オタク寄りの視点から、関西の見どころを簡単に紹介する。便宜的に大阪を起点として。
(※観光地は人出も多く、感染症のリスクが高いと思われます。重々ご留意下さい)
【 はじめに 】
「京阪奈」、「京阪神」と総称されるように、関西の府県はお互いに密接な交流をしている。移動の便も良好で、鉄道は阪急/阪神/JR/近鉄/京阪などが充実している(※さすがに滋賀、和歌山、淡路島は、やや遠くなるが)。関西圏では、日帰り旅行も比較的容易だろう。
その一方で、都市ごとの個性は大きく異なっており、新しい土地を訪れる手応えを感じられる。京都では歴史的建造物や伝統和菓子などを存分に楽しめるし、奈良もクラシカルな神社仏閣や優れた博物館が密集している。神戸は港町らしく、洋菓子店や洋館建築物が多数維持されているし、神戸牛や灘酒も有名な名産品だし、足を伸ばせば有馬温泉や姫路城などにも行ける。大阪はローカルな食文化やイベント施設が充実している。
趣味(オタク)の観点でも、大阪の巨大な日本橋(にっぽんばし)エリアを代表に、神戸三宮の大型ショッピングセンターや、京都の寺町商店街など、それぞれに密度の高いショップ群を楽しめる。
本稿では、関西各府県について、主要な交通手段と基本的な観光名所を紹介することを目指す。それによって、旅行計画の一助となることができれば望外の喜びである。既存の観光案内は、バラバラの名所紹介と、固定的なパッケージツアーに二極化しており、個人が旅行計画を作るには不向きなものが多い。そうした中で、「個別の名所だけでなく、それらをつなぐ交通手段のマッピングと組み合わせ、それによって旅行のスケジュールを構想するための(まずは最初の)手掛かりとする」ことを目標とした。
【 大阪:日本橋と梅田に大きな魅力がある 】
大阪は、良いところも悪いところも多い。長所の一つは、巨大なオタク街を抱えていること。日本橋~難波には様々なジャンルのショップが大小取り混ぜて大量に並んでおり、その物量とポテンシャル、多様性の懐の深さはおそらく西日本随一だろう。漫画専門店や大規模なCDショップ、大小様々なグッドショップやトレカショップ、そして象徴的なのが、オタロードに面したanimate日本橋店(※上の階に「Melon Books」や「らしんばん」も入っている)。中古系ショップも多いので、漫画やゲームで昔の名作を掘り出したい時もありがたい。Sofmapなんば店(旧:ザウルス1)のアダルトゲーム階も充実していたが、数年前に行ったときは残念ながら縮小されていた。個人的には、難波駅や日本橋駅で降りるよりも、地下鉄恵美須町駅からスタートして難波駅方面に向うのが歩きやすいと感じる。近隣には駐車場も多いので、自家用車等で訪れて大量のショッピング荷物を詰め込んでゆっくり帰るというのも可能だろう。すぐ近くには、通天閣や天王寺動物園もある。
日本橋(ポンバ、ポンバシ)以外だと、梅田近辺も充実している。駅前のYodobashiのホビーコーナーも華やかだし、梅田駅を東に出た茶屋町(ちゃやまち)界隈は、若者向けに趣味の良いショップ(ファッションやサブカル系)がたくさんあるし、Tower Recordsの棚も充実している。東に少し歩けばanimate(梅田店)、まんだらけ、Melon Booksもある。ただし、駅からはちょっと遠くて見つけにくいし、散在しているのでまとめて巡回するのは面倒かも。また、治安の良くないところもあるので、土地勘が身につくまではあまり無理をしない方が良いと思う。スケールモデルに関しては、本町(ほんまち)の「ホビーランド」が物凄いので、興味があれば行ってみると良い。
