺が大きいので、パーツ間の隙間があると非常に見苦しいし、平面(しかも曲面)部分が多いので、きれいに擦り合わせをするのが難しい。艦船模型であれば、パーツの合わせ目処理はあまり要らないし、AFVであれば合わせ目の多くは直線的なので処理もそれほど難しくない。
  2) 構造上かなりデリケートなので、位置固定がしづらい。主翼や尾翼を、「隙間が出ないように」、「しっかりと固定し」、「上下の傾きが出ないように」接着固定するのは、かなり気を遣う。それでいて、わりと古めのキットも現役で市販されており、合わせ目がズレたていりディテールが甘かったりバリが多かったりするので、無策では取り組めないことも間々ある。
  3) 大小さまざまな出っ張りパーツ(主翼から機銃まで)がたくさんあるので、マスキングも大変だし、取り回しも危なっかしい。艦船模型のように台座を手で持つということが出来ないから、完成させるまでずっと神経を使う。
  4) 塗装も難しい。フラットな面を塗装するのはごまかしが利かないし、しかも迷彩パターンはAFVよりも複雑精妙なものが多い。繊細な溝彫りもあり、仕上げまで気を抜けない。

  AFVのウェザリングテクニックのような特別に高度な特殊技術が要求されるというほどではないし、艦船模型のように極端な細密工作や莫大な作業量が要求されるというわけではないし、架空ロボット模型のように大胆な改修工作やカラーリングセンスが出来映えに影響するということも無い。しかしながら、基礎的な制作技術を横着せずに正確に作業していくことが必要になる――そうすることで完成度を上げていく――という、正統派のクオリティアップが正面から問われる。金や時間やセンスでは解決できない、技術的な誠実さが求められるという意味で、最もストイックな模型分野だと言ってよいかもしれない。私には難しすぎる。

  それに対して艦船模型の長所は、私個人に関して言えば、技術と時間を金で買えるという点にある。私の模型趣味はあくまで余技なので、あまり時間は掛けられないし、細かな作り込みを続けることも難しい。現代の艦船模型であれば、キット単体でもかなり充実したディテールが得られるし、さらに2000円かそこらのエッチングセットを買って使用すれば相当の部分がカヴァーできる。その意味では、比較的楽な趣味になっている。


  しかし、ディスプレイできる場所がもう無いわけだが……。いっそ空母模型の上にでも置いてやろうかしらん。航空機模型(やAFV)と艦船模型とでは、1/72→1/700、1/48→1/450(HASEGAWA信濃など)、1/32→1/350あたりで組み合わせると、ほぼ10倍のスケール差になる。


  接着しにくい細かなパーツがたくさんあるし、手に取って持ちにくいし(パーツがポロポロ取れるし台座も付けられない)、尾翼の水平出しのようにデリケートな扱いの求められるところもあるし、完成後も置いておくのが大変だし、キャノピーのマスキングも気を遣うし、航空機模型はかなりフラストレーションが溜まる。
  もっとも、出来上がりを見ると、ディテールをじっくり眺めて楽しむことができるし、形状もそれぞれに面白いし、見る角度によって趣が様々に変化するし、スケールが大きい(しかも人が着座するコクピットがはっきり見える)のでリアリティも強く感じられるのだけど……それでも、楽しさとフラストレーションを天秤に掛けると、様々な苛立ちによるネガティヴな影響の方が大きくて辛い。


  うわあ……地震で落下崩壊したプラモの残骸写真は、私自身モデラーの端くれとして活動しているだけに、そのつらさが身につまされる……。なんといたましい……。



  06/05

  「FAグライフェン制作メモ」。表面を塗っただけであっさりとした制作。


まるで血液のように見えるが、しかして実はただの赤色塗料の瓶。


  1/12くらいの小サイズ(=安価)のドールであれば、衣服から素体への色移りはあまり気にしなくてもいいんじゃないかな……。
  1) 小さすぎるので、頻繁な着せ替えはしにくい。特定の衣服を着せっぱなしでもよい。
  2) 見映えのよくない状態になってしまっても、気軽に素体を買い換えられる。安価なので。
  3) それどころか、衣服の数だけ素体を用意するのでも構わない。
  4) 露出の少ない衣服や、下着の色移りなどであれば、問題にならない。
  5) 小サイズなので、わずかな色移りくらいならば目立たない。


