2013/10/27

趣味の悪いCGワーク

  ClochetteのCGワークの問題。


 ClochetteのCGチームは、仕事量は頑張っているとは思うけれど、しかしながら、上手い(センスがある)とはまったく思えないんだよね……。背景部分や小物を細かく描き込みゴテゴテと塗り込んではいるのだが、その絵の目的や画面全体のバランスがまるで考慮されていないようで、背景のどうでもいい小物が不自然にも悪目立ちしてしまったり、特に裸体シーンでは人物部分と背景部分とのアンバランスさが際立ってしまったりする。人物部分(特に顔面や指先の造形)の漫画的デフォルメの利いた画風も、そのギャップに拍車を掛けている。

  例えば、新作のこのサンプルCG[ clochette-soft.jp/sakigake/img/galley_ev02.jpg ](※urlはアダルト注意)も、背景のレイアウトが情景をあまり上手く表していない(シチュエーションを表現する土台となるには力不足であり、それゆえ過度に強調してもしようがない)にもかかわらず、右側のオレンジ色(!)の小石群が妙に細かく鮮やかに描かれており、不自然に目を引きつけてしまう。左側の背景に掛かっている光源表現もかなり意味不明。そして、本来ハイライトされるべき筈の、画面中央の女性人体――「持ち上げられた両胸が痛そう」という感想はさて措くとしても――や左側の男性人体の薄い塗りが完全に負けてしまっている。人体部分には、木陰とおぼしき不規則な陰影が掛かっているのだが、それも中途半端なおかげでほとんど無意味な描き込みになってしまっている(――あるいは人体の艶や張りといった見栄えを減殺しているという点ではむしろマイナスですらある)。

  一つの前のタイトルのサンプルCG[ clochette-soft.jp/pricolle/images/gallery07.jpg ]もひどい。塗りのくどさもあるが、そもそも白い花を中央に置いているにもかかわらず(何故か?)逆光にしたおかげで、この小物の輪郭がぼやけたものになり、全体の印象も非常に鈍いものになってしまっている。生けられた花々のひどい散らかりようについては脚本上/演出上の意図があったかもしれないし、和服の柄については望むべくもない(その道の専門家ではないのだし、オーセンティックなデザインの水準を要求するのは過当だろう)としても、いずれにせよこのセンスのCGを称賛する人と仲良くしようとは思えない。

  このブランドは色彩設計も構図設計も致命的で、以前から色選択が非常に安っぽかったが、最近はそれが輪を掛けてギトギトの悪趣味になってきている。前作の紅色制服(プラス黒黄の縁取り)は、いったい誰があんな色に決めて、そしてディレクターはいったいどういう判断でそれを通したのか、正気を疑うレベルだった。とても白箱系メジャーブランドの仕事とは思えないデザインだった(※――同じく赤系制服でも、例えば他社の『かしましコミュニケーション』は、シックな臙脂色にして、しかも胸元には白と薄黄を配して清潔感を出している。BISHOPも趣味の良いブランドではないが、それでも『放課後』『おっぱいハート』『学園2』の蘇峰色制服の方がまだましに見える。『星空のメモリア』の冬服も、もっと落ち着いた色合いだった)。

  他のブランドだと、keyの背景美術にもわりとそういう駄目駄目な傾向がある。「金は掛けているがセンスが無い」というのは一番見苦しい。

  ※[tw: 56233311277813760 , 56235490847895553 ]:以前もこんなことを書いていた。