大阪はアダルトゲームメーカーが多いので、alicesoftビルを見に行ったりすることもできる。もちろん立ち入りはNGだが、建物外観を見に行くくらいなら、聖地巡礼の一種としてありかなと。ゲームCGやアニメ背景の元ネタになっている場所も多いので、舞台探訪もいろいろ楽しめる。
一般的な意味での観光or散策だと、難波付近のアメリカ村(若者向け)や道頓堀(繁華街)、心斎橋筋商店街、なんばパークス(複合商業施設)、天王寺動物園と阿倍野界隈、それから大阪城公園あたりは、軽めのファーストチョイスとして無難に楽しめると思う。その他、水上観光バス「アクアライナー」に乗ったり、「ザ・シンフォニーホール」や梅田芸術劇場でコンサートを楽しんだり、お好み焼きやたこ焼きなどの「粉(こな)もん」を食べたり、北部の箕面(みのお)公園の景勝に触れたり、万博記念公園に行って太陽の塔を見たりもできる。海遊館は、インテックス大阪の同人誌即売会(後述)の前後に立ち寄れる立地にある。有名な寺社や大きなお祭もいろいろあるので、そのあたりも好みでご随意に。ただし、大阪のコロナ政策は悲惨なので、感染症にはくれぐれも慎重に行動していただきたい。
【 京都:観光地としては圧巻だが、オタク的には程々か 】
オタク的観点で言えば、京都は四条河原町界隈にいろいろな店があるものの、小規模なショップばかりで、しかも広い範囲に分散しているし、独自性のあるショップも乏しいので、オタク的ショッピングにはあまり向いていないと思う。具体的には、四条河原町から北西に入った寺町通と新京極通の商店街に、オタク系ショップの大半がある。animate、メロブ、らしんばん、ヴィレッジ・ヴァンガード、CDショップJEUGIA(十字屋)、ドールショップ、等々。駿河屋やPCパーツショップは、四条通よりも南側にある。京都独自というと、有名な大型ゲームセンター「a-cho(アチョー)」は、行ってみたら楽しいと思う。烏丸御池には京都国際マンガミュージアムもある。
また、JR京都駅のすぐ南の京都アバンティにも、いくつかのオタク/サブカル/インドア系のショップが入っている(※animate、らしんばん、ゲーマーズ、トレカショップ、大型書店など)。出張の前後に立ち寄るには好都合だろう。Sofmapは、JR京都駅から南西に徒歩10分のイオンモールKYOTOに入っており、PC(アダルト)ゲームや模型も一応扱っている。この建物にはGUNDAM BASE SATELLITEも入っている。VOLKSの大型店舗も京都駅界隈にあるが、こちらもちょっと距離がある(徒歩15分程度)。
時間があれば、オタク的にも有名な鴨川デルタや京都御所を訪れるのも一興だろう。近隣には下鴨神社や出町柳商店街や同志社大もある。ちょっと遠いが、一乗寺の恵文社(けいぶんしゃ)のような個性的な書店もある。
1) 京都観光では、右京区方面(つまり市内北西部)の嵐山~嵯峨野界隈がお勧め。天龍寺から渡月橋から嵐峡から竹林から嵯峨野トロッコまで、徒歩圏内に密集していて回りやすい。人が混みすぎないのも良いし、嵐山駅近隣には土産物屋もいろいろある。
そこから嵐電(京福電鉄)やレンタサイクルを使えば、龍安寺や北野天満宮や金閣寺にも行ける。なかでも仁和寺の広壮さは目を瞠るし、余裕があれば太秦(広隆寺、映画村)に立ち寄ることもできるだろう。金閣寺は池越しに眺めるだけなので、あまり楽しめないかもしれないが、近隣には観光名所がたくさんあるので、ひとまずざっと見て回るだけでも満足できると思う。嵐電それ自体もレトロな雰囲気で、一部は路面電車になっていたりして面白いし、中心街(四条烏丸~四条河原町)にも通じている。経路によっては、二条城や壬生寺にも立ち寄れる。季節については、春の桜も秋の紅葉もどちらも絶品なので、お好みの季節に行くと良い。ただし、市内で雪が積もることはわりと稀なので、雪景色はなかなか出会えないと思う。