  隣接ジャンルの模型を作る経験も、大きな糧になる。ふだんは使わないテクニックを実践することで、「この技法にはこんな側面もあるのか」、「このテクニックを使うと、なるほどこんな表現効果が現れるのか。web上の写真だけでは分からなかった」、「わざわざこの工程を踏むことには、こんな意義があったのか」、「このアプローチを応用したら、あれをもっと効率的に塗装できるかも」、「難しいけれど、私のスキルでもこのくらいまでは実現できるのか。ならば他にも挑戦してみよう」といったような、多くの経験情報が得られる。もちろん、ひととおりのノウハウは予習したうえでのことだが、事前の枠組的知識と作業時の実践的知識を突き合わせることで、知識に深みと厚みと広がりと確かさがもたらされる。



  05/14

  グライフェンガール、案外早く発売されるのかな。できれば一台(一人?)はイエローに塗ってパワーローダーっぽくしてみたい。そしてエイリアンと対峙させるんだ。作業機萌え。キャラ部分も、戦ったり格好をつけたりする近未来的ロボキャラというよりは、黄昏の遠未来で人生をのんびり楽しんでいそうなユーモラスな雰囲気がありそうだ。セーラー水着で、露出が比較的少ない(?)のも好印象。欲を言えば、帽子のデザインはもうちょっと手を掛けても良かったのではないかと思う。いっそ水兵帽にしてしまうとか。目の表情は、以前の見本写真ではもっとクリッとした感じだったと思うが、最近のHSの見本では無難な方向になっているようだ。
  発売時期は秋以降だろうか。さすがに年内には出ると思うけど。価格は、フレズヴェルクガール並(6000円台後半)になりそう。完全新規造形で、ボリュームもかなりあるようだから、7000円台でも驚かない。割引込みで実売6000円台なら、納得できるくらいの規模だろう。10月発売で6400円とのこと。予想よりもリーズナブルなくらい。
  ギミックは、キャラ部分を除外してメカ部分だけでも、それっぽいロボットの形を一つ作れるということかな。写真を見るかぎりでは、ダチョウのような二本足の乗り物になるようだ。トリウマやチョコボみたいな感じかな。
  ともあれ、最近のKOTOBUKIYA製品はあまり好みでないものが多かったが、これは買おう。
    ↓
  グライフェンガールの製品情報ページが公開。ああ、可愛い。

  あー、そうか、バルキリーガールといい、これといい、キャラが乗り物に乗っている(跨がったり馬乗りになったりしている)のが面白いんだ。メカの上に腰を下ろしたり、手綱を握ったりしているような、人間的な動きを感じさせる組み合わせは、装着とか一体化よりもむしろはるかに強烈に、身体的接触や身体的操作感を意識させる。そういう、生身でドライヴしている感じが、とても刺激的に見えるんだ。

  水中(海底)作業用の重機メカとのことだから、水濡れエフェクトを掛けても面白いかもしれない。ちょうど水から揚がって、もとい上がってきた時のような感じでバシャっと。
  ただし、ジェルだと耐久性や汚損の危険が大きいし、クリアパーツを散らすのは大変だし、塗装で水塗れ効果を出すのは少々難しい。セメダインなどの接着剤を使ったら、リカバリーがきわめて難しくなる。AFVなどのオーソドックスなスケモ流テクニックとしては、水性(アクリル)のクリア塗料でまだらにコーティングして、濡れたようなツヤを出すものらしい。大きな水面の表現だと、艦船ジオラマにもあるように、クリアレジンが使える筈。
  なお、本家FAが1/100設定なのに対して、ガール版はノンスケールとのことだから、スケール感のチューニングをあまり気にしなくてもよいのは助かる。


