2013/10/07

緑色の制服、緑色の髪

  緑色制服と緑髪キャラについてのとりとめのない雑感。


  購入計画メモでも言及したが、来月のだんでらいおん新作のビリジアン制服はかなり目を引く。緑色制服というのは学園ものPCゲームでは(そしてもちろん現実でも)かなり珍しい。これより前にあった緑系制服のタイトルというと、さしあたり思い出せる範囲では『MapleColors』(ペパーミントグリーンの上着にクロムグリーンのベストを着る)、『CloverHeart's』(オリーブグリーンのワンピース)、『PARA-SOL』(紺色上着にターコイズグリーン基調のチェック柄スカート)、『終ノ空』(リーフグリーン&ビリジアン)、『とっぱら』(アイスグリーン)、『僕が天使になった理由』(スカート等がビリヤードグリーン)くらいだろうか。未購入だが『Master×Re:master』もそうだったし、『ねこ☆こい』も緑-白の制服だった。『晴れときどきお天気雨』は、緑というよりは青か。『Clover Point』のリボンや『Worlds and World’s end』の若草色スカーフのようなワンポイントでの使用もある。

  もちろん緑色イコール安っぽいというわけではなくて、例えば『Garden』のようにインターフェイスデザインからイベントCGの色彩設計に至るまでの全てを透明感のある若葉色で彩ってみせた例なども存在する……と書きかけてみたものの、それはごくおおまかな印象として残っているだけで、具体的にどんなデザインだったかはすっかり忘れてしまったが(――手許に残るわずかな記録として、演出論Ⅳ-4-3-γにスクリーンショットを掲載していた)。


  今すぐに数字を出せるわけではないが、緑髪キャラもずいぶん減っているのではなかろうか。緑髪の人気キャラというと魔想さん、マルチ、笹桐月菜、沙耶、グラニテ、レムティアシータあたりからこの方、進展に乏しいように思われる(cf. [ twilog.org/cactus4554/date-110404 ])。『ましろ色~』はアンジェはどのくらい人気だったのだろうか。
  (※――余談になるが、近年では緑髪メイドが増えているように思われる。例えば『君を仰ぎ~』のメイドも『ガンナイト~』のメイドも、『77』のメイドロボも、『のーぶる~』も『コンチェルト~』も『ナツユメ』も『D.C.III』も『ヨメ充!』も緑髪。悪名高い『痕』リメイク版のメイドも。『しりこん☆まじっく』の4人のメイドの中にも緑髪がいる。『end sleep』も緑っぽい色調。遡れば『Rance』シリーズの侍女マリスや『ToHeart』のマルチもいたが。そうしたくなるような事情が何かあるのだろうか? 「教師キャラ=冷静/年上=落ち着いた色=緑色」と同じように、地位や性格からの連想で、「メイド=従順=黒髪→少し明るい色にして緑髪」といった感じなのだろうか)。


  そうした中でも、ソフトハウスキャラ(最近では「キュリハ」「リーフ」「ウルティニア」など)を初めとしてninetail、Escu:de、Eushully、alicesoftといったSLG系ブランドは継続的に何人もの緑髪キャラを堂々と出してくれている。この現象は、1)部分的には登場キャラクターの総数自体が大きくなるSLGの特質にも由来し、2)また部分的にはキャラデザセンスの占める重要度が恋愛AVGなどに比べれば相対的に低いがゆえに許されているor為されていることでもあろう(実際に、同じSLG系ブランドでも、山本和枝氏の率いるでぼの巣製作所の作品には緑髪キャラはほとんどいない)し、3)さらにファンタジー世界設定のタイトルが多くなりがちだという事情も考えられるし、そして4)恋愛AVGのような「ヒロイン」の固定的な役割に縛られないSLGブランドならではの自由さの賜物でもあろう。

  個人的には、上記の緑髪キャラたちのほかに『えむぴぃ』の焔雪音、『蒼海のヴァルキュリア』のドク姉妹、『碧ヶ淵』のなずなとかも好きだったが、緑髪があまり採用されていない理由は、もしかしたら緑色は(日本人にとっては、おそらく「未熟さ」を象徴する色であるがゆえに)性的興奮に結びつきにくい色なのかもしれない。

  そうした中で、Whirlpoolは異例の存在だと言っていいだろう。『MagusTale』のサブキャラ「セシル」以来、『77』の「ステラ」、『涼風のメルト』の「榎本佳華」、『Justy×Nasty』の「加賀美響」、そして12月の新作『まじかりっく⇔スカイハイ』の「シャルルル」に至るまで、主要キャラクター(ヒロイン級を含む)に緑髪キャラクターをくりかえし登場させている(――なお、緑髪キャラがいなくとも、『竜翼のメロディア』のサイトデザインのように作品全体がグリーンの色調に貫かれているというタイトルもある。上述のとおり、『ねこ☆こい』は制服デザインに緑色を取り入れている)。それはおそらくこのブランドのグラフィックチームの意識的な選択であり、そしてこのブランドの美的センスがいかにズレているかを示す事実でもあるだろう。周囲(多数派)との間にズレがあることは、創作においても商業的側面においてもけっして悪いことではないが。