※追記:レンタサイクルについて。近年の京都では、路上駐輪がかなり厳しく規制されており、気軽な自転車移動はやや難しくなっているようです。訪れたい施設の付近の駐輪場(無料/有料)について、下調べをしておくことを推奨します。
2) 左京区サイド(つまり街の東側:左京区~東山区)だと、南禅寺が良いと思う。「アクセスの良さ」+「混雑の少なさ」+「雰囲気の良さ(それほど通俗化していない)」+「見どころの多さ」+「写真映え」等々。自分一人の楽しみのために行くのであれば、かなりお勧め。水路閣はアニメなどにもしばしば登場する。また、少し歩けば岡崎の平安神宮や美術館もある。南の祇園界隈にも、帰路に買い物をしながら立ち寄れる。
京都観光というと、まず八坂神社や清水寺に行っておきたくなるのも分かるけれど、人が多すぎるし、土産物店が並んでいるばかりだし、名所らしいところもそれほど多くない。祇園の花見小路通もタクシーが我が物顔に走り回っていてかなり俗っぽい。まあ、行けば行ったで満足のいく体験ができると思うが、人混みの覚悟は必要だろう。ただし、近隣の建仁寺は風格のある境内が魅力的なので、そちら目当てで行くのも良いだろう。円山公園から高台寺に下りていく石畳の小道(ねねの道)も、雰囲気も清らかで、けっこう好き。要するに八坂神社から清水寺に向かう経路の一つなのだが、それほど混まないし、和菓子や抹茶アイスを売っているお店も並んでいてゆっくり散策できる。
ごく普通のショッピング(京都土産や和菓子など)であれば、四条通(祇園~河原町~烏丸)を東西に歩くか、そこから一つ北の「錦市場(にしきいちば)」がオーソドックスだろう。あるいは、上記の「新京極通」&「寺町通」を南北に往復するのも良いが、道が狭いこともあって混雑しがち。
3) 南区~伏見区:JR京都駅付近で時間が余ったときは、まずは南区の東寺(とうじ)に行ってみるのが手頃だと思う。境内は余裕を持たせつつ程良くまとまっているし、五重塔などのポピュラーな見どころもある。東西本願寺や三十三間堂、京都水族館、京都Yodobashiも京都駅から近いので、出張時などに立ち寄りやすい。ただし、駅の東西南北にバラけているので、一気に見て回るのは無理かも。JR京都駅の駅舎建築(京都駅ビル)も個性的な作りで、多数のショップが入っているので、それ自体が観光体験になる。南西の東福寺や伏見稲荷大社にも、アクセスが良い。
食文化に関しては、もちろん和菓子が有名だが、至るところに良いお店があるので、適当に買えばよい。JR京都駅界隈(駅南口や地下街など)、あるいは四条通(祇園界隈や高島屋地下階など)にお土産向けの店が集まっているのが、さしあたり手近だろう。洋菓子系では、ベタだが「マールブランシュ」が人気。カフェは河原町界隈、ラーメン店は左京区などの学生街に多い。
また、市内には京都市美術館(左京区岡崎)や京都国立近代美術館(岡崎)、京都文化博物館(烏丸御池)、京都国立博物館(東山区七条)などもあり、ミュージアム巡りのために京都を訪れる人も多い。磯崎新が設計した京都コンサートホール(左京区北山)も、クラシック演奏などで有名。
その他にも、北部の比叡山(延暦寺)や、鞍馬山(貴船[きふね]神社と鞍馬寺)、大原(三千院)、日本海側の天橋立(宮津市)などがあるし、南側にも醍醐寺(伏見区)や宇治市(平等院や天ヶ瀬ダム)など、名所は多い。これらは他府県から訪れるには時間が掛かるが、1泊2日などでじっくり旅行する場合には有力な候補になってくるだろう。