  メガミデバイスのような世界設定だと、キャラクターは機能性重視でデザインされている筈であり、戦闘なら戦闘のために無駄になるものは付いてこない筈だ。それでは、たとえば、何故あんなロングヘアになっているのか。放熱のため? それとも、商業競技ゆえの事情(妨げにならない範囲でのデコレーション)だろうか?
  あるいは、あの巨大なバストはどうだろうか。内部に弾薬や燃料を仕込んでいるとか、装甲であるとか、出場条件を揃えるためのルール上の重りであるとか、何かしらのエクスキューズが備わっているのでなければ、単なるデッドウェイトになってしまう。平たいは正義、とまでは言わないにしても、豊満すぎるデザインにはどうもモヤモヤする。
  あるいは、「模型(何かを模した型)」としての意味づけから離れて、ただひたすら可愛らしい立体物としての見映えを追求しているのだというのであれば、それはそれではっきりした定見のあるアプローチだと言える。私自身は、この立場に立ちたい。


  筆塗りとエアブラシ塗装とでは、シンナー吸引量はどちらが多くなるのだろうか。エアブラシを選択する理由の一つもこの点にある。排気ファンを回しているとしても、エアブラシの方が噴霧シンナーの濃度は高いかもしれないが、その一方で、筆塗りの方が、高濃度のシンナー&溶剤に顔を近づけているし、塗装作業に掛かる時間も筆塗りの方がかなり長くなる。そうした点を勘案すると、エアブラシを使って短時間で塗装する方が、総量としてのシンナー吸引は少なくなるのではないかと考えている。


  アルティメットニッパーは、切れ味の良さという観点でいえば、たしかに艦船模型などの超精密なパーツをきれいに切り出すことができる。極小パーツも、切断の衝撃で歪めたり撥ね飛ばしたりすることがかぎりなく少ない。しかし、刃先が短くて太いので、狭いランナーに刃先を差し込んでゲートカットするのがやりにくい場合がある。また、片刃式なので、切断しやすい向きや角度が限定される。その意味では、ゲートカット専用の刃先の尖ったニッパーを使う方がよいという場合もある。切れ味が中の上くらいでも、刃先の形状が適している方が扱いやすく、結果的にミスをしにくくなるということはある。道具は目的次第、用途次第、使い方次第だ。


  ああ、そうか、表情が気に入らないなら、顔面パーツを交換してしまえばいいのか。そのことに気づいたら、バルキリーガールを作る意欲が増してきた。ロボット(の模型)であれば、頭部を含めた全体が統一的なデザインとして捉えられねばならないが、メカ少女プラモの人間風の顔面を取り替えるくらいであれば、デザインの意味を破壊せずに済む可能性は高い。



  05/07

  他のキャラクタープラモも買ってみよう、ということで「Figure-rise Standard」シリーズの新作「ピッコロ」を作ってみた。近年のメカ少女プラモと比べると、BANDAI製、男性(?)キャラ、異種族、非メカものということで、かなりキットの設計も違っていて面白かった。筋肉隆々のキャラクターなので、どこをどう動かしても、そしてどの角度から見ても、ちゃんと格好がついて、見応えがある。着衣状態なので、可動機構も個性的。BANDAIのキットは、とにかくキャラクターの顔に魅力が無いのが致命的だが、今回のは鳥山キャラ+異種族のおかげもあって、わりと見られるレベルに出来ているように見受けられる。このキャラクターのことはよく知らないけど。
  ちなみに、BANDAI製品では「Figure-rise Bust」シリーズもいくつか作ったことがあるが、あちらは完全固定ポーズの胸像モデル。

  無塗装のパチ組みだと、制作時間は1時間少々。足首の素肌部分(グリーンとピンクの模様)と、開いた口の中の舌(紫色)のみがシールを使っている。目の黒い部分も、パーツ分けで再現されている。