京都市内の基本的な移動手段はバス(と地下鉄)になる。本数は多いが、道路が混雑していて時刻表は当てにならないので、時間のロスを見込んで行動する必要がある。いずれにしても、一日では到底回りきれないので、1日目は西の嵯峨野嵐山を訪れて一泊し、2日目は東の四条河原町などをゆっくり回るというくらいが良いと思う。
市内へのアクセスは、阪急線だと梅田-京都河原町は44分(410円)、京阪線でも淀屋橋-祇園四条は48分(430円)なので、日帰りでも時間の余裕は取れる筈。JR新大阪-京都間も、新快速で24分(580円)、快速でも37分。祇園祭などの祭事もいろいろあるので、時期を調べておくのが良い。ちなみに、阪急や京阪の「特急」列車は、追加料金(特急料金)があるわけではなく、乗車券だけで乗れる。ただし近鉄やJRの「特急」は有料。京阪線は車内の雰囲気が良いのでお勧め。
【 兵庫:神戸三宮のショップ密度が素晴らしい 】
神戸市は、中心街の三宮駅から徒歩1分のセンタープラザに密度の高いオタク街があって、充実した時間を過ごせる。定番のanimateから、漫画も充実している大型書店のジュンク堂、キャラソンCDも置いているゲーマーズ(※2024年に閉店)、同人系のMelon Books、模型&ドールのVOLKS、鉄道模型中心の「ホビーランドぽち」、模型とボードゲームのYellow Submarine、そしてPC(アダルト)ゲームのアリスNET、乙女ゲーとBLの「ハニーハート」、中古系の「らしんばん」、それから数々のゲームセンターやカプセルトイコーナー、トレカショップとカードゲームスペース、中古CD店、パソコンショップ、レンタルショーケースなどが、センタープラザに犇めくように入居しており、効率的に回れる。
センター街全体で見ると、ボードゲーム「Warhammer」公式ショップもあるし、ホビーショップTamTamも三宮店をオープンした(プラモデル、鉄道、モデルガン、おもちゃなど)。ただし、駿河屋が幅を利かせているのはちょっと残念だし、「とらのあな」は例によって撤退してしまったけど。また、漫画専門店「エンジョイスペース・ギルド」やヴィレッジ・ヴァンガード(@トアロード)も数年前に閉店したし、ハーバーランドのSofmapもアダルトゲームから撤退してしまったようだ。しかし近隣には、Tower Recordsも駅北ビルに入っているし、東にちょっと歩けばJoshin三宮店が模型関係をかなり充実させている。
要するに、「ほぼ全てのジャンルのオタク系ショップが」+「それぞれかなり高い水準で存在し」+「ごく近い距離に密集していて回りやすい」という意味で、オタク街としての三宮は抜群に優れている。さすがに日本橋ほどのボリュームは無いが、平均的なオタクであれば十分満足できるだろう。
大阪梅田からも、阪急/JR/阪神だと30分で直行できる近距離なので、気が向いたときに一度訪れてみたら、わりと楽しめると思う。阪急線の大阪梅田駅-神戸三宮駅間は27分(330円)、JR線でも新大阪から最短27分(570円)。JRは混雑や遅延が発生しやすいし、阪急線の方が見晴らしも良い。新幹線(新神戸駅)は中心街から遠いので注意。
一般的な意味での観光だと、三宮から北側にある異人館街だけでも相当の時間を過ごせる。歴史のある有名建築物が建ち並んでおり、邸内に入れるところも多いし、高台から市街地を見下ろせて景観も素晴らしい。ついでに生田神社やトアロード(各種ショッピング)、元町の南京町(中華料理店多数)、旧居留地(歴史的建造物や文化施設)、神戸港に面したハーバーランド(若者&家族向けのショッピングエリアMOSAICやメリケンパーク)などもすぐに回れる。神戸港の遊覧船/クルーズ船に乗ることもできる(※2000円以下のリーズナブルな周遊コースもあるし、ディナー込みの本格的なクルーズメニューもある)。
余裕があれば、足を伸ばして有馬温泉まで行ってみたり、ロープウェイとケーブルカーで六甲山/摩耶山を越えてくることもできる。ただし、有馬の街はけっして大きくないので、ただ立ち寄るだけの観光ではあまり楽しめないかも。あくまで旅館に宿泊してじっくり湯船を楽しむための街だ。また、摩耶山/六甲山の夜景の美しさは有名だが、夜景観光(つまり時間限定)を入れようとすると、きれいな行程を作るのがちょっと難しくなる。時期によっては、遅い時間のロープウェーが無かったり、ケーブルカーが運行していない時もあるので、事前確認が必要。ただし、夜景の見晴らしがきれいなのは間違いない。
その他。マリンピア神戸(アウトレットモール)や須磨水族館は一時閉館するらしいが、「神戸どうぶつ王国」は家族連れでも楽しめると思う。新幹線新神戸駅付近の「布引の滝」や「布引ハーブ園」、垂水区の明石海峡大橋なども知名度が高い(※私自身、行ったことは無いし、どのくらい楽しめるかは分からないけど)。毎年12月のルミナリエ(震災復興のイベント)は、残念ながら継続が難しくなっているようだ。山登りやハイキング(森林浴)を楽しむ人も多い。
食文化では、神戸牛と並んで神戸スイーツ(洋菓子)がある。モロゾフ(チョコやプリン)、ケーニヒスクローネ(焼き菓子)、ユーハイム(バウムクーヘン)などは有名で、デパ地下でお土産に買っていく人も多い(※神戸阪急百貨店、三宮地下街、大丸神戸店など)。フロインドリーブ(焼き菓子)、ツマガリ(焼き菓子)、カファレル(イタリア高級チョコ)なども地元市民に評価が高いようだ。エスニック料理も、中華街(南京町)だけでなく、ムスリム向けのハラールレストランなどもあって、いかにも港町らしい。灘の酒蔵に興味を持つ人もいるだろう。
文化施設は、旧居留地の神戸市立博物館が大掛かりな企画展をしているが、改修のために近々休館するらしい(2023/09~2024/02)。兵庫県立博物館や神戸海洋博物館なども市内に所在するが、ハイアート方面では京阪奈に一歩譲る。観光名所でいっぱいの京都、落ち着きのある文化的な古都の奈良、穏やかで優美な港町の神戸、そして庶民の賑わいの大阪と、4都市それぞれに個性があって面白い。
神戸市(150万人)の次に大きいのは、西宮市と姫路市(どちらも人口50万人)。阪急「西宮北口」駅前には、大規模で上品な商業施設「西宮ガーデンズ」がある。大型書店やシネコンも含めて、多目的のショッピングをゆっくり楽しめる筈。梅田から阪急で十数分の近距離なので、アクセスも良い。駅近隣では西宮神社(えびす宮)や東光寺(門戸厄神)も有名だが、私は行ったことが無いのでよく分からない。ひとによっては、駅南の県立芸術文化センター(コンサートホール)に行くことも多いだろう。
兵庫県西部の姫路(城)はちょっと遠いが、新幹線ならば新大阪-姫路駅は片道28分(3280円)なので日帰りも容易。在来線のJR新快速でも片道70分(1520円)。姫路城付近には大きな博物館(姫路市立美術館/県立歴史博物館)や園庭(好古園)もある。姫路旅行では、書写山に登って円教寺(えんぎょうじ)の広大な境内をじっくり回るという人も多いようだ(姫路駅からバス&ロープウェイで約30分)。家族連れだと、姫路駅南西の手柄山中央公園や市立水族館が良いらしい。
その他、宝塚市(歌劇場や手塚治虫記念館)や、日本海側の城之崎(温泉)などもある。後者はかなり遠いが、行ってみればたいへん素晴らしいところらしい。
【 奈良、滋賀、和歌山:移動の便はおおむね良好 】