  それにしても、剥き出しの筋肉のようなピンク色に、筋の浮いた緑色の体色、そして青紫の衣服と、カラーリングはかなり個性的だ。

  高さは約18cm。設定身長は226cmであるらしいから、スケールは1/12.6、つまり標準的な1/12スケールのドールやフィギュアと並べることができる。
  ただし、縮尺が合っているのは、単なる偶然だろう。BANDAIが『DRAGON BALL』キットを、あえて1/12ドールと並べるように想定して設計する必要は無いので。おそらくは、BANDAIが独自にこのシリーズを、「コスト面」「組み立てのしやすさ」「関節などの強度確保」「パーツ分割の必要性」「完成時の見映え」「シリーズ全体としての考慮(小柄キャラや大柄キャラも含めて)」などを考慮したうえで、サイズを決定しているだろう。それがたまたま1/12に近い寸法に収まったということではなかろうか。これよりも大きくすると、コストが上がって不利になるし、あまり小さくすると、各部の強度が落ちるし、内部のギミック等を組み込みにくくなる(色分けも難しくなっていく)し、子供や素人には組み立てにくくなる。また、海外での販売も想定しているだろうから、各国の法令上の安全基準等も考慮していると思われる。

「Figure-rise Standard」シリーズの「ピッコロ」。肩関節はこのように引き出せる。脇の下(腕側パーツ)が斜めに削られているが、この角度のおかげで腕を身体の前に回しやすくなっている。おそらく腕組みなどのポージングを念頭に置いた設計。
肘関節は、引き出し式になっており、90度以上曲げられる。カラフルな腕の模様も、成形色とパーツ分けで完全に再現されている。左記写真は無塗装のパチ組みだが、色分けも十分だし、プラの成形色もツヤ消し気味になっている。
股関節は、多重ジョイント機構で、抜群の可動範囲を持つ。膝関節も、このように柔軟な可動がある。胴体部分は、胸部パーツと腹部パーツに分かれており、そこで前後屈曲と回転可動ができる。
四肢の可動範囲見本。珍妙なポーズを取らせてしまい、申し訳ない。ダボダボの服をそのままプラスチックで造形しているので、さすがに被服の柔らかな質感を表現するのは難しい。
全身写真。ゆったりとしたマントパーツも同梱されている。別のフィギュアに流用してやろうという邪心もあったのだが、このサイズだと1/12スケールのプラモ/ドールには大きすぎるし、20cm級フィギュアも腕や長髪が干渉するのでマントを着せるのは難しい。マント自体の縦の長さは、13.5cm程度。
一般的な20cm級フィギュア(左:千石撫子)および一般的な1/12ドール(右:真島百由)とのサイズ比較。籤やゲームセンターのプライズフィギュアよりは、頭一つ小さい。1/12スケールのドール等とは、設定上はおおむね同じスケールだが、かなり大柄になる。写真右のドールも、1/12女性型ドールとしては、これでも大きめの部類。
同じくBANDAI製のロボットプラモとのサイズ比較。右のMGシリーズのキット(ザクF-II)とは、ほぼ同じ高さ。中央のHGUCシリーズのキット(ザクF-II)とは、比較にならない。
頭部は、「剥き出し(閉口/開口)」と「ターバン姿」(上記)の差分パーツが用意されている。鋭いツリ目に、二本の触覚、そしてグリーンの体色と、いかにも悪魔的な風貌をしている。元々が鋭い目つきなので、こうして口を開くだけで表情が激変する。ニコチャン大王。
せっかくだから、眼鏡を掛けてもらう。前髪や横髪で眼鏡を留めることができないので、眉間のあたりにエッチング眼鏡を乗せてみただけだが。ツリ目キャラなど、目の角度が水平でないものは、眼鏡が似合うようにするのは難しい。
うちにあるフィギュアの中で、唯一このマントを着られたのが、このフィギュア(籤プライズの「一番くじ ヱヴァンゲリヲン新劇場版 セカンドインパクト A賞」)。見ようによってはエヴァ量産型っぽくもあり、なんだか不吉な印象に……。



  余剰プラパーツは、もう思い切って捨ててしまうことにした。しかし、エッチングパーツの使い残しは、まだ取っておく。理由は:
  1) エッチングは金属板なので、たくさんストックしても嵩張らない。
  2) 機銃セットのような細かな分売が無い(そのため、後から調達しようとすると高くつく)。
  3) 商品単品でも比較的高額であり、しかも量産に向かないので品切れしやすい。
  4) 一枚のプレートに多種多様なパーツが含まれているので、それなりに使い回しが利く。
  5) プラパーツや自作では再現できないようなハイクオリティ(精密)なパーツである。