奈良もアクセスが良い。近鉄線では難波→奈良間が28分(680円)、JR線でも大阪→奈良が50分(820円)なので、すぐに行ける。京都-近鉄奈良間は47分(760円)。三宮-奈良間はさすがに1時間以上掛かる(片道1000円以上)。なお、JR奈良駅は市街地の中心部に降りるが、観光目的であれば、近鉄奈良駅の方が近い。
近鉄奈良駅からすぐのところに巨大な奈良公園があって、その中に東大寺、興福寺、春日大社、奈良国立博物館といった超一級の名刹や博物館が密集しているので、大人になってからの観光旅行としても、十分な手応えのある文化体験ができると思う。個人的には、興福寺国宝館の仏像展示群が強烈に印象に残っている。奈良公園以外だと、薬師寺や法隆寺なども近隣にあるが、多少乗り換えの必要がある。平城京跡(歴史公園)も、近鉄奈良から2駅の距離にある。奈良が舞台になっているサブカルコンテンツも多いので、舞台探訪も楽しめるだろう。ただし、市内人口は36万人とのことで(長野市、豊橋市、川越市と同規模)、オタクショップを維持するのは辛いようだ。
県南部にも歴史的に重要な史跡があるが、交通機関のアクセスは良くないので、自家用車(バイクやレンタカー)で行くのが良いと思われる。県西部の、大阪との間にある宝山寺(寳山寺)なども良いところらしいが、私は行ったことが無い。
大津市(滋賀)も同じくらいで、大阪から在来線(JR)でも40分台で行ける(860円)。しかし彦根まで行くと、新幹線を使っても1時間以上掛かる。
和歌山方面は、さすがに遠い。大阪から奈良吉野駅までが片道2時間、1500円程度。それ以南は自動車が必要だろう。南紀白浜を訪れる観光者もいる。
さらに足を伸ばすなら、淡路島(兵庫県)や四国徳島も、関西から観光旅行で訪れる人は多い。直通の高速バスも運行しているので行きやすい。関西住まいだと、1泊/2泊旅行ならば岡山や広島あたりまで視野に入ってくる。新大阪→広島は、新幹線で片道1時間半(自由席9890円)。名古屋にも、新幹線で50分程度(5940円)。空路も使いやすいので(関西国際空港/伊丹空港/神戸空港)、福岡や香川松山にも行ける。例えば、金曜の夕方に出発して現地で一泊、そして土日をゆっくり楽しんで、日曜の午後に余裕を持って帰宅することができる。もちろん、自分の体力と予算と時間と目的によるので、一概には言えないが。
【 オタクイベント:大阪が中心 】
関西の同人イベントは、
- Comic City(最大規模。女性向けが強く、主に1月に開催される)、
- こみっくトレジャー(こみトレ:男性向け二次創作やコスプレが多い。毎年1月と9月)
- 関西コミティア(一次創作系。年3回ほど開催)
の3つが大きい。いずれもインテックス大阪で開催され、参加サークルもわりと多めで、館内をじっくり回れる。個別ジャンルだと、神戸(国際展示場やサンボーホール)、京都(みやこめっせ)で開催される即売会もいろいろある。
模型展示イベントも、各地で定期開催されている。音楽系の全国巡業だと、関西でもコンサートを開いてくれることがある。ただし、オタク系で企業主催の大きなイベントが関西で開かれることは少ないようだ。
【 おまけ:写真いろいろ 】
昔の写真ばかりだが、いくつか載せておこう。東山区の円山公園(2010年6月撮影。当時の折り畳み携帯で撮影したので画質は低い)。八坂神社に隣接しているのだが、タイミングによっては観光客も少なく、のんびりできる。京都市南区の東寺(とうじ)。2012年3月撮影。JR京都駅から近いし、それでいてあまり混雑しないので、気が向いたら訪れてみても良いと思う。伏見稲荷大社。2019年2月撮影。立ち並ぶ鳥居群が有名だが、観光客が多すぎたり警告看板がベタベタ貼られていたり、鳥居群がボロボロだったりして興醒めすることも……。近隣の自販機も超ボッタクリ価格。ただし、あえて夜間に訪れると濃密な雰囲気を感じられるという話も聞く(※かなり怖いらしい)。近隣の東福寺はお勧め。右京区の仁和寺(2010年6月撮影)。入り口の仁王門から奥を臨んで。広大な敷地の中に様々な施設があり、清らかな気持ちで鑑賞して回ることができる。阪急嵐山線(2012年12月撮影)。照明が灯籠型だったり、工事中看板のキャライラストが着物姿だったりと、和風ムードを強調している。終点には渡月橋や天龍寺があり、さらにそこから京福電鉄に乗れば太秦~仁和寺~北野天満宮~金閣寺方面にも行ける。京都は、新しく整備された地下鉄も縦横に伸びているが、地上には嵐電や叡電のようなレトロな鉄道も走っている。左記写真は、嵐電の西院車庫付近(2012年3月撮影)。左京区岡崎の京都国立近代美術館の館内から、隣の京都市美術館(京セラ美術館)を臨んで。2011年5月撮影。見切れている大鳥居は、平安神宮のもの。三条寺町の楽器店「JEUGIA(十字屋)」本店。アニメ『けいおん』にも登場していたショップで、その縁もあってか、店先でこんな楽器展示をしていた。CDの品揃えも、当時はたいへん充実していた。2012年4月撮影。キャンパスの中庭。2012年11月撮影ということは、もう十年前の風景になるのか。北大路通と東大路通が交差する高野(たかの)の交差点。2012年8月撮影。盆地の大通りなので、西側(つまり街の反対側)の山々まで遠くきれいに見通せる。京都コンサートホールにも、自転車で何度も行っていた。盆地の京都とは対照的に、神戸は山と海に挟まれて見通しが開けている。神戸大の六甲台キャンパス(灘区)は山の中腹にあり、神戸市内を眺望できる。2014年3月、キャンパスから撮影。風見鶏の館(旧トーマス住宅)は、神戸北野(中央区)の異人館街を代表する歴史的建造物。こちらも高台にあり、眺めが良いし、観光アクセスも良好。近隣の街並みも、観光地としてはかなり清潔感のある明朗な雰囲気。2017年11月撮影。異人館街の建物の多くは、入館して観覧することができる(※大抵は有料だが)。内装は当時のものを再現しており、レトロ感とゴージャスさの取り合わせが面白い。異人館街の街並み。高台らしく、空は広々としているし、街の雰囲気も清潔感がある。神戸は「坂の街」でもあって、建物の土台も傾斜角度に合わせて造られている。神戸市中央区のモスク(2017年9月撮影)。この建物それ自体は観光施設というわけではないが、イスラムモスクや南京町や有名洋菓子店のように国際色豊かな文物を擁しているのは、港町神戸ならではの大きな特徴だろう。生田神社やトアロードも、三宮駅からすぐの距離にある。三宮駅南の神戸市役所は、最上階(24F)が展望ロビーになっており、入館して市内を一望することができる。ただし、2023年現在はワクチン接種会場として使われていて、一般の立ち入りは出来ないらしい。2017年10月撮影。六甲ケーブル(2013年4月撮影)。六甲山や摩耶山にはケーブルカーがあり、市街地からのアクセスも良い。夜景もきれいだし、山上にも様々な文化施設がある。兵庫県立美術館のカンディンスキー展を訪れたときの一枚(2011年6月撮影)。海に面した博物館というのも面白い。三宮駅近隣の神戸市立博物館も、しばしば大掛かりな展示企画を開催している。神戸学院大のキャンパスを訪れた時の一枚。2017年8月撮影。神戸港の人工島ポートアイランドにキャンパスを置いているので、周囲の見晴らしも良い。自転車などは、海風ですぐに錆びるらしいけど。JR姫路駅を降りると、正面が姫路城(写真右奥)までまっすぐ大きく開けている。観光パフォーマンスを目指した都市計画の興味深い実例でもある。2018年10月撮影。