  やっぱりバルキリーガールは可愛くない……。もっとマシなイラストレーターにすればいいのに。例えばメカ部分とキャラ部分を別のデザイナーに分業してもよかっただろうし。


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  私も以前から考えていた点だったので、この一連の議論はたいへん啓発的だった。
  この種のモールドは、機能的に言えば、パネルラインや段差部分の簡略化された表現なのだろうと考えていた。あるいは、ものによってはネジ穴や、いわゆるマルイチモールドの簡略化された表現かもしれない。センサーが入っているという可能性も考えたが、それにしても位置がおかしいように思える。
  美的な観点では、大きな面に小さなモールドを入れることで、逆説的に全体を大きく感じさせるという巨大感表現としての側面もあるだろう。ただし、架空ロボットのデザインとしては、なんらかの機能性が認識できるようでなければ、恣意的に貼り付けられた単なる誤魔化しの「埋め草」になってしまう。例えば、MG版ガンダムMk-II(Ver. 2.0)のそれは、こういう意味不明なモールドが各部にベタベタ打ち込まれていて、忌憚なく言えばたいへん見苦しかった。

MG版「ガンダム Mk-II ver. 2.0」。両肩は、角張った部分を示すように小さなラインモールドが入っている。多角形の造形を強調するためであろうか。袴、つまり股間部前面の装甲にも、多数のモールドが入っているが、個人的には無くもがなのうるさい加筆だと感じる。下縁部の台形モールドは、多重装甲らしい雰囲気を漂わせている。
脚部はさらに執拗にモールドが入っている。模型としていえば、一応は面取りを強調しているように見えるが、中途半端なしかたで切れているので、どうにも説得力に欠ける。また、縦のラインで見ても、縁取りのようにも見えない妙なところにモールドがある。かえって強度を損なうのではないかという箇所にもある。

  そもそも私は、このモールドが「デザイン的に気持ちいい」という感性はまったく持ち合わせていないので、上で議論されている方々とは評価の前提が異なっている。基本的には、あまり洗練されない小手先の誤魔化しか、無反省な因習的表現(クリシェ)ではないかと疑っている。私はアニメ視聴者というよりはモデラーなのだが、ロボット模型の意味不明な(私自身が納得できない)モールドは、できれば全部埋めてしまいたいと思っている。

  上の議論の中では、さまざまな意見(解釈)が提起されている。工学的な理由付けとしては、1)強度確保のための凹凸であるとか、2)破断予定ラインであるとか、あるいは3)スタック(積み重ね)の時の引っかかりや、吊り下げ用の引っかかり、4)目印用のマーキング、5)パネルオープン用のラッチ、6)空気抵抗を減らすためのディンプル加工(にしては少なすぎるが)、7)温度差による膨張収縮を吸収するための造形、といった説が出されている。それぞれに説得力のあるアイデアであり、実際の架空メカデザインの中でこれらのようななんらかの説明が当てはまるようなものになっていれば十分だと思う。8)設定画段階で形状把握(立体把握)を確実なものにするためという説明もあったが、それなら完成段階では消されるように指示してほしいと思う。

  プラモデルとしても、あるいはアニメの表現としても、のっぺりした面が退屈に見えるとか、すっきりしすぎているとメカっぽさが感じ取りにくいとかいった事情はあるだろう。それを解決するための、簡便な表現文法として、小さなラインモールドが発案され流行し定着したというのは、それはそれとして理解できる。しかし、それは前提としてあって構わないけれど、個々のメカデザインをする段階では、その都度なにかしらの意味を考えて作ってほしい。上の写真のような妙なブツブツは、好きになれない。

  そもそも「情報量」を増すという発想が、私は好きではない。加算すればするだけ良いものになるというものではない。そこには「質」の観点が、「洗練」の意識が伴われていなければ、全体として良いデザインにはならないだろう。


  (→9月~1~4月